ディジタル動画像処理による空間フィルタ速度計測法

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(1)

論 文

ディジタル動画像処理による空間フィルタ速度計測法

准 員 山本 英明†

正員古賀和利す†

正員百田正広慣

正 員 三池 秀敏†

Spatia圭 Filtering Processing

VelOcimetry by Digital Image Sequence

Hideaki YAMAMOTd,∠4∫so磁諺漉励6プ, Masahiro MOMOTA†す†, Ka顧osh1 KOGAす†

磁Hidet。shi MI茎KE†,癩㈱幡

 あらまし 空間フィルタ法に基づくディジタル動蘇象処理によるフレキシブルな高精度速度解析法を提案する.

動画像の連続入力縛において,画像の投影分布(各フレームの藏橡を一定方向に積算し,投影画像を得る)を董列 的かっリアルタイムで行うことにより,ビデオデータからの長蒔問遮続講灘を可能にした。また,正負の値をと る理想的な正弦波空間フィルタの実現や,粒子速度に応じた最適な波長および移動速度をもっ空間フィルタの選 択により,ダイナミックレンジの広い高精度塵動速度解析を実環した.現実の可視化された流れのシーン(非線形 化学反応に伴う振動流)に対し,この手法を適矯し,1秒ごとの流れの主速度の時間変化(王8分)を解析し有効性 を確認した.空閤フィルタを重畳した信号のスペクトル解析1こは最大エントロピー法(M£M)を用い,短い時系 列データからの主スペクトル位置の正確な推定を可能にした.

 キーワード ディジタル動画像処理,空間フィルタ法,投影颪像,叢大エントロピー法(MEM)

1.まえがき

 局所的な速度を非接触で解駈する方法としては,差 動型レーザドップラ法α1 (2)や空間フィルタ法(3)P㈲が知 られている.いずれの季法も基本的には同一漂理に基 づくものと解釈されく5),小領域に格子縞を作りその中を 粒子が通過するときの光強度信号の周波数スペクトル

を解析することにより速度の情報を得ている.こうし た計灘法では,空間フィルタを光学的あるいはハード 的に実現することで速慶計測のリアルタイム処理を可 能にしている.しかし,用いられる空間フィルタは必 ずしも理想的なものとは欝えず,そのフィルタの形状 から余分な高調波成分やペデスタル(低周波)成分が周 波数スペクトルに混入する等,高糖度の速度計瀾実現

†磯口大学工学部電気電子二f二学韓,宇部帯 巽霞淵大学工掌部知能構報システム工掌科,宇部霧

 Faα甕墨ty oξ …3ngi縫eering, Yamaguchi University, Ube−shi, 755  」飛pa邉

君†徳山工業高等響門学校第報電子工学科,穂由帯

 Tokuyama翼ati◎貧al Coilege of Techaology, Tokuyan懐一shi,7菊

 J細an

の障害となっている。もちろん,その対策としては様々

な試みが行われてきている(2} (3) 《6).

 近年,マイクロエレクトロニクスの発達を背禦にビ デオ信号処理による2次光速度計測の試みが行われて いる.CCDカメラ等で懸像を敢り込み,マイクロプロ セッサ等でプログラム的に処理をするこの手法は福広 い柔軟性と測定の高精度化の可能性をもっている.岡,

三橋,由崎は,イメージセンサと電子回路で構成され たビデオ信号処理システムを用いて,リアルタイム処 理可能な柔軟性を有する電子空闘フィルタを提案し たの・(8).この申で彼らは,測定対象に応じたレティクル ピッチの翻動最適化法や,正負値をとる空間フィルタ を用いた信頼性の高い速度計瀾法を提案している.一 方我々も独自に,ビデオテープに記録された動蔑像デー タからの鳥精度速度計濁を霞標として,空闘フィルタ 法を基礎とした,動藏像処理による速度計測法を提案

してきた(5》潟.この手法は,従来リアルタイム処理のた めハードウェアによリアナログ的に実現されていた空 間フィルタ速度計瀾法をほとんどソフトウェア処理に 置き換え,柔軟性と高儒頼性に富む速度計測法として 1682

(2)

論文/ディジタル動画像処理による空間フィルタ速度計測法

確立しようとするものである.これにより,ハードで は実現困難である正・負の値をとる理想的な正弦波フィ ルタが実現できると共に,フィルタの重畳や儒号の積 算処理をすべてディジタル化することやスペクトル解 新への最大エントロピー法の導入により速度の計測精 度が大福に向上することを承した.また,岡らと同様 にフィルタの波長や移動速度も任意に選択でき,運動 方向の正負の覇別が可能なことや討測のダイナミック レンジも広がるなどの利点をもつ.

 しかし,従来の我々の提案では動画像データ(2次元)

をそのままの形で入力した後に,空間フィルタの重畳 やスペクトル解析を実行していたため,メモリ容量の 制限から〜度に解析できる時間があまり長くとれない などの問題点があった.また,測定の精度やダイナミッ クレンジを最大にする最適なフィルタの波長や移動速 度の検討も不十分であった.そこで,本研究では提案 してきた手法を墓本に,画像入力時に2次元の画像デー タを1方向(灘方向あるいは〃方向)に積算し投影分布 を求め,1次元画像データに変換圧縮する処理や,背 景の輝度レベルを各画素より差し引く等の前処理を薗 像入力時に並列してリアルタイムで行わせることによ

り,連続解析時間の大幅な拡大を図っている.また,

自動計測にあたり重要となる最適な空間フィルタの波 長や移動速度の決定方法の検討を行い,これをもとに 粒子の速度に硲じて空間フィルタの波長や移動速度を アダプティブに変化させ,解析精度やダイナミックレ ンジの陶上を実現している.

2.動画像処理による空聞フィルタ法の   基本原理

 動癒像から速度を求める解析手法は原理的には空間 フィルタ法と同様であるが,従来パー騨的,アナログ 的に実現されていた空間フィルタを画像上でソフト的,

ディジタル的に実現する点が異なる.以下,簡単に解 析原理を述べる.

 まず,図1(a)のような爾像中に作った一定速度孫 で伝搬する正弦波空間フィルタ中を複数個の粒子が一 定速度〃oで運動する動薩像(N×N[pixel],ゐ

[frame])を考える(以下,[pixe1]は[p],[frame]は[f}

と略す).ここで,正弦波空間フィルタの波数ベクトル κを次の様に定義する.正弦波空間フィルタの波長λ,

フィルタの並進速度をOsとしたとき,κの大きさκ=

置1=2π/λとし,πの方向は空間フィルタの並進方向

(通常,波面に垂直な方向,κノ〃。)と約策する。図1

y

X

(a) (b)

       (a) ぼ曹d…rect…on        (b) 〃−direct三〇n

  図1 駈弦波空間フィルタ中の粒子の運動

Fi慕.1 Partic隻e Inotio駐in a si額usoidal spatia歪f{lter,

o

fs一蕾o fs

Freq e轟cy 畿2 並進速度oδで移動する空問フィルタ中を速度〃oで    運鋤する物体によるバースト僧号のスペクトル Fi墓.2 Spectrum of a burst signal induced by a moving    object、vith ve茎oc詫yθo in a s{鳶usoida隻spat1al f量lter    havin墓tranSlat{0職a豆Ve10C{ty びε,

(a)の場合,空間フィルタの移動方向を認軸の正方向と し,運動物体が速度晦で運動しているので,観測され るバースト信号の周波数は,次式で与えられる.

 !竺[フぞ。(薦一蕊)ユ/2π

 繍κ●びε/2π一ノ(・〃o/2π

 繍ん一あ      (1)

もし,κ響(薦,0)とし,画像申に速度の異なる物体,

例えばθo瓢(0,0),〃正竺(〃端0)が存在しているとすれば,

!欝ゐと∫罵ん一ん(ノる==&。zノ即1/λ)の二つのスペクトル ピークがバースト信号に観測される(図2).このとき,

んでのピークは一定速度での空間フィルタの並進に伴 う静止物体からのバースト信号であり,九一乃は速度π で運動する物体の作るバースト信号に対応する.

 これより,運動物体の2次元画像上の速度ベクトル を知るには,各々の空間フィルタの波数ベクトルが,

κ許(κ,,0),萬コ(0,邸)の互いに垂直な窒間フィルタ を用意すれば,よいことになる.こうしたバースト信 号盆(のは,次のような形で得ることができる.

(3)

電子情報通信学会論文誌 92/1◎Vol.」75−D−II無o.10

L

3

幽  醗

禽  爾 ....」電

彌一醒騨一    一 一  

   乃

霊 乙_一一

   〆

鋼L   禮臨

籔駕 辱   一一

.∠」__∠睡瓢__

罫難頸

1

♂   、

  爾/

=幽 曽藺薗

卿ニー雛.

一一一一一 二/

f

P

嬢露麟瞬

  爾

鰺  麟  鯵翻  麹

籔纏鑛_灘灘

;鞘灘攣騰

慶塾張

一一一一一

髄幽一

/…灘翻蝉7… …篭

一………

←隅鰍釧雪→ 髄幽一一一 甲一P早帰

(a)S(x,y,の

びず

(b)si轟鐸《ジ(y−Vン・の1 (C)S(X,y,t)・si簸[Kン・(y−Vy・◎】 (δ)夏(y,◎

 (a)Aseq e賞tial ima簿e

 (b) Sinusoidal・s沿at1al f1lter(two−dimens1o慧aD  (c) Superposed image seq疑ence

 (d)  Projection to 即 (lirecti◎n

図3 動画像処理による窒闘フィルタ法の解析手順:従来法 Fig.3 A procedure of allalysis for spatia1董iユtering    velOCImetry by SeqUential image prOCeSSil19:pre・

   vious method.

.4ω謹ΣΣs(灘,〃,の・1〜(」じ,〃,の    謬  亨

(2)

ここで,S(」ひ,〃,のは原動薗像を示し,各懸素ゆ,〃)で の輝度の時間変化を示す.また,1z(灘,〃,のは移動する 空間フィルタを衰す画像儒号である.空間フィルタの 波数ベクトルをκ,移動速度を3、繍(び3為びsン)とすれば,

 1〜(ユ㌧〃, )漏si捻[π・(『デー蕊・ )]        (3)

と表される.ここで,γは原点(0,0)から測った観測 画素⑰,のの位置ベクトルを示す.従って,

 メ1( )罵ΣΣS(即,〃,〜う・sin[フで。(ア〜孫・ )]  (4)

    置  シ となる.

 ここで,灘方向の速度成分を求めたい場合空間フィル タとしては,波数ベクトルκ,響(κ,,0)を用い,

んω繍ΣΣ∫(劫,の・sin[罵・(アー蕊・の】

    訂 ン

   =ΣΣ}S(ユヨ,シ,〜卜)・sin[ノ(τ。(ユァーびsヱ●zウ]  (5)

    £ 〃

とする.一方,速度のシ成分は,空間フィルタ邸鵠

(0,脇)を用い,

 んω=ΣΣS(飢〃,かsin[瓦・(フ」孫・の]

    ヱ y

ΣΣS(」じ,〃,の・sin匹・(シー〃δジ )1(6)

 犀 ン

とし,各々のバースト信一号、傷(の,ん(のをスペクトル 解析することにより運動粒子の速度びoが得られる.

3.解析法の改良と検討

 3.12次元画像データの投影1次元化処理による解    析時間の拡大

 前節で述べたように,動画像処理において空聞フィ ルタ法を用いる場合は2次元画像をそのまま敢り込み

(図3(a)),その2次元爾像データをもとに空間フィル タ(図3(b))を重畳して(図3(c)),その輝度信号の総 和の時系列(図3(d))に対してスペクトル解析を行な

う単純な季法がまず考えられる。その場合,64×64[p】

の藤像では4[MByte]のメモリを罵いた際,取り込め る画像枚数は簸大1024[flで,30[Hzlでサンプリング した場合連続で取り込めるのは約34秒間であり,長時 間の解析を行いたい場合は何度もこの作業を繰り返す 必要がある.

 しかし,速漫解析において,例えばシ方向の速度を 解析する場合,必方向に輝度分旛が積算された投影画 像(図4(b))に,1次元の空間フィルタ(図4(c))を 重畳(図4(d))しても速度解析は可能である.この事

は,式(5),(6)が各々次のように変形できることより 明らかである.

ん(の讐ΣΣs(』ρ,弘の・sin匹・(灘叫。。・の1     潔 〃

¥{¥・(・・副・…匹・(一・ )】

(4)

論文/ディジタル動醐像処理による空間フィルタ速度計灘法

L

潤【藝}ixeq

(駐)S(x,y,t) (b)8(y,重)(c)s韮賎[Kジ(y−Vジ重)!(d)夏(y,t)

(a)Asequential三ma霧e

(b) Projection of the sequentiai i!na忽e to認directio罰

(c) Sinusoida1−spatial f三lter(o輌e−dhnensiona1>

(d) Superposed seque澱ce of project童o漁1膿age    騒崔 投影画像を臆いる解析手頒:琢提案 Fig.4 A procedure oまanalys至s util{zing Prolectio呈、

   三n恵age:ne、V 1ηetわ0(三.

Σβ、,(款の・sin匹・(姫娠・ )]

ん(の聯Σ】Σs(飢μ,かsin鵬・(〃耀、 ・のl     − y

写{多踊,のト敢(一・の}

Σ島(〃,の・sin[邸・(㌢一〃εyの1

(5

(6

従って,解析に必要な情報は諮,シ方向への投影1次元 画像(B。ゆ,のおよび瑠㊥, ))で十分であり,必ずし

も2次発の画像データを必要とはしない。

 そこで,今國の解析においては,各画像フレームを 2次元データとしてそのまま叡り込むのではなく,速 度を解析したい方向と垂醒な方向に輝度分布の積算を 行い(投影画像を作成),1次元の投影画像データとし た後にコンピュータへの取込みを行う.全データの敢 込み終了後,各1次元データに1次元の正弦波フィル タを璽畳し輝度の総和をとる手法を導入している.こ れにより,もとの画像の復元は不可能となるが,長時 間の運続取込みが可能となる.以下,簡単に速度の4 成分の解析手順について述べる.

 先と同様に,まず,図4(a>の様に複数傭の粒子が運 動している動画像(N×N[p1,ゐ[fDを考える.

 (1)動画像の各フレームにおいて,輝度分薦を1方 向(コジ方晦)に投影積算して2次元の画像データを1次 元の投影画像に変換して画像の取込みを行う(図4

(b)).その際,背景の輝度レベルを差し引き,その値

を積算していく(優し,差し引いた値が負であれば,零

とする).すなわち,2次元画像の輝度信号を S@,シ,の,1方向に積算された1次光画像データの輝 度信号をB(〃,のとすると,

β(〃,の二Σ{∫(」じ,〃,δ一βG} (7)

ここで,β0は背景の輝度レベルを表す.BGの輝渡レ ベルは,あらかじめ解析対象となる動画像の代表画像 に対する輝度分窃ヒストグラムを作成し,そのヒスト グラムのピークの輝度位置より決定する(図6(b)参照).

 (2) 1次元画像データとして取り込んだ動醐像デー タの各フレームに対して,1次元正弦波空間フィルタ

(図4(c))を重畳する(図4(d)).変換された信号を 双弘のとすると,

 ∫(〃,の=B(〃,の・si員{、醜・(㌍砺・の}

Σ{s(灘,払 )一βG}・si1竃{邸・(〃一砺・ )}

       (8)

(3)各フレームで変換された輝度信号の総和を計算 し,時系列データ殴(のを得る.すなわち,

.4ω繍Σ!(〃,の

写{多{・(酬)沼G}・s・・{晒躍)}]

       (9)

 縁)時系列データ鴻(ののスペクトル解析により粒 子群の〃成分の速度情報を得る.

(5)

 以上のように,画像データを1次元に圧縮すること により速度解析に必要な情報が少なくて済み,長時間 の連続入力が可能となる.先の例(4[MBytelのメモリ を用い,64×64[p]の薩像を取り込んだ場合)で言えば,

16倍の16384[f](1画紫は1[Byte]で記憶するが,積 算するので1行で2[Bytel必要とする.更に,3じ,〃両 方向の薩像データが必要である)の画象が連続入力でき,

約9分間の連続解析が可能となる.ここでは,4[Mb]

のメモリの場合について例を承したが,大容量のメモ リが安価に供給されているので,時問単位のビデオデー タの連続自動速度解析も可能となり,リアルタイムの 処理ではないものの,オンラインの自動解析法として 有周と考えられる.

 3.2解析の高精度化と自動化

 速度の自動解新では,最適な空間フィルタの波長と 移動速度の決定およびスペクトルにおける主ピーク位 置の判別が測定精度に大きく影響する.

 3.2ほ 空間フィルタの決定

 空聞フィルタの波長と移動速度を決定する要因は,

主に運勤粒子の速度と粒径である.まず,粒径にっい て検討する.岡らの報告にあるように⑦・(8},簸適な空間 フィルタの波長λ(あるいは,ピッチρ)は対象となる粒 子のサイズ,あるいは表薗パターンの空間周波数分布 に大きく依存する.今,1個の円形粒子がハード的に 構成されたある種の空問フィルタ内を通過した場合を 想定しよう.透過光輝度の総和の時間変化は,通常図 5(a)のように直流分を含んだ正弦波状バースト波形と なる.このとき,移動速度に対応する周波数をもつ信 号の振嬉の指標となるVlsibillty yは,

 γ=(ム。r煽。)/(ん。。+畑1。)       (10)

と定義される.このVisibilityには波数(ん。=2π〃)依 存性があり,これをγ(々。)とすると次式のように与え

られる(図5(b)参照〉側.

 τ/(んε)Oc l 2ノ!(々sγ)/ん8γi       (11)

ここで,みは第一種の円柱ベッセル関数,γは粒子半 径を示す.これは,粒径2γの1個の粒子が一定速痩で 運動する画像に波数ん。の理想的な正弦波空間フィルタ

を重畳し,積算して得られる時系列データのパワース ペクトルの最大値の波数依存性と等価である.図5(b)

より,フィルタの波長が粒径と比較して小さくなると スペクトルが小さくなることがわかる.特に,波長の 定数倍がおおむね粒径と一致する(最初に極小となると

きは,2γ/λ≒L23)ときはスペクトルパワーが極小とな る.実際の癒像においては,多数の粒子が存在し粒径

電子情報還信学会論文誌 92/1⑪Vol.J75−D畷I No.10

1㈹

1瀬纏 颪一一

lmax

0

1.◎

:亜

(a)

◎    1    2    3   4

       2r/λ(漏駄s・r/π)

       (b)

(a) Definit三〇n of visib玉1ity(see£q (IO))

(b)Wave number dependence of visibility     図5 Visibility U(々3)

    Fi怠.5 Visib{1ityγ(島).

も均一であることは少なく,図のように特定の波数で スペクトルが極端に小さくなることはないが,波数の 増加と共にスペクトルが減少していくことは確かであ

る.つまり,信号成分を大きくし雑音に強くするため には,粒径より小さい波長のフィルタを掛けることは できるだけ避けた方がよいことになる.すなわち,

 λ>2γ[P]      (12)

を満足する波長の空間フィルタを選択する必要がある.

しかし,波長の増加に伴い解析精度が低下していくこ とを忘れてはいけない.従って,上式はλの下限を与 えている.

 上述のように翻像データ(粒径,雑音)より使用可能 なフィルタの波長の範囲が決まると,次にその範囲内 で粒子の速度に適したフィルタの決定を行い,速度解 析を行っていくことになる.解析方法としては,主と

して2通りの方法が考えられる.第1の方法は,フィ ルタの波長に澱する移動速度の比を固定して,粒子の 速度に応じてフィルタの波長を変えていく方法であり

(波長の増加に伴いダイナミックレンジは広がり,解析

(6)

論文/ディジタル動画像処理による空聞フィルタ速度計測法

精度は低下),従来のハード的な空間フィルタ法では不 燭能な方法である.第2の方法は,フィルタの波長を 固定し(すなわち,解析精度は固定),粒子の速度に応

じてフィルタの移動速度を変えていく方法である.

 両方法とも,時刻 を基点として逐次的に解析を行っ ていく.時刻 の速度を計算する場舎は,時刻 −1の 速度解析結果をもとにフィルタの決定を行い解析を行 う.件0のときは,粒子の速度が零であると仮定して 計算を行う.第1の解析手法におけるフィルタの決定 は具体的には,以下の条件に従って行う.

 ①フィルタの波長λの整数借ηが画像サイズN[pl になるように設定する(背蟄の平均輝度レベルの影響を 少なくするため).

 72λ=1▽〔p3 (%=1,2,3ヂ・。)      (13)

 ②解析速度の正負のダイナミックレンジを等しく とるために,フィルタの移動速度〃εを次式のように設 定する.

 θε嵩!そ/4[p/f]       (1壕)

 ③フィルタの移勤速度び、は対象となる粒子の速度 θ。に応じて次のように設定する.

 ηε繍λ/4≧γiz/ol[p/f】       (15)

摂し,γは速度の急変に対応できるための安全係数で,

通常γ竺1.2〜2.0に選ぶ(後述する解析例では,γ繍1.5 としている).

 一方,第2の解析手法におけるフィルタの決定は,

以下の条件に従って行う.

 ①画像データに含まれるノイズの大きさを考慮し,

解析結果にノイズの影響が現れにくい適当な波長λを もつフィルタを選択する.但し,式(13)の条件を満たし ているものとする(この解析においては,フィルタの波 長は一定である).

 ②粒子の速度θが解析可能であるように・フィル タの移動速度3、を設定する.時刻卜1の解析結果を

〃oとすると,次式を満足するようにする.

 【〃o十zノε1薫λ/4£p/f]       (16)

 爾解析方法を比較すると,第1の手法では常にフィ ルタの波長λと移動速度び。の比率が一定であるため(式

(14)参照),フィルタの波長の増加に伴いダイナミック レンジは広くなっていくが,同時に解析精度は低下し ていく.これに対し,第2の手法ではフィルタの波長 が一定であるため,ダイナミックレンジは常に一定で あり,解析糖度の変化はなく,波長を短くとれば高精 度の解析が可能となる.しかしながら,第2の手法で は,解析精度を高めるためにダイナミックレンジはあ

まり広くとらないことが一般的には多く,ノイズによ りある時点の解析結果が誤ったものとなると,次の時 点以降,真の速度がダイナミックレンジより外れる可 能性が大きい.つまり,第2の手法は,解析精度は常 に高くできるが,ノイズに弱い解析法であり,観測時 間内での速度の変動が大きな現象に対してはあまり適 していないと言える.一方,第1の手法では,正負の ダイナミックレンジが常に等しく,波長の増加に伴い ダイナミックレンジが広くなるため,真の速度がダイ ナミックレンジより外れることはないと考えられる.

そこで今國の解析においては,実際の物理現象の計測 を念頭におき,解析精度の良さより雑音への強さを考 慮した第1の解析手法を使縮した.もし,更に高精度 の解析結果を得たい場合には,第1の季法で解析を行っ た後,その解析結果を利用して,第2の手法により再 度解析を行えばよい.

 3.2.2 主ピーク位置の判別

 現実の画像においてはノイズも多く,.スペクトルに 複数個のピークが現れることは珍しくはない.また,

真のピークが最大のパワーをもつとは限らない.そこ で,真の速度に対応するピークを検出する必要がある.

今回,実際に解析を行った動画像が流体現象であるこ とから,以下に示すいくつかの仮定を設定して糞の速 度に対応するピークを検出することにした.以下に真 のピークの検出の方法を示す.

 ①解析画像が流体現象であることより速度の急変 は少ないものとし,基本的には一つ前の時刻の計算結

果び。[p/{]を中心とした一定領域内(θ。止0。5あるいはび。

±0.75[p/f])よリピーク周波数を決定する.

 ②上の領域内のピークが小さい場合(後述する解析 例では,最大ピーク値の護0%末満としている)には領 域外よリピークを選ぶが,ノイズによる異常値である

とも考えられるので,先に次の時刻の計算を行う.再 び領域外に真のピークがあるとわかれば,一つ前の時 刻の結果は正しいものとする.領域内であれぼ,一つ 前の時刻の速度は二つ前の結果と今回の結果の平均値

とする.

 また,高精度の解析のため,再度,上述の第2の解 析手法で解析を実行するときに用いるピークの検出方 法は,上述の①のみを使用し,1度目の解析結果を中 心とする領域よりピークを選択する。

 3.3背繋輝度レベルの影響

 図6(b)に現実の勤画像申のある時刻における鋳像の 輝度分布をヒストグラムに示している.これより,画

(7)

霊03

茎1◎2

慮 霊0

1

(a)

0

幽瞳副ユ上

4◎◎    20◎

  露rigl霊ness S

(b)

 図6 解析した動画像からのスナップショット(a)と,

   その輝度分布ヒストグラム(b)

F1g.6 A snapshot fro臓analyzed ima霧e seque額ce(a),

   a翻dits frequency臨togram of brightness(b).

像中の背景の輝度レベル(ピークとなっている輝度レベ ル付近)がかなり高くなっている.このように環実の画 像においては背景は必ずしも零という値になるとは限

らず,ある一定のレベルの値をとることが一般的であ る.従って,このままの懸像を潮いて解析を行った場 合,讐に周波数偏移法の考えに従い,空間フィルタを

定速度で移動させた場合,得られる時系列データの パワースペクトルにはこの静比している背景の信号成 分が多量に含まれることになる.すなわち,パワース ペクトルにおいて,フィルタの移動遼度θ、に相当する 偏移周波数んのピークのみが大帳に強調されて現れて

しまい,速度の解析精度に大きな影響を与える.特に,

簸大エントロピー法(MEM)等の非線形スペクトル推 定法を用いた場合,その影響は大きい。ここでは,一 定の輝度レベル(背景の輝度レベルはヒストグラムのピー ク値付近であると考えられるのでピーク値より少し高 い値(最大輝度値の約10%)に設定:矢印)を各画素よ

電子情報通信学会論文誌 92/10Vd.∫75−D−II No.10

膏s

←響o→i

  督s縛o    ↓

Fre曙uency 【紬司

(a)

菅si  蕾s争奮。

 i←膏o→

解requency IH寄

(b)

   (a) Spectrun玉of an original S重9登a1    (b)Sρectrし毫m of the processed sゆal

図7 背景輝度レベルのパワースペクトル(M£Mによる)

   への影饗

F…9.7  1nflue鷺ce of 董)ack騨毛ζrou翻d  br1騒h宅ness }eve} to    analyzed po、ver spectrunユ(by M£1㌧{).

り差し引くという処理(但し,差し引いた値が負であれ ば零とする)を行った場合と行なわない場合とを比較す る.鰐象とした動麺像は,籔像全体に散らばった粒子 がほぼ一定速度で運動するシーンである(図6(a)).

 図7(a)は背蟹の処理を行わなかった場合の信号 殴(≠)のM£Mスペクトル(次数M讐20,データ数1>=

60)であるが,フィルタの移動速度の周波数ムが強調さ れ,実際の粒子速度を示すスペクトルピーク(矢印)は 抑えられている.このため,粒子群の正しい速度の情 報を得るのは困難である.これに対し,背景処理を行っ た図7(b)ではんにおけるスペクトルが大幅に抑えら れ,粒子群の代褒速度を示すスペクトルが先鋭に現れ,

正しい速度の情報を与えている.以上より,背景処理 によっても解析精度が改善されることがわかる.

4.画像データ解析例

 提案した速度計測法を実際の物理現象の解析に適用 した.解析した現象は,Belousov・Zhabotinsky(BZ)

反応に伴う振動的流体環象である.BZ反応とは,非平 衡状態において振動的化学反応を示す系として有名で

(8)

論文/ディジタル動麺像処理による空間フィルタ速度計測法

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(b)

(a) ReSu建Of analySiS util量zing aξixed spat量al fi三之er(λ蹄   81pl,び5篇2[P/月)

(b)Resu疑o{analysis utilizing a…蔵adaptlve spatial{ilter

 図8 解析遡: BZ反応に伴う流依現象の速度計測鵠 Fig.8 ExamPle of analysls;Velocity meas鰭re凱ent o{

   oscillatory hydrodynamic至10w observed ln the    BZ.reactiOnα2),

あり,酸姓溶液中において酸化・還元反応が周期的に 繰り返す{ll)暫働.精に,葬概搾リアクターにおいて,触 媒としてFe2+/Fe3÷を用いることで反応を可視化させ

ると,還元状態の赤色溶液中を酸化状態の青色の化学 反応波112)が伝搬していくのが観灘される.最近,この 化学反応波の伝搬に伴い,伝搬する対流や振動的流れ が発生することを筆者らは明らかにしてきた(13}〜(15).図 8は,この振動的な流体現象を,ポリスチレン球(直径 φ=0.娼[μml)とレーザ光で可視化してとらえた動画像 を解祈した〃方向速度成分の時問変化の結果である.

粒子の速度に応じてフィルタの波長と移動速度を変え ること(動的最適化)による解析精度の向上を明らかと するため,比較として,フィルタの特性を一定値に固 定した場合の解析結果もともに示している.図8(a)は 波長λ薫8[p],速度鞠欝2[p/f]の圏定フィルタを使用 したときの結果である(ダイナミックレンジは,±2[p/

f])。一方図8(b)は,フィルタを粒子の速度に応じて最 適化しながら解析した結果である.実線が1秒ごとの

計算結果で,・印がマニュアルによる5秒ごとの計渕 結果である.図8(a)より,速度の遅い領域ではあまり 問題がないものの,速度の速い領域ではダイナミック レンジが追い着かず,正しく解析されていないことが 確認できる.一方,図8(b)では,マニュアルによる瀾 定結果と解析結果がどの速度領域においてもほぼ一致

しており,良い結果が得られていることが確認できる.

解析に用いた動画像入力システム等の詳細は続報にて 報告する予定である.

5.む す び

 理想的な正弦波空聞フィルタを動画像上でソフト的 に構成することにより,ペデスタル成分や高調波成分 の発生しない正確な速度讃測法が実現できる。空間フィ ルタの波長,移動方陶などが露由に変えられるため,

粒子のサイズや移動速度に応じた最適な空間フィルタ が選択でき,ダイナミックレンジの広い高精度の速度 計測が可能となる.更に,各画像フレームの輝度分布 を一方向に積算する処理(投影分糖)を並行してリアル タイムに実行する連続爾像敢り込みや背景処理により,

従来制約されていたデドタ長を大幅に増大させること や解析精度を向上させることが可能となり,ビデオデー タからの長暗問の連続速度解析が実現できた.近年の 流体の可視化技術の進歩を考えると,提案した動画像 謙瀾法は将来広い分野に適応可能な解析法として期待 できる.今園周いた現実の画像に対しては,かなり高 い解析精度を得たが,今後,勉の現実画像に対しても 同等の解析精度が得られるか確認が求められる.また,

M£購の精度の向上も今後必要である.

         文   献

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(9)

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(8) 岡 和彦,三橋 渉,山騎弘郎: 電子的に実環した柔軟    牲を脊する空間フィルタ ,計灘震動剃御学会論文誌,25,

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(9) 三池秀敏,古賀憩利,百繊正広: 最大エントロピー法によ    る動画像のスペクトル解析 ,信学技報,m86−109(1987).

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      (平成3年12罵9E運受付, 喋年5月19 Ei再受イ寸〉

省賀 和利

    昭49山口大・工・電気卒.昭51岡大大学    院修士課程了.同年同大助手.昭54岡大工    業短期大学部講師.平1同助教授.平2同大    工学部助教授,環在に至る.その闘,昭53

   東北大電子工学科に内地留学.生体糖報工    掌,動画像処理などの研究に従事,工博.日 本Mε学会会員.

嚢誠

三池秀敏

 紹46九大・工・電子卒.昭51同大大掌院 博士課程了。岡年賑欝大・工・電気助手.現 在瞬大掌電気電子工学麟教授.昭62年度お よび昭63年7月〜9月西独マックスプランク        議鋳究所(ドルトムント)招聴研究員.動画縁処

   愚 璽よる纏調,鮮翻瞠反応系の辮

形パターンダイナミックス,流体現象等に関する研究に従事.工 博.電気学会,構報処理学会,朦本物理学会,形の斜掌会各会

員.

由本 英明

 平3由翔大・工・電気卒.現在,同大大掌 院博士朗期課程在学中.動薩像処理による物 理計灘,非単衡化学反応系の流体現象に騨す る研究に従事。

百田 正広

     昭54山陰大・工・電気卒.同年徳山工業高     等奪門学校情報電子工学科動手,昭62講師,

    平1助教授,現在に簗る.生体漕報処理,画     像計測に関する研究に従事.情報処理学会,

鮭齢本M一韻

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