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長 島 真 人

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Academic year: 2021

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小学校低学年の子どもたちの生きるカをゆさぶる音楽劇の 教材としての価値内容とその指導訟に関する研究

一他者との出会いと分かち合いを促す音楽授業の構想を視点として一

教科・領域教育専攻 芸術系(音楽)コース 久 保 雅 子 はじめに

学校は本来、人と人がかかわり合いながら学 び、育ち合うことを基本としている。しかし、

今、小学校低学年では、「学級崩壊Jいわゆる「小 学一年生による集団未形成現象jが起こり、授 業が成立しなかったり、子どもたちが、教師や 友達との人間関係を築くことが困難になってい たりして、人間関係の希薄化が進んでいる。ま た、極めて自己中心的で、、コミュニケーション から逃避をする子どもも少なくない状況にある。

このような今日的状況に基づいて、学校教育に おいて耕オとして扱われる音楽劇を捉えなおす と、音楽劇は感情の世界を分かち合うコミュニ ケーションの一手段となり、子どもたち相互と 教師とを結ひ'つけ、子どもたちが相手を意識し、

思い合う学習になる可能性が期待される。それ ゆえに、小学校低学年の子どもたちの特性と課 題を基に、低学年の子どもたちが、コミュニケ ーション能力を向上させるための教材として、

音楽劇を取り入れた音楽授業を構想し、指導の あり方を検討する必要性を感じている。

そこで、本研究では、小学校低学年の子ども たちの生きるカをゆさぶる音楽劇を教材とした 授業構想をおこない、具体的な実践を通して、

音楽劇の教材としての価値内容と指導方法を検 討することを目的とする。

上演劇の本質と人間生活における意義 音楽劇は演劇の中に含まれ、音楽を核にした

指導教官 長 島 真 人

演劇のことである。音楽劇の本質を明らかにす るために、演劇の本質を考察した。演劇は、人 が集団で生活を営み始めたときから、人が生き るということに深くかかわったものであり、演 ずること自体に意味があるもので、あったoやが て、演劇は、娯楽の対象となり、舞台総合芸術 に発展し、人聞が生きるということの意味を追 求しようとするギリシャ劇として発展した。さ

らに,アリストテレスの芸術論によると,演劇

l

は、ミメーシス=再現であり、人間の再現する 本能に根ざし、リズム、ことば、音曲の三つの 媒体を用いて、人間の精神的なイメージを、身 体を用いて表現する芸術であった。それゆえ、

人の心と心を結び、生の実感を味わわせ、人間 の生き方について知ることができる芸術でもあ った。

H .

学校教育における音楽劇の教材としての価 値と指導法

小学校低学年の子どもたちにとって、人間形 成を担う教材として捉えなおされる音楽劇は、

虚構の世界で、想像を自由に実現させていくこ とによって、楽しさを実感することができるも のである。また、音楽劇は、その中核となる音 楽によって、自分の周りや自分自身を深くみつ めるカを育むことができる。さらに、音楽劇は、

子どもたちが、他者に関心をもち、身体を通し て他者を理解していくことが可能となるもので ある。つまり、子どもたちが、自分をみつめな

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おし、自己の内面に気づき、他者に関心を持つ ことを可能にする音楽劇は、小学一年生の発達 課題である子どもたちの脱中心化を促し、コミ ュニケーション能力を育成することができる。

そこで、音楽授業における音楽劇の学習指導の あり方を明らかにするためには、教師は、教材 の構造的編成を試みる必要がある。また、子ど もたちがともに学ぶ他者を意識し、他者と分か ち合わざるを得ない場を設定する学習指導上の 工夫が必要である。

m .

音楽劇を取り入れた音楽授業の構想 授業構想に先立って、学習者の生活の状況を 把握し、音楽授業構想に向けての課題を確認し た。その結果、学習者となる子どもたちは、人 とのかかわりが少なく 極めて自己中心的な子 どもたちの集団であり、人やものに主体的に働 きかけたり働きかけられたりする経験が不足し ていることが明らかになったo そこで、それら の現状をふまえながら、解決の方法として、音 楽劇によって、学習者どうしの分かち合いが起 こるような楽しく充実した体験をさせることと し、音楽劇の学習指導において、教師は、教材 の選定や教授方略の工夫、子どもたち一人一人 への臨機な対応への工夫を検討した。また、子 どもたちの意識がともに学ぶ他者へ促されるよ うに、音楽に対する目標と、人に対する目標を 設定した。さらに、指導者と子どもたちとのか かわりを密接にし、学習指導を円滑にするため に、T Tによる学習指導をおこなうことにした。

教材解釈は、子どもたちと教材となる楽曲に関 する情報から、学習内容を限定した。そして、

音楽のゲ、ンュタルト知覚を促す「図がらJと、 共通感覚の働きを促す「二次的刺激jを選定し、

配列し、音楽のイメージの分節化の構想、図を作 成した。そして、これに基づいて、学習指導過

程を立案し、ワークシートを工夫した。

lV.音楽劇『おむすびころりんJの実践と考察 授業構想に基づいて実践授業をおこない、授 業記録を分析、検討した。その結果、子どもた ちが、音楽劇を通して、音楽を探究することと、

他者とかかわり、分かち合い、楽しく充実した 体験をすることによって、自己をみつめ、自分 の周りを知り、ともに学ぶ他者を意識し、他者 に関心を持つことが可能になることが確認され た。つまり、教師が、学習理論に基づいて、教 材を選定し、教授方略の工夫を入念におこない、

子どもたちの発達の特性と学習習熟状況を把握 し、子どもたち一人一人に対応した学習指導過 程を展開することによって、子どもたちが、他 者とかかわり、分かち合っていこうとする意欲 と態度を育んでいくことが明らかになったo ま た、教授方略が十分に検討されることによって、

実際の授業場面では、教授方術が臨機に発揮さ れることになる。教師が子どもたちの状況を的 確に捉え、その状況に臨機に対応した技、すな わち、望ましい教授方術を臨機に発揮すること が重要であることを確認、することができた。

おわりに

本研究を通して、小学校低学年の子どもたち の生きる力をゆさぶる音楽劇の有効性が明らか になった。しかし、なお一層、子どもたちが自 己の内面に気づいて、自分の周りを深くみつめ る力をつけ、他者に関心をもつことを促すため には、教師は、望ましい教授方術を臨機に発揮 させる能力、すなわち望ましい「教育的タクトJ を身につけることが課題となる。今後、本研究 によって得た知見を実践の場において生かすと

ともに、望ましい「教育的タクト」の形成をめ ざして向上させていくことが課題となる。

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参照

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