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リア ルタイ′ム経 営教育用ビ ジネス ゲ ー ム に つ い て
小郷 直 言
( 平成元年1 2月2 0 日受理)
要 旨
筆 者は, 大学にお ける経 営 教 育
の
一 環と して利用でき る ような 一つ の
新しい ビ ジネス
ゲ ーム の
開 発 を 試み た。 本 稿で述べるス
トア ー ・ ゲ ーム
は この
ような 別勺■で開発さ れ, 他には ない多くの特 長 を 備えたリアル
タイム
・ ビ ジネス
ゲ ーム
であるo 従 来の
一 定 期 間ごとに同期 をとっ て意 思 決定 する 方法をとらず, リアル
タ イム
な競 争状況 を 導入 した。 これによりス
トア ー ・ ゲ ーム
は, プレ
ー ヤ ー が意思 決 定にお け る タイミ
ン
グの
重要さ や時 間の
大切 さを知る, 資 金の
流入・流 出や手 形の
決 済がリ アル
タイム
に扱える, 電子メ ール
によ る商品取引 な ど近 未 来 的ビ ジネス
環 境 を持つ
, ゲ ーム ス
タ ー ト後は コン
tor
ユ ー タによ り 監督 者
の
仕 事が完全に自動 化さ れ る, 成 績 結 果に対して は経 営分析エキス
パ ー トシス
テム
が診断 する な ど数々 の
特 徴 を獲 得 した。キ ー ワ ー ド
ビ ジネ
ス
ゲ ーム
, 経営 教 育, リアル
タイム
, コン
ピュ ー タ, エ キス
パ ー トシス
テム
, メ‑ ミン
グI . (ま じ めに
一 般に ビ ジネス ゲ ー ムと 呼ばれるものが,
経 営者教 育に用
い
ら れるようになっ たのは,米国で,1 9 5 0年代の後半になっ て からであ り,
当時 華
々
しい
注 目 を浴び た。 これ 以後次第に,全 世 界に, 大 学に普及 して
い
っ た。 我が国で ち, 民 間教 育機関を中心に か な りの普及 を見せ た が, これと は対照 的に, 大学教 育にお け るビジネス ゲ ー ム の利 用は, 米国の ビ ジネス
スク ー
ル
での利 用実績に比べ
る と, 数の上で ち, か ノキュ ラム上で の取 扱から 見ても, まい
だ遠 く 及ばな
い
。本 学では短 期 大 学の特 性 を 活かす ように実 務 的 な 科 目 も
い
くつ
か用 意されてい
る が, 経 済 や 経 営 組 織の概 念 的 理 解 を 中 心とした科 目 も 結 構多く 有季する。 社 会に出て働い
た経 験 産業 情 報 学科のな
い
学生にとっ て は, こめ両者の勉学を 自 身の中で充分に岨 噂 し, 理解 すること はなか なか困難である。 教 師側にしても 簿 記会 計や 経営 実務 論な どの実務 的学習がなぜ役 立つ
の か,一 方経営学や 組織論 などの抽象 度の高
い
科 目の修 得がなぜ必要なのかを 講義だけで理 解させ るのも 同様に難し
い
と 言 わ ざるを得ない
。こ のような 困 難 さ を 少 しでも 緩和 する た め に, 会 社 訪 問と か体 験 入 社 などの方 法も考え ら れるo しか しこれ らは費用 も時間 もか かり,
度
々
実 施 するこ と は難 しい
。 場合によ っ て は 偏 っ た認 識 を持たせ る こと にも な り 兼 ね か 、 危 険 性 をはらん でい
る。 そこで考 え ら れる 一つ
の方 法は, 学生に架 空ではある が, か な り 精 巧 な 擬 似 的 環 境のもとで模 擬 的 体 験 をさ せ て み るこ と が考 え ら れる。 ビ ジネス ゲ ー ムはこ のような 目 的に適 して
い
る。 しか し, 実施に は少 なからず, 時間, 費用, スタッ フが必 要とさ れ, 続 けて
い
くからに はそ れ な りの覚 悟と情熱が要求される とい
うのが現 在 までの状 況である。
筆 者は,
い
わ ゆ る企 業に おける経営 者教 育 と して で はな く, 大学 (短大) に おけ る 経営 教育の 一 環として利 用できるような 一つ
の新 しい
ビジネスゲ ー ム の開 発 を 試み た。 本 稿で 紹介 するストア ー ・ ゲ ー ム はこ のような 目 的で開 発 さ れた, 他に はな
い
多くの特 長 を 備 えたリ アルタ イム ・ ビ ジネスゲ ー ム である。
2 。 ビ ジ ネスゲ ー ム につ いて 2 .1 ビ ジネスゲ ー ム の目 的
一 般に, ビ ジネスゲ ー ム が利用 されるのは,
3,4
)
次のような 目 的からである。
まず, 経営の中で行 な われ る意思決 定の問 題 を模擬 的に体 験できること が挙げ ら れるo
プ
レ
ー ヤ ー は経営戦 略 (長 期 的 な計画 や 方 針) , 代 替案の優 先順 位, 意 思 決定の時期(諺 備投 資などの効 果が現われて( るまでのタ イムラ グ を計 算する), さ らに は予 測 し, 計画 し,
分 析 する能力の大 切さを 認 識 する。
次に, ジェ ネ ラ リストとス
ペ
シャ
リストを 結 びつ
け る総合的 判 断能力が養わ れ る。 また, 自 分の分 担 した役割を 通 して各部 門の立場にっ い
ても 理解できるようになる。 同時に, 製 追, 営業, 資金繰 り など経営の重要な機 能にっ い
て理解 するようにな り, それ ぞ れの相 互 作用 ・ 関連 性につ い
ても 適 切 な 認 識 を 持て る ようになる。さらに プ} ‑ ヤ ー は, 複雑で多様な環 境の 中から, 情報を 抽 出 し, 組 織 化 し, 使 用 する 能力 す なわち各種デ ー タの分 析 能 力と, 進んで
情報 を創出 する能力 を身に
つ
けるo また, チー ム参 加 者は参 加 者 相 互の人 間 関 係の重 要 性 に目 覚め, 合 意の過 程, チ ‑ ム ワ ー ク, リ ー ダ ー シッ プ, コ
ン
フ リク トの克服の意 味や意 義を 自 覚 する (また協 同, 協 調が できる能力を養う) 。
2 .2 ビ ジネスゲ ー ム の進 行と意思 決定 ・ 計 算のタ イミング
次に, 典型 的 なビ ジネス ゲ ー ムが どのよう
に進めら れるのかを 順 を追っ て見てみ る。
1) ゲ ー ム の主旨, ル ー ル の解 説, ゲ ー ム環 境が監 督者よ り 説 明 され る。
2) チ ー ム の編 成と役割の分 担が決められ るo
3) 各チ ー ムは定めら れた期 間の会 社の経 営 計画 を作成 し, 監 督者に提 出する。
4) 監 督者は各チー ムよ り集められ た計画書
に対 して所定の計 算手続きでその期 間の各チ
ー ム の結 果 (成 績) を 判定する が, こ の際に
乱 数 を 使 っ て偶然 性 を導入するこ とも ある。
5
)
そ して, 結 果 を各チ ー ム ‑ 返す。
5) 各チ ー ムは次の期 間の計画 を作成するo 6) こ の過 程 (3 ‑ 5) を 繰 り 返 して各チ ー
ム は業 績 を 競う。
7) ゲ ー ム終 了時に全員が集ま っ て業 績の発 表と反 省 を 行 う。 最 後に監 督 者が講 評と評 価 を 行う。
こ のようなゲ ー ム の進 行 過 程で見ら れる大 き な特 徴は, 3) ‑ 5) で みられ る意 思 決 定
と計 算のタ イミ
ン
グが同 期 をとっ て行 わ れるところ にあ る。 次に こ の点に注 目 して み た
い
。2 .3 「同 期 をと る」 理 由と その問 題 点
ビジネス ゲ ー ム に おける進 行 過 程に
つ い
て み たように, 一 般 的 なビ ジネスゲ ー ムで は監 督者‑ の計画書の提 出とそ れに対する結 果の 配 布の
サイクル
はゲ ーム
最 中は 一 定 (例 えば1 年, 四 半 期, 1 ケ月 など) であ り, 意 思 決 定は プ
レ
ー ヤ ー 間で完 全に 「同 期」 をと っ て 行われる とい
うこと は, 各 チ ー ム に とっ て所 与の仮 定になっ てい
る (ただし, 調 査 などでは任 意
の
時 点に監 督 者に依 頼 して結 果 を 知 らせ て もらえる)。 こ のよ うに全プ
レ
ー ヤ ー が 行う意 思 決 定に対 して 「同 期 をと る」 理由には, 次のようなことが考 え られ る。
・ 競 争状 況が作り やす
い
。・ プ
レ
ー ヤ ー 自身が他のプレ
ー ヤ ー と競 争して
い
る とい
う意 識 を持ち やすい
。・ 結果の 出る時期が会 社の経 理 上のものと
一 致 して
い
る。・ 経営 計画書の提 出 順 位と結 果の返 却の速 さが ゲ ー ム の勝 敗 を 左 右する要因になっ た時
に起こりうる, 監 督者の不 手際による混 乱 を 回 避できる。
・ チ ー ムで相 談 し 合
い
ながら意思 決定 するので, ある程度の討議 時間が必 要である。 意 思 決定に十 分 な時間 をかけることは ビ ジネス
ゲ ー ム の主旨でも あるので, 充分 な 討議 時間 を 一 定 時間と る方が ゲ ー ムを 進めやす
い
。しかし, これ らの理 由は必ずし も積 極的な ものとも, 支持さ れる
べ
き も̲の とも考え ら れ な
い
。 その理 由は次の3 点に要 約できる。第1 に, 競争は時間 を 選 ば な
い
し∴タ イミン
グが大き な 影響力 を持つ
。 意思 決定のた め に どれ ぐ らい
の時間 をかける か とい
うこと, そ れ 自身が大 き な 重 要 性 を持っ てい
る。 しか ち, 意思 決定のタ イミン
グや そ れに要 する時 間 そのものが学 習と訓練と に大 き く 依存してい
る ことを 知 ら な け ればな ら ない
。第2 に, ビ ジネスゲ ー ムに おける監督者の 苦 労は確か に相 当 な もので, とくに 正確さ と ス ピ ー ドが要求 さ れる。 (こ のた め に, ゲ ー ム
開始に先立 っ て, 監督 者チ ー ム の訓練がまず 行 わ れるの が通常である。) しかし, こ の正確 さとス ピ ー ドは コ
ン
ピ ュ ー タの導入によ りほ ぼ解決 さ れるもの である。 (もっ ともこれに よ り, コ ストと場 所とい
う別の制約が発 生すること にも なる が。)
第3 に, 進 行の同 期 をと る た め に四 半 期と か 1 年と
い
う 一 定の時 間 的サイクル
を 決め る こと になる が, その代わりこれに合わない
ものは扱 え な く, 排 除さ れ ること になっ てし ま う。 手 形や借入金の返 済は ゲ ー ム の時間サイ ク
ル
と は異 なっ てい
る。 さらに意 思 決 定の失 敗に気 付い
た時にも, す ぐに は そ れ に対 処 する行 動がと れ な
い
(四半期 待たな け れ ば な ら ない
) とい
う点も 問題であ る。2 .4 その他の問 題 点
「
同期の問題」 以外に既存の ビ ジネス ゲ ーム に
つ い
て考え ら れる問 題 点 をい
くつ
かあ げ て おく。 まず, 経営 者教 育のように, 働い
てい
る人 を 一 定の時 間 一 定の場所に集め て行うた め に は, ゲ ー ム の準備に時間と費用が か か
る。 また, 時間 ・ 期 間的制約のた め に, ゲ ー ム の説 明, 1 回の試 行, 本 番, 検討会と
い
うビ ジネスゲ ー ム のサ イ クル のうち, 本番, 檎 討 会 を 何度も何 度も 繰 り 返 し 出来るわ けで は な
い
。 こうした制約は教 育 的見地からする と 問 題がある。 なぜな ら, ゲ ー ムをする目的は 試 行と検 討の結 果から学ん だこと を, 次の回 に適 用 してい
けること にある。 そ して, 学習 はこ の飽 ( な き 繰 り 返 しの経 験から効 果が得 ら れるのである。 また, ゲ ー ム の試行回数が 少 ない
と, どうしても チ ー ム 内での分 担に対 する不満が起 こっ てくる。 特に学生の場合には, 教 育上でき る 限 り多くの職能を体験 させ ることが望 ま れる。 その他に, 手に入 れた
い
情報に対する制約が数多く存在 し, すべ
て が事 前の取 り決めの範 囲でしか行え な
い
などの 問 題がある。3 . リア ルタ イム ・ ビ ジ ネスゲ ー ム の提案
3 ・1 ビ ジネスゲ ー ムに対する新しい要請
ビジネスゲ ー ムは本 来現実の模倣 を 基礎と して
い
ること から考 えても, 時代の要請に従っ て, 経営実 務上での新し
い
変化 や新しい
意 思 決定の方 法に十 分対応 して, その要請 を 満 してい
かな け れ ば な ら ない
。 要請に は, 1) 情 報 化 時 代の経 営 教 育, 2) 意 思 決 定に おける タイミ
ン
グの重 要さ, 時間の大 切 さ を 知る,3) ゲ ー ム環 境の近代化の 3
つ
がまず考 え ら れ る。これ からの経 営教育は,
、 オフ ィ スに おける
情報化の進 歩 も 考慮して進められな け ればな