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Ⅰ. マレーシアの社会保障制度の変遷と動向 マレーシアの社会保障制度は大きく公務部門と民間部門に分かれており 公務部門では老齢保障 ( 老齢年金及び退職一時金 ) から遺族年金 障害年金 医療保障 労働災害保障まで充実した保障を 公務員社会保障局 ( 以下 JPA:Jabatan Perkhidma

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三菱 UFJ 銀行 国際業務部

August 24, 2018

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Ⅰ.マレーシアの社会保障制度の変遷と動向

三菱UFJ 信託銀行株式会社 年金コンサルティング部 主任調査役 菅谷 和宏

Ⅱ.事例に学ぶ、タイの社内不正対策

Hongo Toyo Accounting Co., Ltd. Thailand Managing Director 佐藤 洋史

Ⅲ.市場生産大国インド、世界の

2 割を占める―ジェネリック医薬品市場

infoBRIDGE Holdings Group Limited.

Ⅳ.経営者が知っておくべき海外赴任者の選任―失敗事例

2:赴任者にかかる

総コストを考慮せず選任してしまう

三菱UFJ リサーチ&コンサルティング株式会社 チーフコンサルタント 藤井 恵

Ⅴ.各国トピックス

【ベトナム】2019 年の最低賃金 5.3%引き上げ、過去最低水準 【インドネシア】政策金利、27 ヶ月振りの 5.5%へ 【タイ】第2Q の GDP 成長率 4.6%増加

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Ⅰ.マレーシアの社会保障制度の変遷と動向

マレーシアの社会保障制度は大きく公務部門と民間部門に分かれており、公務部門では老齢保障(老 齢年金及び退職一時金)から遺族年金、障害年金、医療保障、労働災害保障まで充実した保障を「公務 員社会保障局」(以下、JPA:Jabatan Perkhidmatan Awam Malaysia)が担う。一方、民間部門は、老 齢保障は「従業員積立基金」(以下、EPF:Malaysian Employees’ Provident Fund)(マレー語標記KWSP) が担い、遺族年金、障害年金、医療保障、労働災害保障は、「労働者社会保障機構」(以下、SOCSO: Social Security Organization)(マレー語標記 PERKESO)が担う。

1.マレーシアの社会保障制度

公務部門における老齢保障は、1875 年の連邦立法会議での創設を発端とし、1951 年の政府年金法に より創設された。JPA は 1980 年の年金法(Pension Act 1980)を基本法とし、職域毎にそれぞれ年金法 が制定され、職域毎に分かれた制度体系となっている。 民間部門における老齢保障は、イギリス植民地時代に発達したゴム園や錫(すず)鉱山の労働者のた めの簡素な貯蓄として開始された。1947 年にゴム園労働者による賃上げ要求と社会福祉制度の充実の ため、ストライキやデモが頻繁に起こるようになった。また、マラヤでは1948 年 2 月に発効した連邦 協定がマレー系住民に有利であるとして、非マレー系の中国系住民などが反発し、マラヤ共産党の武力 蜂起が起こったことから、政府は国民に安心を与える政策として、1951 年のマラヤ連邦立法会議にお いてEPF 法(Employees Provident Fund Ordinance)を成立させ、1952 年に民間労働者のための老齢 保障を担うEPF を創設した。1991 年には現在の EPF 法(The Employees Provident Fund Act 1991, Act 452)に整備され、民間部門の労働者は強制加入とされた。さらに、2010 年には自営業者、家事使用人、 非正規労働者、外国人労働者も任意で加入できることとなった。

民間部門の老齢保障以外については、1952 年に労働災害補償法(Workmen's Compensation Act 1952) が制定されたが、十分な効果が発揮できなかったため、1969 年に労働者社会保障法(The Employees’ Social Security Act 1969)が制定され、民間部門の労働者のための遺族年金から障害年金、医療保障、 労働災害保障を担う制度としてSOCSO「労働者社会保障機構」が 1971 年に設立された(図表 1)。 (図表1)マレーシアの社会保障制度 (1)連邦政府職員 (2)州政府職員 (3)法定機関職員 (4)地方機関職員 (5)軍隊 (6)判事 (7)議員 (8)政務 秘書官 一般被用者 (非正規雇用者及び自営業 者等は任意加入) 公務部門(公務員・軍人)

(JPA:Jabatan Perkhidmatan Awam Malaysia)

民間部門(EPF: Malaysian Employees’

Provident Fund)

(出所)筆者作成

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3 2.社会保障制度の体系 JPA は、退職時に退職一時金と併せて老齢年金が終身で支払われる。加入対象は、(1)連邦政府職員、 (2)14 州(含むクアラルンプール連邦直轄地)の政府職員、(3)法定機関職員、(4)地方機関職員、 (5)軍隊、(6)裁判所判事、(7)議員(連邦下院、上院、州議員)、(8)政務秘書官で、(1)~(4) で約120 万人となっている。(1)~(8)の職域毎に制度が分立しており、(1)~(4)の間での転職は ポータビリティが確保され、勤続年数が通算されるが、(1)~(4)とそれ以外の(5)~(8)の間で の転職については、勤続期間の通算は行われず、それぞれの制度から給付が行われる。 また、1991 年及び 1992 年の法改正により、これ以後に採用された公務員等は JPA か EPF のどちらかの 加入を自ら選択できるようになった。JPA は本人負担もなく、EPF よりも保障内容が手厚いため、ほと んどはJPA の加入を選択するが、民間企業に移った場合に JPA から EPF へのポータビリティがないた め、技術者や医師など、将来、民間企業に移る可能性が高い職業の人など、公務員等の約1%が EPF の 加入を選択している。 EPF は拠出建ての積立基金で、拠出された積立金に運用益を加算した金額が一括または毎月均等払い で支払われる(55 歳または 50 歳での引き出しが可能)。民間従業員には退職金がなく、EPF が老後所 得保障機能を担っている。加入対象は、民間企業で働く従業員及び公務部門で働くJPA に加入できない 非正規労働者やパート労働者で、企業規模や労働時間に関係なく強制加入となる。自営業者や家事使用 人、外国人労働者等は任意で加入することができる。なお、EPF は途中で転職した場合でも EPF 番号 が転職先に引き継がれ、積立資産が引き継がれる。EPF の加入者数(Active member)は、2014 年の 666 万人から 2016 年は 688 万人に 3%増加、加入企業は 530,166 社から 540,833 社に 2%増加した。マレ ーシアの全労働人口 1,449 万人(2015 年)のうち、公務部門労働者を除いた民間労働者の EPF への加 入割合は47%程度と想定される。 EPF の任意加入者数は、自営業者等約 190 万人で、そのうち自営業者と家事使用人が約 2.4 万人(1.3%)、 外国人労働者は約24 万人(12.6%)となっている(2012 年)。 EPF の個人貯蓄口座は、従来は「勘定Ⅰ~Ⅳ」に分かれていたが、「勘定Ⅲ」は、2007 年 1 月に廃止 されて「勘定Ⅱ」に統合された。「勘定Ⅳ」も2007 年に廃止され、現在は「勘定Ⅰ」と「勘定Ⅱ」の 2 つの勘定で管理されている。 <EPF の積立金(個人貯蓄口座)の管理方法>(図表 2) 【勘定Ⅰ】60 歳以降の老齢保障を目的とし、拠出金の 70%が積み立てられる。55 歳まで引き出しがで きず、55 歳または退職時に積立金と運用益の合計額を①一時払い、②毎月均等払い、③両方の組み合 わせから選択して受け取る。 【勘定Ⅱ】1980 年の法改正で創設され、住宅の購入や子どもの教育費、医療費を目的として拠出金の 30%が積み立てられる。これらの使用目的内であればいつでも引き出すことができ、50 歳になれば目 的外での引き出しも可能である。 【勘定Ⅲ】1994 年の法改正で創設され、重篤な疾病の治療費(家族にも適用)を目的として拠出金の 10%が積み立てられていたが、2007 年に廃止されて「勘定 Ⅱ」へ統合された。

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4 【勘定Ⅳ】2001 年の法改正で創設され、加入者が 55 歳になるまで「勘定Ⅰ」の積立金の最大 50%まで を任意で「勘定Ⅳ」に積み立てることができ、55 歳以上で 24,000 リンギ以上の積立金があれば、55~ 75 歳まで毎月 100 リンギの最低年金を受け取る。55 歳到達時に一時金で受け取る人が多く、短期間で 消費してしまう傾向があることから導入されたが、実際には「勘定Ⅳ」を使用する人がごく少数であっ たため2007 年に廃止された。 (図表2)EPF の積立金口座管理方法 (出所)筆者作成 SOCSO には、障害年金、遺族年金、医療保障、労働災害保障の 4 つの機能がある。労働災害保障に は、労働災害を負った場合の給与保障や医療費の支給が含まれる。加入対象は、マレーシア国籍及びマ レーシア永住権を持つ民間企業の労働者で、年齢や労働時間に関係なく非正規労働者も対象となる。な お、自営業者や家事労働者、外国人労働者は加入対象外である。労働者のうち強制加入者は賃金が月額 3,000 リンギ(約 84,600 円)未満の者で、月額 3,000 リンギ以上の労働者には加入義務はないが、雇用 主の了承を得て任意で加入することができる。なお、月額3,000 リンギ未満であった者が、昇給等によ り3,000 リンギ以上になった場合は、そのまま加入し続ける必要がある。加入者数(Active member) は2014 年の 620 万人から 2016 年には 659 万人まで 6.3%増加、加入企業は 40 万社から 42.7 万社に 6.7% 増加した。マレーシアの全労働人口1,449 万人(2015 年)のうち、公務部門労働者を除いた民間労働者 のSOCSO への加入割合は 45.5%程度と想定される。 種類 目的・使用用途 備考 勘定Ⅰ 60 歳以降の老齢保障を目的として拠出金の 70%を積 み立て 55 歳以降受給可 勘定Ⅱ 住宅購入,教育費,医療費を目的として拠出金の30% を積み立て 目的内であれば いつでも支払可 勘定Ⅲ 重篤な疾病の治療費を目的として拠出金の 10%を積 み立て 2007 年に廃止 (勘定Ⅱへ統合) 勘定Ⅳ 55 歳まで「勘定Ⅰ」の積立金の最大 50%までを任意で 「勘定 Ⅳ」に振替、24,000 リンギ以上になれば,55 ~75 歳まで毎月 100 リンギの最低年金が支給される 2007 年に廃止

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5 3.公的年金の支給要件と給付額 JPA の支給開始年齢は従来 55 歳であったが、法令により段階的引き上げが行われ、2012 年 1 月 1 日 から公務員の退職年齢が58 歳から 60 歳に引き上げられたことに合わせて 60 歳となっている。 老齢年金の受給要件は、6~24 カ月の試用期間終了後、3 年経過後に次の事由で退任し 60 歳(2012 年1 月 1 日以降退職者)に達した場合または在職中及び年金受給中に死亡した場合である。退任事由は、 ①60 歳に達した場合(2012 年 1 月 1 日以前は 58 歳到達時)、②健康上の事由による退任、③部署や事 務所の廃止による退任、④組織の統廃合による退任、⑤公共の利益のための強制退職、⑥外国籍を取得 した場合、⑦就業時の虚偽申告による解雇である。勤続10 年以上で 40 歳以上であれば、本人の意志に よる任意退職時でも老齢年金が支給される。本人が業務上での災害を負った場合は、労働災害の程度に 応じて障害年金が支給される。本人が就業中または年金受給中に死亡した場合は遺族に遺族年金が支払 われ、配偶者または未婚の子どもが21 歳になるまで(21 歳以上でも高等教育を受けている間は卒業す るまで)支払われる。本人が就業中に死亡した場合の退職一時金は配偶者または子どもに、本人が独身 の場合は両親に支払われる。医療保障は、就業中及び退職後も、本人と配偶者及び子どもについて、政 府医療機関での医療費が無料となり、入院した際には補助金が支給される。本人が死亡しても配偶者及 び子どもが18 歳になるまでは医療保障が受けられる。 退職一時金の算定方法は「7.5%×勤続年数(上限なし)×最終給与」で、退職時に有給休暇が残っ た場合は150 日を限度として、有給休暇 1 日あたり「1/30「月額報酬(賃金+諸手当)」が加算される。 年金の算定方法は「1/600 方勤続年数(上限 360 カ月)×最終給与」で、年金額の計算時には財政上の 理由から勤続年数については2009 年 1 月 1 日より 360 カ月が上限とされ、年金額は最終給与の 5 分の 3 以下となるように上限が設けられている。年金額は 25 年以上勤務した場合には最低保障額として月 額720 リンギ(約 20,300 円)を支給。また、年金額は 1980 年に賃金の上昇に応じて毎年の年金額を改 定する仕組みが導入されたが(過去 10 年間の平均賃金上昇率は 2.6%)、年金額改定の煩わしさから、 今後のマレーシア経済の成長率を見込んで、2013 年以降は年金額を毎年一定率(2%)増額する仕組み に変更された。 一方、民間企業の定年年齢は従来規定がなく、大部分の企業で55 歳定年制を採用していたため、EPF からの引き出し年齢も55 歳と規定されていた。しかし、公務員の定年年齢の 60 歳への引き上げに伴い、 民間企業の定年を60 歳に義務付ける「最少退職年齢法案」(Minimum Retirement Age Act 2012)が 2012 年6 月 28 日に下院議会で承認、同 7 月 17 日に上院議会で承認され、2013 年 7 月 1 日に施行された(同 法施行前に55 歳以上で退職しその後再就職する者を除く)。なお,EPF からの引き出し可能年齢は、従 来どおり「勘定Ⅰ」は55 歳、「勘定Ⅱ」は 50 歳である。加入者が死亡した場合及び障害により働くこ とができなくなった場合は、積立資産にプラスして、死亡時に 2,500 リンギ、障害時に 5,000 リンギの 付加給付金が遺族または本人に支払われる。 SOCSO の受給要件は、55 歳までに疾病となり、政府の医療機関による証明書を受け、さらに保険料 の納付要件が満たされていることが必要となる。民間の医師に証明書を受けた場合は、不正申請防止の ために政府担当医師の確認書が必要である。保険料の納付状況により、「本来給付」と「減額給付」の 2 種類の給付がある。

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6 本来給付は、直近の40 カ月の間に 24 カ月間以上の保険料納付済期間があること及び SOCSO に加入 してからSOCSO が障害年金の申請を受理した月まで少なくとも 3 分の 2 以上の保険料納付済期間があ ることが必要。本来給付の支給額は、保険料納付済期間に応じて平均賃金の 50~65%相当額が支払わ れる。保険料納付済期間が 24 カ月を超える同期間に対しては、12 カ月につき平均賃金の 1%を加算し た金額が加算される(平均賃金は直近24 カ月の標準賃金を対象とする)。減額給付は、加入してから障 害年金の申請が受理された月まで、3 分の 1 以上の保険料納付済期間があること及び最低 24 カ月間の 同期間が必要。減額給付の支給額は、平均賃金の50%相当額または最低月額 250 リンギが支払われる。 障害給付金及び遺族給付金は非課税扱いとなる。障害年金の受給者数は2014 年の 49,959 人、給付総額 4 億 9,682 万リンギから、2016 年には受給者 58,436 人(17%増加)、給付総額 6 億 1,148 万リンギ(23% 増加)となり、遺族年金の受給者数は 2014 年の 216,001 人、給付総額 8 億 3,470 万リンギから、2016 年には受給者249,018 人(15%増加)、給付総額 10 億 5,234 万リンギ(26%増加)となっている。今後も 人口増加による、障害給付及び遺族給付の増加が見込まれ、財政への負担はさらに重くなっていくと考 えられている。 4.社会保障制度の財源 JPA の財源は、政府及び地方機関が保険料を全額負担し、本人負担はない。連邦政府及び州政府は職 員給与の 5%、地方政府及びその他の法定機関は職員給与の 17.5%を「連邦統合基金(Federal Consolidated Fund)」に拠出する。 EPF の財源は、雇用主と従業員の保険料により賄われており国庫負担はない。保険料は 60 歳未満(「最 少退職年齢法案」2013 年 7 月 1 日施行に伴い 2013 年 8 月以降は 60 歳未満に変更)と 60 歳から 75 歳 までの2 段階の拠出率が設定されている。拠出率は 1951 年の制度発足当初は労使共に各々5%で開始さ れたが、1954 年の法改正で、労使いずれかの意向により、この率に上乗せした拠出が認められるよう になった。1977 年からは、雇用主は従業員よりも高い拠出率としなければならない規定が加えられ、 拠出率の下限も雇用主7%、従業員 6%に引き上げられた。2004 年 6 月には雇用主 12%、従業員 11% に引き上げられ、さらに2012 年 1 月からは雇用主 13%(但し、従業員の月収が 5,000 リンギを超える 場合は12%)、従業員 11%に引き上げられた。定年年齢以降の 60 歳~75 歳までの拠出率は、雇用主 6.5% (但し、従業員の月収が5,000 リンギを超える場合は 6%)、従業員 5.5%である(図表 3)。従業員の拠 出分は、一般の生命保険の保険料と合わせて年間6,000 リンギまで所得控除が受けられる。雇用主は税 控除の対象給与総額の19%まで損金算入が認められる。 (図表3)EPF 強制加入者(被用者)の拠出率(2013 年 8 月 1 日以降) (出所)筆者作成 区分 年齢 月額給与 雇用主 従業員 被用者 60 歳未満 5,000 リンギ以下 13.0% 11.0% 5,000 リンギ超 12.0% 11.0% 60~75 歳 5,000 リンギ以下 6.5% 5.5% 5,000 リンギ超 6.0% 5.5% 外国人 労働者 5 リンギ 11.0%

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7 自営業者等の任意加入者は、自分で拠出額を決められ、最低で 50 リンギ、最大で 5,000 リンギ(約 133,500 円)まで自由に拠出することができ、毎月拠出する必要はなく、いつでも好きな時に拠出でき る。また、自営業者等への政府補助として、本人が拠出した金額の5%相当額(最大で年間 60 リンギ) を政府が補助する措置が取られている。外国人労働者は、本人が月給の 11%、雇用主が月額 5 リンギ を拠出する(図表4)。 SOCSO の財源は、雇用主と従業員の保険料で賄われており、労働災害保険は、給与の 1.25%を雇用主 が全額拠出し、障害年金及び遺族年金については給与の1.0%を雇用主と従業員が折半し、0.5%ずつ拠 出する。 (図表4)EPF 任意加入者(自営業者)の拠出額 (出所)筆者作成 5.社会保障制度の管理運営と資産運用 JPA は、全額国庫負担の賦課方式(pay-as-you-go)が採用され、拠出された資金は「連邦統合基金 (Federal Consolidated Fund)」として政府予算全体の中で、他の予算と一緒に財務省により管理がな されている。 EPF は、積立方式による拠出建て制度で、積立金の運用益は非課税で、積立金の運用利回りには、2.5% の最低保障利率が付与されている(2016 年度のリターンは 5.70%)。2016 年の総資産額は、2014 年の 6,365 億リンギから 7,311 億リンギ(約 20.6 兆円)に 14.9%増加し、これはマレーシアの 2016 年の名目 GDP である 1 兆 2,295 億リンギ(約 34.7 兆円)の 60%に相当する。加入者は 2014 年の 666 万人から 2016 年は 688 万人と 3%増加し、1 人当たりの資産額は 2014 年の 95,570 リンギから 2016 年は 106,266 リンギ(約 300 万円)まで増加した。EPF の資産額はアジアでは日本(GPIF)を除いて、韓国に次い で2 番目に大きな年金ファンドとなっている。 区分 本人拠出 政府補助 自営業者等 50~5,000 リンギの範囲で拠出 本人拠出の5%(年間最大 60 リンギ)

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EPF における投資の基本方針は、積立金の保護を第一とした低リスク運用が行われている。積立金の 投資対象は、1991 年の EPF 法第 26 条(EPF Act1991, Section26)により規定され、従来は政府関連証 券(MGS)に 70%以上を投資することが義務付けられていた。マレーシア政府は、1970 年代から公的 機関による土地開発政策を進め、国債の発行により財源を調達し、国債の引き受け手として EPF が財 源を提供していた。しかし、1990 年代に公的機関の民営化が進められ、政府関連証券(MGS)の発行 額が減少、一方では EPF の資産規模が増大を続けたことから需給関係がアンマッチとなり、政府関連 証券(MGS)への投資割合が 50%以上に引き下げられ、さらに 1997 年には同条項の適用が免除された。 これによりEPF の資産は、貸付(ローン)、株式、金融市場などへ投資対象の拡大が行われるようにな った。また、ボラティリティリスクと為替リスクへの対応から、海外債券、海外株式、海外不動産、プ ライベートエクイティ等への分散投資の拡大政策が進められ、2011 年には通貨変動への対応として海 外資産投資におけるガイドラインを策定し、為替ヘッジ政策が導入された。海外資産への投資割合は 23%まで認められており、2015 年には日本の不動産への投資も開始された。基本方針による政策アセ ットミックスは、政府関連証券(MGS)及び債券・貸付(ローン)51%、株式 36%、金融市場 3%、不 動産10%と規定。2016 年度の実際の投資割合は、政府関連証券(MGS)24.8%、債券・貸付(ローン) 23.8%、株式 42.3%、金融市場 5.1%、不動産 4%で(図表 5)、2016 年度の投資リターンは 5.70%であ った(図表6)。 SOCSO の 2016 年の総資産額は、2014 年の 225 億リンギから 265 億リンギ(約 7,473 億円)まで 17.7% 増加し、加入者は2014 年の 620 万人から 2016 年には 659 万人まで 6.3%増加した。積立金投資の基本 原則は、資産の保護を第一とした安全原則が貫かれ、固定金利などによる低リスク運用が行われている。 アセットアロケーションは、財務省により定められ、2016 年度の投資割合は、政府関連証券(MGS) 40.5%、民間社債(CDS)11%、金融市場 28.5%、国内株式 17.6%、不動産 2.4%となっている。なお、 SOCSO でも不動産投資を 2016 年より開始した(図表 7)。 (図表5)EPF 資産構成割合(2016 年) 投資商品 割合 投資商品 割合 政府関連証券(MGS) 24.8% 国内株式 42.3% 債券・貸付(ローン) 23.8% 不動産 4.0% 金融市場 5.1% (合計) 100% (出所)KWSP(EPF)「ANNUAL REPORT 2016」p.70 より筆者作成

(図表6)EPF の配当率(Dividend Rates)(2000 年~2016 年) (%)

(出所)KWSP(EPF)「ANNUAL REPORT 2016」p.66 より筆者作成

2000年 2001年 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 6.00 5.00 4.25 4.50 4.75 5.00 5.15 5.80 4.50 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年

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9 (図表7)SOCSO 資産構成割合(2016 年) 投資商品 割合 投資商品 割合 政府関連証券(MGS) 40.5% 国内株式 17.6% 民間社債(CDS) 11.0% 不動産 2.4% 金融市場 28.5% (合計) 100% (出所)PERKESO(SOCSO)「ANNUAL REPORT 2016」p.145 より筆者作成 6.社会保障制度の管理監督

JPA の資産は、政府予算である「連邦統合資金(Federal Consolidated Fund)」に積み立てられ、財 務省により予算管理が行われている。

EPF は、保険料の徴収、積立金の運用、積立金の支払いを行っており、マレーシア議会への報告義務 を負う。所管官庁は財務省で、EPF 理事会が設置され、運営方針の決定が行われる。EPF 理事会は政労 使の代表と国際金融や会計の専門家により構成されている。また、EPF 理事会と同じレベルの位置付け として、中央銀行と財務省の専門家による投資委員会が設置され、積立金の投資方針や投資戦略が決め られる。EPF 理事会は 2 カ月に 1 回開催されるが、投資委員会(Investment Panel)は市場の上下動に すばやく対応するために隔週で開催されている。EPF の投資戦略は常に適切なアセットクラスへのリス ク分散を確実に行うことにあり、投資行動に対しては厳しい投資基準が適用され、全ての投資行動を行 う前に、投資行動と意思決定について、マネジメント投資委員会、リスクマネジメント委員会、投資委 員会リスク小委員会、投資委員会により内容が精査される。EPF の本部は首都クアラルンプールにあり、 各州に全67 の支社(Branch office)がある。 SOCSO は、保険料の徴収、積立金の運用、積立金の支払いを行っており、所管官庁は財務省である。 投資戦略部門が置かれているが、投資方針は財務省の指針に基づいて行われており、SOCSO の本部は 首都クアラルンプールにある。 7.社会保障制度に関する課題と方向性 マレーシアの社会保障制度は、公務部門は全額国庫負担により本人負担はなく、老齢保障(年金)と 医療保障は終身である。一方、民間部門の老齢保障は雇用主と従業員による保険料を財源とする積立基 金で国庫負担はなく、公務部門と民間部門には大きな格差がある。世界保健機構(WHO)の「World Health Statistics 2017(世界保健統計 2017)」によると、マレーシアの平均寿命は男性 73 歳、女性 77 歳、人口は 3,033 万人(2015 年)、合計特殊出生率は 2.1%となっており、厚生労働省「海外情勢 2016 年」によると、高齢化率は5.8%(2015 年)まで上昇している。さらに、経済社会総合研究所(ESRI) の推計によると、2050 年には人口は 3,995 万人の 1.3 倍に増加し、同年には平均寿命が男女平均で 79.6 歳まで延び、高齢化率も 15.7%まで上昇する見込みである。一方、合計特殊出生率は 1.85%に減少し、 今後、急激な少子高齢化が進展すると予想される。 そのため、JPA では、将来的な財政上の懸念から、本人拠出を含めた積立方式の調査研究を始めたと のことであったが、今すぐに現行制度が変更されることはないと思われる。仮に将来的に本人拠出が行 われたとしても、医療保障、労働災害保障、遺族保障については、本人拠出分だけで現在の保障水準を 維持することは困難であり、引き続き政府負担が必要であろうとの考えを示した。

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10 SOCSO でも、同じように今後の人口増加に伴い、就業人口が増え、労働災害や障害年金、遺族年金 の給付が増加する懸念から、資産と負債のバランスがどのように変化していくのかを調査したうえで、 今後の対応方針を考えていく必要があるとの考えを示した。1971 年の制度設立以来、保険料率が変更 されておらず、今後は保険料率の引き上げも検討せざるを得ないだろうとの見方である。 EPF の加入者は民間労働者の 47%程度(2016 年)に留まり、老後保障がない民間労働者が半数以上 存在する。また、EPF に加入していても、ほとんどの人が退職時に一括で受け取り、短期間に使用して しまうことが問題となっている。そのため、政府は社会福祉政策として、所得がない高齢者に対して高 齢者手当の支給を実施しており、60 歳以上で生計を得る手段がなく、介護する家族を欠く者に対して、 月額300 リンギ(約 8,460 円)を支給しているが、十分な水準とは言えない状況である。

そのため、政府は世界銀行の「Multi-pillar Pension Framework」に基づき、「基本的社会保障(Pillar Zero Service)」政策として、2007 年から「基礎貯蓄計画(Basic Saving Plan)」を進め、55 歳までに 12 万リンギ(約338 万円)を貯蓄するよう国民に推奨し、退職後毎月 700 リンギ(約 19,740 円)を平均 寿命まで生活費として使用できるように、個人資産の積立策を推進しようとしている。

現在、EPF や SOCSO に加入していない企業が約 15~20%あると想定されており、政府は 2007 年 1 月に導入した「国家事業登録システム(Malaysia Corporate Identity:My CoID)」を利用して、加入と 保険料徴収の促進を図っている。「My CoID」は、マレーシア国内で起業をする際に、国家事業認可シ ステム(BLESS)を通じて必要な登録申請手続きが一度で行えるように簡素化したものであり、マレー シア国内で会社登記を行うと、マレーシア企業委員会(SSM)に登録され、「My CoID」で付された企 業番号(6 桁+CD1 桁=7 桁番号)が、IRB(内国歳入庁)、LHDN(内国歳入委員会)、HRDF(人的資 源省)、EPF、SOCSO 等の関係省庁に登記情報と共に自動的に送付される。しかし、「My CoID」が適 用されているのは、マレーシア企業委員会(SSM)の登録権限がある西マレーシアのみで、東マレーシ アのサバ州、サラワク州には適用されておらず、十分に機能しているとは言えず、未適用州への適用範 囲の拡大が緊急の課題となっている。

8.新しい個人退職勘定制度「PRS(Private Retirement Scheme)」の動向

2007 年に資本市場サービス法(Capital Markets and Service Act 2007)を制定し、マレーシア証券委 員会(The Securities Commission Malaysia)の下で、EPF を補完し証券市場を通じた個人の自助努力 による老後資金の貯蓄を目的とした「民間退職年金スキーム(PRS)」が、2012 年 12 月から開始された。 これは 18 歳以上の全てのマレーシア国民および外国人労働者が任意で加入できる確定拠出型の個人退 職勘定制度で、加入者は政府証券局に認可された PRS プロバイダーである民間金融機関(外資系は、 アメリカン・インターナショナル・アシュアランス、マニュライフ・アセット・マネージメントの2社、 国内系は、Affin Hwang キャピタル、RHB アセット・マネージメント、AM インベストメント、CIMB プリンシパル、Kenanga インベスター、パブリック・ミューチュアルの 6 社で合計 8 社)(図表 8)と 契約し、民間年金管理機構(PPA:Private Pension Administrator)に個人口座を開設する。

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11 (図表8)PRS のプロバイダー8 社(2016 年) (出所)PRS Providers(http://www.ppa.my/prs-providers/)より筆者作成 PPA は PRS に関する情報を一元的に管理する機関で、PRS に関する登録情報や取引記録を管理し、 プロバイダーの運営状況をモニターする義務を負う。PRS プロバイダーは、株式、債券、預金、投資信 託、不動産などのリスク・リターンの異なる複数のタイプの投資商品を用意し、加入者はその中から自 由に選択して運用し、スイッチングはいつでも可能。複数のプロバイダーで運用することもでき、それ らのスイッチングは年1 回可能。なお、運用指図を行わなかった場合には、年齢に応じたデフォルトフ ァンドで運用される。また、企業が従業員のためにPRS を利用することもでき、企業が PRS プロバイ ダーと契約を締結し、事業主が拠出することや、従業員と合わせて拠出することもできる。拠出は一括 でも毎月でも可能で、プロバイダー間での口座の移換もできる。個人口座は 2 つに分かれ、拠出金の 70%が A 口座(sub-account A)に拠出され、55 歳に達するか海外移住するまで引き出せず、残りの 30% はB 口座(sub-account B)に拠出され、年 1 回引き出すことができるが、途中で B 口座から引き出し た場合は8%のペナルティ課税がなされる(図表 9)。加入者が死亡した場合は遺族に積立金が支払われ る。 (図表9)PRS の積立金口座管理方法 (出所)筆者作成 加入者は、個人口座への拠出について年間 3,000 リンギ(84,600 円)を上限に所得控除が受けられ、 運用収益も非課税となる。また、事業主がPRS に拠出することも可能で、その場合は EPF への拠出分 も含めて税控除の対象給与総額の 19%まで損金算入が認められ、従業員の福利厚生制度として活用す ることができる。引き出しは55 歳以降に非課税で一括または分割での受け取りができる。PRS への管 理手数料は低くなるように指導され、PPA 口座の管理費は無料である。マレーシア証券委員会へのヒア リングによると、PRS は、公務部門と比較して老後所得保障機能が十分でない民間部門の労働者と自営 業者の年金制度を充実させると共に、マレーシアの証券市場を発展させようとする意図が含まれている とのことである。 プロバイダー会社名

外資系 AIA Pension and Asset management Sdn. Bhd. Manulife Asset management Services Berhad

国内系

Affin Hwang Asset Management Berhad RHBAsset Management Sdn. Bhd. Am Funds Management Berhad

CIMB-Principal Asset Management Berhad Kenanga Investors Berhad

Public Mutual Berhad

種類 目的・使用用途 引き出し要件

A 口座 老齢保障を目的,拠出金の70%を積み立て 55 歳以降,海外移住時引き出し可 B 口座 拠出金の30%を積み立て 年1回引き出し可(但し8%課税)

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12 9.さいごに マレーシア経済は現在順調に推移しており、2018 年 第 1 四半期(1~3 月期)の GDP 成長率は 5.4% となり、2018 年に 1 人当たり GDP は 1 万 US ドルに達した。輸出産業が好調で、従来の輸出品であっ た錫(すず)やゴム、パーム油から、現在では機械類の輸出が大半を占めるようになり、2018 年上半 期も貿易黒字を継続し、貿易額は前年度比5.3%増となった。 ナジブ・ラザク前首相は、「2050 年国家改革」に向け、2018 年予算案において前年比 7.5%増の 2,803 億リンギ(約7 兆 9,045 億円)を計上し、経済、社会福祉、地方開発を含めたインフラ整備など幅広い 政策を盛り込んだ。しかし、マレーシアで1957 年にマラヤ政権が独立して以来、60 年間にわたりマレ ー国民組織(UMNO:United Malays National Organization)が与党第一党として政権を握ってきたが、 ナジブ前首相の政府系投資ファンド「1MDB」の資金流用疑惑から、マハティール・モハマド首相率い るPH(Pakatan Harapan)など野党連合が、5 月 9 日の第 14 回連邦議会下院総選挙(定数 222 議席) で過半数を獲得し、マレーシア史上初めてとなる政権交代が行われ、92 歳のマハティール首相が 2003 年に22 年にわたる首相退任後 15 年ぶりに第 7 代首相に再び就任した。2015 年の消費税導入後、物価 上昇に苦しむ中低所得層を中心に与党連合の地盤であった地方のマレー系層にも支持を拡大した。マレ ーシアの消費税GST(Goods & Service Tax)の廃止(6 月 1 日より 0%に変更済)と SST(Sales and Service tax)の復活(9 月導入予定)、最低賃金の引き上げなどが実施されていく。また、ナジブ前首相が行っ てきた大規模なインフラ投資などが財政を圧迫しており、これらについても見直しが行われる予定であ る。 GDP 拡大や貿易黒字など経済状況が好調な一方、今後、少子高齢化が急速に進展していくマレーシ アにとって、全ての国民を対象とする社会保障制度が必要とされている。このような状況下、老後保障 が乏しい民間部門労働者や自営業者等に対する社会保障政策のひとつとして PRS が期待されており、 今後のその動向が注目される。(本稿では、1 リンギ=28.2 円で換算、2018.2.5)。 本稿における意見等については、筆者の個人的見解であり所属する組織のものではありません。 ***************************************************************** 〈主な参考文献〉

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13 記事提供:三菱UFJ 信託銀行株式会社 年金コンサルティング部 主任調査役 菅谷 和宏 (2018 年 8 月 21 日作成)

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Ⅱ.事例に学ぶ、タイの社内不正対策

1. はじめに •タイに進出している日系企業は、バンコク日本人商工会議所加盟数では1,762 社(2018 年 4 月現在)、 日本貿易振興機構(JETRO)の 2017 年調査では 5,444 社となっています。 •製造業の進出はほぼ一巡し、現在はタイ国内市場を狙った進出が増えています。 •進出済みの日系企業において社内不正は少なからず発生しています。弊社で見聞きした事例を基に その対策を考えたいと思います。 2. 社内不正発生の背景 •社内不正発生の背景として、以下の要因が挙げられると思います。 (1)タイの特徴 1)プライド •タイではプライドが高い人が多いといわれています。人前で注意されたり、自分のプライドが傷つ けられたと感じるとすぐに辞めてしまう場合もあります。翌日から来なくなる、あるいは1 カ月前 の通知で退職することもあります。 •この場合、当然後任へのきちっとした引き継ぎは期待できません。 2)寄付・施しの文化 •もうかっている会社からお金をいただき、困っている親族にお金をあげたという事例がありました。 このような考え方で横領を正当化する人も中にはいます。 3)争いを好まない傾向 •社内での不正を目撃しても、上司に報告することで自分が巻き込まれることを避けようとします。 4)ホウ・レン・ソウは期待薄 •日本では社会人になると、報告・連絡・相談の基本的なことを求められます。タイでは自分に都合の 悪いことを上司に報告することは少ないようです。こちらから聞きに行かないと本当のことは話し てくれません(本当のことを話さない場合もあります)。 (2)低い失業率 •2017 年のタイの失業率は 0.7%とほぼ完全雇用の状況です。また、実家や親族が店を経営している 社員も多く、退職してもすぐに働き口が見つかる場合が多いようです。退職に対するハードルはと ても低い状況です。 (3)解読できないタイ語 •タイ語を理解できる日本人は少ないでしょう。小切手の宛名は英語で書いてもらえれば読めますが、 ネットバンキングの振込先はタイ語のことが多いため、信頼して承認キーを押すしかありません。

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15 (4)社内のコミュニケーション不足、任せきり •タイの社員やスタッフとタイ語で会話ができる日本人は少ないと思います。優秀と思われる経理ス タッフに全面的に頼り、任せきりにすることはリスクが大きいようです。 •日頃からよく声を掛けていれば、この上司に迷惑を掛けたくないという気持ちが起こります。 (5)不十分な社内管理体制 •タイ駐在の経営者や幹部職の方は営業畑や技術畑の方が多いと思います。管理業務には一般的に不 慣れで苦手なため、会社の財務諸表もチェックするのは売り上げと最終利益だけになりがちです。 この状況では、部下は何でもできてしまいます。 (6)弱い管理システム •タイには日本のように、手頃な値段で購入できる管理系ソフトウエアがありません。 従って、高額な統合基幹業務システム(ERP)を導入するか、エクセルベースで管理するか、のい ずれかとなり両極端になってしまいます。 •エクセルベースの管理となると部署間の情報共有がなく、相互チェックが働きません。 3. 事例 •弊社グループの監査法人が日系企業を監査した際に、以下のような不正事案が発覚しています。

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16 4. 社内不正防止対策 (1)社内のコミュニケーションを図り、部下に任せきりにしない。 (2)経理もよく見ているという姿勢を示す。 (3)経理と資金担当者を分け、チェックが働く体制にする。 (4)損益計算書(P/L)だけでなく、貸借対照表(B/S)も月次で内容をチェックする。特に、売 掛金、預け金、保証金等。 (5)本社や外部監査による定期的なチェックを実施する。 (6)匿名の内部通報制度の導入も有効である。 (7)クラウド会計ソフトの導入により、本社からもチェックできる体制を整える。 5. おわりに •上記の通り、社内不正は日系企業だけでなく、あちこちの企業で起こっています。自社は大丈夫と 安易に考えずに、最低限の対策はしておきましょう。 •社内の仕組み(管理システムの導入、部署間のけん制機能等)を整えて、ちょっとした出来心によ る不正が起きにくい環境にしていきましょう。 •最終的にはタイの社員やスタッフとの良好な関係が築けているかどうかにかかっています。日頃か らコミュニケーションを十分に取り、明るく楽しい会社にしていきたいものです。

記事提供:Hongo Toyo Accounting Co., Ltd. Thailand Managing Director 佐藤 洋史

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Ⅲ.市場生産大国インド、世界の

2 割を占める―ジェネリック医薬品市場

概要 インドは世界最大のジェネリック医薬品大国であり、その市場規模は2020 年には 279 億米ドル到達 が見込まれている。国内のみならず欧州各国でもインド製品が普及しており、民間企業による欧州メー カー買収も相次いでいる。市場拡大の背景にはインド独特の特許制度や政府支援策が挙げられる。 市場規模 インドの後発医薬品(ジェネリック医薬品)の市場規模は、2010 年の 100 億米ドルから 2015 年は 2 倍超の210 億米ドルに到達し、2020 年には 279 億米ドルになると見込まれている。 【インドのジェネリック医薬品市場規模推移】 グラフは以下を基に infoBRIDGE が作成 インドは世界最大のジェネリック医薬品の生産国である。米国のジェネリック医薬品市場は年間700 億~800 億米ドル規模、そのうちインド産製品が占める割合が総量に対し 30%、総額に対し 10%を占 めているという。国内市場では、医薬品市場の7 割をジェネリック医薬品が占めている。 出典

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18 【インドの医薬品売上製品別内訳(2015 年)】 グラフは以下を基にinfoBRIDGE が作成 市場動向 世界のジェネリック医薬品の2 割がインド産ともいわれているが、その背景には医薬品に関わる特別 な特許制度の事情がある。 1970 年に制定された「1970 年特許法」では、医薬品の製法のみを保護対象とし、薬品そのものには 物質特許を認めない、というものだった。先進国のメーカーのように多額の開発費を捻出できない国内 メーカーのジェネリック生産を合法的に認め、先進国の高額な医薬品特許成立を防ぐことで、安価な医 薬品を普及させる目的が功を奏し、ジェネリック市場の拡大につながった。 2010 年代に医薬品大手メーカーのスイスのノバルティス、ドイツのバイエルがインドの特許庁や医 薬品メーカーを相手に裁判を起こしているが、最高裁はいずれも訴えを棄却し、インド側を支持してい る。 出典 2008 年、インド政府は安価なジェネリック医薬品の普及を目的とし、ジェネリック医薬品を販売す る専門薬局「Jan Aushadhi Stores」の設立を推進する「Jan Aushadhi」政策を発表(のちに薬局名称は 「Pradhan Mantri Bhartiya Janaushadhi Kendra(PMBJK)」、政策名称は「Pradhan Mantri Bhartiya Janaushadhi Pariyojana(PMBJP)」に変わっている)。第 1 号店は 2008 年 11 月、パンジャブ州アムリ トサルにオープンしており、インドの全地区(District)への新設が目標に掲げられている。

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19 PMBJK は、2008 年 12 月に、化学肥料省傘下の製薬局によって設立されたインド医薬品公共企業局 (BPPI)が管轄している。2015 年には PMBJK 新設にかかる手続きを簡素化し、2,000 ルピーの新設手 数料も撤廃。鉄道駅や郵便局など政府施設への新設には 25 万ルピーの補助金を拠出するとしている。 こうした支援もあり、店舗数は2012 年から好調に推移、2017 年には 800 店舗目前に到達している。 出典 【PMBJK の店舗数推移】 グラフは以下を基にinfoBRIDGE が作成 企業動向 下記にインドでジェネリック医薬品を生産、販売している企業を挙げる。

Sun Pharmaceutical Industries

1983 年創業の製薬会社で、本社はムンバイ。2000 年にはドイツのバイエルのジェネリック事業部門 を買収、2014 年に当時、第一三共の子会社だったグルガオンの製薬会社 Ranbaxy Laboratories を吸収 合併し、世界 5 位のジェネリック医薬品メーカーとなっている。2012 年には日本法人を設立し日本の ジェネリック市場にも参入。世界150 カ国以上に進出、47 カ所の工場を構え、従業員数は 3 万人以上 となっている。 出典

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20 【Sun Pharmaceutical の年間売上高推移】 グラフは以下を基にinfoBRIDGE が作成 ・Lupin 1968 年創業の製薬会社で、本社はムンバイ。2002 年には保有特許数が 100 に到達、2007 年には日本 の共和薬品工業を、2008 年にはオーストラリアの Generic Health を買収しており、各国のジェネリッ ク市場においてもプレゼンスを発揮している。生産拠点はインド12 カ所を含む世界 18 都市に展開。営 業拠点は世界25 都市に、研究施設は世界 9 都市に構える。ジェネリック市場では、売り上げ規模が世 界8 位、日本では 6 位、南アフリカでは 4 位、となっている。 出典 【Lupin の年間売上高推移】 グラフは以下を基にinfoBRIDGE が作成

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21 ・Aurobindo Pharma 1986 年創業の製薬会社で、本社はハイデラバード。2016 年度の売上高は 1508 億 9900 万ルピーで、5 年間の年平均成長率は 27%。海外の売り上げが 88%を占めており、世界のジェネリック市場では米国 で販売量6 位、欧州で売り上げ 15 位となっている。同業メーカーの買収にも積極的で、2017 年 1 月に はポルトガルのジェネリックメーカーGeneris Farmaceutica を買収。2018 年 5 月にはスイスの製薬大手 ノバルティスの皮膚科向けジェネリック医薬品の買収に 16 億米ドルを提示したと報道されている。成 立すれば、インドの製薬企業による海外での企業買収では過去最大の案件となる。 出典 現地消費トレンド ・インドのジェネリック医薬品メーカーは、中国市場も視野に入れている。2017 年度の輸出額は 173 億米ドルに上っており、その主な輸出国は米国や欧州。2016 年度の欧州への医薬品輸出は 15%を占め た。一方、中国は世界2 位の規模の製薬市場であるにもかかわらず、インドからの輸出は 1%に満たな い。インドからは250 の医薬品の輸入許可を中国国家食品薬品監督管理総局(CFDA)に申請している が、数年間許可待ちの製品もあるという。2017 年度の二国間貿易額は 896 億米ドルで、インド側が 629 億米ドルの貿易赤字と、ここ10 年で 9 倍以上に膨らんでいる。貿易赤字解消のために、農産品やソフ トウエアなどの産業で積極的な二国間協議が進められているものの医薬品産業における連携はまだ始 まったばかり。2018 年 5 月、ようやく中国は抗がん剤を含む 28 の医薬品に対し輸入関税を廃止してい る。2019 年初めにはさらなる中国の輸入規制緩和が期待されており、インド医薬品輸出品協議会 (Pharmexcil)と中国医薬保健品進出口商会(CCCMHPIE)が両国の事業提携で近日中に署名を交わ すものとみられている。 出典 ・2018 年 2 月、医薬品の e コマースサイト Medlife は、プライベートラベルのジェネリック医薬品の発 売計画を発表した。同社はベンガルル拠点、2014 年のスタートアップ企業で、ユーザー数は 100 万人。 プライベートラベルの取り扱いはインドの医薬品販売サイトとしては初めての試みとなる。2019 年度 までに30 のジェネリック医薬品と 40 の OTC 医薬品を追加する計画だという。事業拡大に 3,000 万米 ドルを追加投資する予定で、2019 年度の売上高は 90 億~100 億ルピーを見込んでいる。 出典

記事提供:infoBRIDGE Holdings Group Limited.

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Ⅳ.経営者が知っておくべき海外赴任者の選任-失敗事例

2:

赴任者にかかる総コストを考慮せず選任してしまう

(前回のレポートは、以下のURL をクリックして本文をご参照ください。)

http://www.bk.mufg.jp/report/insasean/AW20180810.pdf

概要 海外ビジネスにおいて駐在員の存在は不可欠であり、ビジネスの成否を担う最も重要な要素の一つで ある。しかし駐在員の選任方法や赴任中、帰任後の取り扱いに問題があると、会社として望んでいない 展開になることも珍しくない。今回は海外赴任者の選任において、必ず知っておきたい事項の続編を、 事例を基に説明する。 海外駐在員の選任方法 1.失敗事例 赴任者の家族構成やその事情を考慮せず赴任者を選ぶため、いざ赴任させる段階になって、家族帯同 はコストがかかるからという理由で、家族を帯同することを阻止するような動きをして、赴任候補者の 会社に対する信頼感を失わせてしまう。 ケース1 Y 社は日本での税務調査の際、「赴任者コストを日本本社が負担し過ぎている。現地法人に負担させ るべき」と指摘を受けています。そのため赴任者にかかるコストはできる限り現地法人に負担させたい と考えていますが、赤字の現地法人には負担させることが難しい状況です。そのような状況にもかかわ らず、赴任者を送り出す部門が推薦してきた赴任候補者は幼稚園児と小学生のいる社員 A 氏です。小 学校低学年までのお子さんがいる場合、配偶者がフルタイムで働いていたり介護などの問題がない限り、 よほど危険であったり環境汚染のある地域を除いては、家族帯同を希望するケースがほとんどです。 しかし家族を帯同させるとなると、学費はもちろん、医療費や一時帰国費、住居費、引っ越し費用な どが単身で赴任させるよりも多額になります。そのため経営者の意向をくんで人事担当者は「赴任地は 生活環境が悪い」「単身で行って仕事に集中してほしい」「会社は帯同家族のサポートを十分にできる状 況ではない」などといろいろな理由をつけて単身赴任をする方向にしたところ、A 氏から反発され「家 族を連れて行けないなら赴任したくない」と言い出されてしまい、赴任前から険悪な状況になっていま す。

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23 ケース2 Z 社は自社として初めて海外赴任者を送り出すことになり、経営者は赴任者 1 人に一体どのくらいの コストがかかるか認識がない中、「十分な処遇を用意するから家族を連れて安心して行って来い!」と 赴任候補者に調子の良いことを言ってしまいました。経営者の気持ちを粋に感じた本人もすっかりその 気になっていたが、人事担当者が赴任者コストを計算したところ、家族帯同の場合、会社の想定以上に コスト(学費など)が発生することが判明しました。それを知った経営者は態度を一変させて「海外赴 任は単身で行くように」と指示を出しました。赴任候補者は裏切られた気持ちになるものの、会社命令 だからと仕方なく単身赴任しました。配偶者とかわいい盛りの子どもを残して赴任せざるを得ない状況 に気分は落ち込み、赴任当初にもかかわらず、一体いつ帰任させてもらえるかばかり考えてしまい、士 気が上がりません。 2.失敗の原因 家族帯同にかかる総コストを考慮しないで赴任者を選んだことに原因があります。赴任者コストを抑 えたいと考えながら、わざわざ帯同コストのかかる人材を選び、その費用が払えないからと本人の意向 に沿わない赴任形態を強いるというのは、会社側の選任過程の失敗を赴任者に押し付ける結果になって います。 3.今後の対応策 赴任者を選定するに当たっては、本人および家族を帯同させた場合のコストを考えた上で、それらコ ストの負担先(本社または現地法人)をしっかり決めて指名することが重要です。 家族帯同はコストがかかるからといって、帯同希望の社員を無理に単身で赴任させるのは良い結果に つながりません。家族が安心して赴任できる環境を提供することができないのであれば、家族(特に子 女)の帯同を希望しないと思われる社員(子どもが受験期、介護がある、配偶者がフルタイム勤務、子 どもが独立して夫婦のみで赴任)を選ぶことが会社にとっても社員にとっても望ましいといえます。

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24 【家族を帯同した場合のコストの事例】(単位:円) (実際には福利厚生に課税される場合もあるため、さらに費用がかかります) (1)赴任時費用 (出所)各種資料を基に筆者作成 (2)赴任中費用 (出所)各種資料を基に筆者作成

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25 教訓 帯同家族に必要な処遇を提供できない場合、家族帯同を希望する社員は最初から赴任者として選ぶべ きではない 赴任者は自分のことは我慢できても、家族(特にお子さん)にしわ寄せが来るような事態が生じれば 会社に対して強い憤りを感じ、仕事へのモチベーションも落ちると思われる。これは結果として会社に とってマイナスになる 記事提供:三菱UFJ リサーチ&コンサルティング株式会社 チーフコンサルタント 藤井 恵

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Ⅴ.各国トピックス

【ベトナム】2019 年の最低賃金 5.3%引き上げ、過去最低水準 8 月 13 日、ベトナムの国家賃金評議会で 2019 年の全国最低賃金を今年に比べ 5.3%引き上げること で労使の代表が合意。上昇率は前年の6.5%を下回り、過去最低水準となる。協議において労働側はベ トナム経済の安定成長と物価の上昇が加速している点から7~8%の引き上げを主張する一方、経営側 は国際競争力維持などを理由に2%を主張し、隔たりが大きかった。フック首相の承認が得られれば 2019 年 1 月から改定となる。 【インドネシア】政策金利、27 ヶ月振りの 5.5%へ 8 月 15 日、中銀は金融政策決定会合にて政策金利を 0.25%引き上げ、5.5%にすると発表した。5.5% となるのは2016 年 5 月以来、27 ヶ月振り。中銀は会見で米国の利上げ、米中貿易摩擦、トルコリラの 急落による混乱によって世界市場が不安定となっているとしており、国内の金融市場の安定化や貿易収 支の改善を目指す方針。 【タイ】第2Q の GDP 成長率+4.6% 8 月 20 日、タイ国家経済社会開発委員会(NESDB)は 2018 年第 2 四半期の GDP 成長率(速報値) が前年同期比+4.6%と発表した。民間消費のうち自動車販売が前四半期の+6.9%から+15.3%と大きく加 速、農業生産が回復したほか、輸出が好調だった。NESDB は、下半期のタイ経済は世界経済の回復に 伴う輸出拡大や公共投資により引き続き成長する見通しを示している。 (各国トピックスの出所)各国政府・業界団体発表、各種報道

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Asia & Oceania

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(回答時間:10 秒。回答期限:2018 年 9 月 10 日)

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(編集・発行) 三菱 UFJ 銀行 国際業務部 (照会先)松山 昭浩 松山 佳奈枝 (e-mail): akihiro_matsuyama@mufg.jp 本レポートのバックナンバーは、以下のURL からご覧いただけます。 http://www.bk.mufg.jp/houjin/kokusai_gaitame/report/index.html

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