三浦半島 鷹取山周辺の層序ならびに地質構造
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(2) 64. 江. 藤. 哲. 人. 一方,鷹取山の西方,京浜急行逗子線神武寺駅周辺に分布する,複軌こ撹乱した地層 の性質や地質構造についてほ不明であった。従来,その撹乱した地層は池子層内の異常 堆積によるものと一般にみなされていたが,そのような解釈では説明されないいくたの 問題が含まれていた。. 1966年頃より行なわれた鷹取山近辺の宅地造成工事によって露われた多くの新露頭 を調査した結果,多くの新事実が明らかになった。本稿では逗子層・池子層・浦郷層の 層序関係,泡子層の層相変化および地質構造などがはぼ明らかになったので報告する。 調査は京浜急行逗子線以東の池子層を中心に行なった。使用地形図は逗子市および横須 賀市発行の1万分の1地形図である。. 本研究をまとめるに際し,前横浜国大教授の高橋正五先生に終始御指導と御激励を賜 り,かつ草稿を読んで戴いた。本学の見上敬三教授,小池敏夫助教授には適切な御指導 と御援助を戴いた。尾崎公彦氏ほ野外で討論して下さった。ここに記して深謝の意を表 わす。 ⅠⅠ.層. 序. と. 岩. 相. 三浦半島北部地域の地質層序表を第1表に示した。ここでは逗子層,池チ層,浦郷層 の順で記載するが,主として池子層について述べる。 1.逗子層. 木屑は葉山層群を不整合に被い,池子層に整合に被われる。本層の基底磯岩層ほ田越 川砂疎岩層(層厚30m以内)と称され(奈須, 1950。赤嶺他, 1956),三浦半島北部域 でほ逗子市および横須賀市にかけて分布する。 本層は主に育灰色-灰色のシルト岩,または浮石質シルト岩からなり,黄褐色・暗灰 色の未凝固な細粒-中粒の砂層をほさむ。また,白色の浮石凝灰岩を挟在する。一般に, シルト岩の厚さが数10cmの場合には砂層が数cm,また前者が数mの場合には後者が 数10cmの割合であることが多い。砂層にほ稀に1mを越すものもあり,概ね平行薬理 が存在する。 田越川砂裸岩層以外には,全般的に軟体動物化石の産出ほ乏しい。しかし,シルト岩 第1表. 三浦半島北部層序表. 紫1. :深沢凝灰貿粗粒砂岩層. ※2. :浦卿含貝殻凝灰質砂磯岩層. 洪:洪稜世. 第2表. 地子層の層序表.
(3) yokobQ帽Q. q. Tokye BQy. MJ.Ur色も Fbninsulq. 冒. 1km. 第1囲三浦半島の敵城辺の地質困 (館釦素読入のものは18耶o逗子層の内,渡r=go鰍頒常闇層渦子火砕岩蔑屠の札火山軸灰岩をⅤ軌猷質雛砂岩を監怠で乱てある)e.
(4) 三浦半島. 鷹取山周辺の層序ならびに地質構造. 65. 中にMakiyama. chitaniiの産申されることは衆知の通りであり,小型有孔虫化石も量 的に少ないが産出される。 2.池子屑 〔植田, 1930,. 1933〕. 〔模式地〕:逗子市神武寺駅北方約1kmの京浜急行電鉄線路切. 割(赤嶺・他, 1956). 〔関係〕:逗子層を整合に被い,浦郷層に一部不整合に被われる。 木屑ほ垂直・側万両面の岩相変化が激しいが,第2表に示したように,火砕岩層と凝灰 質シルト岩・火砕岩互層の二部層に区分することができる。 〔分布〕:逗子市池子から鷹 取山周辺,および横須賀市追浜町一帯にかけて東西に分布する。このほか,本域外にも, 池子弾薬庫地域から西方へ鎌倉市まで連続的に分布している。 〔層厚〕: 150-370m. 〔岩相〕:火砕岩(凍死質粗粒砂岩と火山磯凝灰岩)および凝灰質シルト岩と火砕岩との 互層からなる。. i)火砕岩層 〔模式地〕:鷹取山の山頂(141.5m)周辺.. 〔関係〕:逗子層を整合に被い*,凝灰質シ. ルト岩・火砕岩互層のほぼ上半部に整合に被われ,下半部へ側方的に移化する(第2図)0 奈須(1950)の「池子火砕岩+に相当する(談話)0 〔分布〕:京浜急行神武寺駅付近から 〔層厚〕:40-loom. アザリ-団地周辺,その東方の鷹取山一帯にかけて分布する。 〔岩相〕:おもに黄褐色の凝灰質粗粒砂岩と火山裸凝灰岩からなる。両者ほ,しばしば 混じり合う部分がみられ,指交関係にある。. 凝灰質粗粒砂岩ほ,ところによって凝灰質細粒砂岩の薄層を挟み,厚さ数10cⅡ1単位 の互層状をなす。その場合,クロスラミナや級化構造が発達していることがある。これ らは神武寺駅前の須賀神社の崖やアザリ-団地西経部の切割によく露出している。 火山硬凝灰岩ほ通常,あずき大のスコリア,浮石からなり,ところによってほ2-5. cm大のスコリアを含む。神武寺から模式地の鷹取山にかけての尾根道に,よく露出し, 親不知付近でほ淡黄緑色を呈している。. 模式地の鷹取山山頂(141.5m)の採石場跡の断崖でほ,. 1-3cm大のスコリア,浮石. および泥岩片を多量に含む火山磯凝灰岩と,凝択質粗粒砂岩とが互層状をなしている。 この場合,前者が優勢で後者ほ10cm内外の厚さである。また,頂上でほ浮石質シルト 岩(上部の互層の一部)が,これらの火砕岩層を整合に被っているのがみられる(第4図)0 本層はアザリ-団地周辺でほ,後述のように逗子層と断層関係にある為に不規則な分 布となっているが,本来は凸レンズ状の分布形態であったと考えられる。 & KANE本層の凝灰質粗粒砂岩中にほ, Akebiconcha (OINOMIKADO nipponica HARA)を多産するところが数ケ所ある外は,ほとんど化石を産しない。それらについ ては,鹿間・増島(1969)等の古生物学的研究がある。 ii)凝灰質シルト岩・火砕岩互層 〔関係〕:逗子層および池子・火砕 〔模式地〕:赤嶺・他(1956)のそれに同じ(既述)0 岩層を整合に被い**,滴郷層に一部不整合に被われる。奈須(1950)の「池子凝灰質砂 *両者の関係ほ神武寺駅南東約800 mの神武寺随道北口上方の連続露頭(第7図),神武寺南西 約200mの山道の切割,鷹取山頂上から南々西300mの山あいの切割,および同頂上から南々東 370mの尾根道上の露頭などでみられる。. **火砕岩層の分布を欠く地域では池子層の凝灰質シルト岩・火砕岩互層が逗子層を被う。その 場合,両層はよく似た岩相を示しながら漸移する.しかし,池子層はシルト岩が次第にスコリア質 となり,それに挟在するものは凝灰質租粒砂岩や凝灰岩類などの火砕質岩が卓越し,ほとんど砂層 を挟まない。両層の漸移関係は横須賀市追浜町・船越町間の浦郷随道上,その東方の谷あい,およ び,関東自動車工業K.i.船越作業所構内の連続露頭によくみられる。.
(5) 66. 江. 藤. 人. 哲. ∈. t< 媒. ,qS糊定 言百恵墾. JJ. 王将 ⊥. +1 ヽ\. ,) すイ. i1 やづ. 和 食 塩. の. CQ ト. 巧. 童璽撃 悪霊曇憲 兵孟宗警. 竃 高二二亘頂恩二二霞二二皿:_-皿二_L二 2臥 LL7. 毘二二茸 Ⅲ-. 圧旺取_ .(〕. ∼. ⊂J. .⊂). ←J. l. I. # 湘. ∈. l. ∩つ. ⊂) ⊂). _f⊃ r∴. ⊥. \. 「Ill. ト・---→. .ユ 、\. 臥「…包 二軒耶-. iL.. ∋ 乾挙. 琵筈警昌. 巨】. ∼. ロ. Eju. 餌 盤 #. f 芳三. ,>. 囲 値 壷 寅. 占 =kI. tg 田 瑠朋二二皿二恥 せ 堪 =. /. 刀+. 医. 症 <. 勺*q勺メ. 勺. 勺勺勺勺 q勺3'd勺. <. \. \. 、. /. \. \__. \\. ー-、. 1:.:I:・珊LO. →窒_L. \. \. ロコ. GF/. 園- [ヨI. 't. 10. 秦///ぎ. ・<. .1. /. I:_. :(:I. 1i: 之∼∼l ?∼J (?∼. T了了1 1 1T(1K. L⊥山【. _. ド u. +. ∂qLLI∂H. Jo7}qDT諾ー叶. s⊃!lSDlつ0)id. uo!ll〕uJO+. ==\. サイ. rTT1 ̄ー. T-. 鍵 R'. てコ ∼. cll'.T三言王 A. @ #. #. TT:.1:. I. --. l. Ⅲmu. .∫. .D ”. /. TTl1. <. 鯨L; 王将 食. D3. =. ロ/. 王. /. \. :.. ・'?i? 輔享_ ̄≡_. 酢軒. N. #. 058司Ⅰ. 1鮎. 蘇 T(髄 宙の n吊a'雷撃. ⊂プ. 磨 *. 毒警蔓. 王帖 ++. -∼ ヽ. ヽ i. 蛋 i. 三伯.5e専品 岬. 貿.
(6) 三浦半島. 67. 鷹取山周辺の層序ならびに地質構造. 辛 .J. I-イ ■ll-1■. 白. 也. I. J. _J ∽. uTi. tS. ■l■・■●. ∈ ]q. &・. 醐圭一. 津皆野瀦. ▼ ̄. I + ”). 】 ). E. ぜ尉蔓 ・LD;然!p(叶d. I _..∫ ∽. =㌔. ∼ ㌔ ㌔. J. J. I. u) \l. I. \. -. llllllll●. >. , 常.. id. _-也 bq. ・ J?:. T _.J A. ∼ ■・・■l. -”;ゼ('耕巾要. ui. l. く. 1DLLfL<鮒pb聖書. 1Ⅱ. \1. 涛、. 1こ管せ帯. 憶. E( 蛋 i. 与1:iLt:;1・t::t. し∩. OJB. (. ヽ. ). ∧\. 悪 書書聖. 葉器藍藍璽 ⊂つ. a. 非(何 魯湘和. 書襲撃 匿. )つ. 堅. ′へ. 医 層. 蘇. (凸. N. -. _EhHChJ. a. a.
(7) 68. 江. 藤. 哲. {.b. 人. yI fl(. t. ■. Jレ. \. A. \ ■ ○. \. \',・. ●. \ D. l>. s巨 第4図. ll[,. \. A. 久. 一ヽ. \. \. I3m'て ̄二b 。. NW. 鷹取山山頂における池子層の火砕岩層と凝灰質シルト岩・火砕岩互層の関係. 岩+に相当すると考えられ(談話),赤嶺・他(1956)の指定した模式地の岩相をもつ地 層に相当する。 〔分布〕:本域でほ,逗子高校付近から下部層に沿って分布し,横須賀市 追浜町一帯まで東西に長く分布する。本域外でほ鎌倉市,藤沢市江の島まで延長してい る。 〔層厚〕:270m (最大)0 〔岩相〕:黄灰色-灰色の凝灰質シルト岩と火砕岩(凝灰質粗粒砂岩,粗粒凝灰岩,火 山疎凝灰岩)との互層よりなる。火砕岩層の分布域では,本層の基底部に浮石質シルト 岩の優勢な互層(10m以内)が識別される.それ以外でほ,一般に凝灰質シルト岩は砂 粒大のスコリアを含み暗灰色を呈する。 互層の規模ほ,本層のほぼ下半部では凝灰質シルト岩が厚さ数10cm-1, 2mで,火 砕岩が数cm-数10cmとなり,前者が優勢である。しかし,上部では厚さ50cmを越 すシルト岩は殆んど無くなるのに反し,火砕岩が厚さ数10cm-1m前後と卓越する。 3.浦郷層. 〔植田, 1933〕・ 〔模式地〕:横須賀市湘南鷹取団地西縁切通し。 〔関係〕:拍子層を一 部不整合に被い(後述),野島層に漸移する。本層ほ深沢層に側方に移化する(赤嶺・他, 1956)。 〔分布〕:逗子市六浦随道南口付近から東へ,横須賀市鷹取町一帯,および追浜 東町一帯に分布する。 〔層厚〕:0-220m。 〔岩相〕:おもに固結度の庇い褐色-暗褐色 の凝灰質砂からなり,厚さ数10cmの凝灰質シルト岩,まれに凝灰岩を挟む。しばしば 浮石やスコリアの火山磯が混じり,ところによって貝殻破片を多量に含む。また,シル ト岩の大-巨角疎からなる疎層をレンズ状に挟み,これらほ少なくとも三層準にわたっ て認められる(第2図)0 ⅠⅠⅠ.池子層と浦郷層の関係. 池子層と浦郷層の境界は房総半島の黒滝不整合に対比されることは衆知の通りである。 三浦半島における両層の関係については,従来より整合説〔渡辺(1925),植田(1930, 33),大塚(1937),小池(1951),赤嶺・他(1956)等〕と不整合説〔青木(1964),生越 (1967)等〕がある。整合説のうち,赤嶺・他(同上)は「陸上侵食をともなったふつう の不整合でない+としている。. 本域の調査の結果,下記の事実が認められる。 1)池子層が明らかに侵食された現象を示すいくつかの露頭が存在する(①六浦随道 南口から30mの地点, ②逗子清掃センター裏の切割, ⑨鷹取山山頂から北方約250m の切割など)0 2)侵食面の直上の浦郷層中にほ,下位の地層に由来する凝灰質シルト岩の大-巨傑 が含まれる(⑧, ⑧の露頭など)。このほか量的に少ないが,中・古生層に由来すると.
(8) 三浦半島. 鷹取山周辺の層序ならびに地質構造. ,21ら. h. t(. i. 69. ㌔(. ∼. lし. }′. LIL'. s. Lし. .‡. ′. >. N. ヽ. '!./1I^16,:・・し/,/〟左. 貰こ≡さ \. ‖. I.. f2. j,:,h'/,. ;/IrI r///1/'・4・/ I rtル「v7/Lt//7'・ ・/[L,ル′ !t(//[i//,/(r//+]1(,/. /L//. I(//.リ/(:/A. ′!/. ”([r 1.′.,, i(,,. くこ\ こで. .. /. 1)(/;//'川/∴,/, dI.L-,// ltlj,I, .1/1y・. -:\--ミ 地子層(凝灰質シルト岩・火砕岩互層)にアバットする浦郷層(凝択質 \. 第5園. 粗粒砂にシルト岩の大磯を含む)鷹取山山頂より北方約250mの切割. みなされる珪岩の円磯(中磯)も含まれる(②の露頭)0 3) ⑨の露頭でほ,池子層の凝灰質シルト岩・火砕岩互層の侵食面に沿って,浦郷層 の含裸凍灰質粗粒砂岩がアバットしている(第5図)0 以上の事実ほ泡子層と浦郷層が不整合関係であることを示す。六浦隆道付近から横須. 賀市追浜南町付近の間でほ,浦郷層の分布形態ほ池子層′に大きく切りこんだ形態を示し ており,拍子層の侵食量(層厚)ほ少なくとも約100mと算定される(等2図)0 このように不整合が認められる地域でも,両眉間にほ大きな構造差異は認められず, 平行不整合か,上述のように局部的なアバット形式の不整合である。. 一方,調査地城東部の追浜南町以東でほ両層の関係は明瞭でない。また,本地域外の 鎌倉市でほ両者の鄭こシルト岩で構成される疎層(厚さ約2m)がみられるところがあ り,両層は全般的に平行不整合の関係,一部に傾斜不整合の関係が認められる。これに. ついての詳細ほさらに検討し,次の機会に述べる予定である。 以上を全般的に考慮して両層の関係をここでは一応,一部不整合としておくが,両層 の競界の諸性質ほ房総半島における黒滝不整合のそれ(房総団体研究グループ, 1964) とよく似ており,極めて興味深い。今後さらに広く調査することによりこの不整合の性 質を検討したいo IV.地. 質. 構. 造. 本地域の地質の一般走向ほ,逗子層から野島層を通じて,西北西一束南東またほ北西 -南東方向で北東に傾斜する.それらの傾斜値は逗子層でほ30o-20oである.池子層 もほぼ同様な値を示すが,一部で10o前後の緩い傾斜を示す。浦郷層は15o前後,野島 層でほ15o-10o以下の傾斜値であることが多い。一般に上位の地層ほど緩傾斜となっ ている。. 逗子層,池子層の分布域のうち,神武寺駅からアザリ-団地周辺および逗子中学校周 辺ては,両層は断層による複薙な地質構造を示し,ブロック状に不規則に分布する。ま た,逗子層中にほ異常堆積層が認められる。以下,これらについて述べる。 1.異常堆積. アザリ-団地南綾部の丘陵の切割(神武寺駅の南東方600m)には,逗子層の異常堆 積層が分布する(第6図)。その異常堆積層は下位の正常な逗子層から明瞭な競をもって 露われ,上位の池子火砕岩部層によって,一見"アバット”するように被われる(第7 図)。異常堆積層のみかけの層厚は35-60mにおよび,東西に約300mにわたって分 布する.このような異常堆積層はこの地域で局部的に発達するだけであり,三浦半島全.
(9) 70. 藤. 江. 哲. 人. ′ JA. r. \、.//. / /. /. /. /. NE. //. ∼// //. ヾ軸. ノ. 逗子層(最上部層準)の異常堆積層. [㍗ メ. _/-/sw ●. ニプニク歩. /. 第6図. /. 「11. \l川)i/. メ. し-\__. 一_I-一. E・. 第7図. d#. ー. 虎≡ミも. 貨孟. 一. :i宅 r. ♂声ク. ㍗. +._ー. 逗子層(異常堆積層)と泡子層(火砕岩層)の境界. 体を通じてもこの規模のものは今のところ知られていない。 これは三梨・垣見(1964)の「深層地すべり型+の異常堆積にあたると考えられる。 この異常堆積層の形成時期は逗子層堆積末期と考えられる。 2.断. 層. 本城の南西部の神武寺駅付近,アザリ-団地周辺および鷹取山周辺では,断層の発達 が著しく,逗子・池子両層は細くブロック化した地質構造を呈する。一方,浦郷層およ び野島層の分布する中北部にほ大きな断層は認められない。南西部に発達する断層の相 互関係や運動の性質などについてほ,まだ充分な資料が蓄積していないが大まかに次の ことがいえる。. 顕著な断層は南北性,北東一南西および東西性の三つの方向性のものに分けられる。 これらのほとんどが急角度の断層面をもつ。 アザリエ団地周辺にみられる南北性断層(第8,. 9図)と神武寺駅近辺に発達する北東. 一南西方向の断層(第10図)ほ,逗子・池子両層の本来の鏡界位置から考えて,相対的 に逗子層のつきあげによって生じたとみなされる。その垂直移動量はかなり大きく,逗 子中学校周辺で約250mの落差が算定される。 一方,アザリ-団地付近から東西に走る断層ほ,上述の断層に伴って生じた正断層と みなされる。これはかなりの距離にわたって連続性をもつとみなされるが,その水平お よび垂直方向への転移量はいずれも数10m程度と考えられる。 断層面の形態は不規則で,断層面またほ破砕帯に沿って両者の岩片がとりこまれてい るが,それらは完全に固結している(第8-11図)。その形態からこれらの断層は地層の 固結がすすんでいない時期に形成されたことが考えられる。.
(10) 71. 贋取山周辺の層序ならびに地質構造. 三浦半島. rヽl. 、榊/. \洲伽/ ”(I.′即′. 1//i/,\J/(//,/; ■■ ̄ヽ. -. ー. k#. --_I-. iy高言-左 ”id[/hi,. Ⅰ2m 第8図. A. a. ■ー. 、ミl柵/,I(. W. 逗子中学校校庭南側の逗子層と泡子火砕岩層の関係. 逗子層は右手の凍灰質粗粒砂岩と断層で接し,上部のものにアバット状に被われる. :・E. ÷、 \. q(. \. //. し「二/',I/I. \ \. \. \ \、 \. ・.I.. ・-L・#. 態‡. b. -.0.. t・i. C. 栄. e). \. +. /. C▲. \-二こ. ?.1十. J. ○. *. .一2m. .'. 第9図. 逗子層と池子火砕岩層間の南北性の断層帯(須賀神社の真東約650m この露頭は現在みられない) b‥凝灰質粗粒砂岩 b-d:池子火砕岩層 a‥シルト岩(逗子層). c:火山磯湿りの凝灰質粗粒砂岩. d:. cの岩質にシルト岩の大-巨角疎を含む. SE ゝノ i. =. ン/. ど. lh;・. β〝. ((紘/,/4'. \ 第10図. ・t㌔. 1m L__J. 神武寺駅前の須賀神社下の逗子層(左方)と池子火砕岩層との断層露頭 山⊥+山ユ⊥..ユ山+. \いl/\ゞ. l2m. A. き蛍. 1L/帆. ”// tl. ll. /YI/ I/. i. \. /∫/. ど/i N. 第11図. 逗子層と池子火砕岩層との断層露頭(神武寺駅南々東280m). [り/.
(11) 72. 江. 藤. 哲. 人. 以上の事実と上述のような断層ほ浦郷層,野島層にほほとんどみられないことから, 本城の逗子・池子両層間に発達する主要な断層群ほ池子層堆積後,浦郷層堆積以前に形 成された可能性が強い.また,これらの断層は浦郷層堆積以前の陸化に伴い生じた可能 性が考えられるが,それについてはここで結論づけることほ避仇米軍拍子弾薬庫地域 や鎌倉市などの広範な調査・研究後にまちたい. Ⅴ.結. 論. 1)本地域には下から,新第三系の逗子鳳池子層,滞郷層,野島層が分布する。逗 子層・池子層および浦郷層・野島層の関係ほそれぞれに整合であり,このことほ従来の 研究結果と変わらない。 2)池子層と浦郷層ほ顕著な侵食面を伴う平行不整合関係にある。胞子層の侵食量は 場所により'大きく変わる.最も侵食量の大きいのは鷹取山北方付近で,ここほ六浦随道 付近に比較して約100mの侵食量の差が算定される。ただし,本域東部の追浜南町以東 の地域では,両者が不整合関係であるとする判断が困難であり,また,池子層の侵食量 は相対的に小さい。. 3)拍子層は火砕岩部層と凝灰質シルト岩・火砕岩互層の2部層に区分される。前者 は後者のほぼ下半部に側方的に指交するとみなされる。 4)逗子層の最上部層準にほ,かなり大規模な異常堆積層が局部的に存在し,池チ火 砕岩部層に"アバット‥状に被われる。この異常堆積層の形成時期ほ逗子層堆積末期 と考えられる。. 5)逗子層,池子層ほ本城の南西部でほ断層関係でブロック状に不規則に分布する。 それらの断層には転移量のかなり大規模なものが認められる。 6)それらの断層の性質ほ,両層がまだ末固結状態のときに生じた運動により形成さ れたことを示唆する。. 7)これらの断層は浦郷層堆積前の陸化に伴う運動により形成された可能性が考えら れる。. 今後の問題として,池子・浦郷層間の不整合の性質や,逗子・池子層間の断層運動の 性質時期についてさらに広範な調査を行ない検討したい。 参. 考. 文. 献. 30, p. 1-8. 赤嶺秀雄・他(1956),三浦半島の三浦層群について.地球科学, no. 青木直昭(1964),房総・三浦両半島の鮮新世-更新世の地層の対比・石油技術協会誌, no.. 3,. 29,. γol.. p. 8-13.. 房総団体研究グループ(1964),黒滝不整合における削剥量とその意義・地質賂vol.. 70,. no.. 812,. p.88-99.. 樋口 雄(1956),三浦半島北部の有孔虫化石群について・地質賂vol. 62, no. 蟹江康光(1967),三浦半島横須賀市佐島の地質,横須賀市博物館研究報告.自然科学,. 725,. p.. 49-60.. 13, p.. no.. 38-44.. 小池. 清(1951),いわゆる黒滝不整合について・地質雑, 667, vol. 57, no. (1955),いわゆる層間異常の地史的意義について.地質雑, vo. 61, no. 24, p.ト18. (1957),南関東の地質構造発達史.地球科学, 三梨 昂 ・垣見俊弘(1964),いわゆる異常堆積について.地質ニュース, nO. 矢崎清貫(1968),日本油田・ガス田図6三浦半島.地質調査所. 奈須紀幸 (1950),堆積岩の粒度表京(三浦半島北部)〔演旨〕.地質絶vol. 310.. p. no.. 143-156. 723, p. 566-582.. 117, 56,. no.. 8-14.. p.. 656,. p. 309-.
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(13) 1 2 3. 4. 5.. 拍子層の火砕岩層を整合に被う凝灰質シルト岩・火砕岩互層(鷹取山山頂部) 逗子層(右側)と拍子火砕岩層との断層露頭(神武寺駅南々東280m) 逗子層と池子火砕岩層間の断層帯の撹乱部。南北性および東西性断層が重複する(神武寺駅東 南東絢800mのアザリ-団地南西縁) 逗子層の異常堆積層(神武寺駅南東約600 mのアザリ-団地南綾部) 異常堆積層(逗子層)杏"アバット”状に被う拍子火砕岩層(神武寺駅南東約800m).
(14) T.. ETO. Sec.. ⅠⅠ, Plate. 7.
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