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はじめに 家畜保健衛生所が実施する事業 検査 調査等の業績は 各都道府県並びにブロックで毎年度に開催される家畜保健衛生業績発表会で発表 討議されている この全国家畜保健衛生業績抄録は 各都道府県の平成二十三年度の発表会の抄録を編集したものであり 発表された全ての演題が収載されている 抄録の配列は家畜

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(1)

全 国 家 畜 保 健 衛 生 業 績 抄 録

消 費 ・ 安 全 局 動 物 衛 生 課

家 畜 衛生 の進歩

No.45

平 成 2 3 年 度

(2)

家畜保健衛生所が実施する事業、検査、調査等の業績は、各都道府県並びに

ブロックで毎年度に開催される家畜保健衛生業績発表会で発表、討議されてい

る。この全国家畜保健衛生業績抄録は、各都道府県の平成二十三年度の発表会

の抄録を編集したものであり、発表された全ての演題が収載されている。抄録

の配列は家畜別に、また、病因並びに病類別に行い、多岐にまたがるものはそ

の主要部分の属する項に集録されている。

本抄録が家畜保健衛生所の日常活動のより一層の活性化と、地方における家

畜衛生の向上に役立つことを期待する。

(3)

地 方 農 政 局 農 政 事 務 所 家 保 畜 産 課 畜 試 等 県 ・ そ の 他 公 衆 衛 生 市 町 村 農 業 団 体 開 業 獣 医 学 校 関 係 そ の 他 北海道 平成23年10月26日 札幌市男女共同参画センター 20 164 ○ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ 青森県 平成24年 1月24日 アピオあおもり 13 62 ◎ ◎ ◎ ◎ ○ ◎ ◎ ◎ ◎ 岩手県 平成24年 1月18日 エスポワールいわて 16 49 ◎ ◎ ◎ ◎ ○ ◎ ◎ 宮城県 平成24年 1月20日 仙台市パレス宮城野 17 75 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ 秋田県 平成24年 1月20日 秋田市イヤタカ 7 73 ◎ ◎ ◎ ◎ ○ ◎ ◎ ◎ ◎ 山形県 平成24年 1月17日 山形県村山総合支庁講堂 12 54 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ○ ◎ 福島県 平成24年 1月16日 福島県自治会館 7 35 ◎ ◎ ◎ 茨城県 平成24年 1月13日 茨城県畜産センター 13 80 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ 栃木県 平成23年12月16日 栃木県庁研修館 11 88 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ○ ○ ◎ ◎ ◎ 群馬県 平成23年12月20日 群馬県庁舎会議室 18 81 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ 埼玉県 平成23年12月21日 さいたま商工会議所会館 8 51 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ○ ◎ 千葉県 平成23年12月21日 千葉県文化会館 14 102 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ 東京都 平成23年12月21日 東京都家畜保健衛生所研修室 15 40 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ 神奈川県平成24年 1月12日 海老名市文化会館小ホール 9 91 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ 山梨県 平成23年12月20日 山梨県北巨摩合同庁舎 12 41 ◎ ◎ ◎ ◎ ○ ◎ ○ ◎ 長野県 平成24年 1月13日 長野市NOSAI長野会館 17 84 ◎ ◎ ◎ ◎ ○ ◎ ○ ◎ 新潟県 平成24年 1月 12日 新潟県庁講堂 22 67 ○ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ○ ◎ 静岡県 平成23年12月15・16日静岡県男女共同参画センターあざれあ 18 103 ◎ ○ ◎ ◎ ○ ◎ ◎ 富山県 平成24年 1月27日 富山県民会館 12 81 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ○ ◎ ◎ ○ 石川県 平成23年12月15日 ホテル金沢 10 30 ○ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ○ ○ ○ 福井県 平成24年 1月20日 福井県繊協ビル 8 54 ◎ ◎ ◎ ◎ ○ ◎ ◎ ○ 岐阜県 平成23年12月16日 岐阜県シンクタンク庁舎 14 84 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ○ ◎ ○ ○ 愛知県 平成23年12月22日 愛知県自治センター 11 80 ○ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ 三重県 平成23年12月16日 三重農業共済会館 18 59 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ○ ○ ◎ ◎ ◎ 滋賀県 平成24年 1月18日 近江八幡市人権センター 8 30 ◎ ◎ ◎ ○ ◎ ○ 京都府 平成24年 1月27日 京都府庁 9 64 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ○ ○ ◎ ○ 大阪府 平成24年 1月18日 大阪府府立大学りんくうキャンパス多目的ホール 7 40 ◎ ○ ◎ ○ ◎ ◎ ◎ ◎ 兵庫県 平成24年 1月20日 神戸市教育会館 11 99 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ 奈良県 平成24年 1月20日 農業振興会館 8 30 ◎ ◎ ◎ ◎ ○ ◎ ◎ 和歌山県平成23年12月22日 和歌山県水産会館 10 60 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ 鳥取県 平成24年 1月 27日 鳥取県庁講堂 18 75 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ○ ◎ ○ ◎ ◎ 島根県 平成24年 1月 19日 島根県職員会館 16 82 ○ ◎ ◎ ◎ ◎ ○ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ 岡山県 平成24年 1月 18日 テクノサポート岡山 18 108 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ 広島県 平成24年 1月 17日 県庁講堂 11 74 ◎ ○ ◎ ○ ○ ◎ ◎ ◎ 山口県 平成24年 1月 19日 山口県庁視聴覚室 16 70 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ 徳島県 平成23年 12月21日 徳島県庁講堂 16 41 ◎ ◎ ○ ○ ◎ 香川県 平成24年 1月13日 香川県獣医畜産会館 10 30 ◎ ◎ ◎ ○ ◎ 愛媛県 平成24年 1月13日 愛媛県庁 26 72 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ 高知県 平成23年12月27日 高知県職員能力開発センター 13 43 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ 福岡県 平成23年12月 2日 粕屋総合庁舎大会議室 14 72 ○ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ 佐賀県 平成23年11月25日 佐賀県中部家畜保健衛生所 13 40 ◎ ◎ ◎ ◎ 長崎県 平成23年12月13日 長崎県市町村会館 18 77 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ○ ◎ ◎ 熊本県 平成23年12月 2日 熊本県農業研究センター畜産研究所講堂 11 95 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ 大分県 平成23年11月22日 県庁舎本館正庁ホール 15 91 ○ ◎ ◎ ◎ ◎ ○ ◎ ◎ ◎ ○ ◎ 宮崎県 平成23年11月10日 県総合保健センター 17 87 ○ ◎ ◎ ◎ ◎ ○ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ 鹿児島県平成23年12月15日 鹿児島県歴史資料センター黎明館 17 80 ○ ○ ◎ ○ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ 沖縄県 平成23年11月22日 沖縄県庁講堂 20 135 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ 計 644 3,323 参 加 人 数 平成23年度家畜保健衛生業績発表会一覧 参集範囲  ○:呼びかけ  ◎:実際の参加 都道府県名 開催期日 開催場所 参加者の内訳 中 国 四 国 九 州 沖 縄 関 東 甲 信 越 東 海 ・ 北 陸 北 海 道 東 北 発 表 演 題 数 近 畿

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目 次

平成23年度(第53回)全国家畜保健衛生業績抄録

ペ ー ジ Ⅰ 牛の衛生 1.ウイルス性疾病 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 ~ 23 2.細菌性・真菌性疾病 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23 ~ 39 3.原虫性・寄生虫性疾病 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・ ・39 ~ 41 4.一般病・中毒・繁殖障害・栄養代謝障害 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・41 ~ 48 5.生理・生化学・薬理 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・48 ~ 49 6.保健衛生行政 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・49 ~ 54 7.畜産技術 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・54 ~ 66 8.その他 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・66 ~ 68 Ⅱ 豚の衛生 1.ウイルス性疾病 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・69 ~ 75 2.細菌性・真菌性疾病 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・75 ~ 82 3.原虫性・寄生虫性疾病 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・82 ~ 83 4.一般病・中毒・繁殖障害・栄養代謝障害 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・83 ~ 85 5.生理・生化学・薬理 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・85 ~ 86 6.保健衛生行政 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・86 ~ 88 7.畜産技術 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・88 ~ 91 8.その他 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・91 Ⅲ 鶏の衛生 1.ウイルス性疾病 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・92 ~ 97 2.細菌性・真菌性疾病 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・97~101 3.原虫性・寄生虫性疾病 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・101~102 4.一般病・中毒・繁殖障害・栄養代謝障害 ・・・・・・・・・・・・・・・・・102~104 5.保健衛生行政 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・104~117 6.畜産技術 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・117~118 7.その他 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・118 Ⅳ 馬の衛生 1.ウイルス性疾病 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・119 2.細菌性・真菌性疾病 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・119 3.保健衛生行政 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・119 4.その他 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・119~120 Ⅴ 山羊・めん羊の衛生 1. 細菌性・真菌性疾病 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・121 2.原虫性・寄生虫性疾病 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・121 3.一般病・中毒・繁殖障害・栄養代謝障害・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・121 4.保健衛生行政 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・121~122 5.畜産技術 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・122 Ⅵ みつばちの衛生 1.ウイルス性疾病 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・123 2.原虫性・寄生虫性疾病 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・123 Ⅶ その他の家畜の衛生 1.ウイルス性疾病 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・124 2. 細菌性・真菌性疾病 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・124~125 3.原虫性・寄生虫性疾病 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・125 4.一般病・中毒・繁殖障害・栄養代謝障害・・・・・・・・・・・・・・・・・・・125~126 5.保健衛生行政 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・126 6.その他 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・126~127 Ⅷ 共通一般衛生 1.細菌性・真菌性疾病 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・ ・ ・・・・128 2.一般病・中毒・繁殖障害・栄養代謝障害・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・128 3.生理・生化学・薬理 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・128 4.保健衛生行政 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・128~139 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・139~141

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I

牛の衛生

Ⅰ-1

ウイルス性疾病

1.根 室 管 内 一 地 域 で 取 り 組 ん だ 牛 ウ イ ル ス 性 下 痢 ・ 粘 膜 病 対 策 と そ の 検 証 : 北 海 道根室家保 川内京子、斎野仁 根室管内A町では平成18年から家畜自衛 防 疫 組 合 、 獣 医 師 会 、 家 保 が 連 携 し て 牛 ウ イ ル ス 性 下 痢 ・ 粘 膜 病 ( BVD-MD) 対 策 を 開 始 。 町 内 全 戸 の バ ル ク 乳 検 査 や 公 共 牧 場 入 牧 牛 全 頭 検 査 な ど の 積 極 的 サ ー ベ イランスを行い、5年間で持続感染牛(PI 牛 ) 71頭 を 摘 発 。 ま た 、 町 内 の 育 成 牛 全 頭に春と秋の年2回(LK方式)ワクチンを 接 種 。 5年 間 の 抗 体 検 査 で 牛 群 の 抗 BVDウ イ ル ス 抗 体 保 有 率 の 上 昇 と 、 接 種 後 の 抗 体 維 持 を 確 認 。 PI牛 の 大 半 が ワ ク チ ン 未 接 種 牛 か ら 生 ま れ て い る こ と も 併 せ て 、 ワ ク チ ン の 有 効 性 が 示 さ れ た 。 本 病 の 届 出 頭 数 は 年 々 減 少 し て 対 策 開 始 以 前 の 半 数 以 下 と な り 、 清 浄 化 に 向 け て 一 定 の 成 果 が 上 が っ て い る 。 一 方 で 、 分 離 ウ イ ル ス の 遺 伝 子 解 析 に よ り 、 ワ ク チ ン に 含 ま れ な い 1b亜 型 が 増 加 傾 向 に あ る こ と が 判 明 。 町 外 か ら の 導 入 牛 対 策 と と も に 今 後 の課題となっている。 2.徹 底 し た 分 離 飼 育 に よ る 大 規 模 肉 用 牛 飼 養 農 場 で の 牛 白 血 病 清 浄 化 の 取 り 組 み : 北 海 道 空 知 家 保 山 本 泰 弘 、 永 井 郁 雄 平成21年7月に大規模肉用牛飼養農場で 牛白血病が発生。繁殖牛全頭の牛白血病E LISA検査の結果、562頭中148頭(26.3%) が抗体陽性。農場、町、農協、NOSAI、家 保 を 交 え た 対 策 会 議 で 、 陽 性 牛 専 用 牛 舎 に よ る 分 離 飼 育 、 陰 性 牛 と は 離 れ た 牧 区 へ の 陽 性 牛 の 放 牧 、 新 生 子 牛 の 母 子 分 離 及 び 自 動 哺 乳 シ ス テ ム に よ る 陰 性 牛 の 初 乳 給 与 、 陽 性 牛 の 計 画 的 と う 汰 を 中 心 と した清浄化対策実施を決定。対策の結果、 平成22年5月に452頭中5頭(1.3%)陽性・ 陽転率1.1%、平成22年11月に458頭中26頭 ( 5.7%) 陽 性 ・ 陽 転 率 5.2%と 、 陽 性 率 、 陽 転 率 と も に 短 期 間 で 低 下 し 、 早 期 に 清 浄 化 の 目 処 が つ い た 。 さ ら に 本 農 場 で の 成 果 が 、 町 内 他 農 場 に お け る 対 策 へ 取 り 組 み を 促 す 波 及 効 果 を 生 じ た 。 一 方 で 本 農 場 は 経 営 方 針 転 換 に よ り 対 策 中 断 。 今 後、牛白血病対策を進めるにあたっては、 検 査 費 用 負 担 軽 減 や 、 と う 汰 牛 へ の 補 償 と い っ た 経 済 支 援 体 制 確 立 と と も に 生 産 性 に 対 す る 影 響 を 農 場 に 認 識 さ せ る こ と が重要。 3.ELISA法 S/P値 及 び 白 血 球 数 を 指 標 と し た 牛 白 血 病 対 策 : 北 海 道 宗 谷 家 保 谷 口 有紀子、田中良子 牛白血病ウイルス(BLV)抗体検出キッ トのELISA法S/P値(S/P値)及び白血球数 をそれぞれリアルタイムPCR法による血中 のBLV遺伝子量(遺伝子量)と比較。両者 に正の相関がみられ、S/P値と白血球数は 遺 伝 子 量 定 量 に 代 わ る 感 染 伝 播 リ ス ク を 指 標 と す る 摘 発 に 有 用 と 考 察 。 S/P値 3.5 及 び 白 血 球 数 12,000/μ lを 境 界 と し 、 各 々の組み合わせによるBLV感染伝播のリス ク分類を考案。BLV抗体陽性牛のうち両方 の 値 が 境 界 以 上 を 高 リ ス ク 、 ど ち ら か 一 方 の み の 値 が 境 界 以 上 を 中 リ ス ク 、 ど ち ら も 境 界 未 満 の 値 を 低 リ ス ク と 設 定 。 こ のリスク分類を用いて管内4農場で対策を 実 施 。 そ の 結 果 、 高 リ ス ク 牛 の 優 先 的 な と う 汰 と と も に 、 リ ス ク 分 類 に 基 づ い た 繋 留 ・ 搾 乳 順 序 の 変 更 等 、 飼 養 衛 生 管 理 の改善がみられ、農場内におけるBLV感染 伝 播 リ ス ク が 低 減 。 こ れ ら の 取 り 組 み が 陽性率及び陽転率の低下に繋がると期待。 4.十 勝 管 内 の ア カ バ ネ 病 の 発 生 : 北 海 道 十勝家保 伊藤満、尾宇江康啓 平成23年、管内1農場でアカバネ病によ る 異 常 産 が 発 生 、 疫 学 調 査 等 を 実 施 。 発 生 農 場 で は 全 国 的 サ ー ベ イ ラ ン ス の ア カ バネ病ウイルス(AKV)中和抗体検査(抗 体 検 査 ) で 抗 体 陽 性 牛 を 確 認 。 農 場 の 他 の 463頭 の AKV抗 体 検 査 を 平 成 23年 1月 実 施 、 38頭 で 抗 体 陽 性 。 こ の う ち 37頭 の 平 成 22年 4月 採 血 の 保 存 血 清 で も AKV抗 体 検 査を実施、31頭で抗体価4倍以上の有意上 昇 。 平 成 23年 2、 3月 に 抗 体 陽 性 牛 か ら 異 常産子が娩出、病性鑑定により4頭をアカ バネ病と診断。平成22年3公共牧場の経過 保存血清実69頭のAKV抗体検査では9月に1 牧場2頭で抗体が陽転。平成23年夏期に発 生 農 場 で ヌ カ カ を 捕 獲 、 ウ シ ヌ カ カ は 未 検出、ヌカカからのAKV遺伝子検出は陰性。 平 成 22年 夏 期 は 気 温 が 高 く 、 7、 8月 は 降 水 量 も 多 く 推 移 。 平 成 23年 度 全 国 的 サ ー ベイランスや病性鑑定では新たなAKV感染 牛 は 未 確 認 。 サ ー ベ イ ラ ン ス や 病 性 鑑 定 により監視を継続することが重要。 5.牛 ウ イ ル ス 性 下 痢 ウ イ ル ス 持 続 感 染 牛 摘 発 に お け る 課 題 と 対 応 : 青 森 県 八 戸 家 保 角田裕美、児玉能法 管 内 一 酪 農 家 で 発 生 し た 流 産 の 病 性 鑑 定で胎児からBVDウイルス(BVDV)遺伝子 を 検 出 。 持 続 感 染 ( PI) 牛 摘 発 の た め 実 施したPCR及び抗体検査で、PI疑い牛(A) 及びPI牛3頭(B、C及びD)を確認。AはPI を 疑 う も 診 断 前 に 死 亡 。 Bは 5日 齢 時 の 検 査でPCR(+)、移行抗体と思われる抗体(+) で 、 ま ん 延 防 止 の た め PI牛 判 定 途 中 に 早 期淘汰し、病性鑑定でPI牛と確認。Cは生 前 検 査 で PI牛 と 確 定 し た が 、 検 査 期 間 中 の隔離飼養のため簡易畜舎新設。Dは導入 牛で、初回がPCR(+)、抗体価は4倍と低値

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を示し、追跡のため4回継続検査したがPC R(+)かつ低い抗体価を保持。BVD生ワクチ ン を 接 種 し た が PCR(+)抗 体 (-)。 3週 後 の 検査で糞便からBVDVを分離、抗体(-)でPI 牛 と 確 定 。 検 出 BVDVの 塩 基 配 列 解 析 等 の 疫学調査から、Dの導入により妊娠牛が感 染しA、B及びCがPI牛として出生したと推 察 。 PI牛 摘 発 で は 、 疫 学 調 査 と 移 行 抗 体 保 有 牛 ま た は 低 い 抗 体 価 を 保 持 す る PI牛 を想定した検査が必要。 6.肥 育 素 牛 哺 育 ・ 育 成 農 場 に お け る 呼 吸 器 疾 病 の 予 防 対 策 : 青 森 県 十 和 田 家 保 鈴木慈生、関合哲 平成22年11月、肥育素牛(乳雄・F1)7 80頭 を 飼 養 す る 農 場 で 4~ 5ヶ 月 齢 92頭 が 呼吸器症状を呈し、内6頭死亡。病性鑑定 の 結 果 、 RSウ イ ル ス に よ る も の と 推 察 。 当該農場では、呼吸器病5種混合不活化ワ クチンを導入後2回接種しており、ワクチ ン 効 果 を 検 証 す る た め 抗 体 の 追 跡 調 査 を 実 施 。 併 せ て 、 消 毒 、 保 温 や ス ト レ ス 対 策 を 指 導 。 平 成 23年 5月 か ら 呼 吸 器 病 5種 混 合 生 ワ ク チ ン に 変 更 。 6月 に 4ヶ 月 齢 34 頭 で 再 度 RSウ イ ル ス に よ る 呼 吸 器 疾 病 が 発生、内2頭が死亡。調査の結果、ワクチ ン が 効 果 的 で な い 群 の 存 在 、 立 地 条 件 に よ る 畜 舎 へ の 強 風 の 吹 込 み 、 発 生 時 の 急 激 な 気 温 低 下 に よ る 寒 冷 ス ト レ ス の 関 与 が 判 明 。 そ こ で RS単 味 生 ワ ク チ ン の 追 加 接 種 の 実 施 及 び 発 生 畜 舎 の 風 除 け 設 置 等 を 指 導 。 以 後 呼 吸 器 疾 病 の 流 行 を 防 止 。 本 事 例 か ら 呼 吸 器 疾 病 の 予 防 に は ワ ク チ ン 接 種 や 衛 生 管 理 に 加 え 、 ス ト レ ス 対 策 等きめ細かい指導が肝要。 7.県 外 導 入 牛 の イ バ ラ キ ウ イ ル ス 抗 体 検 出 事 例 : 青 森 県 青 森 家 保 林 敏 展 、 岡 本 清虎 平 成 23年 度 家 畜 伝 染 病 予 防 事 業 の ア カ バネ病等抗体検査で、6月下旬採材のおと り 牛 125頭 中 2頭 か ら イ バ ラ キ ウ イ ル ス 抗 体 ( 抗 体 ) を 本 県 初 検 出 。 抗 体 を 検 出 し た2頭の同居牛抗体検査では、県内産牛か ら抗体は検出されず、おとり牛2頭の母牛 を 含 む 県 外 導 入 牛 か ら の み 抗 体 を 検 出 。 おとり牛2頭の抗体価は11月中旬までの継 続 検 査 で 徐 々 に 低 下 。 こ れ ら か ら 、 お と り牛2頭の抗体は本県での感染抗体ではな く 、 県 外 か ら 導 入 さ れ た 母 牛 か ら の 移 行 抗 体 と 推 察 。 過 去 4年 間 374頭 の 残 余 血 清 を 用 い て 県 外 導 入 牛 抗 体 保 有 状 況 調 査 を 実 施 。 九 州 地 方 か ら の 導 入 牛 303頭 中 121 頭 で 抗 体 検 出 。 導 入 後 、 最 大 77か 月 経 過 し た 個 体 で も 抗 体 検 出 。 こ れ ら 検 出 さ れ た 抗 体 は 導 入 元 で の 野 外 感 染 、 又 は ワ ク チ ン 接 種 に よ る と 考 え ら れ 、 本 県 導 入 後 も 長 期 間 抗 体 を 保 有 す る こ と か ら 、 お と り牛の選定及び病性鑑定には注意が必要。 8.地 方 病 性 牛 白 血 病 に お け る 血 液 検 査 診 断 の 検 討 : 青 森 県 青 森 家 保 豊 澤 直 子 、 佐藤尚人 地 方 病 性 牛 白 血 病 ( 牛 白 血 病 ) の 主 な 臨 床 所 見 は 、 体 表 リ ン パ 節 の 腫 大 や 異 型 リ ン パ 球 の 増 加 で あ る が 、 こ れ ら 所 見 が 不 明 瞭 で 多 く は 生 前 診 断 が 困 難 。 こ の た め、補助診断として血液生化学的検査(生 化学検査)活用を検討。牛白血病真症牛1 2頭で、ヒト白血病や腫瘍疾病で上昇する UA、 AST、 GGT、 LDH、 LDHア イ ソ ザ イ ム を 測定、悪性腫瘍で20以上のLDH/ASTを算出。 この内4頭で、生化学検査を継続実施。腫 瘍 は 心 臓 、 胃 に 多 く 形 成 さ れ 、 白 血 球 及 び 異 型 リ ン パ 球 数 の 増 加 を 認 め な い 症 例 が4頭。生化学検査成績は、UA4頭、AST10 頭 、 LDH11頭 で 上 昇 。 LDHア イ ソ ザ イ ム は 全頭上昇、2,3分画が5頭、3のみ、3,4、3, 4,5が各2頭、5のみが1頭で上昇。LDH/AST は5頭が上昇。継続検査では、AST、GGT、 LDHが時間の経過に従い上昇。今回の成績 は、これまで牛白血病で見られるLDH-2,3 の上昇のほか、LDH-3~5、AST、GGT、UA、 LDH/ASTの上昇も確認。今後もこれらの項 目を測定し例数を積み重ね検討。 9.管 内 の ア カ バ ネ 病 発 生 と ワ ク チ ン 接 種 率向上対策:岩手県県南家保 中原秀之、 本川正人 H22年 8月 、 本 県 に お い て ア カ バ ネ ウ イ ルス抗体の陽転を確認し、翌年5月までに 誕生した県内14市町村の子牛119頭で本病 が 発 生 。 管 内 で は 36戸 53頭 で 発 生 し 、 そ の 病 態 内 訳 は 流 産 4頭 、 死 産 4頭 、 起 立 不 能13頭、体形異常19頭、水頭無脳症13頭。 発 生 要 因 と し て 、 夏 期 の 気 象 条 件 と 低 位 なワクチン接種率(以下、接種率)を考察。 ま た 、 来 期 以 降 の 発 生 を 防 止 す る た め 、 ① 発 生 状 況 の 情 報 提 供 、 ② ワ ク チ ン 接 種 指 導 を 実 施 。 結 果 、 管 内 に お け る 接 種 率 は、肉用牛、乳用牛及び全体でそれぞれH 22の73%、40%、63%からH23は81%、74%、7 9%ま で 上 昇 。 一 地 域 で は 、 関 係 機 関 も 積 極 的 に 取 り 組 み 、 乳 用 牛 で の 接 種 率 が 4% か ら 62%ま で 増 加 。 H23の 発 生 予 察 調 査 に お い て 、 同 ウ イ ル ス 抗 体 の 陽 転 は 認 め ら れず、また、6月以降に誕生した子牛にお い て 本 病 の 発 生 は 確 認 さ れ ず 。 し か し な が ら 、 夏 期 の 高 温 な 気 象 条 件 も 維 持 さ れ て お り 、 今 後 も 本 病 の 発 生 を 懸 念 。 接 種 率の更なる向上と維持の推進が必要。 10.黒毛和種繁殖農場における牛白血病の 母 子 感 染 リ ス ク 低 減 対 策 : 岩 手 県 中 央 家 保 細川泰子、武田哲 牛 白 血 病 の 感 染 経 路 の 一 つ に 、 感 染 母 牛 由 来 乳 の 子 牛 へ の 給 与 が あ る 。 対 策 と し て 、 乳 の 加 温 又 は 凍 結 処 理 が 推 奨 さ れ る が 、 自 然 哺 乳 が 一 般 的 な 黒 毛 和 種 の 生

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産 形 態 で の 実 施 は 難 し い 。 そ こ で 、 移 行 抗 体 の 消 長 を 考 慮 し た 哺 乳 に よ る 母 子 感 染 リ ス ク 低 減 方 法 を 検 討 。 初 乳 給 与 形 態 (Ⅰ:初乳・人工初乳併用、Ⅱ:人工初乳 のみ、Ⅲ:初乳のみ)における移行抗体消 失 時 期 は 、 Ⅰ が 5~ 7か 月 齢 、 Ⅱ が 2~ 3か 月 齢 、 Ⅲ が 3~ 6か 月 齢 。 無 処 理 初 乳 給 与 の4農場の子牛の感染頭数は、抗体陽性牛 の産子(49頭)が2頭、抗体陰性牛の産子(5 3頭)が2頭で、抗体陽性牛産子では垂直感 染 又 は 乳 を 介 し た 感 染 と 考 え ら れ た 。 感 染 子 牛 を 哺 育 形 態 別 に 分 け る と 、 人 工 哺 乳 (48頭 )が 2頭 、 制 限 哺 乳 (27頭 )が 0頭 、 自然哺乳(27頭)が2頭。以上から、制限哺 乳と移行抗体が高いレベルにある2か月齢 ま で の 自 然 哺 乳 中 止 に よ る 感 染 リ ス ク 低 減の可能性が示唆された。 11.岩手県における牛トロウイルスの初分 離 事 例 と 浸 潤 状 況 : 岩 手 県 中 央 家 保 八 重樫岳司、福成和博 2010年 11月 に 、 肉 牛 繁 殖 農 場 の 下 痢 症 状 を 呈 し た 4~ 8か 月 齢 の 育 成 牛 か ら 、 牛 ト ロ ウ イ ル ス ( BoTV) が 分 離 さ れ 、 BoTV に よ る 下 痢 症 の 県 内 初 の 確 認 事 例 と な っ た 。 こ れ ま で 、 本 県 に お け る BoTVの 動 態 が 不 明 だ っ た こ と か ら 、 県 全 域 を 対 象 と し た 浸 潤 状 況 調 査 ( 抗 体 検 査 ) と 過 去 の 下痢症例等を対象としたウイルス検索(遺 伝子検出、分離)を実施した。88農場の4 55頭を用いた抗体検査で、陰性は1農場の みで、農場陽性率は98.9%、頭数陽性率は 94.3%と、極めて高い浸潤状況が確認され た 。 ま た 、 加 齢 に よ り 抗 体 価 ( GM) の 上 昇が見られたほか、同一個体の追跡では4 か 月 齢 ま で に 移 行 抗 体 が 低 下 し 、 10か 月 齢 以 降 に 感 染 抗 体 が 現 れ て い た 。 24農 場 の131頭について実施したウイルス検索で は 、 全 て 陰 性 だ っ た 。 以 上 か ら 、 BoTVの 県 内 浸 潤 率 は 極 め て 高 く 、 多 数 の 不 顕 性 感染の存在が示唆された。 12.死亡牛の延髄を用いた牛ウイルス性下 痢 ウ イ ル ス 持 続 感 染 牛 の 摘 発 と 清 浄 化 へ の 応 用 : 岩 手 県 中 央 家 保 福 成 和 博 、 庭 千栄子 平成23年3月から12月までの間に牛海綿 状 脳 症 ( BSE) 特 別 措 置 法 に 基 づ く BSE検 査用に採取された県全域の牛3,100頭の延 髄を材料として、牛ウイルス性下痢(BVD) ウ イ ル ス 遺 伝 子 の 検 出 及 び 同 ウ イ ル ス の 分離を実施。その結果、16頭(0.52%)か ら 遺 伝 子 が 検 出 さ れ 、 非 細 胞 病 原 性 ウ イ ル ス 株 が 分 離 。 遺 伝 子 解 析 を 実 施 し た と こ ろ 、 1a、 1b、 1c及 び 2aに 分 類 さ れ 、 死 亡 牛 飼 養 農 場 間 に 疫 学 的 な 関 連 は 認 め ら れなかった。BVDウイルス感染死亡牛の内 訳 は 、 年 齢 が 2歳 か ら 7歳 ま で 幅 広 く 、 自 家産が5頭、導入が11頭(県内6頭・県外5 頭)だった。届出病名は、不明が6頭と最 も多く、血便・胃腸炎・腸炎がそれぞれ1 頭 あ っ た も の の 、 粘 膜 病 と の 関 連 性 を 示 唆 し た も の は な か っ た 。 以 上 か ら 、 獣 医 師 や 家 畜 の 所 有 者 に 気 づ か れ な い ま ま 、 長期間BVDウイルス持続感染牛が飼養され て い る 実 態 が 明 ら か に な る と と も に 、 県 内 の 清 浄 化 に 向 け た 死 亡 牛 検 査 の 有 用 性 が示唆された。 13.コロナウイルス中和抗体価推移とワク チ ン 接 種 時 期 の 検 討 : 宮 城 県 大 河 原 家 保 兼平雅彦、橋本和広 平成23年1月、酪農経営農場で、搾乳牛 の大部分が泥状・水様性下痢を呈し、1頭 死亡。総乳量は下痢発症4日前より徐々に 低下、発症当日は43%まで減少。糞便から 牛コロナウイルス(BCV)遺伝子を検出、 ペア血清でBCV中和抗体の有意上昇を確認 したため、BCV病と診断。浸潤状況調査の た め 、 中 和 抗 体 価 を 測 定 。 下 痢 流 行 後 、 育 成 を 含 む 全 頭 に 中 和 抗 体 を 確 認 し た た め 、 下 痢 流 行 前 後 で 経 時 的 に 調 査 。 ① 流 行 前 か ら 陽 性 で 不 変 、 ② 流 行 後 上 昇 し 高 値を維持、③流行後上昇し約1年で減弱の 3群に大別。12月の測定では、流行後出生 した子牛は、約4ヶ月令で移行抗体消失し て お り 、 上 昇 が 認 め ら れ な い た め 、 流 行 後の農場へのBCV浸潤を否定。中和抗体が 減 弱 し た 成 牛 の 増 加 も 併 せ 、 冬 期 の 再 流 行 を 懸 念 し 、 農 場 ・ 獣 医 師 と 協 議 。 農 場 全 体 の 抗 体 価 を 上 昇 さ せ る た め 、 飼 養 牛 全 頭 へ ワ ク チ ン 接 種 。 今 後 は 抗 体 価 と 下 痢発生状況を継続調査し、BCV病発生予防 へ応用。 14.管内におけるアカバネ病発生の状況及 び 予 防 に 係 る 取 組 : 宮 城 県 東 部 家 保 江 頭宏之、網代隆 平成22年度8月~11月の牛異常産関連疾 病抗体調査でアカバネウイルス(AKV)抗体 陽性を認め,管内での流行を確認。平成2 3年 1月 , 出 生 時 か ら 肢 の 屈 曲 を 呈 し て 起 立 不 能 の 子 牛 を 病 性 鑑 定 。 結 果 , 四 肢 お よ び 肋 間 筋 な ど で 広 範 囲 に 筋 線 維 の 萎 縮 が 認 め ら れ , ア カ バ ネ 病 と 診 断 。 以 後 , 同年1月~3月末までに計5頭の異常子牛を 病性鑑定し,いずれもアカバネ病と診断。 平成22年11月~翌年3月に流産等の異常産 発 生 農 家 の 抗 体 検 査 を 依 頼 さ れ た 11戸 52 頭 中 9戸 43頭 で AKV抗 体 陽 性 を 確 認 。 発 生 防 止 の 取 組 と し て , 生 産 者 , 獣 医 師 等 関 係 者 に 対 し 講 習 会 , 会 議 等 で 検 査 状 況 の 情 報 伝 達 や ア カ バ ネ 病 ワ ク チ ン の リ ー フ レ ッ ト の 配 布 等 発 生 予 防 の 啓 蒙 普 及 を 実 施 。 そ の 結 果 , 管 内 で の 牛 ア カ バ ネ 病 ワ ク チ ン 予 防 接 種 実 績 が 平 成 22年 か ら 23年 にかけ,乳用牛では0%から57%、肉用牛で は 57%か ら 67%に 上 昇 。 平 成 23年 度 は 12月

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末 ま で に 管 内 に お け る 病 性 鑑 定 で ア カ バ ネ病によるものなし。 15.乳牛における流行性下痢の発生状況及 び 牛 コ ロ ナ ウ イ ル ス 抗 体 の 農 場 内 動 態 : 宮 城 県 仙 台 家 畜 保 健 衛 生 所 高 森 広 典 、 日野正浩 平成21年度、牛コロナウイルス(BCV)病 の発生状況調査を病性鑑定成績から実施、 不 顕 性 感 染 か ら 集 団 発 生 と 多 岐 に わ た る 病 像 を 認 め た 。 流 行 性 下 痢 の 発 生 及 び 被 害 状 況 を 把 握 す る た め 、 酪 農 家 30戸 に ア ン ケ ー ト 調 査 を 実 施 。 発 生 を 認 め た 農 場 は83%(25/30)、乳量減少を認めたのは84% (21/25)、損失乳量1,000kg以上は29%(6/2 1)。また、7農場723頭(2才以上)の保存血 清 を 用 い て 、 1年 間 の BCV中 和 抗 体 調 査 を 実施。全農場にBCV抗体が有意上昇した個 体を確認、3農場(A、B、C)は40%以上の個 体が有意上昇を示し、BCVの流行が示唆。 A農 場 は 流 行 性 下 痢 (+)、 乳 量 減 少 (+)。 B 農場は下痢(+)、乳量減少(-)。C農場は下 痢(-)。流行前の抗体保有率はA農場:52%、 B農場:96%、C農場:100%とA農場で低値。3 農 場 と も 2~ 3才 に 、 抗 体 価 が 64倍 以 上 の 個 体 が 少 な い 傾 向 。 更 新 に よ り 抗 体 保 有 率が低下した牛群にBCVが感染すると乳量 減 少 等 被 害 が 甚 大 、 未 経 産 牛 を 中 心 と し たワクチン対策が必要。 16.11年ぶりとなるアカバネ病の発生と被 害低減への取組(第2報):山形県置賜家保 関美津子、森大輝 昨 年 度 、 管 内 で 11年 ぶ り に ア カ バ ネ 病 ( 本 病 ) が 発 生 。 26件 の 病 性 鑑 定 を 実 施 し 、 本 病 確 定 7頭 、 疑 い 例 9頭 。 前 回 発 生 時(H10~11年)と比べ、①的確なおとり 牛の配置、②農場・獣医師との良好な連絡 体 制 の 確 立 、 ③ 黒 毛 和 種 繁 殖 牛 ( 黒 繁 殖 牛)での高いワクチン接種率の維持(94. 7%) 等 の 成 果 が あ っ た 。 一 方 、 乳 用 牛 で は接種率が低く(0.04%)、前回発生後ワク チ ン の 必 要 性 が 定 着 し な か っ た と 推 察 。 そ こ で 、 酪 農 場 で の 損 失 を 試 算 し た 結 果 を踏まえ、当所で毎年4月に開催する防疫 打 合 せ 会 議 等 で 特 に 乳 用 牛 へ の 本 病 ワ ク チ ン 接 種 の 重 要 性 を 説 明 し 、 関 係 機 関 と 共に接種率向上に向けた啓発活動を実施。 結果、ワクチン接種頭数は黒繁殖牛で2,0 02頭(接種率97.9%)、乳用牛で3,600頭(接 種率46.9%)となり、接種頭数の合計は5,6 02頭 、 前 年 比 286.8%と な っ た 。 今 後 、 乳 用 牛 の 更 な る 接 種 率 向 上 と そ の 維 持 に 向 け 、 関 係 機 関 及 び 農 家 と 継 続 的 に 連 携 し ていきたい。 17.搾乳牛の流行性下痢症におけるB・C群 ロ タ ウ イ ル ス (非 A群 ロ タ V)の 検 出 及 び 発 生 状 況 の 特 徴 : 山 形 県 中 央 家 保 馬 渡 隆 寛 平成14年1月~23年12月までに、成牛の 流行性下痢症166件(搾乳126,肉用40)及び 子牛の下痢症139件(乳用25,肉用114)の病 性鑑定を実施。RT-PCRによりA・B・C群ロタ V(GAR・GBR・GCR)が 、 成牛 の 流 行 性 下 痢 症 か ら 28件 (搾 乳 26,肉 用 2)、 子 牛 の 下 痢 症 か ら 34件 (乳 用 8,肉 用 26)検 出 。 搾 乳 牛 の 流行性下痢症では、報告例の稀な非A群ロ タ Vを 多 数(20/28件 ,71.4%)検 出 し 、 遺 伝 子 解 析 を 行 っ た 結 果 、 牛 固 有 で あ る こ と を確認。一方、子牛の下痢症では、GARが 多数(33/34件,97.1%)を占めた。搾乳牛の 流 行 性 下 痢 症 に お け る 非 A群 ロ タ Vの 感 染 例では、牛コロナVに比べて症状が軽く、 発 症 期 間 が 短 か っ た 。 ま た 、 同 一 農 場 に おける数年後の再感染で検出された非A群 ロタVは、遺伝子変異が少なく、持続感染 牛 の 存 在 が 示 唆 さ れ た 。 ま た 別 の 事 例 で は、他農場での同一遺伝子配列保有非A群 ロタVの存在から、農場間伝播も示唆され た。 18.一農場における牛ウイルス性下痢・粘 膜 病 感 染 牛 の 摘 発 事 例 と 清 浄 化 対 策 : 福 島県会津家保 三瓶佳代子、菅原克 一 酪 農 ・ 和 牛 繁 殖 農 場 に お い て 、 18か 月齢の黒毛和種1頭が難治性下痢を呈し、 病 性 鑑 定 実 施 。 牛 ウ イ ル ス 性 下 痢 ウ イ ル ス (BVDV)特 異 遺 伝 子 陽 性 ( PCR(+ ))を 確 認。当該牛は2週間後に死亡。死亡直前の 検体もPCR(+)を確認、ウイルス分離検査 でBVDVⅠ型(CP株/NCP株)分離。当該牛母 牛 は AI実 施 43日 目 に BVDV生 ワ ク チ ン を 接 種。分離株の塩基配列はワクチン株と99. 5%以 上 相 同 。 母 牛 へ の 生 ワ ク チ ン 接 種 に よ る PI牛 が 粘 膜 病 発 症 と 診 断 。 次 に 、 同 居牛のPCR検査でBVDVⅡ型のPI牛2頭(H23. 3生/H23.8生)を新たに摘発、2頭のBVDV塩 基 配 列 は 100%一 致 。 同 居 牛 の BVDVⅡ 型 の 抗体保有率は94%で、BVDV蔓延が示唆。清 浄化対策はBVDV2価ワクチンの接種、出生 子 牛 及 び 導 入 牛 の BVDV検 査 に よ る PI牛 摘 発 、 BVDV侵 入 防 止 。 併 せ て 、 管 内 農 場 及 び 関 係 者 に 対 し 本 病 の 啓 発 指 導 が 必 要 。 19.牛コロナウイルス病の発生と地域防疫 の方法:福島県県北家保 稲見健司 牛コロナウイルス(BCV)病は急性の下 痢 を 主 徴 と し 、 季 節 や 年 齢 を 問 わ ず 散 発 し 、 搾 乳 牛 は 著 し い 乳 量 減 少 を 伴 う 。 管 内 搾 乳 牛 40頭 の 農 場 で 本 病 が 発 生 し 、 下 痢と乳量減少を認め、5週間で約19万円の 損失。当該農場の立入時及び3週、半年、 1年後のBCV抗体価はそれぞれ149、1040、 725、119で、発症抑制可能な抗体価160を 1年で下回り、再発の可能性大。浸潤状況 把 握 の た め 、 衛 生 意 識 が 高 く 数 年 間 下 痢 症 の 発 生 が 無 い 4 農 場 を 選 定 調 査 し た 結

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果、全農場でBCVの浸潤が確認。さらに毎 年ワクチン接種している1農場を調査、追 加接種前後の抗体価は415、3620と高く維 持され、本病の発生は無く、接種費用は4 0頭 分 約 5万 円 で あ り 、 発 生 防 止 の た め の ワ ク チ ン 接 種 は 経 済 的 損 失 が 少 な い 。 こ れ を も と に 、 伝 染 力 が 強 い 本 病 は 地 域 全 体 の 取 組 が 重 要 な た め 、 衛 生 意 識 の 向 上 と ワ ク チ ン 接 種 を 啓 蒙 し 、 地 域 防 疫 を 推 進。 20.福島県におけるシャモンダウイルス浸 潤 調 査 : 福 島 県 県 中 家 保 穂 積 愛 美 、 松 本裕一 H20年、異常産の病性鑑定に伴いシャモ ンダウイルス(SHAV)、ピートンウイルス(P EAV)、 サ シ ュ ペ リ ウ イ ル ス (SATV)の 抗 体 検査を実施したところ、本県産牛1頭でSH AV抗体価128倍を確認。異常産への関与は 認 め な か っ た が 、 本 県 へ の SHAVの 侵 入 が 懸念されたことから、浸潤調査を実施。H 14~23年の初越夏牛862検体について、SH AV、 PEAV、 SATVの 抗 体 検査 を 実 施 し た 結 果 、 H14、 15年 に そ れ ぞ れ 1頭 ずつ SHAV 抗体保有牛を確認。抗体価は各々32倍、6 4倍でいずれも11月での陽転であり、H14、 15年 に 本 県 で SHAVの 流 行 が 示 唆 。 よ り 詳 細に調査するためH15~17年の牛防疫事業 余 剰 血 清 239戸 4,211検体 に つ い て SHAVの 抗 体 検 査 を 実 施 し た 結 果 、 31戸 47検 体 で 抗 体 を 確 認 。 抗 体 陽 性 農 場 は 地 域 的 に 近 隣 で あ る こ と か ら 、 こ の 地 域 に お い て 小 規 模 な 流 行 が あ っ た と 推 察 さ れ 、 SHAVは 九 州 地 方 や 西 日 本 に 限 ら ず 、 本 県 に も 浸 潤していた可能性が示唆。 21.管内酪農団地における牛白血病清浄化 へ の 取 組 状 況 : 茨 城 県 県 南 家 保 三 浦 成 見 平成21年から管内酪農団地(13戸)で、 本 病 清 浄 化 対 策 を 開 始 。 垂 直 感 染 防 止 対 策 と し て 特 に 初 乳 対 策 ( 初 乳 の 加 温 、 凍 結および人工初乳)を提案するとともに、 今 年 度 は 水 平 感 染 防 止 対 策 と し て 吸 血 昆 虫対策に重点。初乳対策の確認検査では、 6ヵ 月 齢 ま で の 子 牛 44頭 中 6頭 が 感 染 。 内 訳は、陽性母牛産子は4頭、陰性母牛産子 は2頭。抗体陰性牛の追跡調査では、22年 度 は375頭 中 81頭 が 、 23年 度 は 369頭 中 57 頭 が 陽 転 し 、 陽 転 率 は 21.6%か ら 15.4%と 低 下 。 農 場 別 で は 、 陽 転 率 が 低 下 し た 農 場は4農場で、作業工程での変更点はなく、 吸 血 昆 虫 対 策 に 重 点 。 陽 転 率 に 変 化 な い 農 場 も 4農 場 あ り 、 農 場 陽 性 率 が 50~ 60% 台 と 高 い 傾 向 に あ り 、 吸 血 昆 虫 対 策 だ け で は 水 平 感 染 防 止 に 限 界 。 以 上 よ り 、 初 乳 対 策 を 行 っ て い て も 、 陽 性 母 牛 の 産 子 は約10%で感染リスクがあり、子牛での感 染 を 防 ぐ た め に も 、 成 牛 で の 陽 転 率 を 抑 え る 対 策 が 必 須 。 特 に 陽 転 率 に 変 化 な い 農場では新たな水平感染防止対策が必要。 22.牛白血病における感染伝播ハイリスク 牛 の 摘 発 基 準 に 関 す る 一 考 察 : 茨 城 県 県 北家保 山口大輔、楠原徹 県南部の1酪農団地において、平成21年 度から23年度まで牛白血病ウイルス(BLV) 浸潤状況調査を実施。「ECの鍵」による分 類とBLV遺伝子量を応用して感染伝播ハイ リ ス ク 牛 を 摘 発 。 調 査 結 果 を 検 証 し 、 摘 発基準について再検討。各農場に23.4%の ハ イ リ ス ク 牛 が 存 在 。 8農 場 中 2農 場 は 、 陽 性 と 分 類 さ れ た 牛 の う ち ハ イ リ ス ク 牛 として摘発される割合が低く、BLVの関与 が 低 い リ ン パ 球 増 多 症 を 示 す 牛 が 多 い 可 能性が示唆。リンパ球数、BLV遺伝子量は 「ECの鍵」による分類と関連性あり。BLV 遺 伝 子 量 は 、 1μ lあ た り で も 摘 発 基 準 と し て 有 効 で あ る こ と が 示 唆 。 LDH、 LDHア イ ソ ザ イ ム 2・3、 LDH/AST比 は 摘 発 基 準 と して有効ではない。以上の結果から、「EC の 鍵 」 の み で 摘 発 す る こ と は 可 能 。 陽 性 と分類された牛が多数確認された場合に 1μlあたりのBLV遺伝子量を測定する必要 あ り 。 今 後 も 浸 潤 状 況 調 査 を 継 続 し 、 農 家 や 獣 医 師 と 協 力 し な が ら 清 浄 化 を 進 め ていく。 23.乳肉複合農家で発生した牛ウイルス性 下痢ウイルス2型による流産及び持続感染 牛 の 摘 発 : 栃 木 県 県 南 家 保 大 関 綾 子 、 市川優 2010年12月から翌年4月にかけ、80頭飼 養の乳肉複合農家で4例の流産が発生、全 て 胎 齢 6か 月 。 4例 目 流 産 胎 子 の 病 性 鑑 定 の結果、牛ウイルス性下痢ウイルス(BVD V)2型が原因と診断。全頭検査を実施後、 自家産牛(6か月齢)の持続感染牛(PI牛) 1頭を摘発し、淘汰。PI牛との同居牛は、 ほぼ全頭でBVDV2型抗体価上昇。BVDV清浄 化 へ 向 け 、 PI牛 摘 発 後 に 出 生 し た 子 牛 12 頭について検査を実施、新たに自家産牛2 頭のPI牛を摘発(2頭とも2011年9月出生)。 当 該 農 場 の 導 入 牛 は 導 入 元 で 不 活 化 ワ ク チ ン を 接 種 済 み 、 自 家 産 牛 で は 各 種 ワ ク チ ン 未 接 種 。 ま た 、 当 該 農 場 で は こ れ ま で BVDVの 侵 入 が な い 。 本 事 例 で は 、 BVDV 清 浄 農 場 で 導 入 牛 が PI牛 を 出 産 し た こ と に よ り BVDVが ま ん 延 し た と 推 定 。 流 産 胎 子4頭及びPI牛3頭の計7頭(黒毛和種5頭、 交雑種2頭)を失い、当該農場の被害は甚 大 。 適 切 な ワ ク チ ン 接 種 及 び 導 入 牛 の 隔 離飼養徹底を指導。 24.管内の牛白血病浸潤状況と検査方法の 比較・検討:栃木県県北家保 阿部祥次、 金子大成 本 県 で は 、 牛 白 血 病 抗 体 検 査 を 受 身 赤

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血球凝集反応法(PHA)と寒天ゲル内沈降 反 応 法 ( AGID) を 組 み 合 わ せ て 実 施 。 現 行 法 で は 、 本 病 感 染 牛 の 見 逃 し が 懸 念 さ れ、より効果的な検査法を検討するためP HA、AGID、 ELISA及びNested-PCR(PCR) の検査成績を比較。PHAは管内19戸、2031 頭を実施、うち34頭についてAGID、1,159 頭 に つ い て ELISA、 34頭 に つ い て PCRを 実 施 。 PHAに よ る 陽 性 率 は 68.9%と 高 く 、 清 浄 化 に は 長 期 に わ た る 計 画 的 な 対 策 が 必 要と推察。ELISAとPHAの一致率は97.8%(1, 134/1,159)。 不一 致の 25検 体を 含む 計34 検体でAGIDとPCRを実施した結果、現行法 では7検体で、ELISAでは1検体で見逃しの 可 能 性 。 PHAは ELISAと の 一 致 率 が 高 く 、 浸 潤 状 況 調 査 に 有 効 だ が 、 現 行 法 で は 感 染牛の見逃しが多いことが示唆。ELISAは PCRとの一致率、感度、コスト、多検体処 理 及 び 客 観 的 な 判 定 の 点 で 優 れ 、 本 病 感 染 牛 の 把 握 に 効 果 的 な 抗 体 検 査 と 思 料 。 2 5 . 管 内 一 酪 農 場 の 牛 白 血 病 清 浄 化 対 策 (第2報):群馬県西部家保 森あゆみ 放 牧 を 主 体 と し た 一 酪 農 場 で 、 平 成 19 年 6月 死 亡 牛 1頭 の 病 性 鑑 定 で 牛 白 血 病 と 診断。19年9月に受身赤血球凝集反応(PHA) により牛群の牛白血病ウイルス(BLV)抗体 保 有 状 況 を 調 査 、 76.0%(73頭 /96頭)と 高 い 陽 性 率 を 示 し た た め 、 直 検 手 袋 の 連 続 使 用 中 止 及 び 除 角 、 削 蹄 、 注 射 時 の 消 毒 徹 底 (19年 10月 ~ )、 初 乳 加 温 器 に よ る 殺 菌乳の給与(20年4月~)、アブトラップに よる吸血昆虫の駆除(22年6月~)、フルメ トリン製剤の継続塗布(平成23年7月)、後 継 牛 の 抗 体 保 有 状 況 の 確 認 、 抗 体 陽 性 牛 の 優 先 的 淘 汰 を 実 施 。 し か し 全 頭 放 牧 飼 育 の た め 抗 体 陽 性 牛 の 隔 離 は 困 難 。 以 上 の対策を実施した結果、年度別のBLV抗体 保有状況は20年4月が80.0%(PHA)、21年3月 が74.7%(以降ELISA)、22年 5月が63.1%、23 年 4月 が 48.0%と 減 少 。 更 に 抗 体 陽 性 牛 は リ ン パ 球 数 や リ ア ル タ イ ム PCRに よ る BLV 遺 伝 子 量 測 定 を 行 い 、 ハ イ リ ス ク 牛 を 特 定 。 こ の 結 果 を 基 に 、 効 率 的 な 清 浄 化 を 推進。 26.血液塗沫標本からみた牛白血病の検討 : 群 馬 県 家 衛 研 横 澤 奈 央 子 、 大 場 浩 美 近 年 、 典 型 的 な 外 部 所 見 、 血 液 所 見 が 認 め ら れ ず 、 生 前 診 断 が 困 難 な 牛 白 血 病 の 症 例 が 増 加 。 末 梢 血 リ ン パ 球 数 の 増 加 を認めず、異形リンパ球が数%確認された 症 例 も あ っ た 。 牛 白 血 病 診 断 の た め 、 血 液 塗 沫 標 本 に お け る リ ン パ 球 の 過 ヨ ウ 素 酸シッフ(PAS)反応を検討。牛白血病ウ イルス(BLV)抗体陰性のA農場10頭のPAS 反 応 陽 性 率 の 平 均 は 12.2%、 BLV抗 体 陽 性 率 の 高 い B農 場 10頭 の PAS反 応 陽 性 率 の 平 均 は 18.2%。 牛 白 血 病 罹 患 牛 に お け る PAS 反 応 陽 性 率 は 成 牛 型 5症 例 で す べ て 40%以 上 、 散 発 型 ( 胸 腺 型 ) 1症 例 で 60%。 末 梢 血 リ ン パ 球 数 の 増 加 が な く 異 形 リ ン パ 球 が確認困難な症例においても、PAS反応陽 性 リ ン パ 球 は 高 率 に み ら れ 、 白 血 病 未 発 症 牛 と 差 異 が み ら れ た 。 年 齢 、 末 梢 血 リ ンパ球数とPAS反応陽性率に関連性はみら れず。 末梢血の詳細な観察に加え、リン パ球のPAS反応が、牛白血病発症診断の一 助 と な る こ と が 示 唆 さ れ 、 今 後 、 症 例 数 を増やしてさらに検討を継続。 27.県内で発生した牛RSウイルス(BRSV) 病 と 流 行 株 の 遺 伝 子 解 析 : 埼 玉 県 中 央 家 保 多勢景人、福田昌治 平成23年3月5日、成牛28頭飼養のA酪農 場(県南S市)で、成牛数頭に呼吸器症状 を主徴とした疾病が発生。鼻腔スワブ(N S)7検体、ペア血清5頭分を材料に病性鑑 定 を 実 施 。 NSの RSV抗 原 検 出 キ ッ ト で 2検 体 が 陽 性 、 BRSV RT-PCRで 6検 体 か ら 特 異 遺 伝 子 が 検 出 。 ま た 、 BRSVに 対 す る 抗 体 検査で4頭に有意な抗体上昇が認められた ためBRSV病と診断。PCR産物の遺伝子解析 か ら 、 近 年 国 内 で 流 行 し て い る BRSV株 と 同じサブグループⅢに属することが判明。 過 去 5年 間 に 県 内 で BRSV病 と 診 断 さ れ た B 農場(H21)及び、C~E農場(H20)(いず れ も 県 北 T市 の 酪 農 場 ) か ら 得 ら れ た PCR 産物9検体と比較検討したところ、いずれ も サ ブ グ ル ー プ Ⅲ に 属 し て い た 。 遺 伝 子 配 列 に よ る 比 較 で は 、 C、 E農 場 の 株 は す べて一致し、D農場の株もC、E農場と高い 遺伝子相同性(99.4%)を示した。また、 C~E農場と発生年が異なるB農場との遺伝 子相同性は98.5%、さらに発生年が遅く、 発 生 地 域 の 異 な る A農 場 と は 94.7%と 差 異 が 認 め ら れ 、 発 生 年 に よ り BRSV株 に 変 異 が起きていることが示唆された。 28.育成牛で発生した牛コロナウイルスお よび牛B群ロタウイルス混合感染症の一考 察 : 埼 玉 県 川 越 家 保 吉 田 徹 、 福 田 昌 治 管 内 の 酪 農 家 で 、 育 成 牛 ( 発 症 牛 群 ) に 発 咳 、 鼻 汁 流 出 お よ び 水 様 性 下 痢 を 確 認 。 成 牛 群 に 症 状 は 確 認 さ れ ず 。 病 性 鑑 定 の 結 果 、 複 数 の 細 菌 及 び 牛 コ ロ ナ ウ イ ルス(BCV)による牛呼吸器病症候群及び BCV病と診断。その後、下痢症が継続、再 度 の 病 性 鑑 定 で 、 糞 便 か ら BCVと 牛 B群 ロ タウイルス(GBR)の特異遺伝子を検出し、 GBRの関与が示唆。感染動態を確認するた め 、 BCVと GBRの 分 子 系 統 樹 解 析 と 発 症 牛 群と成牛群の抗体検査を実施。BCV-S遺伝 子 の 分 子 系 統 樹 解 析 で 、 下 痢 便 由 来 株 と 鼻腔スワブ由来株は同一株で、発症牛は2 週間以上にわたって同一株を排出。BCV-H I試験で、発症牛群は病性鑑定時に既に抗 体を保有、成牛群はその2か月前に高い抗

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体価を保有。GBR-ELISAで、発症牛群で抗 体 陽 転 、 成 牛 群 で も OD値 の 上 昇 を 確 認 。 当該農場では、BCVが先行して流行、その 後、GBRが浸入して発症牛群で下痢症が継 続 、 成 牛 群 は 、 高 抗 体 価 に よ り 軽 微 な 症 状で耐過したと考えられた。 29.管内の牛白血病ウイルス浸潤状況と衛 生 対 策 : 千 葉 県 南 部 家 保 末 政 奈 津 美 、 原康弘 管 内 酪 農 家 46戸 687頭 の H22・ 23年 度 の 血清を用い、1戸15頭(1戸のみ12頭)、EL ISA法 で 牛 白 血 病 ウ イ ル ス ( BLV) 抗 体 検 査を実施。陽性率は個体別で53%。年齢別 では、1歳齢未満が20%、1歳齢が36%、2歳 齢 以 上 は 60%。 陽 性 率 80%以 上 の 農 場 は 18 戸 ( 39%)、 陰性 農 場 は 8戸 ( 17%) で 、 地 域的な偏りは無し。抗体検査実施農場でH 19~H23に牛白血病発症があった農場は12 戸 、 戸 別 抗 体 陽 性 率 は 53%以 上 。 BLV対 策 に関心の高い2農場で初乳加温処置や吸血 昆 虫 対 策 と 抗 体 の 追 跡 調 査 を 実 施 。 調 査 し た 子 牛 の 7頭 中 3頭 は 移 行 抗 体 消 失 後 陰 転 、 4頭 は 陽 性 の ま ま 推 移 し 、 こ の 4頭 の 母牛のリンパ球数は多い傾向。2農場とも 吸 血 昆 虫 を 多 く 確 認 、 陽 転 率 の 低 下 は 見 ら れ ず 分 離 飼 育 等 の 更 に 徹 底 し た 対 策 が 必 要 。 今 後 は 、 陰 性 農 場 で は 牛 の 導 入 時 検 査 に よ り 侵 入 防 止 を 強 化 し 、 陽 性 農 場 で は 抗 体 検 査 と 併 せ て リ ン パ 球 数 、 ウ イ ル ス 遺 伝 子 量 、 発 症 の 遺 伝 的 素 因 を 把 握 し対策の一助としたい。 30.牛白血病清浄化対策のためのリアルタ イムPCR導入の検討:千葉県中央家保 渡 邊章俊、大坪岳彦 牛 白 血 病 清 浄 化 に は 、 感 染 伝 播 リ ス ク の 高 い 牛 を 摘 発 し 、 計 画 的 に 淘 汰 す る こ と が 重 要 。 そ こ で 今 回 、 感 染 伝 播 リ ス ク の評価が可能であるリアルタイムPCR(rP CR) の 活 用 に つ い て 検 討 。 ① rPCR検 査 材 料 の 検 討 。 全 血 液 と 白 血 球 の 比 較 で は 、 強 い 相 関 ( R=0.97) が 認 め ら れ た が 、 白 血 球 の 方 が よ り 少 な い 遺 伝 子 量 で も 検 出 が可能。②nestedPCR(PCR)との比較検討。 検出率はPCRの方が高かったが、rPCRでは ウ イ ル ス 量 が 測 定 で き る た め 高 リ ス ク 牛 の摘発には有効。③ELISA検査との比較検 討。S/P値との相関は認められなかったが、 検 出 率 は rPCRと 同 等 。 以 上 か ら 、 陽 性 農 場 の 清 浄 化 対 策 と し て 、 rPCRを 活 用 す る こ と に よ り 高 リ ス ク 牛 の 摘 発 が 可 能 で あ り 、 感 染 拡 大 を 防 ぎ つ つ 陽 性 牛 の 計 画 淘 汰 が 推 進 で き る と 思 わ れ る 。 ま た 、 多 検 体の検査にはELISA、導入牛や育成牛の検 査にはPCRを併用することが望ましいと考 える。 31.同一農場の牛で発生した牛白血病のと 畜 場 発 見 事 例 : 東 京 都 東 京 都 家 保 長 田 典子、磯田加奈子 平成22年6月、8月、11月に3例の牛白血 病 ( BL) の と 畜 場 で の 発 生 。 い ず れ も 同 一酪農家の牛で初発。3例とも全身の腫瘍 性病変、リンパ節のスタンプ像、PCR結果 からBLと確定し、全廃棄処分。1例目牛は 4歳 、 乳 量 の 減 少 と 乳 房 の 硬 結 で 廃 用 。 2 例目牛は5歳、乳房浮腫、頸静脈拍動、衰 弱 で 廃 用 。 生 体 検 査 で は BLを 疑 う 所 見 は なし。農場の全53頭のBLV抗体調査・定量 リアルタイムPCR等を実施。抗体陽性率は 86.8%で過去より大きく増加。遺伝子コピ ー数 は 104が 11.3%、 103が 49.1%。3例 目 牛 は5歳、両眼球が突出、遺伝子コピー数は 104で畜 主はBLを疑うも共 済の廃用基準 に は 適 合 せ ず 、 生 前 診 断 法 の 確 立 が 強 く 望 まれる。 32.管内酪農場における牛白血病ウイルス 清 浄 化 対 策 の 推 進 : 新 潟 県 中 越 家 保 田 中健介、村山修吾 管 内 酪 農 場 に お い て 牛 白 血 病 ウ イ ル ス (BLV)清浄化のため、管理獣医師や酪農協 等 と 協 力 し 、 平 成 21か ら 23年 度 に か け て 計43農場のBLV抗体全頭検査を実施。検査 実施農場については家伝法5条定期検査血 清等を利用して、育成牛や導入牛等のBLV 抗 体 保 有 状 況 を 確 認 。 陽 性 牛 を 把 握 で き た こ と で 、 陽 性 農 場 36農 場 中 30農 場 が 初 乳処理等のBLV対策に取り組み、陽性牛の 淘汰により2農場で清浄化達成。検査実施 農 場 に お け る BLV対 策 の 検 証 の た め 6農 場 で 抗 体 陽 転 率 を 調 査 し た と こ ろ 、 放 し 飼 い を す る 農 場 で 高 い 陽 転 率 が 認 め ら れ 、 水 平 感 染 に よ る 感 染 拡 大 が 示 唆 さ れ た 。 そのうち1農場において、PCR検査でBLVの 感染時期を調査。1か月齢での感染が認め ら れ た こ と か ら 、 定 期 的 な 検 査 で 感 染 牛 を 早 期 に 発 見 、 分 離 飼 育 に よ る 水 平 感 染 対 策 を 推 進 。 検 査 実 施 農 場 か ら は 定 期 的 な 検 査 を 望 む 声 が 多 く 、 今 後 も 関 係 者 と 一体となってBLV対策に取り組む。 33.牛白血病ウイルス清浄化対策の検証: 新潟県下越家保 岡本英司、濱崎尚樹 牛白血病ウイルス(BLV)浸潤調査で陽性 牛 確 認 又 は 発 生 の あ っ た 、 清 浄 化 に 前 向 きな酪農家7戸(4戸はH21、3戸はH22から) を 対 象 に 対 策 の 効 果 を 検 証 。 初 回 全 頭 検 査の農場の陽性率は17.2~66.7%。対策は ①初乳(全て加温凍結3戸、陽性牛凍結3戸、 他 1戸 )② 直 腸 検 査 (1頭 1枚 2戸 、 陰 性 牛 か ら 4戸 )③ 群 分 け (実 施 2戸 )④ 搾 乳 (陰 性 牛 か ら 3戸 )⑤ 吸 血 昆 虫 (ト ン ネ ル 換 気 1戸 、 殺虫剤6戸)等実施。結果、H21から調査し た4戸の陽転率は2.2~57.1%(H22)が3.4~ 25.0%(H23)と全戸で改善傾向。H22から調 査の 3戸 中 2戸 は 26.1、 37.5%(H23)と 陽 転

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率 高 め 。 陽 転 率 の 低 い 農 場 は ② ~ ④ の 対 策 徹 底 で 効 果 を 認 め る 。 更 に H23は 1戸 で 垂直感染の確認と早期摘発を目的にBLVの 遺 伝 子 検 査 を 実 施 し 早 期 の 群 分 け 等 、 ま ん延防止に活用。H23の陽性率は8.2~71. 8%と 低 下 し な い 農 場 も あ り 、 陽 性 牛 の 計 画 的 淘 汰 が 課 題 。 清 浄 化 に は 長 期 的 な 対 策の徹底による陰性牛の維持が重要。 34.複 数 農 場 で 流 行 し た C群 ロ タ ウ イ ル ス に よ る 搾 乳 牛 の 下 痢 症 : 富 山 県 東 部 家 保 宮本剛志、保田仁美 2010年10月から12月にかけて管内4農場 で 搾 乳 牛 に 泌 乳 量 の 低 下 を 伴 う 伝 染 性 の 下 痢 が 流 行 。 全 農 場 の 下 痢 発 症 牛 の 糞 便 か ら C群 ロ タ ウ イ ル ス ( GCR) 遺 伝 子 を 検 出 。ま た 、 Shintoku株 を 用い たIFAで GCR 抗 体 の 有 意 上 昇 を 確 認 し た こ と か ら 、 本 県初のGCRによる下痢と診断。各農場由来 GCRの 遺 伝 子 解 析 の 結 果 、 VP7遺 伝 子 領 域 の 塩 基 配 列 が 一 致 。 疫 学 調 査 の 結 果 、 発 生農場2戸の下痢流行直前に牛の導入を確 認。以上から今回のGCR流行の原因はウイ ル ス 排 出 牛 の 移 動 、 も し く は 牛 の 移 動 作 業 に 伴 っ た 人 や 車 に よ る 機 械 的 伝 播 で あ っ た こ と が 判 明 。 ま た 、 2009、 2010年 の 搾乳牛保存血清34戸233検体を用いた抗体 検 査 に よ る 浸 潤 状 況 調 査 の 結 果 、 陽 性 個 体は70/233頭(30.0%)、陽性農場は26/34 戸 ( 76.5%) と 管 内 に 広 く 浸 潤 。 IFA抗 体 価 は 20倍 か ら 2560倍 ま で 分 布 し 、 過 去 に もGCRの流行があったことが示唆。 35.2農場で発生した牛B群ロタウイルス病 :石川県南部家保 南藤子、源野朗 2011年 5月 、 過 去 に 牛 B群 ロ タ ウ イ ル ス (GBR)が流行した酪農団地内の2農場(A 、 B農 場 ) の 成 牛 に 、 食 欲 不 振 、 乳 量 低 下 、 下 痢 を 主 徴 と す る 疾 病 が 発 生 。 過 去 に流行したA農場10頭と流行のないB農場1 4頭の発症期と回復期の糞便と血清で、病 性 鑑 定 を 実 施 。 GBR遺 伝 子 は 発 症 期 の A農 場9頭、B農場13頭で検出、2農場の株の塩 基 配 列 は 一 致 し 、 過 去 の 流 行 株 と 高 い 相 同性。ELISA抗体価は、有意に上昇。以上 からGBRによる下痢症と診断。そこで、20 11年2~3月のB農場10頭、11月のA農場9頭 とB農場10頭の血清を用いた疫学調査を実 施。2~3月にはB農場4頭は既に抗体保有、 B農場での流行を示唆。11月にはA農場88. 9%(8/9頭) 、B農場60%(6/10頭) で 抗 体 を 保 有 、 年 齢 が 高 い ほ ど 抗 体 価 を 維 持する傾向。今回の発生は牛群内のGBR抗 体 価 の 低 下 に よ る 集 団 発 生 と 推 察 。 飼 養 衛生管理の徹底が重要。GBRは経済的な損 失 を 伴 う こ と か ら 、 ワ ク チ ン 開 発 が 望 ま れる。 36.公共放牧場で発生した牛丘疹性口炎の 診 断 と pH調 整 培 地 使 用 の 検 討 : 石 川 県 南 部家保 伊藤美加、松田達彦 2011年 2月 、 農 家 預 託 牛 243頭 を 飼 養 す る公共放牧場より口腔内水疱症状と通報。 全頭検査で15頭の口腔内に水疱等を確認。 動衛研に口蹄疫(FMD)検査を依頼し、翌 日 陰 性 と 判 明 。 そ こ で 当 該 牛 15頭 か ら 再 採 材 し 、 病 性 鑑 定 を 実 施 。 検 出 さ れ た パ ラ ポ ッ ク ス ウ イ ル ス 遺 伝 子 断 片 は 、 系 統 樹 解 析 で 牛 丘 疹 性 口 炎 ウ イ ル ス ( BPSV) と 判 明 。 BPSV抗 体 価 はIFA法 で 、 15頭 中 8 頭が有意に上昇。以上よりBPSと診断した が、ウイルス分離は陰性。FMD防疫対策マ ニ ュ ア ル で は 、 否 定 前 に 家 保 用 の 材 料 搬 出 は 不 可 。 し か し 最 適 材 料 を 得 る に は 、 初 動 時 の 採 材 が 重 要 と 考 え 、 FMDVを 不 活 化するpH調整培地を用い、FMD以外のウイ ルス検査に使用できるか検討。BPSV Ishi kawa-B株 、 牛 ウ イ ル ス 性 下 痢 粘 膜 病 ウ イ ルスNose株を供試し、pH調整培地中で1時 間 室 温 感 作 、 凍 結 融 解 し 力 価 測 定 し た 結 果、pH4および12で不活化されず。また、 不活化されても遺伝子検査は可能であり、 pH調整培地は検査に使用可能と推察。 37.管内公共牧場における乳頭腫の現状と 防 除 対 策 の 検 討 : 山 梨 県 西 部 家 保 丸 山 稔、菊島一人 管 内 公 共 牧 場 で 、 育 成 牛 の 乳 房 に 発 生 する乳頭腫対策に苦慮していることから、 乳 頭 腫 の 浸 潤 状 況 調 査 を 実 施 し 、 そ の 対 策を検討。乳用牛の乳房での発生状況は、 5月25.5%陽性、10月52.4%陽性。防除対策 として、H23年1月~3月に1日1回、乳房へ オ ゾ ン 水 を 散 布 し た 結 果 、 乳 用 牛 乳 房 の 陽 性 率 が 、 1月 50.4%か ら 5月 46.3%へ と 減 少 。 薬 剤 等 投 与 等 に よ る 効 果 と し て 、 14 ~ 26ヶ 月 齢 の 重 篤 な 牛 (各 群 10頭 )に ① イ ベルメクチン製剤0.2mg/kgを15日間隔で2 回皮下投与②ベルトワックスを患部に1~ 2週間間隔で3~4回塗布③牛用インターフ ェロン製剤2.5mg/kgを5日間連続舌下投与 し 効 果 を 確 認 し た と こ ろ 、 各 群 と も 効 果 は み ら れ た が 、 治 癒 ま で に 数 ヶ 月 を 要 す る こ と や 、 以 前 か ら 効 果 が 認 め ら れ て い る 、 イ ン タ ー フ ェ ロ ン 製 剤 以 上 の 効 果 は 無いことから、今後も検討が必要。 38.牛白血病のまん延防止に向けた取り組 み:長野県佐久家保 坂本綾 平成19~23年の5年間に管内では牛白血 病ウイルス抗体検査を35戸(3,780頭)で 実 施 、 う ち 抗 体 陽 性 農 家 は 24戸 。 全 頭 検 査 を 実 施 し た 16戸 の 平 均 陽 性 率 は 1 4.5% ( 3.1%~ 41.9%)。 抗 体 陽性 農 家 に 対 し て は 、 牛 白 血 病 ま ん 延 防 止 対 策 と し て 、 農 家 巡 回 し 、 抗 体 陽 性 牛 の 摘 発 ・ 淘 汰 、 感 染 経 路 の 遮 断 、 子 牛 対 策 お よ び 飼 養 衛 生 管 理 基 準 の 遵 守 を 指 導 。 抗 体 陽 性 牛 の 淘

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汰 実 施 農 家 は 、 そ の 後 清 浄 性 を 確 認 。 計 画 的 淘 汰 が 出 来 な か っ た 農 家 で は 、 新 規 抗 体 陽 性 牛 を 認 め た 。 要 因 と し て 、 抗 体 陽 性 牛 の 初 乳 給 与 管 理 失 宜 、 直 腸 検 査 用 手袋の複数頭使用の他、ELISA検査時期が 感 染 初 期 の た め 抗 体 が 確 認 出 来 な い こ と が 考 え ら れ た 。 今 後 は 抗 体 陽 性 牛 を 含 め た 全 頭 の 継 続 的 抗 体 検 査 と 持 続 感 染 牛 摘 発検査にPCR検査を加え、確実な判定によ る 抗 体 陽 性 牛 の 早 期 摘 発 を 図 り 、 飼 養 管 理 の 徹 底 と 計 画 的 淘 汰 を 組 み 合 わ せ た ま ん 延 防 止 対 策 を 関 係 機 関 と 連 携 し 推 進 す ることが重要と思われる。 39.公共牧場における乳頭腫の発生と対応 :長野県佐久家保 高山省三 近年、管内A・B公共牧場において乳用育 成牛の牛パピローマウイルス(BPV)による 乳 頭 腫 を 疑 う 事 例 が 散 。 発 症 に よ る 経 済 損 失 、 ミ ル カ ー 装 着 へ の 影 響 等 か ら 農 家 が放牧を敬遠し、放牧頭数が減少。牧場管 理 主 体 か ら の 依 頼 を 受 け 、 伝 播 の 軽 減 に 取り組み、BPVの確認、被害状況の調査を 実施。公共牧場での伝播を軽減するため、 媒 介 昆 虫 と し て 疑 わ れ て い る ブ ヨ 等 の 付 着 対 策 と し て 、 衛 生 検 査 時 に ピ レ ス ロ イ ド 系 殺 虫 剤 等 の 投 与 や 逆 性 石 鹸 に よ る 乳 房 消 毒 等 を 実 施 。 B牧 場 で 罹 患 し た 3頭 か ら採材した病変の遺伝子検索を実施し、B PVを 確 認 。 ま た 、 被 害 状 況 は 放 牧 衛 生 検 査 時 の 目 視 検 査 と 農 家 へ の ア ン ケ ー ト 調 査 で 推 定 。 発 症 頭 数 は 、 H22年 度 、 A牧 場 が 15頭/ 36頭(41.7%)、 B牧 場が 24頭/ 47 頭 (51.1%)。 H23年 度 は、 A牧 場が 7頭/ 54 頭(13.0%)、 B牧 場が31頭 /51頭 (60.8%)。 廃用又は外科的切除を実施した頭数は、H 22年 度 、 A牧 場 が 10頭 、 B牧 場 が 6頭 。 H23 年度はA・B牧場ともに事例はなく、症状の 軽 減 が 見 ら れ 、 対 策 の 効 果 が う か が わ れ た。 40.長野県内で発生した牛乳頭腫:長野県 松本家保 宮本博幸 長野県内の2酪農場で乳頭や体表皮膚に 腫瘤が発生。腫瘤は乳頭の側面に絨毛状、 結 節 状 に 形 成 し 、 小 豆 大 ~ 母 指 頭 大 に 形 成 。 ま た 乳 頭 以 外 で は 腹 部 の 正 中 部 付 近 に 腫 瘤 形 成 。 乳 頭 の 腫 瘤 で は 難 治 性 の 腫 瘤 も あ り 、 搾 乳 困 難 と な る 牛 も 散 見 。 腫 瘤 発 生 牛 11頭 か ら 乳 頭 お よ び 体 表 皮 膚 に 形 成 さ れ た 腫 瘤 19検 体 を 採 材 し 各 種 検 査 を実施。腫瘤発生牛は搾乳1頭、育成10頭 で 12~ 46ヵ 月 齢 。 病 理 組 織 学 的 検 査 で 表 皮 の 有 棘 細 胞 の 増 殖 を 伴 う 著 明 な 乳 頭 状 増 殖 、 角 化 層 の 高 度 の 過 角 化 を 確 認 。 遺 伝子検査で牛パピローマウイルス(BPV)に 特 異 的 な 遺 伝 子 を 検 出 。 そ の 結 果 、 牛 乳 頭 腫 と 診 断 。 検 出 し た BPVの 遺 伝 子 型 は 1 型 8検 体 、 6型 9検 体 、 10型 1検 体 で 乳 頭 か ら1、6、10型、体表皮膚から1型を検出。 長 野 県 内 に 1、 6、 10型 の 存 在 を 確 認 。 発 生 状 況 等 か ら 、 2酪 農 場 内 に 広 く BPVが 浸 潤 し て い る と 推 察 。 牛 乳 頭 腫 の 対 策 は 、 遺伝子型で異なることから、今後もBPV浸 潤状況の調査を継続し対策を検討。 41.牛ウイルス性下痢・粘膜病における病 理 学 的 考 察 築 : 長 野 県 松 本 家 保 大 泉 卓 也 管内の酪農家で飼養している約7ヶ月齢 の ホ ル ス タ イ ン 種 育 成 牛 が 、 発 育 不 良 と 慢 性 的 な 水 様 性 下 痢 を 呈 し 死 亡 し た た め 病 性 鑑 定 を 実 施 。 剖 検 所 見 で は 回 腸 、 盲 腸 粘 膜 に 偽 膜 が 付 着 。 盲 腸 、 結 腸 粘 膜 に 潰 瘍 が 散 発 。 牛 ウ イ ル ス 性 下 痢 ウ イ ル ス (BVDV)中和抗体価は2倍未満。ウイルス 分離検査でBVDV‐1型を分離。血清、糞便、 末梢血白血球のPCR検査でBVDVの特異遺伝 子 を 検 出 。 組 織 所 見 で は 、 特 に 消 化 器 系 に お い て 病 変 が 顕 著 で 、 空 回 腸 パ イ エ ル 板 を 覆 う 粘 膜 の 消 失 、 リ ン パ 小 節 の 凝 固 壊 死 。 空 回 腸 、 盲 腸 、 結 腸 の 粘 膜 表 層 に 偽 膜 の 付 着 。 ま た 、 粘 膜 下 組 織 の 小 動 脈 壁にフィブリノイド変性が散見。空回腸、 盲 腸 の 陰 窩 の 拡 張 。 第 三 胃 の 粘 膜 上 皮 の 壊 死 が み ら れ た 。 以 上 の 結 果 か ら 、 持 続 感 染 牛 が 粘 膜 病 を 発 症 と 推 察 。 粘 膜 病 を 確 実 に 診 断 す る た め 、 剖 検 時 に お け る 病 変 の 観 察 と 採 材 の 重 要 性 を 改 め て 認 識 。 42.牛白血病の浸潤状況と清浄化に向けた 課題:長野県伊那家保 竹谷祐彰 H21年 県 外 導 入 を 行 っ て い る 酪 農 家 5戸 で飼養する乳用牛293頭を対象に牛白血病 (BL)抗体検査を実施し、抗体陽性率3.9 %~29.4%、合計53頭(18.1%)の陽性を確 認 。 管 内 に 広 い BLの 浸 潤 が 思 料 さ れ 、 県 外からの導入牛等の抗体検査成績(H21年 ~ H23年 ) を 分 析 。 導 入 牛 は 205頭 中 21頭 (10.2%)に陽性、県外への預託時に抗体 陰 性 で あ っ た 102頭 に つ い て は 約 8カ 月 間 の預託後9頭(8.8%)に陽性が確認された。 こ の こ と を 踏 ま え 今 後 の 清 浄 化 対 策 に 資 す る た め 、 酪 農 家 ( 50戸 ) に 意 識 調 査 を 行 っ た 。 そ の 結 果 、 ① BL清 浄 化 に 積 極 的 に 取 り 組 み た い ② 導 入 、 預 託 前 後 の BL検 査 結 果 等 状 況 を 承 知 し て い た い ③ BLに 特 別関心が無い、の3つのグループに分類さ れ た 。 さ ら に 団 体 職 員 、 獣 医 師 、 関 係 機 関 に BLに 対 す る 考 え 方 、 農 家 へ の BL対 策 に つ い て の 指 導 状 況 等 聞 き 取 り 調 査 を 実 施 し た 。 以 上 の こ と か ら 、 今 後 の 清 浄 化 対 策 の 指 導 方 策 と し て は 農 家 へ の BL対 策 の 啓 発 を さ ら に 図 り つ つ 、 農 家 の 実 情 に 照 ら し て 取 り 組 む 必 要 性 が 認 め ら れ た 。 43.若齢牛に発生した成牛型牛白血病の一 例:長野県飯田家保 柳澤まどか

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