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研究資料 画伝幼学 絵具彩色独稽古(天保五年)

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研究資料 画伝幼学 絵具彩色独稽古(天保五年)

著者 染谷 香理

雑誌名 美術研究

号 414

ページ 35‑57

発行年 2015‑02‑20

URL http://id.nii.ac.jp/1440/00006051/

(2)

画伝幼学   絵具彩色独稽古(天保五年 ( 三五 研   究   資   料 画伝幼学   絵具彩色独稽古(天保五年)

染   谷   香   理   最初にこの『絵具彩色独稽古』を読んだ印象は、実にバランスが悪く不自然な技 法書だということだった。本文の記されている二十三丁のうち、最初の四丁で絵具 の使用法を説き、残りの実に十九丁を使って四十七種類もの素材やその種類にわけ て、 礬

どう

の 割 合 を 記 し て い る の で あ る。 同 じ「 独 稽 古 」 と 題 し 年 代 の 近 い も の に、 宮 本 君 山 の『 漢 画 独 稽 古 』 ( 一 八 〇 七 年 ( が あ る が、 こ ち ら は 画 論 や 筆 法、 絵 手 本、 画材やその使い方について、およそ絵を描くために必要であるとおぼしき知識を網 羅している。これならこの本を初学の者が手に取って 「独稽古」 ができそうである。 と こ ろ が、 『 絵 具 彩 色 独 稽 古 』 の ほ う は、 こ れ を 一 冊 手 に 取 っ た だ け で は、 な に を 稽古したらよいのか迷いそうである。素材や紙の厚みなどによって礬水の製法を変 えることは、絵を描く者にとって一般的なことである。しかしながら、これほどま でに細かく、膠や明礬の割合を使い分けるようなことはあまりしないのである。む しろ初学のものにとっては、混乱を招きかねない。それなのにもかかわらず、この 頃の技法書に必ずといっていいほど記されている、 絵を描くための心構えや、 筆法、 絵手本や画譜といったたぐいが全くないのである。礬水が絵を描く前の準備段階で あるはずなのに、礬水へのこだわりと、絵を描くことへのこだわりのバランスが非 常に悪いのである。またこの他にも、不自然な箇所がある。それは、絵具の使用法 を 記 し た 最 後 ( 七 丁 ( に、 「 此 外 い ろ 〳〵 の 繪

具 彩

色 方

かた

おゝ

け れ バ 即

そくせき

席 の 事 を し る し 其

餘 の 秘

傳 ハ 第

だい

へん

にくわしく 記

しる

す」とあるものの、それにあたる第二編が出てこ ないのである。執筆予定だったものの何らかの形で出版できなくなったとも考えら れるが、この文献の調査を進めるうちに、稿者の感じたこれらの違和感の原因が明 らかになってきた。

見いだした。東京藝術大学本の書誌情報は次の通りである。 法書を収集し分析する中、東京藝術大学大学図書館所蔵の文献を調べていく過程で   『 絵 具 彩 色 独 稽 古 』 は 稿 者 が 科 学 研 究 費 補 助 金 を 得 て、 多 量 の 日 本 画 に 関 す る 技

『画伝幼学絵具彩色独稽古   全』   板本   袋綴二十六丁   水色紙表紙   布目型押   中 本 ( 縦 十 八・ 八   横 十 二・ 七 セ ン チ (  東 京 藝 術 大 学 大 学 図 書 館 蔵 ( 元 東 京 藝 術 大 学 教 授脇本十九郎氏旧蔵図書 ( 題   簽

見返し   「   [画伝/幼学]絵具彩色独稽古 全」

  「桓斉先生著/[画伝/幼学]絵具分量考/東都

  文刻堂蔵版」 内   題

  [画伝/幼学]絵具彩色独稽古

(彩色独稽古は入木 ( 引札広告=出版案内   江戸繁昌記[静軒先生著]初編/江戸繁昌記[同上]弐篇/ 江戸繁昌記[同上]参編[近日出版] 奥   書   日比野氏 備   考   見 返 し、 序 文、 凡 例 は 藍 刷。 丁 付 は、 口 ノ 一 ( 序 文 ( ・ ナ シ ( 凡 例 ( ・ 口 ノ 二 ~ 口 ノ 五・ 六・ 三 ~ 二 十・ ナ シ ( 広 告 ( 。 東 京 藝 術 大 学 大 学 図 書 館 の 書 誌 情 報 に は二十丁と掲載されているが、それはこの丁付の混乱によるもので、実際は二十六 丁である。十九ウに礬水を引く童子の挿画あり、落款は桃二画。

著者の桓斎と凡例に名前がある鹿田孝清については、桓斎が江戸の絵師で、鹿田孝 清が京都の人であること以外は、共に不詳。鹿田孝清は日本古典籍総合目録データ ベ ー ス で 検 索 す る と、 他 に『 彩 色 童 喩 』 と い う 著 書 が あ る。 『 彩 色 童 喩 』 の 書 誌 情 報は次の通り。

『 彩 色 童 喩 』  写 本   袋 綴 二 十 丁   深 緑 紙 表 紙   半 紙 本 ( 縦 二 十 四・ 〇   横 十 五・ 九 セ

ンチ (   国立国会図書館蔵 題   簽   欠 (左肩に剝落痕 ( 内   題   彩色童喩 蔵書印

  「帝国図書館蔵」朱文方印・

「大正三・一一・五購求」朱文丸印

(3)

美   術   研   究    四   一   四   号 三六

備   考   挿画なし。

本文に数カ所藝大本の『絵具彩色独稽古』と記述に些少の違いがあるが、 ほぼ同一。 な ぜ 内 題 が『 彩 色 童 喩 』 と な っ た の か は わ か ら な い が、 『 絵 具 彩 色 独 稽 古 』 の 写 し と思われる。

  藝大本の題簽には「 [画伝/幼学]絵具彩色独稽古」とあり、見返しには「 [画伝 / 幼 学 ] 絵 具 分 量 考 」 と あ る の で、 「 絵 具 彩 色 独 稽 古 」 と「 絵 具 分 量 考 」 で 日 本 古 典 籍 総 合 目 録 デ ー タ ベ ー ス を 検 索 す る と、 国 立 国 会 図 書 館、 東 北 大 学 大 学 図 書 館、 日 比 谷 図 書 館 ( 日 比 谷 図 書 館 の 加 賀 文 庫 は 現 在 東 京 都 立 中 央 図 書 館 の 所 蔵 ( 、 西 尾 市 岩 瀬文庫、九州大学大学図書館、紙の博物館、富山市立中央図書館にそれぞれ所蔵さ れていることがわかる。このうち、国立国会図書館所蔵のものは、昭和二十年代か ら所在が不明ということだった。また、西尾市岩瀬文庫は書誌情報が書誌データベ ースでホームページに詳細に公開されていたため、それを引用した。その他所在の 確認できたものを掲載順に列挙する。

東北大学本 『 絵 具 分 量 考   完 』  板 本   袋 綴 二 十 六 丁   水 色 紙 表 紙   布 目 型 押   中 本 ( 縦 十 八・

七   横十二・八センチ (   東北大学大学図書館所蔵 (狩野亨吉氏旧蔵図書 ( 題   簽   欠( 『絵具分量考   完』の墨書あり ( 見返し

  「桓斉先生著/[画伝/幼学]絵具分量考/東都

  文刻堂蔵版」 内   題

  [画伝/幼学]絵具彩色独稽古

(「彩色独稽古」は入木 ( 引札広告=出版案内   江戸繁昌記[静軒先生著]初編/江戸繁昌記[同上]弐篇/ 江戸繁昌記[同上]参編[近日出版] 備   考   見返し、序文、凡例は藍刷。十九ウに礬水を引く童子の挿画あり、落款は 桃二画。最終丁ウに「愛知県尾張国名古屋」等書き込みあり。狩野亨吉氏によるも のか。 東京都立中央図書館本 『 絵 具 分 量 考 』  板 本   袋 綴 二 十 六 丁   水 色 紙 表 紙   布 目 型 押   中 本 ( 縦 十 八・ 六   横十二・五センチ (   東京都立中央図書館蔵 (加賀豊三郎氏旧蔵図書 ( 題   簽

  「絵具分量考」

見返し

  「桓斉先生著/[画伝/幼学]絵具分量考/東都

  文刻堂蔵版」 内   題

  [画伝/幼学]絵具彩色独稽古

(「彩色独稽古」は入木 ( 引札広告=出版案内   江戸繁昌記[静軒先生著]初編/江戸繁昌記[同上]弐篇/ 江戸繁昌記[同上]参編[近日出版] 備   考   題 簽 の「 絵 具 分 量 考 」 は 後 補。 題 簽 の 周 囲 に 剥 落 痕 あ り。 見 返 し、 序 文、 凡例は藍刷。十九ウに礬水を引く童子の挿画あり、落款は桃二画。

西尾市岩瀬文庫本 『 絵 具 分 量 考 』  板 本   袋 綴 二 十 六 丁   水 色 紙 表 紙   布 目 型 押   中 本 ( 縦 十 八・ 九   横十二・八センチ (   西尾市岩瀬文庫蔵 題   簽   欠 (剝落痕あり ( 見返し   「桓斉先生著/[画伝/幼学]絵具分量考/東都

  文刻堂蔵版」 内   題

  [画伝/幼学]絵具彩色独稽古

(「彩色独稽古」は入木 ( 引札広告=出版案内   江戸繁昌記[静軒先生著]初編/江戸繁昌記[同上]弐篇/ 江戸繁昌記[同上]参編[近日出版] 備   考   見返し、序文、凡例は藍刷。十四ウに礬水を引く童子の挿画あり、落款は 桃二画。最終丁左側の空欄に銅版精刻 (青刷 ( の印紙紙片を貼付 (四隅に 「不」 「許」 「翻」 「刻」 、右左に「版権免許」 「検定既済」 、版面寸法二 ・ 九/三 ・ 〇 ( 、同丁裏は空白。 ※右は西尾市岩瀬文庫による公開情報だが、挿画は十四ウではなく、十九ウか。

九州大学本 『画伝幼学絵具彩色独稽古   全』   板本   袋綴二十六丁   水色紙表紙   布目型押   中 本 (縦十八・八   横十二・七センチ (   九州大学大学図書館蔵 (相見香雨氏旧蔵図書 ( 題   簽

  「   [画伝/幼学]絵具彩色独稽古 全」

(4)

画伝幼学   絵具彩色独稽古(天保五年 ( 三七 見返し   「桓斉先生著/[画伝/幼学]絵具分量考/東都

  文刻堂蔵版」 内   題

  [画伝/幼学]絵具彩色独稽古

(「彩色独稽古」は入木 ( 引札広告=出版案内   江戸繁昌記[静軒先生著]初編/江戸繁昌記[同上]弐篇/ 江戸繁昌記[同上]参編[近日出版] 備   考   見返し、序文、凡例は藍刷。十九ウに礬水を引く童子の挿画あり、落款は 桃二画。

紙の博物館本 『[ 画 伝 / 幼 学 ] 絵 具 彩 色 独 稽 古   全 』  板 本   袋 綴 二 十 五 丁   水 色 紙 表 紙   布 目 型 押   中本 (縦十八・八   横十二・六センチ (   紙の図書館蔵 題   簽

見返し   「   [画伝/幼学]絵具彩色独稽古 全」

  「桓斉先生著/[画伝/幼学]絵具分量考/東都

  文刻堂蔵版」 内   題

  [画伝/幼学]絵具彩色独稽古

(「彩色独稽古」は入木 ( 引札広告=出版案内   江戸繁昌記[静軒先生著]初編/江戸繁昌記[同上]弐篇/ 江戸繁昌記[同上]参編[近日出版] 備   考   見返し、序文、凡例は藍刷。紙の図書館本は広告のある丁が裏表紙に貼付 されている。十九ウに礬水を引く童子の挿画あり、落款は桃二画。

富山市立図書館本 『画伝幼学絵具彩色独稽古   全』   板本   袋綴二十六丁   水色紙表紙   布目型押   中 本 (縦十八・七   横十二・七センチ (   富山市立図書館 (山田孝雄氏旧蔵図書 ( 題   簽

見返し   「   [画伝/幼学]絵具彩色独稽古 全」

  「桓斉先生著/[画伝/幼学]絵具分量考/東都

  文刻堂蔵版」 内   題

  [画伝/幼学]絵具彩色独稽古

(「彩色独稽古」は入木 ( 引札広告=出版案内   江 戸 繁 昌 記[ 静 軒 先 生 著 ] 初 編 / 江 戸 繁 昌 記[ 同 上 ] 弐 篇/江戸繁昌記[同上]参編[近日出版] 備   考   見返し、序文、凡例は藍刷。十九ウに礬水を引く童子の挿画あり、落款は 桃二画。最終丁ウに書き込みあり。山田孝雄氏によるものか。   調査した結果、 題簽に 「絵具彩色独稽古」 と 「絵具分量考」 の違いがあったが、 「絵 具 分 量 考 」 と あ る も の は い ず れ も 題 簽 欠 に よ る 後 補 で あ っ た た め、 「 絵 具 彩 色 独 稽 古」が原題であろう。見返しにある版元の文刻堂は、江戸通本町三丁目にあった西 村源六の地本屋か (井上隆明著 『改訂増補   近世書林板元総覧』 青喪堂書店、 上里春生 『江 戸 書 籍 商 史 』 名 著 刊 行 会 ( 。 桓 齋 に よ る 序 文 に 天 保 五 年 と あ り、 広 告 の『 江 戸 繁 昌 記

  弐篇』 と近日出版となっている 『江戸繁昌記   参篇』 がともに天保五年出版なので、 矛 盾 は な い。 『 江 戸 繁 昌 記 』 は「 克 己 塾 蔵 板 」 で 著 者 の 寺 門 静 軒 の 私 塾 が 版 元 で あ るが、文刻堂との関連性は不明。丁付は、他館所蔵のすべての冊子においても藝大 本と同一の混乱がみられた。内題の「 [画伝/幼学]絵具彩色独稽古」のうち、 「彩 色独稽古」が入木であること、丁付の混乱、本来有るべき刊記がない、七ウより前 と八オより後で本文の文字の太さが異なる印象をうけることなどから、何らかの改 変 が 加 わ っ て 出 版 さ れ た も の で 間 違 い な い だ ろ う。 序 文 の ロ ノ 一 ( 一 丁 ( と 本 文 前 半 の 口 ノ 二 ~ 口 ノ 五・ 六 ( 三 ~ 七 丁 ( が 桓 齋 著『 絵 具 分 量 考 』 の 一 部、 凡 例 ( 二 丁 ( と 後 半 の 三 ~ 二 十 ( 八 ~ 二 十 五 丁 ( ま で が 鹿 田 孝 清 著 で あ る と 考 え ら れ る。 ま た 前 半 部 分 の 桓 齋 著 と 思 わ れ る 部 分 の 最 後 で あ る 六 ( 七 丁 ( は 最 初 に あ げ た「 此 外 い ろ 〳〵 の 繪

具 彩

色 方

かた

おゝ

け れ バ 即

そくせき

席 の 事 を し る し 其

餘 の 秘

傳 ハ 第

だい

へん

に く わ し く 記

しる

す 」 ではじまり、その後すぐに、礬水の話になっていることから、作為的に次の礬水の 割 合 を 記 し た 鹿 田 孝 清 著 の 後 半 部 分 に つ な が る よ う、 入 れ ら れ た の だ ろ う。 ま た、 本 文 開 始 の ロ ノ 二 ( 三 丁 ( が「 ○ 彩 色 繪

具 つ か ひ や う の 秘

傳 こ ゝ に 記

しる

す 」 で は じ ま り、 丁付が「ロノ一」ではじまるのは不自然であることから、 後ろにある六 (七丁 ( の ほ う が 第 一 編 の 一 部 で、 ロ ノ 二 か ら ロ ノ 五 ( 三 ~ 六 丁 ( ま で が 先 ほ ど 指 摘 し た と ころの第二編にあたるのかもしれない。鹿田孝清と桓齋があたかも共著となるよう に桓齋著の『絵具分量考』の内題に入木をして出版されたのが、 『絵具彩色独稽古』 なのだろう。桓齋著の前半と鹿田孝清著の後半が、それぞれ独立した形で出版され たことがあったのかは現時点ではわからない。この 『[画伝/幼学] 絵具彩色独稽古』 の前半のみ、後半のみの冊子をご存じの方がおられれば、お教えいただきたい。

(そめや かおり・東京藝術大学大学院教育研究助手 (

(5)

美   術   研   究    四   一   四   号 三八

〔付記〕   本研究は、平成二十六年度   科学研究費補助金   基盤

C「経験と感性の継承―技

法書データベースの構築」 (研究代表者   染谷香理 ( の一環として行ったものである。

  な お、 翻 字 は 日 本 学 術 振 興 会 特 別 研 究 員 ( 東 京 大 学 史 料 編 纂 所

D( P

の 綱 川 歩 美 氏にお願いした。

〔凡例〕 ・改行位置を「/」で記した。 ・虫損等により判読できなかった箇所は「■」で記した。 ・丁番号と丁付は、 (丁番号「丁付」 ( の順で付した。

画傳幼学繪具彩色獨稽古   全

桓斎先生著/畫傳幼学繪具分量考/東都   文刻堂蔵版

そ れ 書

しよぐハ

畫 は 一

いつたい

體 の 要

えう

な り と い へ ど も、 / 文

もんもうぐハ

盲 畫 を 見 て 事

蹟 を 知

る は / 書

しよ

も ま た 及

およ

ば ざ る 事 遠

とふ

し、 す で に 會

津 の 盲

めくらこよミ

暦 、 畫

ぐハ

な く ハ 何

なに

を 冩

うつ

/ さ む や、 そ れ は 童

どう

まう

の 玩

もてあそ

び、 / 画

ぐハ

に 如

しく

ものなかるべし、 故

ゆへ

に 師

」(一オ ( なくして、 彩

さいしき

色 の一 助

ぢよ

ともなれ/かしと、 繪

具 の 製

せいさく

作 を 普

あまね

く/ 輯

あつ

め、 小

しやうさつ

冊 となす事 しかり

  于時天保五甲午春/垣斎老人誌 」(一ウ (

  凡例 夫

畫 に 礬

水 を 用

もちゆ

る こ と、 普

あまね

く 和

漢 と も に 古

ふる

く 用

もち

ひ 来

きた

り し / な り、 雖

しかりといへどもいまだそのたし

然 未 其 慥 か な る 發

おこり

も き か ず、 亦

また

ぶんりやう

量 の 定

さだま

り も な か / り し に 何 れ の 時

とき

よ り か、 膠

にかハ

十 匁、 明

みやう

礬 五 匁 を 以 て 煮

にる

、 是

これ

を / 十 五 の 割

わり

と 名

なづけ

て、 此

この

ぶんりやう

量 に て 事

こと

れ り、 然

しか

り と い へ ど も、 /

おも

ふ に、 數 年 画 の 為

ため

に た め し 見 る に、 紙 の 品 々、 絹

きぬ

の / 地

合 に よ り、 ま た 金 銀 地

戸 の 類

たぐひ

、 大

おほ

いに 相

違 すること/あり、 或

あるひ

ハ 古

画 を 模

うつ

すに 必

かな

らず二 遍

へん

を用ゆ、 又

また

墨着色 / 倶

とも

にどうさの 分

ぶんりやう

量 に 依

よつ

て 光

澤 あり、 年

ねんぢう

中 寒

かん

しよ

」(二オ ( 雨

に 差

しやべつ

別 あ り、 是

これ

ぶんりやう

量 を 辨

わきま

へ ざ る 時

とき

ハ、 か な ら ず 損

そこなふ

望 / こ と あ り、 此

このしよ

書 は 諸

しよにん

人 の 需

もとめ

に 應

おう

じ て 初

しよしんようがく

心 幼 学 の 助

たすけ

/ に、 小

せうさつ

冊 に 編

つらね

しよくんしあらた

君 子 改 め 是

これ

を 正

たゞ

し て、 試

こころミ

に 用 ひ 給 ハ ヾ / 是

これ

が 幸

さいハひ

なり

  平安   鹿田孝清【花押】 」(二ウ (

ぐわ

でん

幼 学

がく

具彩色獨稽古

       東都繪師   桓斎先生著

  ○ 彩

色繪具 つかひやうの 秘

傳 こゝに 記

しる

す ○ 胡

粉 ハ ま づ か く す り に よ く 摺

すり

て ぬ る ま 湯

を 少

すこ

し 入

いれ

こ ね て 能

よく

々 / と ろ り と し て う す 膠

にかハ

を 湯 に ひ た し 薄

うす

く と き 少 し つ ゝ 入 て 筆

ふで

の / あ た り 和

やハ

ら か に な る 程

ほど

に 水

ミづ

と 膠

にかハ

を 等

とうぶん

分 に 加

くハ

へ 遠

火 にて 温

あたゝ

め 」(三オ「ロノ二」 ( 用

もち

ゆなり 何

いづ

れも 胡

粉 の 加

くハ

へ 方

かた

と 似

たるものなり。 ○ 唐

とう

の 土

つち

ハ水に 膠

にかハ

せう

々水にして 交

まぜ

つかふべし

これハ胡 粉に/類

したるものなり

○ 朱

しゆ

ハ 少

すこ

しかくすりにして 薄

うすにかハ

膠 を 少

すこ

し交てとろりとときて/少々 火

にあたヽめ用べ し

但し丹 にてうへゑもやうをかく事/ありよくわかるなり。

╱ ○ 丹

たん

ハ 水

干 し て 用 ゆ べ し

但水 干なしに用 もちゆるときハうす膠 にかハをまぜて/水少々入すりてとろりとして少し油を筆のさきへ/付てもちゆ/是 秘傳也。

○ 黄

ハ 雌

黄 也 墨

すみ

のごとくすりてつかふなり 」(三ウ「ロノ二」 ( ○せウヱンジハあつき 湯

へしぼり出して 美

濃紙 にてこし 滓

かす

を 取

とり

/ 遠

火 にてあたヽめ よく〳〵つめて 用

もち

ゆべし○ 作

つく

り 黄

土 ハ 丹

たん

と/ 雌

黄 を 目

めぶんりやう

分量 に 入

いれ

うす

くして 胡

粉 を 少

すこ

し い れ つ か ふ べ し / ○ 土

つち

土 ハ よ く つ ぶ し 膠

にかハ

と 水

ミづ

と 等

とうぶん

分 に 交

まぜ

て つ か ふ 也 ○ 香

こう

/ 色

いろ

ハ 弁

べんがら

柄 と 雌

黄 等 分 に 交

まぜ

て つ か ふ 也。 ○ タ イ シ ヤ ハ 弁

べんがら

柄 へ 硯

すゞり

/ 墨

ずミ

いれ

めぶんりやう

分 量 に し て 遣 ふ べし○ 薄

うすくさ

草 ハ

黄、藍 まぜて/つかふべし

(6)

画伝幼学   絵具彩色独稽古(天保五年 ( 三九 」(四オ「ロノ三」 ( ○ 奈

良 緑

青 ハ 水

少 し 入 火

に て あ た ゝ め よ く 練

て 水

を く わ へ / と ろ り と 解

て 膠

にかハ

せう〳〵

々 ヅ ヽ 交

あぶら

を 少

し 加

へ 遣

ふ べ し ○ 白

これハ/よく摺 /水 にかハせう〳〵々まぜ是 ハ/緑 青うすき色 なり

○ 肉

ハ 弁

柄 の 上

へ 胡

粉 を 少

し 加

用 ゆ / ○ ま た 丹

の 上

うハミづ

水 に て も 用 る こ と あ り ○ 浅

黄 ハ 胡

粉 に 藍

蝋 を / 加

へ 用 ゆ る ○ 紫

むらさき

ハ ヱ ン ジ を か く 摺

に て 藍

を 加

へ 膠

にかハ

を / 少

々 加

へ 用 へ し ○ 紺

ハ 藍

へ 胡

粉 を 少

せう〳〵

々 入

にかハ

を 交

つかふべし 」(四ウ「ロノ三」 ( ○ 柿

かき

いろ

ハ 弁

べんがら

柄 へ 膠

にかハ

を 交

まぜ

つか

ふ べ し ○ ヱ ン ジ ノ グ ○ 白

六 ○ 黄

土 グ / ○ セ ウ ヱ ン ジ ノ グ ○ 肉

にく

いろ

い づ れ も 胡

粉 を 加

減 し て 用

もちゆ

る 也 ○ 花

はな

こん

/ 青

ぜう

ハ 水

ミづ

ひ た 〳〵 に 入

レ 後

のち

に う す 膠

にかハ

と ろ り と し て 少

すこ

し 入

いれ

に あ た ゝ め / 用 ゆ べ し

但にかハ上へ/うくものなり

○ 岩

いわ

ろくせう

青 の 製

せいほう

法 紺

こんぜう

青 と 同

前 也 こ れ ハ / 油

あぶら

を 少 々 加

くハ

へ れ バ 上

うへ

へ 模

様 が 書

かけ

る 秘

伝 也 ○ 墨

すミ

ハ か る め と い ふ 墨 / をよくすり 膠

にかハ

と水を 入

いれもち

用 ゆ

但上へ硯 すゞりすミにてもやうを/かくときよくわかるものなり

○ 金

きん

の 遣

つか

ひ 」(五オ「ロノ四」 ( や う 箔

はく

を と き 水

ミづ

を 加

くハ

へ 膠

にかハ

を 入 べ し ○ 銀

ぎん

も 同 前 な り ○ 下

の / 金 銀 ハ 青

あお

壱印下弐印中╱三印上銀

いづ

れも水 膠

にかハ

にてつかふべし。

  ○ 水

繪具 の 製

せいほう

これハ下の字の墨 書のきえぬ/やうにつかふゑのぐなり

○ 赤

あか

セウ/ヱンジ

○ 紅

べに

○ 朱

しゆ

ハ 上 水 に て も よ く ○ 藍

あい

ハ 紙

かミ

の あ い / を も ち ゆ ○ 草

くさ

あい紙の水と雌 黄地/等 分にまぜてつかふべし

○ 黄

黄をすりて/つかふなり

/ ○ 紫

むらさき

あい紙と/紅をませる也

○ 又 紫 水 を も 用 ゆ ○ 又 地

口 行

あんどん

燈 な どに用ハ 」(五ウ「ロノ四」 ( ○ 赤

あか

せんじ/すわり

○ 黄

スミをせんじ/用るなり

○ 金 の か ハ り ハ

ろうを火にてとかし/油 あぶらを少々入火のそば/にて遣 ふ也先 へ蝋 にてもやうをかき/上に繪 具をねれバよくはぢきてわかる也

○ 其

そのほか

外 ハ 丹・ 弁

べんがら

柄 ・ 朱

しゆ

・ い づ れ も / 上

うハミづ

水 を つ か ふ 也 ○ 緑

青 右

みぎ

の ご と くすり水を入れ 膠

にかハ

を少々入 藍

あい

を水にてしぼり出しまぜ上水をつかふ

これハ/草いろなり

  ○ 達

だる

磨その外人形の 彩

色繪具 ○ 赤

あか

下に胡 粉を水と膠 にかハと等 分にいれてねるべしその上へ長吉/丹へ上すきにかハをつよくいれてねりその上へせんじすわうを

」(六オ「ロノ五」 (

ひく/なり

○ 小 人 形 ハ 丹

たん

へ 膠

にかハ

を つ よ く し て 上 に 朱

しゆ

これもにかハを/多く加へるなり

/ ね り 又 其

その

う へ に 三 千 本

ぼん

にかハ

を と ろ り と し て 引

ひくこれハつやを/出すため也

○ 緑

ろくせう

青 ハ /

にかハを少 し/いれる也

○ 墨 胡

○ 紺

こん

ハ あ い ろ う に 膠 を ま ぜ 用 ゆ る / な り そ の 外

ほか

ハ 右

ミぎ

に 記

しる

す 処

ところ

と 用 ひ 方 同 断 な り ○ 墨

すミ

ハ / 膠

にかハ

を と か し 硯

すゞり

すミ

を ま ぜ 茶

ちやわん

碗 に て 火 に か け 煮

つめ

て / つ か ふ な り 是

これ

を 煮

ぐ る ミ と い ふ 漆

うるし

の ご と く つや 出

いづ

るなり 」(六ウ「ロノ五」 ( 此 外 い ろ 〳〵 の 繪

具 彩

色 方

かた

おゝ

け れ バ 即

そくせき

席 の 事 を し る し / 其

餘 の 秘

傳 ハ 第

だい

編 に く わしく 記

しる

す。

  ○ 礬

水 を 煮

にる

せいほう

どうさハ繪 彩色の秘 傳なり/よくこゝろえべし

まづにかハ

膠 を 水

ミつ

に ひ や し 能

く 洗

あろう

こと

を 第

だい

一 と す / 仮

令 ハ 赤

あか

なべ

に 水

ミづ

を 入

いれ

す こ し 温

ぬるミ

し 所

ところ

へ 膠

にかハ

を/入能々 煮

るなり。 件

くたん

の 膠

にかハ

もよくとけ湯の 弗

にへたつ

る 」(七オ「六」 ( 所

ところ

ミう

礬 を 細

さいまつ

末 に し て 入 能 く か き 廻

まハ

し / た と へ ハ 煙

草 二 三 ぶ く も 呑

のむほと

程 の 内

うち

明 ば ん / 煮

にる

ものなり 夫

それ

より能さまして 引

ひきもち

用 ゆへし

たゞしの余 りにゐる所へ膠 にかハを入る時ハかならず/にかわなべの底 に焼 付て分 量よろし/からず故 によくこゝろへてにるべし/○又夏 ハいかにもさましてのち引べし/冬 ハすこしぬるミしを用ゆべし是 /用なり

」(七ウ「六」 (

  ○ 膠

にかハ

に 二

品 あり

さらしにかわ/珍 にかわ

  △ 明

ミう

礬 ニ 二

品 あり

ばん/焼 ばん

○△ 二

ふたしなかミ

品紙 の 品

しな〳〵

々 により、 晒

さらし

を 用

もち

ゆ、 又

また

すき

と 当

とうぶん

分 /もあり、また 焼

やき

ミう

礬 と 生

みう

ばん を、 四 分 六 分 に / 加

くわ

ふ る も あ り 或

あるひ

ハ 四

しき

ねんちう

の 分

ぶんりうあう

量 昼

夜 晴

せいう

てんきあめ

の / 差

しやべつ

かけん

あ り く わ し き ハ 下

しも

すへ

細 にしるす。 」(八オ「三」 (

  ○ 晒

さらし

にかハ巾にかわといふ/又極 さらしともいふ

○ 玲

すき

にかわ千本にかわともいふ

  △ 生

ミう

つねの明ばん/をいふ

△ 焼

やき

ミう

火にかけ焼たる/をいふ

やき

ミうばんハ 生

ミうばんよりハ、あくなきゆへに 功

かう

のふ 薄

うす

し/まつ此、二しなにて こと足るゆへにはあらましをしるす

たゞし唐の阿 膠ハ分 量知れかたき故 に唐 の品/ハ用ゆることなかれ都 て礬 水にハ我くにの/廣さらしを上品とす○我国明 礬の始めハ四十二代文武天皇二年戊戌六月を江/国より初てこれを奉る。文政十三寅まで/一千百三十三年になる也

」(八ウ「三」 (

(7)

美   術   研   究    四   一   四   号 四〇   ○ 分

ぶんりやう

量 水

ミづ

一 升

せう

の 割

わり○印膠/△印明ばん

合 知るべし 金

地 屏

びやうぶ

風 襖

ふすま

の 類

るい一編 押○又ハ一編/箔 ともいふ通例也さらし○壱匁/焼△五分

金地同  

二編押/三編押分量同しさらし○壱匁二分/焼△五分

金地同  

張の上或 あるひハ布も芭 蕉布の/類に画 ハ箔 はくおさえ押にてたる也さらし○八分/やき△四分

金地 桐

きりいた

板 の 上

うへ

に押  

さらし○六分/やき△三分

金地 堅

木 の上に押  

さらし○九分/やき△五分

」(九オ「四」 ( 金地屏風 襖

ふすま

の類さび押へ

あぶらぬき/ともいふ  さらし○八分/やき△四分

 

但鳥 の子かミ其外薄 葉等 に金箔 を押す上に/引時ハどふさの分 ふんりやう量さび押へと同じ○八分△四分也

○ 無

地金 に 礬

水 を 引

ひく

こと 俗

ぞく

に 錆

さびおさ

押 へといふ是ハ/ 屏

びやうぶ

風 に 画

もなく用ゆるに 押

おし

はく

の 侭

まゝ

な れ は / 箔

はく

の 合

あわセ

め 或

あるひ

ハ 繕

つくろ

ひ の 所

ところ/\

々 箔

はく

お ち つ か ぬ / 故

ゆへ

に 薄

うす

く 礬

水 を 引

ひく

こ と を 錆

さび

押 へ とハいふなり。 」(九ウ「四」 ( ○ 按

あんする

に 我

わか

  朝

てう

の 昔

むかし

びやうぶ

風 の 發

おこ

り 四 十 代   天

武 /

三十五代 舒明帝第三皇子/天智帝ノ御弟号浄見原天皇

くわうてい

帝 の 御

宇 朱 鳥 / 元 丙

大唐武后朝重拱/二、中宗嗣聖三ニ当ル

とし

の 春

はる

羅 国

こく

よ り / 始

はじめ

て こ れ を 貢

ミつき

是 屏

びやうぶ

風 の 始

はじめ

め な る

礼記 に/天子斧 /扆

を負 て/立とハ是也

くだん

の 屏

びやうぶ

風 に 画

よう

あ り し 説

せつ

々 有 と / 雖

いへ

も 慥

たし

か な る 説

せつ

も な く 忘

ぼうせつ

なり 既

すで

にして 」(十オ「五」 ( 光

くわうミうくわうこう

明 皇 后

第四十五代聖武帝/御后淡海公第二女

てんひやうしやうほうねん

平 勝 寶 年 中に/ 法

華滅罪寺

南╱都

の 御

所 より東大寺

大/佛

御 参

さん

/ 詣

けい

の 時

とき

、其間十八町 余

左右 往

わうらい

来 の 路

次 を 鴨

かも

/の 毛

の 屏

びやうぶ

風 を以て是を 塞

ふさ

く とかや

是大唐よ/り渡りし/屏風今に東大寺の什寶世に知所也。按に是必/天武帝の御時渡りし屏風ならんか○法華滅罪/寺ハ尼の国分寺ニして淡海公の旧宅光明皇后/の御建立南都十五大寺の内御宗旨律宗

」(十ウ「五」 (

左尼御/所なり

そののち

後 に 至

いた

り て 金 屏

びやうぶ

風 あ れ と も 繪

/ も な く 無

地 金 と 見 へ た り。 何

いつ

れ の 時

代 よ り / 繪

を か き 用 へ し こ と に や そ の 世

に 無 地 金 の 屛

びやう

/ 風

を 賎

いや

し む る と 雖

いへと

も 昔

むかし

ハ 貴

人 の 家 ニ も 稀

まれ

な る / こ と 也

公事根 元ニ曰正月一日四方拝に清 涼殿の/東階のまへ砌の外ニ御屏風を立めくらし其/中に御座を設け給ふ/御事あり傳是ニ略す

今 世

の 俗

ぞく

人 無

地金 を 麁

」(十一オ「六」 ( 略

りやく

にして 彩

さいしきくもはくすなこていひきとう

色雲箔砂子泥引等 を上品と/とす是 其

その

故実をしらざるか故なり。 銀 屏 風 吉

凶 共 晴

はれ

に 用 る 作 法 あ り

婚礼にハ/惣銀にして /胡粉を以て鶴亀松竹梅等を画くなり。葬/式ニハ蓮池を画く也梅婚式に梅を画くハ非也  /大礼式にも鶴亀松竹の傳あれとも梅の傳/曽てなき事なり。餘ハ是に略す。

金銀 屏

びやうぶ

風 支那の傳ハ是ニ略ス 」(十一ウ「六」 ( 扨

さてさひおさへ

錆 押 ハ 繕

つくろ

へ ■

ぶり

ま た ら に な り て 箔

はく

う き て 見

みくるしき

苦 を 止 る / 計

はかり

に 引

ひく

事 也。 金 銀 地 に 礬

水 を す る ハ 繪

の 為 な り。 先 / 金

きんはく

箔 を 押 に 下

地 に 雌

黄 を 塗

り 其 上 に 粘

のり

を し て 押 也。 /

といふハにかわとふのりを/合てぬり附るをいふなり

又 箔

はく

を 轉

うつす

に む き く る の を / 麻

あさ

の 切 に 地 之 箔

はく

の 合

あい

かミ

を な そ り 夫より 箔

はく

を轉すなり

」(十二オ「七」(

それゆへ 油

あふら

の 気

水に 依

よつ

て 墨

すミ

をはしく為にどふさ/引用るなり。

金銀地に水墨を画に習 ひ口 傳あり画法ハ/こゝに略す○又金銀の襖等ハ俄に画かく時ハ/どふさを引てハわつらハしきゆへに、かわらけを細 末にして襖 ふすまにふりかけ羽 はうきにてよく/やわらかに掃 ならす也。○それ日光ろう石にても同し只油気をとりとふさの代になるゆへ也。○また金銀地紙の類に右二品の細末ニて/ことたるなり。

」(十二ウ「七」 (

  

○婚 式の屏風に箔 の合 あハせめ左右皆口 傳あり/是ハ本朝画 家一覧 の巻にしるす

地 屏

びやうぶ

風 襖

ふすま

の類

箔の押よふハ金と同し/但し下地なし白紙ニ行也 さらし○壱匁八分/生△壱匁

銀地  

張の上、又ハ布 の類に一編 二へん/箔にも分 量同し さらし○弐匁/生 △壱匁

銀地桐板之類  

さらし○八分/やき△四分

銀地 堅

木 之類  

すき○壱匁二分/生△六分

銀地さひをさへ  

さらし○壱匁/焼△五分

」(十三オ「八」 (

地  

水上ニ同し さらし○弐匁五分/やき△壱匁二分但加賀絹 のるい地合うすき品にハ○弐匁△壱匁にて/よろし、また画柄 によりて○さらし玲 すき(ママと当分にくわへて/用ることもあり能々心得べし。/絹地へどふさの引よふ、先はけにたくさんふくまぬ/よふにして角 の方より縁 二三分を除 きはけ目の/出来ぬよふに引べしと角絹ハ引のこりはけめ/てき勝なり引仕 舞の後枠 の横 木を入それ/より枠 のふちをトン〳〵と打べし、其外絹のはり様絹に

(8)

画伝幼学   絵具彩色独稽古(天保五年 ( 四一 」(十三ウ「八」 (

/明ばんの光 りのなき法/習 ひ口傳あり。

木綿 、 芭

蕉布 、 葛

布 の類

近年/かん石/どふし

 

すき○八匁五分/生△五匁但近 世種 々の風 流妙 て棚 袋の類を竹の/皮 なとにて張其品によりて二へんとふさ用る/  按 あんするに袋 ふくろの名を棚 の戸の名を相 違あり俗 に/床 わきの袋 ふくろといふハ是たるの戸なり/袋戸というは、どうふさのふすまのこと也これこゝろいべきこと也。

」(十四オ「九」 ( 唐

うら/うち

 

すきさらし○十匁六分/生やき△五匁五分

ふくさ 唐

一名すこふしとも/いふ俗語也

 

さらし○十一匁/やき△六匁五分○唐紙ハ大 唐紙といふ南 京より渡る又藤紙/とも書て本名亀邊紙といふ○紙の五二尺二寸/より三寸迄○横四尺五寸より八寸まて枚二百枚を一/本といふ一固に五本八十枚也○大唐紙の切口に/印あり上品ハ俗通  中品ハ隆茂森達丸/昇へ下品ハ廣大その外亢髙、上達、帳、伯、/義上、議光等の品あり、寸法立一尺九寸より二尺/迄、横四尺五寸也、尤かねざし其外上ニ同し

」(十四ウ「九」 (

○屏風ニふすまを張 に。うら打唐紙どふさの、しめ/りにて張ことを禁 すかならず礬水きかす/とふさ能々かわかして後ハ張べし/○裏 打唐 紙とふさなしに張ことなり跡にて/どふさ引時ハ画のためにハ/大にわろし

うら/うち

 

さらし○九匁/焼生合△五匁五分

都て裏打のものハ裏より引へし 跡

にて面をなそ/るへし 礬

水 へ元繪の違を霞暈の 分る為に引ものニ 」(十五オ「十」 ( 或

あるひ

ハ 彩

丹 繪 の 倶 を た も つ を 専 ら と し。 又 墨 龍 等 に ハ ど ふ さ 裏 打 紙 に て 能

く 染

ミ こみしよふに引かされハ 暈

くま

かさな

るに徒て損あり画の 要

かん

用なす也。

○白紙ハ唐士にて扇料に用るよし書名いまた/詳ならす又印ありも同興同昇ハ立二尺/横三尺五寸数一本といふハ八千枚一ケ三十本/二千四百枚なり。

更紗唐紙  

画を書く紙ニあらす/下られに同じ

 

さらし○九匁五分/やき△五匁五分

」(十五ウ「十」 ( 緑

ろくせう

青 唐紙  

さらし○〃/焼△〃

子 唐紙  

さらし○〃/焼△〃

しゆ

べに

唐紙  

さらし○〃/焼△〃近来京大坂にて、しけ唐紙を製す渡るもの/にハあらす、又とふさ引こと有り○七匁五分△三匁也

竹紙  

うら/うち

 

さらし○七匁/焼△三匁五分

 

竹紙立八寸一分、横 二尺五寸五分一帖ハ/八十枚一固を四十八帖入也とぞ

」(十六オ「十一」 ( 画

牋紙  

うら打

 

すき○十匁八分/生△五匁四分

箋  

に書 簡紙詩 の贈 答に/用ゆ近来和製もあり

 

さらし○八匁四分/焼△四匁二分

せんれん

連 紙  

又千 紙とも、/古画を模もよし

 

さらし○〃/焼△〃

糞 紙  

書名不詳近世種々の/名 目あれとも取用るに足らす○竹 紙のちりかミといふありその世唐紙の上/包またハ法 ハうしやう帖のうら打等に用ゆ又風 雅/の袋 ふくろ棚戸の類に用て雅 なりとふさの/分 ふんりやう量○△竹紙のことし

」(十六ウ「十一」 ( 和

藤紙

うら打

 

すき○九匁五分/生△四匁七分日本所之にてすき出すどふさ一編にてハ墨をはじく/かならす二編引べし二度めの分 ふんりやう量ハ水一升に○壱匁/△六分の割合に用ゆ。墨色繪の倶の光沢ありて/画もよくしか下品なり泥引等ニハあらて

間似合  

一名屏風間 似合といふ/越 前の産なり

 

玲○十二匁五分/生△八匁

 

引様能々しミ込しかふにひくべし、此紙ハはけめの/むら出来がちなり

」(十七オ「十二」 (

昔唐紙用さる時ハ皆間似合なり○屏風一双に/六十枚を以て張○近年とても間似合を以て本/式の屏風はることもあり○立一尺二寸五分横/二尺二寸二分なり○巻もの繪必是を用ゆべし

大間似合  

皆鳥の子の類

 

玲○十二匁五分/生△八匁五分此紙にて傳書系 圖等を書ことあり分量同し/どふさハ裏 うらおもて面より能くしみこむ程ニ引へし

とり

の 子

 

色鳥の印に似たる/にてとりの子といふ

 

すき○十二匁五分/生△八匁五分

雁皮紙  

古画をうつすによろしきかミ也

 

さらし○九匁五分/やき△五匁五分

」(十七ウ「十二」 ( 土間似合  

すき○十三匁五分/生△八匁五分土間合ハ摂州名塩村の産也。土間似合ハ夭子/といふ泥 土を和そて造るゆへ名とす是等の/類数品ありとふさ甚々引にくき紙なり/○此紙半間の尺に合ゆへ間似合と云々

色間似合  

さらす○八匁二分/やき△五匁何れにても右の類ハ此分量にて用へしどふさ/の引よふの為より画かきにくきこと侭あり

典具帖  

板下或ハうら打/等に用ゆ

 

さらし○七匁/やき△三匁五分

」(十八オ「十三」 (

(9)

美   術   研   究    四   一   四   号 四二

美濃国の産也。かミうすく■こしのことく近世の俗/人古画等を此紙にて模也是可笑のことなり。画  /をしらさるゆへ也○引様かさね引にして/ことふせんの類にならべるべし

濃 大

直紙  

大極品也

 

さらしすき合○十匁三分/生焼にても△六匁

 

立一尺ヨリ六分まて横一尺四寸六分/一名書物紙目録ともいふ

同中直  

上みのといふ、 立九寸五分又六分/横一尺三寸■分

 

〃/〃

 

○上ニ同し〃△〃

同小直  

書院みの/といふ也

 

立九寸ヨリ二分まて/横一尺三寸七分

 

〃/〃

 

○〃/△〃

」(十八ウ「十三」 ( 同 障

せう

子 美

濃  

又数寄屋/みのともいふ

 

〃/〃

 

○〃/△〃

  美濃 厚

紙  

此外森 下新 廣板 張谷札徳の山種々/の品あり○△分量もみな同し

夫 繪 を 模 に ハ 美 濃 紙 を 最 上 と す 昔 ヨ リ 古 画 等 の / 模

うつす

紛 本 皆 美 濃 紙 を 以 て す 是 礬 水の分量要用収にうつす

大幅等の軸を蟇に紙の継様習ひ口儀あり巻子弁/ることく世典具帖の類にて写すニて実に古画を/模にあらす只形ち而已うつすに似たり古画を実/うつすといふハ紙の厚をゑかく筆の通ふを法とす

」(十九オ「十四」 ( 引板巾一尺計/長サ一尺五六寸又弐三尺/にてもうつし。壱枚ツヽ/引其山へと 引かさねる也。/ほそ引か又ハあらなわとても/よし 図         桃二画 」(十九ウ「十四」 ( 圖

の ご と く 縄

なハ

を 張

はり

一 行

きやう

に 八 九 枚 十 枚 も さ け 三 四 寸 く ら い ツ ヽ / の し ず く の た る 内 つ な き 合 掛

かけ

へ し 場 も と ら す 早 々 干 弁

理 な り

世俗畳へならべ或ハ板の間にならべ場/もとり板たヽミのにじミ出来るなり

/ 扨 干 上 り 紙 ハ し わ に な り し ゆ へ 水 熨

のし

と い ふ す る 也

たとへハ/みのかミ/なれば五枚隔て結にはけめに水を引て能々揃へ/棒へ巻附る也一両日も置て用へし○又みのかミ十帖/二三十帖なと哉初のごとくに水のしをして両方ヨリ板/にはさミ重しをかけ置なり

」(二十オ「十五」 ( 半

紙  

玲○十匁五分/生△五匁五分

山代本取/といふ

  岩 国 半 紙

すなとり/上品也

  徳 地

はゝひろく/いろよし

/ 鹿 野

かミはた/よし

  ■ 計 小 川 は ひ ろ く う す て 也   吉 田 阿 武   島 田   仁 保

仁尾とも/いふなり

  龍 野 川

うす/て也

  五 ケ 村   右 田   色

いろ

よし

  三 尾   津   通   交 信   交 吉   小 原   小 松 原 /   徳 山   頂 万

かミは/たよし

  吉 賀   万 州   須本   土佐   徳島   佐州   大州   宇和島   松山   広島等種々類あり 岩城

みち/のく

内山

しんしら/の庄也

 

すき○十匁/生△五匁

 

美濃の代に用る也都て礬 水ハ紙の品て/矷薄に依て分量あり多く○△にてよし

」(二十ウ「十五」 ( 蝋

ろううち

打 紙  

さらし○六匁五分/やき△三匁五分是ハ系 圖等を書に用るかミ也年をへても/虫はまず或ハ官 家にて日記をかくなとあり

可紙  

さらし○四匁五分/やき△二匁是ハ伝受 目録等の事を書キすかミなり年/を歴 て虫はまぬためにとふさを引こと也

  ○ 額

かく

の類 額  

さらし○四匁/やき△二匁

」(二十一オ「十六」 ( 画

に 限

かき

ら す 高

かうさつ

札 看

板 額

がく

の 類 薄 き と ふ さ 引 べ し / 第 一 板 の 削

けづり

目 も か く れ 墨 / の 光

沢 あ わ く 墨 / 散

ちること

事 な し 文 字 お ち つ き て 大 に よ し

板に文字を書/くに墨種々の/品を入ることあり墨のにしむを恐れるか故なり/皆取に足らざるの法也用ゆべからす

あいバん

板  

画なとに依て分 量あれとも/大略これにてよろし

 

すき○八匁/生△四匁五分

ひのき

板   同  

すき○十二匁/生△六匁

」(二十一ウ「十六」 ( 松

まつ

けやき

  同  

〃○十八匁/〃△十匁

木 の類  

木の始に依て二へんを/引へし

 

〃○十三匁五分/〃△七匁五分

  ○四 季

の 分

ふんりやう

量 ○正月

二月

三月中 旬

じゆん

迄九月より十

十一

十二迄水一/ 升

せう

ニ付○△ 本

ほんほう

法 のとふ り○三月中旬より四月五月/中旬迄本法の 分

ぶんりやう

量 ○△二三ツヽもますへし。 」(二十二オ「十七」 ( ○ 五 月 中 旬 よ り 六 七 八 月 ま て 本 法 に 四 五 分 ツ ヽ ○ △ 共 に / ま す へ し

但暑 中ハどふさのきかぬものゆへなり、/とふさハ快 晴に引こと也雨天 ハよからす

○ 風 烈

はけし

き 時 ハ

△三分ツヽも不足の/方よろし

○ 夜

分 引 こ と 先 禁

きんす

/ べ し し か り と い へ と も 無

よんところなきとき

拠 時 ハ 能 分量改て用ゆへし   ○ 礬

どふさにつとうぐ

水煮器 の事 ○ 土

器  

となべのるい

  ○炭の火  

火炙りつよきを/いむこと也

」(二十二ウ「十七」 (

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