本明川における降雨時の浮遊懸濁物質の現地調査と流出量評価
江川英仁
*・西田 渉
**・重 龍樹
*・鈴木誠二
**・樋口由紀子
**Field Observation and Evaluation of Outflow of Suspended Solids from Honmyo River under the Rain Condition
by
Hideto EGAWA*,Wataru NISHIDA**, Ryuki SHIGE*, Seiji SUZUKI**, and Yukiko HIGUCHI**
Watershed has many kinds of sources that pollute the receiving waters. Recently, although the pollutant load of point sources is being reduced by the construction of sewer system and water treatment plans, reduction of pollutant runoff from non-point source is insufficient. Thus, it is needed to establish the effective reduction methods for the further improvement of water quality in receiving waters. In this study, in order to make clear the pollutant load from non-point sources in Honmyo river basin, field observations were carried out and the runoff of suspended solids during rainfall condition were measured. For their evaluation, distributed type model composed by rainfall runoff model and pollutants runoff model was developed and applied to Honmyo river basin.
Key words: non-point source, suspended solids, distributed model, rainfall and pollutant runoff model
1.はじめに
河川の水質汚濁は,主に流域における人間活動の活 発化に伴う汚濁負荷排出量の増加によって引き起こさ れる.流域で発生する汚濁負荷物質の発生源は,点源 と非点源の形態に分けられる.点源由来の汚濁物質は,
生活活動や産業活動に伴って排出,浄化処理の後に水 域に流入する.そのため,水質汚濁防止法 1)などの排 水規制に 関する 法令の 制定 や下水道 施設の 整備等 に よって抑制され,近年その流出負荷量は減少傾向にあ る.非点源については,山林や農地等から雨水の流出 に伴って水域に流入する.発生源が流域に面状に分布 するので,点源に比べて流出のメカニズムや流出量の 把握が容易でない.このことから負荷量の抑制が難し く,全負荷量に占める割合は増加傾向にある2).
非点源からの汚濁原因物質の流出量の把握には,現
地観測による実態の把握とモデル等による評価が必要 となる.評価手法に関しては,流域の小区域毎の流出 量を算定し得る手法とすることが各種の削減対策を講 じる上で必要と考えられる.
本研究では,長崎県諌早市を流下する本明川を対象 として,降雨流出時の現地観測を行うと共に,流域の 地形と土地利用状況を考慮できる分布型のモデルを構 築した.現地観測では,浮遊懸濁物質(SS)を取り上げ ているが,これは,本明川とその周辺水域の観測結果 から栄養塩類や COD との相関が高いことが明らかにさ れており4),また,SS の長期的な流出は本明川下流区 間の河床形状に少なからず影響をもたらすものと考え たためである.モデルの構築に関しては,雨水流出モ デルと汚濁負荷流出モデルとで構成される分布型評価 モデルとした.本モデルを現地に適用し,観測結果と
平成27年1月23日受理
* 工学研究科博士前期課程(Graduate School of Engineering)
** システム科学部門(Division of System Science)
の比較をとおしてモデル化の妥当性が検討された.
2.対象流域と現地観測の概要
対象領域は本明川の基準点である裏山橋流域であり,
その概要図はFig.1のとおりである.国土数値情報の GIS 解析の結果から,この流域における土地利用種の 割合は,森林 59.9%,田畑 30.5%,都市 9.5%となって いる.国土交通省による雨量観測は小野,本野,諫早 の 3 地点で実施されている.
観測は,2013(平成 25)年 12 月 9 日(観測 1),2014(平 成 26)年 6 月 2 日(観測 2),10 月 21 日(観測 3),11 月 30 日(観測 4)に実施した.採水は裏山橋地点で 10 分お き に 行 い , 採 水 後 直 ち に 分 光 光 度 計 (HACH 社 製 DR-2010)を用いて SS の濃度を測定している.流量は,
国土交通省によって計測された 10 分間隔の水位デー タ3)を収集し,裏山橋地点での水位流量曲線を用いて 評価した.降雨量に関しては,上述の 3 箇所の雨量観 測所で計測された 10 分間雨量データ3)を参照するが,
観測 3 と観測 4 では,これらに加えて,採水地点に転 倒マス式雨量計(池田計器製作所製 RT-5E)を設置し,
雨量を測定している.
3.観測結果
Fig.2に各観測で計測された流量と SS の濃度,降雨 量の時間変化を示す.なお,観測期間中の総降雨量(全 観測結果の平均値)は観測 1~4 で,それぞれ 41.7mm,
10.3mm,35.9mm,18.8mm であった.
まず流量に関して述べる.全ての観測において,降 雨の初期に諫早観測所と裏山橋地点で降雨が続くと,
流量の増加が確認できる.これは,雨水流出の比較的 速い都市域からの流出水が到達したことによると考え られる .減水 期の流 量変化 に関して は, 総降雨 量が 30mm を超える観測 3 で流量の減少率が高いが,観測 2 と観測 4 では減水率が低いことが分かる.
つぎに,SS の流出に関して述べると,全ての観測結 果において流出の初期に濃度が高いファーストフラッ シュ現象が表れているようである.流量流出の結果と 併せて見ると,河道周辺に分布する都市域からの流出 に起因するものと推察される.SS の濃度は,その後に 再度の増減があり,洪水の低減期には緩やかに減少し ている.
ここで,流量と SS の観測結果から SS の総流出量を 算定すると,観測 1~4 で 14.7t,0.5t,13.8t,2.2t であり,観測期間の総降雨量に応じて総流出量が増大 している.これは,SS の流出は雨水流出に伴ってなさ れるためと考えられる.また,総流出量に対するファー
Fig. 1 対象領域の概要図
0 2 4 6 降雨量 (mm/h)
小野
0 1020 30 40 50 6070 80 90 100110 120
0 2 4 6 8 10 12
11:10 11:40 12:10 12:40 13:10 13:40 14:10 14:40 15:10 15:40 16:10 16:40 17:10 17:40 18:10 18:40 19:10 19:40 20:10 20:40 21:10 21:40 22:10 22:40 23:10 SS (mg/l)
流量(m3/s)
流量 SS 0 2 4 6 降雨量 (mm/h)
本野
0 2 4 6 降雨量 (mm/h)
諫早
(a) 観測 1
0 2 降雨量 (mm/h)4
小野
0 10 20 30 40 50 60
0 2 4 6
11:30 12:00 12:30 13:00 13:30 14:00 14:30 15:00 15:30 16:00 16:30 17:00 17:30 18:00 18:30 19:00 19:30 20:00 20:30 21:00 21:30 22:00 SS (mg/l)
流量(m3/s)
流量 SS 0 2 降雨量 (mm/h)4
本野
0 2 降雨量 (mm/h)4
諫早
(b) 観測 2
Fig. 2 流量と SS 流出量の観測結果
裏山橋
干拓調整池 諫早湾
諫早 本野
小野
0 2km
(mm/10min)(mm/10min)(mm/10min)(mm/10min)(mm/10min)(mm/10min)
ストフラッシュ期間の流出量の割合は観測 1~4 にお いてそれぞれ,2.1%,17.6%,5.8%,17.5%であり,観 測 4 において最も高くなった.これは,ファーストフ ラッシュ前に都市域の割合が多い裏山橋に総降雨量の 3 割を占める降雨があったことで初期の流出量が増し たものと考えられる.
Fig.3に SS の流出量と流量との関係を示す.両者の 関係を観測開始時から時系列順にみると,観測 1 では 流量の上昇期までを観測したこともあり,SS の流出量 は流量と一価の関係に近いが,観測 2 では左回りの ループを描くように変化している.観測 3 と観測 4 で は共に複雑な形状を描いた.以上の結果から,SS の流 出量は,観測期間における降雨強度や降雨の継続時間 によって描く形状は変化することが考えらる.そのた
め,今後も観測を継続し上記の関係性を明らかにして いく必要がある.
4.モデルの概要
4.1 雨水流出モデル
雨水流出モデルとしては,降雨の流出手法として頻 用される Kinematic Wave モデルを用いた.基礎方程式 は以下のとおりである.
rin
x q t
h
(1)
2
1
qp
p
h (2)
ここに,h:流出流の水深,q:単位幅流量,である.
rinは流出流への横流入であり,流域での雨水流出の計 算では降雨強度が与えられ,河道流の計算では流域斜 面からの流入流量が与えられている.
雨水流の計算にあたって,国土数値情報を用いて流 域における土地利用種を都市域,田畑域,森林域の 3 種類に分けている.このうち,都市域では多くの地表 面がアスファルト舗装であるため,雨水が地中に浸透 せず,排水設備によって河川に流入する.そのため,
表面流出として取り扱い,式(2)のp1, p2を流水の抵抗
0 2 4 6 8 10 降雨量 (mm/h)
小野
0 40 80 120 160 200 240 280
0 2 4 6 8 10 12 14
17:30 18:00 18:30 19:00 19:30 20:00 20:30 21:00 21:30 22:00 22:30 23:00 23:30 0:00 0:30 1:00 1:30 2:00 2:30 3:00 3:30 4:00 4:30 5:00 SS (mg/l)
流量(m3/s)
流量 SS 0
2 4 6 8 10 降雨量 (mm/h)
本野
0 2 4 6 8 10 降雨量 (mm/h)
諫早
0 2 4 6 8 10 降雨量 (mm/h)
裏山
(c) 観測 3
0 2 降雨量 (mm/h) 4
小野
0 10 20 30 40 50
0 2 4 6 8 10
9:50 10:20 10:50 11:20 11:50 12:20 12:50 13:20 13:50 14:20 14:50 15:20 15:50 16:20 16:50 17:20 17:50 18:20 18:50 19:20 19:50 20:20 20:50 21:20 21:50 22:20 22:50 23:20 23:50 SS (mg/l)
流量(m3/s)
流量 SS 0 2 降雨量 (mm/h) 4
本野
0 2 降雨量 (mm/h) 4
諫早
0 2 降雨量 (mm/h) 4
裏山
(d) 観測 4
Fig. 2 流量と SS 流出量の観測結果(続き)
(a) 観測 1 (b) 観測 2
(c) 観測 3 (d) 観測 4
Fig. 3 SS流出量と流量の関係
(mm/10min)(mm/10min)(mm/10min)(mm/10min)(mm/10min)(mm/10min)(mm/10min)(mm/10min)
則として Manning 則を適用し,p1=(n/S01/2)p2,p2=3/5 (n:Manningの粗度係数,S0:流域の流出斜面勾配)と した.河道流は,表面流出成分と同形の式で表現した.
また,田畑域や森林域は雨水が地中に浸透しやすいた め,流出流を中間流として表現し,流速を Darcy 則で 算定し,p1=1/kS0,p2=1 (k:透水係数)とした.
4.2 汚濁負荷流出モデル
汚濁負荷の流出は次の式で評価した.
src r
x C Cq t
Ch
in in
(3)
ここに,C:SSの濃度,rin:横流入量,src:生成項で ある.Cinに関して,雨水にSSは含まれないものとし た.河道流の計算では各流域からの横流入水の濃度と している.srcに関しては次の式で評価している4).
)) ( (
src a
j・Q
b・
jg
jm
jt
(4)ここに,a,b:流出負荷量に関わるモデル係数である.
流域面で発生する負荷量は流出流量に応じて変化する
ものとした.対象とする SS は,流出初期に高濃度とな る現象が観測され,また洪水期間の流出負荷量が増水 時と減水時に異なる現象に対応させる必要がある.そ こで,累積負荷流出量に応じて変化する関数g(m(t))を 導入している.関数g(m(t))は以下のとおりである.
t m m m
t m
m t m m 1
m t m m 1
t 1 m c t m g
2 c
2
2 1
1 1
1
2
:
:
:
(5)
ここに,m(t):累積流出負荷量,m1:ファーストフラッ
シュの継続限界に関わる負荷量,m2:負荷流出量の低 減に関わる負荷量,c1:ファーストフラッシュの基本 評価量に対する濃度の増加率を表す係数,c2:負荷流 出量の低減量を示す係数である.本研究では,各モデ ルの基礎方程式を陽形式の有限差分法で離散化した.
5.モデルの現地適用と計算結果
0 2 4 6 8 10 12
11:10 11:40 12:10 12:40 13:10 13:40 14:10 14:40 15:10 15:40 16:10 16:40 17:10 17:40 18:10 18:40 19:10 19:40 20:10 20:40 21:10 21:40 22:10 22:40 23:10
流量(m3/s)
観測結果 計算結果 都市域 田畑域 森林域 0
2 4 降雨量 (mm/h) 6
小野
0 2 4 降雨量 (mm/h) 6
本野
0 2 4 降雨量 (mm/h) 6
諫早
0 1 2 3
11:30 12:00 12:30 13:00 13:30 14:00 14:30 15:00 15:30 16:00 16:30 17:00 17:30 18:00 18:30 19:00 19:30 20:00 20:30 21:00 21:30 22:00
流量(m3/s)
観測結果 計算結果 都市域 田畑域 森林域 0
2 降雨量 (mm/h)4
小野
0 2 降雨量 (mm/h)4
本野
0 2 降雨量 (mm/h)4
諫早
(a) 観測 1 (b) 観測 2
0 2 4 6 8 10 12 14
17:30 18:00 18:30 19:00 19:30 20:00 20:30 21:00 21:30 22:00 22:30 23:00 23:30 0:00 0:30 1:00 1:30 2:00 2:30 3:00 3:30 4:00 4:30
流量(m3/s)
観測結果 計算結果 都市域 田畑域 森林域 0
2 4 6 8 10 降雨量 (mm/h)
小野
0 2 4 6 8 10 降雨量 (mm/h)
本野
0 2 4 6 8 10 降雨量 (mm/h)
諫早
0 2 4 6 8 10 降雨量 (mm/h)
裏山
0 2 4 6 8 10
9:50 10:20 10:50 11:20 11:50 12:20 12:50 13:20 13:50 14:20 14:50 15:20 15:50 16:20 16:50 17:20 17:50 18:20 18:50 19:20 19:50 20:20 20:50 21:20 21:50 22:20 22:50 23:20 23:50 流量(m3/s)
観測結果 計算結果 都市域 田畑域 森林域 0 2 降雨量 (mm/h) 4
小野
0 2 降雨量 (mm/h) 4
本野
0 2 降雨量 (mm/h) 4
諫早
0 2 降雨量 (mm/h)4
裏山
(c) 観測 3 (d) 観測 4 Fig. 4 雨水流出モデルの計算結果
(mm/10min) (mm/10min)(mm/10min)
(mm/10min) (mm/10min)
(mm/10min)(mm/10min)(mm/10min)(mm/10min)(mm/10min) (mm/10min)(mm/10min)(mm/10min)(mm/10min)
5.1 計算条件
計算対 象流域 は国土 数値 情 報から 得た標 高デー タ に基づいて 130 個の小流域に分割した.計算対象期間 は観測期間とした.計算時間間隔は 0.5s である.観測 1~3 では小野,本野,諫早の各雨量観測所で観測され た 10 分間雨量を与えた.また,観測 4 では小野,本野 の観測所で測定された雨量と,裏山橋で測定した 10 分間雨量を与えた.
5.2 雨水流出モデルの計算結果
Fig.4 に雨水流出モデルで算定された流量ハイドロ
グラフを示す.全ての計算結果において,流量の時間 変化の傾向や,最大洪水流量や洪水到達時刻を概ね良 好に表現できていると考えられる.各流出成分による と,降雨開始直後の主な雨水流出源は都市域であり,
その後,田畑,森林域から流出していることがわかる.
これは,田畑,森林域は都市域と比べ樹幹遮断量が多 いこと.また,流出特性として都市域は表面流出とし,
田畑域,森林域は雨水が地中を浸透しやすいため,中 間流としていることから,都市域は田畑,森林域と比 べ初期損出雨量が低く,流出速度が速いためである.
全ての観測から最大流量時における主な雨水流出源は
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120
11:10 11:40 12:10 12:40 13:10 13:40 14:10 14:40 15:10 15:40 16:10 16:40 17:10 17:40 18:10 18:40 19:10 19:40 20:10 20:40 21:10 21:40 22:10 22:40 23:10
SS (mg/l)
観測結果 計算結果
0 200 400 600 800 1,000
11:10 11:40 12:10 12:40 13:10 13:40 14:10 14:40 15:10 15:40 16:10 16:40 17:10 17:40 18:10 18:40 19:10 19:40 20:10 20:40 21:10 21:40 22:10 22:40 23:10
SS (g/s)
都市域 田畑域 森林域 0
2 4 降雨量 (mm/h) 6
小野
0 2 4 降雨量 (mm/h) 6
本野
0 2 4 降雨量 (mm/h) 6
諫早
0 10 20 30 40 50 60
11:30 12:00 12:30 13:00 13:30 14:00 14:30 15:00 15:30 16:00 16:30 17:00 17:30 18:00 18:30 19:00 19:30 20:00 20:30 21:00 21:30 22:00
SS (mg/l)
観測結果 計算結果
0 10 20 30 40 50 60 70 80
11:30 12:00 12:30 13:00 13:30 14:00 14:30 15:00 15:30 16:00 16:30 17:00 17:30 18:00 18:30 19:00 19:30 20:00 20:30 21:00 21:30 22:00
SS (g/s)
都市域 田畑域 森林域 0
2 降雨量 (mm/h)4
小野
0 2 降雨量 (mm/h)4
本野
0 2 降雨量 (mm/h)4
諫早
(a) 観測 1 (b) 観測 2
0 40 80 120 160 200 240 280
17:30 18:00 18:30 19:00 19:30 20:00 20:30 21:00 21:30 22:00 22:30 23:00 23:30 0:00 0:30 1:00 1:30 2:00 2:30 3:00 3:30 4:00 4:30
SS (mg/l)
観測結果 計算結果
0 250 500 750 1000
17:30 18:00 18:30 19:00 19:30 20:00 20:30 21:00 21:30 22:00 22:30 23:00 23:30 0:00 0:30 1:00 1:30 2:00 2:30 3:00 3:30 4:00 4:30
SS (g/s)
都市域 田畑域 森林域 0
2 4 6 8 10 降雨量 (mm/h)
小野
0 2 4 6 8 10 降雨量 (mm/h)
本野
0 2 4 6 8 10 降雨量 (mm/h)
諫早
0 2 4 6 8 10 降雨量 (mm/h)
裏山
0 10 20 30 40 50
9:50 10:20 10:50 11:20 11:50 12:20 12:50 13:20 13:50 14:20 14:50 15:20 15:50 16:20 16:50 17:20 17:50 18:20 18:50 19:20 19:50 20:20 20:50 21:20 21:50 22:20 22:50 23:20 23:50
SS (mg/l)
観測結果 計算結果
0 20 40 60 80 100 120 140 160
9:50 10:20 10:50 11:20 11:50 12:20 12:50 13:20 13:50 14:20 14:50 15:20 15:50 16:20 16:50 17:20 17:50 18:20 18:50 19:20 19:50 20:20 20:50 21:20 21:50 22:20 22:50 23:20 23:50
SS (g/s)
都市域 田畑域 森林域 0
2 降雨量 (mm/h) 4
小野
0 2 降雨量 (mm/h) 4
本野
0 2 降雨量 (mm/h) 4
諫早
0 2 降雨量 (mm/h) 4
裏山
(c) 観測 3 (d) 観測 4 Fig. 5 汚濁負荷流出モデルの計算結果
(mm/10min)(mm/10min)(mm/10min)(mm/10min)
(mm/10min)(mm/10min)(mm/10min)(mm/10min)(mm/10min)(mm/10min) (mm/10min)
(mm/10min) (mm/10min)(mm/10min)
都市域であることが分かる.また,最大流量時におい て,観測 2 を除いて,全ての土地利用域から流出して いることが分かる.
5.3 汚濁負荷流出モデルの計算結果
Fig.5に汚濁負荷流出モデル算出した SS 流出量の計 算結果を示す.これらの結果によると,ファーストフ ラッシュの主な流出源は都市域であることが分かる.
観測 1,3,4 の結果から,ファーストフラッシュ直前ま たは期間中に田畑や森林域からの SS の流出が始まる ことが分かる.また,観測時の総降雨量が 30mm 以上の 観測 1 と観測 3 の結果では,最大流出流量時の主な流 出源は田畑域であり,総降雨量が 30mm 未満の観測 2 と観測 4 では,都市域であることが分かる.これらか ら,SS は雨量と共に流出すると考えられ,僅かな降雨 では損失雨量の高い田畑,森林域からの流出は微小と なるため,損失雨量の低い都市域からの雨水流出の割 合が高くなると考えられる.なお,観測 3 の結果につ いては,2 回目と 3 回目の濃度の増減が算定されてい ない.モデルでは考慮されていない流域からの流出メ カニズムや河床からの懸濁物質の供給等が考えられる ことから,さらに現地調査を行い,モデル化について 検討する必要がある.
つぎに流量と流出量の計算結果に関して述べる.各 土地利用成分では,観測 1,3,4 において最大流出の後 に最大流量が発生する傾向にある.これより,本明川 流域における各土地利用成分の SS は最大流量到達前 に著しく増大する.そのため,最大流量到達後は流域 における SS が減少するため,SS の流出量は減少する と考えられる.
6.おわりに
本研究では,本明川流域で降雨時に発生する浮遊懸 濁物質(SS)の流出量を把握することを目的とし,降雨 時に現地観測を行った.また,分布型の雨水流出モデ ルと汚濁負荷流出モデルを現地に適用し,SS の流出量 の評価を行った.
現地観測の結果から,本明川流域においてファース トフラッシュの発生が確認された.また,総降雨量が
多いほど,減水期における SS 流出量の減少速度が速い ことが分かった.SS 流出量に対する流量の二価性が示 された.雨水流出モデルの計算結果から,洪水到達初 期における主な流出源は都市域であり,最大流量時に 田畑域,森林域の順に流出することが示された.汚濁 負荷流出モデルの計算結果から,ファーストフラッシ ュ時の主な SS の流出源は都市域であると推定された.
また,SS の流出は雨水流出と同様に,都市域,田畑域,
森林域の順で流出することが示された.
今後は,現地調査を継続して本明川流域からの SS の流出特性を測定結果に基づいて更に検討すると共に,
モデルパラメータの推定を進めて,予測精度の向上を 図りたいと考えている.
謝辞:本研究を遂行するにあたり,平成 26 年度 国土 交通省河川砂防技術研究開発助成(地域課題分野 河 川)の支援を受けた.また,国土交通省九州地方整備局 長崎河川・国道事務所から貴重な資料を提供いただい た.関係各位に記して深謝申し上げます.現地観測に 協力頂いた 2015(平成 27)年度大学院 1 年生 野副泰裕 氏,学部 4 年生 西久保龍祐氏,七石裕貴氏の各位に謝 意を表します.
参考文献
1) e-Gov法令データ提供システム:
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S45/S45HO138.html 2) 国土交通省,農林水産省,環境省:湖沼水質のため
の流域対策の基本的考え方 p.36, 2006.
3) 国土交通省:水文水質データベース,
http://www1.river.go.jp/
4) 西田 渉,岩尾良太郎:集中型モデルによる降雨時 の浮遊懸濁物質の流出量予測に関する研究,土木学 会 論 文 集 G(環 境),Vol.68, No.7, pp.Ⅲ_761-Ⅲ _767,2012.