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手動車いす使用者向け経路探索システムの研究

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Academic year: 2022

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(1)

九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

手動車いす使用者向け経路探索システムの研究

隅田, 康明

https://doi.org/10.15017/1654901

出版情報:Kyushu University, 2015, 博士(情報科学), 課程博士 バージョン:

権利関係:Fulltext available.

(2)

手動車いす使用者向け 経路探索システムの研究

2016

九州大学大学院システム情報科学府 情報学専攻

隅田 康明

(3)

目次

第1章 序 論 1

1.1 背 景 . . . 1

1.2 関 連 研 究 . . . 3

1.3 目 的 . . . 6

1.4 本 論 文 の 構 成 . . . 6

第2章 手 動 車 い す で の 勾 配 路 面 走 行 に お け る 負 担 度 の 評 価 8 2.1 背 景 . . . 8

2.2 勾 配 路 面 移 動 に お け る 負 担 の 測 定 . . . 10

2.2.1 実 験 目 的 . . . 10

2.2.2 測 定 装 置 . . . 10

2.2.3 実 験 方 法 . . . 13

2.2.4 測 定 結 果 . . . 15

2.3 傾 斜 角 度 と 重 量 に よ る 身 体 的 負 担 度 の 推 定. . . 20

2.4 考 察 . . . 26

2.5 ま と め. . . 29

第3章 手 動 車 い す で の 移 動 に お け る 物 理 的 負 担 度 の 定 量 化 31 3.1 背 景 . . . 31

3.2 車 い す に よ る 斜 面 走 行 時 の 物 理 的 負 担 度 の 評 価 方 法 . . . 32

3.3 移 動 難 度 の 測 定 方 法 . . . 35

3.3.1 測 定 装 置 実 装( 手 順1) . . . 35

3.3.2 移 動 難 度 校 正 用 デ ー タ の 測 定( 手 順2) . . . 36

3.3.3 移 動 難 度 計 算 式( 重 回 帰 式 )の 作 成( 手 順3 . . . 36

(4)

3.4 移 動 難 度 測 定 精 度 の 検 証 . . . 37

3.4.1 移 動 難 度 測 定 装 置 の 実 装 . . . 38

3.4.2 移 動 難 度 計 算 式 の 作 成 . . . 40

3.4.3 手 動 車 い す 移 動 時 の 仕 事 量 の 推 定 . . . 42

3.4.4 移 動 難 度 に よ る 手 動 車 い す 移 動 に 必 要 な 仕 事 量 の 推 定 . 43 3.4.5 移 動 難 度 の 測 定 例 . . . 45

3.5 考 察 . . . 50

3.5.1 移 動 難 度 測 定 精 度 の 検 証 結 果 . . . 50

3.5.2 移 動 難 度 測 定 装 置 に よ る 路 面 評 価 の 有 用 性 . . . 50

3.6 ま と め. . . 52

第4章 手 動 車 い す 使 用 者 の 簡 易 体 力 測 定 54 4.1 背 景 . . . 54

4.2 体 力 測 定 装 置 の 開 発 . . . 55

4.2.1 簡 易 体 力 測 定 装 置 の 実 装 . . . 55

4.2.2 金 属 棒 歪 み 量 の ハ ン ド リ ム 駆 動 力 へ の 変 換 . . . 58

4.3 斜 面 走 行 で の 物 理 的 負 担 度 と の 比 較 実 験 . . . 60

4.3.1 実 験 結 果 . . . 61

4.4 考 察 . . . 62

4.5 ま と め. . . 64

第5章 手 動 車 い す 使 用 者 向 け 経 路 探 索 シ ス テ ム 65 5.1 背 景 . . . 65

5.2 目 的 . . . 66

5.3 路 面 情 報 測 定・収 集 シ ス テ ム の 開 発 . . . 67

5.3.1 経 路 情 報 測 定 装 置 の 開 発 . . . 67

5.3.2 路 面 の 傾 斜( 勾 配 )と 段 差 の 測 定 . . . 68

5.3.3 通 路 幅 員 の 測 定 . . . 70

5.3.4 測 定 位 置 情 報 の 計 測 と 補 正 . . . 70

5.3.5 機 械 計 測 が 困 難 な 情 報 の 測 定 . . . 74

5.3.6 経 路 情 報 測 定 プ ロ グ ラ ム . . . 74

(5)

5.3.7 経 路 情 報 表 示・補 正 プ ロ グ ラ ム . . . 75

5.3.8 路 面 の 段 差 測 定 の 検 証 . . . 77

5.4 経 路 情 報 の ネ ッ ト ワ ー ク デ ー タ 形 式 へ の 変 換 . . . 79

5.4.1 ノ ー ド 集 合 と エ ッ ジ 集 合 の 生 成. . . 80

5.4.2 ネ ッ ト ワ ー ク デ ー タ 変 換 プ ロ グ ラ ム . . . 83

5.5 経 路 情 報 の 測 定 . . . 84

5.6 移 動 難 度 を 主 な コ ス ト と し た 経 路 探 索 プ ロ グ ラ ム の 開 発 . . . . 85

5.7 検 証 実 験 . . . 87

5.7.1 実 験 目 的 お よ び 実 験 手 順 . . . 87

5.7.2 実 験 環 境 と 実 験 参 加 者 . . . 88

5.7.3 実 験 結 果 . . . 89

5.8 考 察 . . . 93

5.8.1 移 動 難 度 に よ る 仕 事 量 推 定 に つ い て . . . 93

5.8.2 主 観 疲 労 度 と 休 憩 時 間 ,体 力 測 定 結 果 の 関 係 . . . 94

5.8.3 既 存 手 法 へ の 応 用 . . . 95

5.8.4 本 研 究 の 成 果 . . . 97

5.8.5 今 後 の 研 究 課 題 . . . 100

5.9 ま と め. . . 101

第6 結 論 103

参 考 文 献 107

(6)

図目次

2.1 ハ ン ド リ ム 駆 動 力 測 定 用 手 動 車 い す 設 計 イ メ ー ジ . . . 12

2.2 ハ ン ド リ ム 駆 動 力 測 定 用 手 動 車 い す の 実 装 写 真 . . . 13

2.3 傾 斜 角 度 別 の 平 均 値 と 標 準 偏 差( 縦 断 勾 配 路 面 ) . . . 16

2.4 傾 斜 角 度 別 の 平 均 値 と 標 準 偏 差( 横 断 勾 配 路 面 ) . . . 17

2.5 縦 断 傾 斜 角 度 と 標 準 化 負 担 度 . . . 20

2.6 横 断 傾 斜 角 度 と 標 準 化 負 担 度 . . . 20

2.7 実 測 値 と 推 定 値 の 差( 縦 断 勾 配 路 面 ) . . . 26

2.8 実 測 値 と 推 定 値 の 差( 横 断 勾 配 路 面 ) . . . 26

3.1 車 い す で の 斜 面 移 動 時 の 簡 易 モ デ ル . . . 34

3.2 移 動 難 度 測 定 精 度 の 検 証 実 験 の 流 れ . . . 38

3.3 移 動 難 度 測 定 装 置 の 実 装 写 真 . . . 40

3.4 走 行 負 荷( 消 費 電 流 )測 定 結 果. . . 42

3.5 手 動 車 い す 移 動 時 の 距 離 平 均 仕 事 量 の 測 定 結 果 . . . 44

3.6 走 行 時 消 費 電 流 と 距 離 平 均 仕 事 量 の 関 係 . . . 44

3.7 縦 断 勾 配 路 面 で の 移 動 難 度 測 定 結 果 . . . 45

3.8 横 断 勾 配 路 面 で の 移 動 難 度 測 定 結 果 . . . 45

3.9 移 動 難 度 に よ る 横 断 勾 配 路 面 移 動 時 の 距 離 平 均 仕 事 量 推 定 結 果 46 3.10 イ ン タ ー ロ ッ キ ン グ 舗 装 路 面 に お け る 移 動 難 度 測 定 例 . . . 47

3.11 移 動 難 度 測 定 経 路 . . . 48

3.12 仕 事 量 の 推 定 値 と 実 測 値 の 差 . . . 48

4.1 縦 断 勾 配 走 行 時 の ハ ン ド リ ム 駆 動 力 測 定 例 . . . 56

4.2 体 力 測 定 装 置 の 設 計 . . . 57

(7)

4.3 ハ ン ド リ ム 駆 動 力 測 定 の 仕 組 み . . . 57

4.4 簡 易 体 力 測 定 装 置 実 装 結 果 . . . 58

4.5 歪 み ゲ ー ジ の 出 力 電 圧 と ハ ン ド リ ム 駆 動 力 . . . 59

4.6 簡 易 体 力 測 定 装 置 で の ハ ン ド リ ム 駆 動 力 測 定 例 . . . 60

4.7 ハ ン ド リ ム 駆 動 力 測 定 結 果 . . . 62

5.1 段 差 推 定 結 果. . . 70

5.2 GPSに よ る 位 置 情 報 測 定 結 果 . . . 73

5.3 位 置 情 報 補 正 結 果 . . . 74

5.4 測 定 プ ロ グ ラ ム 実 行 画 面 . . . 76

5.5 バ リ ア 情 報 表 示 画 面 . . . 77

5.6 検 証 実 験 走 行 経 路 . . . 78

5.7 傾 斜 ,段 差 検 出 結 果 . . . 79

5.8 ネ ッ ト ワ ー ク デ ー タ 変 換 プ ロ グ ラ ム . . . 84

5.9 経 路 探 索 用 ネ ッ ト ワ ー ク 生 成 例 . . . 85

5.10 経 路 探 索 プ ロ グ ラ ム 実 行 例 . . . 87

5.11 実 験 で の 走 行 経 路 . . . 89

5.12 最 短 距 離 経 路 の 仕 事 量 の 推 定 値 と 実 測 値 . . . 90

5.13 最 小 仕 事 量 経 路 の 仕 事 量 の 推 定 値 と 実 測 値 . . . 90

5.14 最 短 距 離 経 路 の 仕 事 量 推 定 結 果(散 布 図) . . . 91

5.15 最 小 仕 事 量 経 路 の 仕 事 量 推 定 結 果(散 布 図) . . . 91

5.16 体 重 比 ハ ン ド リ ム 駆 動 力 と 目 的 地 ま で の 所 要 時 間 . . . 92

5.17 休 憩 の 有 無 に よ る 体 重 比 駆 動 力 の 差 . . . 92

5.18 疲 労 度 に つ い て の 主 観 調 査 結 果 . . . 93

5.19 バ リ ア フ リ ー 経 路 探 索 で の 経 路 探 索 結 果 . . . 98

(8)

表目次

2.1 電 子 回 路 の 使 用 部 品 . . . 13

2.2 実 験 環 境:縦 断 勾 配 路 面 . . . 14

2.3 実 験 環 境:横 断 勾 配 路 面 . . . 14

2.4 実 験 参 加 者 . . . 15

2.5 分 析 項 目 . . . 16

2.6 重 回 帰 分 析 の 結 果( 縦 断 勾 配 路 面 ) . . . 18

2.7 重 回 帰 分 析 の 結 果( 横 断 勾 配 路 面 ) . . . 19

2.8 物 理 的 負 担 度 と 標 準 化 負 担 度 の 相 関 分 析 結 果 . . . 19

2.9 実 験 参 加 者( 検 証 実 験 ) . . . 22

2.10 走 行 時 重 量 . . . 23

2.11 走 行 時 重 量 と 走 行 路 面( 縦 断 勾 配 路 面 ) . . . 23

2.12 検 証 実 験 重 回 帰 分 析 の 結 果( 縦 断 勾 配 路 面 ) . . . 24

2.13 検 証 実 験 重 回 帰 分 析 の 結 果( 横 断 勾 配 路 面 ) . . . 25

2.14 相 関 分 析 と 平 均 順 位 の 差 の 検 定 結 果( 縦 断 勾 配 路 面 ) . . . 27

2.15 相 関 分 析 と 平 均 順 位 の 差 の 検 定 結 果( 横 断 勾 配 路 面 ) . . . 27

3.1 移 動 難 度 測 定 装 置 の 使 用 部 品 . . . 39

3.2 移 動 難 度 測 定 路 面 . . . 49

4.1 簡 易 体 力 測 定 装 置 の 主 使 用 部 品 . . . 58

4.2 傾 斜 角 度 別 の 体 重 比 駆 動 力 と 物 理 的 負 担 度 の 相 関 . . . 62

4.3 重 回 帰 分 析 の 結 果 . . . 63

5.1 経 路 情 報 測 定 装 置 ハ ー ド ウ ェ ア 構 成 . . . 68

(9)

5.2 建 物 情 報 テ ー ブ ル . . . 77 5.3 ノ ー ド 情 報 テ ー ブ . . . 82 5.4 エ ッ ジ 情 報 テ ー ブ ル . . . 82

(10)

第 1

序論

1.1 背景

人 は 動 物 で あ り ,生 存 し 続 け る た め の 食 料 の 獲 得 や 危 険 回 避 の た め の 移 動 は 必 須 で あ る .現 代 社 会 に お い て も 生 活 す る た め に は 食 料 や そ の 他 の 生 活 用 物 資 の 入 手 や ,仕 事 場 な ど へ の 移 動 を 行 う 必 要 が あ る .人 が 移 動 す る た め の 一 般 的 な 移 動 形 態 は 歩 行 で あ り ,人 の 生 活 環 境 も 歩 行 を 前 提 と し た 設 計 , 整 備 が な さ れ て い る .し か し な が ら ,病 気 や 事 故 な ど に よ っ て 歩 行 が 困 難 に な っ た 場 合 に は ,歩 行 以 外 の 移 動 手 段 が 必 要 と な る .車 い す は そ の た め の 手 段 の 一 つ と し て 発 明 さ れ た も の で あ り ,現 代 に お い て も 歩 行 が 困 難 と な っ た 人 が 用 い る 歩 行 補 助 器 具 と し て 利 用 さ れ て い る .今 日 の 車 い す の 原 型 と な る も の は18世 紀 初 期 に 作 ら れ た .そ し て ,世 界 大 戦 や ベ ト ナ ム 戦 争 な ど で 多 く の 肢 体 障 害 者 が 生 ま れ た こ と を 背 景 に ,よ り 軽 量 で 自 立 移 動 に 適 し た 形 態 へ の 改 善 が 行 わ れ て き た [1].車 い す の 改 善 と と も に ,車 い す が 移 動 し や す い 都 市 環 境 の 整 備 も 行 わ れ て き た .例 え ば ,米 国 に お い て は ,1990年 に は ,ア メ リ カ 合 衆 国 に お い て「 障 害 を 持 つ ア メ リ カ 人 法(Americans with Disabilities Act: ADA)」が 公 布 さ れ た .ADAで は 障 害 に よ る 差 別 の 禁 止 と と も に 建 造 物 の 移 動 に か か わ る 物 理 的 障 害 の 解 消 が 義 務 付 け ら れ ,そ の 内 容 は 我 が 国 を 含 む 諸 外 国 の 障 害 者 認 定 に も 大 き な 影 響 を 与 え た と い わ れ て い る [2].日 本 に お い て は ,1983年 に 制 定 さ れ た「 公 共 交 通 タ ー ミ ナ ル に お け る 身 体 障 害 者 用 施 設 整 備 ガ イ ド ラ イ ン 」を は じ め と し ,1994年 に は「 高 齢 者 ,身 体 障 害 者 が 円 滑 に 利 用 で き る 特 定 建 築 物 の 促 進 に 関 す る 法 律 」( 通 称 ハ ー ト ビ ル 法 ),2000年 に は

(11)

「 高 齢 者 ,身 体 障 害 者 等 の 公 共 交 通 機 関 を 利 用 し た 移 動 の 円 滑 化 の 促 進 に 関 す る 法 律 」( 交 通 バ リ ア フ リ ー )が 制 定 さ れ る な ど ,高 齢 者 や 身 体 障 害 者 の 移 動 の 円 滑 化 に か か わ る 法 案 の 制 定 が な さ れ て き た [3].

こ の よ う な こ と を 背 景 に ,高 齢 者 や 身 体 障 害 者 が 独 力 で 移 動 で き る 都 市 環 境 の 整 備 が 進 め ら れ て き た .し か し な が ら ,平 成26年3月 末 時 点 に お い て ,市 町 村 バ リ ア フ リ ー 基 本 構 想 を 作 成 済 み ,ま た は 作 成 予 定 と し た 市 区 町 村 は 全 体 の 約 21%で あ る [4].ま た ,市 町 村 バ リ ア フ リ ー 基 本 構 想 が 対 象 と し て い る の は ,「 当 該 市 町 村 の 区 域 内 の 旅 客 施 設 を 中 心 と す る 地 区 や ,高 齢 者 ,障 害 者 等 が 利 用 す る 施 設 が 集 ま っ た 地 区( 重 点 整 備 地 区 )」で あ り ,こ れ ら 以 外 の 地 区 で の バ リ ア フ リ ー 化 は 十 分 で あ る と は い え な い .バ リ ア フ リ ー 化 が 実 施 さ れ て い な い 歩 道 や 通 路 で は ,車 い す 使 用 者 を 含 む 肢 体 不 自 由 者 の 単 独 で の 移 動 は 大 き く 制 限 さ れ ,こ の こ と が 外 出 を 躊 躇 す る 要 因 と な っ て い る と 報 告 さ れ て い る .肢 体 不 自 由 者 の 外 出 躊 躇 要 因 と し て 上 位 を 占 め る も の と し て ,段 差 ,通 行 幅 ,疲 労 と い っ た 移 動 に お け る 問 題 や ,公 共 交 通 機 関 ,車 い す 用 ト イ レ な ど の 設 備 等 の 環 境 に お け る 問 題 が 挙 げ ら れ て い る [5].ま た ,外 出 に お い て ,19%の 歩 行 補 助 器 具 使 用 者 が 介 助 者 な ど 他 人 の 迷 惑 に な る こ と を 理 由 に 外 出 を 控 え て い る と の 報 告 も あ る [6]

外 出 頻 度 の 低 下 は ,日 々 の エ ネ ル ギ ー 消 費 量 の 低 下 に つ な が り ,脊 髄 損 傷 者 に お い て は ,健 常 者 よ り も 一 日 に 消 費 す る エ ネ ル ギ ー 量 が 少 な い と の 報 告 が あ る [7–9].そ し て ,脊 髄 損 傷 者 の 車 い す を 使 用 し た 生 活 様 式 に お い て ,移 動 に 伴 う エ ネ ル ギ ー 消 費 が 抑 え ら れ る こ と で 二 次 的 な 高 血 糖 リ ス ク に つ な が る と の 指 摘 も あ る [10].こ う し た 日 々 の エ ネ ル ギ ー 消 費 低 下 を 改 善 さ せ る た め に は ,外 出 し て の 運 動 な ど 活 動 的 な 生 活 を 送 る こ と が 有 効 と 報 告 さ れ て い る [11–13].生 活 習 慣 の 健 康 状 態 へ の 影 響 は ,運 動 だ け で な く 就 労 状 況 に も 関 連 性 が あ る と の 報 告 も あ る .健 康 関 連 QOL(Health-related Quality of life: HRQOL)は ,QOL(Quality of life)の う ち ,医 療 介 入 に よ っ て 影 響 を 受 け る 領 域 に 限 定 し た も の で あ る [14, 15].健 康 関 連 QOLと 就 労 状 況 と の 関 連 に つ い て , Leducら ,Lidalら ,Westgrenら な ど は ,有 職 者 の 方 が 無 職 者 と 比 べ て 健 康 関 連 QOL の ス コ ア が 良 好 で あ っ た と 報 告 し て い る [16–18].こ の よ う な こ と か ら , 手 動 車 い す 使 用 者 に 対 す る 外 出 支 援 に よ っ て 彼 ら の 社 会 進 出 の 一 助 と す る こ

(12)

と が 重 要 で あ る と 考 え ら れ る .

1.2 関連研究

建 物 や 歩 道 の バ リ ア フ リ ー 化 は ,手 動 車 い す 使 用 者 の 外 出 支 援 の た め の 重 要 な 課 題 で あ る .し か し な が ら ,す べ て の 建 物 や 歩 道 の バ リ ア フ リ ー 化 が な さ れ る ま で は ,不 十 分 な バ リ ア フ リ ー 環 境 下 に お い て の 手 動 車 い す 使 用 者 に 対 す る 外 出 支 援 が 必 要 で あ る .

車 い す は 手 動 車 い す と 電 動 車 い す の 2 種 類 に 大 別 さ れ る .こ の う ち ,電 動 車 い す は 下 肢 の み で な く 上 肢 に 障 害 を 持 つ 人 に と っ て 有 用 な 移 動 支 援 機 器 で あ る .電 動 車 い す は 操 作 す る 人 の 身 体 能 力 に か か わ ら な い 走 行 能 力 を 持 っ て お り ,JIS T 9203で は10%の 勾 配 斜 面 の 走 行 や 助 走 な し で の2.5cmの 段 差 乗 り 越 え 能 力 な ど ,一 定 の 走 行 能 力 を 有 す る こ と が 規 定 さ れ て い る .し か し な が ら ,手 動 車 い す と 比 べ 重 く ,折 り 畳 み 困 難 な こ と か ら 利 用 で き る 乗 用 車 や 飛 行 機 で の 運 搬 に も 制 限 が 生 じ る[19].ま た ,電 動 車 い す の 利 用 に よ っ て 上 肢 機 能 の 低 下 が 起 こ る こ と も 指 摘 さ れ て お り [19],手 動 車 い す に よ る 移 動 を 行 え る 上 肢 機 能 を 持 つ 人 に 対 し て は 手 動 車 い す の 利 用 が 望 ま し い と 考 え ら れ る . た だ し ,手 動 車 い す を 移 動 さ せ る た め の 動 力 は ,操 作 す る 人 の 身 体 能 力 に 依 存 す る た め に ,補 助 動 力 機 器 に よ っ て 手 動 車 い す に よ る 移 動 を 支 援 す る 研 究 も 行 わ れ て い る .例 え ば ,Algood ら は 駆 動 力 を 補 助 す る 車 い す の 開 発 ,評 価 を 行 っ て お り [20],垣 本 ら は 介 助 者 の 負 担 を 軽 減 す る た め の 介 助 型 パ ワ ー ア シ ス ト 車 い す を 開 発 し て い る [19, 21].ま た ,関 ら や 畠 ら は パ ワ ー ア シ ス ト 車 い す の 後 方 転 倒 を 防 止 す る た め の ト ル ク 制 御 に つ い て 研 究 し て い る [22, 23]. そ の 他 ,手 動 車 い す の 操 作 に 対 応 し た 適 切 な 駆 動 力 制 御 に 関 す る 研 究 や [24] パ ワ ー ア シ ス ト 車 い す へ の 移 行 の 有 用 性 に つ い て 評 価 し て い る 研 究 な ど も あ る [25].ま た ,モ ー タ ー な ど に 頼 ら な い も の と し て は ,段 差 乗 り 越 え 時 の 負 担 を 軽 減 す る 機 構 を 持 つ 手 動 車 い す な ど も あ る [26, 27].こ う し た パ ワ ー ア シ ス ト 車 い す や 補 助 機 構 を 備 え た 車 い す は ,上 肢 機 能 の 低 下 し た 手 動 車 い す 使 用 者 に と っ て 有 用 な も の で あ る が ,こ れ ら の 普 及 に も 時 間 が 必 要 で あ り ,こ の よ う な 車 い す を 利 用 す る 場 合 に お い て も ,可 能 な 限 り バ リ ア フ リ ー 化 さ れ た 歩 道 を 通 行 す る こ と が 望 ま し い .こ う し た こ と か ら ,本 研 究 で は 不 十 分 な バ

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リ ア フ リ ー 環 境 下 に お け る 手 動 車 い す 使 用 者 に 対 す る 外 出 支 援 と し て ,目 的 地 ま で 安 全 ,確 実 に 到 達 可 能 な 経 路 を 提 示 す る 手 動 車 い す 使 用 者 向 け の 経 路 探 索 シ ス テ ム の 開 発 を 行 っ た .

利 用 者 に 対 し て 目 的 地 ま で の 経 路 を 提 示 ,案 内 す る シ ス テ ム と し て は ,自 動 車 で の 移 動 に 対 し て 道 路 上 の 経 路 を 提 示 ,案 内 す る カ ー ナ ビ ゲ ー シ ョ ン シ ス テ ム が 広 く 普 及 し て い る .ま た ,近 年 で は 歩 行 者 に 対 し て 歩 道 上 の 経 路 を 案 内 す る 歩 行 者 ナ ビ ゲ ー シ ョ ン も 実 用 化 さ れ て い る .し か し な が ら ,歩 行 者 ナ ビ ゲ ー シ ョ ン は 健 常 な 歩 行 者 向 け の も の で あ り ,階 段 な ど の 手 動 車 い す で は 移 動 で き な い 場 所 も 提 示 さ れ る 経 路 内 に 含 ま れ る .さ ら に ,健 常 な 歩 行 者 に と っ て は 問 題 と な ら な い よ う な 小 さ な 段 差 や 勾 配 ,狭 い 通 路 ,車 い す に 搭 乗 し た 状 態 で の 開 閉 が 困 難 な 扉 な ど も ,手 動 車 い す 使 用 者 に と っ て は 移 動 す る う え で の 障 害 と な る .そ の た め ,健 常 歩 行 者 用 の ナ ビ ゲ ー シ ョ ン サ ー ビ ス で は ,手 動 車 い す 使 用 者 の 移 動 に 対 す る 案 内 を 行 う こ と は 難 し い .手 動 車 い す 使 用 者 に 対 す る 経 路 探 索 ,案 内 を 行 う た め に は ,手 動 車 い す 使 用 者 向 け に 特 化 し た シ ス テ ム が 必 要 で あ る .

外 出 目 的 と な る 施 設 を 車 い す で 利 用 可 能 か を 登 録 し ,検 索 で き る サ ー ビ ス と し て ,つ ぎ の よ う な も の が 公 開 さ れ て い る .WheelMapOpenStreetMap 上 の 施 設 に 車 い す で 利 用 可 能 か 利 用 不 可 能 か を 登 録 ,検 索 す る こ と が で き る サ ー ビ ス で あ る [28].駅 の バ リ ア フ リ ー 情 報 を 検 索 で き る「 ら く ら く お で か け ネ ッ ト 」[29],宿 泊 施 設 の バ リ ア 情 報 を 検 索 で き る「 全 国 車 い す 宿 泊 ガ イ ド 」[30],「 多 目 的 ト イ レ マ ッ プ 」[31]な ど は ,そ れ ぞ れ 駅 ,宿 泊 施 設 ,多 目 的 ト イ レ に 限 定 し て 車 い す で 利 用 可 能 か ど う か の 情 報 を 提 供 し て い る .こ の よ う な サ ー ビ ス を 利 用 す る こ と で ,目 的 地 と な る 施 設 を 車 い す で 利 用 可 能 で あ る か ,ま た ,そ の 施 設 に 車 い す で 利 用 可 能 な ト イ レ が あ る か な ど に つ い て ,外 出 前 に 調 べ る こ と が で き る .し か し ,そ の 施 設 ま で 車 い す 使 用 者 が 独 力 で た ど り 着 け る か に つ い て の 情 報 は な い .

手 動 車 い す 使 用 者 向 け の 経 路 探 索 ,案 内 シ ス テ ム に つ い て は つ ぎ に 述 べ る よ う な 先 行 研 究 が 行 わ れ て い る .Matthewsら が 提 案 し て い る 経 路 探 索 シ ス テ ムMAGUSModelling Access with GIS in Urban Systems)は ,市 販 のGISArcView GIS)の 機 能 を 拡 張 し ,車 い す 移 動 の 障 害 と な る 段 差 や 勾 配 等 の 情 報 を 入 力

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す る こ と で 経 路 探 索 を 可 能 と し て い る [32].ま た ,岡 本 ら も 市 販 の GISソ フ ト に 商 店 街 の 利 用 可 能 店 舗 を 入 力 す る こ と で ,車 い す 使 用 者 を 含 む ハ ン デ ィ キ ャ ッ プ 者 へ の 経 路 情 報 を 提 供 す る 研 究 を 行 っ て い る [33].Sobekら が 提 案 す るU-Access はMAGUSな ど のGISア プ リ ケ ー シ ョ ン ベ ー ス の シ ス テ ム に 対 し て ,Webベ ー ス シ ス テ ム と し て 開 発 さ れ て い る [34].Kasemsuppakornら は 段 差 の 数 や 路 面 の 材 質 な ど に 重 み を 付 け ,よ り 小 さ い 負 担 で 移 動 で き る 経 路 を 探 索 す る 方 法 を 示 し て い る[35,36].ま た ,山 本 ら は 複 数 の ユ ー ザ に よ る 投 稿 情 報 を 共 有 す る こ と で ,人 海 戦 術 に よ る 広 範 囲 の 情 報 収 集 を 行 い ,そ れ を も と に し た 経 路 探 索 を 行 う シ ス テ ム に つ い て の 研 究 を 行 っ て い る [37].多 数 の ユ ー ザ に よ る 情 報 収 集 を 目 的 と し た シ ス テ ム と し て は ,井 上 ら に よ るiPhoneを 用 い た バ リ ア 情 報 記 録・公 開 シ ス テ ム や [38],Menkensら のEasyWheelシ ス テ ム な ど が あ る [39].ま た ,国 土 交 通 省 は20143月 に 歩 道 上 の バ リ ア を 避 け た 経 路 を 探 索 す る「 バ リ ア フ リ ー 経 路 探 索 」の 試 験 的 な 公 開 を 開 始 し て い る [40].

手 動 車 い す 使 用 者 が 移 動 す る た め の 最 適 な 経 路 を 探 索 す る た め に は ,何 を コ ス ト と し た 経 路 探 索 を 行 う か が 重 要 と な っ て く る .Matthewsら ,Sobekら , Kasemsuppakornら は ,経 路 上 の 障 害( 距 離 ,段 差 の 数 ,勾 配 ,通 路 幅 ,路 面 の 材 質 な ど )に そ れ ぞ れ 重 み を 設 定 し て コ ス ト と し ,そ の コ ス ト が 最 小 と な る 経 路 を 提 示 で き る よ う に し て い る [32, 34, 37].山 本 ら の 研 究 や「 バ リ ア フ リ ー 経 路 探 索 」で は ,目 的 地 ま で 最 短 距 離 で 移 動 で き る 経 路 の 探 索 を 基 本 に ,車 い す で 移 動 で き な い 障 害 物 を 避 け る 経 路 を 提 示 し て い る [37, 40].

上 述 し た よ う に ,従 来 の 手 動 車 い す 使 用 者 向 け 経 路 探 索 に つ い て の 研 究 で は ,経 路 探 索 を 行 う た め に 必 要 な デ ー タ の 測 定 や 経 路 探 索 用 の デ ー タ ベ ー ス へ の デ ー タ 入 力 作 業 は 手 作 業 に よ る も の が 主 で あ る .ま た ,手 動 車 い す ベ ー ス の 測 定 装 置 が 提 案 さ れ て い る が [41, 42],手 動 車 い す 使 用 者 に 対 す る 経 路 探 索 で は ,手 動 車 い す で 移 動 可 能 な 場 所 の 情 報 と 同 様 に ,手 動 車 い す で 移 動 で き な い 場 所 の 情 報 も 必 要 で あ る .そ の た め ,手 動 車 い す 使 用 者 向 け の 経 路 探 索 に 必 要 と な る 経 路 情 報 を ,手 動 車 い す を 用 い て 測 定 し ,情 報 収 集 す る の は 効 率 的 で は な い と 考 え ら れ る .ま た ,手 動 車 い す の ハ ン ド リ ム を 操 作 す る と き の ト ル ク を 現 在 位 置 デ ー タ と 関 連 付 け て 測 定 す る 装 置 は 発 案 さ れ て い る[42] し か し ,手 動 車 い す 移 動 に お け る ハ ン ド リ ム を 操 作 す る と き の ト ル ク は ,手

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動 車 い す の 転 が り 抵 抗 ,手 動 車 い す の 重 量 ,手 動 車 い す 使 用 者 の 体 重 ,ハ ン ド リ ム へ の 力 の 加 え 方 な ど の 影 響 に よ り ,安 定 し た 値 と な ら な い 可 能 性 が 高 い と 考 え ら れ る .こ れ を 標 準 化 し な け れ ば ,測 定 を 行 っ た 人 が 測 定 を 行 っ た 手 動 車 い す で 移 動 し た 場 合 の 負 担 の み し か 評 価 す る こ と は で き な い .

複 数 ユ ー ザ の 投 稿 に よ る 情 報 収 集 を 前 提 と す る も の で も ,情 報 を 収 集 す る ユ ー ザ の 主 観 に よ る 評 価 と な る こ と ,連 続 的 な 情 報 の 収 集 が 困 難 で あ る こ と か ら ,必 要 な 地 点 の 情 報 に つ い て の 抜 け が 生 じ る 可 能 性 が あ る .ま た ,人 間 が 手 動 車 い す を 動 か す の に 必 要 な 体 力 に も と づ い た ,最 も 小 さ い 力 で 移 動 で き る 経 路 の 提 示 方 法 に つ い て は 示 さ れ て い な い .

1.3 目的

こ の よ う な こ と か ら ,実 用 的 に 利 用 で き る 経 路 探 索 シ ス テ ム の 実 現 の た め に は ,人 が 手 動 車 い す を 移 動 さ せ る 力 に も と づ い た バ リ ア 情 報 を ,定 量 的 か つ 効 率 的 に 測 定 ,収 集 す る こ と が 必 要 と 考 え ら れ る .そ し て ,収 集 し た 情 報 を 経 路 探 索 に 利 用 可 能 な 形 式 に 自 動 的 に 変 換 す る こ と が で き れ ば ,バ リ ア 情 報 の 測 定 お よ び 更 新 作 業 に 必 要 と な る 多 大 な 人 的 コ ス ト を 大 き く 節 約 す る こ と が 可 能 と な る .

こ れ を 実 現 す る た め に ,本 研 究 で は ,手 動 車 い す に よ る 移 動 に お い て 最 も 小 さ い 力 で 目 的 地 ま で 移 動 で き る 経 路 を 提 示 で き る 経 路 探 索 シ ス テ ム ,お よ び ,そ の た め に 必 要 な デ ー タ を 定 量 的 か つ 効 率 的 に 測 定 可 能 な シ ス テ ム の 開 発 を 目 的 と し た .

1.4 本論文の構成

本 論 文 は ,全6章 の 構 成 か ら な る .1章 で は ,本 研 究 の 背 景 お よ び 研 究 目 的 に つ い て 述 べ た .

2章 で は ,人 が 車 い す を 移 動 さ せ る た め に 必 要 な 力 に つ い て ,路 面 の 傾 斜 角 度 と 手 動 車 い す 使 用 者 の 体 重 が 及 ぼ す 影 響 を 調 べ ,こ れ ら に よ っ て 手 動 車 い す に よ る 勾 配 路 面 移 動 時 の 物 理 的 負 担 度 を 推 定 可 能 な 評 価 指 標 に つ い て 検 討 す る .本 研 究 全 体 に お け る 2章 の 目 的 は ,人 が 車 い す を 移 動 さ せ る た め に 必

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要 な 力 に も と づ い た 経 路 探 索 を 行 う た め に ,こ れ を 既 知 の 情 報 に よ っ て 推 定 可 能 か ど う か を 調 べ る こ と で あ る .

3章 で は ,歩 道 上 を 手 動 車 い す に よ っ て 移 動 す る 際 の 物 理 的 負 担 度 を 定 量 的 に 評 価 す る た め の 指 標 に つ い て 述 べ る .本 研 究 全 体 に お け る3章 の 目 的 は , 人 が 車 い す を 移 動 さ せ る た め に 必 要 な 力 に も と づ い た 経 路 探 索 を 行 う た め に ,歩 道 上 を 手 動 車 い す で 移 動 す る 際 の 物 理 的 負 担 度 を 推 定 可 能 な 指 標 を 示 す こ と で あ る .

4章 で は ,手 動 車 い す 使 用 者 の 体 力 を ,簡 易 に 測 定 す る た め の 簡 易 体 力 測 定 装 置 の 開 発 に つ い て 述 べ る .本 研 究 全 体 に お け る 4章 の 目 的 は ,人 が 手 動 車 い す を 移 動 さ せ る た め に 必 要 な 力 に も と づ い た 経 路 探 索 の 応 用 と し て ,個 々 の 手 動 車 い す 使 用 者 の 体 力 に 応 じ た 経 路 を 提 示 す る た め に 簡 易 な 体 力 測 定 方 法 を 示 す こ と で あ る .

5章 で は ,本 研 究 全 体 の 目 的 で あ る ,人 が 手 動 車 い す を 移 動 さ せ る た め に 必 要 な 力 に も と づ い た ,最 も 少 な い 力 で 移 動 で き る 経 路 を 探 索 す る シ ス テ ム の 開 発 と そ の 評 価 に つ い て 述 べ る .

6章 で は2章 か ら5章 で の 成 果 を 要 約 し ,研 究 全 体 の 総 括 を 行 う .

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第 2

手動車いすでの勾配路面走行におけ る負担度の評価

2.1 背景

手 動 車 い す 使 用 者 向 け の 経 路 探 索 を 行 う に あ た り ,人 が 手 動 車 い す を 移 動 さ せ る た め に 必 要 と す る 力 を 定 量 的 に 評 価 で き る 指 標 が 必 要 と な る .手 動 車 い す に よ っ て 歩 道 や 通 路 な ど の 路 面 を 移 動 す る 際 に は ,路 面 の 縦 断 勾 配 ,横 断 勾 配 ,路 面 の 材 質 や 凹 凸 ,舗 装 の 状 態 な ど の 要 因 と 手 動 車 い す 使 用 者 の 負 担 度 は 大 き く 関 係 し て い る .

路 面 の 縦 断 勾 配 や 横 断 勾 配 は ,手 動 車 い す 移 動 に お け る 大 き な 抵 抗 要 因 で あ る .勾 配 路 面 に お い て 手 動 車 い す 使 用 者 が 感 じ る 負 担 に つ い て ,新 田 ら は 途 中 で 休 憩 可 能 な ス ロ ー プ で あ っ て も5%勾 配 を 超 え る と 負 担 感 度 が 強 く な る と し て い る [43].ま た ,木 村 ら の 研 究 で は ,縦 断 勾 配 に つ い て は5%,横 断 勾 配 に つ い て は2%の 勾 配 で あ っ て も 手 動 車 い す 使 用 者 の 負 担 感 は 大 き く 増 加 す る と 報 告 さ れ て い る [44].高 齢 の 手 動 車 い す 使 用 者 に お い て は ,さ ら に 小 さ な 勾 配 で あ っ て も 移 動 時 の 負 担 度 は 大 き く ,縦 断 勾 配 は6.5%,横 断 勾 配 は 1.5%を 超 え る と 勾 配 路 面 の 移 動 が 困 難 に な る と の 報 告 も あ る [45].ま た ,路 面 上 の 段 差 に つ い て は ,4.5cmを 超 え る 場 合 に 負 担 度 が 大 き く 増 す と の 報 告 や [44],高 齢 手 動 車 い す 使 用 者 に と っ て は2.0cmの 段 差 で あ っ て も 負 担 が 大 き い と す る 報 告 が あ る [45].路 面 上 の 大 き な 段 差 を 解 消 す る た め に は ,ス ロ ー プ を 設 置 す る こ と で の 対 応 が 最 も 容 易 な 手 段 で あ り ,路 面 上 の 段 差 の 存 在 が 縦

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断 勾 配 路 面 を 多 く す る 要 因 に な っ て い る .縦 断 勾 配 路 面 や 横 断 勾 配 路 面 が 手 動 車 い す 使 用 者 の 自 力 移 動 に ど の 程 度 負 担 と な る か を 調 べ る こ と は ,歩 道 の バ リ ア フ リ ー 度 を 評 価 す る た め に も 重 要 で あ る .

縦 断 勾 配 路 面 や 横 断 勾 配 路 面 を 手 動 車 い す で 移 動 す る 際 に は ,路 面 の 傾 斜 の 大 き さ や 路 面 の 材 質 ,舗 装 の 状 態 な ど に よ っ て 手 動 車 い す 使 用 者 の 負 担 度 は こ と な っ て く る .縦 断 勾 配 の 大 き さ と そ れ に 対 す る 手 動 車 い す 使 用 者 の 負 担 度 に つ い て ,例 え ば 村 木 ら は ト レ ッ ド ミ ル 走 行 時 の 酸 素 消 費 量 に よ っ て [46],橋 詰 ら は 走 行 時 の 酸 素 消 費 量 ,心 拍 数 ,仕 事 量 お よ び 仕 事 率 に よ っ て [47, 48],米 田 ら は1 ス ト ロ ー ク に お け る 正 規 化 駆 動 力( 体 重 あ た り の 駆 動 力 )の 最 大 値 と 手 動 車 い す の 惰 性 走 行 時 間 に よ っ て [49],Kimら は 速 度 と 上 肢 の 筋 肉 活 動 に よ っ て [50],糟 谷 ら は 段 差 通 過 時 の 最 大 駆 動 力 に よ っ て 勾 配( 傾 斜 角 度 )の 大 き さ と 負 担 度 と の 関 係 に つ い て 調 べ て い る [51].心 理 的 負 担 度 に つ い て は ,新 田 ら や 木 村 ら が 車 い す 走 行 時 の 心 理 的 負 担 度 を ヒ ア リ ン グ に よ り 評 価 し て い る [43, 44].ま た ,横 断 勾 配 路 面 移 動 時 の 負 担 度 に つ い て は ,朝 原 ら [52]が 横 断 勾 配 の 大 き さ の 違 い に 伴 う 手 動 車 い す 使 用 者 の 体 幹 運 動 の 変 化 を 調 べ て い る .ま た ,米 田 ら は 車 い す の 駆 動 ト ル ク と 走 行 速 度 に よ っ て 横 断 勾 配 路 面 走 行 時 の 負 担 度 を 調 べ て い る [53].こ れ ら の 先 行 研 究 に よ っ て ,縦 断 勾 配 路 面 や 横 断 勾 配 路 面 の 傾 斜 の 大 き さ と 手 動 車 い す で 移 動 し た 際 の 負 担 度 に は 大 き な 関 係 性 が あ る こ と が 示 さ れ て い る .し か し ,手 動 車 い す に お け る 斜 面 走 行 の 運 動 モ デ ル か ら ,勾 配 路 面 移 動 時 の 物 理 的 負 担 度 は 手 動 車 い す 使 用 者 の 体 重 が 大 き い ほ ど 増 加 す る も の と 考 え ら れ る [54–56].し か し な が ら , 勾 配 路 面 の 傾 斜 角 度 と 体 重( 手 動 車 い す の 重 量 含 む )の 変 化 に 伴 う 手 動 車 い す 移 動 に お け る 物 理 的 負 担 度 の 変 化 量 に つ い て は 詳 細 に 調 べ ら れ て い な い . 例 え ば ,米 田 ら は 縦 断 勾 配 路 面 の 傾 斜 角 度 ,正 規 化 駆 動 力( 体 重 あ た り の 駆 動 力 )の 最 大 値 ,手 動 車 い す の 惰 性 走 行 時 間 に よ っ て 縦 断 勾 配 路 面 移 動 時 の 負 担 を 評 価 で き る と し て い る が ,そ の 評 価 式 は 縦 断 勾 配 の 角 度 ご と の1次 方 程 式 で あ り ,縦 断 勾 配 の 傾 斜 角 度 に よ る 増 加 率 に つ い て は 示 さ れ て い な い [49]. こ れ ら の 先 行 研 究 で は ,勾 配 路 面 の 傾 斜 角 度 と 重 量 の 増 加 に よ る 具 体 的 な 変 化 量 の 関 係 に つ い て は 定 量 的 な 評 価 は さ れ て お ら ず ,人 が 手 動 車 い す を 移 動 さ せ る た め に 必 要 と す る 力 の 定 量 的 評 価 を 行 う た め に は ,手 動 車 い す 使 用 者

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の 体 重 を 考 慮 し た 評 価 指 標 が 必 要 と 考 え ら れ る .

そ こ で ,ま ず 縦 断 勾 配 路 面 お よ び 横 断 勾 配 路 面 を 対 象 と し ,そ の 勾 配( 傾 斜 角 度 )と 車 い す 搭 乗 者 の 体 重 に よ る 身 体 的 負 担 度 や 心 理 的 負 担 度 の 影 響 に つ い て 調 べ る こ と と し た .ま た ,そ の 結 果 か ら 路 面 の バ リ ア フ リ ー 度 や 車 い す 使 用 者 の 身 体 的 ,心 理 的 負 担 度 に つ い て ,定 量 的 に 評 価 可 能 な 指 標 に つ い て 検 討 し た .

2.2 勾配路面移動における負担の測定

2.2.1 実験目的

手 動 車 い す で 縦 断 勾 配 路 面 と 横 断 勾 配 路 面 を 移 動 し た 際 の 負 担 度 を 調 べ る た め に ,手 動 車 い す で 勾 配 路 面 を 走 行 し た 際 の 身 体 的 負 担 度 を 測 定 す る 実 験 を 行 っ た .ま た ,身 体 的 負 担 度 と 心 理 的 負 担 度 の 関 係 を 調 べ る た め に ,心 理 的 負 担 度 に つ い て の 主 観 調 査 も 行 っ た .

2.2.2 測定装置

勾 配 路 面 の 移 動 に お い て 手 動 車 い す 使 用 者 の 身 体 的 負 担 度 を 調 べ る た め , 手 動 車 い す 使 用 者 が ハ ン ド リ ム を 操 作 す る 力 と 車 輪 の 回 転 数 を 測 定 し ,ハ ン ド リ ム 駆 動 力 と 仕 事 量 を 測 定 す る こ と に し た .手 動 車 い す 使 用 者 の 身 体 的 負 担 度 を 調 べ る そ の 他 の 方 法 と し て は ,酸 素 消 費 量 ,血 圧 ,心 拍 数 な ど の 生 体 計 測 に よ る も の や ,主 観 的 な 身 体 負 担 度 を 調 べ る も の が あ る .こ れ ら は 個 人 の 身 体 能 力 や 主 観 に よ る 個 人 差 が 大 き い と 考 え ら れ る た め ,本 実 験 の 目 的 と す る ,手 動 車 い す に よ る 移 動 時 に 生 じ る 身 体 的 負 担 の 定 量 的 評 価 指 標 の 検 討 に は 適 さ な い と 考 え た .

手 動 車 い す の ハ ン ド リ ム 駆 動 力 を 測 定 す る た め に ,ハ ン ド リ ム が 車 輪 を 動 か す 力 を 歪 み ゲ ー ジ を 使 用 し て 測 定 す る 方 法 を 採 用 し た [42].本 項 で 述 べ る 手 動 車 い す の ハ ン ド リ ム 駆 動 力 測 定 装 置 は ,文 献 [42]の 車 椅 子 利 用 時 の 腕 力 測 定 装 置 の 構 造 を 参 考 と し た .こ の 車 椅 子 利 用 時 の 腕 力 測 定 装 置 で は ,車 輪 に リ ン グ 状 固 定 板 を 固 定 し ,リ ン グ 状 固 定 板 か ら 突 設 し た 支 持 部 材 に よ っ て ハ ン ド リ ム を 支 え て い る .し か し な が ら ,こ の 構 造 に お い て ハ ン ド リ ム を 漕

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ぐ 動 作 を す る 際 に ,リ ン グ 状 固 定 板 か ら 突 設 さ れ た 支 持 部 材 に 指 が 接 触 し た 場 合 に は ,車 輪 に 固 定 さ れ た リ ン グ 状 固 定 板 を 直 接 動 か す こ と に な る .そ の よ う な 場 合 に は ハ ン ド リ ム に 加 え ら れ た 力 の み を 計 測 す る こ と が で き な く な る .そ の た め ,本 研 究 で は こ の 問 題 を 解 決 す る た め に ,ハ ン ド リ ム と 車 輪 の 接 続 部 分 を 車 輪 外 側 に 突 出 さ せ な い 構 造 と し た .ハ ン ド リ ム の 車 輪 回 転 方 向 に 対 し て の 動 き を 阻 害 し な い 形 状 の 固 定 板 に よ っ て ハ ン ド リ ム を 車 輪 に 取 り 付 け る .ハ ン ド リ ム の 動 き を 車 輪 に 伝 え る た め に ,車 輪 側 の ハ ン ド リ ム の 接 続 部 が 接 触 す る 位 置 に 金 属 板( 説 明 の た め に 以 降 ,連 結 板 と 呼 ぶ )を 固 定 し , ハ ン ド リ ム を 車 輪 回 転 方 向 に 動 か し た 際 に ハ ン ド リ ム 接 続 部 と 連 結 板 が 接 触 す る こ と で ,ハ ン ド リ ム か ら 車 輪 に 力 が 伝 達 さ れ る よ う に す る .こ う す る こ と で ,ハ ン ド リ ム が 回 転 し た と き の 力 の み が 車 輪 に 伝 達 さ れ る こ と に な る . 連 結 板 に は 歪 み ゲ ー ジ を 貼 り 付 け ,歪 み ゲ ー ジ 両 端 の 電 圧 値 の 差 に よ っ て , 連 結 板 に 加 わ る 力 を 測 定 す る .

ハ ン ド リ ム 駆 動 力 測 定 装 置 の 設 計 イ メ ー ジ を 図2.1 に 示 す .ハ ン ド リ ム 接 続 部 を 支 持 す る 固 定 板 を 車 輪 側4点 に 取 り 付 け ,固 定 版 の 穴 に ハ ン ド リ ム 接 続 部 を 通 し て ハ ン ド リ ム を 支 持 す る .固 定 版 の 穴 は ハ ン ド リ ム 接 続 部 が 通 り ,車 輪 回 転 方 向 に1mm程 度 動 か せ る 大 き さ と す る .ハ ン ド リ ム 接 続 部 と 固 定 版 の 隙 間 を 摩 擦 の 小 さ い テ ー プ 等 に よ っ て な く し ,浸 透 潤 滑 剤 を 塗 布 す る こ と で ハ ン ド リ ム が 車 輪 回 転 方 向 以 外 に 動 く こ と を 防 止 し た .ハ ン ド リ ム を 車 輪 回 転 方 向 に 動 か す 動 作 を す る こ と で ,歪 み ゲ ー ジ を 貼 り 付 け た 連 結 板 が 押 し 引 き さ れ ,ハ ン ド リ ム の 接 線 方 向 に 加 わ る 力 の み を 測 定 す る こ と が で き る .

固 定 板 お よ び 連 結 板 は 厚 さ2mmの ス テ ン レ ス 板 を 加 工 し た .歪 み ゲ ー ジ の 貼 り 付 け 方 法 は ,連 結 板 の 表 と 裏 に1枚 ず つ 貼 り 付 け る2ア ク テ ィ ブ ゲ ー ジ 法 を 採 用 し た [57].歪 み ゲ ー ジ ブ リ ッ ジ の 出 力 電 圧 は ,約334倍 に 増 幅 し た 後 に マ イ ク ロ コ ン ト ロ ー ラ のA/D変 換 器 に よ っ て デ ジ タ ル 値 に 変 換 し た .ま た , 車 輪 の 回 転 と 連 動 し な い 車 軸 部 分 に 5 の 円 弧 を 72個 白 黒 交 互 に 円 形 に 並 べ た 円 形 パ タ ー ン を 貼 り 付 け た ア ル ミ 円 盤 を 固 定 し ,こ れ に よ っ て 車 輪 回 転 数 を 計 測 す る こ と と し た .本 研 究 で 使 用 し た 手 動 車 い す の 車 輪 外 周 は 178.4cm で あ っ た の で( 車 輪 1周 分 の 距 離 を 実 測 ),パ タ ー ン 1 個 分 で の 移 動 距 離 は

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2.48cmと な る .車 輪 に 反 射 型 フ ォ ト セ ン サ と シ ュ ミ ッ ト ト リ ガ 回 路 を 組 み 合 わ せ た 車 輪 回 転 数 計 測 装 置 を 固 定 し ,車 輪 が 回 転 し た と き の 白 黒 交 互 パ タ ー ン 中 の 白 色 が 反 射 型 フ ォ ト セ ン サ を 通 過 し た 回 数 を マ イ ク ロ コ ン ト ロ ー ラ に よ っ て 計 測 し た .計 測 し た 歪 み ゲ ー ジ の 電 圧 値 と 車 輪 回 転 数 は ,無 線 通 信

(Bluetooth)に よ っ て ラ ッ プ ト ッ プPCへ と 送 信 し ,ラ ッ プ ト ッ プPCの 内 部 記 憶 媒 体 に 記 録 し た .滑 車 を 用 い て 床 面 と 水 平 方 向 に ハ ン ド リ ム 接 合 部 を 重 り で 引 っ 張 る こ と で ,歪 み ゲ ー ジ の 電 圧 値 を ハ ン ド リ ム 駆 動 力 に 校 正 し た .こ の 装 置 を 左 右 両 輪 の 車 輪 に 実 装 す る こ と で ,手 動 車 い す の ハ ン ド リ ム 駆 動 力 と 車 輪 回 転 数 を 計 測 し た .ハ ン ド リ ム 駆 動 力 は ,片 手 ご と に20kg(196.1N)ま で 計 測 可 能 と な る よ う に 校 正 し た .表2.1に 実 装 に 使 用 し た 主 な 電 子 部 品 ,図 2.2 に ハ ン ド リ ム 駆 動 力 測 定 用 の 手 動 車 い す の 実 装 写 真 を 示 す .車 い す の 両 輪 の ハ ン ド リ ム 駆 動 力 と 車 輪 回 転 角 度 は50ms の 標 本 化 間 隔 で 測 定 し た .測 定 装 置 を 実 装 し た 車 い す は ,重 量16.3kg,車 輪 の 半 径30.4cm,半 径25.4cmの ス テ ン レ ス 製 ハ ン ド リ ム の も の を 使 用 し た .車 輪 回 転 角 度 の 分 解 能 は 5 で あ り ,車 輪 回 転 角 度 に 車 輪 円 周 長 を 乗 じ て 手 動 車 い す の 移 動 距 離 を 計 算 し た . ま た ,ハ ン ド リ ム 駆 動 力 を 距 離 積 分 す る こ と で ハ ン ド リ ム に 対 し て 行 わ れ る 仕 事 量 を 算 出 し た .

図2.1 ハンドリム駆動力測定用手動車いす設計イメージ

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表2.1 電子回路の使用部品

部品種別 製品名(製造会社) 個数

歪みゲージ N11-FA8-120-23(アールエスコンポーネンツ株式会社 ) 2

反射型フォトセンサ フォトセンサ RPR220(ローム株式会社) 1

オペアンプ INA101HP(Texas Instruments) 1 電圧コンバータ LTC1144(Linear Technology) 1

マイクロコントローラ Arduino UNO(Arduino) 1

無線通信モジュール WRL-09358 Bluetooth Mate(SparkFun) 1

図2.2 ハンドリム駆動力測定用手動車いすの実装写真

2.2.3 実験方法

測 定 を 行 う 縦 断 勾 配 路 面 を 表 2.2 に ,横 断 勾 配 路 面 を 表 2.3に 示 す .表 2.2 お よ び 表 2.3に 示 す 路 面 は ,凹 凸 の 少 な い ア ス フ ァ ル ト 舗 装 路 面 で あ り ,目 視 お よ び デ ジ タ ル 傾 斜 計 デ ジ タ ル 傾 斜 計(Digital Protractor Pro3600:Mitutoyo America Corporation)で の 計 測 に よ っ て で き る だ け 角 度 変 化 の 小 さ い 路 面 を 選 定 し た .表 中 の 傾 斜 角 度( 勾 配 )に つ い て は デ ジ タ ル 傾 斜 計 で 路 面 の3点 の 傾

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表2.2 実験環境:縦断勾配路面 距離 [m] 傾斜角度 [] 勾配 [%]

15 0 0

19 2.1 3.7

19 2.7 4.7

15 5.8 10.2

表2.3 実験環境:横断勾配路面 距離 [m] 傾斜角度 [] 勾配 [%]

15 0 0

15 1.2 2.1

14 3.9 6.8

10 5.8 9.7

12 6.1 10.8

斜 角 度 を 測 定 し て 相 加 平 均 し た 角 度 を 示 し て い る .な お ,本 論 文 に お け る 路 面 の 傾 き の 計 測 値 は ,路 面 の 傾 斜 角 度 を 傾 斜 計 な ど に よ っ て 計 測 し た も の で あ る .そ の た め ,路 面 の 傾 き に つ い て は 垂 直 距 離 と 水 平 距 離 の 比 で 表 さ れ る 勾 配 で は な く ,傾 斜 角 度 と し て 説 明 す る .

実 験 は 健 常 者12名 を 対 象 と し た .実 験 参 加 者 の 体 重 と 年 齢 を 表2.4に 示 す . 実 験 参 加 者 に は 実 験 内 容 に つ い て 口 頭 と 書 面 に よ る 説 明 を 行 い ,実 験 参 加 へ の 同 意 を 得 た .

実 験 参 加 者 に は 手 動 車 い す で 走 行 す る 際 に ,無 理 の な い 自 然 な 速 度 で で き る だ け 直 進 す る よ う に 指 示 し ,直 進 で き な か っ た 場 合 に は 走 行 を 中 止 し て , 再 度 測 定 を 行 っ た .走 行 が 直 進 で な い と 判 断 す る 条 件 は ,車 輪 回 転 角 度 の 左 右 差 が180度 以 上 の 場 合 と し た .ま た ,心 理 的 負 担 に つ い て は ,各 勾 配 路 面 を 2 回 走 行 し た 後 に ,口 頭 で「 最 初 に 走 行 し た 勾 配 な し の 路 面 で の「 負 担 度 」を 10と し て ,今 走 行 し た 勾 配 路 の「 負 担 度 」を 数 値 で 表 し て 下 さ い .」と ,マ グ ニ チ ュ ー ド 推 定 値 に よ る 心 理 的 負 担 度 の 聞 き 取 り 調 査 を 行 っ た .

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表2.4 実験参加者

実験参加者 体重[kg] 年齢[] 性別

A 49.5 22 男

B 56.0 22 男

C 56.4 22 男

D 57.1 22 男

E 57.6 22 男

F 61.9 29 男

G 58.3 22 男

H 63.3 21 男

I 66.5 21

J 69.9 22 男

K 78.1 24 男

L 63.6 22

2.2.4 測定結果

表2.4に 示 し た 実 験 参 加 者12名 の 手 動 車 い す 走 行 時 の ハ ン ド リ ム 駆 動 力 と 車 輪 回 転 角 度 を 測 定 し ,口 頭 で 負 担 度 の 聞 き 取 り 調 査 を 行 っ た .測 定 し た ハ ン ド リ ム 駆 動 力 と 車 輪 回 転 角 度 か ら 表2.5に 示 す6項 目( 平 均 駆 動 力 ,最 大 駆 動 力 ,ス ト ロ ー ク 平 均 駆 動 力 ,ス ト ロ ー ク 平 均 仕 事 量 ,距 離 平 均 仕 事 量 ,仕 事 率 )を 算 出 し た( 以 降 ,本 章 に お い て は こ れ ら を 指 し て「 分 析 項 目 」と 呼 ぶ ).

た だ し ,表2.4に 示 し た 実 験 参 加 者 の う ち ,実 験 参 加 者Lに つ い て は 走 行 時 に 手 動 車 い す の 前 輪 が 浮 く よ う な 操 作 を 行 っ て お り ,無 理 の な い 自 然 な 速 度 で の 走 行 で は な か っ た も の と 考 え ら れ た た め ,測 定 結 果 か ら は 除 外 し た .ま た , ハ ン ド リ ム 駆 動 力 や 仕 事 量 に つ い て は ,左 右 平 均 し た う え で 分 析 を 行 っ た .

測 定 結 果 か ら 表 2.5に 示 す 各 分 析 項 目 を 算 出 し ,そ れ ぞ れ の 傾 斜 角 度 ご と の 平 均 値 と 標 準 偏 差 を 求 め た .図2.3 に 傾 斜 角 度 ご と の 縦 断 勾 配 路 面 で の 測 定 結 果 の 平 均 値 と 標 準 偏 差 を ,図 2.4 に 傾 斜 角 度 ご と の 横 断 勾 配 路 面 で の 測 定 結 果 の 平 均 値 と 標 準 偏 差 を 示 す .横 断 勾 配 路 面 で の 傾 斜1.2 の 平 均 駆 動 力 を 除 い て は ,傾 斜 角 度 が 増 す に つ れ て 平 均 値 も 増 加 し て い る .ま た ,縦 断 勾

(25)

配 路 面 で の 平 均 駆 動 力 と 距 離 平 均 仕 事 量 や 横 断 勾 配 路 面 で の 距 離 平 均 仕 事 量 は 他 の 分 析 項 目 と 比 べ て 標 準 偏 差 が 小 さ く ,ば ら つ き の 小 さ い 結 果 と な っ て い る .

表2.5 分析項目

分析項目 説明

平均駆動力 [N] ハンドリム駆動力の平均値(標本化回数平均)

最大駆動力 [N] 1走行中のハンドリム駆動力の最大値

ストローク平均駆動力 [N] ストロークごとのハンドリム駆動力の最大値の平均値 ストローク平均仕事量 [J] 1ストロークあたりの仕事量の平均値

距離平均仕事量 [J] 1mあたりの仕事量の平均値

仕事率[W] 1秒あたりの仕事量の平均値

図2.3 傾斜角度別の平均値と標準偏差(縦断勾配路面)

(26)

図2.4 傾斜角度別の平均値と標準偏差(横断勾配路面)

各 分 析 項 目 に 対 す る 傾 斜 角 度 と 重 量( 体 重 に 車 い す の 重 量 を 加 え た も の ) の 影 響 の 大 き さ を 調 べ る た め に ,各 分 析 項 目 を 目 的 変 数 ,傾 斜 角 度 と 重 量( 単 位:N)を 説 明 変 数 と し た 重 回 帰 分 析 を 行 っ た .重 回 帰 分 析 の 結 果 を 表2.6( 縦 断 勾 配 路 面 の 結 果 )と 表2.7( 横 断 勾 配 路 面 の 結 果 )に 示 す .説 明 変 数 と し た 縦 断 傾 斜 角 度 と 重 量 ,横 断 傾 斜 角 度 と 重 量 の 間 に は と も に 相 関 関 係 は な く

r <0.01,p= 1.00),多 重 共 線 性 の 可 能 性 は な い も の と 判 断 し た .回 帰 モ デ ル の 当 て は ま り の 良 さ を 表 す 自 由 度 調 整 済 み 決 定 係 数 の 値 は ,縦 断 勾 配 路 面 の 測 定 結 果 で は 平 均 駆 動 力 と 距 離 平 均 仕 事 量 ,横 断 勾 配 路 面 の 測 定 結 果 で は 距 離 平 均 仕 事 量 が0.8以 上 を 示 し た .ま た ,縦 断 勾 配 路 面 に お い て は す べ て の 目 的 変 数 に 対 す る 自 由 度 調 整 済 み 決 定 係 数( 表 中RAdj2 )が0.6以 上 を 示 し た が , 横 断 勾 配 路 面 で0.6以 上 の 自 由 度 調 整 済 み 決 定 係 数 と な っ た の は 平 均 駆 動 力 ,

(27)

表2.6 重回帰分析の結果(縦断勾配路面)

目的変数 説明変数 β 標準化β R2Adj

平均駆動力 傾斜角度 5.58∗∗ 0.92∗∗

0.86∗∗

重量 0.03 0.15 最大駆動力 傾斜角度 14.71∗∗ 0.77∗∗

0.64∗∗

重量 0.14∗∗ 0.26∗∗

ストローク平均駆動力 傾斜角度 11.31∗∗ 0.80∗∗

0.68∗∗

重量 0.10∗∗ 0.25∗∗

ストローク平均仕事量 傾斜角度 2.80∗∗ 0.77∗∗

0.70∗∗

重量 0.04∗∗ 0.35∗∗

距離平均仕事量 傾斜角度 6.29∗∗ 0.95∗∗

0.93∗∗

重量 0.04∗∗ 0.20∗∗

仕事率 傾斜角度 7.34∗∗ 0.75∗∗

0.61∗∗

重量 0.06 0.23

自由度 43

β:偏回帰係数,RAdj2 :自由度調整済み決定係数

∗∗p <0.01,p <0.05,p <0.1

ス ト ロ ー ク 平 均 仕 事 量 ,距 離 平 均 仕 事 量 の み で あ っ た .ま た ,す べ て の 目 的 変 数 に つ い て 回 帰 式 に よ る 説 明 力 は 危 険 率5%水 準 に お い て 有 意 な も の で あ っ た .説 明 変 数 の 目 的 変 数 に 対 す る 影 響 力 を 示 す 標 準 化 偏 回 帰 係 数( 表 中 の 標 準 化 β )は ,横 断 勾 配 路 面 の 測 定 結 果 で の 最 大 駆 動 力 に 対 す る も の を 除 い て , 危 険 率5%水 準 で 有 意 な も の で あ っ た .標 準 化 偏 回 帰 係 数 の 値 は ,す べ て の 目 的 変 数 で 傾 斜 角 度 の 方 が 重 量 よ り も 高 く ,傾 斜 角 度 の 影 響 力 が 強 い と い え る が ,重 量 の 影 響 力 も 小 さ い も の で は な か っ た .

つ ぎ に ,聞 き 取 り 調 査 に よ る 主 観 負 担 度 と ,傾 斜 角 度 や 各 分 析 項 目 と の 関 係 に つ い て 述 べ る .走 行 後 に 口 頭 調 査 し た 主 観 負 担 度( マ グ ニ チ ュ ー ド 推 定 値 )の 上 限 は 実 験 参 加 者 ご と に こ と な っ て い る .そ の た め に ,縦 断 勾 配 路 面 と 横 断 勾 配 路 面 で の 主 観 負 担 度 の 回 答 値 を 実 験 参 加 者 ご と に 平 均 値 0,標 準 偏 差 1と な る よ う に 標 準 化 し た う え で 評 価 し た( 以 降 ,標 準 化 し た 主 観 負 担 度 を 標 準 化 負 担 度 と 呼 ぶ ).表2.8に 傾 斜 角 度 お よ び 各 分 析 項 目 と 標 準 化 負 担

(28)

度 の 相 関 関 係 を 示 す .表2.8に 示 し た 数 値 は ,傾 斜 角 度 お よ び 各 分 析 項 目 と 標 準 化 負 担 度 そ れ ぞ れ に つ い て ピ ア ソ ン の 積 率 相 関 分 析 で の 相 関 係 数 お よ び p

表2.7 重回帰分析の結果(横断勾配路面)

目的変数 説明変数 β 標準化β R2Adj

平均駆動力 傾斜角度 1.22∗∗ 0.74∗∗

0.61∗∗

重量 0.01∗∗ 0.27∗∗

最大駆動力 傾斜角度 3.16∗∗ 0.34

0.23∗∗

重量 0.12∗∗ 0.38∗∗

ストローク平均駆動力 傾斜角度 3.24∗∗ 0.43∗∗

0.34∗∗

重量 0.10∗∗ 0.42∗∗

ストローク平均仕事量 傾斜角度 0.83∗∗ 0.65∗∗

0.64∗∗

重量 0.02∗∗ 0.48∗∗

距離平均仕事量 傾斜角度 1.87∗∗ 0.86∗∗

0.84∗∗

重量 0.02∗∗ 0.32∗∗

仕事率 傾斜角度 2.21∗∗ 0.62∗∗

0.55∗∗

重量 0.05∗∗ 0.44∗∗

自由度 54

β:偏回帰係数,R2Adj:自由度調整済み決定係数

∗∗p <0.01,p <0.05,p <0.1

表2.8 物理的負担度と標準化負担度の相関分析結果 標準化負担度

縦断勾配 横断勾配

傾斜角度 0.98∗∗ 0.89∗∗

平均駆動力 0.91∗∗ 0.70∗∗

最大駆動力 0.74∗∗ 0.36∗∗

ストローク平均駆動力 0.76∗∗ 0.45∗∗

ストローク平均仕事量 0.75∗∗ 0.60∗∗

距離平均仕事量 0.93∗∗ 0.79∗∗

仕事率 0.71∗∗ 0.55∗∗

∗∗p <0.01,p <0.05,p <0.1

(29)

値 を 示 し て い る .縦 断 勾 配 路 面 で の 傾 斜 角 度 ,平 均 駆 動 力 ,距 離 平 均 仕 事 量 や ,横 断 勾 配 路 面 で の 傾 斜 角 度 ,平 均 駆 動 力 ,距 離 平 均 仕 事 量 な ど は 標 準 化 負 担 度 と の 間 に 強 い 正 の 相 関 関 係 が 認 め ら れ た .ま た ,図2.5に 縦 断 傾 斜 角 度 と 角 度 ご と に 平 均 化 し た 標 準 化 負 担 度 と の 関 係 を ,図 2.6に 横 断 傾 斜 角 度 と 角 度 ご と に 平 均 化 し た 標 準 化 負 担 度 と の 関 係 を 示 す .ど ち ら も 傾 斜 角 度 が 大 き く な る に つ れ て 心 理 的 負 担 度 が 増 加 す る 関 係 が み ら れ た .

図2.5 縦断傾斜角度と標準化負担度

図2.6 横断傾斜角度と標準化負担度

2.3 傾斜角度と重量による身体的負担度の推定

表2.6と 表2.7に お い て ,高 い 自 由 度 調 整 済 み 決 定 係 数 を 示 し た 目 的 変 数( 分 析 項 目 )に つ い て は ,重 回 帰 モ デ ル に よ る 推 定 が 妥 当 な 精 度 で 行 え る も の と

(30)

考 え ら れ る .こ の 推 定 が 高 い 精 度 で 行 え る の で あ れ ば ,縦 断 勾 配 路 面 や 横 断 勾 配 路 面 を 手 動 車 い す で 走 行 し た 際 に 必 要 と な る ハ ン ド リ ム 駆 動 力 や 仕 事 量 の 推 定 や ,車 い す 使 用 者 の 身 体 的 負 担 度 に も と づ い た バ リ ア フ リ ー 度 の 評 価 ,そ れ に も と づ い た 物 理 的 負 担 度 の 少 な い 経 路 の 提 示 な ど ,手 動 車 い す 使 用 者 向 け の 経 路 探 索 だ け で な く ,様 々 な 分 野 で の 応 用 が 期 待 で き る .そ こ で , 重 回 帰 モ デ ル に よ る 各 分 析 項 目 の 推 定 精 度 を 検 証 す る 実 験 を 行 っ た .以 降 , 説 明 の た め に ,本 章 内 に お い て2.2.3項 お よ び2.2.4項 に て 述 べ た 実 験 に つ い て を「 測 定 実 験 」,本 節 で 述 べ る 推 定 精 度 の 検 証 実 験 を「 検 証 実 験 」と 呼 ぶ .

ま ず ,よ り 高 い 説 明 力 を 持 つ 回 帰 モ デ ル を 検 討 す る た め に ,測 定 実 験 で の 測 定 結 果 に つ い て ,傾 斜 角 度 と 重 量 の 積 を 交 互 作 用 項 と し て 投 入 し た ス テ ッ プ ワ イ ズ 法 に よ る 重 回 帰 分 析 を 行 っ た .回 帰 モ デ ル は ,AICの 値 が 最 小 と な っ た も の を 採 用 し た [58].交 互 作 用 項 を 投 入 す る に あ た り ,多 重 共 線 性 を 回 避 す る た め に 各 変 数 は 標 準 化 し た う え で 分 析 を 行 っ た .ス テ ッ プ ワ イ ズ 法 に よ る 重 回 帰 分 析 の 結 果 ,縦 断 勾 配 路 面 の 測 定 結 果 で は 距 離 平 均 仕 事 量 に つ い て , 横 断 勾 配 路 面 の 測 定 結 果 で は 平 均 駆 動 力 と 距 離 平 均 仕 事 量 に つ い て 交 互 作 用 項 を 投 入 し た 回 帰 モ デ ル が 最 小 のAIC値 と な っ た こ と か ら ,こ れ ら に つ い て は 交 互 作 用 項 を 用 い た 重 回 帰 モ デ ル を 採 用 し た .ま た ,重 回 帰 分 析 に お い て は 対 数 モ デ ル や 三 角 関 数 モ デ ル に よ る 分 析 も 行 っ た が ,大 き く 回 帰 モ デ ル の 説 明 力 が 上 が る こ と は な か っ た .そ の 他 の 目 的 変 数 に つ い て は 表2.6と 表2.7 に 示 す 重 回 帰 分 析 の 結 果 に も と づ く モ デ ル を 採 用 し た .重 回 帰 分 析 の 結 果 得 ら れ た 身 体 的 負 担 度 を 推 定 す る た め の 重 回 帰 式 を 式2.1か ら 式2.12に そ れ ぞ れ 示 す .式2.1か ら 式2.12に よ っ て ,測 定 路 面 の 傾 斜 角 度 と 重 量 か ら そ れ ぞ れ の 物 理 的 負 担 度 を 推 定 し ,実 測 値 と の 比 較 を 行 っ た .

DtAverage(Lslope)= 5.58θL+ 0.03W 11.61 (2.1) DtM aximum(Lslope)= 14.71θL+ 0.14W 49.52 (2.2) DtP erStroke(Lslope)= 11.30θL+ 0.09W 47.46 (2.3) P wP erStroke(Lslope)= 14.71θL+ 0.14W 21.70 (2.4) P wP erDistance(Lslope)=1.81θL+ 0.008W + 0.01θLW 3.38 (2.5) W orkRatio(Lslope)= 7.34θL+ 0.06W 35.32 (2.6) DtAverage(Cslope)=2.11θC + 0.0003W 0.004θCW 7.42 (2.7)

(31)

DtM aximum(Cslope)=0.03θC + 0.96W + 1.63 (2.8) DtP erStroke(Cslope)= 3.24θC + 0.10W 41.53 (2.9) P wP erStroke(Cslope)= 0.83θC + 0.02W 10.34 (2.10) P wP erDistance(Cslope)=1.12θC + 0.009W + 0.004θCW 3.03 (2.11) W orkRatio(Cslope)= 2.21θC + 0.05W 28.86 (2.12) た だ し ,DtAverage:平 均 駆 動 力 ,DtM aximum:最 大 駆 動 力 ,DtP erStroke:ス ト ロ ー ク 平 均 駆 動 力 ,P wP erStroke:距 離 平 均 仕 事 量 ,W orkRatio:仕 事 率 ,Lslope:縦 断 勾 配 路 面 ,Cslope:横 断 勾 配 路 面 ,θL:縦 断 傾 斜 角 度 [],θC:横 断 傾 斜 角 度[]

W:重 量( 体 重 + 手 動 車 い す 重 量 )[N]

表2.2に 示 す 縦 断 勾 配 路 面 と 表2.3に 示 す 横 断 勾 配 路 面 を ,そ れ ぞ れ5名 ,3 名 の 実 験 参 加 者 が 手 動 車 い す で 走 行 し た 際 の ハ ン ド リ ム 駆 動 力 と 車 輪 回 転 角 度 を 測 定 し た .表 2.9に 示 す5名 の 実 験 参 加 者 が 走 行 し た 路 面 と 体 重 ,年 齢 , 性 別 を 示 す .表2.9の 実 験 参 加 者FKに つ い て は ,表2.4中 の 実 験 参 加 者FK と 同 一 で あ る が 推 定 精 度 検 証 実 験 と の 間 に 体 重 の 増 減 が あ っ た た め ,検 証 実 験 時 点 で の 体 重 を 改 め て 示 し て い る .た だ し ,重 回 帰 式 に よ る 推 定 値 の 検 証 を よ り 広 い 範 囲 で 行 う 目 的 の た め に ,5kg刻 み で 重 量 が 変 化 す る よ う に 重 り を の せ て 測 定 を 行 っ た .表2.10に 各 実 験 参 加 者 が 手 動 車 い す で 走 行 す る と き の 重 り を 含 め た 重 量 と 走 行 し た 路 面 を 示 す .た だ し ,縦 断 勾 配 路 面 で の 測 定 は ,全 員 が 一 様 に4か 所 の 斜 面 を 表2.10に 示 し た 重 量 で の 測 定 を 行 え な か っ た た め ,縦 断 勾 配 路 面 に お け る 各 実 験 参 加 者 の 重 量 と 走 行 路 面 を 表2.11に 示 す .

表2.12と 表2.13に 検 証 実 験 に つ い て の 重 回 帰 分 析 の 結 果 を 示 す .縦 断 勾 配

表2.9実験参加者(検証実験)

実験参加者 体重[kg] 年齢[歳] 性別

F 59.5 29 男

K 79.5 24 男

N 68.0 31 男

O 69.9 22 男

M 44.5 24 男

(32)

表2.10走行時重量

実験参加者 重量[kg] 重量[kg] 重量[kg] 走行路面

F 60.0 65.0 縦断/横断

K 80.0 85.0 縦断/横断

N 70.0 75.0 80.0 縦断/横断

O 70.0 縦断

M 45.0 50.0 55.0 縦断

表2.11 走行時重量と走行路面(縦断勾配路面)

傾斜角度

0 2.1 2.7 5.8

F 60,65 65

K 80,85 80,85 80,85 80,85

N 70,75 70,75,80 70,75 70,75

O 70

M 45,50 45,50,55 45,50 45,50,55

単位:kg

路 面 の 測 定 結 果 で は ,距 離 平 均 仕 事 量 以 外 の 目 的 変 数 の 自 由 度 調 整 済 み 決 定 係 数 の 値 が 大 き く な る 結 果 と な っ た .最 大 駆 動 力 ,ス ト ロ ー ク 平 均 仕 事 量 , 仕 事 率 に つ い て は 目 的 変 数 に 対 す る 説 明 力 が 5%以 上 向 上 す る な ど ,測 定 実 験 の デ ー タ に よ る 重 回 帰 分 析 の 結 果 と こ と な る 結 果 と な っ た .横 断 勾 配 路 面 の 測 定 結 果 で は ,ス ト ロ ー ク 平 均 仕 事 量 以 外 の 目 的 変 数 の 自 由 度 調 整 済 み 決 定 係 数 の 値 が 大 き く な る 結 果 と な っ た .ま た ,距 離 平 均 仕 事 量 以 外 で 測 定 実 験 の デ ー タ に よ る 重 回 帰 分 析 の 結 果 と の 差 が 多 く み ら れ た .縦 断 勾 配 路 面 と 横 断 勾 配 路 面 と も に ,距 離 平 均 仕 事 量 に つ い て は 測 定 実 験 と 検 証 実 験 の 重 回 帰 分 析 の 結 果 に 大 き な 違 い が み ら れ な い .2回 の 測 定 で 大 き な 差 が 生 じ た も の に つ い て は ,個 人 差 が 生 じ た 可 能 性 が 考 え ら れ る .

つ ぎ に ,式2.1か ら 式2.12の 重 回 帰 式 に よ っ て ,平 均 駆 動 力 ,最 大 駆 動 力 ,ス ト ロ ー ク 平 均 駆 動 力 ,ス ト ロ ー ク 平 均 仕 事 量 ,距 離 平 均 仕 事 量 ,仕 事 率 を そ れ ぞ れ 推 定 し 実 測 値 と 比 較 し た .縦 断 勾 配 路 面 と 横 断 勾 配 路 面 の 測 定 結 果 に

参照

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