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Matsujiro Hamasumi: On the Equilibrium Diagram of Cu-Sn System. The diagram of this system has since 1927 been studied by the author and his collabora

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(1)

青 銅 状 態 圖 の 研 究

濱 住 松 二 郎*

Matsujiro Hamasumi: On the Equilibrium Diagram of Cu-Sn System. The diagram of

this system has since 1927 been studied by the author and his collaboratars and the results of the work of

five papers have been published in the Kinzoku no Kenkyu and the Nippon Kinzoku Gakkai-Si. The present

paper is the final summary of the author's work.

Since there exist diverse opinions among the workers on the equilibrium relations of the Cu-Sn system,

the author with his collaborators established the true equilibrium relations at least in its general trend. The

minute detail such as the precise determination of ƒ¿/ƒ¿+ƒÀ and ƒ¿/ƒ¿+ƒÂphase boundaries by drastic annealing as has done by Owen and Williams, is left for the further research.

In this series of investigation all the methods avairable in the present state of physical metallurgy were used

among which may be cited, the common thermal analysis, the differential thermal analysis, a special and more

precise differential thermal analysis, the temperature-electric resistance measurement, the temperature dilatation

measurement, the microscopic examination and finally the X-ray research at high temperatures.

From the data obtained by these methods of investigation the author established the equilibrium relations of the Cu-Sn system as shown in Fig. 26. There are two new points in this diagram, that is, the introduction

of e phase given by the present author and the eutectoid transformation ƒÂ?ƒ¿+ƒÅ at 325•K given by Owen and

Williams. The other relations are those which have been frequently discussed by many workers and they are

not new. Each lines, however drawn in the present diagram is based on the positive proof excluding any

speculations or inductive process of reasoning frequently made in the absence of firm basis. The author hopes

that his diagrams shall gain an appreciation and that no vain effort shall be made further on the same subject.

(Received November 10, 1937)

Ⅰ.緒

青銅 は 鐵鋼 と共 に古 くか ら人類 の 使 用 した 合 金 で あ る が合金 と して は稍 々過 去 の材 料 に屬 す る。常温 で硬く高 温で脆 く何 れ に して も加 工 性 の 乏 しい 事,錫 を成 分 とす るため に高 價 な事 は機 械 材 料 と して將 に致 命 的 の打 撃 で 是 に代 つ て廣 く眞鍮 が 用 ひ られ る。 唯 青 銅 は摩 擦 係 敷 が 小 さ く彈 力 が あ り腐 蝕 に耐 える所 か ら 眞鍮 代 用 の利 か ぬ 所 に用 ひ られ る。 然 し鋼 と青 銅 と眞鍮 の三 つ は歴 史的 に も工業的 に も合 金 の 三大 基 地 を成 す 物 で之 等 の 金 相 を明 か に し其 の平 衡 状 態 を完 全 に 研 究 して 置 く事 は學 術 的 に 頗 る緊要 で あ る。

所 でFe‑C,Cu‑Zn系 の 状 態 圖 が 略 々今 日完 成 を 見 て 居 るに反 し青銅 即 ちCu‑Sn系 の状 態 圖 は 猶 研 究 者 に依 る見解 の 相 違 が著 しい。 青 銅 の金 相 は鐵 鋼 に比 し實 に複 雜 でFe一C系 に は 唯 一 つ の化 合 物Fe3Cが あ るに 對 し Cu‑Sn系 に はCu31Sn8,Cu3Sn,Cu6Sn5等 三 つ の 化合 物

が 有 り,鋼の焼 入れ マル テ ン サ イ トに 對 し青 銅 の 焼 入れ た 物 には 同様 の針 状 組 織 が あ り,殊に 焼 戻 し組 織 は 青 銅 に於 て よ り一 層 複 雜 で あ る。特 にSn26〜40%を 含 む 青 銅 の平 衡 状 態 な複 雜難 解 を極 め研 究 の 手 を此 處 に染 む る者 概 ね一 人 一 見 恰 も群 盲 の 巨 象 を評 す るが 如 く沓 と し て眞 相 の 捕 捉 し難 い もの が あ る。

青 銅 の状 態 圖に 關 す る研 究 文 献 は實 に 多數 に上 り之 を 輯録 しても 一卷 の書 物 を 成す程 あ り一 々 茲 に論 及 す る事

は出 來 な い。 之 等 の 概 略 はM.  Hansen氏 の 著 書 Der   Aufbau  der  Zweistoff  Legierungen"に 洩 れ な く掲 載 され て居 る。 著 者 は1927年 の 秋 以 來 青 銅 の 研 究 に 着 手 し 足 掛 け10年 に及 ぶ。 其 の 第1回 報 告 は 金 屬 の 研 究 第 7卷(1930),  535〜581頁 に第2回 報 告 は金 屬 の 研 究 第10 卷(1933), 137〜147頁 第3回 報 告 日本 金 屬學 會 誌 第1卷 (1937), 165〜167頁 第4回 報 告 日本 金 屬 會 誌第1卷(1937),   251〜261第5回 報 告 日本金 屬 會誌 第2卷(1938) , 39〜44

に 夫 々掲 載 し之 を以 て 完 了 した 本 篇 は之 等 報 告 の 總括 で あ る。 惟 ぶ に 平衡 状態 の 研 究 は 平 衡 状 態 に 達 せ し め る

*東 北帝國大學工學部金屬工學科

(2)

迄 に か け る時 間 が 際 限 な く延 長 出 來 るの で あ り現 に Owen‑Williamsは靑 銅 の δ相 を300時 間 も燒 鈍 して α

と η相 に 共 析 す る事 を發 見 して居 る位 で あ る か ら細 部 の 點 に至 つ て は殆 ど限 りな く研 究 が 續 く もの と 考 へ られ る。 著 者 は 斯様 な 細部 の 點例 へ ば0.1%の 溶 解 處 の相 違 の 如 きを 嚴格 に 定 め るの を 目的 とす る もの で な く平衡 状 態 圖 の 大 勢 を確 定 し從 來 の 異 論 を一掃 する 事 を念願 とし た 。

Ⅱ.研 究 方 法

凡 そ状 態 圖 の 研 究 に は物理 的,化 學 的,或 は材 料試 驗 的 に 種 々な手 段 と方 法 とが あ り對 象 とす る變 態 の 性 質 に應 じて適 當 な物 を擇 ば なけれ ば な らぬ 。 例 へ ば 磁氣 分析 は 鐵 鋼 に は甚 だ 有 効 で あ るけれ 共 非鐵 合 金 に は不 適 當 で あ る。 本 研 究 で は凡 そ次 に 述 べ る様 な種 々の方 法 を單獨 に 用 ひ或 は數 種 併 用 した 。

(a).熱 分 析:液 線 の 決 定 に は 普 通 の 熱 分 析 法 を 用 ひ た 。 電 氣 銅 とMerck會 社 精 製 の純 錫 を適 宜 に 配 合 し全 量 を50gに 保 ち大 形 タム マ ン 管 を 用 ひ カー ボ ラン ダ ム 抵 抗電 氣 爐 で鎔 か した。酸 化 を防 ぐた め に 油煙 で 上面 を 掩 ひ全部 が 融解 す る と炭 素 電 極 棒 で よ く攪 拌 して 白金 ロ ジ ウ ム熱 電 對 を挿 入 する。 對 は 石英 管 で保 護 し適 當 な鐵 製 キ ヤ ツプ を附 け て尖 端 が 融液 の 中央 に止 る様 に し て あ る。 融液 の 冷却 速 度 は5秒2〜3゜,熱 分 析 は唯 液 線 を定 め る 丈 け の 目的 で凝 固 後 に 起 る固體 の攣 化 迄 定 め る積 りが 無 か つだ か ら極 めて 短 時 間で 終 了 した。 合 金 は一 般 に凝 固時 に偏 析 を起 し易 く熱 分 析 で 固線 を定 め る事 は甚 だ 困 難 で あ るか ら凝 固 完 了點 或 は 固 體 で 起 る變 態 點 の 決定 は 他 の 方法 に據 らね ば な らぬ 。 (b).示 差 熱 分 析:熱 分 析 に 使 用 した試 料 は液 線決 定後 直 ち に 再鎔 解 し てFig.1の 様 な鋳 型 に鋳 造 し之 を水 素 瓦 斯 中 で750゜ に25時 間 焼 鈍 し 其 の偏 析 を除去 した 。 試料 は 旋盤 又 は 硬 い 物 は グ ラ イン グ ー を 用 ひ て直 徑14mm高 さ 19mmの 圓 柱 に 仕 上 げ 中央 に徑25mm深 さ8mm熱 電

對 を挿 入 す る孔 を穿 つて あ る 。示 差法 の 中性 體 と して は 同 形 同 大 の 電解 銅 片 を用 ひ,中 性 體 と試料 とはFig.2に 示 す様 な銅 管 に 收 容 した 。 勿論 之等 は 雲母 で卷 き銅 管 と

は電 氣的 に絶綠 して あ る。

示 差熱 分析 に 用 ひた 熱 電 對 は アル メル ク ロメル線 で銅 管 と共 に磁 製 管 に挿 入 し水素 瓦 斯 を通 し乍 ら白金 電 氣爐 で加 熱 した 。加熱 と冷 却 の 速 さは 毎 分2゜ に調 整 し,鏡電 流 計 を用 ひ て熱 動 電 力の 攣 化 を觀測 した。Fig.3は 示差 熱 分 析 曲線 の一 例Sn 5%及 び20%を 含 む 物 で加 熱 で右 方に急 激 に フ レ初 め る點 が 融解 開 始點即 ち 固相 點 で融 解 の 完 了 を待 た ず に冷 却 曲線 を取 つ た 。状 態 圖 中 の 固線 は此 の加 熱 線 た據 つた物 で 冷却 で は再 び偏 析 を起 すか ら 冷 却 曲線 を採 用す る譯 に は行 かぬ 。此方法 は 在 來 の燒 入れ て融解 開 始 を 見 出 す方 法 よ りも 遙 に 簡 便 且 正 確 で あ

る。

(c).精 密 示 差 熱 分 析  錫 含 量24〜28%合 金 に 現 はれ る β→γ變 態 或 は 錫 含 量39〜100%合 金 に 現 はれ る 175゜の 變 態 の 如 く非 常 に 熱 變 化 の 小 さ い物 は普 通 の示 差 熱 分 析 法 で は感 度 の 鈍 いた め に發 見 す る事 が困 難 で あ る。 斯 様 な場 合 には 特 に 感 度 を10倍 に增 大 した 精 密 示 差 熱 分 析 法 を 用 ひた 。直徑14mm高 さ19mmの 完全 に 燒 鈍 しだ 試 料 を用 ひ之 を 雲 母 薄 片 で 卷 い てFig.4に 宗 す様 な銅 製 容 器 に收 容 した。 平面圖に見 る如 く容器に3

Fig.1.

Fig.2.

Fig.3.

(3)

ケの孔 を穿 ち1に は試 料2に は 中性 體3に は温 度測 定 用 銅 片又 は錫 片 を挿 入 し試 片 と中性 體 の 孔 に は夫 々示 差 熱 電 對 の接 點,温 度 測 定 用片 の 孔 へ は 白 金 ロ ジウ ム對 の 接 鮎 を挿 し込 む 。 示差 用 對 はCopper‑Constantanを 用 ひ Fig.5の 如 く10回 繰 返

し てThermopileと し各 線 は 硝 子 製 毛 細 管 一に收 め て互 に絶綠 して 一 と束 とした 物 で 普通 のCopper‑Constantan 對 の10倍 の 動 電 力 を 得 る勘 定 とな る。接 點 を挿 し込 んだ 後 は蓋 を 捻 じ込 み全 體 を温 度 分 布 の均 一 な電 氣 爐 に 入 れ水 素 氣 中で 徐 々に加 熱 冷 却 し 或 は175゜ 變 態 の場 合 は全 體 を油浴 中に浸 し浴 槽 を更 に電 氣抵 抗 爐 中で 加 熱 冷 却 す る様 に した 。 示 差對 の兩 脚 は鏡 電 流 計 に 絡 ぎ望遠 鏡 と尺 度 で 其 フ レ を觀 測 す る。

(d)電 氣 抵 抗 法:固 體 で起 る變 化 を研究 す

るに電 氣 抵 抗 法 は最 も 便 利 で あ る。 加 熱 冷 却 速 度 をい く らで も緩 漫 に し て變 化 に對 して充 分 の時 間 を與 へ 變化 前 後 で 抵 抗 値 を測定 し得 る か らで あ る。試 料 として は直 徑4mm長 さ150mmの 丸 棒 を金 型 に鋳造 し後 充分 燒 鈍 して 偏 析 を除 去 した 物 を 用 ひた 。錫 含 量 が高 くな る に從 つ て合 金 が脆 くな り金 型 に 鋳 造 して も割れ るか ら斯 様 な場 合 はFig.6に 示 す様 な磁 製 管 を鑄 型 と して之 を電 氣爐 中に 立 て上 部 に 漏 斗 を附 け約800゜

に加 熱 して置 い て此 中へ 鎔 融 試 料 を注 入 し別 に細 い磁 製 棒 を以 て突 き挿 し發 生瓦 斯 を上 昇 させ て氣 胞 の 生 成 を防 いだ 。凝 固 後 は約1時 間共 處 其 の 温 度 に保 ち爐 冷 して 偏

析 を除 去 す る。 冷却 し た物 は取 り出 して萬 力 に挾 んで靜 に磁 製 管 を 碎 き裸 に し た。 最 も 脆 い合 金 はSn35%前 後 で あ つ た が此 方 法

に 依 る と比 較 的 樂 に 200mm長 盗 の 丸棒 も 得 る 事 が出 來 た。抵 抗 の 測 定 に はLeeds  &

  Northrup型 電 位差 計 を用 ひFig.7に 示 す様 に銅 製 の連 結 子 を用 ひ

た 。 之 を磁 製 管 に收 め 水 素 氣 中 に して 電 氣 爐 を 用 ひ 加 熱 冷 却 し た 。加 熱 冷却 の速 度 は 10゜/20分 以 下 で あ る 。Fig.8はSn33.61%試 料 の 抵

Fig.5.

Fig.6.

Fig.7.

Fig.8.

(4)

抗 温 度 曲 線 で568〜583゜ の 減 少 は δ十 η→ ∈,590〜610゜

間 の增 加 は∈→β十 ε即 ち ∈が漸 次溶 解 して βに變 るた め に起 り610゜ で 完全 に β に 變 化 し 終 る。 冷 却 曲 線 で は 605゜迄 が β, 605゜か ら εが析 出 を初 め585゜ で全 部 εに な り 585〜565゜ 迄 は純ε 相, 565〜535゜ 間 で はε か ら δが析

出 を初 め535〜512゜ 間 で は ε→δ十 η の共 析 變 態 が起 る。

電 氣抵 抗 法 は固 體 で起 る變 化 の觀 測 に便 利 で あ るが 又 融液 か ら凝 固 す る時 の液 線 固 線 の決 定 に も用 ひる事 が 出 來 る。此 た め に本 研 究 で は從 來 全 く見 な か つ た方法 を採 用 した 。Fig.9寫 眞 は内徑 約4mm長 さ190mmの 磁 製

管 で 之 に4個 の 細 隙 を 穿 つ 。 外 側 の2ケ は 主 電 流(0.5A) を 通 す タ ー ミナ ル,内 側 の1對 は 電 位 差 を 測 る 爲 の タ ー

ミナ ル を 取 り付 け る 孔 で 此 間 隔 は100mmに 一 定 し た 。 孔 を圓 形 とせ ず溝 型 と した の は 加熱 中試 料 の 膨 脹 に伴 れ て ダー ミナル が 移動 し得 る爲 で あ る。此 の管 内に 前述 の 古法 に依 り で 鑄 造 した 丸棒 を切 斷 して納 め兩 端 孔 の部 分 に は適 宜 隆 き間 を殘 し茲 に 同一 試 料 の粉 末 を充填 し て此 中 ヘ ダン グ ス テ ン又 はモ リプデ ン線 の クー ミナル を挿 し 込 む 。磁 製 管 の右 端 は炭素 棒 で栓 し全 體 を太 い磁 製 管 に 收 め 水素 瓦 斯 を通 し乍 ら電 氣爐 で加 熱 し一 度 完全 に融 解 し て 試料 と ター ミナル の接 觸 を良 くす る。Fig.10は ター ミ ナ ル を取 り付 け た有 様 で あ る。電 氣爐 は220mm間700゜

で温 度 均 一 度 土2゜ の 物 を用 ひた 。 タン グ ステ ン或 はモ リブ デ ンの ター ミナ ル は高 温 で なけれ ば 融解 しな いか ら 試 料 と合 金 す る事 極 め て遲 く測 定 中此 た め に電 位 差 の 變 る事 は殆 どな かつ た 。Fig.11はSn38.36%化 合 物Cu3Sn に 相 當 す る試 料 の凝 固 區 間 に 於 て測 つた 電 氣 抵 抗 變 化 で加 熱 冷 却速 度 は10゜20分 位 の 割 合 で あ る。圖 に 見 る様 に加 熱 冷却 の變 化 が可 逆 的 に 行 はれ て居 るか ら試 料 及 び

装 置 中に 故 障 は無 かつ た と見 て よい。 此 方 法 はCu3Snの 凝 固 區 間 の有 無 及 び738゜ の 包 晶線EFGの 決 定 に用 ひて

頗 る有 効 な結 果 を得 た (e)熱 膨 脹 計 法:熱 膨 脹 計 法 も亦 電氣 抵 抗法 と 同様 加熱 冷 却 をい くらで も緩 や か に し平衡 状態 に 達 す る 事が出 來 るか ら固 體 で起 る變 化 の觀 測 には 便 利 で あ る。 本 研 究 で は 金 研 で 常 用 す る本 多式 全 熱 膨 脹 計 を用 ひ試料 とし て は上 記 電 氣 抵抗 の測 定 に 用 ひ た 徑4mm長 さ 150mmの 丸捧 を 用 ひ加 熱 冷 却 速 度 は10゜50分 乃 至20分 を 用 ひ た。

Fig.12はSn33.61%を 含 むFig.8と 同一 試料 の 熱 膨 脹 曲線 で變 化 は圖 中 に記 入 した通 ので あ る。

(f) X線 分 析:常 温 に 於 け る結 晶 分 析 に はDebye‑Scherrer法 を 採 用 し た 。 試

料 は燒 鈍 し た 物 或 は燒 入 れ た 物 を 鑢 で粉 末 に し 或 な 碎 粉 し て 徑 0.5mm程 度 の硝 子線 の 表 面 に糊 で 附 着 し ロ

ールし て 出 來 る丈 け丸 捧 状 に し 熱た 。 之 をカ メ ラに 取 り つ け回 轉 し

Fig.9.

Fig.10.

Fig.11.

Fig.12.

(5)

乍 ら粉 末 寫 眞 を 撮 つ た の で あ る。 然 し高 温 に 於 け る結 晶 型 の決 定 をす る場 合燒 入れ た 粉 末 は熱 的歪 み と共 に加 工歪 を も潜 在 す るか ら反 射 線 が 暈 け 又 γ 相 のSn34〜

40%を 含 む試 料 の如 く燒 入 れ に依 つ て もγ相 を得 られ な い事 が あ るか ら粉 末 法 を用 ひ る事 が 出來 ぬ 。

此 た め特 殊 の 高温 用 Ⅹ 線 カ メ ラを製 作 した 。Fig.13 は此装 置 の大 體 を示 しaが 斷面 圖 でSandstrom型 イオ ン管 を用 ひ,カ メ ラはSeemann‑Bohlin式 半 圓形 の物 で あ る。 管球 とカ メ ラと は窓Gに 張 つ た ア ル ミ ニ ウ ム箔 を挾 んで 密 着 させ 捻 子 で締 め附 け カ メラの 管球 に對 す る 位置 が變 らな い様 に した。 窓Gは 特 に 對 陰 極 よ りも下 方 に有 り Ⅹ 線 は 水 平 に置 いた 試 料 面 に30゜ の 角 度 を以 て入射 す る。Cは 試 料 で 厚 さ1mm,  1cm2の 石 英 板 に試 料 粉 末 を壓 着 した 物 で糊 を 用ひ な い。Dに 試 料 加熱 用電 氣 爐 で詳 細 はFig.13cに 示 して 有 る。 圓筒 状 の 小 さな

ニ ク ロー ム電 爐 で 中央 部 は Ⅹ 線 の 入 射 反 射 に 必 要 な丈 け を切 り缺 い てあ る。 然 し試料 面 の 温 度 分 布 は ±5゜ の 均 一 さで切 り缺 きは大 害 を及 ぼ さな い様 に した 。 ア ル メ ル クロ メル對 め接 點 を試 料 の 表 面 に直 接 させ て温 度 を測

り, Eは カ メラ即 ち取 枠 に 相 當 す る物 でFig.13bに 示 す様 にFに アル ミニ ウム箔 を張 つ て 爐 か ら來 る輻 射 を 遮 斷 し フイル ムは 黒 紙 と アル ミ箔 で 包 みEに 取 り附 け るEに は絶 えず水 を流 して フ イル ム を冷 却 しカ メ ラ全 體 を硝 子鐘 Ⅰで蓋 ひ試 料 の 酸 化 を防 ぐた め に水 素 瓦 斯 を 通 した。 此 場 合 も既 述 の他 の場 合 も水 素 瓦斯 流 を絶 えず 通 す と試 料 の 温 度 が部 分 に 依 つ て 不 均 一 とな る か ら入氣 口は開放 し排 氣 口 は閉 ぢ て装 置 内 を正 壓 に し漏 洩 す る分 丈 け を補 給 す る様 に して氣 流 の 發 生す る の を防 止 した 。 標 準 としてNaCl粉 末 を 用 ひ て装 置 の 調整 を行 ひ フ イル

ム上 の感 光線 の位 置 と廻折 角度 との 關 係 を グ ラフに 表 は して 置 き以 後 フ イル へ 上の線 の位 置 を測 尺 して逆 に グ ラ フか ら反 射 角 を求 め る様 に した 。試 料 は充 分 燒 鈍 し Ⅹ 線 分析 を行 ふ 温 度 迄 再 加熱 し氷 水 中 に燒 入れ 其 の 組織 を確 めた後 鑢 で削 り乳鉢 で 更 に細 粉 し上 記 石 英 板 に 一定 厚 さ に壓 着後 爐 内 に セ ツ トし徐 々 に 加 熱 す る。 Ⅹ 線 管 は40 kV10mA對 陰 極 と して 銅 を 用 ひ 約2時 間 の 露 光 で 撮 影 を 終 る。Ⅹ 線 寫 眞No.12及 びNo.6は 化 合 物 η Cu3Snの 常 温 及び620゜ の廻 折 寫 眞 で あ る。

(g)顯 微 鏡 試 驗:常 温 の顯 微 鏡 組 織 は 既 に 從 來 の 研 究 に 於 て見 らる ゝ通 りで あ る が 高温 の組 織 な 燒 入れ 操 作 の 巧拙 に依 つて 大 い に違 ふ 。本 研 究 で は最 も強 い燒 入れ 組 織 を得 るた めに種 々の 方法 を 用ひ た 。合 金 の組 成 に依 つ て燒 きの 入 り易 い場 合 もあ るが最 も 困 難 な の はSn15〜

40%特 に ηεδを析 出 す るSn26〜38%間 で あ る。水, 氷 水 は餘 り有 効 で な く氷食 鹽 水 即 ち寒 劑 は最 も有 効 で あ る。 之 と同 程 度 の 物 は寒 劑 中 に水 銀 液 を浸 し水 銀 の 中へ試 料 を燒 入れ る方 法 で あ るが 冷 却速 度 は寒 劑 と大差 な くしか も試料 と水 銀 が 合金 す る怖 れ があ る丈 け不 得 策 であ る。 液 體 窒素 の 中 に も燒 入 れ て 見 たが 効 果 が 少 く寒 劑 に及 ば ず 又銅 鑄 型 を寒 劑 中 で冷 却 し て置 い て此 中へ鎔 液 を鑄 込 み チ ルす る方法 も 試 みた が 其 の効 果 は寒 劑 に燒 入 れ た よ りも稍 鈍 い 。 要 す るに靑 銅 の燒 入 れ 高 温 組 織 を見 る に は寒 劑 を 用 ひ るのが 最 も良 策 で あ る 。

(h)試 料 の化 學 分 析:試 料 の 中軟 い 物 は 旋盤 で 削 り硬 い 物 は 瑪 瑙 臼 で 碎 粉 した 。 試 料粉0.2〜0.59を 濃 硝酸 50cc濃 硫 酸100cc,水300ccの 混合 溶 液30ccに 入れ 砂 浴 を 用ひ て完 全 に 溶 解 する 。溶 液 か らは 過 剰 のNO2瓦 斯 を駆逐 し,冷 却 し た 後 之 を100ccに 稀釋 しWinkler の 白金 電 極 を 用 ひ て電 流0.5〜lA,  8〜15時 間 を以 て電 解 した 。電 解 の終 末 期 に 少 量 の 尿素 を入 れ 完全 にNO2

を分 解 させ るのが 有 効 で あ る。

銅 の電 着 した電極 は 空氣 に觸 れ な い様 に 注意 し乍 ら蒸 溜 水 で洗 滌 し次 に アル コール,エ ーテ ル で 洗 滌 し 眞 空 乾 燥 器 で30分 間乾 燥 し て秤 量 した。 錫 含 量 の 高 い 合 金 に 對 して は 混合 溶 液 の分 量 を增 加 し且 迅速 に溶 解 す る。 錫 の高 くな るに 從 つ て 電流 も亦0.4〜0.5Aに 弱 め電 解 時

Fig.13.

(6)

間 を長 くした 。 斯 う して得 た 結 果 を 見 る と當初 の 配 合 と の 差 異 は 非常 に僅 少 で鎔 製 中の 酸化 減 量 は殆 ど考 へ る必 要 が な い。

Ⅲ.實 驗結果及其詳論

上 述 の様 な種 々 の研 究 方 法 を用 ひ其 の 結 果 を布 點 し てFig.14に 示 して あ る。普通熱分 析で決定 した 點即ち 液 相 線 そ の他 の決 定 は冷 却 曲線 に現 はれ た 停 點 或 は折 點 を採 り其 他 の固 體 に起 る變 態 點 は概 して 加熱 曲線 に據 つ た。圖 中BCD線 或 はOPQ 線 がB點 或 はO點 よ り左 方 に 引 か れ て居 る の はBCDの 包 晶變 化 又 はKLMの 包 晶 變 化 が 普通 熱 分析 冷却 曲線 で 完 了 して 居 なか つ た 爲 で あ る。各部 分 に就 て決 定 方法 を詳論 すれ ば次 の通 りで あ る。

(a) 738゜EFG包 晶 線 の 設 定:此 包 晶線 はRoberts   Austen  &  Stansfield(1)以 來 一 般 に 認 め られ て 來 た 物

で何 等 疑 問 を存 し ない 筈 で あ るが最 近Veroは 之 を2段

の包 晶反 應 と認 めFig.

15の 如 き 状 態 圖 を 提 出 した 。 VeroはSn

25〜32%

合金 の普 通 熱 分 析 曲線 で 之 を認 め た と報 告 し て 居 るが 普 通熱 分析 で 斯 様 なデ リ ケ ー トな問 題 を決 定 す る事 は 出來 ぬ。 熱 分 析 は或 程 度 の 冷却 速 度 を必 要 とす る爲 充 分 の 平 衡 状 態 を 得 る事が 出來 ぬ。 仍 で著 者 は前記dに 述 べ た特 種 の電 氣 抵 抗 法 を 用 ひ加熱 冷 却 速 度 を 極 め て 緩 く10゜25〜30分 の 割合 に保 ち 同 一 試 料 に對 し4〜5回 連 續 測 定 を繰 り返 しFig.16の 如 き布 點 を得 た 。Fig.17はSn29.95%を 含 む 合 金 の 加 熱 及 び 冷 却 曲線 であ る。之 に 依 れ ば 凡て の 曲線 に現 は れ る低温 側 屈 曲點 は β 又 は γ相 の 固 相 線 に 乗 り高 温 側屈 曲點 は 液 線 上 に乘 る事 が 分 る。

又Sn29,30,31%試 料 に は 中 間742゜

に 明 瞭 な 屈 曲 點 が 現 は れ て 居 て 之 は Liquid+β?γ の 包 晶 反 應 に 相 當 す る。普 通 熱 分 析 で は過 冷 の た め に738゜

と現 は れ た が 茲 で は742゜ に現 は れ て 居 る。 從 つ てVeroの 二 段包 晶 變 化 を 設 けた 状 態 圖 は 誤 で あ る。

(b)  Cu3Snの 液 線 と固 線:Sn38.36%

合 金 は 化 合 物Cu3Snに 相 當 しGiolitti  &  Tavanti(2),

(1) Roberts-Austen, Stansfield, Inst Mech. Eng., (1897),

67-69.

(2) Giolitti, Tavanti, Gazz. chim. ital: 38 (1908), 209•`239

(7)

Bauer  &  Vollenbruck(3),  Carson(4)等 は 此 化 合 物 が 融 液 か ら γ と し て 直 接 晶 出 し後 ηに 變 態 す る 物 で あ り從 つ て

此 組 成合 金 の 液 線 と固線 と は接 觸 す る物 と考 へ て居 る。

松 川 博士(5)及 び遠 藤 博 士(6) は夫 々靑銅 融 液 の比 電 氣 抵 抗 及 び 帶 磁 率 を測 定 し前 者 はCu3Snに 相 當 する部 分 に極 大 點 後 者 は極 小 點 を見 出 し た所 か ら融液 中 に尚Cu3Snな る分 子 が 存 在 す る と考 へ

るの を妥 當 と した 。 著者 は既 述 の通 り普 通 熱 分 析 法 に 依 つ て液 線 を定 め 示 差熱 分析 法 を以 て固 線 を定 め た が 之 に よ る とCu3Sn部 分 に は20゜位 の凝 固 區 間 が あつ て 液 線 固線 は寧 ろSn34〜35%附 近 が 接 近 して 居 る。

Fig.18に はSn38:13%及 び38.53%試 料 の熱 分 析 曲 線 を示 して お いた 。 然 し尚 一 層 正 確 に凝 固區 間 の有 無 を確 め るた めSn38.36%合 金 に對 し前 節dに 速 べ た 方 法 に依 つ て凝 固 中の抵 抗 變 化 を測 定 した 。Fig.11が 之 で加 熱 冷却 速 度 は10゜20分 の割,凝 固 開始 點 が728゜(冷 却 曲線),融 解 開始 點 が720゜(加 熱 曲 線)で あ る。 所 で 此 時 加 熱 爐 の温 度 分 布 は 中央200mmの 長 さに對 し中 央 と兩 端 で8゜ の差 が あ り加 熱 中 の 融 解 開始 は 温 度 の 高 い中央 か ら起 る と考 へ るか らパ イ ロ メー ターの 指 示 温 度 が其 儘 採 用 出來 る。 然 し冷却 に於 け る凝 固 開始 は

温 度 の 低 い兩端 か ら起 る筈 で あ るか ら中央 パ イロ メー タ ーの 指 示 温 度 が728゜ な らば728゜‑8゜=720゜ が眞 の凝 固 開 始 點 と 見な けれ ば な らぬ 。從 つ て720゜(凝 固 開 始 點)

‑702゜(融 解 開始 點)=18゜ が 最 低 に 見積 つ て も此 合 金 の 凝 固區 間 で あ る。 若 しCu3Sn合 金 が 一定 温 度 で 凝 固 す る物 な らば斯 の様 に して定 めた 融解 開 始 温 度 は寧 ろ凝 固 開 始 温 度 よ りも高 いの が 通 例 で あ る。此 故 にCu3Snη に は18〜20゜ の凝 固區 間 が あ り融液 か ら直 接 晶 出 す る物 で な く先 づ γ固 溶 體 と して凝 固 し然 る後 化 合 物 が 生 成 す る と見 るべ きで あ る。

(c) β+γ 區 域 と575゜mn共 析 變 態:著 者 は第 一 回 報 告(7)に 於 て β+γ 匿 域 を738゜ のEFG線 か ら右 下 方 630゜の 變 態線defに 結 び 從 つ て738゜ の 變 化 をMelt+

β?γ, 630゜ の變 化 を γ?β+η な る共 析 反 應 と結 論 して

Fig.16.

Fig.17.

Fig.18.

(3) Bauer, Vollenbruck, Z. Metallk., 15 (1923), 119•`125, 191-195.

(4) Carson; Canad. min. metallurg. Bull, 201 (1929), 129-170.

(5)松 山,東 北 帝 大 理 科 報 告, 16  (1927),  447〜474.

(6)遠 藤,東 北 帝 大 理 科 報 告, 16  (1927),  222〜224. (7)濱 住,錦 織,東 北 帝 大 工 學 報 告, 10  (1931),  131〜187.

(8)

置 いた 。 斯 く結 論 した根 據 は 電 氣抵 抗 法,精 密 示 差 熱 分 析 法 に依 つ て も此 區 域 に 相 當 す る 折 點 を 認 め 得 ず,僅 か に焼 入れ 組織 の 異 常 とSn34.5%試 料 の 前章g節 に述 べ た チ ル カ ス ト組 織 が 共 析 晶 ら し く見 られ る 點 に有 つ た。

然 るに第 三 回 報 告(8)に述 べ た通 り著 著 が精 密示 差 熱 分 析 法 を用 ひ て β 及 び γ區 域 を研 究 した所Sn25%合 金 で571゜,Sn26.O1%合 金 で641゜,Sn27%合 金 で699゜, Sn28%合 金 で734゜ に變 化 を認 めFig.26に 示 す β+γ 區 域 を設 定 した 。 此場 合 に起 る變 化 は加 熱 で は吸熱 冷 却 で は發 熱 を起 しFig.19はSn27%合 金 の精 密 示 差 熱 分 析 曲線 で あ る。

β 區 域 な 稍 燒 入 れ が 行 ひ易 いが 此 中 で も低 錫 側 は マ ル テ ン サ イ ト組織 を現 はし均 一 相 を得 る事 は 不可 能 で あ る。Sn25〜27%間 は最 も均‑相 が 得 易 く, 27〜32%の δを析 出 す る合 金 は 又均 一 γ相 を得 る事 が 困 難 で概 して

トル ー ス タ イ ト的 組 織 とな る。Sn32%以 上 を含 む 合金 で は 寒 劑 中に燒 入れ る と精 均 一 γ網 に近 い組 織 を得 る け れ共 Ⅹ 線 的 に 調 査 した所 で は單 純 な γ相 と見 る事 は出 來 ない 。 寫眞Fig.1は 著 者 がSn34.77%合 金 を650゜ か ら寒 劑 中 に 燒 入れ た物 で第 一 回 報 告 で は 圖 中 の 白 い部 分 を β黒 い部 分 をγと したが 寫 眞Fig.2に 示 す通 り此 の組 織 の 物 を 400゜ に1時 間 燒 鈍 す る と黒 い部 分 は δ+η の パ ー ラ イ ト組 織 に 分 解 し白い部 分 に も又 ηが 析 出 す るか ら白い部 分 は γ黒 い部 分 は εで あ る事 が 分 つ た。 從 つ て第 一 回 報 告 中 に β+γ 組織 と考 へた 物 は γ+ε 組織 の誤 りで あ つ て 此 合 金 が560゜ か ら 燒 入れ て もよ く燒 きが 入 らな い事 を證 明 す る物 で あ る。

Ⅹ 線 寫 眞 が 單 純 な γ相 を現 は さな い の も畢 竟 ε相 を混 ゆ るか らで あ る。

斯様 に β及 び γ區 域 は燒 入れ 顯 微 鏡 組 織 で は 滿 足 す

べ き結 果 を得 難 いか ら高 温 に於 け る結 晶型 を Ⅹ 線 的 に 研 究 す る外 な い。 仍 で 前章f節 記 載 の 高 温 Ⅹ 線 カ メ ラ を用 ひ700゜ に 於 け る β及び γ相 の 廻 折 寫眞 を撮 ると β γ共 に體 心立 方 格 子 で錫 含 量 の 高 くな るに 比 例 して格 子

定 數 が 稍增 加 し β+γ 區 域 に相 當 す る部 分 に於 て も格 子 定數 の 非連 續 的變 化 は無 い 。 Ⅹ 線 寫 眞No.1,2,3,は 廻 折 寫 眞 の 一例 で あ る。 又Sn26%試 料 に就 て550゜ か ら 700゜迄 種 々温 度 を變 化 し廻 折 爲 眞 を 撮 つ た が 總 て 體 心 立 方格 子 で あ つ て茲 に も γ?β に 伴 ふ格 子定 數 の 非 連續 變 化 を認 め る 事 が 出 來 なか つ た 。從 つ て Ⅹ 線 的 に は β γ 兩 相 共 同 一結 晶型 を持 ち匿 別が つ か ぬが 重格 子的 變 態

で あ る と云 ふ のが 眞 相 で あ ら う。

是 に仍 つ て觀 れ ば 精 密 示差 熱 分 析 曲線 に 現 は れ た發熱 或 は吸熱 變 化が β+γ 區 域 の 存 在 を示 す 唯 一 の根 據 で有 つ て之 以 外 に 何 物 もな い。Fig.26の β+γ 區 域 は之 に 依 つ て設 定 した の で あ る。

β+γ 區 域 が 斯 く設 定 され た 以 上575゜ のmn線 は β?α+γ な る共 析 變 態 と見 るの が 至 當 で あ る。此 變 態 は Hoyt(9)が 示 差 熱 分 析 法 に よつ て最 初 見 出 しだ 物 で あ る が α+γ 共 析 晶 に相 當 す る顯 微 鏡 組 織 は 何 人 も未 だ見 出 し て 居 な い。Eash‑Upthegrove(10)はニ ツケル靑 銅 (Cu‑Sn‑Ni), Vero(11)は 滿 俺靑 (Cu‑Sn‑Mn) 及 び 燐靑 銅

(Cu‑Sn‑P) の 組 織 か ら 575゜の 變 化

を共 析 變 態 で な け れ ば な ら ぬ と 歸 納 し て 居 る 。 Fig.20は Sn23.27%

合 金 の示 差 熱 分 析 曲線 で 加 熱 で520゜ 冷 却 で490゜ に現 は

Fig.19

Fig.20.

(8)濱 住,小 田 村,本 誌,  1  (1937),  165〜167.

(9) Hoyt, Trans. Amer. Inst Min. Met. Eng., 60 (1919), 198.

(10) Eash, Upthegrove, Trans Amer. Inst. Min. Met . Eng.

Inst. Metals Div. 104 (1933), 221-249.

(11) Vero, Z. anorg. allg. Chem., 213 (1933), 257-272.

(9)

れ る變 化 は γ?α+δ 共 析變 態 に 依 る 物 で あ り之 よ り上 加熱 で は580゜ 冷 却 で は560゜ に現 は れ る 小 變 化 が 本 變 態 に屬 す る物 で あ る。Fig.21はSn23.72%合 金 に就 て

測 定 した 電 氣 抵 抗 の湿 度 に よ る變 化 で 之 に於 て も加 熱 で 520゜冷却 で約500゜ 附近 に起 る非 連 續 的 變化 は γ?δ+α 共 析變 態 に基 く物 で580゜ 附近 の漸 進 的 變 化 即 ち 屈折 が 本變 態 に 因 る物 で あ る。 電 氣 抵 抗 曲線 で見 る と この 變 化 は單 に屈析 を示 すの み で非 連 續 性 を示 さな い か ら共 析 變 態 と見難 い けれ 共 β+γ 區 域 が 上 述 の 如 く設 定 せ られ た 以上 之 を共 析 變 態 と結 論 す るの を至 當 と考 へ る。

(d) 630゜def包 晶變 化:著 者 は第1回 報 告 に於 て此 變 態 を共析 變 態 と見 做 し 共 析 點 をSn35.5%630゜ と決 定 した。 斯 く決定 し た の は主 と してSn36%附 近 の 合 金 の燒 入れ 組 織 が 寫 眞Fig.3に 示 す様 な 共 析 模 様 を現 は す か らでRaper(12)も 同様 の結 論 を 下 して 居 る。 然 る に 其 後 重ね て 燒 入れ 試 驗 を行 ひ其 の組 織 を研 究 した 結果 之 が 共析 組織 で な くして單 に γ か ら ηが 析 出 し た 物 と考

へ る方が 正 しい との結 論 に到 達 した 。

一體Sn35〜37%合 金 を γ區 域 か ら燒 入 れ る と均 一 γ相 を得 る事 は 極 め て 困難 で 大抵 γ 中 に η の 析 出 した 組織 を得 る。 此 時 析 出す る η晶 の 形 に 二 様 あ つ てSn 37%と 云 ふ様 に錫 含 量 の高 い 物 で は ηが γ晶 の 劈 開面 に沿 つ て直 線 的 に出 るた め に容 易 に初 析 晶 で あ る事 を看 破 し得 るがSn35〜36%合 金 で は屡 々 η γ 兩 晶 が互 層 をな し よ く彎 曲 す るた め に共 析 晶 と誤 認 し易 い。然 し之 等 の合 金 も燒 きの 入 り方 に 依 つ て直 線 的 に 出 る場 合 が あ る。例 へ ば 寫眞Fig.4はSn35%試 料 を700゜ か ら寒 劑 中に燒 入れ た外 周 部 で均 一 γ相 で あ るが 此 試 料 の 内部 に は寫 眞Fig.5に 示 す様 に粒 境 界 と 劈 開面 と に ηが 析 出

して居 る。Sn35.5〜37%試 料 に就 て も同様 の 組 織 が 得 られ る。Sn34.5%試 料 に は燒 入れ て も η晶 が 析 出 しな い。 第1回 報 告 の 共 祈點 は35.5%で あ るか らSn35%

試料 に η晶 が 初 析 す る事 は有 り得 な い筈 で此 意 味 か ら も 共析 點 の存 在 を考 へ るの は誤 で あ る。

試 料 を塞 劑中 に燒 入 れ る代 りに鎔 融状 態 か ら金 型 に チ ル カ ス トす るの も有 効 で殊 に金 型 を寒 劑 中に 浸 し冷 却 し て置 くと チ ル の 効 果 が 著 しい 。 寫眞Fig.6〜Fig.8は Sn35,36,37%合 金 を 内 徑10mm肉 厚20mmの 銅 型 に チ ル カ ス ト し た 組 織 でSn36%合 金 で は γη互 層 が よ く彎 曲 し全 く共 析 晶 の様 に見 え る。Sn37%合 金 で は ηが 丁度 四六 眞鍮 か ら α晶 が析 出 した の と全 く同様 の組 織 を呈 して 居 る。

既 述 の様 に燒 入れ 効果 は寒 劑 最 も強 く,チ ル カ スト,液 體窒 素の 順 序 に 有 る。 寫 眞Fig.9はSn35.5%試 料 を 650゜か ら液 體 窒 素 に 稍 弱 く燒 入 れ た 組 織 で 白 い γ 晶 の地 に 蒼 い ηが析 出 しγ と η の接 觸 部 に は 處 々黒 色 の ∈ 晶が 存 在 し ε晶 は 又部 分 に 依 つ で δ+η の パ ー ラ イ ト組 織 に共 析 して居 る。 燒 きが 弱 い程 η 晶 は 蒼 白 色 か ら黒 灰色 εに變 化 し易 く從 つ て630゜ の變 態 は″γ+η?ε″ な る包 晶 反 品 て あ る事 が分 る 。之 を要 す る に630゜ のdef線 は″ γ?β+η″ の様 な共 析 變態 で な く"γ 十 η?ε"な る 包晶 反 應 で あつ て γ+β 區 域 は 此線 に關 聯 を持 た な い。

(e) 570゜rst共 析 變 態線:從 來 の 研究 者 は 多 く630゜

の包 晶 變 化 と此570゜ の 共 析 變 化 とを混 同 した 。Fig.22   Vollenbruck‑Bauerの 状 態 圖 が そ うで あ る。著 者 は電

氣抵 抗法 或 は熱 膨 脹 計 法 に依 つ て 上 記630゜

の變 化 以 外 570゜の變 態 を見 出 し顯 微 鏡 試 驗 に 依 つ て之 が″

=?δ+η"

な る共 析 變 態 で あ る事 を 決 定 し

Fig.21. Sn 23.72%

Bauer & Voelenfruck (1922).

Fig.22.

(12) Raper, J. Inst. Metals, 38 (1927), 217-231.

(10)

た 。 即 ち此 共 析 變 態 は εを母 體 とす る 物 で ε相 は 實 に 著 者 の 發 見 に 係 り Ⅹ 線 的 に はCarlsson‑Hagg(i3)に 依 つ て 確 認 され 六 方晶 型 の 特 殊 な 原 子 配 列 を 持 つ 事 が 知 ら れ て 居 る。 Ⅹ 線 寫 眞No.4は 著 者 がSn35%試 料 を620゜ に 加 熱 し高 温 撮 影 した Ⅹ 線 寫 眞 で γ 或 は η と は 全 く異 る 廻 折 線 を 示 し 反 射 面 もCarlsson  &  Haggの 値 と殆 ど一 致 し て 居 る 。

寫 眞Fig.10はSn34.5%合 金 を580゜ に30分 加 熱 後 寒 劑 中 に 燒 入 れ た 組 織 で 均 一 ε晶 で あ る 。 寫 眞Fig.11 は 同 一 試 料 を650゜ か ら爐 冷 し た 物 で 白 い δ と蒼 い η 晶 か ら成 る パ ー ラ イ ト的 共 析 晶 で あ る 。寫 眞Fig.12はSn 34%含 金 を615゜ γ+ε 區 域 か ら寒 劑 中 に 燒 入 れ た 物 で 白 地 は γ 黒 い 棒 は εで あ る 。Fig.13はSn34%試 料 を 650゜ に 燒 鈍 後 稍 急 冷 し た 物 で 一 部 分 ε(黒)が 殘 つ て 居 る 。 寫 眞Fig.14はSn33.60/,試 料 を650゜ か ち540゜ 迄 爐 冷, 540゜ で 塞 劑 中 に燒 入 れ た 物 で 白 色 部 は 初 析 δ晶, パ ー ラ イ ト部 は δ+η 共 析 晶 で 寫 眞Fig.12中 の γ が

"γ+ε?δ"包 晶 反 應 に 依 つ て δ に 變 化 し た 物 で あ る

寫 眞Fig.15はSn33.2%合 金 を620゜ か ら580゜ 迄 爐 冷 580゜ か ら寒 劑 中 に 燒 入 れ た 物 で 次 色 地 は γ,白 色 棒 はE,

之 を420゜ に2時 間 燒 鈍 す る と 寫 眞Fig.16の 如 く γ地 は"γ+ε → δ"に 依 つ て δ に 變 りつ ゝあ り εは トル ー ス タ イ ト的 に 黒 く 腐 蝕 さ れ 易 く將 に 共 析 變 化 を 起 さ ん と し て 居 る 。 寫 眞Fig.17は 之 を 更 に435゜ に5時 間 燒 鈍 し た 物 で γ 地 は δ に 變 り トル ー ス タ イ ト的 εは 明 か に δ+η に 共 析 し 終 つ て 居 る 。

εは 燒 き の 入 り易 い 結 晶 で δ+η 區 間 中 高 温 か ら 急 冷 す る 時 處 々 に 現 は れ る 黒 色 相 は 皆 此 εで 燒 鈍 す る と420゜

附 近 か ら δ+η に 共 析 し初 め温 度 が 高 い と共 析 晶 中 の η は 初 析 η に 合 併 す る 。一 般 に 緩 冷 す る と 共 析 晶 中 の δ は δ丈 け, η は η 丈 け 互 に 塊 状 に 集 ま り易 く 所 々 稍 急 冷 し た 所 に パ ー ラ イ ト的 δ+η 共 析 晶 を殘 す た め に 燒 鈍 組 織 を檢 鏡 す る と恰 も δ と η 兩 方 の 初 析 晶 を 含 む が 如 く思 は れ る 。

(f)  δ化 合 物 と 其 の 共 析 變 化:  δ化 合 物 の 分 子 式 を Cu4Sn(Sn31.42%)と す る 者 とCu31Sn8(Sn32.52%)

と す る 者 と が あ る。Heycock  &  Neville, (14)  Bauer

  Vollenbruck(15),石 原 博 士(16)はCu4Snを 支 持 し, Sh ep herd  &  Blough(17),  Hoyt(9),  Corey(18),  Carson(4)等

Cu4Snに1%程 度 錫 が 固 溶 し て 固 溶 體 範 圍 を作 る と へ, Westgren  &  Phragmen(19),等 はCu31Snsを 主 張 て 居 る。 著 者 が 電 氣 抵 抗 法 及 び 顯 微 鏡 組 織 に よつ て研 し た 所 で はSn32.03%試 料 に は510゜ の"γ?α+δ"

析 變 態 が 現 は れ 從 つ て α 相 が 含 まれSn32.93%試 料 に ε?#δ+η"共 析 變 態 從 つ て η 相 が 含 まれ る か ら純 粹 の δ は 此 中 間 に 有 る 物 と 見 る べ くCu31Sn8を 以 て 正 當 と す る 。

δ 即 ちCu31Sn8は580゜ のghi線 γ+ε?δ"な る包 晶 反 應 に 依 つ て 生 成 し顯 微 鏡 組 織 を 見 る と 常 温 で は 殆 固 溶 體 範 圍 を 持 つ て 居 な い がSn32.93%試 料 を570

゜ か ら寒 劑 中 に 燒 入 れ る と均 一 な δ組 織 を 得 る か ら高 温 で は 多 少 の 固 溶 體 範 圍 を 持 つ 物 と考 へ られ 。Westgre n &  Phragmenに 依 る とCu31Sn8は 面 心 立 方 格 子 でα=

17.91A單 位 胞 中 に416原 子 を 含 む と云 は れ る 。 Ⅹ 線1 眞No.10はSn32%試 料 を500゜ で20時 間 燒 鈍 しラ 試 料 に 就 て 著 者 が 高 温 用 カ メ ラ で 撮 つ た Ⅹ 線 寫 眞 で あ る 。

Owen  &  William(20)は330゜ 附 近 で δ 相 が α と η と に 共 析 す る 事 を 發 見 した 。 此 變 化 を 起 らせ る に は 普 通 吾 の 用 ひ な い 様 な 長 期 燒 鈍 を 要 す る物 で Ⅹ 線 寫 眞No.1 1は 著 者 が 上 記Sn32%試 料 を300゜ に300時 間 水 素 氣 中

で 燒 鈍 し て 撮 つ た 廻 析 寫 眞 で δ晶 の 廻 折 線 が 非 常 に 弱 くη 晶 の 廻 折 線 が 著 し く現 は れ て 居 る 。 α 晶 の 廻 折 線 もろ

現 はれ る べ き で あ る が 量 の 少 い た め に 殆 ど 見 られ な い 。 此 試 料 を 再 び400゜ に20時 間 燒 鈍 す る と Ⅹ 線 寫 眞No.

10と 全 く同 様 δ單 一 相 の 廻 折 線 が 得 ら れ る か ら"δ?α 十 η"共 折 變 化 が330゜ 附 近 に 存 在 す る事 は 確 か で あ る。

(g)  638゜HIJ偏 晶 反 應 線:  η化 合 物Cu3Sn(Sn38.36%) はWestgren  & Phragmen(19)に 依 る と 稠 密 六 方 晶 系 格 子

(13) Carlsson, Hagg, Z. Krist., 83 (1932), 308.

(14) Heycock, Neville, J. Chem. Soc., 57 (1890), 379.

(15) Bauer-Vollenbruck, Z. Metallk., 15 (1923), 119•`125, 191•`195.

(16)石 原,東 北 帝大 理 科 報 告, 13 (1924), 75•`100.

(17) Shepherd, Blough, J. Phys. Chem., 10 (1906), 630•`653.

(18) Corey, Tsans. Amer. Inst. Min. Met. Eng., 73 (1926).

1159•`1162.

(19) Westgren, Phragmen, Z. anorg. allg. Chem., 175

(1928), 80•`89.

(20) Owen, Williams, J. Inst. Metals, 58 (1936), 283.

(11)

を持 ち α=7.316c=F7.854Aと 測 定 せ られ て 居 る Ⅹ 線 寫 眞No.12は 著 者 がSn38%試 料 か ら得 た 常 温 の 廻 折 寫 眞 で あ る。 η ば 一般 に 固 溶 體 範 圍 を 持 た な い 如 く考 へ ら れ て 居 る が 著 者 が 電 氣 抵 抗 法 及 び 顯 微 鏡 試 驗 に 依 つ て 研 究 し た 所 で はSn37.93〜38.80%間 即 ち1%弱 の 固 溶 體 範 圍 を有 し て 居 る 。 既 に述 べ た 通 りCu3Snη は675゜

で γ 固溶 體 に 變 態 す る 。

η 固 溶 體 よ り も 高 錫 合 金 即 ちSn38.8〜60%を 含 む 合 金 に は638゜ に γ?η+melt"な る 偏 晶 反 應 が あ る 。 Fig.23は 著 者 が 測 定 したSn39.30%試 料 の 電 氣 抵 抗 温 度 曲 線 で398゜ に はFig.26か ら 分 る通 り η+melt?ξ な る包 晶 反 應 が 起 り, 638゜ か ら658゜ に か け て 上 記 γ?

η+melt"の 偏 晶 反 應 及 び η→γ の 變 態 が 行 は れ て 居 る 。變 態 は658゜ で 終 り之 か ら678゜

迄 は 均 一 γ 固 溶 體 678゜か ら融 解 が 初 ま つ て 居 る。 此 場 合 は 試 片 の一 部 が 398゜ か ら638゜ 迄 の 間 で 融 液 と な る の で あ る か ら抵 抗 の 變 化 を 測 定 す る に は 細 心 の 注 意 を 要 す る。Fig.24は Sn38.80%試 の 示 差 熱 分 析 曲 線 で 電 氣 抵 抗 曲 線 と 同 様638゜ η+

melt→ γ″ 反 應 に よ る 吸 熱 が 起 り,   650〜670゜ 間 に

η→γ 變 態 に よ る 大 き な 吸 熱 が あ る 。 670〜688゜ 間 は 均 一 γ 固 溶 體 で688゜

か ら 融 解 し初 め る

た めに 三度 目の 吸熱 が起 つ て 居 る 。

寫眞Fig.18はSn38%試 料 を鎔 液 か ら銅 型 に チ ル カ ス トした 均 一 η晶 寫 眞Fig .19はSn39%試 料 を同様 チ ル カ ス タ した 組 織 で 一 旦 γに 凝 固 した 後 上紀 偏 晶反 應 に 依 つ て η と融 液 とに分 解 し た 有様 が よ く分 る。 即 ち η 晶 中の點 々 は此 際 生 成 した 融液 部 で あ る。

(h) ξ化合 物 と175゜STU變 態 線:從 來 化 合 物 ξはCuSn (Sn65%)と 考 へ られて 來 た がWestgren  & Phragmen(19)

は之 をCu6Sns(Sn60.88%)と 決 定 した 。兩 者 の 間 に は 錫 含量 に して4.12%の 大 差 が あ る。 著者 は 之 を 決 定 す るた め に均 一組 織 を得 る 目的 を以 て 此 附近 の合 金 を極 々 と徐 冷 した が徐 冷 す る程 初 晶 ηが大 き く 晶 出 し從 つ て 399゜の"η+melt?ξ"な る包 晶 反 應 が η晶 の 核 心迄 進 行 し難 い 事 を知 つた 。仍 で 方法 を一 變 して先 づ 此 附近 の 組 成合 金 でSn0.2%宛 變 つた 鎔 液 を銅 型 に チ ル カ ス トし 極 めて 微 細 な ηを晶 出 凝 固 させ た後350゜ に 水 素 氣 中で 3畫 夜 燒 鈍 し若 くは350゜ と190゜ とに合 計3畫 夜 燒 鈍 し て上 記 包 晶 反 應 を完 了せ しめた 。之 に依 る とSn60.88%

試 料 は 明 か に 寫 眞Fig.20の 如 く純 粹 ξ晶 と な り之 よ り錫 含 量 の 低 い 物 は常 に 多 少 の η晶 を含 み 之 よ り錫 含 量 の 高 い 物 は粒 境 界 に ξ+Snの 共 晶 が現 はれ る。此 故 に ξはCu6Sn5と す るの が正 當 で あ つ て 常温 で は殆 ど固 溶 體範 圍 を持 つ て 居 ない 。

借 て ξ化 合 物 は399゜の包 晶 反 應 η+melt→ ξ"に 依 つ て 生成 せ られ る 物 で あ るが 此 化 合 物 は175゜ に一 種 不 明 の變 態 を存 して 居 る。著 者 はSn43〜100%合 金 に就 て 精 密示 差 熱 分析,電 氣 抵 抗 法,熱 膨 脹 計 法 等 に依 つ て詳 細 に此 變 態 を研 究 した 。 先づ精 密示 差 熱 分 析法 に依 る と熱 變 化 の最 も 大 き く現 はれ る の はSn60%合 金 で 之 よ り 銅 側 の 合 金 で は160〜175゜ に 節 一變 化, 185゜附 返 に第 二變 化 が起 り二段 の 吸熱 を伴 ひ錫 含 量 が少 くな るに 從 つ て 第一 變 化が衰 へ第 二變 化 が發 達 す る。Sn60%以 上の 錫 側 合金 で は大 體160゜ 附近 の一 段 の吸 熱 變 化丈 け が 起 る 。二 段 吸 熱 變 化 の 原 因 を良 く説 明す る事 は 出 來 ぬ が 試 料 は前 記 の チル カ ス トし燒 鈍 した 物 で あ るか ら偏 析 が あ る筈 な く同一 試 料 に 對 し繰 り返 し精 密 示 差 熱 分 析 を行 ふ と二段 に 出る 場 合 もあ り又一 段 に 出 る場 合 もあ つて 一 定 し ない。 又此 熱 變 化 がSn60%合 金 よ りも 銅 側 に 偏 し て も又錫 側 に偏 して も小 さくな る所 か らCu6Sn5の 變 態

Fig.23.

Fig.24.

(12)

で あ る事 は確 で あ る。 電 氣 抵 抗法 或 は熱 膨 脹 計法 に は二段 の變 化 は現 は れ な い。Fig.25aはSn60%

試 料 の精 密 示差 熱 分 析 曲 線bは 電 氣抵 抗 曲線cは 熱 膨 脹 曲線 で 圖か ら明 か な 通 り抵 抗 或 は膨 脹 の變 化 は純 鐵 の磁 氣 的變 態 と 同 じ く漸 進 的 で あ る。 是 がA2的 變 態 で あ るか 夫 と も同素 變 態 で あ るか は

Ⅹ 線 的 研 究 に 俟 つ 外 な い 。

Westgren  &  Phrag menに 依 る と 常 温 に 於

け る ξ相 は 六 方 晶 系 の Ni‑As型 に 屬 しCu,Sn各5原 子 宛 でNi‑As格 子 を 作

り之 にCu1原 子 が 固 溶 し て 居 る と 考 へ た 。 其 後J.  Befna1(21)はα 軸c 軸 共 にWestgrenの 値 の5倍 に 相 當 す る 重格 子 品 を見 出 し,  Carlsson  &

  Hagg(13)は 結 晶 廻 轉 法 を 用 ひ て 同 様 重 格 子 の 存 在 を確 認 した 。著 者 は 前 記Sn60%の 均 一 ξ組 織 の 試 料 を粉 末 に し高 温 カ メ ラ を 用 ひ て370゜ と 常 温 と の Ⅹ 線 寫 眞 を 撮 つ たNo.8,  9に 示 す 通 り兩 者 全 く同 等 で 熱 膨 脹

に 依 る 伸 長 以 外 區 別 が 無 く常 温 の 格 子 定 數 はa=4.027c=5.107Aで つ て175゜ の 變 態 に は 格 子 型 の 變 化 は 無 い 事 が 分 る。 然 し 粉 末 法 で は 重 格 子 的 變 化 を 見 出 し難 く,  Bernal,   Carlsson  &  Haggに 從 つ て 之 を認 め

る 事 と し た 。

(i) 227゜OPQ 共 晶 線:化 合 物 Cu6Sn5とSnと は227゜ に 共 晶 を作

る。共 晶組 成 を定 め るた めにCu15,1,0.8,0.7,0.6,0.5, 0.4,0.3%試 料 を作 り鎔 液 か ら約1畫 夜 を 以 て 常 温 に達 す る様 な徐 冷 を行 ひ其 の 顯 微 鏡 組 織 を調 査 した 。 之 に依 る とCu0.8%が 眞 正共 晶 組 織 に 該 當 し之 よ り銅 側 で は 初 晶 と して ξ,錫側 で は初 品 と して錫 が 晶 出 す る。 寫眞 Fig.21はCu0.8%試 料 の顯 微 鏡 組 織 で 圖 中 に見 え る細 長 い針 は 錫 の 双 晶 で あ る。從 つ てCu6Sn5とSnと の共 晶 點 は227゜,Cu0.8%と 決 定 し た。

Ⅳ.結 論

似 上 各 部 に亘 つ て細密 な 研 究 を行 つ た結 果 之 等 を綜 合 し て 最 後 にFig.26に 示 す 完 全状 態 圖 を得 た。 從 來 の状 態 圖 と左 程 變 つ た 物 で な く變 つた の は ε區 域 の 挿 入 と Owen‑Willamsの 發 見 に係 る δ晶 の 共 析 變 化 に過 ぎぬ けれ 共 然 か も各線 各 區 域 に 就 て は 從 來 の如 く單 な る想 像,薄 弱 な る根 據 乃 至 は 消 極 的 歸納 法 に依 らず現 在 の物 理 冶 金 測 定法 に於 て 達 し得 ら れ る最 高 の 方 法 と正確 さ と を以 て積 極 的 證 左 を 得 るに 努 め た 。 勿論 部 分 的 には

Fig.25.

Fig.26.

(21) J. Bernal, Nature, 122 (1928), 54.

(13)

Owen  &  Williamsの 如 き10晝 夜 に も亘 る長 期 燒 鈍 に依 っ て0.n%程 度 迄 の溶 解 限 度 を確 定 す る事 は 出來 るで あ ら うが状 態 圖 の大 勢 に は殆 ど影 響 な い物 で あ る。 此 意 味 に於 て例 へ ば α相 の 溶 解 度 限 の 如 きは10人 研 究 す れ ば10人 共異 る値を 得 べ く斯 くの 夘 き 枝葉 に は な る丈 け 拘泥 しな い様 に した 。 決 して之 を輕 視 す る物 で は無 い が 燒鈍 時 間 の如 き延 長 すれ ば 際 限 が 無 く斯 くて は莫 大 の 年

月 を要 す る か らで あ る。 本 研 究 も丁度10年 を要 して 居 り二 六時 中之 の み に 没頭 した譯 で は無 い が著 者 の一 生 に 取 りて は決 して 短 い 時 間 で は ない 。

終 りに此10年 間 各 部分 の 研 究 に對 し協 力せ られ た る 錦 織博 士,小 田村,高 本,森 川 の 各 學 士 に對 し深 厚 な る謝 意 を表 し且 此研 究 の 完 成期 に研 究 費 を援 助 下 附せ られ た る帝國 學 士 院 に 對 し同様 感 謝 の意 を表 す る次 第 で あ る 。

質 疑 應 答

伊澤 猛民(旅 順 工 大):第 一 回 報 告 中に 有 つ た β區 域(現 論 文 中 の γ區 域)の 中 の α+β 區 域 の580゜ 變 態 か ら620゜ のγ+η→ ε 變 態 に連絡 す るA2的 變 化 は現 論 文 に は 現 はれ て 居 な い が 何 う した ので すか?

著 者:御 話 のA2變 化は 非 常に 微 弱 な物 で其 後 再 測 定 を しま した所 で は現 はれ ない ので 無 い 事 に 決 定 し ま した 。

山 口珪 次 氏(阪 大):  Fig.26状 態 圖 中 βを γの 重 格 子 で あ る と云は れ ました が 只今 の 研 究 では そ う斷 定 す る 資 料 は無 い では あ りませ ん か 。

著 者:  βを γ の重 格 子 と斷定 し た の で は あ りませ ん 。β も γ も同一結 晶型 で あ るか ら或 は そ うで は無 い か と 推 測 した ので 之 を決 定 す るには 單 結 晶 に 就 て實 驗 しな け れ ば な りませ ん 。尚 山 口氏 に依 る と寫 眞Fig.1中 の黒 色 相 は38%附 近 の 合 金 を γ區 域 か ら燒 入れ て も現 は れ る と報 告 され て居 るが 夫 は 誤 で著 者 の 實 驗 では ε區 域 を外 れ た合 金 に は黒 色 相 は 現 は れ ませ ん 。

今 井 弘 氏(九 大):  β+γ 區 域 は βγ共 同 一結 晶型 で 區別 は な い か ら相 の變 化 と考 へ な い で點 線 で 示 して は ど うか?例 へ ば 眞 鍮 の β/β'の様 に 。

著 者: β と γは同 一結 晶 型 であ るけ れ 共 若 し重 格 子 で あ る と す ればSnの 原子 配 列 が 變 つ て居 る事 に な るか ら相 の 變 化 と考 へ て差支 へ ない 。例 へ ばAu‑Cu系 で は 實 線 で 表 は し て居 る 。 又此 状 態圖 で見 る とFig26の738゜ の包 晶變 化が 明瞭 に出 て居 る (Fig.16)か ら此 處 は確 實 に β+melt→ γ包 晶 反應 で β と γを異 相 と認 め ない譯 に は行 か ぬ。 又精 密 示 差 熱 分 析 で は確 實 に β+γ 區域 が現 はれ て居 る(Fig.19)か ら實 線 で 引 くべ きで あ る と息 ひます 。

石 原 寅 次 氏(金 研)二β+γ區 域 を點 線 にす る な らば738゜ の包 晶 反 應 も點 線 で なけ れ ば 平 仄 が 合 は ぬ 。 包 晶反 應 が 確 實 に 出 て居

る な らば 實 線 で 引 い て 好 い で あ ら う。

(14)

Fig.3.

Fig. 1. 34.77% Sn alloy quenched from 650•K, into freezing mixture, ƒÁ: white, ƒÃ

: dark. •~ 150

Fig. 2. 34% Sn alloy quenched from

650•K into freezing mixture, annealed 1 hr.

at 400•K ƒÂ: white, ƒÅ: dark. •~200

Fig. 3. 35.99% Sn alloy chill cast. ƒÁ:

white, ƒÅ: dark. •~100

Fig. 4. 35% Sn alloy, quenched from

700•K in freezing mixture. Suface layer of the specimen. Homogeneous ƒÁ. •~50

Fig. 5 35% Sn alloy, quenched from 700•K in freezing mixture, central core of the specimen. ƒÁ and ƒÅ. •~50

Fig. 6. 35% Sn alloy, chill cast ƒÁ

groundmass, seperated ƒÅ from ƒÁ in

dark. •~50

Fig. 7. 36% Sn alloy, chillcast. ƒÁ:

white, ƒÅ : dark. •~100

Fig. 8. 37% Sn alloy chill cast, primary ƒÅ and ƒÁ. •~100

Fig. 9. 35.5% Sn alloy . Annealed at 650•K and quenched in liquid nitrogen. ƒÅ

: white, ƒÁ: grey, ƒÃ: dark , slightly repolished after etching. •~100

(15)

Fig. 10. 34.5% Sn alloy, quenched in water from 580•K. Homogeneous ƒÃ. •~50

Fig. 11. 34.5% Sn alloy, annealed at 650•K and furnace cooled. ƒÂ: white,

ƒÅ: dark. •~450

Fig. 12. 34% Sn alloy, quenched from 615•K in water, ƒÁ: white ƒÃ: dark. •~30

Fig. 13. 34% Sn alloy, annealed at 650•K and quick cooled. ƒÂ: white, ƒÃ:

dark, ƒÂ+ƒÅ eutectoid. •~50

Fig. 14. 33.6% Sn alloy, quenched in water from 540•K. ƒÂ: white, ƒÂ+ƒÅ eutectoid. •~100

Fig. 15. 33.2% Sn alloy, quenched in water from 580•K, ƒÃ white, ƒÁ:

grey. -•~30

Fig. 16. 33.2% Sn alloy, the same specimen as Fig. 15, annealed 2 hrs.

at 420•K ƒÃ: dark, ƒÂ: white. •~30

Fig. 17. 33.2% Sn alloy, the same speci

men as Fig. 15, further annealed, at

435•K for 5 hrs. ƒÂ: white, pearlitic eutec toid of ƒÂ+ƒÅ. •~30

Fig. 18. 38% Sn alloy, chill cast, homogeneousƒÅ. •~100

Fig. 19. 39% Sn alloy, chill cast, remelted particle in ā groundmass.

•~ 200

Fig. 20. 60% Sn alloy, chill cast, annealed at 350•K for 3 days. Homo geneous ƒÌ. •~100

Fig. 21. 99.2% Sn Cu 0.8% alloy.

Cu6Sn5 particle in the groundmass of Sn. Cu6Sn5+Sn eutectic. •~250

参照

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