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-r r r 心情を表す類義形容詞の歴史的研究

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Academic year: 2021

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心情を表す類義形容詞の歴史的研究

‑r うらやまし J r ねたし J r くちをし

j

を中心に一

教 科 ・ 領 域 教 育 専 攻 言 語 系 ( 国 語 ) コ ー ス

陳 腐

1  研究の目的と方法

本 研 究 は 、 日 本 人 理 解 を 目 指 し た 日 本 語研究の取り掛かりとして、日本人のも のの考え方の特徴を端的に表現している 心情形容詞のうち、 fう ら や ま し J

r

ね たし J

r

くちをじ)を中心に取り上げ、

そ れ ぞ れ の 語 の 意 味 の 特 徴 、 意 味 変 化 の 実態を明らかにすることを目的とする。

本論文は序と結のほか、「うらやまし

J

「ねたし

J r

くちをし

J

をそれぞれ第

1

、 2、 3章で、「そねむ」を付章で取り扱 い 、 上 代 か ら 中 世 に か け て の 文 学 作 品 に 使 用 さ れ た 例 を 抽 出 し 、 そ れ と 関 連 す る 動 詞 語 葉 や 形 容 動 詞 語 葉 、 名 詞 語 葉 な ど を も 考 慮 に 入 れ つ つ 、 各 語 の 意 味 や 歴 史 的 な 変 化 の 実 態 を 考 察 す る 。 な お 、 「 そ ねむj を 付 章 と す る の は 、 形 容 詞 「 そ ね まし」の用例数が極めて少ないことから、

十分な分析が行えなかったことによる。

2  論文の概要

1

章 『うらやまし』の意味

1

節 上代・中古において、「うら や ま し J は f自分より恵まれた状況にあ る相手〈対象)に接したときに生ずる、

恵 ま れ た 状 況 に あ る 相 手 ( 対 象 ) に あ こ が れ 、 そ の よ う に な り た い と 思 う よ う な 心 的 状 態j を表す。また、「うらやむj fうらやましげなり j に つ い て も 、 同 様 に解釈される。

2

節 中世において、「うらやましj

は中古と同様な意味で用いられていた。

指導教員 原 卓 志

3

節 fうらやまし

J

と fこころや ましj とは、同じ誇構成であるが、意味 が大きく異なる。今後、「こころやまし」

の意味分析を行い、「うらやまし J との 関 係 を 考 察 す る こ と を 通 し て 、 「 う ら や まし J の原義を明らかにすることを課題

とするo

2

章 『ねたしjの意味

1

節 上代・中古において、「ねた しj は、「相手の仕打ちゃ行為、あるい は、相手の優れた様子に対して、自分の 負 け ( 相 手 の 優 越 ) を 悟 っ た 時 の 痛 切 な 怒 り に 似 た 心 的 状 態 J という意味で用い られていた。さらに、平安時代中期頃(十 世 紀 は じ め ) か ら 、 「 自 分 自 身 の 失 敗 に よって、自らの負けを悟った時の痛切な 怒 り に 似 た 心 的 状 態

J

という意味でも用 いられるようになり、連体修飾語として、

平 安 中 期 末 か ら 平 安 後 期 初 頭 ( 十 世 紀 末 から十一世紀はじめ)には、「ねたし J と思われるくらい

f

素晴らしい」という 意味が加わった。

2

節 中世において、 fね た し J は 上 代 ・ 中 古 に お け る 意 味 を 受 け 継 い で 用 い ら れ る が 、 自 分 自 身 の 失 敗 に よ る 意 味 での用例や「素晴らしいj という意味で の用例が見られなくなる。その一方で、

相手の恵まれた状態に対して用いられ、

そ の よ う に な り た い と い う あ こ が れ の ニ ュアンスをもっ例が出現し始めるo ほか に、「ねたまし」の用例も見られるよう になる。それは fねたし」と同じような

P0  

(2)

意 味 で 用 い ら れ る 例 も あ り 、 ま た 現 代 語 fね た ま し し リ と 同 じ よ う な 意 味 で 用 い られる例もあるo

3

節 動 詞 「 ね た むjの 意 味 は 、 形 容 詞 「 ね た しJ

r

ね た ま しJ の 意 味 と も 密 接 な 関 係 に あ り 、 ま た 、 「 そ ね む 」 と の 関 係 を 考 察 す る 上 で も 必 要 に な る た め、今後は、中古・中世における動詞「ね たむJ の 意 味 を 解 明 す る と と も に 、 形 容 認 「 ね た し

J r

ね た ま しj と の 関 係 を 明 ら か に し た い 。 ま た 、 「 ね た し 」 が 「 ね たましJ に 代 替 さ れ る 理 由 も 今 後 に 残 さ れた大きな課題であるo

3

r

くちをしj の 意 味

1

節 中古において、「くちをしj

は f期 待 し て い た こ と が 、 い よ い よ 実 現 す る と い う や さ き に 、 予 想 外 の こ と に よ っ て 、 不 本 意 な 事 態 に な っ て し ま っ た 時 に 生 じ る 失 望 感 に 満 ち た 心 的 状 態jや、

「少しだけの不足によって不本意の様子 を し て い る も の に 接 し た 時 に 生 じ る 失 望 感 に 満 ち た 心 的 状 態 」 を 表 す 。 ま た 、 場 合 に よ っ て 、 主 体 に そ の よ う な 心 的 状 態 を 生 じ さ せ る よ う な も の の 状 態 を 表 す こ ともあるo ほ か に 、 連 体 修 飾 語 と し て 使 用 さ れ る 場 合 、 ほ と ん ど も の ご と の 状 態 を表す。

2

節 中 世 に 入 る と 、 「 く ち を しJ は、中古と同じ意味で用いられるほか、

自らの行為について f… し な け れ ば よ か った

J r 

...すればよかった

J

と い う 「 後 悔J の 思 い を 表 す 用 例 が 見 ら れ る よ う に なるo

3

節 「くちをしJ が連体修飾語と し て 使 用 さ れ る 場 合 の 意 味 分 析 に 関 し て は 、 な お 課 題 が 残 さ れ て い る よ う に 恩 わ れる。今後は、「くちをしJ 以 外 の 形 容 詞 に つ い て も そ の 意 味 分 析 を 行 い 、 検 証

を重ねていく必要がある。

「くちをしJの語源は、「朽ち+をし J とも「口十をしJ とも説かれているが、

そ の ど ち ら の 説 が 妥 当 で あ る の か に つ い ても今後検討する必要があろう。その際、

f朽 ち

J r

J

の 意 味 だ け で な く 、 「 を しjの 意 味 に つ い て も 様 々 な 用 例 か ら の 検 討が 必要 であ るo

付 章 『そねむ』の意味

1

節 中古において、「そねむj は

「相手を不快なものとして嫌悪するj こ とを表す。

2

節 中世に入ると、「そねむJ は 中 古 と 同 じ 意 味 で 用 い ら れ る ほ か 、 「 恵 ま れ た 相 手 を 不 快 な も の と し て 嫌 悪 す るj と い う 意 味 で 用 い ら れ る よ う に な っ た 白 ま た 、 「 そ ね ま し 」 に つ い て 、 「 恵 ま れ た 相 手 を 不 快 な も の と し て 嫌 悪 す るj という「そねむJ の 形 容 詞 化 し た も のであると解釈される。

3  まとめと今後の課題

今回の研究では、時間的な制約から、

近 世 以 降 に つ い て の 検 討 ・ 考 察 が で き な か っ た 。 上 代 ・ 中 古 ・ 中 世 に お け る 調 査 文 献 も 、 十 分 と は 言 え な い 。 今 後 、 各 時 代 に お け る 、 よ り 多 く の 使 用 例 の 収 集 と 分 析 を 行 い 、 今 回 の 考 察 の 検 証 に 努 め た い 。 ま た 、 本 研 究 で 取 り 上 げ た 四 語 と 意 味的に近似する「やましJ

r

い ま い ま しJ な ど の 形 容 詞 に つ い て も 考 察 を 行 い 、 こ れ ら の 形 容 詞 の 相 互 関 係 を 明 ら か に し た い 。 さ ら に 、 本 研 究 で 分 析 し た 「 う ら や まし

J r

ね た し

J r

くちをし

J r

そねまし」

が 表 す 心 的 状 態 を 中 国 語 で は ど の よ う に 表 現 す る の か な ど 、 日 中 対 照 研 究 も 課 題

としたい。

t4 つω

参照

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