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(1)

国際協力NGOについて

NGOと は、Non―Governmental Organization

(非政府組織)の略称であり、元々は、国連の場 で、国連諸機関と協力関係にある政府以外の非営 利組織を指すのに使われていた言葉が広がったも のである。国際協力の分野では、国家機関や国際 機関を除く組織の中でも特に営利を目的としない 非営利組織で、非政府の立場から海外協力や地球 規模問題に取り組む市民レベルの組織のことを指 す。

現在、国際協力活動に取り組んでいる日本の NGO(以下、「国際協力NGO」という。)の数は、

全国に400団体以上あるとされている。この国際 協力NGOは、1960年代より徐々に誕生しており、

インドシナ難民に対する支援(1970年代終わりか ら1980年代初頭)を契機に活動が活発になり、

1980年代には団体数も飛躍的に増加した。

国際協力NGOに対する資金助成制度には、公 的なものと民間で独自に実施しているものがある。

公的な制度としては、外務省の国際開発協力関係 民間公益団体補助金、環境事業団等の特殊法人に よる資金助成、国際ボランティア貯金の寄附金の 配分等がある。一方、民間においては、œ国際開 発救援財団や公益信託経団連自然保護基金などの 民間助成財団等からの資金助成がある。

国際ボランティア貯金の特徴

ここでは、国際ボランティア貯金の制度、実績、

主な特徴を概観するとともに、国際協力NGOに 対する資金助成制度と比較してみたい。

●制度概要 (図1国際ボランティア貯金の仕組 み参照)

総務省(旧郵政省)は、開発途上地域の人々の 福祉の向上に寄与するための援助の充実に資する ことを目的として、平成3年1月から、国際ボラ ンティア貯金の取扱いを開始している。この制度 は、郵便局の通常貯金・通常貯蓄貯金の預金者が 受け取る税引後利子の20%〜100%(10%単位で 自由に選択)を寄附してもらい、その寄附金を国 際協力NGOへ配分することを通じて、海外の開 発途上地域における人々の福祉の向上を支援する 仕組みである。

●実績概要 (図2国際ボランティア貯金の年度 別加入件数・図3国際ボランティア貯金の年度 別配分実績参照)

平成14年3月末現在の累計で、国際ボランティ ア貯金の寄附金による海外援助の実績は次のとお りである。

国際ボランティア貯金の加入件数2,627万件、

寄附金配分団体数2,253団体、寄附金配分事業数

トピックス

「国際社会に貢献する国際ボランティア貯金

―国際協力NGOへの資金助成―」

第二経営経済研究部研究官

町田 七重

108 郵政研究所月報 2003.

(2)

仕組み

(例)1年間の平均残高を40万円、寄附割合を50%とした場合

※寄付割合は、20%から100%までの間の10%単位で自由に選択できる。

 また、寄付割合は変更することもできる。

40万円

(元金)

× 0.005%

(通常貯金の利率)

H14. 11. 30現在

20円

(発生利子)

20円

(発生利子)

− 4円

(税金)

16円

(税引後の受取利子)

16円

(税引後の受取利子)

× 50%

(寄附割合)

8円

(寄附金)

ご加入

協力証

便

など 開発途上地域の人々の 福祉の向上を支援 国際ボランティア貯金は、通常貯金や通常貯蓄貯金

の税引後の受取利子の全部又は一部を、開発途上地 域の人々の福祉の向上のために寄附していただく貯 金である。

平成13年度 平成12年度 平成11年度 平成10年度 平成9年度 平成8年度 平成7年度 平成6年度 平成5年度 平成4年度 平成3年度

平成2年度 213 461 371 334 295 272 248 234 110 46 24 19

2,608 2,584 2,538 2,428 2,194 1,946 1,674 1,379 1,045

2,627 674

0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 万件 各年度増加件数 累計件数

2,761事業、寄附金配分金額179億2,705万9千円、

援助事業実施国91カ国となっている。なお、国際 ボランティア貯金の加入件数は、平成14年11月末 現在の累計で2,668万件となっている。

●主な特徴

) 援助の範囲(配分対象事業)

国際ボランティア貯金は、日本のNGOが行う 開発途上地域の人々の福祉の向上に寄与するため の援助事業であって、)援助事業の対象地域の状 況や人々のニーズを十分把握し、反映したもの、

*NGOのスタッフ等が申請援助事業の対象地域 図1 国際ボランティア貯金の仕組み

図2 国際ボランティア貯金の年度別加入件数

109 郵政研究所月報 2003.

(3)

137 172

198 202 204 209 223

235 197 187 186 103

平成14年度 平成13年度 平成12年度 平成11年度 平成10年度 平成9年度 平成8年度 平成7年度 平成6年度 平成5年度 平成4年度 平成3年度

配分団体数 配分事業数

150 193

225 237 234 239 264

305 265 245

254 150

配分金額(万円)

3億4,103 6億6,646 6億5,041 11億8,024

12億4,228 10億6,191

15億7,569 28億1,075 24億8,272 23億563

25億9,636 10億1,358

事業実施国数

36 45

51 50 52 50 57

61 56 58 48 49

に出向き、当該地域の人々に対して直接活動を実 施するもの、+援助事業の対象地域の人々に技術 を指導する等、当該地域の人々の自立を支援する ものという三つの条件を満たす事業を配分対象と する。つまり、BHN(Basic Human Needs、基 礎的生活分野)を中心に、「顔の見える援助」か つ「自立を支援する事業」を援助範囲としている。

BHNとは、日常生活を営む上で必要不可欠なも のであり、具体的には、衣食住、水、必要最低限 の医療、教育など開発途上地域の人々の生活改善 に直接結びつく内容を指す。

対象分野の特定はなく、対象団体や対象事業の 条件を満たす国内NGOの活動であれば、その事 業内容を審査した上で、援助事業経費の一部を補 助している。

過去の配分実績をみると、援助分野別では、医 療・衛生、教育、職業訓練・技術指導、農業指導 等の農村開発、環境保全及び住民の生活改善一般 に係る事業など幅広い分野に配分している。

他の助成制度における援助範囲をみると、例え ば、外務省の国際開発協力関係民間公益団体補助

金は、自ら人員を開発途上国に派遣して実施・遂 行する政府レベルでは対応が困難な草の根レベル の開発協力活動であって、地域社会のニーズを十 分に把握し、地域住民の自助努力による自立を促 し、地域住民の参加がある事業を援助範囲として いる。資金助成や物資輸送のみを行う事業、現地 カウンターパート等に全面委託する事業は対象外 としている。また、環境事業団の地球環境基金は、

開発途上地域や国内で実施する環境保全活動で あって、現地のニーズに基づいた活動の必要性、

活動の自主性、現地住民又は民間団体の参加(海 外活動)や広範な国民の参加(国内活動)を得て 実施される活動など活動の広範性がある事業を援 助範囲としている。現地ニーズを反映させた事業、

現地住民等の広範な参加を得られる事業、現地住 民の自立を支援する事業であることは、他の助成 制度にも共通する援助範囲である。

* 団体資格(配分対象団体)

国際ボランティア貯金の寄附金による海外援助 の対象となる団体資格は、)日本国内に事務所を 図3 国際ボランティア貯金の年度別配分実績

(配分団体数・配分事業数・配分金額・事業実施国数)

110 郵政研究所月報 2003.

(4)

置き、かつ、代表者が定められ、意思決定及び活 動の責任の所在の明確な団体、*海外援助事業を 実施する営利を目的としない民間の団体(法人格 の有無を問わない)、+適正な会計処理が行われ ていること、,事業の実施に必要な自己資金を確 保する能力を有していること、-他の援助団体に 対して助成を行っていないこと、.過去の援助事 業実施に当たって重大な問題がなかったことと なっている。

他の助成制度における対象団体をみると、日本 国内に住所又は事務所等を置き責任の所在が明確 であること、継続的な活動実績があること、事業 遂行や会計面において十分な管理能力を有するこ と、政治的、営利的、宗教的活動を行わないこと などは、国際ボランティア貯金と同様、他の助成 制度にも共通する団体資格である。

+ 募集方法、審査方法

国際ボランティア貯金の寄附金の配分申請につ いては、公募期間中(年1回、例年3月)に申請 団体の所在地の集配郵便局(配達を受け持つ郵便 局)に申請する。その後、総務省内での書類審査、

審議会専門委員からの意見聴取、外務省等関係行 政機関との協議後、審議会へ諮問し、その答申を 受けて総務大臣が配分団体及び配分額を決定(例 年6月)する仕組みとなっている。

平成15年4月以降は、日本郵政公社が募集、選 考を行い、総務大臣の認可を受けて配分決定を行 うこととなる。

他の助成制度における募集方法や審査方法をみ ると、国際ボランティア貯金の寄附金配分決定の 段取りと同様に、年1回の公募期間を設け、2、

3ケ月の間に、事務局での書類審査、審査委員会 等において審査選考し、助成金交付先及び助成額 を決定する助成機関がほとんどである。

, 配分対象となる経費

国際ボランティア貯金の寄附金による海外援助 の対象となる経費は、物資・資機材の調達費、建 設費、建造物の工事費、現地事務所経費(事務所 借料、光熱費等)、現地における雇用費(専門家、

スタッフ及び作業員等)、専門家やスタッフの派 遣費(航空運賃、現地交通費、滞在費、日当)な どである。限られた寄附金を有効に配分する観点 から、恒常的に要する経費で配分の成果が具体的 な形で見えにくいもの(国内事務所経費、通信費、

事前調査・事後評価の経費等)は配分対象外と なっている。

他の助成制度における対象経費をみると、物 資・資機材の調達費、施設建設費、専門家・現地 スタッフ人件費、渡航費などは、国際ボランティ ア貯金と同様、他の助成制度も共通して対象経費 としている。外部監査費(外務省の国際開発協力 関係民間公益団体補助金)やNGO自身が実施す る事後評価の経費(œ国際開発救援財団)を対象 経費とする助成機関もある。

- 助成金の交付のタイミング

国際ボランティア貯金の寄附金は、事業を実施 する前に、国際協力NGOへ概算払いしている。

他の公的な助成制度である国際開発協力関係民 間公益団体補助金や地球環境基金では、助成金を 精算払い(NGOが事業を実施した後に助成金を 交付)している。一方、民間の助成制度では概算 払いとしているところが多い。助成金を概算払い する仕組みは、概して日本の国際協力NGOは財 政基盤が脆弱であるため、NGOにとっては活動 経費を調達しやすいというメリットがある。反面、

助成機関にとっては事業実施後の監査で不適切な ものは返還金を求める形となり事務手続きが煩雑 になるというデメリットがある。助成金を概算払 いする助成機関の中には、(助成金が一定金額以

111 郵政研究所月報 2003.

(5)

上の場合)事業実施当初と中間報告書受領後に分 けて助成金を交付するなど、概算払いを取り入れ ながらも、事業の進捗状況に応じた助成金交付を 行っているところ(公益信託経団連自然保護基 金)もある。

. 配分事業の監査

国際ボランティア貯金の配分事業に対する監査 については、書面監査と実地監査を行っている。

書面監査では、全事業を対象として、中間報告書 及び完了報告書(会計帳簿、領収書、実施状況の 写真等を含む)により配分申請書に記載された実 施計画どおりに事業が実施されたこと及び配分金 が適切に使用されたこと等を確認している。監査 の結果、不適切である場合は、配分団体に対して 改善や配分金の返還を求める。また、実地監査で は、職員や委託した民間調査機関のスタッフが配 分団体の事務所又は現地の事業実施地域を訪問し、

事業が計画どおり適正に行われていることなどを 確認している。

他の助成制度における助成事業に対する監査に ついては、ほとんどの助成機関が、中間報告書や 完了報告書により事業の活動状況の確認、会計監 査等を行っている。

終わりに

国際ボランティア貯金の寄附金は、郵便局の通 常貯金・通常貯蓄貯金の利子の全部又は一部を原 資としているため、長引く超低金利の影響を受け て、寄附金配分金額は年を追うごとに減少してい る。しかしながら、国民参加による草の根の援助 活動を支援し、開発途上地域の人々の福祉の向上 に貢献する国際ボランティア貯金の役割は、日本 の国際協力活動の中で、益々大きくなってきてい るといえる。少額であっても、預金者の善意の結 晶である国際ボランティア貯金の寄附金が、全国 各地の国際協力NGOによって、開発途上地域の 人々の福祉の向上、当該地域住民の自立の促進に、

効率的・効果的に活用されることを期待するもの である。

参考文献

総務省「NGO活動状況報告書」

中村陽一、日本NPOセンター[1999]「日本のNPO/2000」–日本評論社

特定非営利活動法人 国際協力NGOセンター[2002]「国際協力NGOダイレクトリー2002:国際協力に 携わる日本の市民組織要覧」

郵政事業庁郵便貯金ホームページ(http://www.yu-cho.yusei.go.jp/volunteer-post/index.htm)

外務省ODAホームページ(http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/seisaku/seisaku_4/sei_4f.html)

国際協力事業団ホームページ(http://www.jica.go.jp/Index-j.html)

環境事業団地球環境基金ホームページ(http://www.eic.or.jp/jfge/)

œイオン環境財団ホームページ(http://www.aeon.info/ef/)

œ国際開発救援財団ホームページ(http://www.fidr.or.jp/)

経団連自然保護基金ホームページ(http://www.keidanren.or.jp/kncf/)

112 郵政研究所月報 2003.

参照

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