流行1.流行現象(1)流行とは(中村

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(1)

2006

1

26

ファッションにおける流行の採用段階に影響を与える 要因

― ファッション関与と性格特性を比較して―

      

   

 寺尾 朋子 

      

(2)

流行 1.流行現象

(1)流行とは(中村

,1997

特定の行動様式や思考様式が特定の成員に

受け入れられ、急速に普及し、やがては 消滅していく社会現象。

社会生活のあらゆる面で生じるが、人の服

飾・化粧・髪型で顕著に現れる。

採用の可決が個人の自由意志に委ねられて

いる点・衰弱が急激であるという点で、

制度的行動や慣習と異なる。

(3)

(2)ファッション

① その時代時代の、最も一般的な普遍的行 動様式をつくりあげる流行。通常は服飾 などの流行に用いられる(川本

,1981

② 単に服装、あるいは服装から髪型・化粧

・アクセサリーまでを含めて用いられる

(4)

2.流行を採用する理由(中村 ,1997 )

① 新奇ものや変化を求める動機

② 個性化と自己実現の動機

③ 集団や社会への適応動機

④ 自己の価値を高く見せようとする動機

⑤ 自我を防衛する動機

 流行を採用するのは、以上の動機のいくつか が、互いに影響を及ぼし合いながら働くためであ る。

(5)

3.流行の個人差

 ロジャース(

Rogers,1983

)は、個人がどの段階 で流行を採用するかによって、

5

つのタイプに分

類した。

A

)革新的採用者:冒険的な人々

 最も早く流行を採用し、せっかちで冒険的な性 格。

B

)オピニオン・リーダー:尊敬される人々

 特定の分野に精通し、情報を提供したり、助言を 求められることにより、周囲の人々に影響を

(6)

与える。

C

)前期多数採用者:慎重な人々

 社会に是認されてから流行を採用し、慎重な 性格。

D

)後期多数採用者:疑い深い人々

 大多数の人が採用した後に流行を取り入れ、

懐疑的で用心的な性格。

E

)採用遅滞者:伝統的な人々  伝統志向が強い性格。

(7)

1

 流行の採用段階

(A)

(A)

(B)

(B)

(C) (D)

(C)

(E)

(D) (E)

2.5

13.5

34.0

34.0

16.0

χ σ

χ σ

χ

2σ χ

(8)

目的

 ロジャースは流行の採用段階と性格特性には関

わりがあると述べている。しかし、私は流行の採用 段階と性格特性には関係がなく、むしろファッショ ンへの関与の強さが、流行の採用段階に影響を

与えると考える。

 そこで、調査を通じて流行の採用段階と性格特 性・ファッション関与の関わりをみていく。

(9)

仮説

(ⅰ)a  ファッション関与はファッションにおける流   行の採用段階に影響を与えず、性格特性の

  みが流行の採用段階に影響を与える。

   b  各採用段階の性格特性別の平均点にお    いて、革新的採用者の冒険的な性格の平均    点が最も大きく、その他の採用者には差がな     い。その他についても同様である。

    c  ファッション関与は革新的採用者 > 初期少    数採用者 > 前期多数採用者 > 後期多数採用

     者 > 採用遅滞者の順に強いという関係が成係が立     しない。あるいは、上の関係式において 3 つ以上      等号を認める。

(10)

(ⅱ)a  性格特性はファッションにおける流行の 採用段階に影響を与える。

  b  各採用段階の性格特性別の平均点において、

   革新的採用者の冒険的な性格の平均点は唯一大   きくない。その他の採用段階についても同様に、

   応する性格特性の平均点が唯一大きくない。この    関係が 3 つ以上成立すれば、仮説bを認める。 

  c ファッション関与は革新的採用者 > 初期少数   用者 > 前期多数採用者 > 後期多数採用者 > 採用遅滞   者の順に強い。なお2つは等号を認める。

(11)

調査

・調査時期:

2005

11

21

日~

2005

11

30

・調査対象:香川大学生

117

人、中国短期大学 生  

60

・調査方法:ある授業において質問用紙によっ

・調査内容て実施

 ファッション生活の状況 ファッション関与

流行の採用段階  性格特性

(12)

結果 仮説

(ⅰ)b 立証されない    

c

 立証される

→ 【a ファッション関与はファッションに おける流行の採用段階に影響を与えず、性 格特性のみ 

 が流行の採用段階に影響を与える。】は 立証さ

  れない。

(13)

仮説

(ⅱ)b 立証される

   

c

 立証されない

→ 【a 性格特性はファッションにおける 流行の採用段階に影響を与えず、ファッシ ョン関与のみが流行の採用段階に影響を与 える。】は立証されない

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(15)
(16)

考察

.

流行の採用段階とファッション関与の関係が認 められなかった理由

① 尺度の問題

 革新的採用者と後期多数採用者の

α

係が

.06

と低い。また、今回の調査はロジャースの定義よ り、今回の調査は革新的採用者が約

9

倍、後期 多数採用者は約

2

倍だった。

→ 革新的採用者でない人が革新的採用者と、後   期多数採用者でない人が後期多数採用者と判   断されたのではないか。

(17)
(18)

② 革新的採用者のファッション関与の捉え方の 問題

 革新的採用者の一ヶ月の洋服代は

1

2

万円と 初期少数採用者の次に高く(図

2

)、ファッション 雑誌を一ヶ月に一冊以上読んでいる人は最も多

い(表

4

)。このことから、革新的採用者のファッ ションに対する興味は高いと言える。

 図

3

のグラフより、革新的採用者の興味はファッ ションだけにとどまらないことが分かる。

(19)

→ 革新的採用者は他の採用者と比較すると ファッション関与は高いと考えられるが、

ファッ

ション意外にも興味があることが多いので

、自己

のファッション関与を低く捉えたのではな いか。

(20)
(21)

0 20 40 60 80 100

C

D V D D

(

)

革新 初期 前期 後期 遅滞

(22)

2.

 女子大生はファッション以外に外食やレジャー などにも興味があるので、これを充実させた

ファッション雑誌を作れば、雑誌の売上があがる のでないか。

3.

 女子大生の一ヶ月の洋服代は平均

1

2

万円 なので、女子大生をターゲットとする場合は、こ の金額内の洋服の値段を設定すればよい。

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