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ハロゲン計数管の計数効率

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Academic year: 2021

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(1)

ハロゲン計数管の計数効率

鈴 木 辰 三 郎

1 緒     言

 ガイガー計数管や比例計数管等でガンマ線の定量計測を行なう場合は,一般にガンマ線 を計数管の側壁から入射するようにする。

 電離箱で計数に寄与する電子のうち,充填気体内で発生するものは僅かで,大部分は側 壁から放出されるので計数効率をよくするため,側壁からガンマ線を入射しなるべく多く の2次電子を発生するようにする。

 さてガンマ線が計数管に入射し,陰極の側壁や陽極等との相互作用で発生した2次電子 は極めて複雑な運動をしてその一部はカウンターガス内に入り,計数管内の電場で加遠増 幅され電気的パルスとして計測される。

 放射能や放射線量等を定量的に測定するとき,計数管の効率を知っておく必要がある。

ガンマ線計数効率はガンマ線によって発生しfc 2次電子のうち計数に寄与する数によって 決定される。

 従来計数効率を理論的に求めるのに計数管の内壁に有効層を仮定して,その層の中で発 生した電子は全部カウンターガスの中に入り計数に寄与するとして計算されているω・②。

しかしながらこの理論では,原子番号の異る金属で作った計数管がガンマ線の進む方向に よって効率の異る実験事実㈲を説明することができない。このような特性をよく説明でき,

かっ著者が行なった実験結果とよく一致する理論を立てたので本誌をかりてその概要を紹 介する。

II計数効率の計算

 ガイガー計算管のガンマ線計数効率は,計数管に光量子が1つ入射した場合計数が行な われる確率として定義される。

 1. コンプトン効率による計数効率

 第1図に示すようにガンマ線が計数管に入射した場合,コンプトン電子はガンマ線の入 射方向とgの角度をなす方向に散乱され,散乱光子はθの方向に進むとすると,管壁内で 生したコンプトン電子がρの方向の単位立体角内に放出される断面積は

    k(・)一膓一1[、+。(、!、。,、)3][・+・・s2・+、鍛瓢)]}

   4(1一α)2 cos 9

× [(1+α)・+α(2+α)・…ρ]・ ・………・・

︵1︸

となるω。ここに電子の電荷をe,その静止質量を〃z,真空中の光速度をc,入射ガンマ線 のエネルギーをhvとすると

       e2

    ro ==  .       ・・…・……(2)

       71tC

(2)

16

   hv

α =  7nc2 ・・・・・・・・・… (3)

である。

入射ガンマ コンプトン電子

 カウンターガス

k

第1図 計数管の管壁(陰極)で生ずるコンプトン電子

 コンプトン電子が管壁からZの距離で発生した場合,この電子がカウンターガスの中に 入る確率は電子のエネルギーEと電子が物質内を通過する距離Zsecρの関数F(E, Zsec

g)となる(8)。

 しかしながら入射ガンマ線のエネルギーは一定でコンプトン電子のエネルギーEは     E−h・、+,。+(2α1十α)・,。n,        一・……・(・)

で,結局pだけの関数となるから

    F(E,Zsec〜ク)=ア(9, Z)      …………(5)

と書くことができる。1原子当りのコンプトン散乱断面積をσ,単位体積中の原子数を∧「

とすると,光量子1個が入射した場合ZとZ+dZとの間でコンプトン電子の発生する確 率はσA dZ,計測される確率は

σNf(.Li), Z)dZ      …………⑥

となる。いま電子のその物質中の飛程をZoとし

Za      ZO

    ∫[・−f(・・ Z)]dZ−∫穐Z)bZ      ・・…・……⑦

    O       Za

で定義すると,計数管によって計数されるパルス数は0くZ〈Z、の間で発生したコンプト ン電子の数に等しくなる。

 管壁で発生したコンプトン電子は最初は0?g?−E一の方向に放出されるが,多重散乱 の結果1部は前方に,残りは後方(背面)に散乱される。後方散乱の確率をうとすると,

前方に散乱される確率は(1−b)となり,Z。の代りに電子の最初進む側に

    Zf=(1−b)Za       .      ……・・・…(8)

(3)

その反対側に

    Zb=bZα       …………{9)

をとり,その計数効率を計算することができる。この場合後方散乱確率bは電子のエネル ギーEと管壁又は陽極を作っている物質の原子番号によって定まる㈲。

 2. 光電効果による計数効率

 光電子は主として原子のK殻で発生し,そのエネルギーEは,陰極又は陽極の物質の 原子番号をZとすると

E−・・一÷Mc・(Z−O.3 137)2

となり一定の値をもつ6)。またρ方向に光電子が放出される断面積は

・(・)−Aβ・s・…{(、#。,,)・}一

÷、r2((1−r)21一β cos g)・}

  1一γ

2r(1一βcos〜ク)3

となる〔4)。ここにβは電子の遠度と真空中の光速度との比で γ=V1一β2

…………(10)

…………{11)

である。また(10)式の比例常ta Aは例えば文献(4)等の吸収係数表から求めることができ る。光電子のエネルギーEと散乱方向gとが分れば㈲式及び㈲式からコンプトン電子 の場合と全く同様にして光電子による計数効率を計算することができる。ただし光電子の 場合はエネルギーがgに関係なく一定で計算は非常に簡単である。

 3. 本実験に対する計数結果

 本研究では実験結果と比較するために,次の2つの場合について計算した   a.計数管の中央附近における計数効率の極小値

 よくコリメートした幅のせまいガンマ線束を計数管にあてると,中央部で陽極の影響が なくしかも計数管の内面とガンマ線の方向とがほぼ垂直の場所で計数効率が極小値となる。

ガンマ線の方向と内壁とが垂直の場合には,線源側内壁による計数効率は(6),(7),(8)式 から

    ・NZf      ……・・一(12)

その反対側では㈲,(7),(9)式から

    σNZb      ・・・・・・・・・… (13)

となる。

 (12),(13)式のZf及びZ・を求めるため(7)式のg値は,この研究ではρの平均値どして         ∫・K(の・・…卿

    く゜〉=∫K(,)・…n・,d,       °…°(14)

(4)

18

を採用した。ただしK(sc,)はコンプトン電子については(1)式のk(p)を,光電子について は(10)式のJ(p)をあらわす。

 この実験ではC、−137から放出される0.6616MeVのガンマ線を使用したので,これに 対する主要な計算値は第1表のようになる。

         第1表 コバール金属製ハロゲン計数管の       0・6616MeVガンマ線に対する計算値

1・ンプ・・電子1光電子

〈〜ク〉

<E>MeV

飛 程9/cm2 Zαcm b Zf cm Zb cm

σ ノく 一 ン

Ncm−3

σATZf σATZb

37°

0.261

1 30°

1

0.063 0.0025 0.24 0.0019 0.0006 6.85

0.653 0.326 0.0110 0.47 0.0058 0.0052

1

1.8×1023 0.0024

t

σN(Z∫十Z,)

0.0007 0.0031

0.092 1.8×1023 0.0001 0.0001 0.0002

 第1表の計算において,・コンプトン電子の平均エネルギーは約0・261MeVでZ・の値を 文献(8)によって求めることが困難なたあ,W. Botheの方法〔7}を参考として計算した。

  b.陽極による計数効率

本研究では理論を実験によって確かめるため,直径4mmの陽極をもつハロゲン計数管 で詳細な測定を行なったので,この場合の計算方法について述べる。

 陽極の場合はカウンターガスが外側にあるので,ZfとZbとの関係は陰極の場合と反対

になる。

 この場合は直径が陽極の外径4に等しい円と,中心が線源の方向に

t一

差(・・一・b)

・・・・・… 一一・・(15)

だけ離れ,半径が

r−9−÷(Zf+Zb) ・・… 一一・・… (16)

の偏心円との間の部分で有効電子が発生すると考えることができる。

t

(5)

第2図 太い陽極(直径d)の部分的計数効率計算のための有効部分

第2図に示すように陽極の中心0からrの距離とするガンマ線による効率は有効部分を 通った長さとσATとの積となるので計数効率は

r<す@乙一Z・)の場合は

    E(・)一・N{(d・一・r2)1−[(d−Z・−Zb)・一…]i}   …………(・7)

また÷(d−Z・−Z・)<r<÷の治は

    E(r)=σAT(d2−4r2)      ・・・・・・・・・… (18)

となる。陽極の計数効率は上記の計算をコンプトン電子について行なった値E,(r)と光電 子について行なった値Ef(r)との和となるから

    E(r)=Ec(r)十Ef(r)      ・・・・・・・・・… (19)

となる。

 これまでの理論ではカウンターガスの中に入った二次電子はすべて計測されるとして計 算したが,陽極が太くなると陽極表面附近の電場は一般の計数管に比し非常に弱く,電子 なだれを生ずる以前に,放出された2次電子の一部が陽極にひき戻され計数されないこと がある。カウンターガス中に入った全電子に対する有効電子の比率kは,陰極の中央部の 計数効率島に対する陽極の中央部の計数効率島の比

    k一皇      …………(・・)

として,実験値から求めることができる。本研究に使用した計数管ではこの値は0.77と

なる。

III実験と考察

 実験には日本無線医理学研究所製GM−H 254ハロゲン計数管で第3図に示すように陽 極は外径4mm内径3.8mmのコバール(Fe 45%, Ni 28%, Co 18%)のパイプである。

(6)

20

ガンマ線は本誌(本号)「狭いスリットから放出するガンマ光 量子の分布」に示す0.08mmヘビーメタルのスリットから放 出されるものを用いた。1分間にこのスリットから出て,計 数管に入るガンマ光量子数は1.74×106個である。実験では 第4図に示すように,ガンマ線の進む方向に垂直で,スリッ

ト出口から2.1cmの距離にある平面内に計数管の中心がある ように,計数管を調整スクリューで移動させながら,陽極の 中心からの距離に応ずる計数率の変化を測定した。計数は各 点毎に3分間行ない,測定準偏差は1%以下である。またこ

の実験では陽極電圧は575ボルト,計数管の分解時間は3.65

×10 6分である。計数管の中央部附近で,陽極の影響のない 場所の計数率の極小値は5775.4cpmでこの点の計数効率は

L一撒告・−o.・332

…………(21}

である。この実験値はガンマ線の方向が計数管内壁と直角と なる場所で,第1表の計算値

Σ・N(Z・+Zb)一・…33

とカウンターガスによる計数効率0.00004との和0.00334と 非常によく一致する。

  第3図

本研究に使用した ハロゲン計数管

50 150⊥  ↓ 100→20十

0・08\↓

     ↑

cP7

線源 鉛ブロック

21 ei

陽極

管の移動方向

第4図 実験配置図

 次に陽極附近の全計数率から陰極の中央部のと計数率5775.4cpmを差引いた値が陽極 による計数率となる。陽極の中心からの距離ッに応ずる計数率を第5図に示す。各点の計 数率を陽極に当る毎分の光子数1.74×106で割ったものは見掛け上の陽極の部分的計数効 率で,2つの極大値の附近以外はほぼ正確に陽極各部分の計数効率の実験値を示している。

方(17},(18),(19)式によって求めた計数効率の理論値と一致するかどうかを確かめるに は,光量子布c9)(本実験の場合はスリットから2.1cmの位置の値)

(7)

 数  効

    一〇.2      −0●1        0         0・1        0.2

              中心からの距離(cm)

第5図 ハロゲン計数管の4mm陽極(Aloka GMH2504)

     の0.6616MeVガンマ線による計数率及び部分的      平均計数効率

.D(x)=1. 6561 e−(168・7x)2×108/cm・min

(19)式のE(r)及び(20)式から各点の計数率の理論値

・( Y> 一・ IE(i−y)D(.) d,

…………(22)

・・・・・・・・・… (23}

を求め,実験で得られた計数率(agh 5.図の実線)と比較することによって判断できる。(23)

式の理論値を第5図点線で示す。極大値附近の実験値は,陽極の内厚(約0.08g/cm2)が 第1表に示す最大飛程より短いために計算値より約5%少ない値をとることとなり,この 補正や陽極及び陰極の製作や取付上の誤差,更には測定のための計数管の中心線の調整の 誤差等を考慮すると,第5図における実験値と理論値の一致は十分満足すべき結果で,こ の理論は新しく設計する計数管の効率に十分な精度で利用できると考える。

の3P

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参照

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