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スマホ音声認識アプリを用いた自律発音練習

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Academic year: 2022

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187 1.実践目的

 本実践対象である中級レベルにあっても,発音に難点のある学習者は少なくない。し かし,いわゆる

4

技能の総合的学習を目指す「総合日本語」科目において,教室活動の 中で発音を個別に指導する余裕は乏しく,また,学習者が自律的継続的に発音矯正を試 みるツール・方法にも工夫の余地が大きい。そこで,スマホ音声認識アプリを発音正誤判 断ツールとして活用し,個々の学習者がこれを用いて自らの発音に対する自己課題を発見 し,その改善を目指す実践を試みた。

2.実践対象・方法

2-1.実践対象・事前調査結果

 実践対象は「総合日本語

4」 F

クラスで,19名の履修者が在籍した。なお,このうち調 査協力を得られたのは

15

名で,以下の考察は,この

15

名を対象とする。

 事前調査として日本語の発音に関する履修者の意識を調べたところ,「日本語で話す際,

自分の話が相手によく通じるか」という問いに対しては,15名中

14

名が「とても/まあ まあ通じる」と回答した。つまり,日常会話において発音に起因する支障を意識する者は 少ないと考えられるが,一方,「日本語で話す際,発音が気になるか/大事だと思うか」

という問いには,すべての履修者が「とても/まあまあ思う」と回答し,発音練習に対す る潜在的なニーズはうかがえた。しかし,実際に「発音の練習をしたことがあるか」とい う問いに「ある」と回答したのは

5

名で,日本語の発音練習の必要性は感じつつ実際には その機会が少ない実態が浮かび上がった。なお,発音練習をした経験がある履修者のう ち,3名は「発音のクラスを受講」,1名は「友達と」と回答,本実践で発音練習ツールと したスマホ音声認識アプリや

PC

サイトを活用した例は,「

OJAD

」を挙げた

1

名のみだっ た。発音のクラスを受講したり友人とその機会を設けたりすることはもちろん大事だが,

自律的継続的に学習者が単独でも手軽に発音矯正を試みるツールとして,スマホアプリや

PC

サイトが活用できるなら,それは日本語教育上有用な手法になると考えられる。

早稲田日本語教育実践研究 第 5 号 【実践紹介】

スマホ音声認識アプリを用いた自律発音練習

―自己課題発見から自律練習への試み―

杉本 美穂・水田 佳歩・奥村 恵子

  科目名:総合日本語 4

  レベル:初級 1・2 /中級 3・ 4 ・5 /上級 6・7・8   履修者数:19 名

(2)

早稲田日本語教育実践研究 第 5 号/ 2017 / 187―188

188 2-2.実践方法

 4レベルでは期末にプレゼンテーションがあるが,その場において聞き手にうまく伝わ る発話ができるようになることを目標と設定し,以下の計画を立案・実践した。

 まず,教科書本文を扱う際,「

OJAD

スズキクン」に本文を入れ,文節・プロソディー を意識した音読練習を行った。これは,本実践前に担当教師でスマホ音声認識アプリの認 識度を試した際,文節・プロソディーが認識精度を大きく左右することが確認されたから である。4レベル履修者の発話文の長さになると,文節・プロソディーの正誤が,音声認 識アプリの認識度,換言すればその発話が聞き手に伝わりやすいか否かという点に大きく 影響する。このことを,プレゼンテーション発表原稿を読み上げる練習に入る前段階で,

各履修者に意識付けすることを目指した。

 次に,期末プレゼンテーション発表原稿を読み上げる練習を行った際,各自が読んだ音 声をスマホ音声認識アプリにかけた。対象とした部分は,各履修者の発表原稿のキーセン テンス,および「発表にふさわしい話し方」(発表時に常用されるあいさつ表現等をまと めたコース共通教材)である。そして,各自が自分のアプリで生成された文を見て,自ら の発音の問題点を分析・発見するよう指導した。その後,スマホアプリで生成される文を 発音正誤判断の目安としながら原稿読み上げ練習を続行し,それぞれの問題点に対する改 善を促した。

 なお,履修者には,スマホ音声認識アプリに向かって読み上げるのと同時に,その音声 を

IC

レコーダーでも録音してもらい,各自の課題発見・内省に役立てるよう指示した。ま た,期末プレゼンテーションの後,事後アンケート記入を求め,総合的な内省を促した。

3.実践結果・考察

 事後アンケート結果を見ると,上記教室活動の後も「自分でスマホ音声認識アプリを使っ て練習した」と回答した履修者が

15

名中

6

名いる。その中で「まあまあ役に立った」とし た履修者は

4

名,「あまり役に立たなかった」とした履修者は

2

名である。率直な所感とし て今回の試みが大きな成果を上げ得たとは言い難い。原因の一つとして,スマホ音声認識 アプリを日常生活でも常用していた履修者が少なく,その操作,例えばどの程度の距離で スマホを構えれば巧く認識するかといった点で困難があり,本来の練習活動が巧くいかな かった例等が考えられる。しかし,教室活動の中では,履修者が自らの音声がスマホ音声 認識アプリをとおして正しく認識されるか否かに興味を持ち,誤認識された際には原因を 内省しようとする意識を強く感じ,本実践にはある程度の手応えがあった。また,わずか

1

名からではあるが,「携帯のほうがもっと便利と思う」という所感もあり,現在きわめて身 近な存在となっているスマホを自律発音練習のツールとして活用し,ひいては更に広い範 囲に及ぶ自律日本語学習ツールとして工夫する余地について,大きな可能性を感じた。

(すぎもと みほ,早稲田大学日本語教育研究センター)

(みずた かほ,早稲田大学日本語教育研究センター)

(おくむら けいこ,早稲田大学日本語教育研究センター)

参照

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