EUROGIN 2010 &2010 WACC Forum 参加・取材ツアー
報告書
EUROGIN 2010 &2010 WACC Forum 参加・取材ツアー概要
世界最大の子宮頸がん学会「EUROGIN」と子宮頸がん啓発を推進する国際会議「WACC」のフォーラムに参加し、 子宮頸がんに関する最新の知見と啓発の状況、アイデアなどに触れ、今後の啓発活動に活かすために、「EUROGIN 2010 & 2010 WACC Forum 参加・取材ツアー」を企画。子宮頸がん啓発団体、メディア関係者、細胞検査士、行 政職員12名が参加し、現地にて当会委員などと合流し、4日間にわたり子宮頸がん、HPV に関しての情報収集、啓 発団体との交流を図った。 ■日程: 2010年2月17日(水)∼20日(土) ■場所: グリマルディ・フォーラム・モナコ ■参加メンバー <当会より派遣> 穴田 佐和子 卵巣がん・子宮がんの患者会*卵宮*管理人 飯野 なつみ 子宮頸がんを考える市民の会、法政大学国際文化学部 国際文化学科 1 年 臼井 あかね 女子大生リボンムーブメント、東洋大学文学部英語コミュニケーション学科4年 江口 一 毎日新聞 科学環境部記者 及川 洋恵 (財)宮城県対がん協会細胞診センター検査課課長補佐、細胞検査士 河村 裕美 当会委員、社団法人ティール&ホワイトリボンプロジェクト理事長、 NPO 法人女性特有のがんのサポートグループオレンジティ理事長 小林 忠男 当会委員、細胞検査士会会長、大阪大学大学院医学系研究科招聘教授、 済生会滋賀県病院 前臨床検査部長 中村 勝義 志木市役所 健康福祉部参事兼健康づくり支援課課長 永峯 美樹 ライター 福原 麻希 医療ジャーナリスト 増田 美加 女性医療ジャーナリスト 森本 滋久 ㈱からだにいいこと 営業部 取締役営業部長 <個人参加> 今野 良 当会実行委員長、自治医科大学附属さいたま医療センター産婦人科教授 小西 宏 当会委員、財団法人日本対がん協会マネジャー Sharon Hanley 当会委員、日本赤十字北海道看護大学准教授 平井 康夫 当会委員、癌研有明病院細胞診断部部長 婦人科副部長兼務EUROGIN 2010
http://www.eurogin.com/2010/index.html HPV と子宮頸がんに関係する医療者・科学者の世界最大の学会 EUROGIN (EUropean Research Organization on Genital Infection and Neoplasia)。1994年から始まり、今回で8回目。4日間にわたり、HPV、HPVワクチン、子宮頸 がんの検査などに関する最新の研究が紹介された。 *詳しくは EUROGIN ホームページを参照ください プログラム・・・http://www.eurogin.com/2010/finalprogram.pdf アブストラクト・・・http://www.eurogin.com/2010/EUROGIN2010_Abstracts.pdf ■多岐にわたるセッションに参加 今回のツアーでは、基礎研究を中心としたトレーニングコース(TC1)、HPV ワクチン利用に関する WHO の方針を 取り上げたワークショップ(WS2)、HPV 検査を中心に扱った本会議(PS4)、当会実行委員長・今野 良、当会委員・ Sharon Hanley*が発表する科学会議(SS4、SS22)に参加した。 科学会議は、HPV 研究、がん検診、HPV 疾患を持つ患者の対応に関する幅広いトピックスを扱う。日本からは、こ のほか、渡利 英道氏(北海道大学医学部産婦人科・講師(診療准教授))も発表した。 * 対馬ルリ子氏(ウィミンズウェルネス銀座クリニック)との共同研究 ■ポスターセッション 日本からは、積水メディカル・佐藤宰氏らの発表があった。 ■協力企業によるサテライトシンポジウム&ブース■日本人参加者対象のワークショップ
今回の取材ツアー参加者など、日本人参加者のために、協力企業によるワークショップも別途企画された(万有 製薬、GSK、キアゲン)。参加者からは、EUROGIN や WACC を通して感じたこと、世界と日本の状況や違いに関する さまざまな質問が投げかけられた。
2010 INTERNATIONAL WACC FORUM
http://www.wacc-network.org/ WACC (Women Against Cervical Cancer)は、HPV と子宮頸部の疾患についての啓発を促進し、子宮頸がん予防 を女性の健康政策の最優先事項とすることを目的とする会議。ヨーロッパを中心に24カ国・43団体(プログラム掲 載時点)がネットワークメンバーとして登録されている。WACC FORUM は、世界各国からの参加者が、啓発教育、ア ドボカシー活動などについて発表する国際フォーラムで、50以上の患者会、120の健康団体が参加する。今回で 3 回目。 *詳しくは WACC ホームページを参照ください プログラム・・・http://www.wacc-network.org/wacc2010/forum/wacc2010-abstractbook.pdf ■本会議2008 ノーベル医学賞受賞の Harald zur Hausen の講演の後「子宮頸がん教育のサイエンス&アート」をテーマに、7 人が発表。公的教育、保健専門家の役割などを論じた。 ■教育会議1・2 「プログラム実現と健康教育の評価」「政策提言− 社会的、倫理的な問題」をテーマに、25人が発表。子宮頸がん、 HPV、予防ワクチン、検診に関する知識や態度について、10 代、若い女性、親、患者、医師などさまざまな視点の研 究発表がおこなわれた。疾患や検診の結果から波及する生活の質の低下、ワクチンの受け入れ性など心理的側面 の研究が目についた。 ■Women Associations の歓迎プログラム 歓迎プログラムでは、WACCネットワークメンバーに登録している各団体の代表者が挨拶し、交流を図った。この 中で、ツアー派遣メンバーの当会委員・河村 裕美(ティール&ホワイトリボンプロジェクト理事長)が飛び入りでスピ ーチを行い、自身が体験者であること、子宮頸がん予防のために精力的に活動していることを紹介。新たなメンバー に大きな拍手が送られた。 ノーベル医学賞受賞 Hausen の講演
■WACC国際ネットワークミーティング ネットワークメンバーが、各国の啓発キャンペーンを紹介し情報交換をおこなう中で、日本で最初にWACCに登録 した北海道の啓発団体 PCAF 代表の櫻木範明北海道大学医学部産婦人科教授が発表。PCAF は、人間の生命をは ぐくむことのできる唯一の場所である子宮を守りたいと、「生命のゆりかごを守る運動」と銘打って活動している。 WACCでは、優れた啓発教育キャンペーンを表彰するWACC賞を設けている。今回は、候補11団体がプレゼン テーションをおこなったが、それぞれが独自に工夫を凝らしており、日本での啓発活動に多くのヒントが得られた。W ACC賞には、エストニアの患者団体「Naised Emakakaelavähi Vastu」が選ばれた。
WACCの啓発パンフレット 数ヶ国語に翻訳した素材が準備されている。 日本 PCAF 櫻木範明北海道大学医学部産婦人科教授とその妻などによって創立された PCAF は患者サポート団体と一般団 体からなる組織。2008年に作られた PCAF は正しく、適切で十分な最新の子宮頸がんに関する知識を日本の人々 に広めることを目的としている。www.pcaf.jp パンフレット メンバー
カナダ HPV Awareness 教育と若い世代とその両親への情報提供によって、HPV のリスクと予防の認知を高めることを目的とするカナダ の NPO 団体。 親友を子宮頸がんで亡くした創立者は、独自のプレゼンテーションと相手との個人的なつながりを通して、脳裏に 残る教育普及活動を続けている。 プレゼンテーションにおいては、統計での数字の報告や一般の人にわかりにくい難しい医療用語を省き、等身大 の男女の人形とポップな音楽を取り入れる事や、HPV をリュックサックに例える等の方法で、ワクチン接種適齢者か ら30歳を超える年代まで、皆に分かりやすく、注目を引く教育プレゼンテーションを行っている。 創立者の経験を分かち合うことで、相手との心のつながりが生まれる。プレゼンテーションを終えた学生達は、「今ま で幾度となく HPV のコマーシャルや講義を聞いて来たが、このように知識を得たことがなかったし、今までは心に残 らなかった」と話している。 また、回り道しない語り口やざっくばらんにセックスについて語ろうという姿勢が、若い世代からの視点で受け入れ られている。 www.hpvawareness.org ドイツ LAGO Brandenburg LAGO は1993年に設立された。ミッションはがん治療の向上を国家レベルで行うこと。経験を分かち合ったり、協 力を促すよう、ボランティアや協力団体、学会や専門家と連携している。イラスト(MANGA)を使った啓発が印象的。 www.lago-brandenburg.de パンフレット メジャー
イギリス Joe’s Trust がん治療を受けている女性達に孤独感を抱かせないようにするため、良い情報への簡易なアクセス、サポート、 医療的アドバイスを提供している。子宮頸がんとその予防に対しての知識レベルを向上させるため、対象者の若い 女性達が集まる、ナイトクラブ、バー、スポーツジム、映画館などのトイレに、目を引くようなデザインのフライヤーを 置いている。また、バージンミュージックとの提携でテレビコマーシャルや提携イベント活動を行ってより若い世代へ のメッセージの配信に心がけている。 www.jotrust.co.uk
エストニア Naised Emakakaelavähi Vastu (Women against Cervical Cancer) *WACC賞受賞
Naised Emakakaelavähi Vastu はエストニアで8名の活動的な女性によって2007年に設立。メンバーは何らかの 形で子宮頸がんとの個人的なつながりをもっている。活動の目的は、社会に子宮頸がんは予防、早期発見可能であ ると認識させること、また長期的な目標としては女性にもっと健康に注意を払う姿勢を持ってもらうことにある。メッセ ージは「子宮頸がんは予防可能な病気、もっと頻繁に医師に診てもらいましょう」。 今までの主な活動内容 ・ エストニアがん協会やその他の支援団体とともに、非営利団体として設立された。 ・ 子宮頸がんをトピックとしてのテレビレポート、ラジオ、インターネット、女性誌、新聞等を通して情報配信。 ・ 「シング・アロング」と称した夏のツアーを2007−2009年に行い、約2万人の女性に啓発。 ・ 毎年1月に行われている国際子宮頸がんウィークのフレームワークに参加。 ・ メディアやウェブサイト www.emakas.ee を通して情報の配信。 ・ エストニアがん協会と婦人科協会と共同で1万部のブローシャーを準備中。 ・ 2007年と2009年に全国63の学校の、10歳から18歳の子供たちを対象に講義を行う。 ・ 2万 5 千部のポケットカレンダーを2008年に配布、1万部が2010年にイベントや女性雑誌を通して配布され る予定。 ・ 全国イベントや配布物などもピンクをイメージカラーと掲げ活動している。 ・ 2009年には「あなたは生きている時が一番美しい!」という TV クリップを作成、Kiev 国際広告賞にて受賞す る。対象者50万人へ向けて7ヶ月で1050回を超えテレビやラジオにて配信。 ・ 母の日などにイベントを行う。 ■WACCブース パンフレット フライヤー はがき ティール&ホワイトリボンプロジェクトが、啓 発バッジを展示。多くの来場者の関心を集め た。 パンフレット ポケットカレンダー
EUROGIN WACC FORUM 合同
■オープニングセレモニー&カクテルパーティオープニングセレモニーでは EUROGIN の20年にわたる活動についての大会会長らによる講演、 2008 ノーベル医 学賞受賞の Harald zur Hausen の講演がおこなわれた。
続くパーティでは、グラスを片手に参加者が自由に世界の著名な研究者との交流を楽しんだ。
■EUROGIN・WACC合同オフィシャルディナー
18日夜、グリマルディ・フォーラム・モナコに程近いホテルで開催されたディナーは、各国の参加者がファッショナ ブルに装い、華やかな雰囲気に包まれた。優れた啓発教育キャンペーンを表彰するWACC賞は、11の候補の中か らエストニアの患者団体「Naised Emakakaelavähi Vastu」が選ばれ、オフィシャルディナーの席上で発表された。
HPV の形状に似た「金平糖」を「日本の HPV 」と紹介しながら EUROGIN 大会会長 らのテーブルに配り、好評を得た。 Hausenと名刺交換 大会会長と懇談 エストニアの表彰