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植物生態学的にみれば 本県は冷温帯でブナやミズナラを主とした落葉広葉樹林帯 ( ブナ帯ともいう ) に属しています したがって かつては海岸部から山地部にかけてのいたるところにブナがみられたのですが 薪炭材や建築材として大量に使われ 代わりに生長の早い針葉樹ヘの更新が進みました 県土の 66% が森

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Academic year: 2021

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ほんの 一 部 だ け内 容 を紹 介 し ま す。 青 森 県 の野 生 生 物 に つい て 植 物 哺 乳 類 鳥 類 爬 虫 類 ・両 生 類 汽 水 ・ 淡 水 魚 類 昆 虫 類 昆 虫 類 以 外 の 無 脊 椎 動 物 青 森 県 は本 州 の 北 端 にあり、 津 軽 海 峡 をは さ んで 北 海 道 に 対 し てい ま す。この海 峡 は 100 万 年 以 上 も前 の 古 い 時 代 に陥 没 によっ て でき たと いわ れてお り、その後 の生 物 の 移 動 に 大 き な 障 壁 と なっ てき ました。 また、太 平 洋 と 日 本 海 に 面 し、 内 湾 の 陸 奥 湾 を 抱 え ているこ ともあ って、そ の海 岸 線 は 740km 以 上 に 達 し、他 県 にみら れな い特 徴 の 一 つに なっ てい ま す。 陸 上 の 地 形 は、平 坦 地 が 県 土 の 17. 3% で、わが 国 の 平 均 14 .0%を 上 ま わって いて、 比 較 的 に 平 地 部 が 多 いこ とがわか りま す。しか し、奥 羽 山 脈 に 連 なる 八 甲 田 山 地 ・ 十 和 田 山 地 などが 中 央 にあっ て 県 土 を2 分 し、 東 側 に 下 北 山 地 ・ 田 子 山 地 な ど、西 側 に 岩 木 山 地 ・白 神 山 地 な どがあ って 複 雑 な 地 形 となっ て いま す。これらの 山 地 は標 高 100 0m前 後 です が、緯 度 が高 い ため高 山 性 の生 物 が みられるこ とがあり ま す。また、小 川 原 湖 ・ 十 二 湖 ( 湖 沼 群 ) ・十 和 田 湖 などの 大 ・ 小 の湖 沼 や 東 西 海 岸 部 ・ 南 北 八 甲 田 に 広 がる 湿 地 帯 、岩 木 川 ・ 馬 淵 川 をは じめと する 大 小 の 河 川 な ど、水 系 が多 く 県 土 の約 4%を 占 め、多 様 な 淡 水 生 生 物 の 生 活 の場 と なって いま す。 生 物 の 生 活 に最 も 関 係 の深 い気 候 は、東 側 が いわゆる 表 北 日 本 型 、西 側 がいわゆ る裏 北 日 本 型 で、対 照 的 な 気 候 型 が 複 合 して いま す。このこ と が県 内 に生 活 し てい る生 物 の多 様 性 の一 つの 要 因 とも なって いま す。 このよう な地 理 的 ・ 地 勢 的 条 件 によって、 県 内 に生 育 生 息 する野 生 生 物 はまこと に多 彩 で す。

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植 物 生 態 学 的 に みれば、 本 県 は冷 温 帯 でブ ナやミ ズナラを 主 と した落 葉 広 葉 樹 林 帯 (ブ ナ帯 ともい う) に属 して いま す。した がって、 かつ ては 海 岸 部 から山 地 部 に かけ てのいた るところ に ブナが みられたの で すが、薪 炭 材 や建 築 材 とし て大 量 に 使 われ、 代 わり に生 長 の 早 い針 葉 樹 ヘの 更 新 が進 み ま した。県 土 の 6 6%が 森 林 でその 面 積 は 6 4 万 ha にな りま すが、現 在 ブ ナ林 は 10.2 万 ha に す ぎませ ん。し かも大 部 分 は奥 山 の 山 地 帯 に 限 られ、ほ と んどは 国 有 林 と し て管 理 さ れて いま す。ブ ナ林 内 の植 生 は、 太 平 洋 側 と日 本 海 側 で 違 い があり ます。 太 平 洋 側 では ス ズタケ やチマ キザサ がま ばらに みられ、マツ 科 の 木 が 混 交 して いま すが、 日 本 海 側 ではチ シマ ザサが 圧 倒 的 に多 く、 多 雪 環 境 に適 応 したハ イイ ヌガヤや ヒメ アオ キが 下 生 し、ヒ ノキ ア スナロが 混 交 し てい ます。 いずれに して も、消 雪 後 の ブナ 林 の林 床 は 明 る く、短 期 間 に届 く太 陽 の 光 を利 用 し てカ タクリ ・キク ザキ イチリンソウ ・フク ジ ュソウな どが 花 をつ け、早 春 の森 林 を彩 って くれ てい ま す。 “青 森 県 の 木 ”に 指 定 され ている ヒバ( ヒノ キ ア スナロ)も 本 県 を 代 表 する 木 本 で、8.9 万 ha あり、全 国 の 80 %にあた りま す。下 北 ・ 津 軽 の 両 半 島 に その中 の 90 %が生 育 し て いま す。林 床 は 陰 湿 で、下 生 植 物 は 多 く な いの で すが、ヒメ ホ テイラン など の希 少 種 が生 育 し てい ま す。 ブナやヒ ノ キア スナロ の林 が伐 採 された 跡 に 大 量 に植 えられた のが スギ で した。現 在 、県 内 の スギ 林 は 約 2 0 万 h a で、 毎 年 多 くの 花 粉 を まき 散 ら して いま す。大 き くなった 成 木 林 内 は陰 湿 で、下 生 植 生 は 単 純 に なり ま す。 変 化 に 富 んだ植 生 を背 景 に 多 様 な動 物 相 がみられ ま す。北 海 道 と陸 続 き になっ ていた 時 代 に南 下 を続 けた動 物 の一 部 は、 今 で も本 州 北 端 の 標 高 の高 い山 地 帯 にと どまっ て 生 活 して いま すし、 津 軽 海 峡 の成 立 によっ て 北 上 をは ばまれ、 本 県 を 北 限 の生 息 地 とし て 生 活 して いる種 類 も 多 く みら れます。 津 軽 海 峡 はブラ キ スト ン線 とし て知 られる有 名 な動 物 分 布 境 界 線 です が、その主 対 象 と なった哺 乳 類 や鳥 類 に 限 らず、無 脊 椎 動 物 の中 にも 適 用 される 例 があるの で す。県 内 のほ ぼ全 域 に 生 息 して いるサ ワガニが “純 淡 水 生 カニ類 の世 界 最 北 限 の生 息 地 ” に なって いること な どがその 良 い例 と い えるで しょう。 日 本 海 を北 上 する 暖 流 の影 響 をう けて、 暖 地 性 の 植 物 がみられる 西 海 岸 地 方 には、 暖 地 性 の 動 物 が 懸 命 の北 上 作 戦 を くり返 し ているこ とが最 近 の調 査 でわ かって いま す し、県 の 主 要 樹 種 で あるブナ やヒバ と関 連 した動 物 の生 息 分 布 も 知 られ てい ます。

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このよう な多 様 な 生 物 の生 育 生 息 状 況 を 永 く 保 持 し続 けることを 一 つ の 目 的 とし て、県 内 には 各 種 の法 令 等 による指 定 地 がた くさ んあり ます。 ユネ スコによる 世 界 自 然 遺 産 をはじめ、 国 立 ・ 国 定 公 園 、県 立 自 然 公 園 、国 や 県 の自 然 環 境 保 全 地 域 など で すが、県 土 に 占 めるこれら の面 積 は全 国 で も上 位 にあり ます。 一 方 、 環 境 の悪 化 によっ て姿 を 消 さ な ければ なら なく な った生 物 もた く さん ありま す。避 けられ ない 自 然 の変 化 によった ので はな く、 私 達 人 間 の 欲 望 がそう させた とす れば 大 いに 反 省 が必 要 で あると 思 い ま す。 今 後 を考 える 時 の 資 料 の 一 つと して、この 小 冊 子 を 利 用 して いただき たい と思 い ま す

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( 概 要 ) 青 森 県 には いったい 何 種 類 の 哺 乳 類 が生 息 して いるの でしょ うか。これ に つい て正 確 に 答 えら れるだけ の資 料 はあり ませ ん。青 森 県 と一 口 に 言 っ て も陸 と 海 に 分 けた 場 合 、 陸 に生 息 して いる哺 乳 類 は私 たち の目 に 触 れ やす いので 比 較 的 詳 し く分 かりま す。し かし、 海 に 生 息 して いる哺 乳 類 もたく さ ん ありま す。たと えば、ク ジラや イル カの仲 間 、ア ザラ シの仲 間 など 様 々 です。 青 森 県 は三 方 を海 に囲 まれ ているため にこのよ うな 海 生 哺 乳 類 がた く さん 生 息 して いるはず です。 残 念 なが ら詳 しい 資 料 が ない ので 今 回 のレッド デ ー タブック では 取 り扱 わな いこと にし ました。 一 方 、陸 上 の 哺 乳 類 と 言 っ ても人 が飼 っ て いたものが 野 生 化 した ノ イヌや ノネコも哺 乳 類 で す。下 北 半 島 では 土 着 のニホン ザルと の間 に雑 種 が でき る心 配 が あるタ イワン ザルの 生 息 が 問 題 に なって いま す。最 近 ではハク ビシ ンとい う種 類 が 青 森 県 に生 息 して いるの では ないか とい う情 報 もあ りま す。 今 回 はこ うし た土 着 で ない 哺 乳 類 を 検 討 対 象 か ら外 しま した。こう した移 入 動 物 が 土 着 種 の 生 存 を 脅 か して いること は全 国 的 にも大 問 題 にな って いま す。青 森 県 でも 常 に監 視 が 必 要 と思 いま す。 今 回 の 選 定 では 比 較 的 近 年 に 絶 滅 した4 種 を含 め て 県 内 土 着 種 を 5O 種 と しま した。このうち 26 種 を本 書 で取 り あげて いま す。 すな わち、半 分 以 上 が絶 滅 か 絶 滅 の危 機 に 瀕 し ている、 または、要 注 意 の種 類 と なり ます。 その内 訳 はヒ ナコウ モリ科 13 種 、イ タチ科 3 種 、リス 科 2 種 、その 他 、トガリ ネズミ科 、 モグラ 科 、イ ヌ科 、 イノ シ シ科 、 シカ 科 、ヤマネ 科 、ク マ科 、オ ナガ ザル科 各 1種 と なって いま す。このよ うに 県 レッド デ ータ ブックにリ ス トアッ プさ れている 種 とし てはコウ モリ 類 が 最 も多 く、県 内 土 着 種 17 種 の 中 で 7 6%に もなり ます。このこ とは 環 境 庁 による 全 国 的 検 討 結 果 とも一 致 して いま す。 原 因 とし ては 森 林 性 コウ モリの 情 報 があま りにも 少 な いこと、 一 方 では、 森 林 面 積 の減 少 が 進 行 し ているこ とな どがあげら れま す。 青 森 県 は森 林 が 発 達 する 気 候 帯 で す。か つて は陸 上 のほ ぼ全 域 が森 林 で被 われ ていたもの と考 えら れま す。したが って、そこ に生 息 する 全 ての 哺 乳 類 は 基 本 的 に は森 林 に 生 活 を 依 存 して いる種 類 です。 現 在 は森 林 以 外 の場 所 で 生 活 して いる哺 乳 類 で あって も、これからの 青 森 県 でい つま でも 生 き 続 けるためには 森 林 の保 全 が 欠 かせ ませ ん。今 以 上 に絶 滅 種 を 増 やさ ず、多 様 性 のある 青 森 県 の 哺 乳 類 と 私 たちが いつ までも 共 生 し 続 けられ る

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ように 努 力 しな ければ いけ ませ ん。 ネ コ目 イ ヌ 科

ニホンオオカミ

青 森 県 : E X 環 境 庁 : 絶 滅 上 : 別 亜 種 エ ゾ オ オ カ ミ 北 海 道 大 学 農 学 部 博 物 館 所 蔵 下 : ニ ホ ン オ オ カ ミ の 足 正 法 寺 ( 十 和 田 市 所 蔵 ) 日 本 全 体 で も ど こ に も 生 息 し て い な い の で 、絶 滅 種 と な り ま す 。 標 本 も 完 全 な も の は ほ と ん ど 残 っ て い ま せ ん 。 青 森 県 で も 江 戸 時 代 ま で は 各 地 に 生 息 し て い て 、 ウ マ な ど の 家 畜 が 襲 わ れ た 被 害 記 録 が 残 っ て い ま す 。 し か し 、 明 治 時 代 に な る と 急 速 に 減 少 し 、 い つ の 間 に か 絶 滅 し て し ま い ま し た 。 青 森 県 産 の 完 全 な 標 本 は 現 存 し ま せ ん が 、 十 和 田 市 の お 寺 に は ニ ホ ン オ オ カ ミ の 足 が 残 さ れ て い て 、 専 門 家 に よ る 鑑 定 が 行 わ れ て い ま す 。 向 山

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( 概 要 ) ( ア) 爬 虫 類 青 森 県 には 11 種 の野 生 種 が知 ら れて いま す。日 本 産 野 生 生 物 目 録 に 87 種 がのっ て いま すの で、その 13% 弱 です。も とも と亜 熱 帯 か ら熱 帯 にか けて すむ種 類 が 多 く、 北 に なるほ ど少 な くなり ま す。 クサガメ は西 南 日 本 で 野 生 種 と し て記 録 さ れて いま したが、各 地 でペッ トと して 飼 育 され ていた 個 体 が逃 げ て繁 殖 すること になった と 思 われ てい ます。 トカ ゲと カナヘ ビは北 海 道 から九 州 に いたる広 い地 域 に 生 息 分 布 し ている 種 類 で、本 県 で も低 山 地 を 中 心 に各 地 に 広 く 見 られ ます。ただ し、 トカ ゲは 下 北 半 島 での 近 年 の記 録 が なく、 カナヘビ よりは 分 布 も 生 息 数 も 少 な いよ うで す。タ カチホヘビ・ シロ マダラ・ ヒバ カリは いずれも発 見 例 が少 な く、県 の 希 少 な野 生 生 物 種 にランク された 種 類 で す。それに 対 し、 シマ ヘビ・ ジムグ リ・アオダ イシ ョウ・ヤ マ カガシ は県 内 の各 地 に 生 息 し てい て、多 くの 人 の 目 に触 れ てい ます。 カエ ル類 が 好 き なシ マヘビ ・ヤマ カガシ に対 し、ネ ズミ類 の 好 き な ジムグリ・ アオダ イシ ョウ です ので、そ のこと に注 意 し てさ がせば 意 外 に見 つ けや すい と思 いま す。マム シは 有 毒 種 と し て知 ら れて いま すが、 海 岸 を含 む平 地 から 山 地 に かけ て県 内 全 域 に 生 息 し てい ます。 これらのほか、 アカ ウミガメ やオサガメ が 沿 岸 に偶 発 的 に漂 着 し、 捕 獲 さ れた記 録 があり ます。 また、ア カミミガメ ・イ シガメ ・ スッポン が採 捕 さ れた記 録 もあり ます が、ペッ ト又 は 食 用 と して 飼 養 され ていた 個 体 が逃 げ 出 したも のと思 われま す。 ( イ) 両 生 類 青 森 県 には 14 種 の野 生 種 が知 ら れて いま す。日 本 産 野 生 生 物 目 録 には 59 種 がのっ て いま すの で、その 24% 弱 です。 爬 虫 類 と 同 じ く 北 に なるほど 少 な く なる傾 向 があ りま すが、 幼 生 が おたま じゃ く しと いっ て水 中 に 生 活 する こと、親 の 体 の 表 面 にうろ こが な く湿 った 皮 膚 を し ているこ とな ど、環 境 に 適 応 したため 爬 虫 類 よりは やや多 く なっ てい ます。それ でも 北 海 道 と 共 通 の自 然 分 布 種 は ア マガエ ルだけ です。 クロサンショ ウウオ は低 山 地 から山 地 ( 八 甲 田 大 岳 で は標 高 15 O0m 以 上 にも)にか けて の池 沼 に 産 卵 が確 かめら れて いま すが、 局 地 的 であるこ とと 減 少 傾 向 にあり ます ので、 希 少 野 生 生 物 とし まし た。トウホ クサン ショウ ウオ

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は低 山 地 から 山 地 にかけ ての 止 水 域 に 産 卵 、 幼 生 はその 年 の秋 または 翌 年 の夏 頃 に 変 態 し て陸 上 生 活 に 入 りま す。ハコネ サンシ ョウウ オは県 内 各 地 の山 地 の 流 水 域 で幼 生 が確 かめられ ており、 確 実 に繁 殖 し てい ることが わかりま すが、 卵 はまだ 見 つかっ てい ませ ん。多 くは 幼 生 で冬 を 越 し、2 ・3 年 目 に 変 態 を完 了 し ます。 イモリ は平 地 から 山 地 の止 水 に 産 卵 しま す。そ の年 の 秋 ま でに 変 態 しま すが、 親 に なっ ても水 中 に 生 活 するこ とが多 いた め、水 質 の 変 化 に弱 く、あっ とい う間 に見 つから な くなるこ とが ありま す。 アズ マヒ キガ エルは 平 地 から山 地 に 広 く生 息 し てい て、止 水 に 多 数 が集 ま って産 卵 する傾 向 があ りま す。変 態 直 後 の 子 蛙 は 黒 くて 小 さく、 数 年 をか け て親 にな りま す。ア マガ エルは 平 地 部 を中 心 に 生 息 して い て、体 の 割 に 大 き な声 で 鳴 き ます。 水 田 な どの止 水 に 産 卵 しま す。タ ゴガ エル・ヤ マア カガ エル は主 と し て山 地 に 広 く 生 息 産 卵 し ているの に対 し、ト ノサ マガ エル・ツチガ エ ルは平 地 に 生 息 産 卵 が 見 られ ま す。後 者 の2 種 は各 種 農 薬 などの 影 響 を 受 けるこ とが多 く、 生 息 数 に 消 長 が 見 られ ます。 ウシガ エル はアメ リ カからの 移 入 種 で すが、 来 歴 が古 く、全 国 各 地 で繁 殖 し てい ます。 県 内 では 十 和 田 湖 町 ・ 八 戸 市 ・ 尾 上 町 ・ 鶴 田 町 ・ 市 浦 村 な ど で生 息 と 繁 殖 が 確 認 され てお ります。 幼 生 の期 間 が 長 いため大 き く なり、時 には 15cm を越 えるも のもあり ます。 シュレ ーゲル アオガ エル・ モリ アオガ エルは 県 内 に広 く 生 息 して いま す。前 者 は主 と して 平 地 に、後 者 は主 とし て 山 地 に生 息 し てお り、いずれも 白 い泡 状 物 の中 に黄 白 色 の卵 を 産 みつ けま す。カ ジ カガエル は主 要 な 河 川 の中 ・上 流 域 に生 息 し てい て、その 鳴 き 声 が 美 し く、 石 の下 な どに卵 塊 を 産 みつ けま す。 カ メ 目 イ シ ガ メ 科

クサガメ

森 県 : D 環 境 庁 : 該 当 な し 亀 井 陽 太 郎 撮 影 も と も と 西 南 日 本 を 中 心 に 野 生 種 と し て 記 録 さ れ て い ま し た が 、 性 質 が お と な し く 、 飼 育 し や す い た め 古 く か ら ペ ッ ト と し て 飼 わ れ て い ま し た 。 こ れ ら の ― 部 が 捨 て ら れ た り 、 逃 げ 出 し て 野 生 化 し 、 繁 殖 す る こ と に な り ま し た 。 小 魚 や ミ ミ ズ ・ 昆 虫 な ど を 食 べ 、 甲 長 20cm に 達 し ま す 。 危 険 に 出 会 っ た 時 な ど 、 肛 門 近 く の 腺 か ら く さ い に お い の 液 を 出 す こ と が 和 名 の 由 来 で す 。 奈 良

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( 概 要 ) 昆 虫 は、 地 球 上 に 9 0 万 か ら 10 0 万 種 も いると 言 われ、 一 番 繁 栄 し ている 生 物 です。そ の体 形 は 頭 、胸 、腹 に分 かれ てい て、頭 に は一 番 大 事 な感 覚 器 官 である 触 覚 、 複 眼 、 単 眼 そ し て口 が ありま す。 胸 部 に は6本 の脚 と4 枚 のはねがあ りま す。腹 部 には 空 気 の取 り入 れ 口 である 小 さ い穴 ( 気 門 )があ ります。 しか し、これらの 器 官 は種 類 によっ て 変 形 したり退 化 し て な くなっ て いるものもい ま す。体 の 大 き さも 1mm 以 下 のものから 1 0cm を越 えるもの ま でいろ いろ です。 昆 虫 が繁 栄 した 大 き な 要 因 は、体 の 作 りを 変 え なが らいろ いろ な環 境 で生 活 し てき たこと で す。餌 を 取 るため空 中 を飛 ぶ昆 虫 、水 中 で 生 活 する昆 虫 、花 や葉 、 木 を食 べ て いる昆 虫 、そし て地 面 の 中 にも いろ い ろ な昆 虫 が生 活 の 場 を持 っ て いま す。このよ うに昆 虫 の 形 や 生 態 は と ても 変 化 に 富 んで いま す。 青 森 県 は三 方 を海 に囲 まれ、 山 や湖 が多 く、自 然 に 恵 ま れて おり、昆 虫 の種 類 も豊 富 で す。し かし、 現 在 も 毎 年 のよう に何 種 類 も の生 息 が 新 たに 確 認 される など、 未 調 査 の昆 虫 群 や場 所 が 多 く、 全 体 像 は まだ不 明 で調 査 は不 十 分 で す。昆 虫 は 増 え す ぎて 農 作 物 の 害 虫 とし て 嫌 われ ている もの もありま すが、 多 く の種 類 はあ まり 人 目 に 付 か ない ところ で 生 活 し てい ます。 県 レッド デー タブック には、これら の昆 虫 の 中 から、生 息 でき る環 境 が狭 く て 細 々と 生 き て いる昆 虫 や、 住 み場 所 が 狭 められたり、 いな く なったり した昆 虫 をま とめて みま した。ただ、県 内 でも 詳 し い情 報 が 不 十 分 な昆 虫 のグ ルー プ(カ ゲロウ、 カワ ゲラ、バッタ な ど)に つい ては 検 討 でき ませ ん でした。 また、 生 息 の 記 録 が残 され てい ないも のや、迷 い込 ん でき た可 能 性 の あるもの、 標 本 が な くな って 確 認 でき ないもの な どは除 き ました。 また、隣 接 する 北 海 道 、岩 手 県 、 秋 田 県 の情 報 や、 県 内 外 からの 研 究 者 の 情 報 も参 考 に して 決 めま した。この中 には本 県 ではい な く なって しま ったと 考 え られる トンボの 仲 間 のムツ アカ ネと トラフ トンボ、チョ ウの 仲 間 の オオルリ シ ジミの3 種 類 が 含 まれ てい ま す。 県 レッド デー タブック には 217 種 の昆 虫 をと りあげま したが、 今 回 は、この 中 から 103 種 を選 んで 写 真 で 紹 介 するこ とに しま した。

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ト ン ボ 目 エ ゾ ト ンボ 科

トラ フトンボ

青 森 県 : E X 環 境 庁 : 該 当 な し 上 : 雌 ( 鹿 児 島 県 産 ) 下 : 雄 ( 鹿 児 島 県 産 ) 奈 良 岡 弘 冶 所 蔵 体 長 52∼ 55mm で 黒 褐 色 の 地 に 黄 褐 色 斑 紋 の あ る 中 型 の ト ン ボ で す 。腹 部 の 黄 褐 色 斑 紋 は 太 く 短 め で す 。通 常 、雌 の は ね の 前 縁 が 黒 く な っ て い ま す 。本 州・ 四 国・九 州 に 分 布 し ま す が 、 東 北 地 方 で は 少 な く な り ま す 。 1937 年 に 青 森 市 か ら 2 頭 の 雄 が 記 録 さ れ ま し た 。 そ の 後 に 県 内 で の 発 見 は な く 、 絶 滅 し た も の と 考 え ら れ ま す 。平 地 の 池・ 沼 に 生 息 し 、成 虫 は 春 早 く 5 月 下 旬 か ら 6 月 末 ま で 見 ら れ ま す 。県 内 で は よ く 似 た 、 一 回 り 大 き い オ オ ト ラ フ ト ン ボ が 普 通 に 見 ら れ ま す が 、腹 部 の 黄 褐 色 斑 紋 が 細 長 く 、雌 の は ね の 前 縁 は 黒 く な り ま せ ん 。 奈 良 岡

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( 概 要 ) 田 んぼ にたく さ んいた トンボ やメ ダカが 絶 滅 に近 い ほど 減 っ てし まい、これ は耕 地 整 理 と 農 薬 の せいだ と分 か って いるよう に、戦 争 が 終 わっ てから 今 まで の半 世 紀 の 間 に 農 地 と付 近 に 生 えて いた植 物 もいち じる しく 変 わっ て し まいま した。か つて は、カ キツバ タ・ ショウ ブ・ミツガ シワ・ ヒツジ グサ・コ ウホ ネ・ノウ ルシ 等 はど この田 んぼ でも 普 通 に生 え ていま した し、デン ジソウも 見 られました。 水 中 にはミ ズオオバコ ・クロ モ・セキ ショ ウモ ・ミズ ハコべ・ タヌ キ モ類 等 が、また 水 面 にはサ ンシ ョウモ 等 も 普 通 の植 物 で した。今 はこれらの 種 類 は 激 減 し てし まっ て見 ら れな く なりま した。それ でも 農 薬 に 抵 抗 力 の あ る種 類 が はびこ って、 田 ん ぼの外 観 は 何 事 もなか ったかのよ うに 青 々 とし て いま す。 田 んぼ の雑 草 の 中 には あまり なじ みの ない 種 類 も 多 く、ホタル イ・ イヌホ タ ルイ・ タイワンヤ マ イがか つて どん な 分 布 の 仕 方 をし ていたか の記 録 はほ と んどあ りませ ん。この 仲 間 は分 類 が 難 しい せいも ありま すが、 田 ん ぼにはホ タルイ がな く なり別 種 の イヌホ タルイ が殖 え てい ます。 イヌホ タルイ は農 薬 に 対 する 抵 抗 力 が あるから です。 タデ 科 も お互 いによ く似 て判 別 しに くい 種 類 で、その中 の絶 滅 危 惧 種 のヌ カボ タデ、ヤ ナギ ヌカ ボは 農 薬 のため に今 で は見 られ ませ んが、わずか に書 き 残 され てい る文 章 から、か つ ては低 地 に 普 通 に 生 えて いたことを 知 るこ とができ ます。 青 森 市 八 重 田 のき れい な 川 の 中 には、ミ ズス ギナ がミズ ハコべ・ホソ バミズ ヒ キモ 等 と 共 に 流 れの 中 に 揺 れ てい ましたが、 付 近 に住 宅 が 建 つよ うに なっ て生 活 排 水 が 流 れ 込 ん で 絶 滅 するま でに はそん なに 時 間 がかかり ませ ん でした。 ショウ ブは五 月 の 節 句 には 欠 かせ ない 植 物 飾 り で、シ ョウブ とヨモ ギを 束 ねて 風 呂 に 浮 か べショ ウブ 湯 に して 入 る 習 慣 が ありま した。また、 子 供 達 は この葉 の 基 の部 分 で草 笛 を作 っ て 鳴 らし ました。 どこの 田 ん ぼの小 川 や 溝 にもあった ショウ ブが 絶 滅 したの でこの優 雅 な先 祖 伝 来 の 習 慣 さえ 失 わ れ つつあ りま す。 青 森 から 平 舘 ま でのむつ 湾 沿 岸 は 外 が 浜 と 呼 ばれ て 砂 浜 が 続 い て いて ス力 シ ユリがた くさ ん咲 い てい ました。 今 はこの 沿 岸 全 域 では、 護 岸 工 事 に より、スカ シ ユリと 一 緒 に生 え ていた ハマ ナス ・ウンラン ・ハ マヒルガ オ等 の 海 浜 植 物 はほ とん ど絶 滅 し て しま いま した。八 戸 でも 開 発 で 失 われた 北 沼 は 貴 重 な植 物 の 宝 庫 でし た。他 にも 各 地 に失 われた 自 然 植 物 群 落 がたく さん ありま す。

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国 有 林 に広 く 分 布 して いるブ ナ林 や ヒバ 林 は、 伐 採 され スギ やカラ マツが かわりに 植 え られま したが、 海 抜 が 高 く積 雪 量 が多 い 山 地 で は良 い林 に は なりま せん で した。これも 今 で は天 然 林 に 戻 す施 策 が とられ てい ます。 湿 地 の 埋 め立 てやダム 建 設 や道 路 建 設 で 人 間 は快 適 な環 境 を作 り まし たが、そのため破 壊 された 自 然 環 境 は容 易 に 回 復 でき ま せん。 今 後 は絶 滅 に ひん して いる種 類 を保 護 して 子 孫 に残 す義 務 を果 たさ なけれ ばい けま せん。そん な 願 いも 込 め て普 及 版 の 植 物 序 文 と しま す。 シ ダ 植 物 ヒ カ ゲ ノ カ ズ ラ科

チシ マヒ 力 ゲノカ ズラ

青 森 県 : D 環 境 庁 : 絶 滅 危 惧 IB 類 細 井 幸 兵 衛 所 蔵 本 種 の 葉 は 茎 の 左 右 上 下 に 4 列 に つ き ま す が 、 よ く 似 て い る タ カ ネ ヒ カ ゲ ノ カ ズ ラ ( 八 甲 田 山 に 広 く 分 布 し ま す ) は 、 葉 が 茎 に 数 列 不 規 則 に つ き ま す 。 現 在 確 認 さ れ て い る の は 岩 木 山 だ け で す が 、 詳 し い 調 査 は ま だ さ れ て い ま せ ん 。 岩 木 山 の も の は 細 分 す れ ば ミ ヤ マ ヒ カ ゲ ノ カ ズ ラ と い う 変 種 に あ た り ま す が 、 環 境 庁 の 目 録 で は 区 別 し て い な い の で 、 本 書 で も チ シ マ ヒ カ ゲ ノ カ ズ ラ と し て い ま す 。 細 井

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( 概 要 ) 世 界 に 生 息 する 鳥 類 の種 類 は約 8 ,500 種 です。 日 本 の 種 類 数 は 約 550 種 で、この 内 青 森 県 で は約 320 種 が 記 録 され てい ます。これ は日 本 で見 ら れる鳥 類 の、半 数 以 上 が 青 森 県 で 観 察 されたこ とに なり ます。 多 種 類 の鳥 類 が 見 られるの は、い くつ かの要 因 が 考 え られま す。 まず、『位 置 的 要 因 』が考 えら れま す。鳥 類 の水 平 分 布 を 見 て みると 日 本 は旧 北 区 に ありま す。北 海 道 と 本 県 は 同 じ 旧 北 区 に 属 し て いるの です が、 津 軽 海 峡 をは さ んで 鳥 類 分 布 が多 少 違 って いま す。 北 海 道 には 本 州 で見 られ ないヤ マゲ ラ・コ アカ ゲラ・ エゾミ ユビゲ ラ・ シマフ クロウ・シ マ アオ ジ・ エゾセンニュウ ・エ ゾライチ ョウが 生 息 して いま すが、 本 州 にいる オオセッカ・ヤ マ ドリ・ キジ ・ア オゲラ ・ライチ ョウは 生 息 し ていま せ ん。しか し、おも に北 海 道 で 繁 殖 するベニ マシコ やシ マ アオ ジが本 県 で営 巣 した記 録 があり、 北 海 道 の 留 鳥 シ マエ ナガな どの 観 察 報 告 も ありま す。 北 海 道 で生 息 の 多 いク マ ゲラも 本 県 に 少 数 生 息 し てい ます。こ れらは 青 森 県 が北 海 道 に 近 く、 気 象 や自 然 環 境 が 似 て いるためと 考 えられ ます。 次 に『 地 形 的 要 因 』が ありま す。青 森 県 は、北 に津 軽 海 峡 、西 に日 本 海 、 東 に太 平 洋 、そし て、津 軽 ・下 北 両 半 島 に 回 まれた 陸 奥 湾 が ありま す。長 い海 岸 線 に はたく さ んの岩 礁 や 小 さ な 島 々があ り、ウミネコやオ オセグロカ モメ な どが繁 殖 し ま す。冬 に は、多 くの 海 鳥 類 が 越 冬 して いま す。暖 流 域 に 繁 殖 するクロサ ギが 西 海 岸 に いま すし、 親 潮 が流 れこむ 下 北 半 島 尻 屋 崎 付 近 の 島 に はコシ ジロウミツ バメ やケイ マフリ が繁 殖 し てい ま す。 白 神 山 地 や 岩 木 山 などの 山 岳 地 帯 で は、イヌ ワシ ・クマ タカ ・ク マゲラ な ど の生 息 や繁 殖 が 確 認 され てい ます し、い くつ かの渓 流 では シノリガ モの 繁 殖 も確 認 され てい ます。 一 方 、 屏 風 山 地 区 ・ 廻 堰 大 溜 池 ・ 砂 沢 溜 池 など 津 軽 地 方 の 湖 沼 群 や 岩 木 川 下 流 地 域 の 湿 地 地 帯 、上 北 地 方 の小 川 原 湖 など の湖 沼 群 や 湿 原 にはオオセッ カ・カ ンムリカ イツブリ ・オオ ジュリン・コ ジュ リ ン・ヨシゴ イ・ケ リな ど貴 重 な 鳥 類 が生 息 し て いま す。これらの 湖 沼 地 帯 ・河 口 干 潟 ・湿 原 などは、 本 県 を 経 由 し ている シギ ・チドリ な どの旅 鳥 が えさを と ったり、休 息 したり する場 所 にも なっ てい ま す。

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もう―つ は『 季 節 的 要 因 』が ありま す。鳥 は『 渡 り』 という 鳥 特 有 の 行 動 を し ます。 夏 に飛 来 して 繁 殖 する 夏 鳥 、 冬 に 飛 来 して 越 冬 する 冬 鳥 、 春 ・秋 に 飛 来 して え さをとったり 休 息 する 旅 鳥 など で す。一 年 中 同 じ 場 所 に生 息 する 留 鳥 に し ても、季 節 によっ ては、 えさ な どの関 係 で生 活 す る場 所 を変 えま す。したが って、ほ と んどの 鳥 は 広 い 意 味 では『 渡 り 鳥 』と いっ てもよい で しょ う。本 県 で は、オオハクチョ ウやコクガン、 いろ いろ な 種 類 のカ モが 越 冬 しま す。オオセッカ ・コジ ュリン など 貴 重 な鳥 類 も 春 に飛 来 して 夏 に 繁 殖 して いま す。シ ギ・チ ドリ などの 旅 鳥 も 春 や 秋 には 本 県 を中 継 地 に し てい ます。 また、 本 県 より 南 で越 冬 する マガン ・ヒ シクイ など も、春 と秋 に 一 時 滞 在 し ます し、 夏 に北 海 道 で 繁 殖 する ノゴ マ・ シ マセンニュウ なども 渡 りの 通 過 時 に 観 察 さ れます。こ のよう に、本 県 は重 要 な『 渡 り』のコ ー スにある ので、 多 くの種 類 の鳥 を観 察 することが でき るの で す。 こうした、い く つかの 要 因 によっ て本 県 で は、多 様 な 鳥 が 生 息 して いると 思 われま す。 しかし、 伐 採 による森 林 の 減 少 、 土 地 開 発 による湿 原 の 変 化 、 護 岸 工 事 による自 然 の海 浜 ・ 海 岸 ・河 岸 の減 少 、開 発 などに よって 生 態 系 が 変 化 し てき て いま す。それに とも なっ て、貴 重 な 鳥 類 の生 存 が 脅 かさ れて いるのも 事 実 です。 鳥 類 の 恵 ま れた環 境 があ りな がら、鳥 の 種 類 およ び生 息 数 は減 少 の傾 向 にあり ま す。その原 因 は 詳 し くわか って いま せん。 減 少 の 原 因 が繁 殖 地 にあるの か、越 冬 地 に あるのか、 渡 りの 途 中 にある のか、あるい は別 な原 因 なのか 研 究 を 急 ぐ 必 要 が あり ます。いず れに して も、森 林 の 伐 採 ・土 地 の 造 成 ・ 湿 原 や草 原 の 減 少 ・河 川 や海 岸 の 護 岸 など による環 境 の変 化 が 影 響 し ているこ とが予 想 さ れま す。 今 後 、生 態 系 の変 化 や 鳥 類 の生 息 環 境 が 悪 化 すれば ます ま す『青 森 県 の希 少 な 鳥 類 』 の種 類 が 増 えるこ とに なり ます。 青 森 県 に生 息 し、 繁 殖 したり、 越 冬 したり、渡 りの途 中 で休 息 す る鳥 をど のように したら 保 護 でき るのか、その 対 策 を 考 えて い く必 要 があり ま す。

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補 足 説 明 ・国 際 条 約 や協 定 の 正 式 名 日 米 渡 り 鳥 等 保 護 条 約 (1 974 年 9月 19 日 発 効 ) 「渡 り鳥 及 び絶 滅 のおそ れのある 鳥 類 並 びにその 環 境 の保 護 に 関 する 日 本 国 政 府 とアメ リ カ合 衆 国 政 府 との 間 の 条 約 」 日 豪 渡 り 鳥 等 保 護 協 定 (1 981 年 4月 30 日 発 効 ) 「渡 り鳥 及 び絶 滅 のおそ れのある 鳥 類 並 びにその 環 境 の保 護 に 関 する 日 本 国 政 府 とオ ース トラリ ア 政 府 との間 の協 定 」 日 中 渡 り 鳥 保 護 協 定 ( 1981 年 6 月 8 日 発 効 ) 「渡 り鳥 及 びその 生 息 環 境 の 保 護 に関 する 日 本 国 政 府 と 中 華 人 民 共 和 国 政 府 との 間 の 協 定 」 日 ソ渡 り鳥 等 保 護 条 約 (19 88 年 12 月 20 日 発 効 ) 「渡 り鳥 及 び絶 滅 のおそ れのある 鳥 類 並 びにその 生 息 環 境 の保 護 に 関 する日 本 国 政 府 とソビ エト 社 会 主 義 共 和 国 連 邦 政 府 との 間 の 条 約 」 コ ウノ ト リ 目 サギ 科

オオ ヨシ ゴイ

青 森 県 : A 環 境 庁 : 絶 滅 危 惧 IB 類 今 兼 四 郎 撮 影 全 長 40cm 前 後 。 背 面 は 濃 い 栗 色 で 、 雄 で は 下 面 に 縦 す じ が 1 本 、雌 で は 背 に 白 点 が 散 在 し て い る の が 特 徴 で す 。 夏 鳥 と し て ご く 少 数 が 渡 来 し ま す 。ヨ シ 原 ・ 湿 地 な ど の 草 原 に 生 息 し ま す 。三 沢 市 仏 沼 干 拓 地 な ど で 観 察 さ れ て い ま す 。 開 発 な ど に よ っ て 生 息 環 境 が 失 わ れ て い く に つ れ て 、 急 速 に 数 が 減 少 し て し ま い ま し た 。 日 中 渡 り 鳥 保 護 協 定 ・ 日 ソ 渡 り 鳥 等 保 護 条 約 ・ 日 米 渡 り 鳥 等 保 護 条 約 の 指 定 種 で す 。 對 馬

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( 概 要 ) 大 河 川 のほか に、中 小 の河 川 が 多 数 あること、 また十 和 田 湖 、小 川 原 湖 、十 三 湖 をは じめと した天 然 の 湖 沼 はもちろ ん、 多 数 の溜 め 池 があるこ と が本 県 の特 徴 で す。 本 来 、 本 県 は 多 様 な 淡 水 魚 の 生 息 地 と して 好 適 な 条 件 を備 えて いたと 言 えま しょう。 本 県 に 自 然 分 布 する 淡 水 魚 類 相 の 特 徴 とし ては、 純 淡 水 魚 類 の 種 数 が 少 な く、海 との つな がりを持 つ 魚 が比 較 的 多 いこ とが あげられま す。 本 県 を 自 然 分 布 の 北 限 と する魚 種 は、「 純 淡 水 魚 には 分 類 され ないが 一 生 を 淡 水 中 で送 る 種 」 であるメ ダ カを付 け加 え ても8種 にす ぎ す、しか も種 ごと に生 息 する 水 系 は異 なり ます。 生 物 地 理 上 の 境 界 線 と し ての津 軽 海 峡 ( ブラ キ ストン 線 ) の意 義 は、純 淡 水 魚 に 関 する限 り 大 き く ない とい うこ とが でき ま す。 現 在 に おける 青 森 県 の 淡 水 魚 類 相 の 大 き な 特 徴 は、移 入 種 の 多 さ で す。オイ カワ、カ マツ カな どをは じめ、現 在 、 普 通 に見 ら れる魚 種 の うちか な りのものが、これ に該 当 し ま す。元 来 生 息 し ていた 魚 種 にこれらの 移 入 が与 えた影 響 は 明 らか ではあ りませ んが、 モツゴ がシ ナイ モツゴ に壊 滅 的 な 影 響 を与 えるこ とを除 いて は、深 刻 な 問 題 を引 き 起 こ すこ とは なかったよ うに 思 われま す。このこと は、近 年 に なっ て生 じてき た、 外 来 性 の 魚 食 魚 、つ まりオ オクチバスや、 今 後 分 布 拡 大 が心 配 されるブ ルー ギル、コクチバ ス などが 引 き 起 こす 深 刻 な問 題 と は対 照 的 で す。 現 在 、県 内 の 淡 水 魚 類 の生 息 を脅 かし ている 要 因 はい くつ かに分 け て考 えること ができ ます。 第 一 に、上 に 述 べたオ オクチバ スによる 食 害 で す。これ によって 食 害 を 受 ける のは、主 には 溜 め池 などに すむ 小 型 魚 で あり、深 刻 な例 とし て 夕 ナゴ 類 や シナ イモツ ゴが あげられま す。 今 後 さらに、ブ ルー ギル やコクチバス が広 が って くれば、 在 来 魚 種 ヘの 害 はい っそう ひど く なると 考 え られま す。 第 二 に、 生 息 環 境 の悪 化 で すが、こ れはさ らにい く つかの 要 因 に 分 け られ ます。 まず、上 に 述 べた タナ ゴ類 や シナ イモ ツゴの 場 合 、 溜 め池 の埋 め 立 て やゴミの 不 法 投 棄 など によっ て生 息 地 そ のものが 悪 化 ・消 滅 し つつ ありま す。メ ダカの 場 合 は、 水 田 の水 管 理 のあり 方 の 変 化 、つ まり 水 路 のコンクリ ート 化 、水 田 と 水 路 との 落 差 を 大 き く するこ とな どと 並 ん で、 溜 め池 の 消 滅

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や環 境 悪 化 が脅 威 の 一 つ とな って いま す。 一 方 、河 川 の 魚 類 の場 合 、現 在 その 生 存 に 脅 威 と なっ ているの は河 川 の 改 修 や 人 工 構 造 物 の 構 築 で す。例 えば、 河 川 内 を移 動 す る魚 種 にと って は落 差 工 などの 設 置 は致 命 的 な 打 撃 に なり え ます。この ように、 魚 の 生 活 史 に必 須 なす みばや 通 り道 を 奪 うとい う 直 接 的 な 脅 威 に加 え て、水 源 を涵 養 する 森 林 や、魚 に とっ ての 隠 れ家 やえ さを供 給 する河 畔 林 が健 全 で ある かどう かとい う、より 大 き な スケ ールの 問 題 があり ます。 今 後 の 保 護 にむけ ての 課 題 は、 第 一 に、オオクチバ ス など 外 来 性 魚 食 魚 の分 布 拡 大 阻 止 と 駆 除 とが必 要 です。 場 合 によっ ては、安 全 なす みばへの 緊 急 避 難 的 な 移 植 も考 慮 する 必 要 がある で しょう。また、 休 耕 田 や 既 存 の 溜 め池 などを 利 用 したビオ ト一 プの創 出 も 視 野 に入 れる ことが 求 められ ま す。河 川 の魚 類 の 場 合 、 新 た な改 修 に 際 し て、生 物 に 配 慮 した方 法 を採 用 すること はもちろ ん で すが、さら に、現 在 す でに 設 置 され てい る堰 堤 や落 差 工 、あるい はコンクリ ート 護 岸 な どにつ いて も見 直 し、 可 能 なもの は自 然 に 近 いもの に変 更 す べき で しょう。 サケ 目 サケ 科

イトウ

青 森 県 : E X 環 境 庁 : 絶 滅 危 惧 I B類 松 宮 隆 志 撮 影 日 本 最 大 の 淡 水 魚 で 、 成 長 す る と 1 m を 超 え る こ と も あ り ま す 。 か つ て 本 県 で も 自 然 繁 殖 し 、 小 川 原 湖 で は 漁 獲 の 対 象 で し た が 、 現 在 で は 絶 滅 し て い ま す 。 現 在 、 国 内 で は 北 海 道 の 東 部 ・ 北 部 に 分 布 し ま す が 、近 年 減 少 し て い ま す 。 海 に 降 り ま す が 、 降 り て も 沿 岸 に と ど ま り ま す 。動 物 食 で 、 特 に 魚 を 食 べ ま す 。 繁 殖 期 は 春 で 、 平 瀬 に メ ス が 産 卵 床 を 掘 っ て 産 卵 を 行 い ま す 。な お 、 現 在 県 内 で は 人 工 養 殖 さ れ て い ま す 。 佐 原

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( 概 要 ) 昆 虫 以 外 の 無 脊 椎 動 物 に は、貝 やミミ ズ、ク モな ど、異 なった グルー プに 属 するた く さんの 種 類 が含 まれ ます。ここ では、 陸 上 と河 川 や 湖 沼 など の淡 水 に生 活 する種 類 を対 象 に して いま す。県 版 レッド デ ータ ブックのための 希 少 種 を 選 び 出 す にあたっ ては、1 )環 境 庁 版 レッド デ ータ ブックに 掲 載 され て いて、か つ青 森 県 に分 布 すること、2 )その種 にとっ て 本 県 が 分 布 の南 限 や 北 限 に なっ ていた り、分 布 地 が 局 所 的 でその 一 部 が 県 内 にあるこ と、およ び、3) 個 体 数 が大 き く 減 少 して いて、 今 後 の生 息 が 危 ぶま れて いることを 考 慮 しま した。結 果 と して、 扁 形 動 物 門 2 種 、触 手 動 物 門 1種 、 節 足 動 物 門 クモ 目 1 種 、ホウネン エビ目 1種 、 エビ目 2 種 に、 軟 体 動 物 門 貝 類 の 9種 を加 えた 計 16 種 類 を選 定 し ま した。これらは いずれも 移 動 能 力 が 低 く、限 ら れた環 境 にし か住 め なかったり 個 体 数 が 少 ない 動 物 です。 さらに、 水 生 の 種 類 は 水 の 中 と いう 限 られた 環 境 にしか 生 活 でき ないの で、 水 質 や え さ、捕 食 者 などの 環 境 にわずか な 変 化 が 起 こっ ても、 個 体 数 が減 少 し たり絶 滅 に つな がることが 懸 念 され ます。 本 県 に 限 ったこ とで はあり ませ んが、無 脊 椎 動 物 の調 査 研 究 は まだまだ 不 十 分 で す。今 回 の 選 定 種 が 16 種 類 と、無 脊 椎 動 物 の 種 数 に比 し て極 端 に少 な いのは、 絶 滅 が 危 惧 される 種 類 が本 当 に 少 な いの では なく、 調 査 がな され てい ないために 希 少 性 の 程 度 を 判 断 でき ない 種 類 が 大 部 分 だった からで す。今 後 、さ まざ まな 種 類 につ いて、 分 類 や分 布 をは じめと する基 礎 的 な 情 報 を 蓄 積 し ていか なけ れば なりま せん。 また、このよ うな 状 況 のもと で 生 物 多 様 性 を保 全 し てい くために は、まだよ くわ かって いな い種 類 も 多 い と いうこ とを念 頭 にお いて、 多 様 性 を育 ん でき た環 境 そのものを 保 全 し てい く とい う意 識 が必 要 です。

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原 始 腹 足 目 ヤ マ キ サゴ 科

ハ コダテヤ マ キサゴ

青 森 県 : C 環 境 庁 : 絶 滅 危 惧 II 類 大 八 木 昭 撮 影 殻 径 5 mm 前 後 の そ ろ ば ん 玉 に 似 た 形 を し た 小 型 の 陸 貝 で す 。北 海 道 及 び 本 県 と 秋 田 県 の 高 山 に 分 布 す る 北 方 系 の も の で す 。環 境 庁 は 以 前 、下 北 半 島 に 生 息 す る も の を 、絶 滅 の お そ れ の あ る 地 域 個 体 群 と し て ラ ン ク 付 け し て い ま し た 。東 通 村 の 石 灰 岩 山 地 の 桑 畑 山 に は 以 前 は 多 く 見 ら れ ま し た が 近 年 は あ ま り 見 ら れ ま せ ん 。下 北 半 島 の ブ ナ 林 の 林 床 に も 生 息 し て い ま す 。津 軽 半 島 の 山 中 で も 見 つ か っ て い ま す 。 大 八 木

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