The Japanese Association of Management Accounting
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Assooiation of Management Aooounting
日本 管理会 計 学 会 誌 管理会計 学 第2巻 第2号 1993 年 秋 季 号
研究資 料
コ ン ピュ ー
タ 1
二
改善点表示の 方法 につ い て
よる経 営 診 断シ ス テ ムの 設 計
金川 一 夫 * 羽 藤 憲一 + 菅 錦 吾 ‡
〈研 究 要 旨〉
本 研 究は,融 資業務のエ キスパート ・シス テム を構築する 際 に,す で に提 案さ れて
い る改 善 点 を表 示 する とい う機 能に対 して,シス テ ム の イン プッ ト とアウ トプッ トの 属 性の問題 を解 決 する た め に, 改 善 点 表示の た めの 新 しい 方法を 提案し, その有用 性
を検 証 したこ とに特 徴がある,
イン プ ッ トデータは,個々 の担 当 者の主観が入 り,担 当 者が全 く同.一の基 準で情 報
を収 集 ・分 析して も同一の データ を
人 力す る と は限ら ない .そこ では担 当 者の主観 性
の 影 響 を常に受け る.また,推 論 結果 と しての ア ウ トプ ッ トデ ータは,担当 者 にフ ィ
ードバ ッ クされ るが,それ は, この 融 資 交 渉が 少しで も円滑に進め ら れ る こ と が で き る よう な情 報とする必 要がある.
こ の よ う な シス テ ムの イン プ ッ ト とアウ トプ ッ トの属 性の問題 を解決 す る た めの 1
つ の 方 法と して,改善点の表 示 方 法 を 改 善 する こ と によ り行お う と する意図 か ら,最 優 先 改 善 点 表 示 法と し て最も改 善 すべ き もの を一つ だ
け表 示 する方 法と,全改 善 点 表 示 法と して改 善し得る 全 て のもの を表 示す る方 法との 2つ の代 替 的な方 法を提 案し た. そ して ,これ らの 代 替的 な方 法を検証 し,全 改 善 点 表示法として提案さ れ る方 法が 有用 である こと を 明 ら か にした.
〈 キーワード〉
経 営 診 断シ ス テ ム ,改 善 点 表 示 法, エ キスパ ートシ ス テ ム,最 優 先 改 善 点 表 示 法,全 改 善 点 表 示 法
1993 年5月受f寸
*近 畿 大 学 工 学 部 経 営 工 学 科 講 師
†近 畿 大 学 工 学 部 経 営 工 学 科 助 手
‡せ と う ち 銀行渉 外 係
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管 理 会計学 第 2巻 第2号
1。 は じめ に
銀行の 融 資業務におい て与信判 断 を行なう際に,取 引 先へ の 融 資に 対 して 否認で は ない が承認の た めには, 条 件を提 示し て さ らに折衝 を す すめ る とい う場合が ある.融 資 業務 を 対象と した与信 判 断エ キス パ ー ト・シス テ ム を構 築 する際 ,この こ と を行 うた め に条件 付
と して改善 点を表示す る機能 を 組 み 込 む こ と が 必 要で あ る。
この よ うな条件 付とし て改 善点を表 示 する機 能は知 識 整理の段 階で ,ル ール に改 善 点 を 組み込む こ とによ り 可能となる ことは金川 ら [1]によっ て示 され て い る.本研 究で は,新 規取 引先か らの借入申込 に対 して担 当 者が得た情 報をシス テ ム に入力 する際 , 同一・の環境
に おい て,担 当者個々の 性格の 違い に よ る イン プッ トデ ータ に影響 する評価が シ ス テ ム か ら
の ア ウ トプッ トデ ータ に で き る だ け影響 を及ぼ さ ない ようにする た めに,そ してその推論 結 果で ある ア ウ トプ ッ トデ ータ と して の改 善点の情 報を利 用 し て ,担 当 者が融資 交 渉を円 滑 に進める こ とがで きる ように す る た め に,こ の ような 改善点表示の新 た な 方 法 を提 案 する.
2. 研 究の 目的
本 研 究の 対象は, シ ス テム へ の イ ン プ ッ ト とシス テ ム か らの ア ウ トプ ッ トの 属性に 関連
して い る .
(1)インプッ トデー タ
取引先か ら借入 申込 打診を受け た とき,担当者は次の ように情 報の収 集 と整理, そ して こ れ らの情報の 分析 ・検討を行 う.
第 1段 階.情 報の 収 集
情報の 収集と して は, 積極方針が確定 してい る新規 取 引 先 と対 処方 針が未確定の 新 規取 引 先 とで は方法が 異 な る.前 者 は,地 区 高 額所得法 人リスト,同業 者あ るい は取 引 先の 評 判,
興信 所 情 報 等で情 報を得る こ と が 出来る,後 者は, 事前の 情 報の 蓄積が 少ない た め に 先方
の話を十分に聞 き, 借 入申込 内容か ら会社 の 内 容 まで 要 領 よ く情 報 を 収 集 す る. 第2段 階 .情 報の整 理
第1段 階で得 られ た融 資判 断に必 要な情 報 を整理 する . 第3段階.第 1段 階 と第 2段 階の 相互反復作 業に よる実態の把 握
第2段 階の情 報の整理に よっ て不足 部 分を把 握 し, その 不足 部 分を補 うた め に新た に情 報 を集め整理する.
第4段 階 . 情 報の分 析 ・検 討
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コ ンビ1 一タに よ る 経営 診 断シ ステム の設 計
第 1段 階から第 3段 階まで の作 業 に よ り得られ た情 報の分 析 ・検 討を行 う.担 当者は完 壁な情 報を得る こ と は不 可 能である が , 自信 を持て る とい うと こ ろ まで 情 報を集め な け れ
ば な ら ない .
この よ うな分 析 ・検討の結果 と して の 情 報 を, シス テ ム に イン プッ トデ ータと して 入力
す る.
(2)ア ウトプッ トデ ー タ
この よ うな 取引 先か らの 借 入申込打 診に 関 す る担当者の情 報 に 対 して ,銀 行 内で の 意思 決定は, 実際に は, 稟議制度を通 じて行われ る.すなわ ち,次の よ うに案件の受付 , 店 内 協 議, そ して稟議 審 査の順に行われ る.
第 1段 階.案 件の受 付
取 引先 よ り借 入 申込 を受 ける と,担 当者は案件の受付を開始 する. 第 2 段階.店 内協 議
案件の 受付を終 了 し た 担 当者は, 融資 係に案件を取 り次 ぎ, 関係 者に よ る案 件の店 内協 議が 行われ る.そ こ で , 取 引先の 申込に対 し て店 内協議の結果 を稟 議 書に ま とめ る. 第3段 階 .稟 議 審査
作成 さ れた稟議 書 によ り支店 長 席で 最終 意思 決 定は稟議審査 を 通 じて行われ る.
こ の 最 終 意思決 定の 結 果が,ア ウ トプ ッ トデ ータ で ある.そし て ,これ ら案 件の受 付 , 店 内協議 ,稟議 審査の プロ セ ス をエ キ スパ ー ト・シス テ ム とし て構 築 し ようと し てい る の
で あ り,この シス テム は支 店の意 思 決 定を支援 する もの である.
この場合に,問 題 と な るの は , イ ン プ ッ ト データ と ア ウ ト プ ッ ト データ で ある.イ ンプ
ッ トデータ は
, 個々 の 担当者の主観が 入 り, 全 く同 一の基準で 情報を収集分析して も, 同 一の イン プッ トデ ータを入 力する とは限ら ない で あろ う.したが っ て , 取 引先か らの 情 報 をシス テ ムへ の イ ンプ ッ トデータ と して 評 価 す る 際,担 当 者の 主 観 性の 影 響 を受け るで あ ろ う.
ま た, シ ス テ ム の 推 論 結 果 と して の ア ウ トプ ッ トデ ータ は
, 担 当 者に フ ィー ドバ ッ ク さ れ る が,この 結 果は, これ か らの取引 先 に対 す る 対 応 に影 響 を 及 ぼ す もの で ある.す な わ ち, 借入 申込に対 し て問題 点多 しと して 謝絶 する こ とは簡 単で ある. しか し, 担 当者が継 続 的に訪問 を 重 ねて き た新規取 引 先を,それ も先 方か ら具 体的 な内容で打 診の あっ た先 を 逃 すこ とは ない と思わ れ る .こ の よ うに, シ ス テ ム か らの ア ウ トプ ッ トデ ータ は
, この 借
入申込が可能となる ように折 衝を進める こ とがで きる よ うな情 報 とする必 要がある . したが っ て, 本研 究の 目 的は, 以 上の よ うなシス テ ム の イン プッ トデータ とア ウ トプ
ッ
ト デ ータ の属 性の 問題を解 決するため の シ ステ ム構 築の方 法を提 案 する こ とである,
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3. シス テ ム の イ ンプッ トとア ウ トプッ ト
経営 診 断シ ス テ ムへ の イン プッ ト は, 担 当者 に よ り取 引先か ら得 ら れ た事 実とし て の情 報である 。これ は, 厂事実 」と呼ばれ る.そ して その ア ウ ト プ ッ ト は, シス テム に よ り「推 論 」さ れ た結 果 と して の取 引 先へ の 対 応の情 報で あ る.そ こ で これ らの 「事 実 」と「推 論 」
と をエ キ ス パ ー ト ・シ ス テム の も う一つ の特 徴 と して の 「関係 」との 関連につ い て, コ ン ピユ ータ言語Prologに よっ て表現する と次の よ うに示 すこ とが で きる.
(1)事実
事実 とし て の 情報は, 経 営者の人 柄 ,取 扱 商 品 ,販 売先 , 担 保物 件なとの取 引先 につ い
て の デ ータで ある. 事実の 例
経 営 者の 人 物 が 良い 経 営者 (良い ). 販売 先が妥 当 販売 先(妥 当 ). 担保を提供 する 担 保(提 供 する ).
(2)関係
そ れ ぞ れの事実の 問 に生 じ る 関係で あ る.こ れに はAND の 関係とOR の関係が ある. AND の 関 係の例
経営 者の 人物が良く,かつ ,販売先が妥 当,かつ ,担 保を提供 するな ら ば融 資は全額 行 う.
融資(全 額):一経営者 (良い ), 販売 先(妥 当), 担 保(提供 する ), OR の 関係の例
経営 者の 人 物が悪い , か つ
, 販売先が妥 当, また は, 販売先がや や妥 当,かつ ,担保を
提 供 す る な ら ば 融資は条 件付で行 う.
融 資(条件 付):一経 営 者(悪い ),販 売 先(妥 当), 担 保(提供 する ), 融資(条 件 付 ) :一経 営 者(悪い ), 販 売 先(や や妥 当 ),担 保 (提 供 す る ),
(3)推論
これ らの 関係の 集ま りが ,ル ール で あ り, この ルール によ り推 論 が 行われる. ルール の 例
関係 1 融 資(全 額):一経営 者(良い ),販売先(妥 当), 担保(提 供 する ). 関係 2 融 資(条 件付):一経営 者(悪い ),販 売 先(妥 当 ), 担 保 (提 供 する ). 融 資(条件 付):一経 営 者(悪い ), 販売 先(や や妥当 ), 担保 (提供す る ).
関係 3 融 資(否 認 ):一経営 者(悪い ),販売 先(不 適 切 ), 担 保醜 供 し ない ).
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コ ン ピュ ータ に よ る経 営 診 断シス テム の設 計
これ らの 関 係 1か ら3 まで に よっ て 1つ の単 純な融 資 判 断の ル ールが形 成 さ れ る.こ れ に よ り,融資を判 断す る推 論 機 構が構 築さ れる の である.例え ば ,「経 営 者の 人 物は悪い ,
販 売 先は や や妥当, 担 保 を提供 する 」とい う事 実がある と仮 定 する .こ の 事実は次の よう
に示 さ れ る.
事 実 1 経 営 者(悪い ), 事 実2 販 売 先(や や妥 当). 事 実 3 担 保(提 供する ).
こ れ らの 事実がシス テ ム に イン プッ ト さ れ る と, 前 述の 融 資判 断の ル ール の 中 か らこ の
事 実 を支 持 する関係 2 を見つ け 出 し, ア ウ ト プ ッ トと して 融資は条 件 付 きで 行 うと推 論 さ れ るので あ る.
こ れ らの イン プッ トと ア ウ ト プッ トの デ ータ は, 金川 ら [1]の シス テ ム で は, 次の よ うに示さ れ る .イン プ ッ トデ ータ とし て の事 実は, 以 下に示 す基 本要素に 対 して応答する 形で示 さ れ る.
基本 要 素 1 申請 額は妥 当で ある か.
基本要素 2 :既存 行との 絡み か ら, 借入実現の見 通 しは どの 程 度 か.
基 本 要 素 3 申込 先の 当 行 の位 置づ けは どの 程 度 か, 真剣な取引構想 が ある のか. 基本 要素 4 経営 者の 人物 , 能力は どうか.
基本 要素 5 販売先は適 切で あ る か. 基 本 要素 6 担 保提 供は どの程 度か.
基 本 要 素 7 :社長 個 人 及 び固定性 預 金 に よる 保 全 は どうか. 基本要素 8 今 後の 企業 取引で の採算は どの程 度 あるか,
基本 要素 9 従 業 員を含む個人取 引で の採 算は どの程 度 ある か . 基 本要素 10 そ の他の付随 取 引での 採 算は どの程 度 あ る か.
担 当 者に よっ て 集め ら れ た こ れ らの イン プ ッ トデ ータ と して の 事実 か ら 以下 の ような 中 間情 報 を導 き出す .
中 間 情報 1 ’当 該融資打 診につ い て先方の期 待 感は どの 程度 強い の か. 中間情 報 2 債 権保 全 策は どうか 。
中間情 報 3 取 引メ リ ッ トは あるか.
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