eラーニングソフトMoodleの検討
著者名(日) 新井 洋二
雑誌名 紀要
巻 54
ページ 1‑14
発行年 2011‑01
URL http://id.nii.ac.jp/1087/00002487/
Creative Commons : 表示 ‑ 非営利 ‑ 改変禁止
e ラーニングソフト Moodle の検討
新 井 洋 二
1 .はじめに
eラーニングシステムを遠隔教育にこだわらず、授業支援ソフトとして考えて、 LMS (Learning Management System)またはCMS(Cource Management System)と称して、各種 ソフトが世界的に用いられている。
前号の紀要で、本学の教務システムKyonetでの授業内容のアップロード、メールソフト Cybermailを用いた携帯を含めた課題のメール提出、さらにその授業のアンケート調査を行っ た。
今回CMSソフトのひとつであるMoodleを対象に、前号紀要の内容の導入の可能性を検討し た。
2. Moodleについて
欧米ではLMSやCMSとしてBlackboardやWebCTなどの商用ソフトを採用している大学が 多い。またアメリカでは、オープンソフトとしてJava言語を使ったSakaiプロジェクトが有名 である。一方日本は、大学特有のLMSあるいはCMSが開発されて設けられているが、残念な がら10年は遅れているといわれている。近年はMoodleを採用する大学が増えてきている。そ の特徴を次に示す。
1.複数のソフトの組み合わせとして、 LAMPと称されるシステムが知られている。 Moodle はこのLAMP環境で開発されたオープンソースのソフトである。
2.サーバーサイドスクリプト言語のPHPは、ソフト開発者には比較的理解しやすい言語で ある。情報処理を心得ている現場の教員にも、授業などに必要なモジュールを開発し易
つある。今後の授業改普に参考になる。
いまやWebサーバーの標準ソフトとなっているApacheに発展過程が似ているので、今後標 準のCMSソフトになることが期待される。
3.これまでの試行内容を M
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dleでeラーニングについて前号(第53号)の紀要論文で次の3点を検討した0
・授業内容のネットワークへのアップロード
‑携帯を含めた課題のメール提出
‑学生の本情報処理授業の評価
これらの項目をMoodleシステムでどのように導入できるか検討した。
4.文科実験Moodleサイトの例
システムは、 OSにCentOSを用意し、インストール時の設定でLAMP環境を整え、 Moodle をインストールしたものである。
図1は文科実験Moodleサイト画面であるo文科の現在のコースと特別授業科目群の資格・
情報科目を並べ、特に資格・情報科目の情報の授業科目を例として並べた。
利用者は授業名をクリックするか、「あなたはログインしていません。(ログイン)Jをクリッ クして次に進む。
図2はユーザ名とパスワードの入力をするログイン画面でユーザ認証を行う。
図3はユーザ自身のログイン後の画面で授業科目を選択する。
図4はコース作成者またはサーバーの管理者のログイン後の画面である。左側に「サイト管 理」の欄があり、特に「ユーザjで利用者の登録、「コースJで授業科目やシラパスの書式、回数 などの設定、「フロントページJで各画面の構成などで、コース作成者としての作業項目が並ん でいる。
5.カテゴリーとコースについて 5. 1カテゴリー
全学的にMoodleを採用している大学では、一般にカテゴリーに学部名を入れ、サプカテゴ リーを設けて学科名を入れている場合が多い。なにをカテゴリーにするかは任意で、ここで は文科のサイトということで、文科の各コース名を採用した。
5.2コース
アメリカでは授業科目をコースと称する例が多い。したがってコースとして授業科目名が 入る。学生は直ちに目的の授業科目名をクリックすることになる。
図5は履修者が授業科目を選択後の画面で、ここでは「ワープロとインターネット」を選択し た場合であるo毎週の授業内容と次週の授業についての課題が各週ごとに並んでいる。この
欄をウィークリーアウトラインと称している。通常はその週の授業概要のタイトルが入り、
クリックすると授業概要などになるが、ここでは直接授業内容になる。
図6は教員側のコース画面で、履修者のコース画面に加えて、図4と同様のコース作成者の 作業項目が並んでいる。ウィークリーアウトラインの各週の編集ができる。
5.3綬業内容の掲載
図7は図6の「編集モードの開始Jをクリックした場合の函面である。授業内容のアップロー ドは、編集する週の「リソースの追加Jのプルダウンメニューで「ファイルまたはウェプサイト にリンクするJを選択して載せる。また課題の提示は、「活動の追加」のプルダウンメニューで
「課題Jを選択し、次週の授業内容に関わる課題を載せられるようになっているo
授業内容のネットワークへの掲載例として、図8に第9週「英文ワープロnJを示すoWeb'1' ラウザに表示するので、授業でそのまま利用できるし、自分のフォルダにダウンロードもで きる。
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図6 コース一覧(コース作成者)
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図7 編集モード開始
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図8 授 業 内 容 第9章
6.課題の掲載
課題は「活動の追加」のプルダウンメニューで「課題jを選択して記入する。
図9はこれまでの課題例である。授業内容第9章を学ぶにあたり、予習のための課題をその まま載せたものである。
図10はMoodle用に修正したもので、携帯での提出は考えていない。つまり課題画面の「私 の提出課題を編集するJをクリックすると、次の画面で直接与えられた課題の文章入力をする ことになっているからである。
何か質問でもある場合「フォーラムJというQ&A機能が設けられているが、ここではまだ考 慮、されていない。
7.授業アンケー卜
Moodleではアンケート機能はまだ加えられていないようである。ここでは、 Moodleに用意 されている近い機能として「投票Jの機能で第l聞から第9閉まで並べ、感想や意見などのコメ ントを求めている第10問は「課題」の機能を利用した。
図11は投票と課題の機能を利用したアンケート10問分を並べた場面である。
図12は、一例として授業アンケートの第l問である。選択してクリックする。投票は統計処 理が可能になっている。ただMoodleでは誰が何を選んだかもわかるようになっている点が問 題であるo
投票機能には感想や意見などの文章入力は用意されていなしE。そこで第10問だけ、図13に 示すように「活動の追加Jの「課題Jの機能を利用した。今後はアンケート機能のモジュールが 紹介されているので、そちらを参考にしたい。
図14はアンケート入力画面である。やや違和感があるが、 Moodleの中の機能を使う場合の 例である。
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図10 課 題8(修正後)
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図11 授 業 ア ン ケ ー ト
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図12 ア ン ケ ー 卜 第1問
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8.今後の検討課題
Moodleは他のCMSソフトも同様であるが、コース作成者には負担の多い傾向があり、今後 の開発に期待したい。次に今後の検討課題を3項目ほどあげる。
8. 1ビジネス情報処理の授業で
実際の授業での実践であるが、平成22年度後期「ビジネス情報処理」の授業で実施したい。
その際他の作業として、 Moodleサーバーの学内ネットワークへの設置、ユーザ認証やユーザ 登録、登録番号の用意など、考慮の必要な点が多々ある。また授業アンケートについては、
投票機能ではなく、すでに紹介されているアンケート用モジ ユールの利用を考えたい。
8.2モパイル機器と Moodle
前号の紀要での特徴である携帯での課題提出は現状のMoodleシステムでは生かせない。こ れもすでにモパイルMoodleというシステムが公開されているので今後導入を検討したい。
8.3オープンコースウェア
大学で行われている授業教材をインターネット上で公開する活動をオープンコースウェア
(OCW)といって、 MITによって2001年に始められた。日本でも日本OCWコンソーシァムと いう組織が2005年に組織され、東京大学、京都大学、大阪大学、東京工業大学、慶応大学、
早稲田大学が参加して始まった。その精神にのっとり、これまでの授業内容のネットワーク アップロードをインターネットでもアクセスできるようにすることも考えられ、今後検討し たい。
9.謝辞
LaTeXからPDF、Apache、PHP、MySQL、Moodleというオープンソフトの連携利用は広 まる一方であり、情報教育への尽力に対してのこれまでの内外の開発者の方々に感謝いたし ます。
10.参考文献
新井洋二 携帯電話を含めたeラーニングの検討" 共立女子短期大学文科紀要 第53号 p.(l) 平成21年
喜多敏博、中野祐司 オープンソースeラーニングプラットフォームMoodleの機能と活用 例"情報処理Vol.49.NO.9 p.1044 2008年9月
私立大学情報教育協会編 平成22年度 ICT利用による教育改善研究発表会" 平成22年8 月7日
私立大学情報教育協会編 平成21年度 全国大学IT活用教育方法研究発表会" 平成21年7 月
私立大学情報教育協会編 平成21年度 教育改革IT戦略大会" 平成21年9月 井上博樹、奥村晴彦、中田 平 Moodle入門" 海文堂出版社 2008年
i賓丘美郎 Moodleを使って授業する'" 海文堂出版社 2009年
萩野哲男 教育支援システムMoodleの紹介" 学術情報基盤センター (PDF)
宮川 繁 オープン・コース・ウェアの現状と展望" 情報処理 Vo.149.No.9 p.1029 2008年9月