九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
トランジスタ回路に関連する回路方程式の解の個数 の研究
實松, 豊
Graduate School of Information Science and Electrical Engineering, Kyushu University
https://doi.org/10.11501/3180419
出版情報:Kyushu University, 2000, 博士(工学), 課程博士 バージョン:
権利関係:
トランジスタ回路に関連する回路方程式の 解の個数の研究
賓松豊
目次
はじめに
1 序論
1. 1 解の存在性と一意性 1.2 解の個数について
1.3 抵抗回路方程式の解の探索法について 1.4 本論文の構成と主な成果
2 ある2変数連立方程式の解の最大個数
2. 1 はじめに .
2. 2 トランジスタ川路のい!路ノj程式の導H�
2. 3 定理及び証明 2. .t 考察
2A. 1 従来の結果との比較 2.4. 2 5個の解を持つ例の探索 25 まとめ
3 2トランジスタ回路の解の最大個数について 3. 1 はじめに .
3. 2 1トランジスタ回路に対する考察 3.3 問題の定式化
3.4 準備
3. 4. 1 行列式IF(S)Iの符号について 3. 4. 2 同時に真の解とならないSの組合せ 3. 5 主結果
3.6 まとめ
4 区分線形方程式の解の個数について -1.1 はじめに
4. 2 定理で使用する行列の定義とその性研 -1. 3 問題の定式化
..J:A 主結果 •
.t.4. 1 .t. 4. 2 .t. ..J:. 3
1η1=3の場合 2
2
1
3
3
9
13 5 3681125 11 112222
6 2223333 67033601
4 4
22347703
4 4 4
4
44 435
.J:AA 十分条件の拡張
--1.4.5 解の個数が高々2'個となるための十分条件
4.4.6 解の最大個数がちょうど2'個となるための卜分条件
4.5 まとめ
5 総括および今後の問題 謝辞
参考文献
付録A定理3.1の証明 付録B定理4.5の証明
付録C j,\ラマウント行列について
11
3.J:
3--1
。{
58
59
61
62 67 72 76
はじめに 1
はじめに
論理集積回路, 発娠回路, ニューラルネットワーク等の電千回路はいずれも 非線形回路 であり, これらの解析は, 同路の過渡応答, 定常振動波形解析, カオス解析などのダイナミ クス解析と, 回路の平衡l!に関するl在流解析とに大別できる。 電子回路の設計・解析に対し て, ダイナミクス解析, l貞流解析は共に非常に重要な要素技術であるが, 本論文では直流 解析を対象とする.
トランジスタ回路にl立流屯泌を加えたときの平衡点は, 回路中のキャパシタを開放除去 しインダクタを短絡除去することによって得られる直流[ul路(抵抗白!路)の解として求める ことができ, したがって直流動作点とよばれる. 通常, バイポーラ形トランジスタには受 動非線形抵抗と制御電源からなるEh(、l'S- :\1011の等価回路が用いられる. この等価回路で置 き換えて得られる抵抗[[1J路は非線形代数方特式で、記述され解析的に解くことは一般に困難 であり, 計算機による反復計算またはモデルの簡略化による近似計算により解が求められ る. 非線形代数万程式の解探索問題は, 電気回路の分野だけでなく 種々の分野への応用も 期待できる基礎的問題である。 なお, トランジスタにはバイポーラ形の他に電界効果形が あるが, 本論文ではバイポーラ形トランジスタを対象にする。 しかし, 多くの議論は電界 効果トランジスタにも 応用できる。
線形および非線形1ポート抵抗, 線形・非線形能動素子, トランジスタ 直流電源など からなる, いわゆる, 非線形抵抗同路の解析に関しては, 解の探索法, 全ての解の高速求 解法, 解の存在と一意性, 解の個数, 解の安定性などが重要な問題であり, この重要性から 従来非常に数多くの研究がなされてきている.
安定平衡点の個数は, メモリ回路にあってはメモリ状態の数に対応し ニューラルネッ
トワークによる連想記憶回路では記憶容量に関連し 論理回路では 論理状態の数に対応 することから, トランジスタ回路の平衡点の個数を求めることは トランジスタ回路の設 計・解析において実用的に重要で、あるばかりでなく 理論的にも 非線形回路の分野で最も 興 味を持たれている問題である. 実際, トランジスタ回路の直流動作点の最大個数は, IEEE
画面画団園l
はじめに 2
CAS So(・1C、tyの非線形回路技術委員会での唯一のCha11(、llgillg Pro bh、111として取り上げられ ている. この問題に関しては, 同路中のトランジスタの個数を111とすると, 111二l.2のと き解の最大個数は, それぞれl.3となることが知られている. このことから, 解の最大個 数は一般に2/11 - 1では ないかとの予想もある. しかし, 111三3の場合につい ては, この予 想、が成立するか否かは今までのところ明らかになっていない.
E1H、rs- :\1011の等価回路を用いれば, 1個の ト ラ ン ジ ス タ は 2個の 非線形抵 抗と , 2個の線 形従属電源で表現され る . "番目の 非 線 形抵抗の1'- 1特性を
ik = ,fh,( l'dと す る と, ト ラ ン ジ ス タ回路の直流解析で導か れる方程式は , 一般 に
hJl'd + ([/,:I.l'1 +・・・+([1.:1I.l'1/こ ん (よ=1.・・・11)の形に帰着できる(ただし11二2ll/ ).
本研究は, トランジスタ回路からj尊かれる上述の非線形代数方程式の解の個数につい て, いくつかの仮定のドで理論的に診察している. 本論文はそれらの結果をまとめたもの である。
第1章序論 3
第1章 序論
本論文は, トランジスタ[口l路の直流解析に関係する非線形代数方程式の解の最大個数に ついていくつかの仮定のドで符られた結呆をまとめたものである. トランジスタ回路に対 する直流解析に限らず, 叶文にir-{ �.た屯j原, 線形あるいは非線形の1ポート抵抗, 多端 抵抗, 能動素子からなる抵抗�IJ路に対する解析に関しては, 従来から非常に多く の研究 がある. これらについては19ï2年以前の結果についてA. 1\. \YillsOll. .J r 編集の論文集 [1]によくまとめられており, また , 1(n11[2] , Flがsawλの解説の他, 最近では, :\fishi[3]や Trajkoyié-[.-J:]のサーベイ論文によくまとめられている. 以f"では, 解説論文[3]を参考に本 論文と関連する内容についてやや詳しく従米の研究を紹介する.
1.1
解の存在性と一意性
Du伍n[3]が1947年に線形受動抵抗, 電流電圧特性が単調増加関数である非線形1ポー ト抵抗, 直流電源からなる抵抗回路の解の一意性を示して以来, 直流回路に対する様々な
般化がなされてきた. 代数方程式F(x)=νの解の存在と一意性に関しては, 次のPalai‘
の定理[6](1939年)が基本的である.
定理1.1 (Palais) RIl か らRIIへの連続かつ微分可能な関数F(x)が微分同相 (cli妊'eOlllorphislll)であるための必要十分条件は, 次の2つの条件が成り立つこと である.
(i) F(x) のヤコピ行列J(x)=θF/θzが, 任意のzεRIlに対して, clet.J(x)ヂo (ii) Ilxll一→∞に対して, IIF(x)11一→
口
園面圃--
第1章序論 4
この定理は必要卜分条件ではあるが, 実際問題としては条件( i ) . ( ii )が成立しているか告 かは確認するの が困難なことが多い . この ため, その後も数多くの研究が行なわれた.
Palaisの定理に基づき, Oht.snkiとW川anah('[7]は次のことを証明した.
定理1.2非線形多端子素子, 制御電源および直流電源からなる抵抗回路 におい て, 回路中 の各非線形多端子素子のハイブリッド行列表現に関してそのヤコビ行列の対称部が常に正 定値行列となるならば, この[111路はいかなる電源値に対しでも一意解をもっ. 口
トランジスタは非線形2ポート京子であるし, 通常の線形抵抗は非線形lポートの特殊 な場合であるから, 定.frrr 1. 2は, トランジスタを合む一般の非線形抵抗回路を対象として いる.
非線形抵抗同路の同路ノ7位式(代数万程式)を
F(x) =ν rti‘、 噌E』よ 1fi 、、‘,sa,,,
とする. ここで, xは11次元未知l変数ベクトル, yは, 直流電源, 同路中の抵抗, および 回路の構造で決まる定数ベクトルである. 非線形関数F(x)を
F( x) =
[f1
(x)、ん(x).・・・.ん(x)r' (1.2 )とおく. 肩符Tは行ダiJの転置を表す. このとき, 定理1.2は次のように言い かえることがで きる.
定理1.2の系 方程式(1.1 ) において, ヤコビ行列1(x) =θF(x)jθzの対称部がすべての zに対して正定値行列となるならば, 方程式(1.1 )はあらゆるベクトル ν に対して一意解を もつ.
また, FnjisawλとI�llh[8]は, 定理1.2を次のように拡張した.
口
定理1.3方程式(1.1 )は,もしF(x)のヤコビ行列J(x)のよ次の左上隅主座小行列1A:(x) が次の比条件(l'atio (・onditioll )を満たすならば, 任意のνに対して一意解を持つ.
- 1心t J2( x)1
'-
_)
1 clet J1(x)1三ニ > ε、
!
; 1 州Jl(2 )| -
!
(for ail z)| clet J�(X)1,【 |山tJパx)1 , _
(
1 clet .h (x) 1 二 �. . 1 clet ん-l(x)1 二一 �
J
ここで,εはある正の定数である.
(1.3 )
口
第1章序論 5
定瑚l.2やl.3では, 定理は「・・いかなる電源値に対しても. • • J , Iしづ=なる定数ベクト ルに対しでも.. .Jという修飾語がついている. 非線形方程式の場合, 特定の方程式が解を もつか否かは実際解を求めてみないとわからないことが大部分であり, 特定の方程式が解 をもつための必要十分条件を求めることは困難である. しかし, Iあらゆる電源に対して解 をもっ条件」という形では簡潔な結果が得られる場合がある.
式(l.1)は, 多端子ほ抗を合む A般の非線形抵抗回路を表すことができるが, 特に非線形 素子がすべて非線形1ポートほ抗である場合には, 回路方程式は一般に次のように書ける.
F(x)+Ax=b
F(x) = [fl(.I'1)・f2(.1'2).'・・、fll(.1'1I
)P'
ぺ=[αij] (1 � i.j三川 b = [Ùl. b2.・、bll]"1
(l.-1)
ここでん(.1"1.:)は, 非線形1ポートのほ抗特性( ,'-i特性または1_1'特性)であり, その抵抗 が受動素子である場合には, ん(.1'1,-)は単調増加関数である. また行列A.は線形抵抗回路部 分の 叶支にはハイブリッド行列(インピーダンス行列, アドミタンス行列のことも多い)で あり, またベクトルbはILI流屯似, 線形低抗, 線Jf�制御電源、により定まる. 回路がトラン ジスタを含む場合にも, トランジスタはEb(、1's-rdollモデルを使用すれば 2個の非線形抵 抗と2個の電流制御電流源(('n1"1"<、llt COllt1'oll('cl ClllT('llt S0111'(,(,.仁1CCS)で置き換えられる [9] ので, トランジスタ[nl路も式(l.-1)で表されると考えてよい.
この方程式に関しては次のおllcl]>(、1'gと\\ïlbollの定理[10][11] (1969年)が有名で ある.
定理1.4
(Sandberg- Willson)非線形抵抗回路の方程式(
1A)が, 任意の狭義単調増加関数h:(.tA-} (ム(.1""・)ε三!と記す)および任憲の定数ベクトルbに対して, 常に一意解を持つ ための必要十分条件は, 行列止がPo行列となることである[10]. 口
ここで, 九行列とはFiecllerとPlák[12]によって定義された概念であり, 全ての主座小 行列式が非負であるような実正方行列全体を言う. 定理1.-:1は, その後の一意解条件の研究 の基本となるものである. また, これは定理l.3 の系として導出できることも示されてい る[8].
定理l.2-l.-1は, 非線形抵抗の抵抗特性が微分可能であることを仮定している. しかしな がら, 抵抗特性は例えば理想ダイオードのように最初から区分線形関数で表されるものも ある. さらに, 回路解析の典型的手段として 元々微分可能であった関数も区分線形関数で
第1章序論 6
|詞l.1: Fepclback struchl1、
近似して種々の議論を行なうことも多い. 区分線形特性を持つ非線形抵抗素子と線形糸 のみからなる[11]路(灰分線形ほfJL[nl飴)に対する解の存花および ー窓性に関しては, 定理
1.3などと同様の議論から以ドのような定理が得られている[13][1�].
定理1.5 [1:3]連続な医分線形)j位式を次のようにおく.
A(III)X + b(m) =ν(111二L2,.... L) (1.5 )
ただし, Lは, 線形な部分領域の数である. このとき, cl札4(川)がすべて正, あるいは, す
べて負であるとき, 任意のνに対-して, 少なくとも 一つの解が存在する. 口
解の存在と一意性に関しては, 上記のように代数的・解析的条件 の他に 回路構造上の 条件(グラフ的条件)が研究されている. 1978年に, f\ielsenと\Yi11sonは, トランジスタ 回路(直流回路)が回路素子値と無関係に一意解をもつための回路構造上の必要十分条件を 発表した[15].
定理1.6 (Nielsen-Willson)線形受動抵抗 , 1'_ i特性 が単調増加関数であり, かつRIか
らRIの上への写像であるダイオード, El)(、rs-:\1011モデルで表現されるトランジスタ(た だし, cccsの増幅率(\は0<ハ < 1を満たす値をとる)および, 直流電源、からなる回路 は, 阿路中の2つのトランジスタのあらゆる組合せについて その2つを除く全てのトラ ンジスタと全ての抵抗を短絡または開放する操作を行なって図l.1の帰還構造(Fecclback Structllrc、)を導けないとき, かっその時に限り全ての電源の値に対して一意解を持つ.(ト
ランジスタに対する操作の詳細については, 文献[15]を参照のこと.) 口
第1章序論 7
この定理は, 従来複数解を持つと知られているフリップフロップの構造が回路中に存伝 する ことが, 回路が複数解を持つための必要十分条件である と言う極めて簡潔な結果であ り, その後のこの種の議論の引き金となった.
�ishiは定理l.6を拡張し, 同路の構成要素として トランジスタの代わりにCCCS を bむ回路について考察し, 回路が全ての電源の値に対して一意解を持つための必要十分条 件を与えた16[ ]. また, l\ishiと ChnaはCCCSだけでなく, 他の3種の従属電源(電流制 御電圧源CnrrclltCOlltroll代1 \ �olt a駅、Son1'(・(、円、電圧制御電流源\'oltag(、COlltroll川CnlTCllt Son1'(・(、人電圧制御電圧源\rolれほ(、Coutl'oll代1 \ 'oltag(、Son1'(・(川)も含む場合に拡張している
戸i噌li
1.2
解の個数について
Sanclbergベ\ïllsOllの定理は, 志向平のための必要十分条件をうえる が, A5t九の時に は, 解がいったいいくつあるのか判別できない. 実際, A5tPoのとき適当な1'1ε三11に対 し無限個の解を持ち得る. このことは, 例えば11二1, A. = -1としたとき, 方程プ、
11 (.r1)一.1'1二b (l.6 )
の解の個数が, 凶l.2にポされる ように, 単調増加関数11(.1'1)とy(.1' 1 ) = .1' 1 + bの交点で えられる ことから分かる.
このように, S allclb(、rgべ\ïllsoll の定理は, 非線形代数方程式(l.-1)が, I任意のliε三1・
任意のbiεRに対し常に一意解を持つ」か「ある f'iε三1.biεRに対し無限個の解を持ち得 る 」のどちらである かを判断する ことしかできない.
�ishiと I\.i:H\. él..lH、18[ ] は, 対象とする 非線形関数のクラスを三lよりも狭めて, 解の個数 が有限個である ための必要十分条件を与え, さらに有限個である 時の解の個数の上限を与 えた.
定義1.1 R1からR1の上への写像であり, f(.r)の1階と2階の導関数仁12f (.1.') / cl〆が常に正
である ような関数f'(.r )の全体を己と表す.
定理1.7方程式(1.-1)においてAが与えられたとき, V.hξミ(人・二1,2,• • • , 11)および\任 意のbに対してノ7程式(1...1)が有限個(高々211)の解を持つための必要十分条件は,IAがQ行 列である」ことである.
...
第1章序論 8
\}/f(x)
単調増加関数
x
刈l.2: ìp.調増加関数f(./') と, ク(.1' )の交点
Q行列とは, 次の定義l.2でうえられる行列 である.
定義1.2要素がすべて正である任,なの対角行列D二diag[rll、d.2," '. rln] > 0に対して,
(.4 + D)-Iが「符号条件」を満足する場合, そのような行列」について, íAはQ行列 であ る」という.
ここで, í符号条件」 は次のような条件である.
定義1.3あるうえられた正方行列において, 対角要素が負である行の他の要素がすべてo または負であるとき「符号条件」 を満足すると呼ぶ.
あ る実正方 行 列AがPoならば, Po行列の定義より任意の正値対角行列 D = cli孔g[d],d2,'・. ,dll] > 0に対し て(.4 + D)-lの対角要素は全て非負となるので ,
(A. + D)-lは符号条件を満たす. すなわち, 0行列は, R。行列を特殊な場合として含む.
トランジスタ回路の直流動作点の個数に関しては, Lag礼11ωとTra.jkovi{ [19] [20]が次 の上界を与えている.
定理1.8 [20]非線形方程プ
A.F ( x) + n x + c = 0
内)二[h( x ),
. . • fll ( X
)]
. fi (一(l.7)
圏直置圃且
第1章序論 9
は, 高々(11 + 1)川2"(11ー, )/:21聞の解を持つ. 口
この定理は , 代数幾何の分野におけるHo,'anskii[21 ]の結果の直接の応用で ある.
Ebers- \1011モデルを用いれば, 11同のトランジスタは, 2個の指数関数特性を持つ非線形抵 抗と 2個の線形従属電源で表せるので, 一般のトランジスタ同路も式(l.7)で表現できる.
定理l.8は, トランジスタ[口|路の解の個数に対し, ひとつの上界を与えたが, 71 == 2、3の
とき, 18.31 2となり, かなりの過大評価であると忠われる. この問題に関して は, 本論文
第2章で71==2のとき解の最大個数が3個であることを示した.
Fosséprezら[22]は11個の理句、ダイオードを用いて表現される区分線形方程式の解の個 数が有限個(211個以下)となるためのグラフ構造上の必要卜分条件を与えた.
1.3
抵抗回路方程式の解の探索法について
この節では, [1口l路ノj程式を f(x) == 0
f(x)二[f,(x)、f:2(x),.・・、fll(X)]T.
として定式化する. 求解法としての基本的な問題として は, もちろん l. 計算の効恋
2収束性
3. 1 個の解の探索か, 複数解または全解の探索かの別 4. 解曲線, 特性曲線の計算
5. 非線形関数1"(.1')の区分線形近似
(l.8 )
などが挙げられる. また, f(x)の性質として, 微分可能か(ヤコビ行列が計算 できるか)爪 か, 区分線形関数であるか否か, 単調増加等の付加的性質をもつか否かにより, 種々の方法 が提案されている. また, f(x)が微分可能な場合でも, こ れを区分線形抵抗で近似し解析 する場合, その近似の仕プゴも問題となる.
区分線形方程f
回�
第1章序論 10
図l. 3:I\:at以、llclsOllのアルゴリズム
f(x) =ν f: RII→RII (l.9 )
に対しては, 次のI\:at Z('lle lsOllのアルゴリズムが基本的な手法として有名である [23][2--1].
ここで, f(x)は各領域D川ごとに線形代数ノj程式
f(x) = A(n1)x + b(川) (111 =1、2・・・ L) ,,a,‘、 11よ 1i ハU 、、BE,,,
で記述される. ただし, Lは線形な部分領域の数である. I\:atzellelSOllのアルゴリズムは,
次の式による繰り返し計算により解析される.
x(入)= xn1 +入[.-1.(川)]-1 {ν-f(xnl)}、 。<入三1 ,,aEE‘、 11よ ー,ょ --よ 、、tIf
まず, 任意の領域DIのなかにIL�H発fiz lを選ぶ. 式(l.11)において111二lとして, x(入) を決定する. 入を0から徐々に増加させると, x(入)はx(O)= Xlから現症の領域における線 形方程式の解x(1)= [.-1.(1)]-1 (ν_ b(l)) に向かつて|度線的に進む. もし0<入<1において,
この直線がDIとD'2の境界面上の点(がとする)で交わるならば, 式(l.11)を111二2のもの に切替え, X2を出発点に再び入=0から徐々に増加させる. 以後これを繰り返して, もし111
ステップ目において入=1を満足する点が領域D川内にあれば, これがf(x)=νの解で、ある.
このI\:at�(,ll(, lsollのアルゴリズムは複数の解が存在する区分線形系に対しでも拡張され る[24]. 上述のアルゴリズムでは, 入=1の点がいま調べている領域で見つかると計算を打 ち切ったが, 複数個の解を追跡するためには, 式(1 .11)における0<入:::; 1 の制限を取り除 き, 解曲線が境界面上を境にして常に異なった領域に進むような入の符号を採用し, 解曲線 を連続的に追跡する. このようにして得られた解曲線上において入=1に対応する点が存在 するならば, それはf(x)ニνを満足する解となっている. このアルゴリズムを適用すれば,
複数個の解を連続的に見つけることができる.
第1章序論 11
回路方程式の複数解, 全解を必要とすることは頻繁に生じるので, 全解を求める方法に 限定して述べる. 以下の説明では, 領域は平行な超平面で分割され, 各区分領域は矩形と して考える. この仮定[26]のドで, 様々なアルゴリズムが提案されている[25]-[34].
各変数.1'i ( i二1. 2�・・・.11)は,"'i個の区間に区分されていると仮定する. この場合, 区 分領域の総数は, L二日"'iとなり, 非常に大きな数となるが, 実際の問題において解の数 は, Lに比べて非常に少ないことが普通である. そこで, このような性質を有効に利用し た実際的な解法が必要とされた.
Yal川11l1UaとOc・hiai[32]は, I日|路万程式(1.8 )の連続な灰分線形方程式を以下の仮定 1.1のもとで, 非常に効率よく解くアルゴリズムを提案している.
仮定1.1非線形ベクトル関数f(x)が, dE数分離可能(町、})èUλbl(')で あ る . すなわち,
ん:R川 →R1が
ん(x)=工心(Ti) (j=1...1I)
と記述できる. 口
このアルゴリズムの概略を以下に記す. まず,R=
{
xl
ni 三 I・
i ::; Ji(i二1.2,...,II)}を任意 のn次元空間の区分領域とし, このRに解が存在するかどうかを調べる. Rは, 当然211 個の頂点をもっ.(i)変数分離可能の仮定から,Rの全原点でのん(j= 1. 2・・・.n)の値が単純にfji (Cl i)あ るいはf:ji ( di ) (i = 1, 2γ・・.n )の和を計算することで得られる.
(ii ) あるjについて,んi ( (l i ) .ん(.]i)(i=1,2γ・・.11 )が全て問符号ならば, Rに解が存在 しないことは明らかである.
(iii) (ii)に お け る んの最大値お よ び最小値がそ れぞれ , lllax
{
.fj ( v)} = L [lllax{
か 叫( んi(,Ji) }]およびn11叫ん(ν)}=乞
[nlÍn{か(川、fji (3i)}]となる.(iv) (iii)における計算量は, 灰分領域をある方向に同時にとっていくことで, さらに削減 できる.
(け(ii)で取り除かれずに残った(解を持つ可能性がある)区分領域の候補について, 通常
の方法と同様に線形方程式を計算していく.
冒,...,..・L
第1章序論 12
手)11貢 (ii)ー (i,. )においては, 関数
ん
の評価以外では, 全く乗算を必要とせず, 加算および比 較のみとなる. また,(iy)にあるように加算の回数も相当少なくできる. このアルゴリズム は, 多くの実際の回路に対して, 非常に効率よく解を求めることができた. さらに, 関数 fj( x)が, 2、3個の変数だけについて非線形である場合, すなわち, 回路中の全ての非線形 抵抗が, トランジスタのような 2,3ポートの素子である場合について, アルゴリズムは改 良されている33[ ]
.以上は非線形関数f(x)が区分線形関数の場合であるが, f (x)が微分可能である場合 には, 方程式(1.8)の解を求めるための3種類の典型的な方法がある. 第1は, 例えば
い(、,,'tOll-Raphsoll法などを用いて, 1直接解を求める方法. 第2に, ホモトピ一法を用いる
方法で, 関数f(x)の近似を用いて解曲線を追跡する方法. 第3 には,f(x) = 0の解と同 の平衡点をもっ, 適、当な微分)Jれ式について解を計算する方法がある.
以ドに, ホモトピ一法を紹介する. t�数f(x)のホモトピーを
h (ιt) = tf(x) + (1 -t)g(x) (1.12)
と定義する. ここで, g(x)は, 少なくとも 1つの解が分かっている, あるいは容易に得る ことのできる適ヨな関数である.
g(x)と し て は, 典f型的には(i) g(x) = x - Xo (xoは与えられ た定数. ) , (ii)
g ( x) = f ( x) -f ( Xo ) , ( iii) ( 9 x) = f ( x) -f ( -x )と選ばれる. (i). (ii)、(iii)はそれぞれ不 動点ホモトピー, ニュートンホモトピー, 奇ホモトピー(ocld hOlllOtOpy)と呼ばれる.
ホモトピ一法は, 緩い条件のもので大域収束が保証されていると言う点でニュートン法 よりも優れている. すなわち, ニュートン法のように初期値問題で悩まされることはない.
Xoを g(x)の零点とする.f(x) = 0の解ιはh(x. 1) = 0の解であるから, h(ιt) = 0の
解曲線を (xo.O)から, t = 1に達するまで追跡することで、解ιを得ることができる.
次の収束定理は, ホモトビ一法の基礎的定理である.
定理1.9DεRIlを.roを含む有界集合, DをDの閉包, θをDの境界とする. もし, 以下の 3つの条件を満たすならば ,(x().O)から開始した解曲線h (x. t)は超平面t = 1において (ι. 1)に到達する.
(i) h(x, t)がD x [0、1]において, 連続微分可能か つ正則である. ここで, ある領域にお いて正則であるとは, 領域内の全ての点においてhのzに関するヤコビ行列のランク がnであることを意味する.
第1章序論 13
(ii) g(x) = 0はただ Aつの解1'0を持つ.
(iii )θD X [0、1]においてh(ιt)ヂo
1.4
本論文の構成と主な成果
本論文は3章から構成されている. 第l章は序論で, 非線形抵抗回路解析に関する研究 の背景として, 解の存住および -意性, 解の個数, 解の探索法などについて従来の結果を まとめた.
第2章では, 回路方程式(1.-1)において, 非線形関数f'i( _r i )が指数関数型の単調増加関 数であり, かつ(lij・に対する物照的な市Ij約条什:([(lij]の非負値性等) を無視した場合の解の最 大個数について考察している. この問題に関しては, (/ ijニ0(1'ヂj)のとき解の最大個数は 明らかに211であることから, (11.Jヂoの場合でも解の最大個数は21lではないかとの予想、も あった. 本論文では, 11 = 2のときについて解の最大個数がちょうど3個であることを解析 的に与え, 上の予想、はlEしくないことを心した. なお, 鼻持支の17に対しては解の個数の上 限としてい十1)ワ11(11ー1 )/"2[20]が知られているが, これは上述の結呆からかなりの過大評価 であることがわかった.
第3章では, Ebers-\1011モデルで表現されるトランジスタと線形抵抗, 直流電源からな る回路の解の最大個数について議論した. この問題に関しては, 従来トランジスタの個数 が2個のとき, モデル中のcccsに対するある仮定(後述)の下で, 解の最大個数は3個 [36][37]であることが知られていた. しかし, トランジスタが3個以上の場合については解 の最大個数は今までのところ知られていない. Ebers-11011モデルでは 通常非線形抵抗の 特性ん(.r,Jは指数関数型の特性であるが, 木論文ではこれを理想ダイオード特性で置き換 えた場合を取り扱い, 解の個数に関する新しい解析手法を与えた. また, 本論文ではトラ ンジスタが2個のとき 解の個数は高々5伺であることを示した.
第4章では, 式(1.-1)において非線形特性を理想、ダイオードで置きかえた場合について 考察した. このとき式(υ1.-1叫)はL=2
の方程式の解の個数については従来_-1 = [いα向Jリj]がP行列ならば, あらゆるbに対して一意解 を持つことが知られていたが, 止がP行列でない場合については解の個数は判別できな かった. 本論文では, あるbに対し, 全ての区分領域でlつずつの解を持つ(すなわち, ム 計2
211η1個の解を持つことを示した. さらに, この十分条件を拡張し 一4が優対角行列であれ
第1章序論 14
ば方程式は2
のが優対角行列ならば2γl個の角解平を持つことを示した(1\1行列、 優対角行列については後述). 最後に第3章において, 本研究によって得られた結果を要約し, 今後の課題について述 べた.
第2章 ある2変数連立方程式の解の最大個数
第2章
ある2変数連立方程式の解の最大個数
2.1 はじめに
この章は, トランジスタr1]]路のInl路)j程式に関係する非線形連立万程式
(γt' I + (/ i 1.1: I + . . . + (/111.1"" = l; 1 (i = 1:・・., 1/ )
15
(2.1 )
の解の個数について議論する. この}f杭式(2.1)とトランジスタ同路との関連については,
次の第2.2節で詳しく述べる.
本章 では, 定数(/ijの物均的制約(第2.2節を参照)を考慮せず任意の実定数とした ときの 解の最大個 数を取り扱う. こ の問題に関し ては, 従来解の個数の上界として い+1)勺11(11ー1)/2[20]が知られているが, これは本章第3節の結果と比べてもか なり過大評 価と思われる.
また, (2.1)のがtは, 1階及び2階微係数が正の関数であるから, A = [Oij]がQ行列[18]
の場合には, 解のイ同数は2"以下であることが示されているが, 。行列で ない場合に対して は, [18]では上界は与えられていない.
式(2.1)は, 変数聞の結合がなければ, すなわち(/ ij二O(i#j)であれば, 最大2ぺ=.J:n1) 個の解を持つことは明らかである. 結合があるとき, すなわち, (/ ijヂ0 の場合についても 解の最大個数は211ではないかとも予想されるが, 現在までのところ, 証明もなく反例も見
出されていなかった.
本章では, 11二2のときのみを扱う. 11二2に対しては, (2.1)の解の個数はたかだか6 個であることがすで、に分かっている[19]. 本章では, 解の最大個数がG個ではなくちょうど 3個であることを示す. この結果 , (2.1)の解の最大個数は一般の11に対しても211より多い
ことが分か る.
�ーー・・L
第2章 ある2変数連立方程式の解の最大個数 16
一t一AI ー
←-vvv-→
•
i
•
•
会;j
Linear Resistors αnd dc sources一一-. , N
tA 2m
よ
や(1 2.1:トランジスタ閉路
2.2
トランジスタ回路の回路方程式の導出
本論文では, 第2--1章で, トランジスタ!日|路(エパース・モルモデルで表されるトラン ジスタ, 線形抵抗および直流電源、からなる非線形直流回路)に関係する非線形代数方程式の 解の個数について議論する. この節は, ヒ述のトランジスタ回路の回路方程式から本論文 での議論の対象となる非線形克程式を導I'Uすることを日的とする.
111個のトランジスタ 線形抵抗 直流電源、からなる回路を図2.1に示す.トランジ スタ は, エ パ ース・モ ルモデル(凶2.2)を用いると, 2個の非線形抵抗と, 2個の'屯
流制御電流源、何CCS)で表現できる. 非線形抵抗を流れる電流'2k-1、'"2./.,と端子電流 i2k-11 Î2k. (λ=1.・・.
,
111 )の聞には, 凶2.2より-til--1111111」
'Eム'K J4 EhA --1』lili--a」 T fA F111111111・1・1111』 ・ 1 ・ 1 4f -
'BA FUR 4rd SK 斗,&
《 . 、,R A ・ 3,‘ 「BIll--l'lsl」 l n 「1111111』11it--し 一一 九 「ltl.1'lai1111111」 -A3f ,t、,I α l
(2.2 )が成立する こ こに,
d
\斗
)は, Eh('l叫1011モデル中のCCCSの増幅率であり, 通常4
)応0.99、4
)勾0.5である図2.1 において入γは線形抵抗とl宣流電源からなる線形11(=2m)ポートであり, 次の式 が成立する.
i = Gv - J (2.3)
一--
第2章 ある2変数連立方程式の解の最大個数 17
、 ,t ,,.・sa'
4till- 今r- . ,,b
凶2.2:エパース・モルモデル("二1の場合)
ここで, り= [�'l.'" . �'1l]1は閃2.1に示した端子間電圧,
Jは直流電源、と線形抵抗で決まる定数ベクトル, 行列Gは短絡アド タンス(コンダクタンス )行列である.
式(2.2)を(2.3 )に代入することにより, 図2.1にぶした!可路のノ7程式は,
Ti+Gり=J
(2.4)と ける. ここで,
z .、,,、[ 'Ei 、 •
1 1 -
- ー,aAT T1 EB T2 EB・・・EBTn (2.3)
である. ここで、@は 和を表す.
k番
の非線形抵抗の電流電圧特性をi
k=
.h:(
L 'k)とすると,
TF(v)+Gv=J (2.6 )
F( v) = [f, (('!
)
、ん(川
、・・., f/l({'/I )r
"したがって, 式(2.6)に左からT-1をかけることにより, 次の式が得られる.
F(り)+ Aり二b
(2.7)ここで、,
A = T-1G. b = T-1Jとおいた.トランジスタ回路の直流解析で の回路方程式は,
般に式(2.ï)で表される.
エパース・モルモデル中の非線形抵抗のトi特性は, 指数関数型である. すなわち
.h(じん) =
川た(e叩'k - 1) (ん二1. 2
.・・・n) (2.8)ー---'・且
第2章 ある2変数連立方程式の解の最大個数 18
ここで, I川、1//,0は定数であり, トランジスタがPI\P砲の場合111 k > 0、1/1, > 0, �PI\型の 場合1111...<0.11/,0くOである.
式(2.8 )を(2.7)に代入し, 変数変換を行なって, 変数ベクトルをZ二[.1'1今1'2,. ・ ・ ;:1・II]Tと すると, 非線形抵抗の特性を指数関数型とした時の, トランジスタ回路の回路方程式は,
般性を失うことなく,
e.r1 t ff 'Ei 'Ei ! /,、'EA 1 1 色、,ι、 IL b1 o
+ + (2.9 )
e,rll
(1111 ({ Illl • 1 • 1 1 bll o
とかける. 式(2.9)は,第2章で取り扱うィ基本の式で、ある.
第3章,第4章では, 非線形ほ抗の特性を, 式(2.8 )の指数関数型ではなく, 理想ダイ オードとして取り扱うので, 議論の対象となる力-程式は, 式(2.9)とは少し異なる. それに ついては, 第3章 、第4章で説明する.
2.3
定理及び証明
式(2.9 )の解の最大個数について, この節では11=2の場合に関する次の定理を与える.
定理2.1連立方程式
r, +α11.rl +αl:2.r:2 + b1
= 0 (2.10)
(2.11) e.l・2+α2l.t1 + (l幻.t:2 +ん = 0
は, 定数αijが任意の実数を取るとき, 解の個数は高々3であり, また, 式(2.10).(2.11)が 解を 3個持つような定数([ij、biの組が存在する.
[証明l式(2.10)において, ((12 = 0ならば, 式(2.10)の解.1'1の個数は高々2個である. その 各々の解に対して式(2.11)は解1'2を高々2個持つ. よってこの場合の解(.t:1、1'2)の個数は 高々4個である. したがって, 以後(11 2-::f 0 と仮定する.
(2.10)の([22倍から(2.11)の(112倍を引くことにより,
α12eJ・') αne.l'l +ム.fl +ムI (2.12)
ここで, ム=α11α:2:2 -α1:2αμ, ム1 = b1α22ーんど11:2はそれぞれ, 定数である.
(2.10).(2.11)を解くかわりに, (2.10)、(2.12)を解く. (2.12)より, .r:2 は, .1'1の関数と見な せるので, .r L = .r:2 ( .r dと書く. もちろん, すべてのわに対して々が存在するとは限らない.
一---
第2章 ある2変数連立方程式の解の最大個数 19
(2.10)の左辺に'/"2二t2(./"')を代人したものをf(.I",)とおく. すなわち,
f(.r1) = 〆 1+ ([11.1'1 + (l12.r1(.1'1) + b1 (2.13)
l(.r 1)の各零点に対して, (2.12)より(2.10)、(2.11)の解(ハ・.1' 2)が一つ存在する. したがっ て,(2.10).(2.11)の解の個数を調べるために, f(.1'1)の零点のイ回数を調べる.
(2.13)の両辺を.1'1で微分すると,
1"' (.1' 1)ゴlHIl+f112
t
(2.14)式(2.12)の両辺を/", で微分し, 両辺を(/,2(',1'2で割ると,
d.r2 (l22e,l'l +ム
(2.15)
、予,.I 、3J r,、什ノ』l l 〆f
• -句E'a・‘rE、
式(2.12)、(2.15)を(2.1-1)に代入することにより,
11 \ (("''1 + (1, , ) ( ([幻(',"1 +ム.1・,+ム,) + (/, A (/22(',1'1 +ム) f( .rl) =
(/22(',1'1 +ム‘(1 +ムl (2.16)
を得る.
(2.16)の右辺の分ほは, (2,12)が成り立つ1',‘1'2'こ対しては定符号であるので,(2.16)の 分子の零点の個数を調べれば良い. (:2.16)の分子を(/'}.2で、割った式をQ(.r!)とおく. すな わち,
。(./")= (〆)2+fll-lfJ (2.17)
ここで, ni (i = l.2.3、-1)は実定数. Q(,/")のて|帯微分は, 次式となる.
。"( .r)=〆[.JeJ'+ハ1.r+ (2ハl十(\2)] (2.18)
がとrの一次式の交点は高々2何であるから, (2"(.r)は高々2個の零点を持つ. した がってο(.r)は高々4個の零点を持ち, f'(:l、)も高々4個の零点を持つ. ゆえに, f(.r)は高々 3個の零点を持つ.
, Q, 1 1 a 1') ,
(2.10)、(2.11)が5個の解を持つパラメータ([ ij' biを探すに際し, A _ I �'11 ..' 1,(, IがQ行
|α21 α22 I
列の場合には解の個数は高々4個である[18 ]から,n行列とならない(/ijを探索した(探索 の戦略については2A.2節で解説する) .
その結果, (2.19).(2.20)の([小Uiに対し,(2)、(3)は, ちょうど5個の零点を持つことが分 かった. 図1 からf(,1'!)は確かに3伺の零点を持っている.
I 0.272921 l.386979 \
.4= I I
\ 0.9.){ 463 0.18-l333 / b,二U2二-1
口
(2.19) (2.20)
第2章 ある2変数連立方程式の解の最大個数 20
0.4
0.2
!(X1)
。 よー ー ー ー ー ー ー ー ー/
-0.2
-0.4
-0.6
-0.8
-1
-6 -5 -4 -3 -2
-1
。 I 2X1
図2.3: 51 の解を持つf(.1'1 )
第2章ある2変数連立方程式の解の最大個数 21
2.4 考察
本節では, 従来得られていたPOOll(,1l[40]の結果を紹介する. その後, 11二3 の場合への 拡張を議論する.
2.4.1
従来の結果との比較
非線形連立方程式(2.10)、(2.11)の解の個数について次の定理が成立する.
定理2.2
(Poonen)
[40]式(2.10). (2.11)の解の個数は高々Gである.Proof
(/12=0の場合には, 式(2.10)(2.11)は明らかに高々4個の解しか持たないので, 以 下では(/12f. 0と仮定する. 式(2.10)より,‘1'2 =一
土
( e.1"1 +川、1 + ÙI) (2.21)これを式(2.11)へ代入すれば,
xp卜
元
(川町jJ'l +Ùj)] + (/n.l'1ーに
( 〆l十代11.1'1十川日). (2 .22) 式(2.22)の左辺をf(.1'1)とおくと,1'(.1'1) = exp(Ae.r1 + ßJ'l) + Ce.l'l + D,1'l + E (2.23)
となる. ここで, A,B、C.D.Eは, 式(2.22)と比較して決まる実定数である. f(.I'])の2階 微分は,
f"(.l'I)こが1
{
[A + ('-.1'1 (A.(,.l'j (2.24 )となる. g
(
.1'1)
= e-.l'l f"(ハ)とおき, さらにh(,rI} = exp( -Ae.l'l -ß,rl + .1'!)
g'(
.1'1)
とおく
と,"(.1' 1 )二
[
止\、J.rl+ぷ(3B+2)(、2.1'1 + A(3B'2 + B)<'J'l + (B:� -BL)]
(2.23)h(xl)は, e.l'lの3次多項式であるから, 高々3 つの零点を持つ. よって, g(れ)は(した がって{"(れ)も), 4つの零点を持つ. ゆえに, f(ハ)の零点は高々G個である. f(:r1)の零 点のそれぞれに対し, (2.10)、(2.11)の解( .r い,l''2)は式(2.21)により常に1つ定まる. した がって, 式(2.10).(2.11)の解の個数は高々G個である. 口
式(2.0)の解の個数のと限に対する解析において, 本章での手法や, Poonenの手法でう まく解の上限が求められたのは, 2安数の場合には, 変数、I、2を消去することによって, ェ (2.13)や式(2.23)のように, ,r1の一変数関数の零点の個数で議論ができたからである.
第2章 ある2変数連立方程式の解の最大個数 22
著者は, 2変数の場合と同機の手法で 3変数の場合にも式(2.9 )の解の個数の上限ないし 上界が求められないか検討した. すなわち, (2.9)の第1式の左辺をf(.1"1)とおき, 第2式,
第3式を用いて1"2・1";3を消去しようとした. しかし, これはうまくいかなかった. このよう な方法が全てうまくいかないことを厳密に証明したわけではないが, この方法による解法 はかなり困難で、あると筆者には思える.
また, 11二3のとき, う変数のうちの 」変数は消去できる. 消去した式についての議論 がn=2の場合に帰着できれば, 解の偶数を帰納的に求めることができるが, それもでき なかった.
今後の課題としては, 止にある仮定をして問題を簡略化した下での解の最大個数を求め ることが考えられる. ここで, 仮定としては, ある((ijを0とおく, あるいは, Aを対称行 列あるいは巡同行列とすることを考えている. この仮定の下での解の最大個数が求ま れば,
Aが任意の実行列とした場合の解の故大{同数の sつのF界となる.
2.4.2
5個の解を持つ例の探索
解を 5 つ持つ, (/ij' biの見つけjjの戦略を記す. 以下に示す方法は, 厳密に, 解が3個あ る例が見つかることを保証するものではなく, また, これ以外のノゴ法では解が5個ある例 はないということでもない, 厳密でない議論である. しかしながら, 今後n = 3の場合や,
般の11の場合に解の例数が多い例を見つけ出すには参考になると忠われる.
まず, !J二(、l' + ((.1" + lJの概形を凶2...!に示す りの微分が向/(1.(・二(、"1 + (lとなること から, すぐにわかるように, (/ � 0ならば, 単調増加, (/く Oならば1" < log( -(/)で減少,
.1" > log( -(l)で増加する.
方程式(2.10)を満たす(川、'/":2)に対しては, '/"2は/"1の関数と見なせることから,
r:2 = U 1 (.1" 1) = -
土
(('J'I + (/ 1 1 ./" 1 + b 1 )また, (2.11)を満たす(.1' 1、.1'2 )に対して, ハは,1'2の関数と見なせることから,
/"1この(.1'2 )二一
土
((、f2 + (/22.1"2 +ゐ)(2.26 )
(2.2T)
と, それぞれかける. (./" 1、./"2 )平面に曲線(2.26)、(2.2T)を描くと, 図2.5のようになる.
({IIくO、((22 < 0の場合はおお よそ, 図2.5のようになり, 解の最大個数は4ではな
いか と思われる. 一方, 図2. 6 のように, 2つ の曲線 が沿うように並ぶとき , 解 の倒 数が多く なると推測されるので, 以下では([11 > 0、(/22 > 0の場合を考える. 図2.5は,
第2章 ある2変数連立方程式の解の最大個数 23
x
[文J2..4:: .lJ = (、/. + (/./" + bのグラフ
([1 1二αμ二一3. ([1:2ニ([21 = 1. b1 =ん= -Jの場合であり, 凶2.Gは, 後に示す式(2.29)の 場合である.
曲線,1':2 = .Q1(.1'1)、,r1 =の(,1':2 )は通るべき点(.1'ト.r:2)を3点与えれば, 定数{αij、bi}は a 肩、に定めることができる.
連立方程式(2. 10).(2.11)は, (l ij・biを未知数,1'1・.1.':2を定数と見なせば, G変数の線形の連 j_L方程式で、ある から(,r1・.1':2)の組を3個与えれば, {αij' bi}は一意に定まる. ここでは,
その3点を原点( 0, ()), 第2象限(
(パL)
. J.�l))とする), 第4象限((.1'�:2)、ヴ))とする)に取る.まず, この3点を通るように係数(/ij、biを定め, その後, その方程式が最初に与えた3点以 外でも交点を持つかどう か調べる.
このときんを横軸, .r2を縦軸と考えれば, グラフの概形からJ'1→-∞においては,
:t:2 =仇(.7:1)よりも.1'2二.Qi1(.1'1)の方が上に位置する. ここで, dlは, のの逆関数で、ある.
•
1'1→∞においては, g1 (.1'1)の方が.f7iJ(.r 1)よりも上に位置する. このことから図2.G がり 個の解を持っとすると,\11t1111/
nHU ハU
一一
4〆】一-t-
f・ 、,,E& d- o ( ゾ 二 1 t At
/FtssE』BEE-\ 、一
>
nU AU
--
/l\ 一ru'El-
唱』YEι U J一 ( rk一
(2.28)が成立 する.
条件(2.28)を満た すよ うな点(11l)lf)).(42)♂))を探したところ,
(.r�l)
..r�l)) =第2章 ある2変数連立方程式の解の最大個数 24
6
4
2 X2
。
-2
-4
-6
-8
-8 -6 -4 -2 。 2 4 6
刈2.3: 2つの曲線.f:2 =仇(ハ)と.1' 1この(.r之). (αlト(122 < 0の場合)
。 4
-4
-8
- 12
Jo ,t kυ・FI
4
図2.6: 2つの曲線.r'2 = g 1 ( .r 1 )とれ=の(.r2)' (α11, (ln > 0の場合)
第2章 ある2変数連立方程式の解の最大個数 25
(-5, 1.7),
(.1'�2)バグ))
= (2, -5)う のときに, 式(2.28)を満足し, 最初に与えた3つの点以外に, 2つの解 (• T: 1, • C 2) = ( -2.389582 i 1.125106)ぅ(1.7018.J:8 ぅ-3.56(857)を持ち, 確かに3つの 解を持つことがわかった. このときの係数(/i jとlJiは式(2.19)(2.20)で与えられる.
また, 式(2.19)の行列Aは対称、行列ではないが, 対称であるような解を5個持つAも 存在する. 例えば,
I 0.12854.J: 0.9494.J:9 I
A =
I I
b1 = ん = -1I 0.949-149 0.128j.J:4 I
のとき, 方程式(2.10)(2.11)はちょうど5個の解を持つ.
2.5 まとめ
(2.29)
本章では, (/ ijが任意の実数を取るときの, 式(2.10)(2.11)の解が最大5個であることを 示した. この結果か ら, 式(2.9)の解の最大個数は一般の11に対して211個より大きいことが 示された.
第3章2トランジスタ回路の解の最大個数について 26
第3章
2トランジスタ回路の解の最大個数について
3.1 はじめに
トランジスタの個数だけがうえられた11与, あらゆる同路構造 あらゆる回路パラメータ (低抗値, 電源値)に対して, トランジスタが最大何例の直流動作点を持ち得るかという問
題は, 非線形回路の分野で最も関心を集めている問題の -つである. 同路中のトランジス タの個数をmとすると, 1JI=1.2のとき, 解の最大個数はl、3であることがすでに分かっ ている
[
3G][
37]
. このことから, 般のmのとき解の最大個数は, 2m-1ではないかとの想もあるが, 今までのと ころmど3については, この予想、が正しいか停かは明らかになっ ていない.
第2.2節で、/ぷ式した様に,Ebe児川e引r入‘ぶ\101日lモデデ、ル(図2.2幻)を用いれば, トランジスタ回路の回 路方程式は, 式(2.--1)で与えられる. すなわち,
Ti + Gv = J (3.1 )
1i 一一 ハu l --titil--111111」 Ih
--ょ
、t
「lita・lal--L 一一 五
@ Z z - @
Z @
T
一一
ここで, 't.りは, それぞれEbers- :\1011モデル中の非線形抵抗の電流と電圧ベクトル, Jは直 流電源と線形抵抗で決まる定数ベクトル,
d d
)は, 同モデル中のcccsの増幅率であり, 通常
心;
)勾0.5、Gr
)勾0.99であるが, 本章ではoくOn,Clj-' < 1 を満たす任意の値とす る. また, 行列 Gは, 図2.1の線賀多nポートのコンダクタンス行列である.Ebers- :\1011モデルでは, 通常, 非線形抵抗の�'-1特性は指数関数型が用いられるが, こ のときの方程式の解析は困難で、あったため, 本論文の第3章, 第4章では, 指数関数の代わ
りに理想、ダイオード特性を使用する. このモデルの簡略化により, 解析が容易になると思 われる. 素子特性としては式(2.G)のi = F(り)のかわり に,
第3章2トランジスタ回路の解の最大個数について 27
九三O、 {'". ::::; 0、i"'{'k = 0 (k二1,.・・.1/) (3.2 )
を用いる.
本章では, 式(3.1)において, 上述の(lυ. c;に対する物理的制約の下での解の最大{回数に ついて, 11/ = 2の場合を詳細に検討する. トランジスタの伺数が -般の111 個の場合を取り 扱うのが最終的な目標であるが, 現在のところそれ は傾めて困難であるので, この章では 問題解決の糸口として111 = 2の場合について議論し, この仮定の下では解のイ同数が高々。
個であることを示す. この結果肉体は 従来の結果, すなわち111 = 2のときのトランジス タ回路の解の最大個数が3という結果[.36][37]と比べ劣っているように思えるが, モデルの 削提条件が異なっており, 単純に比較できない(第3.3節も参照のこと). 本章の目的の一つ は, 理想ダイオード特性を布する[口|路の解の個数に対する新しい解析手法の提案にある.
711二2という簡単な場合ですら, 難しい問題を合むことを示す.
3.2
1トランジスタ回路に対する考察
本節では, トランジスタ1 1151と線形低抗, 直流電源からなる同路について, 解が常に1 個であることを, まずSanclber巳-\\ïlbollの定理を用いて示す. その後, 本章での仮定であ る, 非線形抵抗が理想、ダイオードである場令についても解が常に1個であることを示し,
171二1の場合にはこの仮定が妥、月であることを明らかにした.
図3.1のようにトランジスタが1個だけの回路の場合, 解の個数は常にl個である. こ のことは, 以下に示すように序論で紹介したSandberg-\Yillsonの定理[10][11]からもわか る.Sancll冗rg-\Villsonの定理で用いられているPo行列とは次のような行列である.
定義3.1 A.を実正方行列とする.1--11とA.の全ての主小行列式が非負であるとき」をlも行 列と呼び, AεP。と表記する.
トランジスタがl個の場合, エパース・モルモデル(図2.2)を用いて, 回路方程式は 般に
-BElli----Eli-
-i q〆 - 'hυ 'ハυ
rill--Ill--』 『lIllit--ー」
11 44 I l
「tillIll111』L 可ltalli--ーJ 4,F- ベノ一
11 ぺ/ - OJ 11 UU 司ノ UJ MU
FIll--Illi--L + 111lilt-B'lll」 、1l,, 、、11''
1I 44 1 1
,F'tt、 ,,ft、 '1 ・ 、ノ f l u
fj
「11111111111L 「Ilitz-'』titti-- ゾ』 0
1司ノ-
10 「lliti--lllL
(3.3 ) と書ける. ただし, fi (.r i )は狭義の単調増加関数であり, GiJは,
o < oij < 1 (3.--1 )
第3章2トランジスタ回路の解の最大個数について 28
L 上
一一2-24・�
I
Li�
ear 2・port N2[2(1 3.1: 1トランジスタ回路
を満たす. G = {.9ij}は凶3.1の線形2ポート入)のコンダクタンス行列である. このm = 1 の場合は, 図3.1の縦に並んだ3つの端rのうち, 巾うよとの端子が接地していると見なせるの で, Gは節点コンダクタンス行列(llod<、ぐりudllctall(,(, lllatl'ix)であり,
.91'2 = .9'21 ::; o. (3.3 )
1.9121 三.911 かつ |ク121 三g.n (3.G)
を満たす. このとき
-BElli--11111」 dr- 4ノ- 11 d,,-
のけJ HりJ lム Il -- EEム 44 1111111Ilit-El」 「l'lili--』 ηリリ ハソ 、ノ -
ハU
1 (3.7)
とおくと,
A
= 一
1-0凶Ll1I ・ I
.911 021.911 + (l的l θ1:2 + 0]'2.91:2 + g.21 021.<]12 +ωI • |
(3.8 )となり, 式(3.-4:)-(3.G)より, 行列止がPo行列であることが容易に示される. したがって,
Sandberg-\\ï11sonの定理より, 解のイ同数は, 定数ベクトルb = [b1.ん]'L'の値によらず, 常に 1個となる.
Ebers-:\1011モデルでは, 非線形抵抗の特性は指数関数型の単調増加関数が用いられる
が, 本章ではこれを 簡略化して理想、ダイオード特性とする. もちろん この簡略化によっ て, 解の最大個数が実際の回路で の解の最大個数 と一致しなくなるかも知れない. すなわ ち, 指数関数型の特性を理想、ダイオード特性でおきかえることは, 解の個数に本質的な違 いをもたらすかも知れない. しかしながら, この簡略化したモデルに ついてさえ, 解の寂 大個数は今まで得られていない ので, 検討'の意義は十分ある.
非線形関数f(.ri)を理想、ダイオードで置き換えると, 方程式(3.3)は,
第3章 2トランジスタ回路の解の最大個数について 29
関3.2: 111 = 1のH寺のグラフによる角引去
「lIIBIlli---J
IA 寸4
・hU 7ハυ
「1111111111L
11lili--」
1 2 t t
「11111111atti--L 『11111111111」 ペグ- ナ-
21 寸L UY οリJ -A 1A Ii 44 のリJ 内リi
r--ta1111111111」 + 1Illi--」
i1 44
・ 1 . l 「Illit--lIL 1Illi-111111J 44 -EA
ハ
寸,,d ・EA
1l G
FIl--'IBI--し
(3.9 )
I�三0、 /'i :S; 0、 1f..:{'J.: = 0 (3.10)
となる. 方程式(3.9)は4つのベクトルt1二(1. -(1:21 )T. t:2 = (-(l 1:2、l)T: -91 =一(!Jl 1・921)T.
-92 =一(ク12うの:2)T の'1、1:2、一川、_{1:2を係数とする線形和がb二(b1、ん)Tに ー致するととらえ ることができる. この時, 係数は式(3.10)を満たすように選ばなくてはならない. すなわ ち, "二l、2 について, If..、l'f.. のうちのいずれか ー方はOに等く, 係数'1./:2. -{'1. -l'2は非負 の値を取る.
刈(3.2)に, 条件(3...1)-(3.6)を考慮したときの4つのベクトルの位置関係を示す. この 図を良く見ると, 定数ベクトルbがうえられたとき, それを達成することの出来る係数の組
(il、'2・/'1
1
(12)はただ1通りしかないことがわかる. つまり, ベクトルbが図中の領域R1にあればt1としの和で, 領域R:2にあればt1と-9:2の和で, 領域R3にあれば-91としの和で, 領域 んにあれば-91と-92の和で表現される. ベクトルbがR1とR:2の境界線上にある場合には,
見2 通りの表現があるようにも思えるが, 実際には, i1 > O. i2二O./'1 = 0、{1:2二O という 通りの表現しかない. 他の境界線ιも同様に和の取り方は一通りである. また, ベクト ルbが原点にあるときは, 係数は'1 1:2二川=l':2 = 0 の一通りだけである. したがって,
ベクトルbが平面上のどこにあっても, 解はただ一つだけ存在する.
このように, トランジスタが1個の場合には, 理怨ダイオード特性を仮定しでも解の個 数について十分議論可能なことがわかる. 次の節からは, トランジスタ2個を含む回路に
�
第3章2トランジスタ回路の解の最大個数について 30
一AU八日一
l
Linear 4・port N4
関3.3: 2トランジスタ回路
ついて議論する. なお, 図3.2のよう なグラフによる解法は, 本章では使用しないが, 上述 の幾何的解釈は概念的には埋解の助けになるし, 後述の行列式の符号は それを構成する 各列ベクトルの位置関係に対応しており関連は深い.
3.3
問題の定式化
本稿では, 2個のトランジスタ, 線形抵抗, 直流電源からなる図3.3の回路について考 察する. この回路におけるトランジスタをEber干1\1011の等価同路で置き換えた回路を図 3.4に示す.
2トランジスタ回路 の場合, 回路方程式(3.1 )は71二4 のときに対応し, 以下のように干 くことカぎできる.
Ti+Gり=J
(3.11)1司 '}'
i = [i1宅 i21i3. i , d l � り二[('卜('2.
(';3, ('.1]「 1
1 -01'2 () o
-021 1 () 。
T=I
。 。 -ClJ-l
。 。 -04:1
第3章 2トランジスタ回路の解の最大個数について 31
八
A ZIψ 内I
α12Ï2
壬十汁 5
α2111
\γ l2 Iト
tH2
l2
N4
3
6
4
八-u
刈3.4:図3.1の巾のトランジスタをエパース・ モルモデルで置き換えた等価回路
Jは直流電源、と線形低抗で決まる定数ベクトル, 変数IJ..と{'/..は, h番目の理想、ダイオー ドの電流と電圧であり,
�'kik = 0, (k = 1�. .. .4) (3.12)
(3.13) IJ..どO. {'ん::;0
を満たす.
Eb(、rs-\1011モデル中のcccsの増幅窄(\ ijは, 次の仮定を満足するものとする.
仮定3.1 CCCSの増幅率o.ijは,
OくのIJくl (3.14)
を満たす任意の値とする. 口
注:実際のトランジスタでは0.12勾1. Cl:2l �芯1/2等が満たされているが, 本稿では仮定 3.1 のもとで検討する. 第3.1節で述べた従来の結果と本稿の結果との違いがこのような取り扱 いの違いによって生じていると想像される.
図3.4において入ヤは端子対1-,). 2-,). 3-G、-!-Gをもっ線形抵抗と直流電源、からなる線形4 ポートである. -! x 4行列Gは線形4ポート入)の短絡アドミタンス(コンダクタンス)行列 である. さらに, 一般性を失うことなく入)に 対し次のことを仮定する.