43
は じ め に
比較政治学にとっての﹁中東地域の民主化問題﹂は悩ましいテー
マである︒わが国の学界においてこのテーマに貢献してきたのは︑
主に地域政治研究者であった︒彼らの主要な貢献は︑民主主義とイ
スラームという二項対立を排し︑﹁地域内郎に育ちつつある重要な
変化の芽﹂を見据えて︑両者の﹁関係を多元的関係のなかに配置し
︵1︶ 直す﹂という文言の中に現れている︒
一方︑比較政治学の民主化研究において︑中東やイスラーム世界
は無視されるか避けられる存在であった︑といっても過言ではない︒
中東諸国は﹁民主主義の発展をいかにして成し遂げるべきではな
︵2︶ いのかを明確に指し示す実例﹂であり︑一九九〇年半ばまでの比較
︵3︶ 民主化研究では検討対象地域としてほとんど扱われてこなかった︒
﹁中東地域の民主化﹂が比較政治学者にとって悩ましいのは︑中東 日本国際政治学会編﹃国際政治﹄第1亜号﹁国際政治研究の先端 4﹂︵二〇〇七年三月︶
中東諸国における非民主体制の持続要因
− レンティア国家論の計量分析 −
が民主化般理論﹂にとっての例外地帯であり︑地域研究者に対
してインプリケーションを提示できないと同時に︑彼らによって発
掘された知見が﹁一般理論﹂にフィードバックされているとは言え
ないからではないだろうか︒
ここで筆者が般理論﹂として念頭に置いているのは民主化
﹁第三の披﹂以降︑その理論的影響力を取り戻した﹁リブセット・
︵4︶ テーゼ﹂ である︒リプセットおよびリブセット以後の近代化論者は
精力的に政治体制と経済発展の問題に取り組んだ︒彼らの議論の中
で興味深い論点のひとつが︑経済発展のある段階を超えれば政治体
制が変動し︑民主制へ移行する確率が高まる﹁間借﹂の存在である︒
プシュヴオスキとリモンギは一人当たり実質国民所得四︑一一五ド
︵5︶ ル ︵一九八五年価格︶を﹁開催﹂に設定した︒湾岸産油国を除くと
この﹁間借﹂ に達した中東諸国は存在しない︒しかしウオーターベ
リーは近代化論を敷術して︑中東の人々の過半数が都市在住者で︑ 浜 中 新 吾
44
男性の過半数が読み書き可能であり︑なおかつ幾つかの国で全人口
に占める大学生の割合がヨーロッパの水準に近いことを指摘した︒
そして︑いわゆる中間層に分類できる職業に就く人々が急激に増加
しているにもかかわらず︑この上昇しっづける社会経済的指標が未
︵6︶ だはつきりとした﹁民主主義の報酬﹂を得ていない︑と主張した︒
このようにフィリピンヤプラジルとはさほど違わない水準の社会的
発展を享受しているにもかかわらず︑﹁民主化の波﹂に乗れなかっ
たことが︑﹁中東例外論﹂を生み出す土壌となった︒
中東諸国を民主化の例外地帯にした︑つまりこの地域の非民主体
制の存続に貢献した要因を化石燃料資源の存在に求める説が﹁レン
ティア国家論﹂ である︒この説はマフダヴイ一によるパハレヴイー
︵7︶ 朝イランの経済構造分析を囁矢とし︑ベブラウィとルキアーニが湾
岸諸国の政治経済体制を記述・分析したことによって注目されるよ
︵8︶ うになった︒﹁レンティア国家﹂は以下の特徴をもつ︒政府の財源
は国内の経済活動とほとんど関係がなく︑原油の輸出収入をレント
の主要要素とするレンティア国家においては︑その収入の大半を輸
出によって獲得する︒この収入が莫大なため︑政府は税によらない
財政基盤を獲得することが可能であり︑この富を国民に配分するこ
︵9︶ とによって正統性を得ることができる︒
国連開発計画が発行した ﹃アラブ人間開発報告二〇〇四﹄ は︑原
油レントが中東政治経済を支配している状況を次のように描いてい
る︒﹁レンティア生産棟式は権威主義的ガバナンスを支持するよう
な経済的基礎を生み出すか︑少なくとも良い統治 ︵グッド・ガバナ ンス︶ の基礎︑特に代表制と問責性︵アカウンタビリティ︶ に関す る部分を生み出すことはできない︒︵中略︶原油レントの直接的利 益は湾岸諸国にとどまらない︒他のアラブ諸国においても︑原油を 公的歳入の主要な源泉とする国が増えている︒原油レントは非産油 アラブ諸国にも︑政府間の資金援助や産油国で働く労働者の送金と
︵10︶ いう形で流入している︒﹂
︵‖︶ 原油レントが中東諸国の非民主体制を持続させる要因だとする説
は︑その重要性を強調する程度に差はあるものの多くの研究者に受
け入れられてきた︒リサ・アンダーソンは﹁レンティア国家の概念
は中東地域研究から政治学に対する主要な貢献のひとつ﹂だと評価
︵12︶ する︒しかしながら︑ルキアーニはレンティア国家論の主唱者のひ
とりでありながら︑つぎのような注意を喚起した︒﹁われわれはす
べてのアラブ諸国をレンティア国家として描こうとする誘惑に抵
抗しなければならない︒つまり︑すべてのアラブ諸国はレンティア
国家ではない︒原油レントが政府収入の主要な ︵継続して多くを占
︵13︶ める︶源泉となっているのは数ケ国に過ぎないことを示している︒﹂
政府間の資金援助はその政治性ゆえにレントの源泉として当てには
できず︑労働者の送金や多額の民間投資は政府に直接入るわけでは
ない ﹁民間レント﹂ である︒ただし﹁民間レント﹂も政府のレント
シーキング行動を作り出すという意味において︑中東政治経済にお
︵14︶ ける支配的要因だということはできる︒
45 中東諸国における非民主体制の持続要因
一本稿の課題
この研究の課題は︑中東地域が近代化論の適用﹁例外地帯﹂と
なっている理由を︑地域経済におけるレントの大きさに求めるもの
である︒このためには中東地域と他の地域との政治経済的差異を比
較分析によって際立たせる必要がある︒よって実証分析の方法とし
て長期的かつグローバルな規模の観察を行いうる大量調査型研究法
︵L胃geNst已ies︶を採用した︒
プシュヴオスキらの研究は大量調査型研究法を用いて政治体制
︵15︶ と経済成長との関係を明らかにしようとした金字塔的業績である︒
しかし彼らの研究対象からは湾岸産油国が除外されており︑本稿の
関心に直接関係する知見をここから得ることはできない︒
マイケル・ロスの研究は大量調査型研究法を用いて﹁レンティア
︵16︶ 国家論﹂ の実証を行った初めての業績であり︑﹁中東例外論﹂ の卓
︵17︶ 越した議論としてしばしば引用される︒ロスはプシエヴオスキらの
研究や経済成長論に基づいて政治体制との関連を考察したバローの
︵18︶ 研究を﹁民主主義の大量調査塑研究から中東諸国を排除﹂し︑その
結果﹁地域研究と他の政治学の諸分野との間にあるギャップを大き
く﹂して﹁地域研究者によって展開された洞察を主流の政治学から
︵19︶ 剥奪する﹂ものだと批判した︒
しかしながら︑ロスの研究には重大な方法上の欠陥が見受けられ
る︒第一に︑ロスは帰納的に観察された因果関係に基づく︑経験的
なモデル構築を行っている︒彼の研究では﹁レンティア効果﹂と治 安組織による﹁抑圧効果﹂が民主化に負の影響を与えており︑﹁近 代化効果﹂が民主化に正の影響を与えるというモデルを提示してい る︒これは演繹的に導出されたモデルではなく︑論理的推論に従っ ゴリ∵データであり︑パラメトリックな分析手法を当てはめること たものである︒そのうえ三つの効果の相互関係もモデル化されてい ない︒さらにロスのモデルは体制変動を促す環境ないし前揺条件を 洞察するアプローチである︒近年の体制移行研究の中には︑相互作 用する政治アクターの選択に焦点をあてるアプローチ採るものも多 くなっているが︑彼は政治アクターを考慮の対象に含めていない︒
第二の方法上の欠陥は︑統計的実証分析の手法として一般化最小
二乗法︵Gener巴首edLeastSq仁胃eS︶を用いていることである︒ロ
スは従属変数に才−ity器の政体データを用いているが︑これはカテ
が適切かどうかに疑念がある︒また大量調査型研究では異時点間の
変動に研究上の関心が向けられることが多く︑この場合しばしばダ
イナミック・モデル ︵一期前の従属変数を説明変数に組み込むモデ
ル︶ か︑生存分析モデルが用いられる︒ロスの計量モデルは五期前
の従属変数をラグオペレ一夕としているが︑パネルデータ分析の方
︵20︶ 法として一般的とは言えない
以上の理由から︑本稿では経済成長やレントといった変数が政治
アクターの選択に影響を与えて政治体制が変動あるいは持続する︑
というプロットに沿って演繹的にモデルを導出する︒この目的のた
︵21︶ めにポイシュとストークスの研究で展開されている数理モデルを援
用し︑これを拡張して﹁レントの非民主体制持続効果﹂を理論化す
46
る︒実証分析の手続きとしては従属変数となる政治体制を二倍の質
︵22︶ 的変数とし︑推定方法にプシュヴオスキが開発したダイナミック・
プロビットモデル︵D苫a已cPrObitEOde−︶を用いるのが適切だと
M覗爪 思われる︒
二 ポイシユ=ストークス・モデルとレントの影響
オリジナルのポイシユ=ストークス・モデルは現状が﹁民主制﹂
であるケースと︑現状が﹁独裁制﹂であるケースの二種類のゲーム
から成り立っている︒本稿の関心は非民主体制の持続要因なので︑
﹁独裁制﹂が持続するか民主化するかを検討するゲームだけをとり
あげる︒
﹁独裁制﹂ の支配者集団Flは政治体制を﹁民主化﹂するか︑そ
れとも﹁独裁制を維持﹂するかの選択を迫られているものとする︒
﹁民主化﹂を選択すれば自然状態の下で選挙が行われ︑確率2でF
lが勝利する︒さもなければ敵対する集団であるF2が勝利するこ
とになろ︑つ︒
Flが﹁独裁制の維持﹂を選択すると︑F2に二つの選択肢が与
えられる︒一方は﹁独裁制の維持﹂を﹁受け入れ﹂ る選択であり︑
もう一方は﹁独裁制﹂と﹁闘争﹂する選択である︒F2が﹁独裁制﹂
に立ち向かった場合︑自然状態の下で紛争となり︑確率rでFlが
勝利する︒このゲームを樹形図で表し︑利得関数を書き入れたもの
が次の図1である︒
左側がFlの︑右側がF2の利得関数である︒Flが民主化を選
Fl
ヲ/////
自然状態
<−e
(Flが勝利) (F2が勝利)
独裁制の維持
(Flが勝利)
/\…状態
r/へ\1−r
(F2が勝利)
受け入
u(sY),u((1・S)Y) u((1−S)Y),u(sY) u(Y) u(Y−W),u(−W)u(−W),u(Yqw)
図1 Bok−Stokesモデル 注:Bok&Stokes(2003)p.547.
47 中東諸国における非民主体制の持続要因
んで選挙になった場合︑勝利した方が国民所得Yのより大きい部分
︵S︶を政策的に続制することが可能であり︑敗北した側はより少
ない部分︵−−S︶ しか統制できない︒
Flが﹁独裁制﹂の維持を選んだ場合︑F2が﹁受け入れ﹂ると︑
Flは全ての国民所得を統制し続けることになり︑F2の利得はゼ
ロになる︒F2が﹁闘争﹂を選ぶと︑利得関数に闘争のコスト︵W︶
が入ることになる︒闘争に勝利した側が全てのYを統制できるが︑
ここから闘争コストが控除される︒
このゲームは﹁逆向き帰納法︵Backw胃dInducti昌︶﹂で解くこ
とができる︒F2が﹁独裁制﹂を﹁受け入れ﹂るか︑それとも﹁闘
争﹂を選ぶかの選択は︑下記の不等式から判別できる︒
r︵uTw︶︶+︵︻−r︶︵u︵Y−W︶︶∧○
もしこの不等式が満たされなければ︑F2は常に﹁闘争﹂を選択す
るだろう︒もし不等式が成り立つならば︑F2は常に﹁受け入れ﹂
を選ぶに違いない︒不等式が成り立つ場合︑F2は常に﹁受け入れ﹂
るので︑Flが﹁民主化﹂を選ぶことはありえない︒
上の不等式が満たされずに︑F2が﹁闘争﹂を選択するであろう
とFlが予測している時︑次の不等式が満たされればFlは﹁民主
化﹂を選択するだろう︒
→︵亡︵Y−W︶︶+︵−−r︶︵u︵−W︶︶−e︵且sY︶︶−︵−−e︶︵u︵︵−−S︶Y︶︶
∧且○︶ 民主化に対する経済発展の効果を分析するためには︑上の不等式で Yを含む関数uの一階条件を導けばよい︒ポイシユ=ストークス・ モデルでは解析的に不等式を解くために且Y︶=Y−\Dと仮定して いる︒
式を整理すると
r︵Y−W﹁忘−Y⊥\岩︵s︶忘+︵Te︶︵−よ︶忘一<○
となる︒ここでYがレント部分︵Ⅵ︶と非レント部分︵Y︒︶で構成
されているとするならば︑
Y=Yn+ゴp︸Yn=Y−ゴp
とすることができる︒なおaで表された︵Ⅵ︶ の指数部分は︑レン
トの存在が支配者集団に及ぼす﹁レントシーキング誘発効果﹂であ
る ︵○<a∧=−であり︑aがゼロに近くなるほどレントシーキン
グによる悪影響が大きくなる︶︒上の不等式のYに︵Yn︶を代入す
ると︑経済発展の効果に対するレントの影響を分析することができ
る︒上の不等式が示す状況はF2が﹁闘争﹂を選択すると予測した
Flの効用関数であるため︑政治変動は避けられない︒支配者集団
が﹁民主化﹂を選択しても︑﹁独裁制の維持﹂1﹁闘争﹂となった場
合でも︑Flが支配できる国民所得からレント部分が控除されてい
る︒つまり︑Wは支配者集団が現状を維持できる限りにおいて得ら
れるレント・プレミアムである︒したがって政治変動が生じれば︑
レント部分が政府の統制下から逃避することを示唆している︒
48
次の図2は民主化に対する経済発展の効果とレントの影響を分析
したグラフである︒視覚化のために不等式の左辺をFlの効用関数
じとして縦軸に置いている︒横軸は国民所得︵Y︶ である︒また紛
争コスト ︵W︶を五〇︑選挙の勝利者が得られるYの割合︵S︶を
〇・六︑選挙におけるFlの勝利確率︵2︶を〇・四︑紛争におけ
るFlの勝利確率 ︵r︶ を〇・六︑そして国民所得に占めるレント
の割合︵Ⅵ︶を〇二二五︑レントシーキング誘発効果︵a︶を〇・
二五としてシミュレートした︒
通常の経済発展の効果は右上がりのグラフを描いており︑経済が
発展すればするほど︑民主化することが﹁独裁制﹂ の支配者集団に
とって好ましい選択になることがわかる︒横軸にとった経済水準の
間隔が均等ではないため︑グラフがランダムな動きを示しているよ
うに見えるが︑実際には漸増するゆるやかなカープを措いている︒
次に︑政治変動に対するレントの影響を考察したい︒レントシー
キング誘発効果︵a︶を一︵つまり誘発効果はゼロ︶とおくと︑通常
の経済発展効果を表すグラフを右にシフトさせた形になる︒実際に
は支配者集団のレントシーキング行動が誘発されるので︑園のよう
に単なるシフトとはならない︒これらを併せて ﹁レンティア効果﹂
と呼ぶことにする︒一般的にレントが国民所得に占める割合が大き
いほど︑グラフの歪みが大きくなる︒言い換えると︑原油や鉱物資
源その他のレントが恵みをもたらした経済の民主化におよぼす影響
は︑レントなしに発展した同程度の経済よりも小さいことを意味す
る︒つまりレンティア国家の国民所得が高い水準にあっても︑政治
ぜぜ㍉ダ♂尋声♂ぜ㍉声㌔
実質国民所得 図2 民主化に対する経済発展とレントの影響
49 中東諸国における非民主体制の持続要因
変動リスクに直面した支配者集団の効用はレント・プレミアムの喪
失によって割り引かれてしまうため︑彼らが﹁民主化﹂を選択しな
︵24︶ いようなインセンティブが生じている︒
三 分析の手続き − 経済発展とレンティア効果 −
経済発展およびレンティア効果が︑政治変動に及ぼす影響を測定
する統計的手法として︑本稿ではダイナミック・プロビット分析を
採用した︒ダイナミック・プロビット分析は政治体制の変動率︑つ
まり民主制への移行確率および非民主体制への退行確率に︑独立変
︵25︶ 数が及ぼす影響を測定できる点で優れている︒
この分析手法の特徴は︑一期前の従属変数を説明変数に組み込ん
だ動態構造を持っていることであり︑異時点間の変動を表現するの
︵26︶ に適した手法だといえよう
プシエヴオスキらの研究は︑経済成長と政治体制の大量調査型研
究として代表的な業績と目されており︑わが国でも紹介されるよう
になっているものの︑ダイナミック・プロビット分析の有効性につ
いて言及されることはほとんどない︒よって︑この分析手法を取り
入れたことは本稿の特徴でもある︒
分析に使用したデータセットは一九六〇年から一九九九年までの
世界一七〇カ国をカバーしたパネルデータであり︑さまざま統計
ソースから構成されている︒従属変数である政治体制変数はプシュ
ヴオスキらの手続きに従ってアーサー・バンクスのデータから作成
︵27︶ した︒ 独立変数である経済発展水準はサマーズとヘストンが編暮した データの﹁一人当たり実質国民所得︵一九九六年国際価格基準︑単 ︵28︶ 位一千ドル︶﹂を利用した︒経済成長率も﹁一人当たり実質国民所 得﹂から作成している︒原油︵天然ガスを含む︶ および天然資源輸 出の国民経済に占める割合や︑海外送金︑開発援助といったレント
︵29︶ 変数は世界銀行の ﹃世界開発指標﹄二〇〇三年度版より作成した︒
統制変数としては︑国民のエスニシティ構成と宗教構成を含め
た︒エスニック亀裂変数はラボルタらが各国ごとに作成した指標
︵inde舛0訂tbnO−in習i邑c守actiOロa−i㌫ti昌−慧色を利用し︑宗教
亀裂変数は同じくラボルタらの作成した各国人口に占めるカトリッ
ク︑プロテスタント︑ムスリム比率データをハーフィンダール指数
︵30︶ 化して用いた︒
なお独立変数と統制変数の構成は︑基本的にプシュヴオスキらに
依拠しているが︑予備的な分析を繰り返して安定的な結果が得られ
たものだけを取捨選択した︒
四 マクロ経済と政治体制の動態
パネルデータの概観 − −
実証分析を行う前に︑パネルデータが示す経済成長と政治体制と
の関連を概観しておこう︒表1の左側のパネルは︑経済水準ごとに
分割した非民主体制と民主制のケースである︒経済水準が高くなる
ほど非民主体制の占める割合は減っていき︑民主制の割合が大きく
なっていくことがわかる︒
50
表1 経済水準と政治体制
非民主体制と民主制 非民主体制に占めるレンティア体制の比率
実質国民所得
非民主制 民主制 合計 民主制の比率 通常 レンチイア 合計 比率
$0−$2,000
$2,001一$4,000
$4,001−$6,000
$6,00ト$8,000
$8,001−$10,000
$10,00二卜
0 9 ウ︼ 7 2 7
4 4 0 4 5 5 0 3 ︵H︶ 9 3 QU
1 3 ∩8 4 6 00
6 3 4 1 3 9
6 6 aU 象U qリ 4
3 8 4 2 2 QU
1
2 9 4 9 ︵B ウ一
4 ︵0 8 3 4 5
1 2 1 1 1 7
9 4 0 2 5 7 1 7 0 4 8 9
2 5 8 1
1 8 2 4 ︼7 5 0
0ハ一3 6 9 3 2 4 4 3 1 2 6
1 1 3 6
7 0 0−7 8 1
0 7 2 1 6 7
6 8 2 1
6 6 0 4 2 7
2 1 0ロ ー ウ一 4
1 4 0 つU 6 4
8 EU 9 0 4 クー ︻0 3 1 1
注:石油レントが欠損偶のケースがあるので、合計と非民主体制とのケース数は一致しない
表1の右側のパネルは︑非民主体制に占めるレンティア体制の割
合を示している︒ここでは︑国民所得のうち原油の輸出が寄与して
いる割合が二〇%を超えるケースをレンティア体制と定義した︒一
人当たり実質国民所得が四千ドル以下の非民主体制で︑国民経済に
占める原油の割合が大きいケースはわずかである︒一方で一万ドル
を超える非民主体制の六大%以上がレンティア体制である︒図3は
経済水準ごとに表した全ての政治体制に占める民主制の割合と︑非
民主体制に占めるレンティア体制の割合をグラフにしたものであ
り︑経済成長と政治体制のトレンドをつかむことができる︒
次に経済発展が政治体制の変動率に及ぼした影響について概観し
たい︒表2は経済水準ごとに分割した政治変動の件数︵非民主体制
から民主化した件数︑民主制から非民主体制に退行した件数︶と政
治体制ののべ件数から変動率を求めたものである︒図4は民主制へ
の移行確率と非民主体制への退行確率を表したものであり︑これか
ら次のことが明らかになる︒
第一に非民主体制への退行確率は経済発展とともに急激に低下し
ていく︒一人当たり実質国民所得が四千ドルから八千ドルの間では
変化しないものの︑八千ドルを超えるとさらに低下していき︑一万
ドル以上になると民主制から非民主体制へ退行したケースはひとつ
もない︒
第二に非民主体制が民主主義に移行する確率は︑一人当たり実質
国民所得が四千ドルを超えると急激に増加し︑八千ドルから一万ド
ルの水準でピークを迎える︒国民所得が一万ドルを超えてようやく
51 中東諸国における非民主体制の持続要因
表2 政治体制の変動
一人当たり の
実質国民所得警票諾
民主制から 民主制から 非民主制へ 非民主制へ の退行確率 の退行件数
$0−$2,000
0.0100$2,001−$4,000 0.0250
$4,001−$6,000 0.0201
$6,001−$8,000 0.0493
$8,001−$10,000 0.0588
$10,001−
0.01032 4 6 7−h︶ 1
1 1
1197 0.0780 560 0.0432 298 0.0223 142 0.0227
85 0.0138 97 0.0000
1 2 4 ウU 2 0
1 1 1 8 9 2 5 5 4 7 7 qU 4 4 1 2 1 1 1 7
100 90 80 70 60 50 40 30 20 10
0
$0−$2.000 $2.001− $4,00卜 $6.001− $8.001− $10.001−
$4,000 $6β00 $8,000 ‡10.000 図3 経済水準と民主制およびレンティア体制の割合
注:民主制の割合は(民主制/全政治体制)レンティア体制の割合は(レンティア/非民主体制)
︵U O O O O O O O O O
O n︼ 0 ︵U ︵U O ∧U ︵U O O
9 8 7 8 5 4 ︷J 2 1 ︵U O O O O O O O O O O O ▲‖U O O O ︵U O ︵U O O$0−$2.000 $2.00ト $4.00ト $8.001−
$4,000 $6.000 紙000 図4 経済水準と移行確率
$8月01− $10.001−
$10.000
52
移行したケースはひとつしかないので︑表2に示された移行確率は
小さくなる︒
︵31︶ ここで民主化移行の開催を仮に六千ドルとしてみよう︒ポイ
シユ=ストークス・モデルにおいて︑六千ドルの経済水準を達成し
た政治体制と同じ効用をレンティア国家が得るには︑一人当たり国
民所得を二万六千ドルにまで成長させなければならない︒サウジア
ラビア︑クウェート︑バハレーン︑カタール︑オマーンといった中
束の湾岸産油国の一人当たり国民所得は一万ドルから二万ドルの間
にあるが︑レンティア効果のために民主制への移行確率は低いまま
︵犯︶ なのだと推論できる︒
原油レントの国民所得に占める割合が意外と高いのがシリアであ
る︒シリアの原油レントの割合は一九九六年で二一%であり︑レン
ティア体制として分類できる︒エジプトの場合は一九九〇年以降︑
原油レントの割合が五〜一五%で推移しており︑レンティア体制で
はないものの国民経済に占めるウエイトは小さくない︒イランも既
にレンティア体制から脱してはいるものの原油レントの割合は一九
九七年で一六%を示している︒ただし︑この三カ国の経済水準は先
︵幻︶ の開催には達していない
パネルデータの概観からわかることは次の三点にまとめられる︒
︵1︶経済水準が高くなると非民主体制の割合が減少する︒︵2︶商
い経済水準を達成している非民主体制の多くがレンティア体制であ
る︒︵3︶実質国民所得が一万ドルを超える政治体制が政治変動を
経験することはごくまれにしかない︒それではレンティア効果がも たらしている政治変動への影響について実証分析を試みたい︒
五 分析結果 − 経済発展とレンティア効果 −
表3 ︵1︶ から表3 ︵3︶ にはダイナミック・プロビット分析の
結果が示されている︒表3 ︵1︶ の ﹇モデル①﹈ は独立変数に経済
発展水準と経済成長率だけを含んだ基準モデルである︒表3 ︵1︶
の ﹇モデル②﹈ から表3 ︵3︶ の ﹇モデル⑤﹈ は︑それぞれ原油レ
ント ︵天然ガスを含む︶︑鉱物資源レント︑送金レント︑開発援助
レントを独立変数としたレンティア効果を測定するモデルである︒
表3 ︵3︶ の ﹇モデル⑥﹈ は各レント変数の相対的効果を見るため
の統合モデルである︒
一人当たり実質国民所得が大きくなるほど︑民主制は安定し︑非
民主体制は民主主義に移行しやすくなる ︵﹇モデル①﹈から﹇モデ
ル⑤﹈︶︒ただし民主化移行を促進する効果は非民主体制への退行を
阻止する効果より弱く︑これはプシエヴオスキらの分析結果と同じ
である︒
経済成長率は︑非民主体制への退行には影響しないが︑民主主義
への移行を阻止する効果がある︵﹇モデル①﹈から﹇モデル③﹈︶︒つ
まり︑経済成長を続けている非民主体制は崩壊しない︒分析モデル
によっては︑非民主体制への退行を阻止する効果も統計的に有意と
なった︵﹇モデル④﹈から﹇モデル⑥﹈︶︒つまり︑高い経済成長率を
維持できれば︑政治体制は安定する︒
原油レントの存在は政治体制の民主化に抵抗する効果がある︵﹇モ
53 中東諸国における非民主体制の持続要因
表3(1)基本モデルと原油レントモデル
モデル① モデル②
非民主制退行 t億 民主制移行 七億 非民主制退行 t侶 民主制移行 t侶 定数
−1.407★★★→4.42 −1.842★★★−9.00
原油レント
国民所得(1,000$) −0.119★☆★一3.63 0.016★★★ 2.79
成長率 −0.026 −1.30 −0.028★★ −2.41
エスニック亀裂 0.235 0.57 0.186 0.86
宗教亀裂 0.185 0.44 −0.967 −1.47
Log−1ikelibood −312.943 Prob>ebi2 0.000
擬似R2 0.874
観測数 3661
ー1.312★★★−3.95 2.625★☆★
−4.577 −1.34 −3.326柚
−0.118★柚−3.48 0.039☆☆
−0.033 −1.46 −0.033★★
0.318 0.70 0.273 0.132 0.28 −0.994
−260.692 0.000 0.867 2836
5 5 7 2 7 2 7 1 9 亡U O 4 7 2 1 ウ︼ l l l 一一 一
計 予測値
非民主制 民主制 非民主制 民主制
非民主制 2098 41 2139 非民主制 1374 36 1410
民主制 29 1493 1522 民主制 26 1400 1426
計 2127 1534 3661 計 1400 1436 2836
★:p<0.1柚:p<0.05★柚:p<0.01
表3(2)鉱物レントモデルと送金レントモデル
モデル③ モデル④
非民主制退行 t値 民主制移行 t値 非民主制退行 t億 民主制移行 七億
定数 −1.439★柚−4.35 −1.709★★★−8.28
鉱物レント 1.850 0.82 −1.808 −0.02
送金レント
国民所得(1,000$) −0.115★★☆−3.45 0.016★★ 2.54
成長率 −0.026 −1.20 −0.031日 _2.31
エスニック亀裂 0.254 0.59 0.258 0.98
宗教亀裂 0.051 0.11−0.986 −1.62
Log−1ikelihood −277.259 Prob>chi2 0.000
擬似R2 0.866
観測数 2977
−1.784★柚一生.27 −1.730☆★★−7.63
一0.009 −0.15 −0.058
−0.104☆★ −2.51 0.010★★
−0.063★★ 一2.50 −0.028★☆
0.525 0.96 −0.016 0.392 0.72 −0.801
−224.075 0.000 0.888 2940
ハd 虫U 9 3 ∩8
7 0 2 8 6 功2.4一〇功
非民主制 民主制 非民主制 民主制
非民主制 1482 38 1520 非民主制 1699 34 1733
民主制 2(; 14311457 民主制 15 1192 1207
計 1508 1469 2977 計 1714 1226 2940
★:p<0.1☆★:p<0.05☆★★:pく0.01
54
表3(3)開発援助レントモデルと統合モデル
モデル⑤ モデル⑥
非民主制退行 t億 民主制移行 t値 非民主制退行 七億 民主制移行 t億 定数
原油レント 鉱物レント 送金レント 開発援助レント
国民所得(1,000$)
成長率 エスニック亀裂 宗教亀裂 Log−1ilielibood Prob>ebi2 擬似R2 観測数
2.548★☆ 2.06 −2.519 −0.02 −1.606★柚−3.57 −1.373★★★−5.80
−3.705 −1.03 −3.830★ −1.94 2.718 0.92 −2.666 −0.02
−0.363 −0.87 −0.443 −1.45 ー0.227★☆★−3.50
−0.118☆★ −2.38
−0.050★★ −2.26 0.924★ 1.76
−0.250 −0.53
−281.821 0.000 0.828 2760
5 7 7 2 つU
3 8 1 9 nU
2 1 ∩∂ 1 2
一 −★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ☆ 5 ︵バ︶ 7 9 9
QU 1 2 1 1 0 ハU O 2 9 〇 ★ 1 0 6 2
4 4 6 ︹d
2 2 0 0 一一★ ☆ ★ ★ ∩︶ 虫U 3 6
0 6 0 9 1 0 4 1
0 0 0 0 一一
0.034 1.35
−0.032★★★−3.14 0.056 0.65
−0.982 −1.05
6 0 5 7 QU O 8 4 3 0 8 2
8 〇.〇.2
7
1
計 予測値
非民主制 民主制 非民主制 民主制
非民主制 1957 38 1995 非民主制 1061 30 1091
民主制 27 738 765 民主制 13 1143 1156
計 1984 776 2760 計 1074 1173 2247
★:p<0.1☆★:p<0.06★☆★:p<0.01
デル②﹈ および﹇モデル⑤﹈︶︒この結果は数理モデル
の推論と一致する︒原油︵天然ガスを含む︶以外の鉱
物資源レントは︑政治体制の変動に影響しない ︵﹇モ
デル③﹈および﹇モデル⑥﹈︶︒これはロスの分析結果
とは一致しない︒送金レントは︑政治体制の変動に影
響しない ︵﹇モデル④﹈および﹇モデル⑥﹈︶︒開発援助
レントは︑いったん成立した民主制を安定させ︑非民
主体制を民主化させる効果がある ︵﹇モデル⑤﹈︶︒な
お﹇モデル⑤﹈では統制変数として含めた﹁エスニッ
ク亀裂﹂と﹁宗教亀裂﹂の係数が統計的に有意な億に
なった︒このモデルでは民主制のケースがかなり少な
くなっていること︑そして定数項の推定値が棄却され
ることから︑基本モデルの構造が崩れているのかもし
れない︒ゆえに﹇モデル⑥﹈ から開発援助レントを除
いた︒
ダイナミック・プロビット分析の結果を要約すると
次のようになる︒︵1︶経済発展は民主制を安定させ︑
非民主体制の民主化を促す︒︵2︶高い経済成長率を
誇る政治体制は安定する︒︵3︶ 原油レントは非民主
体制の持続要因であり︑開発援助レントは経済発展と
同じ効果を持つ︒
55 中東諸国における非民主体制の持続要因
六 結論と考察
本稿では︑一九六〇年から一九九九年までの世界一七〇カ国のパ
ネルデータを分析して以下の結果を得た︒経済発展は非民主体制の
民主化を促すものの︵表3︵1︶﹇モデル①﹈から表3︵3︶﹇モデル
⑤﹈︶︑原油レントが非民主体制の持続要因となっている︵表3︵2︶
﹇モデル②﹈および表3︵3︶ ﹇モデル⑥﹈︶ ことが明らかになった︒
一方︑高い経済成長率は政治体制を安定させ ︵表3︵1︶ ﹇モデル
①﹈から表3︵3︶ ﹇モデル⑥﹈︶︑開発援助レントは経済発展と同じ
く民主化を促進すること ︵表3︵3︶ ﹇モデル⑤﹈︶も実証された︒
したがって﹁レンティア国家論﹂は原油レントに関して正しいと言
える︒
このように表3の結果は︑原油および天然ガスとこれらに関連す
るレントの存在が︑中東諸国の非民主体制を持続させているという
本稿の仮説を支持する︒
テリー・リン・カールは天然資源レントに依存する国家が開発戦
略をなかなか変更できないこと︑とりわけ原油に依存している場合
における困難の大きさを示し︑変革に対するレンティア国家の陸路
︵34︶ を論じた︒本稿の分析結果は原油レントの政治経済に対するインパ
クトの大きさを際立たせている︒そのt方で他の天然資源や送金は
レントとしての効果を示さず︑開発援助は逆の効果が現れた︒この
結果は安易な﹁レンティア国家﹂概念の拡張を戒める主張と符合
する︒ ﹁中東諸国の民主化﹂という問題設定そのものに疑問を呈するオ
ルプレックとシュルムバーガーの主張は興味深い︒彼らは次のよう
に主張する︒民主化﹁第三の波﹂に乗り遅れた中東を分析しょうと
する﹁一九九〇年代の中東政治体制の研究は初めから誤った立ち位
置にあった﹂と評価し︑いくら待ってもー向にやってこない民主化
︵35︶ を不条理劇の﹃ゴドーを待ちながら﹄に喩えた︒一九八〇年代から
九〇年代に見られた︑経済改革に伴う一連の政治的自由化は﹁権威
主義体制を特徴づけている要素としての﹃限定的な多元主義﹄に過
︵朗︶ ぎず︑E已︵−当巴 の古典的定義を忘れた誤りに過ぎない﹂︒彼ら
の言うように﹁なぜ中東は民主化の波に乗れなかったのか﹂という
問題ではなく︑﹁なぜ中東の権威主義体制は﹁成功﹂しているのか﹂
という問題設定のほうが適切なのかもしれない︒
﹁レンティア国家論﹂は中東の権威主義体制の成功を説明する最
も有力な説だと思われる︒しかしながら︑これまでの研究では﹁独
裁制﹂の支配者集団が体制選択リスクを回避できるメカニズムにつ
いて︑十分な考察を行ったとは言いがたい︒本稿で示した﹁レント
シーキング誘発効果﹂によるモデルは﹁レンティア国家論﹂に体制
選択リスク回避の論理を与えた︒これにより理論としての完成度を
高めることに貢献できたと言えよう︒
なお︑民主化を促す国際的な要因については︑開発援助レントを
除いて分析モデルに組み込むことができなかった︒これは今後の検
討課題としたい︒
56
付表 変数の要約(37)
変数リスト 観測数 平均値 標準偏差 最小値 最大値 政治体制
国民所得 成長率 エスニック亀裂
宗教亀裂
0 1
0.281 32.128
−51.030 10臥280
0
0.984
0
0.737
0,6238 0.4845 5.8288 5.9652 3.6675 6.9943 0.4372 0.2897
0.31(50
0.2408
1 4 9 1 7 1 亡U 7 9 2
5 5 5 4 ︳n▼
4 4 4 5 5 0 1 n適 0 0 0 9
原油レント 3215
鉱物レント 3377
送金レント 3267
開発援助レント 4151
0.0571 0.1358 0.0280 0.0609 0.6631 4.7218 18.0846 1.8220
︵1︶ 私市正年・栗田禎子縮Fイスラーム地域の民衆運動と民主化﹄
東京大学出版会︑二〇〇四年︑iiTiく頁︒
︵2︶ ハワード・ウィアールダ︵大木啓介訳︶﹃入門比較政治学﹄来信
堂︑二〇〇〇年︑一八五頁︒
︵3︶ 小杉泰﹁イスラーム政党をめぐる研究視座と方法論的課題﹂デ
ジア・アフリカ地域研究﹄第二号︵二〇〇一年︶︑二≡二1二三大貫︒
︵4︶ Se︶貞○亡rM.訂pset㌔SOm2SOCialR2q已si訂sO︑DemOCra琶
EgnOmicDe靂−Opme邑冒dぎー鼓c巴訂腎imp鼠︼Aヨ巾昇§謬・
〜註c已幹訂莞e知等訂∈﹀<○−.訟︵−誤望pp.審⊥○ひ.
︵5︶ Adpm PrzewOr乳n▲絆︼若ヨ荒5dO Lim昌隕∴M乱emiNatiOn⁚
↓heO江esand句acts−¥一声ユ乱歩琵打切﹀.吉−.金︵−慧5pp.−試⊥00∽・
︵6︶ JO−5寿terb亡童占emOCraCy宅itFO已DemOCratSベ⁚thepOten・
tia−夢rpO−itic巴−夢er巴iNatiOnint訂芦d巴e囲ast㌔inGhass旨
Sa−芭Peed.bnヨOCヨQ∈賢Q已bqヨQCr已笹謡代ゎ3e∈已罠旨訂・
叶打払訂叫訂乾琵〜れヨ一言r迂.︵Ⅰ.声ゴp仁ユs﹂∽りeもー比良.
︵7︶ H仁SSein宣agaく¥E↓FePattem恥賀d冒Ob−emsO︻出訂OnOロic
De克−OpmentinRentierStates=声eCas20コr巴㌔ビュ芦A・COOk︸
ed.一哲邑訂恥賢哲○宮ヨ訂無礼Q蔓○︑語句塗叶︵迂訂出e二〇軋ケrdUni・
くerSityPres∽−−彗○︶pp.畠00ム彗.
︵8︶ HaNemBeb−a5.andGiacOmOLucia阜eds.当季詳邑計こ碧厨
︵Cr呈mHe−m﹂∽00ゴ.
︵9︶ 松尾昌樹﹁レンティア国家と湾岸諸国の﹁民主化﹂﹂﹃現代の中
東﹄第三七号︵二〇〇四︶︑ニー−二二頁︒
︵10︶ 亡ND用Aヨひ祇gき§b電監局ヨ§叶知名○諷聖更︸︵亡ni訂dNa・
tiOnSP仁b−icatiOnS︸N00望︼p﹂琵.
︵11︶ GiacOmOF宍iani㌔↓FeOi−カent﹀臣e句isc巴Cnsi竺ロr夢eState
andDemOCratiNati宍㌔inG訂s笛nSa︼Pmeed.bわヨ宍r白Q∈れ罫Q已
宮きOC⊇監㌧表内哲莞∈已亀旨琵訂訂叶訂寮卜乳ぎ一ぎユ風︵−・声
↓a仁江s﹂渡英首p.−∽−−−∽ひ.
中東諸国における非民主体制の持続要因
57
︵12︶ Lisa♭bdersOn∴↓Fe State in the Midd−e East and NOユF
と貿ca﹀専COヨ匂弓已訂内野〜註c恥﹀ざー.望ち〇.−霊ゴ︸p.P
︵13︶ GiacOmOL仁Ciani﹀矢ResO弓CeS︸Reくen亡eS.andA已訂已taユan・
ism5.tFeト↓ab宅Or−d‖BeyOndtheRentierStateぺJnRe已斉苫en﹀
Bahga訂rany軒Pa已NOb−eeds.旨訂賢已卜旨雪已軋N已叫S恥b?
ヨ⊇当已計重訂岩こ計汁訂A⊇かきr〜乱.ざ〜﹂︑叫辞苫蒜計c已−村﹁蔓寛計eぷ
︵官eRiePnerPub−ishersゝ遠望も・巴ド
︵14︶ レントと徴税との関係については論争がある︒レンティア国家
論では政府が税に依存しない財政基盤を持つことから︑ほとんどゼ
ロか極めて低率の課税しか行わず︑いわゆる﹁課税なくして代表な
し﹂が実現されているものと論じられてきた︒しかしウオーターベ
リーは︑一九七五年から八五年にかけて南米の税率が一二%であっ
たのに対し中東は二五%にのぼることから︑開発途上地域の中で最
も税負担が大きいと主張した︵宅ate旨岳ヨー笠♪︵やC乾こp.和己︒本
稿では徴税と代表制の議論にほ踏み込まず︑レントが政治アクター
の選択に及ぼす影響のモデル化と実証分析に焦点をあてる︒
︵15ニPrNWeOrSF 許 L山巨On隕 ︵やCF および Adam Pr籍・
Michae−E.と畠reN﹀JOSeとーt02.〇CFeib仁b︸紆雰⊇呂dO wOrSざ
LimOn隕b内m宍r日々§乱b窒乳竜ヨS汀旨〜註c已計註ぎぎ己§札
毒Ⅳ苧出乱︑馬訂罫e 責︶ユ風 ︼り叫干﹂り篭−︵Cambユdge UniくerSi百
Press︸N000︶.
︵16︶ 呂icFae−L.ROSS㌔DOe∽Oi−H5.derDemOCra童可︸達き﹁註bq竿
託q劇<○−.ひ父N00亡−pp.∽Nひ−∽のー一
︵17︶ と守edSteppn5.thGraemeB.RObeきsOn﹀ば巨疋rlab3MOre
TF平戸矢M戻−im3E−ect弓a−Gap︶−計弓︑岩〜亀b内ヨOC⊇Q﹀.ざー.−A︸
n〇.実相00望﹀pp.︺〇・ふP
︵18︶ RObeユーBa∃0﹀b象内rヨ訂P已切阜向cSQヨ計れ⊇邑FAC⊇訟・
p岩已肯こ冒ぢキ計已払ぎ風下MITPressL諾声
︵19︶ 穿︶SS︸竜.Cぎp.ひ彗. ︵20︶ スミスおよびハープの研究だと実証分析上の問題だけは回避
されている︒Be且aminSmitF㌧Oi−宅ea−thandRe取meS∈ま遥−
intheDeくelOping貞ざr声−麗〒−造り㍉Aヨ内ユc§計弓喜〜阜辞・
琵訂已払c訂莞♪5Y−.念︸n〇.N︵帖00芦pp.N㌶−M▲芸.いMicFae−Herb︼
宋NO RepresentatiOn5.thO已丁賢ati昌可Rent︼D2くe−Opment and
DemOCraC㌔C§琶ヨ註完b鼓詳メ≦−.当︸n〇.︺︵皆○芦pp.N彗−
加−の.
︵21︶ C胃−esBO首紆S仁SanC.StOkes㌔EndOgenO宏DemOCratiNa・
tiOn﹁責︶r記旨〜註c払︼ざー.設︵望○芦pp.竺干澄Pなお合理的選
択モデルを用いた民主化理論では︑DarOnAcemOg−u紆James
A.RObinsOn﹀EcβOmicOユ乳nsOrDictatOrShipaロdDemOCra薫
︵CPmbユdge亡ni扁rSityPress﹀琶宗︶.が最も包括的である︒この研
究では非民主制下の支配者集団が体制選択を迫られた場合︑社会の
﹁所得配分の平等性﹂と﹁民主化運動の弾圧コスト﹂という二つの
変数に依存するモデルを揺示している︒
このモデルをベースに﹁レンティア国家論﹂をモデル・ビルディ
ングすれば︑次のようになろう︒富裕層でもある支配者集団は市民
革命を回避するために自らに不利な課税を行い︑再配分政策を通じ
て市民を懐柔しなくてはならないリスクを負う︒しかしレントがあ
れば課税コストを負担することなく︑再分配を行うことで支配者と
市民との間の所得格差を小さくできるだろう︒
アセモグルとロビンソンは体制変動のきっかけを経済危機や戦争
など政治的︑経済的︑社会的ショックに求めており︑特定の前提条
件を置いていない︒このことは﹁民主化移行が経済発展の水準に依
存するわけではない﹂と主張するプシュヴォスキらの研究と一致し
ている︒しかしながら︑拙稿でアセモグル=ロビンソンのモデルを
採用しなかったのは︑湾岸産油国の所得配分の平等性に関して侶鱗
できるデータが得られず︑実証分析の面で障害があったためである︒ ︵22︶ 政治体制を民主制と非民主体制︵独裁制︶ に分類する
58
意義と詳細な手続きに関しては︑Mikeと昌re♪JOSeトロ訂niO
CF2ib仁b﹀謬m呂dO巳旨白馬r軒Ad琶PPr籍WOrSざd−assi普ng
謬−itica−R2乳mes㌔訟巨象内払訂CO︑︸ぢ白岩計完計紆r︑岩㌻9︑S〜b琶〜㌣
長与賀已㌧吾−.如−こ岩.雲−若戸pp.∽−裟.を参照のこと︒
︵23︶ この点についてはNa夢a2.e−Beck︸JOnat訂n N一閃atN
紆RicF胃dづロCkeJ只ゴ巴阿山rロgゴmeSeユ○戻−y⁚ゴ巨?Se且es・CrOSS・
Secti旨とーa−ysis5.thaBFP苛Dependen訂ユab訂.¥Aヨ内ユc§
鼓弓己〜亀昏琵訂已哲訂宍♪ざーゝN﹀nOゝ︵−冨00︶もp.−Nの〒−誌00.
を参照のこと︒︵24︶ レント・プレミアムによる支配者集団のインセンティブの具体 的な例としては︑次のようなものが考えられる︒レント部分が流動 性のある外国資本ならば政治リスクの発生で容易に逃避すると考え られるし︑固定資産であれば紛争で破壊される可能性もある︒もし 民主化が軟着陸しても︑国際金融機関から国営石油企業の民営化を 迫られるかもしれない︒いずれにせよ︑レント部分は政治変動に ょって支配者集団の辛から失われる恐れがあるので︑レント・プレ ミアムが大きいほど支配者集団は政治リスクを回避しようとするだ ろ︑つ︒
︵25︶ ダイナミック・プロビット分析の計量経済学的説明はPrN?
WOrSFet虹.﹀N害○−竜.C肯こpp.−当⊥∽り.を参照のこと︒
︵26︶ 北村行伸Fパネルデータ分析﹄岩波書店︑二〇〇五︑八五頁︒
︵27︶ 旨什F弓S.溺巴昇s︸CrO琴き計§已3m?幹﹁訂仇b已Pゝヽe已罠
︵ma唱︸etictape︶.︵Datab巴已広IntematiOn巴−⁝岩○寧
︵鍋︶ 闊Obe諷S自PロerS詳とan HestOn−隷︑S責︶r〜軋ざ監内nト
︵gtp⁚\すま.ecOn.∈pe︼m.ed一S二〇〇四年t二月一五日アクセス︒
︵錮︶一戸r−dせ臣打.責︶r已b等乳竜きS叶訂註c已0⊇︵琶・知0≒皆Q旬.
︵宅Or−d出かnk−帖00望.
︵30︶ 罪a許e−LaPOユa.句−OrenCiOどpeN︶トロ争eiSh訂i許r酔夢︶beユ
≦s訂索ミ⊇e Q宕−i百OfGOく2mm2nt一32扇ER卓○︻Fng Paper n〇.のqN↓︵−りり望.
︵31︶ prNeWOrSFet.a−−N000﹀卓註.では四︑五ドルとなってい
るが︑これは実質国民所得の基準年が一九八五年だからである︒本
稿では厳密な開催を求めないが︑基準年の遠いからおおよその水準
を六千ドルとした︒
︵32︶一九九六年時点で︑サウジアラビアtr〇三〇ドル︑クウェー
ト一九︑九九〇ドル︑バハレーンニ︑四人〇ドル︑カタール一九︑
八四三ドル︵一九九四年︶︑オマーン一一︑二五〇ドル︒原油レント
が国民所得に占める割合は︑サウジアラビア三六%︑クウェート五
〇%︑バハレーン五九%︑カタール三四%︵一九九四年︶︑オマー
ン三人% 九九四年︶ である︒
︵33︶ シリア三︑九七一ドル二九九六年︶︑エジプト三︑六九九ドル
二九九六年︶︑イラン五︑〇一三ドル︵一九九七年︶である︒
︵34︶ 宕rq首Pロ舛ar−−ヨ岩旨﹁乱QH亀b訂ヨざ○軋〜加害ヨ仇§軋頴守?
哲已ぷ︵U2.扁rSiキOfC巴i夢邑aPress﹂冨声pp﹂㌣−P
︵35︶ HO−gerとbr究ht軒○−i扁rSe巳亡臼berge♪§貞Fting評r¢ロdOtJ
Re首eCF巴−顎責tFO已DemORa江Nati呂FtFeMid巳eEast㍉訂・
訂r︑岩㌻q︑岩〜旨〜註c已幹訂莞内知重訂∈−東口ー.Nひ盲〇.竺蜃亭革p.当P
︵36︶ ibid︼p.彗†⁝旨呂↑L昌.N㌔ぎt巴it胃ian賀d♭巨tFO邑胃i旨
R2乳me彗in用Greenste首二許︼声︼P−sb宰eds.冥a2︼b00kOf苫−it・
ic巴ScienceJAd臣s吾・宅es−e繋−当芦pp.−ゴγムーー﹂高橋進監訳
﹃全体主義と権威主義﹄法律文化社︑一九九五年︶
︵37︶ 本稿で使用したデータセットとプログラムは著者のウェブサイ
ト︵httpミ毒司声e.y呂Pagatal戸aC一j耳OSFirO︶で公開する︒
︹付記︺ 本稿は︑平成一七−一九年度科研費七七三〇〇九四︶ に
ょる研究成果の一部である︒
︵はまなか しんご 山形大学︶