産業構造審議会車両競技分科会
「競輪事業のあり方検討小委員会」報告書
目 次 1.競輪事業の現状・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 (1)競輪事業の目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 (2)競輪事業の売上げ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 (3)競輪事業の収支・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 (4)競輪事業のコスト構造・・・・・・・・・・・・・・・・ 2 (5)競輪の主要関係団体の概要・・・・・・・・・・・・・・ 3 (6)各競輪施行者の考え方・・・・・・・・・・・・・・・・ 5 (7)競輪事業のガバナンス・・・・・・・・・・・・・・・・ 6 2.現状における問題点・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6 (1)ガバナンス機能の不全・・・・・・・・・・・・・・・・ 6 (2)レース数、競輪場関係経費等の高コスト構造・・・・・・ 7 (3)新規顧客獲得の有効策の不在(マーケティング機能不在) 8 3.競輪事業の将来見通し・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9 4.今後講ずるべき対応策・・・・・・・・・・・・・・・・ 10 (1)娯楽としての「競輪」及びスポーツとしての「自転車競技」 の一層の振興・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10 (2)競輪事業を実施するために必要な社会還元及び運営健全化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11 (3)管理費削減による黒字化・・・・・・・・・・・・・・ 12 (4)JKA、競技会等の競輪関係団体の整理合理化・・・・ 13 (5)JKA交付金・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15
1 1. 競輪事業の現状 (1)競輪事業の目的 競輪は、昭和23 年に施行された自転車競技法に基づき、地方公共 団体が主催している公営競技であり、その法目的は、1)自転車そ の他の機械工業の振興、2)体育、社会福祉などの公益の増進、3) 地方財政の健全化である。 競輪が、本来は賭博罪1に当たる行為であることから、その違法性 を阻却するため、法目的のうち、「自転車その他の機械工業の振興」 及び「体育、社会福祉などの公益の増進」については、これらの目 的に資する事業に対し、広く社会還元事業(JKAによる補助事業) を行っている。また、「地方財政の健全化」については、競輪を主催 する地方公共団体の一般会計に利益を繰り入れることにより行って いる。これらの社会還元により、競輪を実施する法的正当性が維持 されている。 (2)競輪事業の売上げ 競輪事業の売上げは、平成3 年度の約 1 兆 9,300 億円をピークに、 減尐の一途をたどっており、平成22 年度は約 6,350 億円の売上げに とどまった(ピーク時に比べ約67%減尐)2。売上げは、いずれの公 営競技も同様に減尐傾向にあるものの、直近の4 年間で見れば、競 輪の売上減尐率が、他の公営競技に比べて最も悪化している(平成 22 年度は前年度比約 13%減)。 車券売上減尐要因は、利用者数(競輪場来場者数)の減尐(平成3 年度:2,745 万人→平成 22 年度:535 万人)及び 1 人当たり平均購 買額の減尐(平成3 年度 57,160 円→平成 22 年度:14,700 円)であ る。 これらの背景には、競輪の車券購入者の固定化・高齢化があると 考えられる。JKAの調査によれば、競輪場来場者の平均年齢は、 平成3 年度は 49.8 歳であったが、平成 21 年度では 57.0 歳となって いる。また、競輪場来場者数の約半数が60 歳代以上となっている。 (3)競輪事業の収支 競輪事業を主催する地方公共団体(以下、「競輪施行者」という) 1 刑法第 186 条第 2 項は「賭博場を開帳し、又は博徒を結合して利益を図った者は、三月 以上五年以下の懲役に処する」と規定している。 2 東日本大震災の影響で、平成 23 年 3 月 12 日以降、開催ができなかった影響もある。
2 の競輪事業の収支状況は、平成21 年度において、48 競輪施行者中、 12 競輪施行者が赤字となっている。20 年度の赤字は 2 競輪施行者で あり、赤字競輪施行者が急激かつ大幅に増加した。 残りの36 黒字競輪施行者のうち、26 競輪施行者は、自ら主催す る競輪事業(以下、「本場開催」という)は赤字であるが、他の競輪 施行者が主催する競輪事業の車券の受託発売(以下、「場間場外受託」 という)で黒字を出し、これにより、本場開催の赤字を補填してい る状況である。 本場開催及び場間場外受託ともに黒字となっているのは10 競輪施 行者であったが、そのうち、1 競輪施行者3は自転車競技法に基づく 交付金猶予特例制度の適用中であるため、実質的に本場開催の黒字 経営を保っているのは9 競輪施行者であった。 (4)競輪事業のコスト構造 競輪事業では、車券売上げの75%を当たり車券に対し払い戻して いる。残りの25%の中から、競輪事業開催に要する各種コストを負 担し、社会還元事業のための財源(JKA交付金)を納付し、競輪 施行者の一般会計に繰り入れることが望ましいが、近年は、売上減 尐に伴い、経費比率が増加し、一般会計への繰り入れができない競 輪施行者も存在している。 経費の構成を見ると、近年、場外発売関連経費が増加の一途をた どっており、平成21 年度では売上げの 8.3%を占めている。しかし、 車券売上全体の約2/3 を場外車券売場(場間場外受託の場合を含む) に依存しており、同経費を削減すると、それに伴って売上げも減尐 することとなるため、必要な経費と考えられる。 賞典費(選手賞金等)は、場外発売関連経費に次いで、高い構成 比で、これも近年増加傾向にあり、平成21 年度では売上げの 5.3% を占めている。 JKA交付金は、自転車競技法の別表で定められており、平成21 年度で売上げの約3.1%である。ただし、平成 19 年度の自転車競技 法改正により、交付金還付制度が設けられ、JKAに納められた交 付金(1 号交付金及び 2 号交付金4)の 1/3 が競輪施行者に還付され るようになったことから、平成19 年度以降の実質的な交付金率は約 2.1%となっている。 3 観音寺市は平成 19 年度から交付金猶予特例制度の適用を受けている。 4 自転車競技法第 16 条第 1 項第 1 号及び第 2 号に基づく交付金。
3 従事員人件費(売上比約1.8%)、日本自転車競技会委託費(売上 比約1.5%)、広告宣伝費(売上比約 1%)等は、売上げに応じて削減 していることから、近年、構成比は概ね横ばいとなっている。 平成21 年度においては、JKA交付金5を含めた総経費は、売上 げの25.9%を占めている。これは、本場開催のみで見た場合、競輪 事業全体で赤字となっていることを意味する。しかしながら、場間 場外受託収入を加えれば、平成21 年度において、競輪事業全体は黒 字となっている(平成21 年度の場間場外受託収入を含めた競輪事業 全体の黒字額は約105 億円)。 (5)競輪の主要関係団体の概要 1)(財)JKA JKAは、自転車競技法に基づき「競輪振興法人」に指定され た財団法人である。自転車競技法及び同施行規則に基づき、競輪 運営支援事業(選手、審判の検定登録、競輪のルール策定、選手 あっせん、選手・審判養成、選手共済への助成等)及び社会還元 事業である補助事業(機械振興補助及び公益増進補助)を行って いる。同施行規則には、広報、企画立案、調査事業も規定されて いるが、これまでは交付金を原資とした金銭的支援にとどまって きたとの指摘がある。経営権を有する競輪施行者からの委任がな いため、全ての競輪施行者が賛成することしか行うことができず、 結果として、JKA交付金から競輪事業への金銭的支援という競 輪施行者の反対が尐ない対応が多くなったと考えられる。 事業財源は、JKA交付金(実質約2.1%。平成 21 年度約 152 億円)であるが、平成21 年度においては、このうち約 1.2%を競 輪運営支援事業費に充てている。この比率は、今後、売上げの減 尐とともに高まっていくと見込まれる。 なお、JKAの補助事業は、平成22 年度に事業仕分けの対象と なり、その評価結果を踏まえ、審査の仕組みの抜本的な改正を行 った。機械振興補助及び公益増進補助の金額6の推移は、以下の表 のとおりである。 5 交付金率 2.1%で計算。 6 21 年度及び 22 年度は交付決定額、23 年度は内定額。
4 21 年度 22 年度 23 年度 機械振興補助 約 85 億円 約 49 億円 約 16 億円 公益増進補助 約 105 億円 約 71 億円 約 38 億円 2)(財)日本自転車競技会 日本自転車競技会(以下、「競技会」という)は、自転車競技法 に基づき「競技実施法人」に指定された財団法人である。自転車 競技法に基づき、競輪施行者からの委託を受け、競輪場における 運営実施事業(選手管理、自転車の検査、審判及び番組編成)を 行っている。事業財源は、運営支援事業に係る競輪施行者からの 委託費(平成21 年度約 98 億円)である。また、同法に基づき、 車券発売、宣伝及び場内整理事業を民間企業等との競合を経て受 託している(平成21 年度約 11 億円)。 3)(財)車両情報センター 車両情報センターは、競輪の投票システムの開発、運営等を行 う財団法人である。 事業財源は、競輪施行者、競輪関係団体等からの委託費(平成 21 年度約 39 億円)及びJKA補助金(平成 21 年度約 13 億円) であったが、事業仕分けの評価結果を踏まえ、平成23 年度以降、 JKA補助金の交付は受けないこととしており、今後の投資の原 資をどうするかという課題に直面している。 4)(社)全国競輪施行者協議会 競輪施行者の全国団体としての協議会であり、選手賞金交渉等 に係る日本競輪選手会との調整や競輪施行者間の調整等を行う社 団法人である。 事業財源は、競輪施行者からの分担金(平成21 年度約 87 億円) である。分担金による収入の約2/3 は、全国競輪施行者協議会(以 下、「全輪協」という)を経由して、選手旅費、投票システム運営 委託費、全国競輪選手共済会への助成金等として、他団体に支出 されている。 経営権を有する競輪施行者からの委任がないため、全ての競輪 施行者が賛成することしか行うことができない状況は、JKAと 同様である。
5 5)(社)日本競輪選手会 個人事業主である競輪選手の団体であり、選手の指導訓練、賞 金交渉等に係る全輪協等との調整を行う社団法人である。 事業財源は、競輪選手が納める会費(平成21 年度約 12 億円) や競輪施行者からの助成金7(平成 21 年度約 2 億円)である。 6)(財)全国競輪選手共済会 競輪選手及び競輪選手OBに対する医療給付、退職給付、年金 給付等を行う財団法人であったが、平成23 年 4 月 1 日に退職給付 及び年金給付に係る事業を日本競輪選手会(以下、「選手会」とい う)に譲渡した。 事業譲渡前の事業財源は、競輪選手が納める会費(選手会経由 のものを含む)が約6 割であり、残りの約 4 割は、JKA交付金 (平成21 年度約 20 億円)及び全輪協分担金(平成 21 年度約 8 億円)で負担してきた。 (6)各競輪施行者の考え方 1)競輪事業運営の考え方 現在、47 ある競輪施行者の事業運営に関する考え方は必ずしも 一致しておらず、経営環境が厳しい中、競輪施行者間の意見集約 は一層困難になってきている。 黒字競輪施行者からは、「多すぎる 46 競輪場での運営は疑問」、 「赤字競輪場を潰さないようにするという護送船団方式は困難な ところにきている」、「黒字競輪施行者と赤字競輪施行者とで意見 が対立し、意見集約が困難になってきている」等の意見が聴かれ た8。 他方、赤字競輪施行者からは、「弱肉強食という考え方について は、競輪施行者間の足の引っ張り合いになるので、相互扶助の精 神で事業を行っていくべき」等の意見が聴かれた9。 2)競輪事業の必要性 競輪施行者のうち、約6 割は競輪事業が「自治体の政策上必要」 7 全輪協を経由した助成金を含む。 8 いずれも平成 22 年 10 月のヒアリング時の平塚市の意見。 9 平成 22 年 11 月のヒアリング時の松阪市の意見。
6 としたが、その理由としては、「地方財政への貢献(40%)」、「雇 用確保(35%)」、「地域経済・産業振興(18%)」の 3 つで、全体 の9 割以上を占めた。 3)競輪事業からの撤退の阻害要因 全ての競輪施行者へのアンケートに際し、競輪事業からの撤退 の阻害要因を質問したところ、回答として特に多かったのは、「従 事員の雇用(32 競輪施行者)」、「施設・跡地問題(19 競輪施行者)」、 「地元企業等への影響(19 競輪施行者)」の 3 つの要因であった。 (7)競輪事業のガバナンス 競輪事業は、個々の競輪施行者が経営権を有しており、競輪事業 全体としての経営の意思決定ができてこなかった。 個々に経営権を有する事業者が集まって、事業全体としてのガバ ナンスを機能させて経営効率を高める方法として、ボランタリー・ チェーン方式がある。ボランタリー・チェーン方式は、加盟店が加 盟店総会でボランタリー・チェーン本部に経営権の一部を委ねるこ と、関係者の信頼関係があること及び関係者がそれぞれの役割を果 たすことにより機能するものである。しかし、競輪事業では、競輪 施行者から競輪関係団体への経営権の一部委任が見られず、また、 戦略立案・実行管理を行うべきボランタリー・チェーン本部機能が 複数の団体に分散されていることから、ボランタリー・チェーン方 式によるガバナンスも行われてこなかったと言える。 現状では、利害の一致しない個々の競輪施行者、関係団体及び自 転車競技法の所管省庁である経済産業省によって構成される競輪政 策決定会議その他の各種会議体において、「全会一致」の意思決定を 行っており、競輪事業全体のガバナンスが機能しているとは言えな い状況である。 2. 現状における問題点 競輪事業では、前述のように売上減尐・収支悪化に歯止めがかか らない状況となっている。これに十分な対応ができていない要因は、 概ね以下のように整理することができる。 (1)ガバナンス機能の不全 競輪事業全体のガバナンスについては、前述のとおり、1)競輪
7 施行者から経営権の一部委任が行われていない、2)本部機能が分 散している、3)関係団体による全会一致の意思決定を行っている 等の結果、以下のような問題が生じている。 ①意思決定スピードが遅い(全会一致の意思決定の弊害)。 ②関係者の利害が一致せず結論が出ない、又は、妥協により中途 半端な決定となる。 ③ボランタリー・チェーン本部を担いうる主体(組織)が存在し ない。 ④意思決定に関与する者(競輪関係団体等)の責任の所在が不明 確。 また、全会一致の意思決定には、経済産業省も自転車競技法の解 釈だけでなく、関係者の意見調整も含め関与してきた。例えば、競 輪選手の採用数を増やす方向で関係者の意見集約を図ったことがあ ったが、これは、必ずしも競輪事業の経営状況の改善に寄与しなか った。さらに、経済産業省の関与は、競輪施行者や競輪関係団体が 本来有しなければならない当事者意識を希薄化してしまった可能性 がある。競輪施行者が経営権を有し、現場運営に責任を有している のであり、経済産業省は経営に関与すべきではなく、競輪施行者が 主体的に経営を行っていくことが必要である。 (2)レース数、競輪場関係経費等の高コスト構造 前述のように、平成21 年度においては、JKA交付金を含めた総 コストの構成比は、売上げの25.9%を占めている。この中で、固定 的経費のうち年間レース開催数に応じて負担しなければならない費 用(以下、「レース数比例経費」という)は、競輪事業の収支を圧迫 する大きな要因となっている。 競輪ファンが固定化・高齢化し、新規顧客の増加を図ることがで きていない現状において、現在の年間レース開催数は、縮小するマ ーケット規模に対して、供給過剰となっている。すなわち、競輪施 行者の「新規顧客は尐なく、パイは決まっているので地域内の客の 取り合いになっている。各公営競技場がそれぞれの売上げを食い合 うという状況で需給バランスが取れていない」10との声にもあるよう に、売上げの減尐に併せてレース開催数も減尐させていかないと、 供給が過剰になっていく。各競輪施行者にレース開催日程を概ね均 10 平成 22 年 11 月のヒアリング時の松阪市の意見。
8 等に配分していることもあり、開催すると赤字になるレースが増加 している。年間レース開催数の削減による「レース数比例経費」の 削減は必要不可欠と考えられる。 また、45 ある競輪場も、縮小するマーケット規模に対して供給過 剰となっている可能性がある。他方、顧客に直接レースを見せる競 輪場を減らすべきではないという意見もある。いずれにしても、競 輪事業全体として、競輪場が存在することで負担しなければならな い費用(以下、「競輪場比例経費」という)も競輪事業の収支を圧迫 する大きな要因となっており、その適正化を検討する必要がある。 なお、競輪事業のレース数比例経費及び競輪場比例経費は、競艇 のそれと比べ大きくなっており、競輪施行者に赤字が多く、競艇施 行者に赤字が尐なく、競艇が競輪に比べて多額の広報費を投入や施 設改修等の前向き投資を行えている要因となっている。 (3)新規顧客獲得の有効策の不在(マーケティング機能不在) ガバナンス機能不全、高コスト構造といった問題のほか、売上向 上のための対策、新規顧客獲得のための有効な対策も十分には講じ られてこなかった。 これまでも、例えば、新規顧客獲得を目的として、年間の新規選 手登録数を倍増(平成18 年度~22 年度)、競輪場における各種イベ ント等のサービス提供、重勝式車券11の発売、ミッドナイト競輪12の 開催等の新商品を導入してきたところであり、来年度には女子競輪 を実施予定である。 ただし、1)マーケティング・リサーチに基づいて商品設計され たものではない、2)獲得したい具体的な新規顧客像がイメージで きていない、3)新規選手登録数増のように費用対効果が合わない 等、問題のある対策もあった。すなわち、新商品にかかるコスト、 具体的な新規顧客像にフィットする広報手段、販売チャネル等が考 慮されていなかった結果、当初想定した売上げを計上できていない 等のケースがあった13。 また、マーケティング・リサーチ機能を定着させることを目的に、 11 複数の連続するレースの着順を一括して予想する車券。 12 21 時~24 時までの間に行われる無観客レースであり、インターネットのみで車券購入が 可能。現在、北九州市のみがドーム型の競輪場で実施している。 13 例えば、重勝式車券の発売については、当初年間 100 億円程度の売上を想定していたが、 実際はその1/4 程度にとどまっている。また、選手数の増大は、競輪の売上向上には貢献で きず、レース数比例経費の削減を困難にしてしまった。
9 競輪関係団体や競輪施行者の若手によって発案された「ご意見くだ さいキャンペーン」は、その実施を経済産業省がリードしたことか ら、競輪関係団体担当者等に「やらされ感」が生じてしまい、その 結果、現状においては全く機能していないとの評価がある。 以上のように、現状の問題点を克服していくためには、尐なくと も、「競輪事業全体の経営に関して機能するガバナンスの構築(ガバ ナンスの改善)」、「マーケティング機能の強化とそれに基づく振興策 を通じた売上拡大(活性化策の実施)」、「レース数比例経費及び競輪 場比例経費の削減(管理費の削減)」が必要不可欠と考えられる。 3. 競輪事業の将来見通し 前述のように、競輪事業の売上げは、平成3 年度をピークに減尐 の一途を辿っている。 これまでの売上実績推移を基に、①概ねこれまでと同等のコスト 削減(売上げに連動しない経費は毎年1%程度削減)を行っていくこ と、②これまでの売上推移及び今後の活性化の若干の効果を加味し た売上見通しでは、平成30 年度に 4,500 億円を切る売上規模となる。 この場合の競輪事業の収支を試算すると、現状を放置した場合14、平 成25 年度には 8 割以上の競輪場が赤字に陥ることとなる(以上、経 済産業省試算)。 現状を放置すれば、競輪事業は数年で継続が困難な状況に陥ると 見込まれることから、高コスト構造の改善に着手する必要がある。 以下の表は、レース数比例経費及び競輪場比例経費の削減を複数の パターンで行った場合の試算結果(赤字競輪場数)である。 14 全競輪場が存続しつつ、レース数比例経費を 5 年で 2 割削減した場合。 競輪場の8割以上が赤字 競輪場の7割以上、8割未満が赤字 競輪場の6割以上、7割未満が赤字 競輪場の5割以上、6割未満が赤字 競輪場の4割以上、5割未満が赤字 競輪場の4割未満が赤字 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 ① 競輪場数比例経費は年1%程度しか削減せず、 レース数比例経費を5年で2割削減(現状) 12 25 33 32 39 40 42 40 42 42 ② 競輪場数比例経費は年1%程度しか削減せず、 レース数比例経費を5年で3割削減 12 25 33 29 37 40 40 36 41 40 ③ 競輪場数比例経費は年1%程度しか削減せず、 レース数比例経費を5年で5割削減 12 25 33 26 31 31 28 24 28 29 ④ 競輪場比例経費、レース数比例経費 ともに、5年で2割削減 12/46 25/45 33/44 29/42 31/40 32/38 30/36 22/35 29/35 29/35 ⑤ 競輪場比例経費を5年で1割削減、 レース数比例経費を5年で3割削減 12/46 25/45 33/44 26/43 33/42 33/41 31/40 25/39 32/39 33/39 ⑥ 競輪場比例経費を5年で2割削減、 レース数比例経費を5年で3割削減 12/46 25/45 33/44 25/42 29/40 27/38 21/36 20/35 25/35 23/35 ⑦ 競輪場比例経費、レース数比例経費 ともに、5年で3割削減 12/46 25/45 33/44 23/41 27/38 21/35 14/32 12/31 13/31 17/31 ⑧ 競輪場比例経費、レース数比例経費 ともに、5年で5割削減 12/46 25/45 33/44 19/39 14/34 4/29 0/25 0/25 0/25 0/25
10 同表を見ると、レース数比例経費の削減だけでは、例え、5 割コス トを削減しても、6割以上の競輪施行者が赤字である。 他方、レース数比例経費及び競輪場比例経費を同時に削減すると、 その削減割合に応じて、相当程度の収支改善効果が見られる。例え ば、両コストを3 割程度削減した場合は、競輪施行者の半数は黒字 を維持することとなる。ただし、売上減尐が続けば、収支改善効果 が永続せず、将来的には再び収支は悪化する(赤字競輪場数が増加 する)ことになる。したがって、売上げ減尐に歯止めをかけるため の活性化策が不可欠である。レース数比例経費及び競輪場比例経費 の削減とともに、活性化策により売上げ減尐が緩やかになれば、収 支改善効果は高くなる15。 なお、全輪協試算においては、競輪場を減らさなくても、競輪場 比例経費等を5 年間で約 24%削減できることが示されており、これ は同表の競輪場比例経費を2~3 割削減することに相当する。 4. 今後講ずるべき対応策 前述の「現状における問題点」及び「競輪事業の将来見通し」を 踏まえ、今後とも、自転車競技法の目的を達成しつつ、競輪事業を 持続可能としていくため、具体的には、以下のような対応策を講ず るべきである。 (1)娯楽としての「競輪」及びスポーツとしての「自転車競技」 の一層の振興 自転車競技は、健康的であり、また、環境に優しい「自転車」を 使った健全なスポーツであり、近年その人気が高まっている。例え ば、ロードレースでは、世界トップレベルの大会で活躍する日本人 選手が現れている。また、近年の自転車ブームもあり、サイクリン グ人口が急速に増加するとともに、スポーツ車やマウンテンバイク の出荷台数も大幅に増加している。さらに、各種メディアにおいて も、プラスのイメージで自転車やサイクリングが取り上げられる機 会が増える等自転車競技の裾野が広がってきている。 競輪は、このように人気がある自転車競技の中で、短距離の自転 車競技において圧倒的な実力を持ったプロ選手の競技であることか 15 活性化策の効果が上がらない見通しでは収支改善効果が本文よりも低く、平成 27 年度以 降、売上高が下げ止まる見直しでは、本文の見直しに比べて収支改善効果が高くなる。
11 ら、我が国の自転車競技の頂点の一つと評価されてしかるべきであ る。これまでも、競輪選手が、アトランタ五輪、アテネ五輪及び北 京五輪の3 大会で、短距離自転車競技のメダルを獲得している。2012 年のロンドン五輪では、男子に続き、女子も“KEIRIN”が正式種目 となることから、この機会も活かしつつ、健全な娯楽としての競輪 の認知度を高め、新規顧客を獲得し、競輪事業の持続可能性を高め ていくべきである。 競輪という自転車競技が、自転車競技の頂点の一つとして定着し ていくとともに、競輪選手としての「成功」の際に得られる報酬が 大きい等「夢のある」存在にしていくべきである。 (2)競輪事業を実施するために必要な社会還元及び運営健全化 1)公営競技の法目的に沿った社会還元の実施(補助事業の透明 性向上) 今後とも、競輪事業を持続可能とするためには、自転車競技法 の3 つの目的、すなわち、①自転車その他の機械工業の振興、② 体育、社会福祉などの公益の増進、③地方財政の健全化を達成す ることが必要である。このうち、自転車その他の機械工業の振興 及び体育、社会福祉などの公益の増進に関しては、平成22 年 5 月 の事業仕分けで指摘されたJKA補助事業の透明性を確保してい く必要がある。このため、JKA補助事業の審査・評価の仕組み を抜本的に見直し、審査の透明性を向上させ、新たな補助対象を 追加し、補助先団体における情報公開を徹底することとした。 2)競輪事業運営の健全化 競輪事業運営の健全化のためには、①競輪全体の経営ガバナン スの改善、②管理費削減による黒字化、③売上げ拡大のための活 性化策の実施を行うことが必要である。すなわち、管理費削減に より経営を改善し、改善されたガバナンスの下で事業を黒字化さ せつつ、前向きな活性化策に資金を投じていく必要がある。 今後の競輪事業の売上げを増加させる、又は、下げ止めること が容易でない現状において、事業を持続可能としていくためには、 減収下においても一定の利益を上げ16、前向きな投資ができる運営 16 競輪、競艇、オートレースの当たり車券に対する払戻率は、法律上「75%以上」とされ、 実効上も75%となっている。オートレースにおいては、施行者が一致して払い戻し率の引 き下げによる利益率向上を要望していることから、法改正が可能であることを前提に、そ
12 体制とする必要がある。このためには、競輪事業全体としての経 費(レース数比例経費及び競輪場比例経費等)の削減が不可欠で ある。競輪関係者間(競輪関係団体間、又は、競輪施行者間)の 調整のみで経費を削減していく余地が尐なくなってきており、今 後は、競輪全体の経営ガバナンスを改善し、競輪事業全体の方針 に基づく対応が必要である。 また、競輪場等の経営資源を有効活用し、競輪事業以外の収入 を得ることも検討するべきである。具体的には、鹿島アントラー ズFCが取り組んでいる「ノン・フットボールビジネス17」等を参 考にしつつ、地域社会に受け入れ、地域社会と一体化した「ノン・ 競輪ビジネス」を展開することが望ましい。そのためには、自治 体トップが積極的なリーダーシップを発揮し、自治体内の他部局 と連携しながら実施していくことが必要である。また、競輪場と いう施設を魅力的な地域の交流拠点として、単なるギャンブル施 設ではなく、「スポーツ」、「ファッション」等と関連づけながら、 地域社会と共栄する競輪場としていくことが望ましい。 (3)管理費削減による黒字化 競輪事業は減尐傾向とはいえ約7,300 億円18の売上げがあり、売上 げの25%が収入となるビジネスであり、適切に運営すれば黒字化で きると考えられる。具体的には、以下のような対応策を講ずるべき である。 1)レース数比例経費の削減 レース数比例経費を中期的に削減していくためには、中期的に 競輪選手数、JKA職員数、競技会職員数等の関係人員の減尐及 び人件費の削減が不可欠と考えられる。 競輪選手は個人事業主であり、競走得点を理由とした強制消除 とならない限りは、引退時期を自ら決めることができる。したが って、競輪選手数の減尐については、競輪選手の自主的な判断を 基本としつつ、次のような時限対策を検討する必要がある。 ① 競輪選手の自然減を促す仕組みの構築。 ② 競輪選手数が急減し、選手共済(退職給付等)の支出が急増 の引き下げを検討している。 17 競技場等を有効活用し、フットボール(サッカー)以外の事業を行うこと。 18 平成 21 年度の売上げ。平成 22 年度は約 6,350 億円の売上げ(前年度比約 13%減)であ ったが、これは、東日本大震災の影響で、平成23 年 3 月 12 日以降のレースが開催できな かった影響もある。
13 する場合であっても、選手会の資金繰りに支障を生じさせな い対策。 ただし、長期的には、競輪選手共済制度は、競技中の事故補償 を除き、競輪施行者やJKAからの助成を受けずに自立的に運営 できるようにすべきであり、給付水準の見直しや共済費の応分の 負担増を検討すべきである。 また、給付水準の見直しと同時に、他のプロスポーツの例も参 考にしつつ、引退した選手の就職(セカンド・キャリア)支援も 検討すべきである。 加えて、JKA、競技会も人員数の中長期的な削減計画を早期 に策定すべきである。 2)競輪場比例経費の削減 競輪場比例経費を削減する方法として、競輪場数(競輪施行者 数)の削減、又は、1競輪場あたりの大幅な経費削減が考えられ る。現在 45 ある競輪場は、売上げの縮小に伴い、供給過剰となっ ている可能性がある。他方、競輪場には、地域雇用等の地域経済 への波及効果があるとともに、顧客に生のレースを見せることは、 競輪の基本的なPRであり、その観点から、全国に存在する競輪 場数を維持したいとの意見もある。 競輪場の廃止(競輪施行者の撤退)や現存する競輪場の経費削 減は、経営権を有する競輪施行者により行われるべきものである が、仮に、競輪施行者が、やむを得ず競輪場の廃止(競輪事業か らの撤退)を選択する場合には、以下のような対応策が必要と考 えられる。 ① 競輪施行者が撤退を検討する場合、円滑な撤退への支援(ボ ランタリー・チェーン本部による経営分析・助言等)。 ② やむなく競輪事業から撤退する場合でも、競輪施行者が専用 場外車券売場機能を維持するよう、インセンティブの付与。 (4)JKA、競技会等の競輪関係団体の整理合理化 競輪事業は、制度上、個々の競輪施行者が経営権を有している。 その前提の下で、事業全体としての経営効率を高めるためには、ボ ランタリー・チェーン方式のガバナンスの採用が望ましい。 ボランタリー・チェーン方式のガバナンスを行うためには、1) 競輪施行者がボランタリー・チェーン本部に経営権の一部を委ねる
14 こと、2)ボランタリー・チェーン本部の機能を実行できる組織が あること、3)関係者に信頼関係があり、それぞれの役割を果たす ことが必要である。 1)については、競艇においては、重賞レースの主催施行者の決 定を競艇施行者が(財)日本モーターボート競走会に委任する等、 経営権の一部委任が見られる。競輪でも同等以上の経営権の一部委 任が望まれる。 2)については、現在、競輪事業におけるボランタリー・チェー ン本部となりうる機能は、JKA(競輪運営支援事業及び補助事業)、 競技会(競輪場における競輪運営実施事業)、車両情報センター(競 輪の投票システムに関する事業)及び全輪協(電話投票関連事業及 び広報事業)に分散している。ボランタリー・チェーン本部の機能 を実行できる組織を作るためには、これらの機能を一法人(以下、 「本部法人」という)に集約する必要がある。 基本的には、本部機能は1法人に集約される方が望ましく、また、 個々の関係団体は人員削減を迫られているので、統合により間接部 門を集約し合理化していくことが望ましいが、全輪協の本部法人へ の統合については、競輪施行者の意見は分かれている。しかし、尐 なくとも、電話投票関連事業及び広報事業は本部法人に移管すべき 機能と考えられる。 集約された本部法人では、マーケティング機能を強化していくこ とが必要である。現在、JKA、全輪協、競技会に分散しているマ ーケティング機能を統合し、恒常的に顧客の顕在及び潜在ニーズを くみ上げ、商品開発やサービスの向上につなげていくことが望まし い。 また、新規顧客として外国人観光客の誘致や、そのための情報発 信や商品開発も行っていくことが望ましい。 したがって、JKA、競技会、車両情報センター及び全輪協は、 早急に本部法人設立に向けて具体的な検討に着手することが望ま しい。加えて、選手会と全国競輪選手共済会も統合を検討すべきで ある。 なお、本部法人は、現行の自転車競技法を前提とすれば、同法に 基づく競輪振興法人及び競技実施法人に係る経済産業大臣の指定 並びに事業計画、予算及び役員の選解任に係る経済産業大臣の認可 を受け、かつ、競輪施行者からの委任を受けて、競輪事業運営を行
15 うこととなる。しかし、自転車競技法では、経済産業大臣が競輪の 運営に関わることを定めた規定はなく、国として競輪施行者に係る 経営責任を取ることはできないので、経済産業大臣は、本部法人が 競輪施行者からの委任を受けて行う事業を含め、競輪の経営判断に 関与すべきでない。 (5)JKA交付金 レース数比例経費及び競輪場比例経費を削減するにあたっては、 それらの削減と同等以上にJKA交付金の削減も必要であるとの 競輪施行者の指摘がある。現状において、JKA交付金率は、実質 的には売上げの約 2.1%となっている。このうち、売上げの約 1.2% (平成 21 年度)は競輪運営支援事業費に充てられており、この比 率は、今後売上げの減尐とともに高まり、近い将来には 1.5%前後 になると見込まれる。交付金率を 2.1%とした場合、社会還元事業 である補助事業に使われた費用は 21 年度ベースで約 0.9%であり、 今後の売上減尐の下で中長期的に補助事業のための費用の比率が 更に低下していくと見込まれている。このことにより、以下のよう な問題が生じると考えられる。 1)JKA交付金から競輪運営支援事業費に充てられる比率が増 加し、補助事業に使われる費用が現状の0.9%から、近い将来に は 0.6%程度になり、長期的にはゼロに近づくと見込まれる。加 えて、競輪事業の利益を競輪施行者の一般会計に繰り入れるこ ともできない場合は、競輪施行者が競輪を開催する法的正当性 が失われるおそれがある。すなわち、自転車競技法の3 つの法 目的である「自転車その他の機械工業の振興」、「体育、社会福 祉などの公益の増進」及び「地方財政の健全化」をいずれも行 わない場合は、自転車競技法第 1 条によって賭博罪の違法性を 阻却することができず、賭博罪に当たる行為となるおそれがあ る。 2)競輪施行者の一部には、JKA交付金について、競輪事業に 利益が生じた場合にのみ、利益の中から納めるようにすべきと の意見がある。この考えには以下の問題がある。 ①賭博罪に当たるおそれがある 利益が生じない場合にJKA交付金を納めないという制度 にすると、競輪事業を行う際には、「自転車その他の機械工業
16 の振興」、「体育、社会福祉などの公益の増進」の社会還元事 業を行うか不明であり、かつ、結果として赤字であれば社会 還元は行わないこととなる。加えて、赤字のため競輪施行者 の一般会計への繰入れも行わないとすると、1)と同様に賭 博罪に当たる行為となるおそれがある。 ②競輪運営資金が不足する JKA交付金率実質約2.1%のうち、約 1.2%(平成 21 年度) は競輪運営支援事業費に充てられており、前述のとおり、こ の比率は売上げの減尐とともに高まると見込まれる。競輪事 業の利益が黒字になった場合にのみ、利益の中から交付金を 支払う制度にすると、JKA人件費、選手共済経費、車両情 報システム経費、広報費などが不足し、競輪事業運営に支障 が生じるおそれがある。 このように、今後とも競輪事業を持続可能としていくためには、 競輪運営支援事業費を確保するとともに、賭博罪に当たらないよ うに運営することが必要である。 他方、赤字競輪施行者に対しては、法改正を前提に、機械振興 資金(1 号交付金)、公益増進資金(2 号交付金)を実質的に支払 わなくても良いこととするため、何らかの措置を講ずる必要があ る。そのための方策として、以下の 3 つの選択肢が提示された。 これらの選択肢からいずれかの措置を実現させるべく、具体的な 検討を進める必要がある。 【選択肢 1-1:利益から 1 号・2 号交付金を納付し、3 号交付金 の比率を引き上げる】 1)赤字施行者の負担 1 号・2 号交付金は黒字の年のみ納付すれば可。 2)競輪運営支援事業費の確保 前述②のとおり、競輪運営支援事業費が不足するので、3 号交付金を0.3%→1.5%に引き上げる(選択肢 1-2 の黒字 施行者の負担が際限なく増える懸念に対応)。 3)法体系 現行自転車競技法、地方競馬、競艇、オートレースの根 拠法と異なる法体系になる。
17 【選択肢 1-2:利益から 1 号・2 号交付金を納付し、3 号交付金 の比率は引き上げない】 1)赤字施行者の負担 黒字の年のみ納付すれば可。 2)競輪運営支援事業費の確保 前述②のとおり、競輪運営支援事業費が不足する。これ を黒字施行者に求めると、利益をあげている競輪施行者の 負担が際限なく増大するおそれがある。 3)法体系 現行自転車競技法、地方競馬、競艇、オートレースの根 拠法と異なる法体系になる。 【選択肢2:交付金猶与特例制度の要件及び手続きの緩和】 1)赤字施行者の負担 赤字の際は1 号・2 号交付金の納付が猶予される。ただし、 猶予期間が終了した後、猶与分の交付金を納付する必要あ り。 現行法の交付金猶与特例制度は、収支改善計画を作成し、 産業構造審議会の意見を聴かなければならない等、手続面 で利用のハードルが高い。法改正で条件を弾力化できる余 地あり。 制度改正の検討にあたっては、赤字競輪施行者にとって 利用しやすい制度となるよう、赤字競輪施行者の実態を踏 まえた検討を行うべき。 2)競輪運営支援事業費の確保 赤字競輪施行者が増加すると競輪運営支援事業費が不足 するおそれあり。ただし、猶与分の交付金は猶予期間終了 後に納付される。 3)法体系 法体系が現行自転車競技法と変わらない。