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Surfactants Biodegradation Kenkichi Environmental Hygiene Laboratory, Central Research Laboratories, Lion Fat & Oil Co., Ltd. ( , Hirai, Edogawa

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界 面 活 性 剤 の 生 分 解

大 場 健 吉 ライオン油脂(株)中 央研究所 ・環境衛生研 究室 (東京都江戸川 区平井7-13-12)

Surfactants

Biodegradation

Kenkichi Oba

Environmental Hygiene Laboratory, Central Research Laboratories, Lion Fat & Oil Co., Ltd. (7-13-12, Hirai, Edogawa-ku, Tokyo)

1 緒 言 各 種 の界 面 活 性 剤 は それ ぞ れ の 特 徴,性 質 を い か して 家 庭 用,工 業 用 に使 われ て い るが,ほ とん どが洗 浄 剤 な い し表 面処 理 剤 と して使 われ て い る。 この よ うに して使 われ る 界面 活 性 剤 は,そ の役 割 りを果 た した あ とは排 水 に混 入 して廃 棄 され る運 命 に あ る。 この よ うに人 為 的 に 廃棄 され る排 水 で あ るか ら,不 特 定 多 数 の 源 か ら止 む を えず 直 接 自然 環 境 に放 出 され,あ る い は放 出 せ ざ る をえ な い もので は な く,家 庭 か らの雑 排 水 は下 水 道 を経 て終 末 下 水 処 理 場 で処 理 した あ と 自然 水 系 に還 元 し うる もの で あ る。 した が って,水 質 汚濁 防止 に 当 た っ ての 検 討 す べ き課 題 は処理 方 法 に関 す る量 的,質 的 な問 題 と界 面 活 性 剤 を含 む 各 種 水質 汚 濁 物 質 の 被 処理 特 性 の問 題 に分 け られ る。 界面 活性 剤 の生 分解 性 は,当 然 こ うした被 処 理 特 性 に 係 る問題 で あ る。 そ の被 処 理 特 性 に関 して は,外 観 上 直 ち に問 題 とされ や す い各 種 水 系 で の あわ 立 ち とい った 問 題 へ の対 処 のみ な らず,さ らに消 費 か ら廃 棄 を通 じて界 面 活 性 剤 が放 出 され 自然 環 境,生 態 系 に いか な る影響 を 与 え るか とい う問 題 を も充分 留 意 しな けれ ば な らな い 。 下 水 の 生物 処 理 過 程 や 河 川 に お け る 自浄 作 用 や 各 種 水 系 中 にお け る物 質 の分 解 な どに み られ る よ うな環 境 中 に お け る物 質 の循 環系 で は,日 光,熱,生 物 な ど各 種 の 自 然 の 力 が関 与 して い る が,な か で も微 生物 の力 に大 き く 依 存 して い る とい え る。 こ の よ うな 背 景 か ら界 面 活 性 剤 の被 処理 特 性 は微 生物 に よ る分 解 性 す な わ ち 生分 解 性 が 中心 とな る。 界 面活 性 剤 の生 分解 性 に関 して はSwisher1)の 包 括 的 な成 書 が あ り,1969年 まで の文 献 を よ く網 羅 し解説 し て い る。 最 近,界 面活 性剤 の 生 分解 性 に 関す る基 本 的 な 考 え方 や研 究 動 向 に は次 の よ うな 推移 が認 め られ る。 まず,生 分解 性 につ い て の基 本 的 な考 え方 と して は 「環 境 が 受 け 入 れ る程 度 ま で の生 分 解 性 」 な い しは,さ らに 「最 終 的 な 無 機 質 まで の 生分 解 」 を考 慮す べ き で あ る とい う方 向 に 移 りか わ って き て い る。 次 に,界 面 活性 剤 の生 分 解 性 は生 分 解 過程 に お け る生 物 体 へ の 影 響 や 中間 生 成物 の 挙 動 に も注 目 して 評価 せ ね ば な ら な い し,ま た,さ らに 下水 処 理過 程 に お け る界 面 活 性 剤 の除 去 性 は実 験 的 に コ ン トロー ル され た 条 件 下 の み な らず,通 常 の運 転 時 にお け る除 去 性 も確 か め る必 要 が あ る とい う意 見 が出 され て い る こ と で あ る。 した が って,本 報 で は,こ れ らの推 移 を くみ,最 近 の 生 分解 性 に 関す る報 告 を著 者 らの研 究 を あ わせ て紹 介 し つ つ,ま とめ る こ と と した。 また,ア ニ オ ン,非 イ オ ン界 面 活 性 剤 の生 分 解 性 お よ び 生 分解 機 構等 に 関 す る浅 原 の総 説2),非 イ オ ン界 面 活 性 剤 の 生 分解 性の 問題 を取 り扱 った著 者 らの資 料3)も あ わ せ て 参 考 に供 され た い 。 2 生 分 解 性 な ら び に 生 分 解 度 試 験 法 に つ い て 生 分 解 とは微 生 物 に よ る有 機 炭 素 化 合 物 の 分 解 とで も 表 現 す べ き も の で あ り,生 分 解 作 用 の 基 本 的 な考 え方 に は,1)第 一 次 的 な生 分 解,2)環 境 に受 け入 れ られ る程 度 まで の生 分 解,3)最 終 的 な無 機 質 ま で の生 分 解 が あ る。現 在 は2)か ら3)の 考 え方 が と られ て い る。 界 面 活性 剤 の生 分解 度 試 験 法 に は,供 試 物 質 の微 生 物 へ の 暴 露 の 過 程 と供試 物 質 の分 解 消失 度 を評 価 す る定 量 分 析 の 過 程 とが 含 まれ る。実 験 室 で界 面活 性 剤 の生 分 解 度 試 験 に用 い られ る方 法 に つ い て 表-1に ま とめ た。 詳 細 は著 者 らの 別 の 資 料3)に ゆ ず る。 表-1に も各 試 験 法 を 公 定 法 と して 採 用 して い る国 々 が あ げ られ て い るが,最 近 西 ドイ ツ にお いて は 現行 の洗 浄 剤 の分 解 性 に関 す る法 律 及 び 法 令 に か え て,1973年 の ヨー ロ ッパ 共 同体(EC)に お け る合 意 規 定(ア ニ オ ン界 面 活 性 剤 を は じめ,非 イ オ ン,カ チ オ ンお よび 両 性 界 面活 性 剤 全 て につ い て,生 分 解 度 が90%以 上)に 合

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表-1 界面活性剤の生分解度試験法 致 させ るべ く新 た な 法案 が検 討 され て い る4)。 新 法 案 に お い て,抑 制 す べ き環 境 へ の 影響 と して取 りあ げ られ て い る対 象 に は,1)地 下 水 を含 め た水 系 へ の影 響,2)下 水 処 理 時 の 困難 さ お よび 処 理 能 力 の障 害,3)有 機 物 質 の分 解 性 も し くは除 去 性,4)リ ン酸 塩 に よ る影 響,5) そ の 他 の成 分 に よ る影 響 が あ る。 新 法 が成 立す る と洗 浄 剤 に含 まれ て い る界 面 活 性 剤 は 予 備試 験 と確 認 試 験 か らな るOECDで 定 め ら れ た 方 法5)で 生 分 解 性 が調 べ られ る こ と とな り,そ の他 の有 機 物 質 の分 解 性 も し くは除 去 性 は,お そ ら くClosed bot-tle testに よ って調 べ る 見込 み とい う。 この方 法 の詳 細 に つ い て はFisher6)の 報 告 が あ る。 3 界 面 活 性 剤 の 生 分 解 性 3・1 ア ニオ ン界 面 活性 剤 従 来 ア ニ オ ン界 面 活性 剤 の生 分 解 を残 存 界 面 活 性 剤 を 定 量 す る方 法 で追 跡 しよ う とす る場 合,メ チ レ ンブル ー 法 が 最 も一 般 的 に 用 い られ て い た。 しか し,時 と して界 面 活性 剤 の 構造 に よ って は界 面 活 性 剤 分 子 が無 機物 ま で 分 解 され る前 に メ チ レ ンブ ル ー活 性 の 消失 が認 め られ る 場 合 が あ る。 た とえ ば,ア ル コール 硫 酸 エ ス テル 塩 につ い てBorstlap7)が 述 べ て い る よ うで あ る。 生 分解 の 追跡 に メ チ レ ンブ ル ー比 色 法 と残 存 炭 素 濃 度 の 測 定 を組 み合 わ せ た研 究 が 著 者 ら8),Cordonら9)∼10), Janickeら11)に よ り行 わ れ て お り,こ れ らを次 に紹 介 す る。 著 者 ら8)は 数 種 類 の界 面 活 性 剤 の生 分 解 性 につ い て生 分 解 の過 程 にお け る残 存有 機 炭 素 濃 度 を測 定 し,メ チ レ ンブル ー また は コバ ル トチ オ シ ア ネ ー ト比 色分 析 に よ る 結 果 と比 較 検 討 し た。 試 料 と して は α-オレフ ィ ンスル ホ ン酸 塩(AOS),直 鎖 アル キル ベ ンゼ ンス ル ホ ン酸塩 (LAS),ア ル コー ル 硫酸 エ ス テル 塩,セ ッ ケ ン他7種 と 3種 類 の非 イ オ ン界 而 活性 剤 を用 いた 。振 と うフ ラス コ 法 に よ る試 験 の 結果,AOS,ア ル コー ル硫 酸 エ ステ ル塩 や セ ッケ ン は短 期 間 の うち に有 機 炭 素 の 消失 が み ら れ た。 一 方,ベ ンゼ ン環 や エ チ レ ンオ キシ ド鎖 を分 子 中 に 有 す る界 面 活 性 剤 は生 分 解 に よ る有 機 炭素 の 消 失 が 遅 く,ま た 比 色 分 析 法 と有 機 炭 素 分 析 法 に よ って追 跡 した 際,生 分 解 性 に大 きな差 の あ る こ と を認 め た。 Cordonら9)は 牛 脂 ア ル コー ル硫 酸 エ ス テ ル塩,エ ー テ ル 硫 酸 エ ス テ ル塩,α-ス ル ホ脂 肪 酸 エ ス テ ル塩 の下 水 微 生 物 に よ る好 気 的条 件 下 で の生 分 解 過 程 をメ チ レンブ ル ー活 性 物 質(MBAS)の 消 失,総 炭 素 の減 少,無 機 サ ル フ ェ ー トイ オ ンの 生成 とい う点 か ら追跡 して い る。 そ の結 果 を 表-2に 示 す 。対 照 物 質 と してLASが 検 討 さ れ て い るの で,そ の結 果 を 図-1に 示 す。 アル コー ル 硫 酸 エ ステ ル 塩 は迅 速 に しか も完 全 に分解 され て い るが, エ ー テル 硫 酸 エ ス テ ル塩 はや や 遅 れ て 分 解 され た.α-ス ル ホ脂 肪 酸 エス テ ル 塩 はMBASの 減 少 は速 や か であ っ た が,炭 素 濃 度 の 減 少,サ ル フ ェー トイ オ ンの生 成 が 不 充 分 で あ り,こ れ は抵 抗 性 の 中間 生 成 物 に よ る と説 明 さ れ て い る。 さ らにCordonら10)は 同 様 の 分析 法 を用 いて,人 工 無 機 塩 培 地 中,河 川 水 中 あ る い は土壌 中 に お け る硫 酸 化

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表-2 アニオン界面活性剤 の生分解性 a. メ チ レ ン ブ ノレ ー活 性 物 質 b. p-(1-メ チ ル ウ ン デ シ ル)ベ ン ゼ ン ス ル ホ ネ ー トNa塩 c. 非 界 面 活 性,メ チ レ ン ブ ル ー と 反 応 せ ず d. 測 定 さ れ ず e. Aerosol OT 図-1 直鎖アルキルベンゼンスル ホン酸塩の生分解性 アル カ ノー ル ア ミ ドの 生 分 解性 を調 べ た 。 どの 条 件 で も 酸 素 濃 度 が 高 い場 合 に分 解 は速 や か で あ った 。 Janicke11)は 実 験 室 内 で の 活性 汚 で い法 を 用 い て ア ル キ ル鎖 が直 鎖 で あ る ア ニオ ン界 面 活性 剤,LAS,ア ル キ ル硫 酸 エス テ ル塩(AS),ア ル キル スル ホ ン酸 塩(PS),ア ル キル エ ー テル 硫 酸 エ ス テ ル塩(AES)の 生 分 解 性 を, 連 続 活性 汚 で い法 流 出液 中 に存 在 す るMBAS濃 度,有 機 炭 素 濃 度,dichromate va-lueを 測 定 す る こ とに よ り 検 討 した 。 一 般 に有 機 炭 素 濃 度,dichromate value に よ る分 解 性 はMBASの 減 少 と一 致 せ ず,分 解 速 度 が遅 か った。 これ らの結 果 よ り,MBASと して の分 析 で は検 知 され な い分 解 中 間 体 の存 在 が想 定 され て お り,中 間 生成 物 の 割 合 は AS, PS, AESよ りLAS の 方 が 多 く生 成 して い る。 しか もそ れ は 界 面 活 性 剤 濃 度 が 増 加 す るに つ れ て増 大 して い くこ とが わ か った 。 こ の結 果 よ りJanickeは LAS洗 剤 は 実 用 上 前 記 の 界 面 活 性 剤 に比 べ る と 中程 度 の生 分 解 性 と して い る。 3・2 非 イオ ン界 面 活 性 剤 非 イ オ ン界 面 活 性 剤 の生 分 解 度 試 験 法 に関 して は, 国 際 的 にみ て公 式 に採 用 さ れ て い る方 法 が な い。 そ の 主 た る理 由 は,使 用 され て い る非 イ オ ン界 面 活 性 剤 が多 種 多 様 で あ る こ と,非 イ オ ン界 面 活性 剤 の微 量分 析 法 に 関 して満 足 で き る ま で は解 明 され な い こ とに あ る。 環 境 中の 非 イ オ ン界 面 活性 剤 濃 度 の測 定 例,各 国 に お け る非 イ オ ン界 面 活性 剤 の生 分 解 度試 験 法 の検 討 状 況 な らび にエ トキ シ レー ト系 非 イ オ ン界 面 活 性剤 の 生分 解 機 序 につ いて の 研 究 例 を最 近 著者 ら3)は 紹介 して い る 。 またOECD, CID/AISに お け る生 分解 度試 験 法 検 討 状 況 は石 井12)によ って 紹 介 され て い る。 こ こ にお い て も 非 イ オ ン界 面 活 性 剤 が 多 種 多 様 存 在 す る こ とに よ り微 量 分 析 法 に問 題 が あ る と され て い るが,wickbold13),14)法 を 中心 と した 研 究 が 行 わ れ て い る。 非 イ オ ン界 面 活 性 剤 の生 分 解 に関 す る最 近 の 報 告 に は,ア ル キル フ ェ ノ ール エ トキ シ レー トの評 価 に関 す る もの が含 まれ て い る。 Stennettら15)は ドイ ツ公 定 活 性汚 で い装 置 の汚 で い を多 孔 質 ポ リテ ン容 器 に保 持 す る修 正 法 と生 物 ろ過 試 験 を界 面 活 性 剤 の生 分 解 度 決 定 のた め の方 法 と し て 提 案 し,順 化 期 間 の短 縮,実 験 温 度 の簡 単 な調 節 な どの長 所 を あ げ て い る。 Stiffら16)は こ の装 置 を用 い て,ア ル コー ル エ トキ シ

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レー ト,ア ル キ ル フ ェ ノー ル エ トキ シ レー トの15°, 11°, 8℃ に お け る生 分 解 性 をPattersonら のTLC法 を分 析 手 段 と して 調 べ た 。2種 の ア ル コー ル エ トキ シ レー ト は いず れ の 温 度 条 件 で も充 分 分解 した 。 しか し,ア ル キ ル フ ェ ノー ル エ トキ シ レー トは15℃ で は よ く分 解 した が,低 温 にな る と分 解 性 は温 度 に 依 存 した 。 す な わ ち, 11℃ の温 度 条件 に お い て,濃 度5mg/lで は90%以 上 除 去 され た。20mg/l以 上 に な る と 除 去 率 は40∼95% の 間 を変 動 した 。 著 者 ら17)は分枝 鎖 型 ノニ ル フ ェ ノー ル エ トキ シ レー ト は大 部 分 エチ レンオ キ シ ド鎖 の 分 解 に よ って界 面活 性 を 失 い,コ バ ル トチ オ シ ア ネ ー ト比 色 法,あ わ容 量測 定 法 に対 して 陽 性 にな らな い に 過 ぎず,他 の 分析 法,た とえ ば 比 色 法 で は98.2%の 分 解 時 に お け る培養 液 抽 出物 を GC分 析 す れ ば,低 エ チ レ ンオ キ シ ド付 加 物 を多量 検 出 し うる こ とを明 らか に して い る。 従 来,分 枝 鎖 型 ノニ ル フ ェ ノー ル エ トキ シ レー トは一 般 に生 分 解 困 難 な物 質 と考 え られ て いた 。 これ に対 して Rudlingら18)はOECDに よ っ て 推 薦 され て い る予 備 試 験(Screening test)法 な ら び に 下水 処理 場 前沈 殿 の 下 水 を用 い て実 験 室 内 で の活 性 汚 で い試 験 を行 い,分 枝 鎖 型 ノニル フ ェ ノー ル エ トキ シ レ ー トの 生 分 解 性 を Wickboldの 方 法,Pattersonら のTLC法 を用 い て し らべ た。 そ の 結 果,8∼30moleの エ チ レ ンオ キ シ ド基 を含 ん だ種 々 の ノ ニル フ ェ ノー ル エ トキシ レー トの 生 分 解 度 の 間 に は著 しい差 がみ られ ず,除 去 率 は90%を こ え て い た。 佐 藤 ら19)も,ノ ニル フ ェ ノ ール エ トキ シ レー ト(エ チ レ ンオ キ シ ド10mole付 加)を 活 性 汚 で い と と も に暴 気 し比 色 分 析 した結 果,24hrで90%以 上 の 分 解 度 を 得 て い る。 こ の よ うに分 枝 鎖 型 ノ ニル フ ェ ノ ール エ トキ シ レー ト の生 分 解 性 の相 違 は分 解 機 序 と評 価 方 法 お よび 評 価 基 準 の違 い に よ る も の とみ られ る。 ま た,Knox20)が 芳 香 環 の生 分 解 機 序 の なか で フ ェ ノ ー ル 化 合物 の存 在 を示 して い る よ うに ,ア ル キル フェノ ー ル エ トキ シ レー トの生 分 解 過 程 に お い て も フ ェ ノー ル 類 似 化 合物 の存 在 が想 定 され る。 著 者 らが ノ ニル フ ェ ノ ー ル エ トキ シ レー ト分 解 培 養 液 を 経 時 的 に4-ア ミノア ンチ ピ リン法 で調 べ た結 果,LASの 場 合 と同 様 フ ェ ノ ー ル 化 合物 は検 出 され な か った。 一方 ,Evansら21)は モ ノ,ジ,ト リエ チ レ ング リコー ル を河 川 水 に溶 か しそ の生 分 解 性 を かれ らが開 発 した 直 接 法 を用 い て調 べ て い る。 これ らの グ リコ ール 類 の分 解 は微 生 物 の状 態 と河 川 水 の温 度 条 件 に従 って分 解 して い くこ と を報 告 して い る。 3・3 カ チ オ ン,両 性 界 面 活 性 剤 カ チオ ン界 面 活 性 剤 の生 分 解 性 を考 え る場 合 に,カ チ オ ン界 面 活 性 剤 は一般 に強 い殺 菌 性 ない し抗 菌 性 を示 す も の が あ り,こ の作 用 は生 分 解 性 と表 裏 の 関 係 に あ るの で は な いか とい うこ とが ま ず問 題 点 と して あ げ られ る。 しか し,カ チ オ ン界 面 活性 剤 は他 の界 面活 性 剤 に比 べ 使 用 量 が少 な く環 境 中で は 問題 とな らない か も しれ な い。 次 に特 別 な分 解 菌 に対 す る影 響 や マイ ク ロフ ロー ラ を変 え る の で は な いか とい う こ と も問 題 点 と して 考 え ら れ る。 こ の よ うに カチ オ ン界 面 活 性 剤 の生 分解 性 を調 べ るに あ た って は,負 荷 量 と順 化 とい う点 に着 目す る必 要 が あ る。 Fengerら22)は,ド イ ツ公 定 法 で あ る活性 汚 で い法 に よ る プ ラ ン ト5基 を用 い て テ トラデ シル ジメ チル ベ ンジ ル ア ンモ ニ ウ ム ク ロ リ ド(TDBA)の 生 分 解 性 と 負 荷 量,溶 存 酸 素 濃 度,温 度 の影 響 を調 べ た 。 さ らに,順 化 汚 で い と未 順 化 汚 で いの 比較,分 解 産 物 の 検討 を行 って い る。 順 化 後 の 平 均 除 去 率 は 各 プ ラ ン トの 全平 均 で73 %で あ った。 平 均 除去 率 に対 す る酸 素 濃 度5∼10ppm の変 化,水 温15∼25℃ の 変化 に よ る影 響 は ほ とん どみ られ て い な い。 未 順 化 汚 で い に対 す るTDBAの 呼 吸 阻 害 は大 き い が,順 化 汚 で い で は比 較 的 少 な く順 化 の効 果 の あ る こ とを示 して い る。 ア ニ オ ン界 面 活 性 剤 の 分 解 中 間生 成 物 につ い て は,後 の節 でふ れ る が カ チオ ン界 面 活性 剤 につ いて は こ こ でふ れ た い。Fengerら に よ り分解 中 間体 と して 同定 され た もの は,安 息 香 酸,酢 酸,テ トラ デ シル ジメ チ ル ア ミン で あ り,第 一,第 二 ア ミンは検 出 され なか った。 市 川 ら23)は,ア シル ジエ タノ ー ル ア ミンホ ス フ ェー ト (ADAP)の 分 解菌 を産 業 廃 水,土 壌,汚 で い な どか ら 分 離 し,あ る い は保 存 菌株 に よるADAP分 解 処 理 ス ク リー ニ ング を行 った。Fusarium solani F-79株 が高 い 処 理 活性 を示 し,た と えば1%濃 度 のADAPを24hr 以 内 に処 理 で き た。 こ の処 理 の 過程 は培 養 初 期 に お け る 菌 体 の 吸着 に よ る消 失 と後 期 にお け る吸 着 さ れ たAD APの 菌 体 酵 素 に よ る分解 の過 程 に分 ける こ と が で き た 。 また,こ の菌 株 は第 四 ア ンモ ニ ウム型 カチ オ ン界面 活 性 剤 の処 理 に は効 果 が認 め られ な か った。 Aldir24)は,Ps. aeruginosaに よ リベ ンザ ル コニ ウム ク ロ リ ドがN-NH4存 在 下 で炭 素 源 と して分 解 利 用 され る こ と を報 告 して い る。 Eldib25)は,両 性 界 面 活 性 剤N-コ コ-β-アミノ プ ロピ オ ン酸 ナ トリウム塩 お よ びN-タ ロ-β-イ ミノ ジプ ロ ピ オ ン酸 二 ナ ト リウム塩 の生 分 解 性 を ドイ ツ活 性 汚 で い法 を用 いて3hr暴 気 させ た後,表 面 張 力 の低 下 とあ わ立 ち 力 か ら検 討 した。10日 間 の順 化 期 間 の の ち,95∼100% の 分 解 度 が 確認 され た。

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4 生 分 解 性 か ら み た 化 学 物 質 の 中 の 界 面 活 性 剤 の 位 置 一 般 化学 物 質 や 界 面 活性 剤 の生 分 解 性 に関 す る報 告 は 数多 くあ る が,両 者 を同一 の条 件 下 で比 較 した もの は少 な い。 岡 沢26)はBOD試 験 に よ り,有 機 物 の 分解 過程 を理 論 酸 化 率 と して発 表 して お り,そ の結 果 の 一部 を 表-3に 示 す 。 一 般 有機 物 質 の 分 解性 をま とめ た著 者27)および そ の他 の研 究 者 の総 説28)∼31)がす で に あ り,生 分解 性 か らみ た 有 機 物 質 中 にお け る 界面活 性 剤 の位 置 づ け に役 立 つ で あ ろ う。 近 年,PCBを は じめ とす る環 境 汚染 お よ び被 害 の発 生 は非 常 に大 きな 社 会 問題 とな り,従 来 の化 学 物 質 の安 全 性 に 関す る考 え方 を再 検 討 す る必 要 が と り あ げ ら れ た 。 こ う して種 々 の い き さ つ を経 て,昭 和48年9月 に 「化学 物 質 の審 査 お よび製 造 等 の 規制 に 関す る法 律 」 が 成 立 し,本 年 よ り施 行 され て い る。 そ の 中 で は,化 学 物 質 の環 境 汚 染 性 につ い て の審 査 は,ま ず微 生 物 に よ る分 解 度 に関 す る試 験,魚 体 内 で の濃 縮性 試 験 な どにつ いて 行 う こ とに な って い る。 分解 度 試 験 の 概略 は次 の よ うで あ る。 閉鎖 系 酸 素 消 費量 測 定 装 置 を用 い て,無 機 塩 培 養 基 に 供 試物 質 を100ppmの 濃 度 で添 加 を行 い,さ らに全 国 各地 か ら集 め て合 一 した 後 合 成 下水 で順 養 した活 性 汚 で い を30ppmの 割 合 で加 えて25±1℃ の条 件 で 充 分 か き まぜ な が ら定 め られ た 期 間 培 養 し(最 長14日 間),そ の時 に消 費 され た酸 素 量 が 理論 酸 素 要 求 量 に比 べ,活 性 汚 で いの み に よ る 自 己吸 収 量 を補 正 した上 で,ど の 程 度 変化 した か を測 定 す る と と もに残 留 す る供 試 物 質 濃 度 を そ の化 学 物 質 の特 性 に応 じて 直 接 的 に測 定 し,水 の系 に 供 試 物 質 のみ を添 加 した 場 合 に残 留 す る供 試 物 質 濃 度 を 差 し引 き補 正 して 変 化 量 を求 め る もの で あ る。 さ らに供 試 物 質 が 水 に溶 解 す る場 合 に は,全 有 機 炭 素 量 の残 留 量 も測 定 して変 化 量 を生 分 解 度 と して い る。 なお 試 験 条 件 確 認 のた め,ア ニ リン を用 い て 同 様 な 実 験 を行 い,そ の分 解 度 が5日 後 に40%を 越 えな い 場 合 は無 効 と され る。 5 下 水 処 理 過 程 に お け るMBAS除 去 率 とBOD除 去 下 水 処理 場 にお け る野 外 研 究 は さ ま ざ まな プ ロセ ス, す なわ ち活 性 汚 で い 法,散 水 ろ床 法 お よび 酸 化池 を用 い て い る処 理 場 で 研 究 が 行 わ れ た 。 多 くの 場 合,研 究 は 比 較 的 辺 ぴ な 小 さな 処 理 場 で 行 わ れ た が,そ れ は 下水 流 量 と い う点 で も,そ の 処理 シ ス テ ム が 関 係 す る共 同 体 に お け る洗 剤 の 使 用 とい う点 で も,コ ン トロー ル す る必 要 が あ った か らで あ ろ う。 これ らの 研 究 年 代 は古 い が重 要 な こ とな の で こ こに 引 用 す る。 De Jong32)は 界 面 活性 剤 の生 分 解 が実 験 室 的規 模 の研 究 と野外 研 究 とで どん な 点 が異 な る か をみ る こ とを 目的 と して実 験 を行 った。 操 作 は活 性 汚 で い 法 で 行 わ れ, 1961年8月 で は950人 分 の下 水 を この処 理 場 で 処 理 し て い た 。実 験 中,こ の地 域 の人 々 は実 験 用 の特 別 の洗 剤 を も っぱ ら使 用 した。 各 試 料 に つ い て3か 月 の テ ス ト期 間 で そ の結 果 は 次 の よ うで あ った。ASは ほ とん ど完 全 に分解 され,LASは 平 均87%除 去 され た。 Knapp33)は1964年 の夏 に研 究 を行 った。 処 理 場 は活 性 汚 で い 法 で運 転 され て い た。 生 下 水 にLASを 加 え て 流 入 水 中 の濃 度 をお よ そ10mg/lに 上 げ て も,放 流 水 中 の値 は1な い し1.5mg/lと い う レベ ル を 保 って い た。 表-3 有機化合物 のBOD

SDM:標 準 希 釈 法 AM:暴 気 法 TOD:理 論 的 酸 素要 求 量 BODの 欄 の カ ッ コ:BOD/TOD 遅 滞 日数:BOD曲 線 が 上 昇 す るま で に要 す る 日数

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Rennら34)は 長 時 間暴 気 法 に よ る下 水 処 理 場 を使 って 研 究 した。BODの 高 い除 去 率(95%)を 保 つ よ うな 運 転 条 件 で は,放 流 水 中 の界 而 活 性 剤 の除 去 率 は97.7%に 高 ま っ た。LAS負 荷 を きわ め て 高 め た(25∼50ppm) 場 合 で も,LASの この 処 理 系 に お け る 生 分解 性 は充 分 で あ った 。 Knopp35)は 長 時 間 暴 気 法 下 水 処 理 場 で の結 果 を 報 告 して い る。 正常 の 運 転 条 件 の も とで はLAS除 去 率 は 96%の オ ー ダ ー で,放 流水 中 のMBASレ ベ ル は0.1 mg/l以 下 で あ った。 さ らに長 時 間 暴 気 下 水 処 理 場 に関 してHannaら36)も 研 究 を行 って い る が,い ず れ の研 究 にお い て もLASの 除 去 効 率 とBODの 除 去 効 率 の間 に は密 接 な相 関 が み ら れ た 。 Barth37)は ア メ リカ合 衆 国 中西 部 の 五 つ の 下 水 処理 場 に お け る1965年 か ら1966年 の18か 月 に わ た る 研 究 の 結 果 を報 告 して い る。CODを も っ と も能 率 よ く除 去 し た施 設 で は,MBASの 除 去 も能 率 が よ か った とい う一 般 的 な結 果 を得 て い る。 Mannら38)は あ る地 域 共 同 団 体(31軒)を 使 っ て界 面 活 性 剤 の生 分 解 性 を調 べ て い る。 共 同 体 の下 水 は散 水 ろ 床 を使 っ た小 規 模 な処 理 場 で処 理 され て いた 。 検 討 され たLASは 満足 の ゆ く分解 度 を示 した(表-4)。 表-4 アルキルベ ンゼ ンスルホ ン酸塩 の生 分解度 この結 果 は実 験 室 内 で の試 験 結 果 とよ く一 致 した。 ま た ヤ シァ ル コー ル お よ び 合成 ア ル コール か ら調 製 した一 級 アル コール 硫 酸 エ ス テル 塩 は いず れ も96∼98%の 高 い生 分 解 度 を示 した39)。さ らに非 イ オ ン界 面 活 性 剤 に関 して は40)アル コ ール エ トキ シ レー トは冬 期 温 度 で も よ く 分 解 され た 。 しか しア ル キル フ ェ ノー ル エ トキシ レー ト は 冬 期 に は分 解 が 悪 く,夏 期 に は良 くな った 。 以 上 述 べ て き た よ うに界 面 活 性 剤 の 下水 処理 場 に お け る 除 去 性 に つ い て は,実 験 用 に コ ン トロー ル され た条 件 下 で各 界面 活 性 剤 別 に放 流 しな が ら野 外 試 験 で確 か め ら れ て い る。 しか し実 際 に は,合 成 洗 剤 は都 市 下水 中 で他 の有 機 物 と共 に下 水 処 理 を受 け る。 そ こ で こ の よ うな通 常 の運 転 状 態 に あ る都 市 下 水 処 理 場 にお い て各 種 の界 面 活 性 剤 が実 際 に どの 程 度 除 去 され て い る か は非 常 に興 味 あ る問 題 で あ る。 これ まで に この 種 の 検 討 がABSと LASに 関す る もの を除 い て 充 分 にな され なか った理 由 は,界 面 活性 剤 お のお の を同 時 に分離,分 析 す る こ とが 困難 で あ った点 に あ る。 最 近 著者 ら41)は界面 活 性剤 の種 類 別 の存 在 割 合 を赤 外 ス ペ ク トル法 を用 いて 分析 す る新 しい方 法 を開 発 した 。 この 方 法 の概 略 を次 に示 す。 水 中 の ア ニオ ン界 而 活 性 剤 をメ チ レ ンブル ー との複 合体 と し て ク ロ ロ ホル ムで 抽 出 し,そ の 中 の硫 酸 エ ス テル 塩 を加 水 分 解 に よ って 除 去 す る。 残 存 す るス ル ホ ン酸 塩 はイ オ ン交 換 に よ って メ チ レ ンブル ー を脱 着 され,最 終 的 に は ス ル ホ ニ ル ク ロ リ ド誘導 体 と して 赤外 ス ペ ク トル を調 べ られ る。 そ して一 定 波 数 の吸 収 よ り各 スル ホ ン酸塩 各成 分 の 割 合 を求 め る もの で あ る。 す な わ ち,LASは640 cm-1, ABSは618cm-1, AOSは524cm-1をkey bandと して定 量 し,硫 酸 エ ステル 塩 は加 水 分解 に よ る MBASの 減 少 量 か ら求 め る。 著 者 ら42)は通 常 の 運 転状 態 に あ る活 性 汚 で い法 に よ る 2か 所 の都 市 下 水 処 理 場 で24hrコ ンポ ジ ッ トサ ン プル を採 取 し,上 記 の 方 法 を用 い てAOS, LAS, ABSお よび 硫 酸 エ ス テ ル塩 の 各種 類 別 の 除 去 性 を1年 間 に わ た って 検討 した。 そ の結 果,活 性 汚 で い処 理 に よる各 ア ニ オ ン界 面活 性 剤 個 別 の 除 去 率 はお の お の平 均 でLAS 85%, ABS 35%, AOSお よ び硫 酸 エス テ ル塩 は ほ ぼ 100%で あ った。 こ の 時 のBODお よび 可溶 性 全有 機 炭 素 の除 去 率 はそ れ ぞ れ90%お よび68%で あ った 。 6 生 分 解 過 程 に お け る 生 物 体 へ の 影 響 Swisher43)に よれ ば,LASは 魚 に 対 して比 較 的 作 用 が あ り,C12とC14のLASの 半 数 致 死 濃 度(TLm) はそ れ ぞ れ 約3mg/lと0.6mg/lで あ る。 しか し これ らの 物 質 はバ ク テ リア の作 用 で きわ め て容 易 に分解 され るた め,Blue gillはC12な い しC14 LASを100mg/l あ る い はそ れ 以 上 供 給 した実 験 室 の連 続 式 活性 汚 で い装 置 か らの流 出 液 中で,な ん らの障 害 もな く生存 す る。96 hrあ る い はそ れ 以 上 さ ら してお いて も 魚 に は なん らの 作 用 も認 め られ ず,た だ エ ラ組 織 を顕 微鏡 で見 る とわ ず か な 変 化 が 認 め られ る のみ で あ った 。 この よ うにLASの 生 分 解 は毒 性 の減 少 と平 行的 で あ り,生 分 解 過 程 中 に有 毒 な 分 解 中 間生 成 物 が 蓄積 す る と い う徴 候 は な か った 。 この結 論 は分 解 中間 生 成物 の一 つ の モ デル と して 合成 され た ス ル ホ フ ェ ニル ゥ ンデ ヵ ン酸 二 ナ トリ ウム塩 の 作 用 の 程 度 が は る か に低 い(TLm 75 mg/l)と い う観 察 に よ って も実 証 され て い る(表-5) 。 Borstlap7)は グ ッ ピー を 用 いてASTM-D 1345∼59 に準 じて 急 性 毒性 試 験 を行 った。 そ の結 果 を 表-6に 示 す 。 この結 果,ア ル キル 鎖 が直 鎖 で あ る ほ ど,ま た フ ェ ニ ル 基 の 位 置 が末 端 に近 い ほ ど作 用 が 強 い こ とが 認 め ら れ た 。分 子 量 の影 響 も大 きか った 。 さ らに こ こで 注 目す べ き こ とは アル キル ベ ンゼ ンス ル ホ ン酸 塩 の 分解 物 が魚

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表-5 標 準半 数 致 死 濃 度(mg/l, Blue gillの 幼 魚) アル フ ァ-12 LAS=ア ル フ ァ ・ドデ カ ンか ら 誘 導 され た ア ル キ ル ベ ンゼ ン ス ル ホ ン酸 ナ ト リウム ア ル フ ァ-14 LAS=ア ル フ ァ ・テ トラデ カ ンか ら 誘 導 され た アル キ ル ベ ンゼ ン ス ル ホ ン酸 ナ ト リウム SφU=フ ェ ニ ルウ ンデ カ ン酸 ニ ナ ト リウ ム(異 性 体 混 合 物) 表-6 種 々 の物 質 の 魚 に対 す る 急性 毒 性 に対 して 少 な く と も800∼1000ppmま で 無 作 用 であ る とい うこ とで あ る。 また 分 解 中 間生 成 物 の一 つ のモ デ ル と して合 成 され た α,α'-ジメ チル-γ-フ ェ ニル 吉 草 酸 の ナ トリ ウム塩 の スル ホ ン化 物 は作 用 が か な り 低 か った (表-6)。 さ らに,Borstlapら は,連 続 活性 汚 で い装 置 か ら の 流 出液 の魚 へ の 影響 を調 べ て い る。装 置 を最 初1, 2週 間 一定 条 件 に慣 ら してお き,そ れ か ら魚 そ うをそ の系 の 流 出液 中 につ け た 。そ して3匹 のBlue gill幼 魚 を入 れ, 96hrさ らす よ うに した。 そ の結 果,有 害 な作 用 が 流 出 水 に は見 られ な か った。 これ らの こ とよ り,1)順 化 さ れ た系 で はLASの 生 分 解 が 速 いた め安 全 性 の点 で 十 二 分 の余 地 が あ る こ と,2)毒 性 の あ る分 解 中間 体 が 問 題 にな る よ うな量 だ け生 成 され な い とい うこ と,を 示 す も の で あ る と報 告 され て い る。 7 生 分 解 過 程 に お け る 分 解 中 間 生 成 物 の 研 究 LASの 分 解 中 間生 成 物 に 関 す る 研 究 につ い て ふ れ て み た い。 Huddleston44)はLASの 生 分 解 に お い て末 端 カル ボ キ シ レー トの 形 成 と次 の β-酸化 に対 す る 直 接 的 な 証 拠 を提 出 した 。 純 粋 な2-ス ル ホ フ ェ ニ ル ・ド デ カ ン (2-φC12LAS)を 振 と う培 養 基 中で,8日 間 暴 露 後,生 成 物 を脱 ス ル ホ ン化 し,一 方 は酸 性,他 方 は 中性 の2つ の フ ラ ク シ ョン を得 た 。 さ ら に これ らのIR, GC, NMR お よび 質 量 ス ペ ク トル が 調 べ られ た 。酸 性区 分 は も との 2-φC12LASの 約13%量 で フ ェニ ル ヘ キ サ ン酸 と フ ェ ニル オ ク タ ン酸 と少 量 のC10, C12同 族 体 か ら成 って い た 。 これ は明 らか に ω-酸化,β-酸 化 の証 拠 とな るで あ ろ う。 中性 区 分 は も と の2-φC12LASの31%に 相 当 し, フ ェ ニル-置 換 ケ トン,あ るい は 他 の芳 香 族 カル ボ ニ ル 構 造 と特 徴 づ け られ た 。 分 離 され た 分解 中 間 体 の全 量 は も との2-φC12LASに 存 在 した 炭 素 の 約45%に 相 当 し て いた 。 Swisher45)∼47)は 河 川 水 中 でLASを 生 分解 させ た 。 分 解 開 始 後 あ る間 隔 で培 養 液 を採 取 して蒸 発 乾 固 さ せ た 。 そ の 乾燥 残 分 を リン酸 で脱 ス ル ホ ン化 し,脱 ス ル ホ ン化 物 をヘ キ サ ン層 に 移行 させ た 。 さ らに溶 媒 を留 去 さ せGCで 分 析 し た 。 そ の ク ロマ トグ ラ フに は β-酸化 に よ って得 られ た短 鎖 の ス ル ホ フ ェニ ル ァ ル カ ン酸 の 化 学 的 な 脱 水 環 化 に よ って形 成 され た イ ンダ ノ ン類 とテ ト ラ ロ ン類 が 認 め られ た 。 純 粋 なC12LAS異 性 体 に つ い て の河 川 水 試 験 で 中 間 体 ピー ク が確 認 され た。 た とえ ば 3-φC12LASの 分 解 物 か らは,1-エ チ ル-4-テ トラ ロ ンが み つけ られ た 。 こ れ は γ-スル ホ フ ェニ ル カ プ ロ ン酸 も し くは そ のCoenzyme A誘 導 体 が化 学 的脱 ス ル ホ ン化 反 応 の条 件 下 で脱 水 環 化 を受 け て1-エ チル-4-テ トラ ロ ン を生 じた の で あ ろ う と考 え られ て い る。 こ の よ う に γ-スル ホ フ ェニ ル カ プ ロ ン酸 は一 時 的 に蓄 積 され た が, 再 び 消 失 して い った。 多 分 これ は γ-スル ホ フ ェ ニ ル カ プ ロ ン酸 の1あ るい は4の 炭 素 原 子 の 位置 か らあ る い は フ ェニ ル基 か ら分 解 され た の で あ ろ う。 奇 数 鎖 長 の3-フ ェニ ル 同族 体 か ら得 られ た分 解 生 成 物 を化 学 的 に脱 ス ル ホ ン化 後GC分 析 す る と,1-エ チル-3-イ ンダ ノ ンが 確 認 され た。 これ は生 分 解 で 生 じた β-スル ホ フ ェニ ル 吉 草酸 がGC分 析 可 能 に す る た め の 化 学 的 な脱 スル ホ ン化 反 応 に よ り閉環 化 して生 成 した もの で あ る こ とが 明 らか に され た。2-お よ び4-フ ェ ニルLAS成 分 は同 様 な 挙動 を行 い,奇 数 ま た は偶 数 アル キル 鎖 のLASか ら 全 部 で6つ の脱 ス ル ホ ン化 物 が確 認 され た。 しか し5-お よび6-フ ェニル 異 性 体 か ら同 様 な 中間 体 が蓄 積 さ れ な い理 由 は,β-酸 化 が同 様 な段 階 に達 した と して も,ま

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だ他 方 に残 され て い る鎖 が長 い こ とに よ る。 す な わ ち 攻 撃 を受 け て い な い一 方 の鎖 の末 端 は, 2-, 3-お よび 4-フ ェニ ル異 性 体 よ り もスル ホ ネ ー ト基 か ら離 れ て い る の で,多 分 よ り攻 撃 を受 け や す いの であ ろ う。 そ れ ゆ え 中 間 体 の 蓄 積 は期 待 で き ない と考 え られ る。河 川水 の実 験 で はHuddlestonが 述 べ た よ うな,か な り長 鎖 カル ボ キ シ レー トの 存 在 は示 され なか った 。 これ は,さ らに Swisher48)に よ って脱 ス ル ホ ン化 物 をガ ス ク ロマ トグ ラ フ ィー に か け る前 に メ チル エ ステ ル 化 した 後 分 析 す る こ と に よ り確 か め られ て い る。 河 川 水 にC11 LASと これ に相 当 す る カル ボ キ シ レー ト,ス ル ホ フ ェ ニル ウ ンデ カ ン酸(Sφu)を 加 えて 分 解 を行 った 。 そ の結 果LASが 分 解 を始 め る前 にSφuは す べ て消 えて 少 な くと も2つ の 予 想 され た短 鎖 中間 体 が形 成 され た。Sφuの 最 初 の β-酸化 生成 物 の 存在 は 示 され な か った。 も とのSφuが 全 て消 失 した 後 で 生 じたC11 LASの 分 解 物 中 にSφu の形 成 を示 す も の はみ られ な か っ た。 これ ら の 結 果 を Swisherは,長 鎖 カル ボ キ シ レー トが非 常 にす み や か に 分 解 され る の で それ らが形 成 され て も直 ち に分 解 を受 け て ゆ くこ とに よ る も の と考 え て い る。 生 分 解 中 間 体 の 実 際 的 な分 離 はKruger49)とWick-bold50)に よ って述 べ られ て い る 。 Krugerは3日 間 の滞 留 時 間 で ドイ ツ公 定 法 で あ る活 性 汚 で い装 置 にLASを 負 荷 させ た。 装 置 か らの流 出 液 の蒸 発 残 留 物 は種 々 の溶 剤 に よ って抽 出分 別 され た。 そ の分 別 物 は元 素 分 析,水 酸 基,電 位 差 滴 定,IRス ペ ク トル の よ うな官 能 基 分 析 に よ って次 の よ うに特 徴 づ け ら れ た。 A) 5∼10%未 分解LAS B) 35∼40%非 界 面 活 性 芳香 族 中 間 体 C) 10∼20%非 界 面 活 性 脂肪 族 中 間体 D) 35∼50%無 機 硫 酸 塩 まで の 分解 分別 物A)は 未 分 解 の5-φC10, 4-φC10, 6-φC11お よ び5-φC11LASで 構 成 され て い た。B)は 一 分 子 中 に平 均 鎖 長 と してC12∼C4,水 酸 基0.2∼1.2お よび カル ボ キ シ ル基0.8∼2.0を もつ もの を含 ん で いた 。C)は 再 現 性 の あ る純 粋 な形 で は得 られ な か った 。 一 例 と して平 均1.5の カ ル ボ キ シル 基 を 含 ん だC5.4の ス ル ホ ン酸 塩 で あ った。 これ らは いず れ も生物 学 的 に も不 安 定 で,さ らに暴 露 す る とさ らに分 解 され る とこ ろ か ら,す べ て最 終 生成 物 で は な い と考 え られ て い る。 KrugerとWickboldに よ って 報告 され て い るカ ル ボ キ シ ル化 され た スル ホ ン酸 の 存 在確 認 は,ス ル ホ ン酸 塩 の 除 去 は 開環 前 に起 こ る こ とが 必 ず し も必 要 ない こ とを 考 え させ る。 Borstlap7)は 洗 浄 され た 未 順 化 汚 で い を加 えた 界面 活 性 剤溶 液 で バ ッチ試 験 を行 い,分 解 後次 の よ うな操 作 で 分 解 中 間 体 を分 離 した。 まず 菌 体 を遠 心 分 離 して除 き, 菌 体 吸着 物 を水 洗 回収 して 先 の培養 液 に合 一 し,減 圧 濃 縮 して イ ソ プ ロ ピル アル コー ル抽 出 して無 機 塩 を取 り除 い た 。 さ らに抽 出物 を け ん化 して エ ス テル を遊 離酸 に か え,イ オ ン交換 法 で酸 の形 に した の ち電 位 差 滴 定 した。 こ うして ス ル ホ ン基 とカル ボ キシ ル 基 の存 在 をみ た 。 ま た 水 酸 基 の 存在 も調 べ られ た。 元 素 分析 に よ りこの 混 台 物 全 体 の 分 子式 を求 め た。 残 存 す る界 面 活性 剤 分 はL-M法 で 測 定 し た。 結 果 を 表-7に 示 す 。Krugerや Wickholdに よ って 注 目 され た と同 じ よ うな 中間 生 成物 の存 在 が 考 え られ て い る。 表-7 種 々の ア ニ オ ン性 合 成 洗剤 の生 分解

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8 微 生 物 な ら び に 酵 素 に よ る 界 面 活 性 剤 の 分 解 機 構 の 研 究 8・1 芳 香 族 ス ル ホ ン酸 塩 Cainら51)は,下 水 や 河 川 水 中か らア リル スル ホ ン酸 塩 や アル キル ベ ンゼ ンスル ホ ン酸 塩 型 の界 面 活 性 剤 を分 解 す るPseudomonas 12株 を単 離 した。 これ ら の微 生 物 に よ って ベ ンゼ ンスル ホ ン酸 塩 や トル エ ンスル ホ ン酸 塩 は 開環 分 解 の前 に スル ホ ン基 を亜 硫 酸 塩(M'HSO3) と して解 離 しな が ら分 解 され て ゆ くこ とを明 ら か に し た。12株 の菌 株 の うち の9株 は ベ ンゼ ンス ル ホ ン酸 塩 お よ び トル エ ンスル ホ ン酸 塩 培地 で発 育 させ れ ば カ テ コール2,3-オ キ シ ゲナ ー ゼ を 誘 発 させ,環 をメ タ 位 で 開裂 させ る こ とを明 らか に した。 これ に対 してFochtら52)は 下水 処 理 場 放 流 水 か らp-トル エ ンスル ホ ン酸 塩 を唯 一 の炭 素 源 お よび 硫 黄源 と し て利 用 す る.Pscudomonasを 振 と う法 に よ る選 択 培 養 に よ り単 離 した。 そ して トル エ ンスル ホ ン酸 塩 の分 解 機 構 は酸 加 水 分 解 に よ リス ル ホ ン基 が切 断 され,重 硫 酸 塩 (M'HSO4)と して 遊 離 され る こ とに よ り始 ま る と述 べ てい る。 す なわ ち 休 止 菌 体 を1-14C-p-ト ル エ ンス ル ホ ン酸 塩 に さ らす とラベ ル され た3-メ チル カテ コー ル とラ ベ ル され た酢 酸 とラベ ル され て い な い ピル ビ ン酸 が 生 成 し た 。 さ らに 無 細 胞抽 出液 を用 い て ラベ ル され た3-メ チ ル カテ コール は ラベ ル され た酢 酸 に分解 され る こ とを明 らか に した。 Cainら53)は 土 壌,下 水,河 川水 の 中 か ら界 面 活 性 剤 を用 い た選 択 培養 を行 い種 々の 微 生物 を単 離 した。 そ し て これ らの 微 生物 に よ る直 鎖 ア ル キ ルベ ンゼ ンスル ホ ン 酸 塩 の分 解 に は少 な くと も5種 の代 謝 経 路 が存 在 す る こ とを報 告 して い る。 そ れ らは, a) 側 鎖 の ω-お よび β-酸化 。 しか し 脱 ス ル ホ ン化 は起 こ ら ない,芳 香 環 の 代謝 もな い(Strain Lb)。 b) 脱 ス ル ホ ン化 を 伴 った 側 鎖 の ω-お よび β-酸化 と脱 スル ホ ン化 後 の芳 香 環 の 開 裂(Bacillus cl)。 c) b)に 似 たLASの 代 謝,分 解 で あ る が,還 元 的 脱 スル ホ ン化 を行 うので,p-ヒ ドロ キシ フ ェニ ル ア ル カ ン酸 よ りもむ しろ フ ェニ ル アル カ ン酸 中間 体 をつ くる (Clodosporium resinae)。 d) 側 鎖 の α-酸化 に よ り代 謝 が開 始 され る。 この後 は β-酸化 と脱 ス ル ホ ン化 に よ り 続 け ら れ る(Strain JI)。 e) アル キル 鎖 の 炭 素原 子 が4よ り少 な い場 合,代 謝 は芳香 環 を通 して 始 め られ る。 あ る場 合 に は環 に お け る 加 水 的脱 スル ホ ン化 で あ り(Strain 2b),あ る場 合 に は 環 にお け る還 元 的脱 ス ル ホ ン化 であ る。 種 々 の同 族 体,異 性 体 の混 合 物 で あ るLASの 場 合 に は これ ら の過 程 が 複 雑 に組 み 合 わ さ って い る もの と考 え られ る。 8・2 脂 肪 族 スル ホ ン酸 塩,硫 酸 エ ス テ ル 塩 Martelli54)は あ る種 の植 物 成 分 と して ス ルホ ン酸 化 合 物 が み られ る こ とに 着 目 し,3-ス ル ホ-1, 2-プ ロ パ ンジ ホ ー ル を資 化 す る菌 を見 い だ した。 さ らにMartelli55)は スル ホ酢 酸 を 用 い た選 択 培 養 に よ り単 離 したPseudomonasは ス ル ホ酢 酸 の メ チ レ ン 炭 素 の ス ル ホ ン基 を水 酸 基 で置 換 す る こ と を明 らか に し た 。 そ して培 養 基 に は グ リ コール 酸 塩 を生 成 し,硫 酸 塩 は遊 離 され た。 ま た ア ル キ ル スル ホ ン酸 の構 造 を もつ物 質 と して,動 物 成 分 の タ ウ リ ンNH2CH2CH2SO3Naが あ る。 Ikedaら56)は 河 川 で い よ り選 択 培 養 法 に よ りタ ウ リ ン 分 解 菌 と してAgrobacterium spを 単 離 した 。 そ の菌 の無 細 胞 抽 出液 を 用 い てin vitroで タ ウ リン を分 解 させ た。 完 全 に酸 化 を受 け た 場 合 に生 成 す る理 論 量 の60か ら100%の ア ンモ ニア と5∼30%の 硫 酸 塩 が生 成 し た。 この こ と に よ り酸 化 的脱 ア ミ ノ反 応 はC-S 結 合 の切 断 よ り先 立 って 行 わ れ る こ とが 推 論 され た 。 イ オ ン交 換 法 に よ り,構 造 は 未 知 で は あ るが ス ル ホ ン 基 を含 む2種 の 分 解 中間 体 が 分 離 され た 。 これ ら はか な り不 安 定 で,室 温 に お い て も無機 の 硫 酸 塩 を遊 離 して 分 解 した 。 Thijsseら57)はn-ブ タ ンス ル ホ ン酸,n-ペ ンタ ンス ル ホ ン酸 を炭 素源 と して よ く生 育 す るPseudomonas属 の 細 菌 を単 離 し,こ れ らの 化合 物 はC-S結 合 の分 解 の み を経 て 分解 され る と述 べ て い る。 無 細 胞 抽 出液 を用 い て そ の 分解 機構 が検 討 され,ス ル ホ ン基 の脱 離 はa)水 素 受 容 体NAD(P)Hに よ って そ の活 性 が高 め られ る。 b)亜 硫 酸 塩 が生 成 す る。c)炭 素 鎖 はそ の ま ま残 っ て い る とい うこ とか ら次 の よ うな経 路 が考 え られ て い る。 R-CH2-CH2SO3NaO2/+H2-DonatorR-CH2-CH-SO3Na OH こ の 水 酸 化 反 応 は 分 子 状 酸 素 に 依 存 し て い る こ と も 確 認 さ れ た 。 続 い て ドデ シ ル ス ル ホ ネ ー トの 分 解 に お い て も α-炭 素 原 子 の 水 酸 化 を 経 て ア ル デ ヒ ド-亜 硫 酸 複 合 体 か ら ア ル デ ヒ ド と亜 硫 酸 に 開 裂 し て い く こ と を 述 べ て い る 。 Hsu58),59)は ラ ウ リル 硫 酸 エ ス テ ル 塩 を 分 解 す る グ ラ ム 陰 性 細 菌 中 の 酵 素 に つ い に 検 討 を 行 っ て い る 。 ま たWilliamsら60)はSDSで 生 育 さ せ た.Pseudo-monas C 12 Bに 誘 導 さ れ るalkyl sulfatase活 性 を分 析 す る 基 質 に35Sで ラ ベ ル し た ドデ シ ル 硫 酸 エ ス テ ル 塩 (SD35S)は 適 し て い る と 報 告 し て い る 。 ま た ラ ベ ル さ れ て い な いSDSで も っ てalkyl sulfataseを 分 析 す る に は バ リ ウ ム ク ロ ロ ア ニ レ イ ト分 析 法 が 適 し て い る と報 告 し て い る 。

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Payneら61)はPseudomonas C 12 Bか ら得 た 無 細 胞 抽 出液 の硫 安 沈 殿 区分 に存 在 す る第 一 ア ル コ ー ルsul-fataseの 性 質 に つ い て検 討 して い る。 8・3 グ リコ ール,エ チ レン オ キ シ ド付 加 物 Fincherら62)は ト リエ チ レ ング リコー ル を唯 一 の 炭 素 源,エ ネル ギ ー源 と して生 育 で き る好 気 性 の 細 菌 を分 離 し,こ の菌(bacterium TEG-5)に よ る種 々 の重 合 度 の ポ リエ チ レ ング リ コール の分 解 性 を調 べ た 。 Payneら63)は こ の反 応 に関 与 す る酵 素 は菌 体 に 結 合 して お り,破 壊 した細 胞 か ら得 られ る無 細 胞 抽 出 液 は ジ エ チ レ ング リコ ール や それ 以 上 で分 子 量600以 下 のポ リ エ チ レ ング リコ ール を分 解 す る こ とを示 した。 し か しそ れ 以 上 高 分 子 量 ポ リエ チ レ ング リコ ール は も はや 分 解 さ れ な か っ た 。 ま た こ の酵 素 液64)は 第 二 アル コー ル に9 moleの エ チ レ ンオ キ シ ド付 加 物(Tergitol 15-S-9)を 分 解 した。 しか し3moleの エ チ レ ンオ キ シ ド付 加 物 を 硫 酸 化 した もの(Tergitol 15-S-3 S)は 分 解 され なか っ た 。 こ の よ うに酵 素 活 性 に関 す る限 りで は,こ れ らの物 質 の 間 に は末 端 水 酸 基 に硫 酸 基 が存 在 す る こ とに大 き な 差 が あ った。 9 結 語 界面 活 性 剤 の生 分 解 性 に 関す る研 究 は,生 分 解 性 に関 す る基 本 的 な考 え方 の変 遷 と技 術 的 方 法 論 の進 展 を よ く と らえ て従 前 か ら行 われ て い る。 界 面 活 性 剤 は,生 分 解 性 とい う点 で は,数 多 い有 機 化 学 的 物 質 の 中 で は最 も情 報 蓄 積 の多 い もの で あ り,ほ ぼ ま とめ あ げ られ た段 階 に あ る とい え る。 こ の蓄 積 を基 礎 と し,今 後 も界 面 活 性 剤 の被 処 理 特 性 を さ らに高 め る努 力 が続 け られ る で あ ろ う こ とは も とよ りで あ る が,生 分 解 をそ れ に関 与 す る生 物 の側 か らみ てみ る こ とに よ り,酵 素 化 学 的 な応 用 開 発 研 究 とい った而 で今 後 将 来 へ 発 展 させ うる道 が あ る と 思 う。(昭 和49年8月22日 受理) 文 献

1) R.D. Swisher, •gSurfactant Biodegradation•h, Marcel Dekker Inc., (1970), New York

2) 浅 原,化 学 生 態 学 の展 望(化 学 総 説No.2),東 京 大 学 出 版 会(1973)

3) 大 場,杉 山,油 化 学, 23, 120 (1974) 4) 富 山,大 場,下 水 道協 会誌 投 稿 中

5) OECD Expert Group on Biodegradability of Syn-thetic Detergent, •gDetermination of The Biodegra-dability of Anionic Synthetic Surface Active Agen-ts•h (1971)

6) W.K. Fiseher, Fette•ESeifen Anstrichmittel, 65, 37 (1963)

7) C. Borstlap, Proceedings of IVth International Cong-ress on Surface Active Substances, Brussels, 7-12 Septrmber, Vol. III, p. 891 (1964)

8) H. Sekiguchi, K. Miura, K. Oba, A. Mori,油 化 学

投稿 中

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参照

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