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香川県産網翅目・ナナフシ目・直翅目分布資料(2)-香川大学学術情報リポジトリ

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香川県産網題目・ナナフシ目・直題目分布資料(2)

豊 嶋

〒760 香川県高松市桜町2−5−10 高松第一・高等学校

Records of Dictyoptera,Phasmida and Orthoptera from

Kagawa Pr・efecture(2) Hiromu TosⅢMA,mゐαmαfs弘一かαifcゐ£Se花わr・ガ汝ゐ蝕ゐ00Z, 上弘ゐ沈rαmαCゐ£,7もゐαmα£su 符0,ノ叩∽ は じ め に 判然としない部分が多い香川県の網趨目・ナ ナフシ目・直趨目昆虫のファウナを明らかにす る目的で,分布資料(1)において,7種の昆虫を 記録した(豊嶋,1989)。 本報では,種の同定が不確実であったカマド ゥマ額・フキバッタ摂,生息地のあまり知られ ていないキリギリス類3種を記録する。 分布資料の作成にあたり,標本の同定と文献 のお世話をいただいた大阪市教育委員会加納康 嗣氏,文献のコピ1−・などをお願いした愛媛大学 農学部宮武睦夫氏,大阪自然史博物館宮武餅夫 氏,高松市市民文化センタ・一所蔵標本の検討を 許可された中井慶子館長に深謝申し上げる。 Phaphidophoridae カマドゥマ科 香川県内に生息しているカマドゥマ煩につい て,特に調査した記録はなく,保存されている 標本も殆どない。たとえ採集されても腐りやす いので,良い標本が作り難いことによるものと 思われる。坂口(1989)ほ本県産として,マダ ラカマドゥマ・カマドゥマ・クラズミウマの3 種をあげているが,後で記すように,氏がカマ ドゥマ(大滝山産)・クラズミウマ(象頭山産) とした個体はいずれも別の種類である。 ここ数年来,市川顕彦氏等を中心に日本産カ マドゥマ額の再検討が進められており,種の区 別,分布など,従来はっきりしなかった点が明 らかにされつつある。今までに県内で採集した 個体と,高松市民文化センタ・一所蔵の標本(2

個体)を市川(1983・1987a・1987b)の検索

表に従い分類すると,次のようである。 β孟esとrαmm飢αJqpO71わαKarny マダラカマ ドゥマ;琴平町象頭山 alt.200m付近(常 緑広葉樹林),14−Ⅸ−19821谷(幼虫) 1♀.次のゴリアテカマドゥマとともに, 金刀比羅宮境内の建物周辺に多く見られる。 坂口(1989)ほ大野原町雲辺寺から記録して いる。特徴の顕著な種頬であるから,同定に 問題ほない。

DiestTaTnTnena gOliath Bey−Bienkoゴリアテ

カマドゥマ(図6・図11・図12):財田町 猪ノ鼻峠 alt.460m付近,24−Ⅸ−1986 1$;琴平町象頭山(後注1)14−Ⅸ−

19821谷:塩江町(上西)東浅木原alt.

600m付近,1−Ⅹ−19891♀:同町(安

原上)塩江.alt..200m付近,7⊥ⅤⅢ−1986 1♀.琴平を除き,混生林(後注2)の林 床や林縁において発見された。 か£e8汁αm〝le花αSpり1/\ヤシウマ(図7・図 8・図9):琴南町竜王山山頂 alt.1010 m(落葉広葉樹林内の腐朽材樹皮下),3

−Ⅸ−19891♀*(後任3);同町(川

束)横畑 alt.600m付近(混生林林床),

24−Ⅸ一19891谷;引田町千足ダム上方

alt.250m付近(混生林林縁),2−Ⅹ−19 −19−

(2)

図1:ヒメギス♀.図2:岡谷.図3・囲4:シブイロカヤキリモドキむ.図5: ヒメクサキリ♀.図6:ゴリアテカマドゥマ谷.図7:ハヤシウマ(せすじ型)谷. 図8:同(まだら型)苔.図9:同♀.図10:フトコノシタウマ谷.図11:ゴリアテカ マドゥマ谷.図12:同♀.囲13:セトウチフキバッタ谷.図14:岡谷(竜王山産).

(3)

ゴリアテカマド・ハヤシ・フトコノシタウマ の3種は体の模様や色が互いに似ているので, 同定にほ注意を要する。種判定の根拠にした各 個体の外部形質の測定値等を,体色のよく似た かマドゥマも含め,表1に示した。 市川顕彦氏の指摘しているように,次の諸点 は外観からの種の区別に,かなり役立つことが 認められる。フトコノシタウマは後脛節背面の 刺数が他の3種よりほるかに多い(かつ規則正 しい短→長の波形をなしている)。ゴリアテカ マドゥマはハヤシウマに酷似するが一一・般的に仙一・ 回り大きく,同じ程度の体長であれば,厳がや や長い。♀の産卵管も明らかに長い。前腿節下 面の刺はノ、ヤシウマでは0∼1本(小さい), 881杏*(背面に淡色粂のある型).

DiestraTnTnena aPicalis Brunner v.W.カマ

ドゥマ:琴平町象頭山 alt..160m付近,

17一Ⅸ−19891♀.金刀比羅宮境内建物

の近くに生えている,空洞があるクスノキ 老木の根際にいた。27−ⅥⅡ−19661♀ (坂口清一・氏採集,文化センター所蔵標本) 以前ほ家屋の内外で普通に見られたが,最近 でほ珍しくなった。 7七c/ちγCよ花eS r′0わαSと㍑S Anderフトコノシタウ マ(図10):財田町猪ノ舜峠10−Ⅷ−19

821♀*;琴南町横畑 24−Ⅸ−19891

$;塩江町大滝山 4−ⅤⅢ−19551谷 (坂口清一・氏採集,文化センタ・一所蔵標本). 表1.カマドゥマ類4種の個体別の形質測定値等 (/は肢を欠落しているので不明, 前・後腿節外側の刺ほすべて0). 一21−

(4)

川県未記録に訂正する。 ェゾツユムシの項のtt日浦(1979,1983)” を削除する(引用の誤り)。 Acrididae バッタ科 麹が退化して飛べなくなった昆虫は,地域的 に分化する傾向が著しい。短麹のフキバッタも 例外でほなく,多くの種に分化しており,かつ てミヤマ■アキバッタ允r・叩Odiβmαm£ゐαdo の 名で記録されたものには,異なる種類の混同さ れて■いる場合の多いことが指摘されている。県 内における記録も,井上(1979)を除き,ミヤ マフキバッタの名でおこなわれているので,再 検討が必要であった。県内には,井上(1979) の記載した次の2種が分布している。 Pαr・叩Od£smαぶe亡0乙‘Cゐie花ぶi8Inoue セトウチ フキバッタ(囲13・図14):財田町猪ノ鼻

峠 alt.600m付近,23−Ⅸ−19861♀;

琴南町竜王山頂上付近 24−Ⅸ−1989 2

谷1♀;同町(造田)相野(西谷川沿い)

altい260∼400m付近 2−ⅤⅢ−19801谷*

31−Ⅵト1989 3省;満濃町(吉野)国営 讃岐丘陵公園altい160m付近,6−Ⅹ−19

851♀(後注4):綾上町(西分)角ケ

内(炭ケ内)首切峠付近 alt..260m,31− Ⅵト1989 3谷;同町(紛所西)猪ノ鼻入 り口(柏原渓谷)alt..260m付近,24−Ⅶ−

1989 3谷2♀;同町(東分)萩の戸(高

山)alt.260m付近,17−Ⅴト1979 1ex.

(幼虫)(後注5):塩江■町大滝山山頂 19−ⅥⅡ−19891谷1♀;同町(安原上)

生山 alt.320m付近,26−Ⅹ−19861♀;

長尾町太郎兵ヱ谷16−Ⅵト19891谷1

♀ 白鳥町(五名)大楢 altい260m付近, 6−ⅤⅢ−1984 1♀* 今までに検した個体でほ,体側部の黒条は頭 部のみにあり,前胸部まで伸びていることは 殆どない 。もし伸びていても,前胸の前端部 に限られている。通常,本種の麹は背部で左 右重なるが,竜王山頂上産の1谷では少し側 方に片寄り,相離れている(図14)。他の1 含もやや離れ気味である。これら2谷は,低 ゴリアテカマドゥマでほ2本以上ある。表では, それぞれの種の特徴をよく表している数字等を 太字で記した。 Tettigoniidae キリギリス科 〟eと㍗和己er・αゐ£me Furukawa ヒメギス(図 1・図2):坂出市聖通寺山alt..20m 付 近(山麓にある他の土堤),6−Ⅵ−1989 1谷(幼虫);国分寺町(新居)西大谷 altり20m付近(線路わき),15−Ⅷ−1989 1♀;三木町(井上深谷),風呂谷 alt. 120m付近(混生林林縁),26−ⅤⅡ−・1989 1谷;長尾町(前山大多和)太郎兵衛谷 alt.450m付近(伐採跡),15−ⅥⅠ一1989 1谷(田中伸幸氏採集).高木真人氏は詫 間町(大浜)船越で幼虫を発見している (24−Ⅴ−1989)。 これまでに知られていた県内における生息地 は大滝山付近のみである。そのため,県内で は山地性の珍しい種類と思われていた。しか し,上記のように讃北の孤立山群でも生息地 が発見されたので,県本土の広い範囲に分布 している可能性が考えられる。チガヤ・スス キ・ヨモギなどの茂った林縁・土堤の草地に 生息している。 月bmorocor′)pゐαβメαOe花ぶis(Matsumira & Shiraki) ヒメクサキリ(図5):琴南町 竜王山山頂(伐採跡の草地),4−Ⅸ−19 89 2♀..坂口清一一・氏は長尾町女体山で1 ♀*を採集している(21−Ⅸ−1968.文化 センタ・一所蔵標本)。 すでに加納はか(1982)は,讃岐山脈の上部 に分布するであろうことを推定しているが, 具体的な生息地は明らかでなかった。 ズesと叩ゐrッβ加ruαとゐよBolivarシブイロカヤ キリモドキ(図3・図4):三木町風呂谷 20−Ⅹ−1989 1谷.混生林林縁のネザサ. チガヤが混生している草間をスイ・−ビング して得た。香川県未記録。 〔訂正〕前報において,ヒメツユムシを四国未 記録としたが,既に愛媛県より記録されてい る(衣笠ほか,1986)ことが判ったので,香

(5)

(後注6)であるが,小豆島に.は生息している (富永,1985)。シコクフキバッタの生息地ほ 少なく,讃岐山脈の標高360∼700mの地点で発 見されている。 〔後注〕1)再出する地名は大字名を,採集地 点の標高が同じときほ alt.を・省略した。 2)混生林…マツ・コナラ・クヌギ・ アベマキ等の混生する二次林。 3)*印を付した個体は加納氏同定。 4)月ユrαpOd£ぶmαSp..として記録した 個体(豊嶋・高木,1985)。 5)ミヤマフキバッタとして記録した 個体(豊嶋・田中,1979)。 6)坂口(1989)ほ牟礼町八乗山からミ ヤマフキバッタを記録して−いるが,文化セ ンタ・・・・・”所蔵標本の中に該当する個体ほ見当 らず,確認できなかった。 標高地点で得られる個体に比べると,やや小 形である。 乃e乙↓dqpαrqpOdismα花£i九αme花Sis(Inoue)シ コクフキバッタ(囲15):琴南町杵野 2 −ⅥⅡ−19801♀*;同町横畑 24−Ⅸ一 1989 1谷2♀;塩江町(上西)一・ツ内

alt.360m付近,20一Ⅹ−19731谷*

坂口清一\氏ほ女体山でも採集している(21 −Ⅸ−19681♀,文化センター所蔵標本) 体側部の黒条ほ,頭部から胸部まであるが, 胸部の後方2/3までの個体,後端まで届く 個体,それらの中間などの変化がある。 現在までに確認できた両種の生息地点を囲16 に示した。セトウチフキバッタは讃岐山地の全 域に分布していると思われる。その生息範囲は

標高140m程度の丘陵地から1000mの山頂部に

わたっている。讃北の孤立山群からほ未発見 図16‖ 中讃∼東讃地域におけるキリギリス炉およびフキバッタ額の生息地. H:ヒメギス丁:ヒメクサキリ N:シコク■アキバッタ S:セトウチフキ バッタ Ⅹ:シブイロカヤキリモトキ (数字ほ等高線の標高を示す), −23−

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引 用 文 献 市川顕彦.1983..カマドゥマほ日本に何種いる のか? ばったりぎす 51:1535−1549. .1987a..日本列島のカマドゥマ塀(1). 東北の自然 30:16−20. .1987b.日本列島のカマドゥマ類(2). 泉北の自然 31:5−12.

Inoue,M.1979,Two new species of the genus PaT・qPOdisTna from westernJapan (Orthoptera:Acrididae).動物分類学会誌 16:58−65. 加納康嗣・岡田正読・河合正人..1982.鳴く虫 たち.保育社,大阪. 衣笠弘・春沢重大郎・富永修.1986.ささきり もどき ざわ、−るど いん しこく.ばったり ぎす 70:2−10. 坂口清一・.1989.香川県産屋虫標本目録兼香川 県産昆虫目録. 豊嶋弘・高木真人.高山および周辺地域の昆虫 (目録)… 香南台地および高山の生物:111 −131. ・田中俊彦.1985..国営讃岐丘陵公園 建設予定地のトンボ・バッタ・チョウなどに ついで.国営讃岐丘陵公園動植物現況調査報 告書:9−20一. 豊嶋弘.1989..香川県産網麹目・ナ‥デフシ日・ 直親日分布資料(1).香川生物15・16:19− 21.. 富永修.1985い ParapodismaInformation no.43.ばったりぎす 63:21.

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