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398 田近淳 岩田圭示 黒沢邦彦 はじめに 西南北海道には グリンタフ を主とする新第三系の 基盤として, 粘板岩 チャートなどからなる先第三紀堆 積岩類が点々と分布する ( 第 図. これらは, 主として 石灰岩から産出する化石の研究 ( 橋本 島田, 960; 湊 国府谷,963; 坂上ほか,

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(1)

地 球 科学 38 巻 6 号 (1984年n月)3Y7

407

西

北 海 道 ・ 島 牧 村 大 平 山 周 辺

中 生 界

田  近 淳* *

岩 田 圭 示* * *

黒 沢 邦

**

Geology

 of 

the

 

Mesozoic

 

System

 around  

Mt

 

Obira

Shimamaki

, 

Southwest

 

Hokkaido

Jun

 

TAJIKA

Keiji

 

IwATA

* * and  

Kun

hiko

 

KuRosAwA

 The  Mesozoic system

 newly  named  Tomarigawa  Group

 is distributed 

in

 

Shimamaki

 area

Southwest

 

Hokkaido.

 

It

 

is

 

divided

 

into

 

following

 two 

formations,

 namely

 the 

Kanaya

皿aga

wa  and  the 

Garozawagawa

 For皿 ations 三n ascellding  order

 The

 

Kanaya

皿agawa  For皿ation is divided 

into

 three members

 that is the Lower

 

Midd

!e and  

Upper

 Members

  The  Lower  Member   is  composed   mainly  of shale and shaly  

fiysh

(alternations  of sandstone  and sha 正e

 associated 輌 th chert

1imestone and

 basic 

tuff

  The

Middle

 

Member

 is characterized  by the dominance  of chert

  The UppeT Me 皿 ber consists of fiysh

 associated  with  chert

 pebbly shale

 cQng 正omerate  and thick arkosic  sandstone

This for皿 ation  yeilds so皿 e 

UpPer

 

Jurassic

 radiolarians  and  

UpPer

 Triassic conodonts  from cherts

  The  total thickness exceeds  

l100

 meters

 The Garozawagawa  

Formation,

 conformably  overlying  the Kanaya 皿 agawa  Formation

 is

divided into the 

Upper

 and  

Lower

 

Mernbers.

 

The

 Lower  Member  is composed  mostly  of

li皿 estone  

basic

 tuff and  chert

 associated  witll alternations  of chert  and  shale

  The  

Upper

Menlber  consists  of greenstones and  chert

 associated  with  limestone

 shale  and  arkosic sandstone

 

Greenstones

 are made  up  largely of reworked  hyalodastite hyaloclastic or epi

clastic  volcanic  

breccia,

 sandstone  and  siltstone

 

but

 

include

 small  amounts  of pMow  

lava

a

nd 皿 assive  

Iava、

 

SQ

皿 e fQssils such  as  calcareous   algae

 hexacorals and  Upper  Triasslc

conodonts  ha寸e been obtained  from limestones of this formati n

 

However ,

 these h皿 estones

are  largely conglo eratic

 or 

blocks

 of ▽arious size

 which  are  included 

in

 greenstones

Such feature 

described

 above  suggests  that 

limestones

 of this formation include 

partly

 allo

cthDnous  ones

  Based on  radiolarian  

fossils

 obtained  

from

 chert  and  shale

 the age  of  this

fo

「mation  seems  to range  

fro

Upper

 

Jurassic

 to early  

Cretaceous.

  The tota!thickness exeeed  

1400

eters

  The

sediment  of this group seems  to hとve been transported  from 

following

 two provinances

namely

 granitic hinterland and  shallow  seamount  composed  of greenstones  and  

Iimestone

This group was  

deposited

 well away  from granitic 

hinterland

 

but

 

in

 the vicinity  of sha !lQw seamount

  The  Tomarigawa  GrQup

 which  includes allocthonous  seamount  materials

皿 ay be comparable  to the submarine  terrace  sediments  on  the continental  slope  or ti

ench  sedi

merlts

 

but

 

further

 

detailed

 study 主s necessary  before we  come  to our  final conclusion

 *

本地質学 会第

89

年学 術 大 会 (新潟 )で

一.

部講 演

* *

札幌 支部

北海道立 地下資源 調査所

  

Geological

 

Survey

 of 

HokkaidQ,

 

Kita

 

19

 

Nishi

 

12,

 Kitaku

 

Sapporo,

060 

Japan.

* * *

北 晦 道 大 学 理 学 部 地 質 学 鉱 物 学 教 室

   Department  of Geology and  Mineralogy

 Faculty of 

Science,

 

Hokkaido

 

University

  Kita 10  Nishi  8

(2)

398

1

  は  じ  め  に 田近  淳

岩 田圭 示

黒 沢 邦 彦  西南 北海道に は “グ リンタ フ” を 主とする新 第三系の 基盤と して 粘板

チ ャ

トな どか ら な る 先第三紀堆 積 岩 類が点々 と分布する(第

1

図〉

これ らは

主 として 石 灰 岩か ら産出する化 石の研 究 (橋本

島田,

1960

;湊

国 府 谷

,1963

坂 上か,

1969

 ;吉田

青 木, 1972;

MINouRA

KATo

 

1978

な ど)よっ て

後 期 古 生 代か ら前

中期 中生代の地層と さ れ, 地 質構造 区分上

北 部 北上帯

岩泉 帯の北 方 延 長 と考 え られて きた

しか し

西 南 北 海 道の先 第三系に関 する知 識は断 片的であ

D

産 出化石の層位 的位置づけにつ い ても不明な点が多い

 最 近, 豊 原ほか (

1980

)は北部北上自地か ら西南 北海 道に至 る 各 地の 石 灰岩

チ ャ

ト よ リコ ノ ドン ト化 石を 報告し た

こ の告に よっ て従 来考え ら れ てきた各 地の 層 序 と時 代論は相互に矛盾し て い る こと が 明 らか と な り, これらの再検討が 必要と なっ てきた

こ の よ うな問 題は単に部北上帯 (広義)の構 造発達史わ るのみ な ら ず, 北 海 道 中軸 帯の発 達 史 を 考 え る 上で も 重 要であ る

1

図 西南北海道の先第三紀基 盤 岩 類の分 布 と調         査 地 域 位 置図 1:先第三紀堆積岩類,

2

:白亜紀花崗岩類, 矢 印 (

Fig.

2

)は泊川 地域, 同 (

Fig.4

)は千走川流域

 以上の べ た よ うな状 況 をふ ま えて筆者らは渡島半 島 北     お   び ら 部の大 平山 山塊に分布す る 先第三系の 層 序 を検討し てき たが

小 論で は

北日本の中 生代構造発達史を考える新 た な資 料と して

大 平 山 山塊北 部の島牧村大平山周 辺 地 域の 中生界の岩 相層序お よ び産出化 石を報 告し

その意 義につ いて考 察 する

産 出化石 お よ び緑色 岩 類の岩 石 学 的 検 討の詳 細につ い て は別の会に報告する

 な お, 当 地 域に分 布 する堆 積 岩

火 山岩 類よ り な る 第三系 を

最 も典 型 的に発 達して いる島牧 村泊川にん で, 泊川層群 (新称)と呼ぶ ことにする

H

  地   質  の  概   略  調 査 地域は島 牧村大 平 山周 辺の東 西 約10km

南 北 約 10km の範 囲で ある (第

1

図)

こ の う ち泊川層 群の分布         ちはせ するのは千 走 川 流 域

泊 川 流 域

大 平 川 流 域である

泊 川 流 域か ら大平 川 支流ヒヤ ミズ沢 川に かけての 地域 (以 下, 泊川 地域と称する〉におい て は, 泊川層群は新 第三 紀の基 盤上昇地塊を構成し て広い分布を示し てい る

,一

方, 千 走 川 や 大 平 川 上流地 域で は

緩傾斜の新 第三系に お おわ れ

川 筋にそっ て わずか に露 出する にす ぎない

  泊 川 層群は頁 岩

チ ャ

緑 色 岩 類

石 灰 岩

砂 岩 礫 岩よ りな る全 層 厚2500m 以 上に達 する地 層である

地 質図 (第

2

図〉お よび地質柱状図 (第 3図〉に示し た よ うに

本 層群

下 位の頁 岩

チャ

トを主体とする金 山 川 層 と上位の緑色岩 類

石 灰 岩

チ a

トを 主 とする ガロ 沢 川 層 とに 2分で き る

  泊 川 地 域お よび大 平 川 流 域の泊 川 層 群は 大 局 的に は NNE

SSW の走 向で

45

°

A−

85

°

NW  lc傾 斜し た 同斜 褶 曲 構 造を なす

砂岩の級 化 構 造な ど か ら 地層の正逆 関 係 を検討する と, ガ ロ沢川中流か らヒヤミズ沢川中流にか けて は転 倒 向斜 軸

,一

泊川 上流 部に は転 倒 背 斜 軸の 存在が, そ れぞれ 推 定される

さらに, 地 層の走 向にほ ぼ平行な断 層に よ る 地層の くり返し が推定される

千 走 川 流 域に おける泊 川 層 群は

多 くの断 層に よっ て擾 乱さ れ

その構 造は複 雑である(第

4

図 )

本 層 群の頁 岩お よ び緑 色 岩

石 灰 岩の

部には

層 理に ほぼ 平 行 する弱い ス レ

トヘ 発達し てい る

 本 層 群の

部は 石英 閃緑岩の迸入に よ リ ホル ン フェ ル ス となっ て いる

ま た

新 第三紀の岩 脈や鉱 化 変質帯が 多数 発 達してい る

Ill

層 序 A

金山川 層 (新称) 金 山川か ら泊川林道金山 川橋下流に至 る地 域を模 式 地 と し

その分布は 金 山 川 周 辺 お よ び泊川 上流, 千走川流

(3)

西 南 北 海道

島牧 村大平山周 辺の 生界

399

Q

H:L:1:1                第 2図 泊川 地域の地質 図お よ び地質断 面 図 1 :お よ び

2

:石 英 閃 緑 岩, 3

〜8

:泊川層群,

3

:層状チ it

b,

4

:石 灰 岩

5 :ガロ 沢 川部層 (緑色 岩 類) , 6 :同下 部 層 (含 石 灰 岩礫凝 灰岩),

7

:同砂 岩 頁岩 (チ ャ

ト を挾む)

8 :金 山層頁 岩お よび 砂 岩 頁層 (チ ャ

トを挾む)

9 :石産地○印は放 散 虫 化 石産地

 

口 印は大 型 化 石 産 地

 

囹印は 野ほか(1979)に ょ るコ ノ ドン ト化 石 産 地 ), HY : ヒャ ミズ 沢 川,

OB

:大 平 山

 KN :金 山川, 

KM

:ヵモ ィ沢, GR :ガ 卩沢 川

(4)

400

田近 淳

岩田圭 示

黒沢邦彦 乢 ¢ コ ≧ 詞 》 〉   NO 」

L

⊂ 」 σコ 〉 。コ 匚

9

ABCDEF

u

一・

6

L

7 4

L

2 8 1 3〔}Om 0                         第3図 地 質 柱 状 図

U

:上部層,

M

:中 部 層, L :下 部 層

 

A

:石 灰 岩

 

B

:緑 色 岩類, 岩優勢砂 岩 互層, E :等量 ない し砂 岩 優 勢互層,  F :砂岩

C

:チ ャ

,D

(5)

西南北海道

島 牧 村 大 平 山 周 辺の中生界

401

域に及ん で い る

模 式 地付近で は全 層 が 逆 転してい る

層 厚は模式地で110 皿

泊川 上流では

300

皿 以 上で あるが

いずれ も下 限 が不 明で ある

 

本 層は岩相上

頁岩お よび 頁 岩 優 勢 砂 君 互 層を 主 とす る下部 層

チ ャ

トを 屯 とする中 部層

頁岩 優 勢 砂 岩互 層 を

r:とする上部 層に

3

分さ れ る

 

〈下 部 層〉層厚350m 以 上

厚さ

10〜

30cm 以下の灰 色ない し暗 緑 色チ ャ

トをひ んばん に挾む 頁岩お よび頁 岩 優 勢 砂 岩互層よ り な る

部分 的に

厚 さ10数m の淡緑 色層状チ ャ

ト層や, 含 石 灰 岩礫凝灰岩の 薄層 を 挾 むこ とが ある

 〈 中 部層〉層 厚 約250m

暗灰 色 ない し暗 緑 色 (まれに 赤色)を 呈する厚さ

10cm

前 後の チ ャ

ト単層よ り なる 層 状チ ャ

トを 主体とする

金 山 川ではこれ らに

10

数rn以下石 灰岩 礫凝 灰岩や 石灰 岩を挾 む

 〈 上部層〉層厚約

450m ,

頁 岩 優 勢 砂 岩 互 層よ りな る

模 式地では中位にや や厚い層状チ ャ

1

を鋏む

泊川上 流に分 布 する金 山川層は厚さ数 1 m の暗 緑 色 層 状チ ャ

トを挾 む 頁 岩お よび砂 岩 頁 岩互層が 主体で

この ような 岩 相お よ び 上位の ガ P 沢 川 層との累 重 関 係か ら

上部層 に相当するもの と思われる

互層部の砂 岩は

般に厚さ

10〜

25cm の細 粒ない し中 粒の暗 灰色 砂岩を 主 体と して い る が

し ば し ば厚さ数皿 の粗 粒 砂 岩や礫岩と な るこ と も ある

千 走 川 流 域に分 布 する金山 川層は, 頁 岩 優 勢 砂 岩互 層

層 状チ ャ

塊 状 砂 岩

礫 岩な どか ら な り

スラン 褶 曲お よび含礫 頁 岩 な ど

乱 堆 積 構 造 が 発達す る

これらは岩 相か らみると上部 層にあた る もの と思わ れるが, 擾乱 さ れてい る ため に

は っ きり し ない (第 4 図)

  金 山 川層の 互層 部を構 成 する砂 岩

礫 岩お よび頁 岩の 単位 層には, 級化 層理

平 行 葉 理

コ ンボ リa

ト葉理 な どの内 部 堆積構造が良 く発達し, タ

ビダイ bと し て の特 徴を備えている (第

5

図)

 礫 岩 中の礫は ほ とん ど が細礫ない し中礫サ イズのチ ャ

珪質頁岩

頁岩であり, 礫形は 亜円礫

円礫であ る

砂 岩は長 石 質ア レナイ ト* に分 類さ れ る もので〔第

6

図), カ リ長 石

1

(と くに微 斜 長石

サ イトんで い る

岩 片 とし ては

チ ャ

珪質頁 岩が 多く

他 に, 粘板岩 * *

花崗岩糧 *

酸 性 火 山 岩が含まれて い る

  金山 川層の チャ

トか らは

コ ノ ドン トおよび放 散 虫 の化石 が見いだ された

        \

 、

 、

L、

 「

  、

  、

9 ト

 ♂

F

ノ 42°38

1 」 ト ’

’ 雨

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1  ℃H21 贋二

T

1

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;111

 

  L

−_

rTer

一 一       第 4図 千走川 流 域のル

トマ ッ プ

A

:流 紋 岩 (第三紀 )

B

F :泊川層群 礫 凝 灰 岩

C :チ ャ

E :塊 状 砂 岩

ル は

500m .

A

B

■ c

D

E

F

                

B

:含石 灰 岩       D :頁 岩 (チ ャ

トを挾む)

F :砂 岩 頁 岩互層 (礫岩を挾む)

 

B .

ガロ沢 川 層 (新 称 )  ガロ 川 か ら泊川林道ガ ロ沢 川 橋 周 辺に至る地 域を 模 式地とする

本層は ガロ 沢 川らヒヤ ミズ沢 川上流に か けて広く分布する

また

泊 川 下流カモ ィ沢付近で は断  * 以 下 岡 田 (1968)の分 類に従 う

* * 既 述 の よ うに本 層の頁 岩に は弱い ス レ

トへ き 開 組が 発す る

岩 片に は明 らか に

   ち 再結 晶の程 度 も強い泥 質 岩 が ある

これ を 粘 板 岩 と 呼ぶ

** * 石 英

斜 長石

カ リ長石 (お よび黒雲 母)よ り な る 粗 粒 な 完 晶 質岩を 花 崗岩と 呼ぶ

これ と 異 なる方 向 を も

(6)

402  淳

黒 沢 邦 彦

B

2

1

m  

O

1

parallel

・鰤 ae

6

T

  yraded

2

晝 &

      第 5図 1

石 灰 岩礫 岩の産 状(

A

石 灰

B :凝 灰 岩 )

2.

山 川産 状 層に よっ て く り返し て露 出する

な お, 大平川 上流にも 小 規 模ではある が分布してい る

 ガロ 沢 川位の金 山 川 層に整 合 的に累 重し

全 層 厚は模式地で は

1400m

以上

泊 川 下 流 地 域で は

400m

以 上で ある

 本 層は 色岩 類

石 灰 岩

砂 岩

頁 岩 な ど

多 様な岩相よ りな り

石 灰 岩

チ ャ

頁 岩 を 主 とする下 部 層, 緑色岩類

チ ャ

トを 主 とする上 部 層に 区 分さ れ る

 〈下 部 層〉層 厚

640m .

石 灰岩, 赤色 ない し暗緑 色 層 状チ ャ

ト, 含石灰岩

チ ャ

ト礫凝 灰 岩 を主 体 とし

黒 色 頁 岩

チ ャ

ト互層を伴う

泊川下 流に分 布 する ガ P沢 川 層は主に石灰岩

含石 灰岩礫凝 灰 岩よ りな り

少 量の チ ャ

頁岩

砂岩を挾在 する

岩 相お よ び下 位 層 との関 係 を 考 慮すると, ほぼ 模式地の下部層に対比さ れるもの と思われる

 〈 上部 層〉層 厚760In以 上

緑 色 岩 類

赤 色お よ び緑 色 層 状チ ャ

トを 主 と

L ,

石 灰 岩と少 量の頁 岩

砂岩を 伴う

大 平川 上流に孤立し て分 布 するもの は

模 式 地の 上部 層の北 方 延 長 都に位 置し

色岩

チ ャ

ト層 (250 皿 お よ び 砂岩 頁 岩層 (250m 十)よ り な る

この 互 層部は厚さ

10

数cm の中 粒 砂 岩と頁 岩よ りな る頁 岩 優勢 砂岩

ff

層から砂 岩 単 層の厚 さが 増し頁 岩の厚さ が減少す る とい う上方粗粒化

厚 層 化ユ ニ トの く り返 し か ら な る

 ガ ロの砂 岩は

般に淡 紅 色ない し灰白色を呈 す る粗粒か ら中 粒の砂 岩で

とぎには数

10cm

に お よ ぶ 赤 色チ ャ

頁 岩の角 礫 を 含 む

鏡 下で は 石英

長石 類 にむアル コ

質 砂 岩

金 山 川 層のそ れに比し て粗 粒で

岩 片量の多い 長 石 質ない し 石質ア レナ イト である (第6図)

石英は波動 消光を 示す もの が多 く

他にいわ ゆ る polycrystalline  quartz や 融 食 形 を示 す ものがあ る

長 石 類はパ

サ イ b

斜 長 石に富む

岩 片は 花崗 岩

酸性 火山岩

同 凝 灰 岩

粘 板 岩

ホル ン フ

ル ス

放 散 虫チ ャ

珪質頁 岩

塩 基 性 火 山岩 な どか ら な

b ,

他に, 有色 鉱物とし て

黒 雲 母

緑 簾石

普 通角閃 石 な ど を含む

円 暦度は良 くない

 ガロ 沢 川層チャ

頁 岩か らは放 散 虫 化 石 が

石 灰 岩か らは コ ノ ドン ト (中 野ほ か

1979)

六射サ ン ゴ

化 石 (橋 本

1962

)が産 出する

(7)

西南 北海 道

島 牧 村 大 平山 周 辺の中 生界

403

F

Q

        第

6

図 砂岩の鉱物組

Q

;石英

F

:長石

 

R

:岩 片

,1

:ガロ 沢 川 層

2 :金 山月[

W  

緑色 岩類

石 灰 岩 の岩相と産 状

R

 

A .

緑 色岩類  泊 川 層 群を構 成 する緑色岩 類は 玄 武 岩

塊 状 溶 岩

,ハ

イ ア 卩 ク ラス タ イ 1

, 凝灰岩よ り な る

量的に は ハ イ ア P クラス タイ ト

凝 灰岩が 圧倒 的に多い

 溶 岩は

大 平川 上 流 お よ び ガロ 沢 川に見ら れ る

大 平 川 上 流のものは塊 状 を 呈し

,ハ

イ ア P ク ラス タイ トとの 関係 は 不 明 である

ガ 卩 沢 川では転石 と して

まれに

close

packed し た枕 状 溶 岩が見られる他は,

イ アロ ク ラスタ イ b中に孤 立し た “ 枕 t とし て見 られるにす ぎな い

close

−packed

し た枕状溶 岩には,枕と枕を 埋め る物 質と し て

灰 白 色石 灰 岩 を 伴 う (第7図)

枕 状 溶 岩の 面の形 状は比 較 的 単 調で

径30

〜40cm

の 円形 ない し だ 円形を示 す ものが 多い

個々 の枕 状 溶 岩に はガ ラス 質 な 外縁 部と や や完 鹸 質 な 内核 部が識 別 される

放 射 状 節理 は 不明 瞭で枕の横 断 面 方 向の節 理に富 む

発泡度は非常 に良 く

内核 部に最 大12mn1

平 均4

6皿 皿の気 泡 が発達し

こ の溶 岩が

かな り浅い海 底 下の 1質出 物で あ ること を 示 し てい る

これ ら は鏡下で

ピ Pt タ キ シテ ィ ッ クない し

イン タ

タル 組 織を呈 する 玄 武 岩 質 岩 で

斑 晶

の輝石は

ほぼ 完 全に緑泥石や 不透 明鉱 物に置換さ れ, その仮 像 を 残 すの み である

ま た, 石 基 の斜長石 はアル バ イ トや方 解石に置換さ れてお り, ほ と ん ど 初 生的な組 成を残し て い な い

花崗閃 緑 岩の周 辺で は, フ tr 

の ア ク チ

緑 簾

黒 雲 母 が形 成 されて い る

         第7図 緑 色 岩 類の産状 A

ハ イア ロ ク ラス タ イ ト (

B

:玄 武 岩 質 岩

L : 石灰 岩 礫 )B

枕状 溶 君 (白ヌキ部は石 灰 岩 )  

イア ロ クラスタ イ トとした もの は, 径数

10c

皿 か ら 数mm に及ぶ淘汰不良の枕 状 溶 岩の破 片 (亜角礫ない し 角 礫 )を 主 とする もので基 質は凝 灰 岩である

これに は 様々な量 比で 亜角 礫 ない し不 定 形の石 灰岩礫を含む (第 7図〉

ハ イア ロ ク ラスタ イ ト の多 くは塊状である が

細 粒の のには級化層理や in▽erse  to normally  grading が観察さ れ る

ま た, 石灰 岩 礫の多い部 分 と少 ない部 分

が成 層 する場 合がある

以 上の よ う な産 状か ら

泊川層 群のハ イ ア ・ ク ラス タイ ト の多は, 枕状溶岩か ら なる

山体 が 崩 壊し

土 石流や混濁流に よっ て二次 的に移 動

堆 積し た

イア P クラス タイト reworked  

hyaloclas

tic breccia

るい は epiclastic  volcanic  breccia;

河内ほ か,

1976

)である と考 え られる

 凝 灰 岩と し た もの は河内ほか (1976)の hyaloclastic (ない し epiclastic siltstone ない し同 sandstone

相 当 する もの で

これに も 石 灰岩礫を含むこ とが 多い

淡 緑 色 , 変 質した火 山ガ ラス片

ス コ リア 状の 玄 武 岩 片よ りなる

 なお

ハ イ ア V ク ラスタ イ トお よ び凝灰岩は頁岩

チ ャ

トな ど と整 合 的に発 達 する

(8)

404  

岩 田圭 示

黒 沢  

B ,

石 灰 岩

 

泊川 層 群 を 構 成する石 灰岩は 石灰 岩 礫 岩お よび塊 状石 灰岩よりなり

前 者が 圧 倒的に多い

石 灰 岩 礫岩と呼ぶ もの は

最 大 径数

10cm

な 径 を も淘 汰不 良 灰 岩 亜 円礫ない し 亜角礫よ りなる もの で

基 質の特 徴か ら大 きく

2

つに分ける こと がで きる

.1

つ は細 粒 石 灰 質 砕 屑物を墓 質 とするもの で

しば し ば礫 と 礫 の 問に stylorite の組 織が発 達 す

こ の よ うな 石 灰岩 礫岩 は grain  supported でり, 弱い成 層 構 造が発 達する こ が多い

ヒヤ ミズ川中 流に分 布 する 石 灰料礫岩に は

小規 模 なチ ャ ネル構 造が観 察さ れ る(第

5

図)

これ は

この石灰 岩 礫 岩 が

石 灰質岩よ りなる後 背 地か ら運 ば れ た質に よっ て形 成さ れ たチ ャネル充 墳 堆積物を含 むこと を 示 し て い る

他の

1

つ は玄武 岩質凝 灰岩を基質 とするもの で

多くは matrix  supported で あ る

礫 が著しく淘汰不良である こと な どか ら

これ らは おそ ら く

先に述べ ア 卩 ク ラス タイトと同 様に土 石 流な どに よっ て堆積し たもの と考 え られ る

 石灰 岩 礫 岩 を搆成 す る礫の多くは再結 勗 作用や変形 作 用を うけてお り

原 岩 組 織の検討は困難である

観 察で きる範 囲で は

石 灰 藻

六射サ ン ゴ

な どの生 砕 物を 含 む ミ クラ イト

イ オ ミ ク

パ イ オ ミ クル

ダ イ 1

 *h:

また, 異質礫と して, 灰 白 色チ ャ

ト の 亜 角 礫 や 玄 武 岩の角礫を含む

 

塊 状石灰 岩は泊川下流の カモ イ沢 出 合 村

近 に 見 られ る

これは灰 白 色ない し暗灰 色の ミ ク ライ ト質 石 灰 尉 で, 30m 前 後の厚さ を もつ が

連 統 性は乏しい

少 量の 生 砕物を含む ミクライトで, ミ クラ イ ト基 質は粗 粒 化が 著しい

こ の石灰岩か ら は後 述の よ うに コ ノ ドン ト化 石 が報 告されて い る

こ の石 灰岩の上位

下 位には, 石 灰 岩礫岩お よ び含 石 灰 岩 礫 凝 灰 岩が分布し てい る

第 1表 泊 川 層 群の 石 灰岩か ら産出 する大 型 化石         (橋 本

猪 郷

1962) Hikorokodium  sp

Mi ヱヱepore ヱヱa

 

sp

Mon 亡 ヱiva ヱ 亡」∠a

 

 

sp

The

(ro5mi ヱゴ∂

 

sp

Than

〜na5 亡eria

 

 

sp

V  

産 出化石 と対 比  A

産 出 化石

 

橋 本

猪 郷 (

1962

)は泊川流域の石 灰 岩よ り, 第 1表 に示し た大 型 化石の産 出を報 告し

それ ま で古生 代 と考 えられて いた泊川層群の時 代 を

ラ紀以降 とし た

し か し, そ の後

中野ほか (1973>や 酒井彰(湊

1978 ) に よ り

泊川 下流の ガ ロ 沢 川 層 塊 状灰 岩

2

に示 した 三畳紀 後期を 示コ ノ ドン b 化石 が報 告 さ れて い る

 今回あ らた に 泊 川 層 群の チャ

頁 岩 約20試 料につ い て 沸酸処 理に よる 微 化 石の抽 出を 試 み た

そ の結 第2表  コ ノ ドン ト化石 リス ト        LOCAL 工TY SPEC 工ES 16   τフ2021 ★ cりpね dodθユ1d sP

ooo α]ヱエ

10

必 ヱ恥 5P

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110

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二 (BUDFゆV & ST巳騨 劃 σ ノ oo β

P1σon ゴ01θヱヱ昼 コわr

ξP亡工5

  T燭CKER工EDE} oo E

   垣 de准 昌 融 1幻SH巳R o ★ Ndk己Do ot ζ」1

〔1979) 第

3

表 放 散 虫 化 石 リス ト        LOGALITY SPEC 工ES 卜 = 弓 P2 畄 N 鼠 n 鼠 囚 塗

遷 爭 曽 距 ね550c

厂胆 e s匪

o 5ヨτ劫 9σ

σ

P5a  25P

o 且rchaeo5 ρα

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25P

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o Faro η ∂e ユヱa sp

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o P5 剥 dod ヱ c亡o 肥 亡 珮 5P

0 P工c砂α

卍1とrd sp

o C

τ

亡〜

OCd ρ

   sp

o 果,

部の チ ャ

ト試 料を除いて保存が不 良であるが

10

地点よ りコ ノ ドン トお よび放 散虫 化石 が得 られた (第 * 灰 岩の命 名につ い て は

FOLK

1959

に従 う

(9)

西 南 北 海 道

島牧村大平 山周辺の巾生 界

4G5

2喪お よび第3表 )

 金 山 川 層に属 する千 走 川 流 域の暗 灰 色 層状チ ャ

CHI6

17,20

, 21)からはNeogondoletta 

Polygnathi

fermis

 N

 nododosa

 Epigondolella abnePtis な どの コ

ノ ドン 1

化 石

,TriassocamPe

 spp

な どの放散 虫化 石 が 得ら れ た

これ らの コ ドン ト化 石は 三畳紀後 期 (

Car・

nian を 示す ものである (

KOIKE,

1981)

 

方, 模式地周 辺 か らの 試 料は再 結 晶 が 著しく同 定 可 能な化石を抽 出 する ことは で きなか っ た が, 金 山 川の 北 隣りの小 沢の転 石 (赤 色チ ャ

KN  

1

)か ら は 多量 の海 綿 骨 針と ともに

少 量の

Hsuum

〜SP

な どの ジ

紀後 期を示すと考 え られる放 散 虫 化 石が得 られた

 ガ P 沢 川 層の頁 岩 KM  1

 FO 2に は Sethocapsa cf

cetia な ど が含ま れ る

 

BAuMGARTNER

 et al

1980に よ る報 告な ど を参照 する と, これら はジ

ラ紀後期か ら 白亜紀初期を示 す もの と推定される

大 平川 上流の赤色 チ v

OB19

か ら は il4ririfusus sp

 Eucyrtis sp

な どが得 られた

PEssAGNo (1977), BAuMGARTNER  

et 鳳 (

1980

)に ょれば

LYfirifUSbls の生 存 期 間は ジュ ラ 紀中期か ら白亜紀 前 期前半と さ れてい る

この チ ャ

F にはこれま での ところ典型 的な ジュ ラ紀型放散虫化石 は 含ま れて いない の で

むし ろ白亜紀 初 期 (Berriasian

Valanginian )を 示 す 可能 性が強い

 

B .

地質時代  以上に述べ て きた こと か ら, ガ卩 沢川層は ジ

ラ紀後 期から白 亜 紀 初 期にわ たる地 層 と考 え られ る

三畳 紀後 期の コ ノ ドン ト化 石を産 する塊 状 石 灰 岩は 産 状 か らみ て, 石 灰 岩礫岩 あるいは凝灰岩中の ブ 卩 ッ クと考え ら れ る

.一

金山 川層はガ P 沢川層の下 位に整 合 的に発達 する こ と

,.

ジュ ラ紀後期 型 放 散 虫 化石が 転石か ら得ら れ てい るこ とな ど か ら, 主にジ= ラ紀 後 期に堆積し た地 層 と考え られ る

三 畳紀 後 期を示 すコ ノ ドン ト化 石 を含 む 暗灰 色チ ャ

トが異地性 岩 塊で ある の か

千 走川流 域の 金 山 川 層全体が 三 畳紀後 期の地 層である の か に つ い て は

今後の検 討 が必 要であるが

周 囲の砂 岩

頁 岩の産 状か ら みて

異 地性 岩 塊である可能 性は否 定で きない

 

C .

北部北 上 山地の中 生 界と の対 比  北 部 北上山地において泊川 層群に対 比さ れ る地層は, 田 老 帯 (杉 本,

1974

)の上部ジ

ラ系

最 下部白亜系 陸 中層 群 (と くに槙 木 沢 層

腰 廻 層)お よ び岩 泉 帯 (杉 本

1974

)の岩 泉 層 群* ある

山口ほか (

1979

箕 浦ほか (

1981

)に よ れば, 槙 木 沢 層

腰廻 層は 層 状チ ャ

トお よび砂 岩 頁岩互層よ りなり

砂 岩はカ リ長 石に富 むアル コ

質 砂 岩を 主 とるもの である

これ ら は

緑 色岩 類や多量の石 灰岩を什わ ない点で

金 山 川層の岩 相に類 似して い る

.一

岩 泉 層群は石灰岩, 安山岩質溶 岩お よび火 砕 岩

さ らに チ ャ

トを 挾 む 砂岩頁岩 互 層よ りな り

砂 岩はアル コ

である(杉本

1974 ;山口 ほ か

1979)

火 砕 岩の岩 質が異 なる 点を除けば, 岩相は極め て類 似して い る

 西南 北 海 道の 各地に分 布 する先 第三系の時 代論につ い て は

断 片 的資料し か得ら れてお らず

正 確 な対 比は困 難である

しか し, 上磯層群や戸井 層の

部は

岩 相お よ び挾在 する石 灰 岩か らの産 出化 石 (吉田

青木

1972) に本 層群との共 通 性 が認め られ

本 層 群と対 比さ れる可 能 性がある

II

  考 察  

A .

緑色岩類と石 灰 岩の随 伴 関 係

 

までべ て きた ように, 本 層群 と くに ガ P 沢 川 層 は多量 の 再堆積し たハ イア P ク ラスタ イ ト

凝 灰岩か ら なり

この 中には

ほ ぼ普 遍 的に石 灰 岩礫が含まれてい る

ま た石灰岩 礫 岩の

には凝 灰 岩を基 質とする もの がある

こ の こと は両者が

次 的 な堆 積 場で

,一

種の 複 合 体 を なし て堆 積し た可能性を示唆して いる

緑 色 岩 類 と 石灰 岩との“ 複 合体” は, 後 期 古生代の秋 吉石 灰岩 (太 田,

1968

)や帝釈 石 灰 岩 (沖 村,

1975

)な どに良く知ら れて お り, いずれも塩 基 性 火 成 活 動に よ り形 成さ れ た マ ウン ド上へ 灰岩が堆 積した もの と解釈 されて い る

北 部 北上山地IC発達する岩 泉 層群の安 家 石 灰 岩につ い て も

そ の下位に

溶岩

火 砕岩の 存 在 が 知 られてお り

こ の場 合に も

西南 日本の石灰岩の例と同 様に マ ウン ド上へ の石灰岩の積と して解 釈 さ れて い る (豊 原ほ か

,1980

即 ち

泊川層 群へ の砕 屑物供 給源とし て は

アル コ

砂岩を供 給し た と思わ れ る後 背 地の 他に

石 灰 岩礫お よび再 堆 積し た

イ アロ クラスタ イ ト などの 給 源と して

石 灰 岩

浅 海 底 火 山 体の存 在が推 定 される

 石灰 岩か らの出 化 石 は

三 畳紀 後 期お よ び

ジ ュ ラ 紀 後 期 以 降

を 示 して お り

石 灰 岩の堆 積し たマ ウン

こ の時期を通じ て

長 期 間 存在し たもの と考 え られ る

 

緑 色岩 類の 活 動 時 期につ い ては, 問 題 が残っ て い る

ガ ロ 沢 川 層には

溶 岩が存在す る が

これ ら が

in

 situ の火 山活 動に より形 成された もの か

ある い は 石 灰 岩 な ど と同様のプロ ク でるの か は, 産状 * 時代 論にっ いて混乱があるが, こ こ で は 杉 本 (1974)の見解に従っ て お く

(10)

4D6 田近 淳

岩田圭示

黒 沢 邦 彦 が 不明なので 正 確に はわか ら ない

し か し

ハ イ アロ ク ラス タイ トの 多 くが再 堆 積 性の ものであるこ とや, 火 道 と し ての岩脈がほ とん ど見 られ ない こ と な ど か ら

溶 岩 も ま た, ハ イア 卩 ク ラス タイ ト中の ブ P ッ クであるのか も知れ ない

1

例で はある が

細 粒のハ ア Ftク ラス タ イ トに孤 立した枕 が 存 在す るこ と な どの現 象は

こ の ような 推 論 を裏付 けるもの と も言 え よう (河 内ほ か

1976

 

B .

泊 川 層 群の堆 積 環 境と 発達史   金 山 川 層は泥 質タ

ダ イ トを 主体と し,

部に ス ラ ン ピング や含 礫頁岩が認め られる

岩 中の礫は円磨 度 が 良 く, その種 類は砂岩の岩 片に認め ら れ る花 崗 岩 質 岩 や酸 性 火 山 岩で は な く

堆 積盆内起源と み られるチ ャ

トや頁 岩である

また

本 層は大型 化 石 な どの浅 海 的 要 素 を全 く欠い て い る

これ らの 徴は

金 山 川 層の多 く の部 分が

次 的 な 堆積物で は な く

花崗岩 質後背地から 遠 く離れた 二次 的な 堆積の場で混 濁流 な どに よ り形 成さ れたこ と を 示す もの である

箕 浦ほか (

1981

)は陸 中 層 群の 積 学 的研 究か ら

同 層群の堆積の場 とし て大 陸斜 面 上の深 海平 坦 面 を考えて い る

岩 相の類 似 性な ど か ら, 金 山川層の堆 積 環 境 も

こ の ような場と考え るこ と が可 能である

  ガ Pt沢 川層は石 灰 質 砕 屑 物お よび玄 武 岩火 山砕 屑 物 な どで特 微づけ られ

これ ら は 土 石流に よっ て

次 的 に堆 積し たものや, そ れ ら が さ らに 二次 的に混 濁 流な ど に よっ て再堆 積し たもの から成っ て いる

石 灰岩礫の運 般距離はふつ う極め て短い こと

産 状が 不明な が ら も溶 岩が存在する こ とは

石 灰 岩

浅 海 底火 山 体は極め て近 い位 置に存 在し たことを 示し てい る

ガロ 沢 川金 山 川 層 上に整 合 的に堆 積し てい るに もか かわ らず

堆 積 物 が急 激に変 化す る事 実は

本層堆 積 時に, 石 灰岩

浅海 底 火 山 体 が急激な変動 (火 山活動あるい は構 造 運 動 )に よっ て崩 壊した ことを 示すもの である

 

大 陸 斜 面にお け る火 成 活動の例は

紀 伊 半 島 の 潮 岬 (三宅,

1981

;久 富

三宅

1981な ど)や東北日本沖の 大平 洋 (奈須ほ か

1979)な どで知ら れ てい る

これ ら は酸 性か ら塩 基 性ま で多様な 岩相か ら なっ て お り

ガ ロ 沢 川 層のそ れと は性 格を異にし てい る

.一

海 山が海 洋 底の 移動に よっ て

海 溝 内に おちこむと さ れ る 例 が知 ら れてい る (

MoGI

NlsHlzAwA,

1980

こ の ような 場 合

海 溝や大 陸 斜 面 下部は, 海山 を構 成 する火 山岩や 石 灰岩の砕屑物に よっ て埋積され る こ と が予 想さ れ る

ガ 卩沢 川色 岩や 石 灰 岩

こ のような 堆 積 物で あ るの か も知れ ない

ガ ロ沢 川 層 上 部 層に見ら れ る粗粒 砂岩の堆 積は, こ の よ うな 埋積作 用に よ る浅海 化の結 果 と考え るこ とがで きる

 

箕浦 (

1983

)は北 部 北 上 山 地の中 生 代の 発達史 を 論じ

チ ャ

石 灰 岩

緑色 岩類は異地性 岩 体 とし て

ジ= ラ紀 後期に砕屑岩 類の中に と りこまれたもの で

これ ら の ジ

ラ系は海 洋 底の沈み込み にう付加 堆 積 物である と す るモデルを 提 示 し た

泊川層群の石 灰堵 (

緑 色 岩 類?)のな く と も

部は異 地 性 岩 塊 と思われ

ジュ ラ 紀後 期に砕 屑物として堆 積し た とい う点に 関 して 言 え ば, こ の モ デル に

致 する

しか し, いわゆる付 加 堆 積 物に期待さ れ る著しい用 や 走 向 性逆 断 層に よ る 地 層のひ んばん な く り返 しは

本層群中に は認め ら れ な い

 上 に述べてきたこ と は

現 在の ところ仮 説の 域 を 出 な い

これ らの 明に は, 更に詳 細な堆 積 学 的 検 討に加 え て 緑 色岩類

チ ャ

トなどの形 成の場につ いて, 岩石 学 的検討を 加 え る必要がある

 

方, 西部北 海 道の中 古生 界は, Barremian 以降 北 海 道中軸 帯の堆 積 盆に対して

種の安 定塊と し て作用し て い た こ とが指 摘されている (君

波ほ か

1978)

泊 川層 群の堆 積 年 代が 白亜紀初期 (Berriasian

Valanginian ) まで さかのぼる とする と, 泊川層群は堆 積後, 極めて短 期 間の うちに安 定 化し たことに な る

ま た

泊川 層 群は 北 海 道 中軸帯の 空知層群や仁 頃 層 群 と

部 同時 期の堆 積 物であることに な る

エ ゾ層 群 堆 積 れ ら地 層 群との互関係が今後問題と なろ う

粗   ま と め  

1.

北海道西南部島牧地 域には新第三系 の 基 盤 とし て

泊川層 群(新称)が分 布 する

同 層 群は岩 相か ら

下 位の山川 層 と上位の ガ ロ沢 川 層 2さ れ る

 

2.

 金 山 川層は頁 岩優勢の頁 岩 砂 岩 互 層お よ び層 状チ ャ

トを 主 とし

石 灰 岩

凝 灰 岩

礫 岩を伴う

層厚は

1100m

以 上 と推 定 される

  3

 ガ 卩沢 川 層は石 灰 岩

縁 色 岩

チ ャ

トを 主体 と し砂 岩お よ び頁 岩を伴う

層厚は

1400

皿 以 上である

 

4.

泊 川 層 群の石 灰 岩は 石灰岩礫岩であり, 緑 色 岩 類 も reworked し たのが主体である

砂岩 は ア ル コ

ス質である

 5.

泊川 層 群か らは

三 畳 紀 後 期の コ ノ ドン ト

放散 虫 化 石

ラ紀以降を 示す大型化石, ジュ ラ紀後期

白 亜 紀 初 期を示す放 散 虫 化石 が産出する

三畳 紀 後 期を 示す 化 石を含 む 岩 体は異 地 性 岩 塊である 可能性が強い

泊川 層 群の堆 積 時 代は ジ

ラ紀 後 期

白亜紀初 期 であ る

 6

泊 川 層 群は花崗 岩質後 背地から比較的はな れた二

(11)

酉 南 北 海 道

島牧 村大 平 山 周辺の 中生界 407 次 的 な 堆 積場で形 成さ れ た と思わ れ る

ガ ロ沢 川 層 堆 積 期になる と

石灰 岩

浅 海 底 火 山体か ら多 量の砕屑 物が 供 給 される よ うになっ た

泊川層 群の堆 積 環 境 と し て は, 大 陸 脳 面 上の深 海 平 担 面な ど が考えられるが

こ の 問題の解 明は今 後の課題で ある

  謝     辞  本 研 究に際し

北 海 道大学理学都 加藤 誠 教 授

中 村 耕 二助 教 授に は終 始

御 助 言 と激 励をい ただ き

中 村 助 教 授には粗 稿 を 閲 読し て いた だい た

大 阪大 学 中 眇古 幸 次 郎助教授に は放 散 虫 化 石の同 定な ら びに時 代の判 定につ いて御教 示いただいた

長 谷 川 潔 氏

高橋功二をは じ め とする道立 地 下 資 源 調 査所の方々 には 種々御 教示 をい た だき, とくに山岸宏 光氏に は緑色岩 類につ い て御 教示 いた だいた

川村信 人 氏を はじめ とする北上古 生 層 研究 グル

プの方々

お よび 北 海 道 地 質 構 造 研 究会の々 に は

本 研 究を進め る中で様々な御討論をい た だい た

以 上の 皆 様に厚 くお礼 申し上 げる

筆 者の

人 岩田 は文 部 省 科 研 費 (総 研A

No .57340047,

代表

名 古 屋 大 学 水 谷 伸 治 郎 教 授 )の

部を使用 し た

記して 謝 意 を表 す る

文 献

BAuMGARTNER

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総 研

A

報告書 「日本 列 島 北 部にお け る 地向斜お よび構  造 帯区分の 再検 討」

27

36

山口

 

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北 村

 

信 (

1979

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帯V および “ 岩泉 帯”t 南部の地 質 構 造 発 達 史

東北 大  ‡也古 研 邦 報

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参照

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