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第1部第Ⅱ146 レジャーボートの受け入れを行うことで新たな来訪者の取り込みを行い 平成 15(2003) 年に憩いの家 ばんやの湯 をオープンしたところ 来客数は2 万人から40 万人へと急激に増加しました 平成 18(2006) 年には 海の駅 に登録され 観光遊覧船等家族で安心して遊べる施設づ

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第6節 安全で活力ある漁村づくり

(1)浜の活力再生プラン

 漁業は漁村の産業基盤であるため、漁村の活性化のためには地域漁業の活性化が欠かせま せん。漁業が全体的にふるわない状況にある原因として燃油等資材の高騰や漁業者の高齢化 等が指摘されていますが、個々の経営体における問題点は個々の経営体や地域が置かれてい る状況によって異なることから、問題点を有効に解決するためには、画一的な方策ではなく、 それぞれが置かれている状況に即して検討する必要があります。  このため、漁村及び地域漁業の活性化のためには、何が問題となっておりその解決のため にはどうすべきかを漁村地域が自ら検討し、解決の方策を決めることが必要です。その内容 としては、例えば水産加工業や観光業等の関連産業との連携、水産物流通の工夫による魚価 の向上、新型漁船の導入による収益性の向上や省エネ機器の導入によるコストの削減等の取 組が考えられます。各浜の漁業協同組合又は漁業者団体は、平成25(2013)年度から、市町 村等と共同で地域の実情に即した「浜の活力再生プラン」を策定し、プランに掲げた取組の 実施を開始しています。

(2)水産業・漁村における地域資源の活用

(地域資源を活用した漁村の活性化)  漁村は、自然にあふれた環境の下、新鮮な魚介料理や、遊漁や海水浴等レクリエーション にも事欠かず、多くの観光客を惹きつけています。また、多くの観光客の訪問は宿泊施設、 飲食施設、レジャー施設等の立地を促し、これらによる雇用の場が創出され、漁村の活性化 にも大きく貢献します。このため、各漁村がそれぞれ持つ特有の地域資源をその漁村の住民 が再発見し、活用を図ることが重要です。

第6節 安全で活力ある漁村づくり

地の利と地域資源を活用して地域の活性化を図る

(千葉県 保

漁業協同組合)

 房総半島の南西部に位置する千葉県安房郡鋸きよ南なん町は、首都圏から日帰りが出来るというアクセスの良さ から、観光客が多く訪れています。また、前浜に広がる東京湾の豊かな漁場と自然、温暖な気候により、 古くから沿岸漁業や花き栽培といった1次産業が盛んに行われてきました。  しかし、近年は不安定な所得体系や就労環境の未整備等から、若年層の1次産業への就業意欲は低く、 漁業や農業の担い手が不足する一方で、首都圏に近いことから若年層が都市部へ流失する状況にありまし た。  そこで鋸きよ南なん町では、保田地区にある保田漁業協同組合を中心に、海や水産資源といった地域資源を活用 した都市漁村交流を積極的に行い、地域の活性化に取り組むこととしました。  「魚のことを誰よりも知っている」という漁業者の強みを活かし、漁業協同組合直営の食堂「ばんや」 を平成7(1995)年にオープンしたのを皮切りに、平成11(1999)年には、伊豆半島や大島に行くプ

事 例

(2)

(漁村地域における6次産業化・地産地消の取組)  国は、農山漁村の所得・雇用の増大及び地域活力の向上を図るため、1次産業としての農 林漁業、2次産業としての製造業及び3次産業としての小売業等の事業との総合的かつ一体 的な推進を図り、新たな付加価値を生み出す6次産業化の取組を推進しています。漁村地域 においては、漁業と加工・流通業の一体化や、観光業と融合する取組が6次産業化の取組の 例として考えられます。  また、地元消費者に向けて地元の水産物を販売する取組や、地元消費者が率先して地元の 水産品を消費する、いわゆる地産地消の取組が進められています。地産地消は、消費者側か らは流通が簡素化され割安となるほか、生産現場が近いため安心感があるといった利点があ ります。また、漁業者側にも少量しか漁獲されず一般の流通に乗りにくい魚介類でも販売し やすく、流通コストがそれほどかからないといった利点があります。  6次産業化や地産地消の取組を支援することを目的とする「地域資源を活用した農林漁業 者等による新事業の創出等及び地域の農林水産物の利用促進に関する法律*1」に基づく「総 合化事業計画」の認定件数は、平成26(2014)年3月末現在で1,815件となっており、その うち水産物に関するものは125件(7%)となっています。また、農林漁業者と中小企業者 が連携し、それぞれの経営資源を有効に活用して新商品開発や販路開拓等を行う「農商工等 連携」の取組を支援することを目的とする「中小企業者と農林漁業者との連携による事業活 動の促進に関する法律*2」に基づく「農商工等連携事業計画」の認定件数は、平成26(2014) 年2月末現在で612件となっており、そのうち水産物に関するものは91件(15%)となって います。  さらに、平成25(2013)年2月には「株式会社農林漁業成長産業化支援機構法*3」に基づ き、官民共同出資の株式会社農林漁業成長産業化支援機構(A-FIVE)が営業を開始しており、 地域ファンド等による6次産業化事業体への出資等を通じて6次産業化の取組を強化・拡大 することとしています。ファンドからの出資支援は平成26(2014)年3月末現在で8件が決 定されており、そのうち水産業に関するものは3件となっています。  平成18(2006)年には「海の駅」に登録され、観光遊覧船等家族で安心して遊べる施設づくりや、観 光バスの受け入れ施設の整備、観光拠点への無料循環バスの運行といった地域活性化の取組を行い、先進 地として多くの視察を受け入れ、地域間での意見交換を積極的に行っています。  今後は、首都圏からの日帰り客が主体である現状を踏まえ、どうすれば滞在者を増やせるかという課題 に取り組んでいく方針です。 *1 平成22(2010)年法律第67号 *2 平成20(2008)年法律第38号 *3 平成24(2012)年法律第83号

(3)

第6節 安全で活力ある漁村づくり

(3)水産業・漁村が発揮する多面的機能

 漁村は、漁業者を始めとする住民の生活の場であるとともに、そこで水産業が営まれるこ とにより魚介類や海藻等を生産し、加工を行う場ともなっています。その一方で、水産業・ 漁村には、このような水産物の安定供給という本来的機能のほかに、①自然環境を保全する 機能、②海難救助や国境監視活動等の国民の生命財産を保全する機能、③居住や交流の「場」 を提供する機能、④地域社会を形成し維持する機能等の多面的な機能を備えています(図Ⅱ −6−1)。また、その評価額は、定量評価が可能なものだけに限定しても年間総額9兆 2,052億円に達するものと試算されています*1。  こうした水産業・漁村の多面的機能は、誰もが享受できる公益性を有しており、私たちの 生活に様々な恵みをもたらしています。しかしながら、このような機能は漁村に人々が生活 し、水産業が継続して営まれることではじめて発揮されるものであるため、今後とも漁村人 口の減少・高齢化が進行し漁村の活力が更に衰退すれば、水産業・漁村の活力によって支え られている多面的機能の発揮にも支障を来すことが懸念されます。水産業・漁村の多面的機 能を維持、強化していくことは、国土を海に囲まれ海からの恵みを十分に享受することが国 民の福祉における大きな要素となっている我が国にとって重要な課題であり、政府が一体と なった取組を行っていくこととしています。  平成25(2013)年度からは、国民の生命財産の保全、地球環境保全、漁村文化の継承とい った水産業・漁村の多面的機能の発揮に資する地域の漁業者等の活動について国が支援する 制度が実施されています。

A-FIVEによる「クルマエビの周年販売」への支援

(沖縄県 沖縄栽培水産(株))

 6次産業化事業体への出資を行うA-FIVEは、平成25(2013)年9月2日に、機構による出資支援の第 一号となる3つの6次産業化事業体への出資を決定しました。この中には、クルマエビの養殖・加工品製 造を行う(株)拓水と養殖用飼料・資材の販売 を行う(株)オザキが共同出資した、沖縄栽培 水産(株)への出資が含まれています。  今回の出資を受け、沖縄栽培水産(株)は、 地元の漁業協同組合と協力し、気候が温暖な沖 縄県与那国島の地の利を活かした高品質なクル マエビの周年生産を新たに開始するとともに、 最新の技術を用いたクルマエビの冷凍加工と自 社販売を行い、高品質なクルマエビの安定供給 を実現することを計画しています。将来的には、 与那国島のみならず沖縄県内で広く国産のクル マエビの生産に取り組み、クルマエビの国内周 年供給の拡大が期待されています。 NCB九州6次化支援ファンドによる支援の概要 (株)農林漁業成長産業化支援機構と西日本シティ銀行が半々の出資で サブファンド(NCB九州6次化応援ファンド)を設立。 NCB九州6次化応援ファンドから沖縄栽培水産株式会社に対して出資 を行う。 国 沖縄栽培水産株式会社 株式会社拓水 株式会社オザ キ 株式会社 農林漁業成長産業支援機構 NCBリサーチ& コンサルティング 西日本 シティ銀行 民間 金融機関  食品企業等 (産業投資) 《投資先》 出資 出資 出資 運営 出資 経営支援 農林水産物 等 技術、販路、 ノウハウ 出資 出資 出資 貸付 NCB 九州6次化 応援ファンド 機構の3大業務 ①出資 ②融資 ③マッチング *1 平成15(2003)年3月「多面的機能評価等にかかる調査報告書」(水産庁)

事 例

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資料:日本学術会議答申を踏まえて農林水産省で作成(水産業・漁村関係のみ抜粋)

世界遺産「知床」における漁業の役割

 北海道の知床は、平成17(2005)年に世界遺産一覧表 に記載されました。知床周辺海域では生物生産の豊かさに 支えられて、昔から漁業活動が活発に行われており、漁業 を基幹産業として地域が発展してきました。  特にサケ・マス類は地域の主要な水産資源として重要な 存在です。サケ・マス類は海で成長し、産卵のために河川 を遡そじょう上する際にヒグマ等陸上動物の重要な食料となるほ か、その死骸は分解され森への栄養となり、知床の豊かな 生態系を支えています。漁業者はふ化放流事業の実施等に よる資源管理を積極的に行い、サケ・マス類資源の維持・ 増大に努めています。また、トド等の海獣類の餌になるス ケトウダラについても、漁業者は網目の拡大、禁漁期・禁 漁区の設定、減船等の自主的規制措置を導入しています。 知床の生態系の概念図 資料:北海道庁ホームページ資料に基づき水産庁で作成 シマフクロウ ヒグマ 植物 オオワシ・ オジロワシ プランクトン サケ・マス 海の魚 流氷 エゾシカ トド・ アザラシ

コラム

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第6節 安全で活力ある漁村づくり

(4)水産業の振興における漁港の役割

 漁港は、漁船の係留、燃油や食料等の補給、修理、水揚地として漁業にとって欠かせない 存在です。我が国沿岸には2,909の漁港が立地しており、利用範囲により第一種漁港から第 四種漁港に分類されています。沿岸漁業が発達している我が国漁業の実情を反映し、漁港の 約4分の3は主に地元漁業者が利用する第一種漁港となっています(表Ⅱ−6−1)。  水揚地である漁港には水産物の流通・加工施設等多くの施設が集積しますが、地域の水産 業の特徴に応じて漁獲物に特色があることから、流通・加工施設もその特色に応じた施設が 立地する傾向にあります。この特色を町おこしの中心コンセプトとして利用している地域も みられます。  漁港は水揚地として水産物流通における出発点であり、漁港での水産物の取扱いは当該水 産物の品質や評価を決定づけるものとして重要です。このため、漁港においても適切な衛生 管理を行うことが求められています。国では、水産物の流通拠点となる漁港について、衛生 管理対策による競争力強化のため、衛生的な漁港の整備等の取組に対し支援をしています。

(5)漁村地域における防災機能の強化と減災対策の推進

(漁村の現状)  我が国の海岸線の総延長は約35,306㎞に及びます。一方、漁業集落数は6,298あり、平均し て海岸線5.6㎞ごとに漁業集落が立地しています。漁業集落が海岸にくまなく立地すること により、我が国の国土の保全とその均衡ある発展に寄与しています。  このように、知床では海洋生態系の保全と持続的な水産資源の利用による安定的な漁業の営みの両立が 図られています。この知床の管理方式は、東南アジアやアフリカ沿岸国等のように膨大な数の漁業者が多 様な魚種を様々な漁法で採捕する国・地域において今後の生態系保全に大きく貢献する可能性も指摘され ており、新しい管理手法のモデル(知床方式)として世界的にも高く評価されています。 表Ⅱ−6−1 第一種∼第四種漁港の漁港数と利用範囲 漁 港 数 2,927 2,921 2,914 2,912 2,909  第 一 種 その利用範囲が地元の漁業を主とするもの。 2,217 2,210 2,205 2,200 2,179  第 二 種 495 496 496 499 517  第 三 種 その利用範囲が全国的なもの。 101 101 101 101 101  特定第三種 13 13 13 13 13  第 四 種 101 101 99 99 99 平成15年 (2003) (2008)20 (2011)23 (2012)24 (2013)25 (単位:港) 資料:水産庁調べ 注:漁港数にあっては、平成15(2003)年は当年12月31日現在の港数。平成20(2008)年及び23(2011)年∼25(2013)年は当年4月 1日現在の港数。 その利用範囲が第一種漁港よりも広く、第三種 漁港に属しないもの。 第三種漁港のうち水産業の振興上特に重要な漁 港で政令で定めるもの。 離島その他辺地にあって漁場の開発又は漁船の 避難上特に必要なもの。

(6)

るため、山がちで平地に乏しかったり、病院等が充実している都市部へのアクセスに難があ る場合や、湾の奥に位置して自然災害の影響を受けやすいなど、漁業以外の産業の振興や生 活面において不利な条件を抱えています(表Ⅱ−6−2)。漁業集落の家屋の立地状況をみ ると、9割の漁業集落が集居集落・密居集落となっています。これは、漁村内での連帯感を 強める効果がある一方で、新たな施設や家屋の建築が困難であるなど、転入者が漁村に定着 しにくい原因ともなっています。 (災害に強い漁業地域づくり)  背後に山が迫る 狭きょう隘あいな土地に位置する漁村では、漁業関係施設や家屋が狭い土地や崖下 に密集しています。このため、多くの漁村が地震や津波等の災害に対して脆ぜいじゃく弱となってい ます。さらに、高齢者が多く居住している一方で、釣り客や観光客が漁村外から来訪するこ とから、災害発生時の地域の救助体制等に特有の課題を抱えています。  このような中、漁港は災害により陸路が寸断された際に人間の移動や物資の搬出入等で重 要な役割を果たしています。東日本大震災においても、耐震強化岸壁を有していたため地震 や津波による被害が無かった漁港は、被災直後から復旧・復興に大きく貢献しました。また、 完全に倒壊しなかった防波堤や岸壁は、津波等に対して防護壁としての機能をある程度維持 し、背後にある集落の被害軽減等に寄与しました。これを踏まえ、国では平成25(2013)年 8月30日に「平成23年度東日本大震災を踏まえた漁港施設の地震・津波対策の基本的考え 方」をとりまとめ、防波堤や防潮堤による多重防御の活用や、防波堤・岸壁を津波に対して 壊れにくく粘り強い構造にすることで漁港を壊れにくくし、背後の漁村集落の被害を少なく することとしています(図Ⅱ−6−2)。  我が国は島国であり、海からの災害についても万全な対策をとることが国土を 強きょう靱じん化かす る上で重要であり、漁村・漁港はまさに海と陸の接点に位置することから、その防災・減災 については、国土の 強きょう靱じん化かの一環として、政府として取り組むことが必要です。 表Ⅱ−6−2 漁港背後集落が立地する地域の指定状況 資料:水産庁調べ(平成25(2013)年3月末現在)  注:岩手県、宮城県、福島県を除く結果 4,190 1,435 765 2,731 1,459 100.0% 34.2% 18.3% 65.2% 34.8%   65歳以上の高齢者が50% 638 233 247 526 112   以上を占める集落数 15.2% 36.5% 38.7% 19.3% 7.4% 合  計 過疎地域 非過疎地域 うち離島地域 うち半島地域 漁港背後集落数

(7)

第6節 安全で活力ある漁村づくり

図Ⅱ−6−2 地震・津波に対応した構造物の例 漁港・漁村の防災・減災対策 【課題】東日本大震災では、津波により多くの防波堤、岸壁が壊滅的な被害を受け、     これにより漁港及び背後の集落に多大な被害が発生。 ■発生頻度の高い津波(L1津波)  人命保護に加え、住民財産の保護、地域の経済活動の安定化、効率的な生産拠点の確保の観点から、漁港施設・海岸保全施設等を整備 ■最大クラスの津波(L2津波)  住民等の生命を守ることを最優先とし、住民の避難を軸に、とりうる手段を尽くした総合的な津波対策の実施 【津波対策の考え方】 (参考文献) 壊滅的な被害を受 ⇒けた防波堤と集落 東北地方太平洋沖地震を教訓とした地 震・津波対策に関する専門調査会報告 避難場所としての緑地整備 岸壁の耐震・耐津波強化 防波堤と防潮堤による多重防護の活用 漁港及び背後集落のイメージ 漁港から高台への避難路の整備 粘り強い防波堤等の整備 岸壁の拡幅 地震や津波の 力 に 対 し て、 岸壁が滑らず、 また、転倒し ないようにす る。 岸壁の一体化 既設岸壁と補強 したコンクリー トを一体化させ、 岸壁が滑らず、 また、転倒しな いようにする。 多重防護によって、 ①堤外地の水産関連施設や 漁船等の減災、 ②堤内地の人命・財産等の 防災・減災 を効率的かつ効果的に推進 防波堤に ①L1津波に対して機能を維 持し、 ②L1津波を超える津波に対 しても、全壊しにくく、全 壊に至る時間を少しでも長 く延ばすことを可能とする、 構造上の工夫(粘り強い構造) を付加 陸揚用岸壁 緊急搬送用岸壁 (耐震強化岸壁) 防潮堤 防波堤 防波堤 押し波の 越流 人工地盤 避難機能を備えた人工地盤の整備 押し波 による力 堤体の拡幅 津波の力に対し て、堤体が滑ら ず、また、転倒 しないようにする 捨石の嵩上げ・拡幅 越流に対して、基礎部 分が掘られないように する 洗掘の 防止 防波堤が倒壊した場合の 津波高 と 防潮堤高 堤外地(漁港) 堤内地(集落) 防潮堤 防波堤 【防波堤による効果】津波浸水高、流速の低減 津波到達時間の遅延

漁業協同組合による災害時の相互支援協定

(高知県 すくも湾漁業協同組合、島根県 漁業協同組合JFしまね)

 南海トラフ巨大地震で甚大な津波被害が予想されている高知県宿すく毛も市のすくも湾漁業協同組合は、万一 被災した際に早期に水産業を再開させるための事業継続計画(BCP)を平成25(2013)年3月に策定し ましたが、この計画を補強するため、被災リスクの異なる漁業協同組合JFしまねと被災後に水産業の再 開のために必要となる人員や物資の相互支援を行うための協定を平成25(2013)年9月に締結しました。  漁業協同組合同士の災害協定は全国初の取組であり、その内容は、①緊急時の職員派遣、②市場業務に 必要な資材提供、③水産物の委託販売、④冷凍冷蔵庫等の施設使用に及びます。すくも湾漁業協同組合の 浦尻代表理事組合長は、「組合員やその家族を守るために努力したい」として、今後も災害対策を充実さ せていく姿勢です。

事 例

(8)

 漁港には冷凍・冷蔵施設や加工施設等、多くのエネルギーを消費する施設が集中して立地 しており、全国の漁港では合わせて6億5,300万kWh /年の電力及び252万キロリットル/ 年の燃油を消費し、年間687万tの二酸化炭素が排出されていると推計されています*1。  燃油価格が高止まりしている中、燃油消費量の削減は経営上も重要な課題ですが、漁業は 自然環境に大きく依存し、環境の変化により大きな影響を受ける産業であることから、燃油 の使用は地球温暖化につながるとの指摘もある中、省エネルギー化の推進や再生可能エネル ギーの活用により、自然環境の保全に貢献することが重要です。そのため、施設の省エネル ギー化に努めるほか、使用するエネルギーを再生可能エネルギー電気に転換するなどの手法 が考えられます。  特に再生可能エネルギーの一つである風力発電に関しては、洋上の風力エネルギーは陸上 以上の潜在力があるものと考えられており、洋上風力発電について大きな関心が寄せられて います。洋上風力発電施設は欧州で積極的に設置されていますが、これらはいずれも浅い海 域に設置される着床式が主体となっています。着床式は浅い海域でしか採用できないため設 置場所が限られるだけでなく、沖合の方が風が強くかつ風力の変動が少ないため効率良く安 定的な発電が見込まれることから、水深の深い海域でも設置できる浮体式洋上風力発電の実 用化が求められています。現在、国が主体となり、長崎県五島列島沖及び福島県沖で浮体式 洋上風力発電の実証実験が進められており、世界的に注目を集めています。  一方、洋上風力発電所には、人間が常駐しにくく行き来も不便なことからメンテナンス面 で課題があるほか、漁業者等の他の海面利用者との調整が必要かつ重要です。このため、漁 業関係では(一社)大日本水産会及び全国漁業協同組合連合会が事業者からの相談の窓口と なっています。  また、平成25(2013)年11月に成立した「農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生エネ ルギー電気の発電の促進に関する法律*2(農山漁村再生可能エネルギー法)」において、農 山漁村における再生可能エネルギー電気の発電の促進は、農林漁業の健全な発展に必要な農 林地や漁港及びその周辺水域の確保を図るため、これらの農林漁業上の利用と再生可能エネ ルギー電気の発電のための利用との調整を適切に行うことが同法の基本理念として位置づけ られています。このため、本法に基づき、市町村が、農林漁業と調和した再生可能エネルギ ー発電による農山漁村の活性化に関する方針や再生可能エネルギー発電設備の整備を促進す る区域等を定める基本計画を作成・実施する際には、漁業者も含めた関係者が一堂に会する 協議会を設置できることとなっています。 *1 漁港のエコ化推進のための技術検討会「漁港のエコ化方針(中間取りまとめ)」 *2 平成25(2013)年法律第81号

参照

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