合格書式
マニュアル
不動産登記
不動産登記
不動産登記
The Judicial Scrivener
Goukaku-Shoshiki Manual
司 法 書 士
書 式 の 心 構 え
例年、午後の部の第36問、第37問で出題される書式の試験は、いわば司法書士が行う模 擬の登記申請です。これから司法書士になるみなさんが、法令にしたがって法務局へ申請 情報を正しく提供することができるのかが試されます。したがって、登記官に読めるよう に記載しなければならないことは言うまでもありません。以下のルールに従って書式の記 載をするようにしていきましょう。 ① 書式の答案用紙への解答の記載は、万年筆又はボールペン(いずれも黒色のインクに 限る。ただし、インクがプラスチック消しゴムで消せるものは不可。)に限ります。 ② 書式の答案用紙への解答の記載は、略字、続け字を使わないほうが望ましい。 ③ 訂正、加入又は削除をしたときは、押印や字数を記載することは要しないが、訂正は 訂正すべき字句に線を引き近接箇所に正書し、加入は加入する部分を明示して行い、削 除は削除すべき字句に線を引いて、その内容が明確に分かるようにする。決して修正液 又は修正テープでの訂正をしないこと。 みなさんがこれから答練、公開模試を受けていく中でこれらのルールが守れない場合は ①、③については点数を付けてもらえなかったり、②については減点されてしまうおそれ があります。なぜならば、①、③については本試験問題の指示であり、②については採点 者の心証を害するからです。例えば以下のような略字を使用しないほうがいいでしょう。 具体例 ②の略字について 権 問 × ○ × ○ ③の訂正について B持分全部 B持分全部 移転 所有権移転 ○ ③の削除について 変更後の事項 ○ 朴 又 × ×目 次
第1章 所
有
権
1.表題部所有者名義の所有権保存登記 ··· 2 2.表題部所有者名義の所有権保存登記(共有者の1人からの申請) ··· 4 3.相続人名義の所有権保存登記··· 6 4.合併会社名義の所有権保存登記 ··· 8 5.数次相続人名義の所有権保存登記 ··· 10 6.判決による所有権保存登記 ··· 12 7.敷地権付き区分建物の所有権保存登記 ··· 14 8.売買による所有権移転登記··· 18 9.所有権一部移転登記(共有物不分割の定めがある場合) ··· 22 10.相続人から申請する所有権移転登記 ··· 26 11.敷地権付き区分建物の所有権移転登記(親子間の売買) ··· 28 12.持分の一部が権利の目的となっている持分移転 ··· 30 13.共有物分割による所有権移転登記 ··· 34 14.相続による所有権移転登記 ··· 38 15.数次相続による所有権移転登記 ··· 44 16.遺産分割協議による所有権移転登記 ··· 46 17.合併による所有権移転登記 ··· 48 18.会社分割による所有権移転登記 ··· 50 19.遺留分減殺による所有権移転登記 ··· 52 20.相続人不存在による所有権登記名義人の氏名等の変更登記 ··· 54 21.民法第 958 条の 3 の審判による所有権移転登記 ··· 56 22.特別縁故者不存在確定による所有権移転登記 ··· 58 23.胎児名義への所有権移転登記 ··· 60 24.胎児が生きて生まれた場合の所有権登記名義人の氏名等の変更登記 ··· 62 25.遺贈による所有権移転登記(遺言執行者がいる場合) ··· 6631.持分のみの更正 ··· 84 32.所有権移転から所有権一部移転への更正 ··· 86 33.所有権一部移転から所有権移転への更正 ··· 88 34.登記原因の更正 ··· 90 35.保存登記の更正 ··· 94 36.保存登記の更正(区分建物の場合) ··· 96 37.所有権移転登記の抹消 ··· 98 38.詐害行為取消判決による所有権抹消登記 ··· 100 39.所有権保存登記の抹消 ··· 102 40.買戻特約 ··· 104 41.買戻権移転登記 ··· 106 42.買戻権行使による所有権移転登記 ··· 108 43.買戻期間満了による買戻権抹消登記 ··· 110
第2章 抵
当
権
44.抵当権設定登記 ··· 114 45.抵当権設定登記(取締役の債務を会社が担保する場合) ··· 118 46.保証委託契約による求償債権を担保する抵当権設定登記 ··· 120 47.元本と利息を併せて担保する抵当権設定登記 ··· 122 48.数個の債権を担保する抵当権設定登記 ··· 124 49.債権の一部を担保する抵当権設定登記 ··· 126 50.外貨表示の債権を担保する抵当権設定登記 ··· 128 51.一定の金額の支払いを目的としない債権を担保する抵当権設定登記 ··· 130 52.共同抵当権の設定登記(同時設定) ··· 132 53.共同抵当権の設定登記(追加設定) ··· 134 54.目的、原因、設定者が異なる共同抵当権設定登記 ··· 138 55.債権譲渡による抵当権移転登記 ··· 142 56.債権一部譲渡後にその債権を更に譲渡した場合の抵当権移転登記 ··· 144 57.債権の持分譲渡による抵当権移転登記 ··· 146 58.代位弁済による抵当権移転登記 ··· 148 59.一部代位弁済による抵当権移転登記 ··· 150 60.相続による抵当権移転登記 ··· 15263.利息の元本組入による抵当権変更登記 ··· 158 64.債権額の減少による抵当権変更登記 ··· 160 65.一部弁済による抵当権変更登記 ··· 162 66.抵当権一部移転後に移転を受けた債権者への弁済による抵当権変更登記 ··· 166 67.抵当権一部移転後に原抵当権の債権の弁済による抵当権変更登記 ··· 168 68.利息の特別登記による抵当権変更登記 ··· 170 69.免責的債務引受による抵当権変更登記 ··· 172 70.重畳的債務引受による抵当権変更登記 ··· 174 71.債務者の相続による抵当権変更登記 ··· 176 72.債務者の共同相続登記後の債務引受を原因とする抵当権変更登記 ··· 180 73.債務者更改による抵当権変更登記 ··· 182 74.抵当権の効力を所有権全部に及ぼす変更登記 ··· 186 75.共有者の1人の持分につき抵当権が消滅した場合の抵当権変更登記 ··· 188 76.債務者の氏名等の変更による抵当権変更登記 ··· 190 77.順位変更登記 ··· 192 78.順位変更登記の更正登記 ··· 196 79.順位変更登記の抹消登記 ··· 198 80.転抵当権の登記 ··· 200 81.抵当権の譲渡の登記 ··· 204 82.抵当権の放棄の登記 ··· 206 83.抵当権の順位譲渡の登記 ··· 210 84.抵当権の順位放棄の登記 ··· 212 85.抵当権の一部の順位譲渡(放棄)の登記 ··· 214 86.抵当権の一部のための順位譲渡(放棄)の登記 ··· 216 87.債権全額の弁済による抵当権抹消登記 ··· 218 88.権利混同による抵当権の抹消登記 ··· 220 89.代物弁済による抵当権の抹消登記 ··· 222 90.不動産登記法 70 条 3 項前段による抵当権抹消登記 ··· 224
95.共同根抵当権の追加設定登記 ··· 240 96.極度額増額変更契約による根抵当権変更登記 ··· 242 97.極度額減額変更契約による根抵当権変更登記(共同根抵当権において順位番号・原因日 付が異なる場合) ··· 244 98.減額請求(民法398条の21)による根抵当権変更登記 ··· 248 99.債権の範囲の変更契約による根抵当権変更登記 ··· 250 100.債務者の変更契約による根抵当権変更登記 ··· 252 101.債務者の氏名等の変更による根抵当権変更登記 ··· 256 102.確定期日の伸長による根抵当権変更登記 ··· 258 103.確定期日の短縮による根抵当権変更登記 ··· 260 104.確定期日の新設による根抵当権変更登記 ··· 262 105.確定期日の廃止による根抵当権変更登記 ··· 264 106.根抵当権の全部譲渡による根抵当権移転登記 ··· 266 107.根抵当権の一部譲渡による根抵当権一部移転登記 ··· 268 108.根抵当権の分割譲渡による根抵当権分割譲渡登記 ··· 270 109.権利譲渡による共有者の権利移転登記 ··· 274 110.権利放棄による共有者の権利移転登記 ··· 276 111.根抵当権者の相続による根抵当権移転登記 ··· 280 112.指定根抵当権者の合意による根抵当権変更登記 ··· 282 113.指定根抵当権者の合意登記後の共同根抵当権追加設定登記 ··· 284 114.債務者の相続による根抵当権変更登記 ··· 286 115.指定債務者の合意による根抵当権変更登記 ··· 288 116.指定債務者の合意登記後の共同根抵当権追加設定登記 ··· 290 117.根抵当権者の合併による根抵当権移転登記 ··· 292 118.根抵当権者の会社分割による根抵当権一部移転登記 ··· 294 119.債務者の合併による根抵当権変更登記 ··· 296 120.債務者の会社分割による根抵当権変更登記 ··· 298 121.優先の定めの登記 ··· 300 122.優先の定めの変更登記 ··· 302 123.元本確定による根抵当権元本確定登記 ··· 304 124.債権全部弁済による根抵当権抹消登記 ··· 310 125.消滅請求による根抵当権抹消登記 ··· 312
第4章 仮
登
記
126.所有権移転仮登記(1号仮登記) ··· 320 127.所有権移転請求権仮登記(2号仮登記) ··· 322 128.条件付所有権移転仮登記 ··· 324 129.始期付所有権移転仮登記 ··· 326 130.単独申請による所有権移転仮登記(仮登記を命ずる処分) ··· 328 131.所有権以外の仮登記(抵当権設定仮登記) ··· 332 132.1号仮登記された所有権の移転仮登記 ··· 334 133.1号仮登記された所有権の移転請求権仮登記 ··· 336 134.所有権移転請求権の移転登記 ··· 338 135.所有権移転請求権の移転請求権仮登記 ··· 340 136.1号仮登記された所有権を目的とする抵当権設定仮登記 ··· 344 137.1号仮登記を2号仮登記に更正 ··· 346 138.2号仮登記を1号仮登記に更正 ··· 348 139.所有権の仮登記に基づく本登記 ··· 350 140.所有権以外の仮登記に基づく本登記(抵当権設定仮登記の本登記) ··· 354 141.仮登記の抹消登記 ··· 356 142.仮登記名義人の単独申請による仮登記の抹消登記 ··· 358 143.利害関係人の単独申請による仮登記の抹消登記 ··· 360 144.利害関係人(仮登記義務者)の単独申請による仮登記の抹消登記 ··· 362 145.担保仮登記の本登記 ··· 364第5章 そ の他の 登記
146.登記名義人の氏名等の変更登記 ··· 370 147.登記名義人の氏名等の更正登記 ··· 372 148.登記名義人の氏名等の変更・更正登記 ··· 374 149.仮処分による失効を原因とする所有権抹消登記 ··· 378 150.仮処分による一部失効を原因とする所有権更正登記 ··· 380第 1 章
所
有
権
1.表題部所有者名義の所有権保存登記 申請書の記載例(法務省民事局の申請書様式による) 登記記録の記録例 表題部 所有者 豊島区南大塚三丁目5番8号 持分3分の1 A 同所同番同号 3分の2 B 権利部 甲区 1 番 所有権保存 平成25年9月1日受付第23454号 共有者 世田谷区深沢一丁目3番2号 持分3分の1 A 豊島区南大塚三丁目5番8号 3分の2 B 登 記 申 請 書 登記の目的 所有権保存 所 有 者 世田谷区深沢一丁目 3 番 2 号 持分3分の1 A 豊島区南大塚三丁目 5 番 8 号 3分の2 B 添 付 情 報 住所証明情報 変更を証する情報 代理権限証明情報 平成 25 年 9 月 1 日 法 74 条 1 項 1 号申請 ○法務局 代 理 人 何市何町何丁目何番何号 C ○印 連絡先の電話番号 00-0000-0000 課 税 価 格 金 1,000 万円 登録免許税 金4万円 不動産の表示 (省略)
1.意義 所有権の登記のない不動産について、初めてされる所有権の登記である。 表題登記と違って登記義務の強制がなく、所有権保存登記の申請は所有者の任意に 任せられており、対抗問題を生じない限り、登記をしなくても何ら差し支えない。 2.登記申請手続 ア 目的(不登18条) 「所有権保存」と記載する。 イ 申請人(不登18条) ① 単独申請(不登74条) ② 申請適格者(不登74条) 以下に該当しない者は所有権保存登記の申請をすることができない。 ア 表題部所有者(同条1項1号) イ 表題部所有者の相続人その他の一般承継人(同条1項1号) ウ 所有権を有することが確定判決によって確認された者(同条1項2号) エ 収用(土地収用法その他の法律の規定による収用をいう。第118条第1項及び 第3項から第5項までにおいて同じ)によって所有権を取得した者(同条1項3号) オ 区分建物にあっては、表題部所有者から所有権を取得した者(同条2項) ③ 共有不動産について所有権保存登記を申請する場合には、持分を冠記する(不 登令3条9号)。 ウ 添付情報 ① 住所証明情報(不登令別表28添ニ) ② 代理権限証明情報(不登令7条1項2号) ③ 変更・更正を証する情報 申請書に記載する所有者の表示が住所変更・更正等により表題部に記録された 所有者の表示と合致しない場合に、同一性を証する書面を添付すれば所有権保存 登記の前提として表題部所有者の表示変更・更正登記を申請する必要はない。 エ 根拠法令(不登令別表28申イ) 保存登記の場合は根拠法令をも記載する。 オ 課税価格・登録免許税(不登規189条1項) 不動産の課税価格に1000分の4を乗じた額(登税別表第1.1.(1))を納付する。
2.表題部所有者名義の所有権保存登記(共有者の1人からの申請) 登記記録の記録例 表題部 所有者 豊島区南大塚三丁目5番8号 持分3分の1 A 同所同番同号 3分の2 B 権利部 甲区 1 番 所有権保存 平成25年9月1日受付第23454号 共有者 豊島区南大塚三丁目5番8号 持分3分の1 A 同所同番同号 3分の2 B 登記の目的 所有権保存 所 有 者 豊島区南大塚三丁目 5 番 8 号(住民票コード 01234567890) (申請人)持分3分の1 A 同所同番同号 3分の2 B 添 付 情 報 住所証明情報 代理権限証明情報 平成 25 年 9 月 1 日 法 74 条 1 項 1 号申請 ○法務局 課 税 価 格 金 1,000 万円 登録免許税 金4万円
1.意義 申請人が数人いる場合には、共有者全員が共同してあるいは共有者の1人が全員の ために、共有物の保存行為として(民252条ただし書)、保存登記を申請することがで きる。ただし、共有者の1人が自己の持分についてのみの保存登記を申請することは できない(明32.8.8-1311号)。 2.登記申請手続 ア 申請人(不登18条) 申請人になる者の氏名の上に「(申請人)」と記載する。 イ 添付情報 ① 代理権限証明情報(不登令7条1項2号) 具体的に申請人になる者のみの委任状を添付する。 ② 住所証明情報(不登令別表28添ニ) 住民票コード(住民台7条13号)を記載した場合は、添付情報として住所証明情 報(住民票の写し)の提出を省略することができる(不登令9条、不登規36条4項、 登研686号417頁参照)。所有者全員の住民票コードを記載した場合は、「住所証明 情報」と記載する必要はない(登研686号416頁参照)。
3.相続人名義の所有権保存登記 登記記録の記録例 表題部 所有者 何市何町何丁目何番何号 A 権利部 甲区 1 番 所有権保存 平成25年9月9日受付第23478号 所有者 何市何町何丁目何番何号 C ※甲区には申請人である表題部所有者の相続人が記録される。 登記の目的 所有権保存 所 有 者 (被相続人 A) 何市何町何丁目何番何号 C 添 付 情 報 住所証明情報 一般承継を証する情報 代理権限証明情報 平成 25 年 9 月 9 日 法 74 条 1 項 1 号申請 ○法務局 課 税 価 格 金 1,000 万円 登録免許税 金4万円
1.意義 表題部所有者が死亡して相続が開始した場合、表題部所有者の相続人は直接自己名 義に所有権保存登記を申請することができる(不登74条1項1号後段)。 2.登記申請手続 ア 申請人(不登18条) ① 「所有者」として相続人全員の住所、氏名と各持分を記載して、被相続人の氏 名のみを括弧書きする。 ② 相続人が数人いる場合に保存登記未了の間に、他の相続人が相続放棄をしたり、 遺産分割協議により特定の相続人が当該不動産を取得した場合に、その不動産を 取得した相続人は、直接自己名義に保存登記を申請することができる。 ③ 包括受遺者はここでいう相続人に含まれないので、直接自己名義に保存登記を 申請することはできず、いったん遺贈者名義に保存登記をした後、遺贈を原因と して受遺者名義に移転登記をする。 イ 添付情報 ① 一般承継を証する情報(不登令別表28添イ) 申請人たる相続人が当該不動産を相続したことを証する相続証明書の添付を要 する。
4.合併会社名義の所有権保存登記 登記記録の記録例 表題部 所有者 何市何町何丁目何番何号 A株式会社 権利部 甲区 1 番 所有権保存 平成25年9月9日受付第23478号 所有者 何市何町何丁目何番何号 B株式会社 ※甲区には申請人である表題部所有者の新設(存続)会社が記録される。 登記の目的 所有権保存 所 有 者 (被合併会社 A株式会社) 何市何町何丁目何番何号 B株式会社 代表取締役X 添 付 情 報 住所証明情報 一般承継を証する情報 資格証明情報 代理権限証明情報 平成 25 年 9 月 9 日 法 74 条 1 項 1 号申請 ○法務局 課 税 価 格 金 1,000 万円 登録免許税 金4万円
1.意義 表題部所有者である法人に合併が生じた場合、一般承継人として、合併後の存続法 人、新設法人名義に直接申請することができる(不登74条1項1号後段)。 2.登記申請手続 ア 申請人(不登18条) ① 「所有者」として新設又は存続会社の本店、商号を記載して、被合併会社の商 号のみを括弧書きする。 ② 申請人が法人であるときは、その代表者の氏名が、申請情報の内容となる(不 登令3条2号)。 イ 添付情報 ① 住所証明情報(不登令別表28添ニ) 申請人である会社の登記事項証明書を添付する。 ② 一般承継を証する情報(不登令別表28添イ) 申請人である会社の登記事項証明書を添付する。 ③ 資格証明情報(不登令7条1項1号) 法人が申請人の場合、代表者の資格証明情報を添付する。 ④ 代理権限証明情報(不登令7条1項2号) 3.参考 表題部所有者が保存登記をする前に死亡した場合、相続人名義で保存登記をするこ ともできるが、相続人から表題部所有者である被相続人名義で保存登記をすることも できる。申請人としては、登記記録に所有者として記録されるのは、相続人でなく表 題部所有者である被相続人であるので、「亡」と冠記し表題部所有者の氏名・住所を記 載し、相続人からの申請になるので「相続人」と冠記をして相続人を記載する。 住所証明書としては、表題部所有者である被相続人の住民票の除票の写し等を添付 する。 登 記 の 目 的 所有権保存 所 有 者 何市何町何丁目何番何号 (被相続人) 亡A 申請人(相続人) 何市何町何丁目何番何号 B 添 付 情 報 住所証明情報 一般承継を証する情報 代理権限証明情報 平成25年9月9日 法74条1項1号申請 ○法務局 課 税 価 格 金1,000万円 登 録 免 許 税 金4万円
5.数次相続人名義の所有権保存登記 登記記録の記録例 表題部 所有者 何市何町何丁目何番何号 A 権利部 甲区 1 番 所有権保存 平成25年10月9日受付第23478号 共有者 何市何町何丁目何番何号 持分2分の1 C 何市何町何丁目何番何号 2分の1 D 登記の目的 所有権保存 所 有 者 (被相続人 A) (上記相続人 亡B) 何市何町何丁目何番何号 持分2分の1 C 何市何町何丁目何番何号 2分の1 D 添 付 情 報 住所証明情報 一般承継を証する情報 代理権限証明情報 平成 25 年 10 月 9 日 法 74 条 1 項 1 号申請 ○法務局 課 税 価 格 金 1,000 万円 登録免許税 金4万円
1.意義 表題部に被相続人が所有者として記録されている場合にはその相続人は直接自己名 義に所有権保存登記を申請することができる(不登74条1項1号後段)。この被相続人に は申請人の直接の被相続人のみならず、被相続人の相続人も含むので、表題部所有者 から数次にわたって相続があった場合には、現在の相続人は直接自己名義に保存登記 することができる。 2.登記申請手続 ア 申請人(不登18条) 数次相続人の単独申請である。「所有者」として数次相続人全員の住所、氏名と各 持分を記載して、被相続人の氏名を括弧書きする。さらに数次相続の場合には各相 続の経緯を明らかにするために被相続人の氏名のほか中間相続人の氏名をも括弧書 きする。 イ 添付情報 ① 一般承継を証する情報(不登令別表28添イ) 申請人たる数次相続人が不動産を相続により表題部所有者から取得したことを 証する戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)等を添付する。 ※関連事項 1.保存登記の名義人 表題部所有者が持分2分の1A、持分2分の1甲において、下記相続関係説明図 のような数次相続があった場合の保存登記における共有名義の種類 保存登記における共有名義の組合せは下 記のとおりである。 ①C、D、丙、丁名義の保存登記 ②C、D、乙名義の保存登記 ③B、丙、丁名義の保存登記 ④B、乙名義の保存登記 ⑤A、丙、丁名義の保存登記 ⑥A、乙名義の保存登記 ⑦甲、C、D名義の保存登記 ⑧甲、B名義の保存登記 ⑨A、甲名義の保存登記 A 甲 B 乙 C D 丙 丁 H11.2.1 死亡 H9.8.2 死亡 H8.9.1 死亡 H10.4.6 死亡
6.判決による所有権保存登記 登記記録の記録例 表題部 所有者 何市何町何丁目何番何号 A 権利部 甲区 1 番 所有権保存 平成25年7月20日受付第18378号 所有者 何市何町何丁目何番何号 C 登記の目的 所有権保存 所 有 者 何市何町何丁目何番何号 C 添 付 情 報 住所証明情報 所有権を有することが確定判決によって確認されたことを証する情報 代理権限証明情報 平成 25 年 7 月 20 日 法 74 条 1 項 2 号申請 ○法務局 課 税 価 格 金 1,000 万円 登録免許税 金4万円
1.意義 判決により自己の所有権を証明する者は直接自己名義に所有権保存登記を申請する ことができる(不登74条1項2号)。判決によって所有権を有することが確定していて所 有者に間違いないからである。 ここでいう判決は、「確認判決」、「給付判決」、「形成判決」、確定判決と同一の効力 を有する和解調書、調停調書、審判書等でもよい。 判決による保存登記は、表題登記のない不動産についてもすることができる(不登 75条)。この場合は登記官が職権により表題登記をする(不登規157条)。 2.登記申請手続 ア 添付情報 ① 所有権を有することが確定判決によって確認されたことを証する情報(不登令 別表28添ロ) 必要なる証明書類として判決正本又は謄本を添付する。判決は確定していなけ ればならないので、確定証明書も添付する。申請適格を証するために添付するの であり登記原因証明情報とはならない。 3.重要先例 ・ 不動産登記法74条1項2号の判決により自己名義で所有権の保存登記を申請する場 合、申請情報に添付すべき判決は、表題部に所有者として記載されている者全員を 被告とするものでなければならない。(平10.3.20-552号)
7.敷地権付き区分建物の所有権保存登記 登記記録の記録例 表題部(一棟の建物の表示) 敷地権の目的たる土地の表示 1 世田谷区深沢一丁目3番28 宅地 625.78㎡ 2 世田谷区深沢一丁目3番29 宅地 225.45㎡ 表題部(専有部分の建物の表示) 敷地権の表示 1 所有権 100分の5 2 地上権 100分の5 所有者 何市何町何丁目何番何号 B株式会社 権利部 甲区 1 番 所有権保存 平成25年7月20日受付第18378号 登記の目的 所有権保存 原 因 平成 25 年 7 月 20 日売買 所 有 者 何市何町何丁目何番何号 A 添 付 情 報 登記原因証明情報 住所証明情報 承諾を証する情報 代理権限証明情報 平成 25 年 7 月 20 日 法 74 条 2 項申請 ○法務局 課 税 価 格 建 物 金 1,000 万円 敷地権(所有権)金 500 万円 (地上権)金 300 万円 登録免許税 建 物 金4万円 敷地権(所有権)金 10 万円 (地上権)金3万円 合 計 金 17 万円
2.登記申請手続 ア 登記原因及びその日付(不登令3条6号) 登記原因及びその日付を記載する(不登令3条6号)。原則として、敷地権にも同一 の登記原因による相当の登記たる効力を有するので、敷地権についての移転原因を 示すためである。 イ 申請人(不登18条) ① 単独申請 敷地権の移転の効力を有する場合でも、所有権保存登記であるため、敷地権の 移転義務を負う者は登記義務者とならず、表題部所有者から直接譲り受けた者の 単独申請である。 ウ 添付情報 ① 登記原因証明情報(不登令別表29添ロ) ② 敷地権の登記名義人の承諾を証する情報(不登令別表29添ロ) エ 課税価格 建物、敷地権の種類により登録免許税の税率が異なる場合は税率を異にするもの ごとに各別に記載する。 オ 登録免許税(不登規189条1項) 敷地権付きの区分建物の不動産登記法74条2項の保存登記の場合には、区分建物の 保存登記と敷地権の移転登記分についての登録免許税を納付しなければならない。 よって、専有部分については、保存登記分として、課税価格に1000分の4を乗じた もの(登税別表第1.1.(1))、敷地権が所有権の場合には、売買による移転登記分と して、課税価格に1000分の20を乗じたもの(登税別表第1.1.(2)ハ)、敷地権が地上 権、賃借権の場合には、売買による移転登記分として、課税価格に1000分の10を乗 じたもの(登税別表第1.1.(3)ニ)を納付する。 例えば、建物の価格が金1,000万円、敷地権(所有権)の目的である土地の価格が 金1億円、敷地権(地上権)の目的である土地の価格が金6,000万円であり、租税特 別措置法による税の減免の規定の適用はないものとすると、 ①建物 金1,000万円×4/1000=金4万円 ②敷地権(所有権) 金1億円×5/100×20/1000=金10万円 ③敷地権(地上権) 金6,000万円×5/100×10/1000=金3万円 合計 ①+②+③=金17万円となる。 3.参考(敷地権の表示のない区分建物の所有権保存登記) 敷地権の表示のない区分建物についても表題部所有者から直接所有権を譲り受けた
及びその日付の記載を要しない(不登令別表29添ロ参照)。 ※資 料 1.不動産登記法74条2項の敷地権の表示の登記のある区分建物と敷地権の表示の登 記のない区分建物の保存登記の添付情報の比較 添 付 情 報 敷地権の表示あり 敷地権の表示なし 登 記 原 因 証 明 情 報 ○ × 所有権を取得したことを証する情報 ×(注) ○ 敷地権の登記名義人の承諾を証する情報 ○ × 住 所 証 明 情 報 ○ ○ 登 記 識 別 情 報 × × (注) 登記原因証明情報に含まれる(不登令別表29添ロ)。 ※関連事項 2.保存登記の申請形態 ①表題登記のない不動産をAからBが取得した場合 ア.非区分建物の場合 原始取得者 表題登記 保存登記 移転登記 1.A A A B (不登74条1項1号前段) 2.A B B (不登74条1項1号前段) 3.A A B (不登74条1項1号後段、2号、3号) 4.A B (不登74条1項2号、3号) 登 記 の 目 的 所有権保存 所 有 者 何市何町何丁目何番何号 A 添 付 情 報 所有権を取得したことを証する情報 住所証明情報 代理権限証明情報 平成 25 年 7 月 20 日 法 74 条 2 項申請 ○法務局 課 税 価 格 金○円 登 録 免 許 税 金○円
※区分建物は、常に原始取得者からの表題登記となる(不登47条1項参照) ウ.敷地権付き区分建物の場合 原始取得者 表題登記 保存登記 移転登記 1.A A A B (不登74条1項1号前段) 2.A A B (不登74条2項) ②Aに表題登記のある不動産を表題登記前にAからBが取得した場合 ア.非区分建物の場合 表題登記 保存登記 移転登記 1.A (更正) ※表題登記では主体が入れ代わる更正も可 B B (不登74条1項1号前段) 2.A A B (不登74条1項1号前段) 3.A B (不登74条1項1号後段、2号、3号) イ.敷地権なしの区分建物の場合 表題登記 保存登記 移転登記 1.A A B (不登74条1項1号前段) 2.A B (不登74条1項1号後段、2号、3号、2項) ウ.敷地権付き区分建物の場合 表題登記 保存登記 移転登記 1.A A B (不登74条1項1号前段) 2.A B (不登74条2項) ③Aに表題登記のある不動産を表題登記後にAからBが取得した場合 ア.非区分建物の場合 表題登記 保存登記 移転登記 1.A A B (不登74条1項1号前段) 2.A B (不登74条1項1号後段、2号、3号) イ.敷地権なしの区分建物の場合 表題登記 保存登記 移転登記 1.A A B (不登74条1項1号前段) 2.A B (不登74条1項1号後段、2号、3号、2項) ウ.敷地権付き区分建物の場合 表題登記 保存登記 移転登記 1.A A B (不登74条1項1号前段) 2.A B (不登74条2項)
8.売買による所有権移転登記 登記記録の記録例 権利部 甲区 2 番 所有権移転 平成17年11月7日受付第34537号 原因 平成17年11月7日売買 所有者 何市何町何丁目何番何号 A 3 番 所有権移転 平成25年9月20日受付第27646号 原因 平成25年9月20日売買 所有者 何市何町何丁目何番何号 株式会社B 登記の目的 所有権移転 原 因 平成 25 年 9 月 20 日売買 権 利 者 何市何町何丁目何番何号 株式会社B 代表取締役X 義 務 者 何市何町何丁目何番何号 A 添 付 情 報 登記原因証明情報 登記識別情報 印鑑証明書 住所証明情報 資格証明情報 代理権限証明情報 課 税 価 格 金 1,000 万円 登録免許税 金 20 万円
1.登記申請手続 ア 登記の目的(不登18条) 所有権全部の移転であるので、「所有権移転」と記載する。 イ 登記原因及びその日付(不登令3条6号) 所有権が移転した日付で「年月日売買」と記載する。当事者の特約がある場合に は、特約日、売買予約に基づく場合には、予約完結権行使の日、停止条件付の場合 には、条件成就の日にそれぞれ所有権が移転するのでその日付を記載する。 農地を売買する場合には、売買契約後に農地法の許可書が到達したときは、許可 書到達日が原因日付となる。 ※農地法の許可の要否 許可必要 売買、合意解除、特定遺贈、共有物分割、買戻権行使 等 許可不要 法定解除、包括遺贈、共有持分放棄、相続、時効取得 等 ウ 添付情報 ① 登記原因証明情報(不登令別表30添イ) ② 登記識別情報(不登22条) ③ 印鑑証明書(不登令18条2項) ④ 住所証明情報(不登令別表30添ロ) ⑤ 資格証明情報(不登令7条1項1号) ⑥ 代理権限証明情報(不登令7条1項2号) エ 課税価格・登録免許税(不登規189条1項) 不動産の課税価格に1000分の20を乗じたもの(登税別表第1.1(2)ハ)を納付する。 ※関連事項 3.売買契約後の農地法の許可と当事者の死亡 A 甲 相 相 続 続 B 乙 Aが甲に農地を売却した場合に農地法の許可と相続の前後関係の下記の各事例につい て検討をしてみよう。 (1)①Aから甲への売買、②農地法の許可申請、③Aが死亡しBが相続、④農地法の 売買
ので、①相続を原因としてBへの所有権移転登記を申請し、売主死亡後に許可書が 到達した場合でも、許可は有効であり、売主の相続人にもその効力が及ぶので、② 許可書到達日を原因とする甲への所有権移転登記を申請し、その後に③相続を原因 として乙への所有権移転登記をする。Aから乙への直接の所有権移転登記は中間省 略登記となるので申請できない(昭40.3.30-309号)。 (2)①Aから甲への売買、②Aが死亡しBが相続、③農地法の許可申請、④農地法の 許可書到達、⑤甲が死亡し乙が相続した場合の登記申請 売主が許可申請をすることなく死亡した場合には、売主の相続人は、売買契約に 基づく、農地の所有権移転義務を承継しているので、義務の一内容である農地法の 許可の申請をし、所有権移転登記をする事になる。売主死亡から許可書到達までの 間は、売主の相続人に所有権がいったん帰属するので、①相続を原因としてBへの 所有権移転登記を申請し、②許可書到達日を原因として甲への所有権移転登記を申 請し、その後に③相続を原因として乙への所有権移転登記をする。 (3)①Aから甲への売買、②農地法の許可申請、③甲が死亡し乙が相続、④農地法の 許可書が到達した場合の登記申請 農地の譲受人である死者に対してなされた、農地法3条の許可は無効で、その相続 人に許可の効力が及ぶことはなく、所有権移転登記の申請をすることはできない(昭 51.8.3-4443号)。なお、農地法5条について明らかにした先例はない。
9.所有権一部移転登記(共有物不分割の定めがある場合) 登記記録の記録例 権利部 甲区 1 番 省略 2 番 所有権移転 平成17年11月7日受付第34537号 原因 平成17年11月7日売買 所有者 何市何町何丁目何番何号 A 3 番 所有権一部移転 平成25年9月20日受付第27646号 原因 平成25年9月20日売買 特約 5年間共有物不分割 共有者 何市何町何丁目何番何号 持分2分の1 B株式会社 登記の目的 所有権一部移転 原 因 平成 25 年 9 月 20 日売買 特 約 5年間共有物不分割 権 利 者 何市何町何丁目何番何号 持分2分の1 株式会社B 代表取締役X 義 務 者 何市何町何丁目何番何号 A 添 付 情 報 登記原因証明情報 登記識別情報 印鑑証明書 住所証明情報 資格証明情報 代理権限証明情報 課 税 価 格 移転した持分の価格 金 500 万円 登録免許税 金 10 万円
1.登記申請手続 ア 登記の目的(不登18条、不登令3条11号ホ) ○「所有権一部移転」 ○「共有者全員持分全部 移転」 ○「A、B持分全部移転」 又は「Cを除く共有者 全員持分全部移転」 ○「A持分一部移転」 ○「A持分6分1、B持 分6分の1移転」 ※数回にわたり取得した持分のうち一部を移転する場合 ○「所有権一部(順位○番で登記した持分)移転」 ○「A持分一部(順位○番で登記した持分)移転」 ○「A持分一部(順位○番で登記した持分一部)移転」 イ 共有物不分割の定め 所有権一部移転登記を申請する場合に、共有物分割禁止の定めがあるときは、申 請書に記載することを要する(不登令3条11号ニ、不動産登記記録例(平21.2.20-500 号)200、以下「記録例」と呼ぶ。)。 ウ 申請人(不登18条) 権利の一部移転登記を申請する場合には、氏名の上に移転する持分を冠記する(不 登令3条11号ホ)。申請人が法人であるときは、その代表者の氏名が、申請情報の内 容となる(不登令3条2号)。 エ 課税価格 不動産の全体の課税価格に移転する持分割合をかけた額を課税価格とし、「移転し た持分の価格」と冠記する。 A 1/2A 1/2B 1/3A 1/3B 1/3C D 1/3A 1/3B 1/3C 1/3C 2/3D 1/2A 1/2B 1/4A 1/2B 1/4C 1/2A 1/2B 1/3A 1/3B 1/3C
※比較 1.権利消滅の定めがなされた場合の登記記録の記録例 権利部 甲区 1 番 省略 2 番 所有権移転 平成17年11月7日受付第34537号 原因 平成17年11月7日売買 所有者 何市何町何丁目何番何号 A 3 番 所有権移転 平成25年9月20日受付第27646号 原因 平成25年9月20日売買 所有者 何市何町何丁目何番何号 B 付記1号 3番所有権移転失効の定 買主Bが死亡した時は所有権移転が失効する 平成25年9月20日付記 権利消滅の定めの登記は、権利移転の登記に付記してなされる(不登規3条6号)。 また、権利消滅の定めは原因行為の時にその一部として定めて、所有権移転登記の申 請書に記載して登記しなければならず、後日、権利消滅の定めのみの登記申請はするこ とができない。
10.相続人から申請する所有権移転登記 登記記録の記録例 甲区 2 番 所有権移転 平成17年11月7日受付第34537号 原因 平成17年11月7日売買 所有者 何市何町何丁目何番何号 A 3 番 所有権移転 平成25年4月4日受付第10478号 原因 平成24年12月15日売買 所有者 何市何町何丁目何番何号 B 登記の目的 所有権移転 原 因 平成 24 年 12 月 15 日売買 権 利 者 何市何町何丁目何番何号 亡B 何市何町何丁目何番何号 上記相続人E 何市何町何丁目何番何号 上記相続人F 義 務 者 何市何町何丁目何番何号 亡A相続人C 何市何町何丁目何番何号 亡A相続人D 添 付 情 報 登記原因証明情報 登記識別情報 印鑑証明書 一般承継を証する情報 住所証明情報 代理権限証明情報 課 税 価 格 金 1,000 万円 登録免許税 金 20 万円
1.意義 売買契約成立後、売主が死亡した場合には、被相続人が生前に売買した不動産は買 主に所有権が移転をしているので、相続財産とはならず、相続人に所有権は移転せず、 相続人は被相続人の登記申請義務を承継し、被相続人に代わって、買主への所有権移 転登記をする。買主が死亡した場合には、いったん被相続人に所有権が移転し、その 後相続人に移転しているので、直接相続人名義に所有権移転登記をすることはできず、 登記申請義務を承継した相続人から被相続人に代わって、被相続人名義への所有権移 転登記をして、その後、相続人名義の所有権移転登記をすることになる。 2.登記申請手続 ア 申請人(不登18条) ① 登記権利者 登記権利者が死亡して、相続人が数人いる場合には、保存行為として(民252 条ただし書)、相続人の1人から相続人全員のために登記を申請することができる。 ② 登記義務者 登記義務者が死亡して、相続人が数人いる場合には必ず相続人全員が申請人と ならなければならない(昭27.8.23-74号)。積極財産について相続分のない特別受 益者も、相続人であり、登記義務を承継するので申請人となる。 イ 添付情報 ① 登記原因証明情報(不登令別表30添イ) ② 登記識別情報(不登22条) ③ 印鑑証明書(不登令18条2項) 登記義務者全員(所有権登記名義人の相続人全員)の印鑑証明書を添付する。 ④ 一般承継を証する情報(不登令7条1項5号イ) 申請人適格を証するために、相続人であることを証する戸籍謄本(戸籍全部事 項証明書)等を添付する。 ⑤ 住所証明情報(不登令別表30添ロ) 登記権利者(買主(被相続人))の住民票の除票の写し等を添付する。
11.敷地権付き区分建物の所有権移転登記(親子間の売買) 登記記録の記録例 表題部(一棟の建物の表示) 敷地権の目的たる土地の表示 1 世田谷区深沢一丁目3番28 宅地 625.78㎡ 2 世田谷区深沢一丁目3番29 宅地 225.45㎡ 表題部(専有部分の建物の表示) 敷地権の表示 1 所有権 100分の4 2 地上権 100分の4 権利部 甲区 2 番 所有権移転 平成17年8月12日受付第24357号 原因 平成17年8月12日売買 登記の目的 所有権移転 原 因 平成 25 年 6 月 8 日売買 権 利 者 何市何町何丁目何番何号 B 義 務 者 何市何町何丁目何番何号 A 添 付 情 報 登記原因証明情報 登記識別情報 印鑑証明書 住所証明情報 代理権限証明情報 課 税 価 格 建物及び敷地権(所有権) 金 1,400 万円 敷地権(地上権) 金 240 万円 登録免許税 建物及び敷地権(所有権) 金 28 万円 敷地権(地上権) 金2万 4,000 円 合 計 金 30 万 4,000 円
1.意義 専有部分と敷地利用権が分離して処分ができない旨の登記がされた場合、売買を原 因とする所有権移転の登記は、区分建物に「売買」を登記原因とする所有権移転登記 をすれば、敷地権についても同一の登記原因による登記をしたのと同一の効力を認め ることになるので、土地の登記記録にする必要はない(不登73条1項)。 2.登記申請手続 ア 申請人 ① 利益相反行為 親権者と未成年の子との間で利益が相反する行為については、特別代理人を選任し、 親権者に代わって代理権、同意権を行使する(民826条)。親権者と未成年の子と間で 売買契約を締結する場合には、子が売主、買主の場合でも、利益相反行為となる。 ② 特別代理人 共同親権者の一方と利益相反行為となる場合には、特別代理人の選任を要し、 その特別代理人と利益相反とならない親権者とが共同して未成年の子を代理する。 登記の申請は、特別代理人、親権者又は未成年の子のいずれがしてもよい(昭 32.4.13-379号)。 イ 添付情報 ① 印鑑証明書(不登令18条2項) 特別代理人から申請する場合には、特別代理人の印鑑証明書を添付する。 親権者から申請する場合には、利益相反しない親権者のみの印鑑証明書を添付する。 ② 代理権限証明情報(不登令7条1項2号) 特別代理人から申請する場合は、委任状の他に特別代理人の資格を証する選任 審判書をも添付する。 親権者から申請する場合には、委任状の他に親権を証する戸籍謄本、特別代理 人の印鑑証明書及び選任審判書を添付する。 ウ 課税価格・登録免許税(不登規189条1項) 税率が異なるものごとに課税価格を記載する。 敷地権付きの区分建物の場合には、区分建物と敷地権の移転登記分について、登録 免許税を納付しなければならない。区分建物については課税価格に1000分の20を乗じ たもの(登税別表第1.1.(2)ハ)、敷地権については、所有権の場合には、売買による 移転登記分として、課税価格に1000分の20を乗じたもの(登税別表第1.1.(2)ハ)、敷 地権が地上権、賃借権の場合には、売買による移転登記分として、課税価格に1000 分の10を乗じたもの(登税別表第1.1.(3)ニ)を納付する。
12.持分の一部が権利の目的となっている持分移転 (1)権利の目的となっている部分(最初に申請する登記) (2)権利の目的となっていない部分(2番目に申請する登記) 登記の目的 所有権一部(順位3番で登記した持分)移転 原 因 平成 25 年 11 月 4 日売買 権 利 者 何市何町何丁目何番何号 持分3分の2 D 義 務 者 何市何町何丁目何番何号 B 添 付 情 報 登記原因証明情報 登記識別情報 印鑑証明書 住所証明情報 代理権限証明情報 課 税 価 格 移転した持分の価格 金 2,000 万円 登録免許税 金 40 万円 登記の目的 B持分全部移転 原 因 平成 25 年 11 月 4 日売買 権 利 者 何市何町何丁目何番何号 持分3分の1 D 義 務 者 何市何町何丁目何番何号 B 添 付 情 報 登記原因証明情報 登記識別情報 印鑑証明書 住所証明情報
登記記録の記録例 権利部 甲区 2 番 所有権移転 平成16年6月7日受付第26537号 原因 平成16年6月7日売買 所有者 何市何町何丁目何番何号 A 3 番 所有権一部移転 平成17年6月5日受付第25767号 原因 平成17年6月5日売買 共有者 何市何町何丁目何番何号 持分3分の2 B 4 番 A持分全部移転 平成19年10月5日受付第38767号 原因 平成19年10月5日売買 所有者 何市何町何丁目何番何号 持分3分の1 B 5 番 所有権一部(順位3番で登記した持分)移転 平成25年11月6日受付第15763号 原因 平成25年11月4日売買 共有者 何市何町何丁目何番何号 持分3分の2 D 6 番 B持分全部移転 平成25年11月6日受付第15764号 原因 平成25年11月4日売買 所有者 何市何町何丁目何番何号 持分3分の1 D 乙区 1 番 B持分抵当権設定 平成18年11月7日受付第34538号 原因 平成18年11月7日保証委託契約による求償債権同日設定 債権額 金2,000万円 利息 年15% 損害金 年20% 債務者 何市何町何丁目何番何号 B 抵当権者 何市何町何丁目何番何号 C株式会社 1.意義 持分を目的とする第三者の権利に関する登記がある場合にする所有権移転登記は、 第三者の権利の目的である部分と何ら負担のない部分とに分けて移転登記をしなけれ ばならない(昭37.1.11-2号、昭37.6.28-1748号)。移転する部分が第三者の権利の目 的であるか否かは重要であり、1通の申請書で登記を認めると、後日第三者の権利の 目的部分を登記記録上特定することが困難になり、不動産取引において混乱を生ずる からである。
2.重要先例 ・ 数人の共有の不動産について第三者への所有権移転の登記を申請する場合におい て、その登記原因が同一である限り、不動産登記令4条ただし書を適用し、一の申請 情報をもって登記の申請をすることができる。(昭35.5.18-1186号) ・ 数人の共有する不動産を共有者以外の者が共有者全員から取得した場合、又は共 有者の1人が他の共有者から持分の全部若しくは一部を取得した場合における登記 は、便宜、一の申請情報により1個の登記で所有権移転の登記又は持分移転の登記 をして差し支えないが、第三者の権利に関する登記(処分制限の登記)がなされて いる持分の移転については、別個の申請情報により各別に登記すべきである。(昭 37.1.23-112号) ・ 抵当権等の担保権の目的となっている持分とその目的となっていない持分を相続 した場合において、相続人の持分のうち担保権の目的となっていない持分のみを移 転したときは、登記の目的を「何某持分一部(順位何番から移転した持分)移転」 の振合いにより当該部分を特定し、持分一部移転登記を申請することができる。(平 11.7.14-1414号)
13.共有物分割による所有権移転登記 登記記録の記録例 権利部 甲区 2 番 所有権移転 平成17年6月7日受付第26537号 原因 平成17年6月7日売買 共有者 何市何町何丁目何番何号 持分3分の2 A 何市何町何丁目何番何号 3分の1 B 3 番 B持分全部移転 平成25年11月11日受付第45876号 原因 平成25年11月6日共有物分割 所有者 何市何町何丁目何番何号 持分3分の1 A 登記の目的 B持分全部移転 原 因 平成 25 年 11 月 6 日共有物分割 権 利 者 何市何町何丁目何番何号 持分3分の1 A 義 務 者 何市何町何丁目何番何号 B 添 付 情 報 登記原因証明情報 登記識別情報 印鑑証明書 住所証明情報 代理権限証明情報 課 税 価 格 移転した持分の価格 金 333 万 3,000 円 登録免許税 金 6 万 6,600 円
1.意義 各共有者は、いつでも共有物分割を請求することができる(民256条1項本文)。ただ し、5年を超えない期間内の共有物不分割の定め(共有物不分割特約)がある場合を 除く(同条1項ただし書)。 共有物分割の実質は持分の交換若しくは移転であるので、登記手続は共有持分移転 登記による(昭36.1.17-106号)。 1つの共有不動産を現物分割により、各共有者の持分に応じて数個に分割して各単 有とした場合には、土地なら分筆、建物なら分割あるいは区分の登記をした後で、各 不動産について、「共有物分割」を原因として「何某持分全部移転」の登記を申請する。 2つの共有不動産を分割により、それぞれ1つずつ取得した場合には、各不動産に ついて、「共有物分割」を原因として「何某持分全部移転」の登記を申請する。 2.登記申請手続 ア 申請人(不登18条) 共有者の表示に氏名変更、住所移転等により変更があり、現在の住所、氏名と一 致しない場合には、持分移転登記の前提として、登記名義人の氏名等の変更の登記 が必要となる。 また、事実上は共有不動産であるが、登記記録上単有名義となっている不動産に つ い て は 、 共 有 物 分 割 を 原 因 と す る 所 有 権 移 転 登 記 は で き な い の で ( 昭 53.10.27-5940号)、前提として、共有名義とする更正登記を要する。 イ 登録免許税(不登規189条1項) 原則として、不動産の課税価格に1000分の20を乗じたものを納付する。一定の要 件がある場合には1000分の4を乗ずる(登税別表第1.1.(2)ロ、登税施行令9条1項)。 1/2A 1/2B 1/2A 1/2B A 1/2A 1/2B B 分割 B持分移転 A持分移転 1/2A 1/2B 1/2A 1/2B B A B 持 分 移 転 A 持 分 移 転
3.参考(「共有物分割による交換」による所有権移転登記) A、B共有の1つの不動産を価格賠償により、AがBの共有持分を取得して単有と し、Bの持分に相当する代価の代わりに、Aが所有する不動産をBに与えた場合は、 共有不動産については「共有物分割」を原因として「何某持分全部移転」登記でA単 有とし、A所有不動産については「共有物分割による交換」を原因として「所有権移 転」登記でAからBへ所有権を移転する。 1/2A 1/2B B A B 持 分 移 転 代価の代わりに不動産を与える A 登 記 の 目 的 所有権移転 原 因 平成 25 年 11 月 6 日共有物分割による交換 権 利 者 何市何町何丁目何番何号 B 義 務 者 何市何町何丁目何番何号 A 添 付 情 報 登記原因証明情報 登記識別情報 印鑑証明書 住所証明情報 代理権限証明情報 課 税 価 格 金 1,000 万円 登 録 免 許 税 金 20 万円
14.相続による所有権移転登記 登記記録の記録例 権利部 甲区 2 番 所有権移転 平成8年5月24日受付第13257号 原因 平成8年5月24日売買 所有者 何市何町何丁目何番何号 A 3 番 所有権移転 平成25年10月1日受付第34876号 原因 平成25年7月26日相続 共有者 何市何町何丁目何番何号 持分2分の1 B 何市何町何丁目何番何号 2分の1 C 登記の目的 所有権移転 原 因 平成 25 年 7 月 26 日相続 相 続 人 (被相続人 A) 何市何町何丁目何番何号(住民票コード 12345678901) 持分2分の1 B 何市何町何丁目何番何号 2分の1 C 添 付 情 報 登記原因証明情報 住所証明情報 代理権限証明情報 課 税 価 格 金 1,000 万円 登録免許税 金4万円
1.意義 (1)相続 相続とは、自然人の死亡により、被相続人の財産に属した一切の権利義務を相続人 が包括的に承継することである(民896条)。よって、被相続人の財産である不動産の 所有権が相続人に移転するので、被相続人から相続人への所有権移転登記をする。 (2)相続分 ア 法定相続分(民900条) 相 続 人 相 続 分 配 偶 者 と 子 2分の1、2分の1 配偶者と直系尊属 3分の2、3分の1 配偶者と兄弟姉妹 4分の3、4分の1 イ 特別受益者がいる場合(民903条) 特別受益者がいる場合には、その者の相続分は、他の相続人の相続分の割合に応 じて、他の相続人に帰属する。 例として、Bが特別受益により相続分がない場合 法 定 相 続 分 相 続 分 A 2 1 = 6 3 6-1 3 = 5 3 B 2 1 × 3 1 = 6 1 C 2 1 × 3 1 = 6 1 6-1 1 = 5 1 D 2 1 × 3 1 = 6 1 6-1 1 = 5 1 ウ 寄与分の定めがある場合(民904条の2) 相続登記後に寄与分が定められ、法定相続分と異なる割合となった場合には、「錯 誤」を原因として、相続登記の更正登記をすることができる。 共同相続登記前に、相続人の1人が、特定の不動産を寄与分として取得すること となった場合には、寄与分を定める協議のほか、遺産分割協議が成立したものと解 されるので、相続登記をする。 共同相続登記後に、相続人の1人が、特定の不動産を寄与分として取得すること となった場合には、寄与分を定める協議のほか、遺産分割協議が成立したものと解 甲 = A B C D 特別受 益 者
エ 相続分の譲渡がある場合 共同相続登記前に、共同相続人に対して相続分の譲渡がなされた場合には譲渡後 の相続分の割合で相続登記をすることができる(昭59.10.15-5195号)。 共同相続登記後に、共同相続人に対して相続分の譲渡がなされた場合には、「相続 分の売買(贈与)」を原因として、持分移転登記をする。 共同相続人以外の第三者に相続分の譲渡をした場合には、相続登記の前後を問わ ず、いったん共同相続人全員名義に「相続」を原因として移転登記をして、相続分 の譲渡人の持分を譲受人に、「相続分の売買(贈与)」を原因として、持分移転登記 をする(平4.3.18-1404号)。 2.登記申請手続 ア 登記原因及びその日付(不登令3条6号) 被相続人が死亡した日付で「年月日相続」を原因とする。 イ 申請人(不登18条) 相続による所有権移転登記は相続人の単独申請である(不登63条2項)。 登記名義人たる被相続人の登記記録上の表示が氏名変更、住所移転等により変更 があって、現在の氏名、住所と一致しない場合には、被相続人の登記名義人の氏名 等の変更登記をすることなく、直接相続登記をすることができる(明33.4.28-414 号)。この場合には、住民票の除票の写し等の変更を証する書面を添付する。 なお、住民票コード(住民台7条13号)を記載した場合は、添付書面として住所証 明書(住民票の写し)及び変更証明書の提出を省略することができる(不登令9条、 不登規36条4項、登研686号417頁、412頁参照)。 ウ 添付情報 ① 登記原因証明情報(不登令別表22添)の内容 a 戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)等 被相続人の死亡の事実及び登記申請人が相続人であることを確認し得る戸 籍謄本等を添付する。 b 相続放棄申述受理証明書 家庭裁判所の相続放棄申述受理証明書を添付する。 c 特別受益証明書 満17歳の未成年者が自ら作成した特別受益証明書も、その印鑑証明書の添付
いる」旨の証明書を作成して、丙を除く他の相続人から相続の登記を申請する ことができる(昭49.1.8-242号)。 d 相続欠格証明書 戸籍謄本の他に欠格者自身の作成する相続欠格事由証明書又は、欠格事由を 証する確定判決謄本を添付しなければならない(昭33.1.10-4号)。 e 寄与分証明書 共同相続登記前に共同相続人全員の協議で寄与分の定めをして、法定相続分 と異なる持分で相続登記を申請する場合には、戸籍謄本の他にその協議の内容 を証する寄与分証明書の添付を要する(昭55.12.20-7145号)。ただし、寄与分 の定めと遺産分割協議が定められた後に相続登記を申請する場合には、戸籍謄 本と遺産分割協議書の添付を要するが、その協議書には、必ずしも寄与分の定 めの記載がなくても差し支えない(昭55.12.20-7145号)。 f 相続分譲渡証明書 共同相続登記前に相続人間で相続分の譲渡があり、譲渡後の相続分の割合で 相続登記を申請するときは相続分譲渡証明書の添付を要する。 g 共同相続人中、相続人の廃除がなされている場合には、その旨が戸籍に記載 されているので、戸籍謄本のみの提出で足りる。 エ 課税価格・登録免許税(不登規189条1項) 不動産の課税価格に1000分の4を乗じたもの(登税別表第1.1.(2)イ)を納付する。 3.重要先例 ・ 共同相続人のうちの1人は、自己の持分のみについて相続登記を申請することは できない。(昭30.10.15-2216号) ・ Aの推定相続人であるBが、Aから相続分を超える生前贈与を受けた後、Aより 先に死亡した場合、Bの代襲相続人であるCを除く他の相続人は、申請情報と併せ てBがAから特別受益を受けている旨の証明書(Cが作成したもの)を提供して、 相続の登記を申請することができる。(昭49.1.8-242号) ・ 共同相続人A・B・C・DのうちA・B・Cがその相続分をDに譲渡した場合は、 被相続人名義の不動産につき、A・B・Cの相続分譲渡証明書(A・B・Cの印鑑 証明書付)を添付して、Dから、D1人を相続人とする相続登記を申請することが できる。(昭59.10.15-5195号) ・ 共同相続人A・B・C・DのうちA・Bがその相続分をDに譲渡し、C・D間で 不動産はDが取得する旨の遺産分割協議が成立した場合には、被相続人名義の不動 産につき、A・Bの相続分譲渡証明書(A・Bの印鑑証明書付)及びC・D間の遺
・ 被相続人Aの共同相続人B・C・D・E・F(法定相続分各5分の1)のうち、 C・D・Eがその相続分をBに譲渡した場合には、A名義の不動産につき、B持分 5分の4、F持分5分の1とする相続による所有権移転登記を申請することができ る。(昭59.10.15-5196号) 4.参考(「相続分の売買(贈与)」による持分移転登記) 共同相続人Bが、第三者Dに相続分の譲渡をした場合は、相続登記の前後を問わず、 いったん共同相続人全員名義に「相続」を原因として移転登記をして、相続分の譲渡 人の持分を譲受人に、「相続分の売買(贈与)」を原因として、持分移転登記をする。 登 記 の 目 的 B持分全部移転 原 因 平成 25 年 11 月 6 日相続分の売買(贈与) 権 利 者 何市何町何丁目何番何号 持分2分の1 D 義 務 者 何市何町何丁目何番何号 B 添 付 情 報 登記原因証明情報 登記識別情報 印鑑証明書 住所証明情報 代理権限証明情報 課 税 価 格 移転した持分の価格 金 500 万円 登 録 免 許 税 金 10 万円
15.数次相続による所有権移転登記 登記記録の記録例 権利部 甲区 2 番 所有権移転 平成8年5月24日受付第13257号 原因 平成8年5月24日売買 所有者 何市何町何丁目何番何号 A 3 番 所有権移転 平成25年10月3日受付第30383号 原因 平成25年7月26日B相続 平成25年9月9日相続 共有者 何市何町何丁目何番何号 持分2分の1 D 何市何町何丁目何番何号 2分の1 E 登記の目的 所有権移転 原 因 平成 25 年 7 月 26 日B相続 平成 25 年 9 月 9 日相続 相 続 人 (被相続人 A) 何市何町何丁目何番何号 持分2分の1 D 何市何町何丁目何番何号 2分の1 E 添 付 情 報 登記原因証明情報 住所証明情報 代理権限証明情報 課 税 価 格 金 1,000 万円 登録免許税 金4万円
1.意義 数次相続とは、既に開始した相続による所有権移転 登記未了の間に、その相続人死亡により第2の相続が 開始したような場合をいう。数次相続の場合、原則と して、権利変動の過程を明らかにするために、権利移 転の順序に従い、第1の相続登記、第2の相続登記を 行う。しかし、中間の相続が単独相続の場合は、中間 の相続登記を省略して第1の相続における被相続人か ら現在の相続人へ直接相続登記をすることができる。 この単独相続は、もともと相続人が1人しかいない場 合はもちろん、相続放棄によって相続人が1人になっ た場合や遺産分割によって当該不動産を単独で相続す ることになった場合、特別受益によって他の共同相続 人の相続分が存しなくなった場合を含む(昭30.12.16- 2670号)。この場合、登記原因の箇所で中間の相続の経過を示すことで権利変動の経過 を公示できるからである。 2.登記申請手続 ア 登記原因及びその日付(不登令3条6号) 数次相続の場合は原因の箇所で中間の相続の経過を表すことになる。 3.重要先例 ・ A死亡によりB及びCが共同相続人となり、更にDがBの、EがCの相続人とな ったときの相続登記は、①A→B及びCへの相続登記、②B→Dへの相続登記、③ C→Eへの相続登記(計3件)を申請すべきである。(昭30.12.16-2670号) (H弐 五 ・ 七 ・ 弐 六死 亡) 被 A ( H 弐 五 ・九 ・九 死 亡 ) B C E (H 七・ 六・ 七 死 亡) D ○事 例
16.遺産分割協議による所有権移転登記 登記記録の記録例 権利部 甲区 2 番 所有権移転 平成8年5月24日受付第13257号 原因 平成8年5月24日売買 所有者 何市何町何丁目何番何号 A 3 番 所有権移転 平成25年8月15日受付第21765号 原因 平成25年7月26日相続 共有者 何市何町何丁目何番何号 持分4分の2 B 4分の1 C 4分の1 D 4 番 C、D持分全部移転 平成25年9月27日受付第24383号 登記の目的 C、D持分全部移転 原 因 平成 25 年 9 月 8 日遺産分割 権 利 者 何市何町何丁目何番何号 持分2分の1 B 義 務 者 何市何町何丁目何番何号 C 何市何町何丁目何番何号 D 添 付 情 報 登記原因証明情報 登記識別情報 印鑑証明書 住所証明情報 代理権限証明情報 課 税 価 格 移転した持分の価格 金 500 万円 登録免許税 金2万円