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一2007年の定点及び非定点医療機関からの報告について一 茎

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Academic year: 2021

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(1)

道衛研所報Rep, Hokkaido Ihst. Pub. Health,58,27−30(2008)

     北海道における麻しん報告の動向について

一2007年の定点及び非定点医療機関からの報告について一

     Epidemiological Surveillance for Measles in Hokkaido

−Reports from Sentinel or Non−sentinel Clinics and Hospitals in 2007一

横山 裕之 長野 秀樹

中野 道晴 田邊 寛樹*

地主  勝 岡野 素彦

Hh oyuki YoKoYAMA, Michiharu NAKANo, Masaru JINusHI,

Hideki NAGANo, Hiroki TANABE and Motohiko OKANo

Key words:epidelniological surveillance(発生動向調査);measles(麻しん);sentinel chnics and      hospitals(定点医療機関)

 2006年秋より関東地方で,「感染症の予防及び感染症の 患者に対する医療に関する法律」(以下,感染症法)の五 類感染症である麻しんの報告数の増加がみられ,2007年春 には全国的な傾向となった1).北海道でも2007年5月から 室蘭,滝川,紋別を中心に報告数が増加し,9月には一時 的に収まったものの,10月から再び札幌,帯広などで報告 数の増加をみた2).2007年の時点では,麻しんは定点報告

(人口等を考慮した地域ごとの指定医療機関による定期的 な患者数報告)であったため,さらに詳しい発生傾向を把 握するために,北海道保健福祉部保健医療局健康推進課

(以下,健康推進課)は積極的疫学調査を2007年5月より 実施した3).これは北海道内各保健所を通じて,非定点医 療機関にも麻しん患者の報告の協力を求めたものである.

 一方,感染症発生動向調査において定点医療機関の地域 ごとの発生動向を十分に検討しているものは少ない4).そ のため,定点報告がどの程度実際の流行を反映しているか は不明であり,そのシステムの適切性を評価する必要があ

る.

 本報告では,2007年第19週〜52週(5月〜12月)の麻し ん全報告数における定点報告と積極的疫学調査による報告 の関連について比較検討したので報告する.

方 法

 定点報告は,総務省が総括する地方行政機関広域ネット ワーク(Local Gove㎜ent Wide舟ea Network:

LGWAN)を用い,厚生労働省が所管する「感染症サーベ

イランスシステム」から第19〜52週の帳票データベースか ら各週のデータをCo㎜a Separated Value(以下, csv)

ファイルとして使用した.積極的疫学調査による非定点医 療機関からの報告(以下,非定点報告)については,各保 健所から健康推進課を通じてデータを収集し,CSVファイ ルとして使用した.

 これらのcsvファイルをマイクロソフト(社)のExce1を 用いて保健所ごとに毎週の「全報告数」,「定点報告数」,

「非定点報告数」としてまとめ,経時的変化をグラフとし て作成した.また,全報告数と定点報告数及び非定点報告 数との相関を把握するため,Speamanの順位相関係数を 統計パッケージソフトであるSPSSを用いて算出した.た だし,第19〜52週のデータの中で報告数が0 の場合は削除

した.Speamlanの順位相関係数は,本報のように標本サ イズが小さい場合の相関の検定などに用いられる.

*北海道保健福祉部保健医療局健康推進課,現同食品衛生課

結果及び考察

 表1には第19〜52週における北海道の報告数を示した.

全報告数,定点報告数,非定点報告数を集計したところ,

全報告数の約4割が定点報告数であった

 表2に第19〜52週の道内各保健所管内高の報告数を示し た.道内全30保健所管内のうち,22保健所管内から報告が あり,その内7管内では30人を超えた報告数が一番多かっ た室蘭管内では,全道と同様に約4割が定点報告であった.

報告数が30人を超えた7保健所管内別の全報告数,定点報 告数,非定点報告数の経時的推移を図1に,また各報告間 の相関係数とP値(有意確率)を表3に示した、全報告数 と定点報告数の相関係数は,苫小牧保健所管内を除き0.779

一27一

(2)

表1 2007年第19〜52週における北海道の麻しん報告数 表2 2007年第19〜52週における北海道内保健所管内別の麻しん報告数       定点報告数  非定点報告数

週  全報告数 定点報告数 非定点報告数

      /全報告数(%)/全報告数(%) 全報告数 定点報告数      定点報告数  非定点報告数 非定点報告数

    /全報告数(%)/全報告数(%)

19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52

86 50 52 43 38 52 41 27 17 12 10 50 26 30 14 18 4 7 7 9 1 1 0 4 4 12 34 22 12 32 22 24 41 30

15 21 23 19 17 26 19 14 6 10 2 4 8 7 9 5 1 3 2 1 1 0 0 1 2 2 15 13 3 13 6 7 26 12

71 29 29 24 21 26 22 13 11 2 8 46 18 23 5 13 3 4 5 8 0 1 0 3 2 10 19 9 9 19 16 17 15 18

17.4 42.0 44.2 44.2 44.7 50.0 46.3 51.9 35.3 83.3 20.0  8.0 30.8 23.3 64.3 27.8 25。0 42.9 28.6 11.1 100.0  0.0

25.0 50.0 16.7 44.1 59ユ 25.0 40.6 27.3 29.2 63.4 40.0

82.6 58.0 55.8 55.8 55.3 50.0 53.7 48.1 64.7 16.7 80,0 92.0 69.2 76.7 35.7 72.2 75.0 57.1 71.4 88.9  0.0 100.0

75.0 50.0 83.3

559

40.9 75.0 59.4 72.7 70.8 36.6 60.0

 全道   832  室蘭   238 札幌市  134  釧路   141  滝川   81  紋別   74 苫小牧   67  帯広   35  北見   19  江別    8 市立函館   7  静内    6 倶知安   4 小樽市   3  千歳    3 岩見沢   3 旭川市   2  網走    2  渡島   2 富良野   1  深川    1  名寄    1  江差    1

313 87 33 29 65 41 20 21  6  2  1  0  1  3  1  0  2  1  0  1  0  0  0

519 151 101 112 16 33 47 14 13  6  6  6  3  0  2  3  0  1  2  0  1  1  1

37.6     62.4 36.6      63.4 24.6     75.4 20.6     79.4 80.2     19.8 55.4     44.6 29.9      70.1 60.0     40.0 31.6     68.4 25.0     75.0 14.3     85.7  0.0   100.0 25.0     75,0 100.0    0.0 33,3     66.7  0.0   100.0 100.0    0.0 50.0      50.0  0.0   100.0 100.0    0.0  0.0   100.0  0.0   100.0  0.0   100.0 札幌市,市立函館,旭川市は政令市保健所

表3 全報告数に対する定点及び非定点報告数の相関係数とP値*

    全報告数と  P値 保健所     定点報告数 (有意確率)

合計  832 313 519 37.6

全報告数と   P値 非定点報告数 (有意確率)

62.4

全道   0.885**

室蘭   0.872**

札幌市  0.866**

釧路   0.779**

滝月1     0.953**

紋別   0.858**

苫小牧  0.613 帯広   1.000**

<0.001

<0.001

〈0.001 0,005

<0.001

<0.001 0.06

<.001

0.955**

0.934**

0973宰*

0.972**

0.602*宰*

0.583***

0.972**

0.465

<0.001

<0.001

<0.001

<0.001 0.017 0.029

<0.001 0.353

(P=0.005)〜0.953(P<0.001)となり,いずれも有意であっ た.定点報告数と非定点報告数を比べると,室蘭,札幌市

(以下,札幌市,旭川市,市立函館は政令市保健所),釧路 保健所館内の定点報告数の相関係数が小さくなっているが,

これは表2に示したように,それぞれの定点報告数が非定 点報告数より少ないためと考えられる.一方,苫小牧保健 所管内では全報告数と定点報告数との相関係数が0.613

(P=0.060)となり,両側5%水準で有意差が認められな

かった.

 以上より,定点報告数が30人以上の7保健所管内のうち 6管内で,麻しんの定点報告は発生動向を反映しているこ とが示唆されたが,非定点報告と比べて定点報告の相関係 数が小さい傾向が認められた.室蘭,札幌市,釧路保健所 管内の場合,非定点報告の相関係数は,それぞれ0.934,

0.973,0.972(各々P<0.001)であったのに対し,定点報 告の相関係数はそれぞれ0.872(P<0.001),0.866(P<

0.001),0.779(P=0.005)であった.また,苫小牧保健所

*全報告数が0のデータは除く

**

P%水準で有意(両側)

*料 T%水準で有意(両側)

管内では有意な相関は認められず,定点報告だけで地域の 発生動向を正確に把握することは困難であると思われた.

 全国で麻しんの報告数が増加したことを受け,感染症法 が改正され,2008年1,魁から麻しんに関して,全数報告

(医療機関が該当する感染症を診断した場合,すべての患 者を要件に基づいて報告する)が義務づけられた.このよ うに,麻しん排除計画へ向けた体制のために,サーベイラ ンスシステムが強化された5).

 今後は年齢別のデータの解析を含め,より充実した発生 動向調査に向けた検討を行いたい.

 稿を終えるにあたり,ご協力いただいた北海道保健福祉 部保健医療局健康推進課,道内各保健所,各医療機関の関 係者の皆様に深謝いたします.

一28一

(3)

100 90 80 70 60 50 40 30 20 10  0

全道

F一...}}.㎝柵皿…

【匹.・

19    23    27    31    35    39    43    47    51

 +定点 一〇一非定点 一・ロー一全報告数

20 18 16

12 10 8 6 4 2 0

札幌市

19    23    27    31    35    39    43    47    51

  +定点 一〇一非定点 +全報告数

30

20

10

0

滝川

。。()ひ報   

19    23    27    31    35    39    43    47    51

  +定点 一〇一非定点 +全報告数

16 14 12 10 8 6 4 2 0

苫小牧

@

.. M. 「醐 ..丁・胸丁価

19    23    27    31    35    39    43    47    51

+定点 一〇一非定点 +全報告数

80 70 60 50 40 30 20 10 0

.−炉騨

19    23    27    31    35    39    43    47    51

  +定点 一Q一・非定点 +全報告数

60 50 40 30 20 10

0

釧路

19   23

+定点

27    31    35    39    43    47    51

 −0一非定点 +全報告数

25

20 15

て0

5

0

紋別

19    23    27    31    35    39    43    47    51

  +定点 一〇一非定点 一一全報告数

18

14 12 10 8 6 4 2 0

… 帯広

19    23    27    31    35    39    43    47    51

  +定点 一〇一非定点 +全報告数

図1 北海道内の保健所管内麻しん報告数の推移   2007年第19〜52週

  定点;定点報告数, 非定点;非定点報告数

一29一

(4)

         文     献

1)国立感染症研究所感染症情報センターホームページ:麻し  ん発生データベース

  (httpl〃idsc,nih.gojp/disease/measles/meas−db.htm1)

2)地主 勝,長野秀樹,工藤伸一,横山裕之,中野道晴,岡  野素彦,田邊寛樹,山口 亮,矢野公一:病原微生物検出  情報,29(5),128−129(2008)

3)平成19年5月8日付健康第497号「麻しんの発生について」

4)灘岡洋子,神谷信行,池田一夫,藤谷和正,広門雅子,柳  川義勢,諸角 聖:東京健安研セ年報,56,379−383

 (2005)

5>感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律  施行規則の一部を改正する省令(平成19年厚生労働省令第  159号,平成19年12月28日公布,平成20年1月1日)

一30一

参照

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