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橋面での融雪・凍結抑制システムの開発

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Academic year: 2021

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橋面での融雪・凍結抑制システムの開発

著者 宮本 重信, 竹内 正紀, 長谷川 義則, 藤野間 幸英

雑誌名 福井大学地域環境研究教育センター研究紀要 「日

本海地域の自然と環境」

巻 9

ページ 45‑49

発行年 2002‑11‑01

URL http://hdl.handle.net/10098/7769

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福井大学地域環境研究教育センー研究紀要

「日本海地域の自然と環境」

No.9, 45-49, 2∞2

橋面での融雪・凍結抑制システムの開発

Development of Snow‑Melting / De‑Icing System on Bridges 

宮本重信(福井県雪対策・ 建設技術研究所)

竹内正紀

(福井大学工学部機械工学科)

長谷川 義則 (福井県道路建設課) 藤野間幸英

(福井県道路建設謀)

1  はじめに

熱容量の小さな橋面は,著しく凍結することから,し ばしば交通事故を招いている.鋼板 12mm に舗装8cmの鋼 床版橋は,鉄筋コンクリート床版 25cm ほどに舗装8cm と 比べて,熱容量が小さいために,温度変化が激しく非常 に凍結しやすい.地盤部や鉄筋コンクリート床版では積 もらない春先のわずかな降雪が鋼床版橋では氷膜となっ たことでの 1995年4月 3 日の国道 8 号線鯖江跨線橋での 14 台の玉突き事故は,その典型である.また, 2001 年 12月 25 日 6時から 8 時に福井警察署で路面凍結で20件の交通事 故が起こったが,その内の 11 件の事故が 4箇所の鋼床版 橋で発生している.

また,鉄筋コ ンクリート床版の橋面の凍結を散水して 溶かそうとしたところ,融雪した水がひきずられた区間 で路面が凍結し車が横転しての死亡例も県内で見られ

ψゾ雷JJa積 ;a熱蓄

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図-1 システム概念図

.

このような路面凍結に,道路管理者は融雪剤を散布して対応している.しかし,天気予報がは ずれたり,予期されない凍結が見られる. また,道路管理者は,コスト面からだけでなく,車や 橋梁を腐食させる融雪剤散布はできるだけ少なくしたいと考え,そのことが事故につながる.

こうしたことへの対応として無散水融雪がなされている. 鯖江市の JR を跨ぐ清水跨線橋(鋼 床版橋)では,結露凍結頻度が高くて,地下水散水の融雪装置だけでは安全性が確保できないと

して,凍結防止のために路面に電気ヒーター設置した. また,福井市花堂での跨線橋4000rrl では,

福井市は電気融雪を行い,これを路面の凍結抑制にも使用している.その建設費は約2億円で,年 間約 640 万円の電気代を支払っている.

OOC を対象にした融雪や凍結に,照明 ・ 制御・通信・高低温熱など何にでも使える電気を使う

キーワー ド:融雪, 凍結,地中熱,橋,杭

Shigenobu Miyamoto  Snow Management 

Construction Technology Research Center, Fukui Prefecture  Masanori Takeuchi  Department of Mechanical Engineering, Faculty of Engineering, Fukui University  Yoshinori Hぉegawa Road Construction Division Depar加lentof Public Works, Fukui Prefec知re

Yukihide Huiinoma  Fukui Prefectural Mikuni Public Works Office 

45

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宮本重信・竹 正紀 長谷川 義則・藤野間幸英

ことは,エネルギは同じでも大変な浪費であり,地球環 境保全から抑制されねばならない.

こう したを背景に,筆者らは,建物のコンクリー 基礎杭を熱交換器に兼用利用した駐車場や歩道の融雪シス テムを橋梁にも展開することとした. 地中の 6m以下の深い ところの温度は,地表面での日射,放射,対流,伝導など の熱収支で決まることから, 日本の緯度ではほぼ年平均気 温プラス1. 5"Cとなる.福井では 16"Cと雪国としてはかなり 高温の熱が得られる. しかも,福井は県都をはじめ坂井平 野などは構造物を支えるのには基礎杭を必要とすることが 多いことから,福井に相応しいシステムと考え開発実用化 を進めてきた.

ここでは,建設中のこのシステムの橋への展開を紹介す る.

2  システムの概要

本システムは,図-1に示すように,舗装に埋設された放 熱管の出口から流れ出た低温水は,杭の中のパイプを通

り,循環ポンプの水圧で杭底に運ばれる. 杭底で,パイプ から杭内面に出た水は,ゆっくりと杭頭部に流れる. その 聞に周囲の地中の熱を集熱し,水温は上昇する.暖かくな った水は,再び舗装の放熱管に流れ,雪を溶かす.このシ ステムでは,熱伝導が安山岩の 3倍の南条今庄産の珪石が 骨材として使われ,地中の低温熱でも路面の雪が溶けるよ

うになっている.また,低温熱でも溶けるように放熱管は 今回の車道では鋼繊維補強コンクリ ー トを用いて浅くに埋 設する.さらに,この融雪能力は,融雪の継続で変動する 問題を路面の積雪の有無を感知する積雪センサによる運転 制御で解決している.このシステムは,専用地中熱交換杭 を基礎杭で兼用することから,建設コストが安価で,電気 代は循環ポンプと制御だけの使用であることで実用的であ る.したがって,県立の音楽堂など県内 3 笛所で実用化さ れ,県立図書館と教育センターでは空調にも応用される施

写真・ l つばさ杭先端

写真-2 つばさ杭設置 工がなされている.なお,この基礎杭利用地中熱融雪システムは, 1990年から三谷セキサン闘と

(株)ホクコンと筆者らとの共同研究で開発されてきたものである.

3 杭の基礎としての設計と施工

本システムの導入では, 三国土木事務所が設計していた新清永橋(坂井町清永)を施工対象と して選び,設計と施工に至った.この橋台の基礎は, 当初,鋼管杭(杭径800mm) の中掘工法で設計 されていた.この中掘工法では,杭内面残土の排出と杭底からの漏水が問題となる.そこで,こ の問題が回避される杭底に 1015mmの切り込みプレー γ 翼 n を設けてねじ込み埋設する杭(つばさ 杭)を用いた(写真一 1 , 写真 2) .このつばさ杭で、は,曲げモーメントの大きな杭頭部から 7.

5m下まで、を 800mm,その下部の長さ 32m を 508mm とする拡頭杭とした.この杭では,杭底の下の土が 先端の切り込みから杭外周に出て,その土は杭外周の地盤になすりつけられ, 杭周囲の土の密度 が高く なる. したがって,この施工では廃土がでないし 無振動無騒音の施工となる.

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橋面での融雪・凍結抑制システムの開

写真 -3 杭底へのポリ管挿入

写真 -5 橋台底と側面の配管

写真 -4 パイルキャップと配管

4  杭部の集熱配管の設計と施工

杭の中へのポリ管の挿入は写真一 3 ,写真-4 のように行った.杭底の橋台躯体の中の配管は,

溶融亜鉛メッキ配管用鋼管を用いて,橋台躯体 の底面と側面壁のスペースに,橋台鉄筋工と出 会い丁場にならないようにして設置した.冷水 と温水の配管は接近しないように,写真 5 の ように,融雪舗装面からの冷水は,橋座上から 下流側の側面壁に沿わした鉛直鋼管でフーチン グ底に流し,そこで両外側に回して杭頭につなげる. 冷水は杭中のポリ管で杭底に送られる,杭 底でポリ管を出た冷水は杭内を集熱しながら杭頭へと流れる.その温水はフーチング底の中央部 を上流側の側面壁に向けて流し,側面壁の鉛直鋼管で橋座上に流すようにした.橋座上でパルプ、

を介してヘッダー管へとつなげて水を合、流させる.なお,杭底で水を合流させず橋座の上で合流 させたのは, 1 本の杭に水漏れが生じても,その杭だけを橋座上のバルブ、で締栓すれば,全体シス テムが破綻しないようにすることによる. さらに,このように上流と下流に水を循環させる配管 法によって,杭が平面的に上流下流のどの位置にあっても,同じ水量が流れるようにした.杭内 配管施工後と工事終了後には,コンプレッサーで圧縮空気を与えて,密閉性の確認を行っている.

本杭の設計は,中掘工法鋼管杭800mm として当初は設計されていて,これを杭の先端閉塞を確実

に得るため,つばさ杭に変更した.その際に,杭の中間部を肉厚を講くするのでなくて径を 500m

m と小さくしたことで,地震時水平変位が大きくなり,杭の本数を増やさざるを得なくなった.現 在では, 500mm!こ小さくしなくても施工できるようであるが,当時はそのような施工は実証されて いなくて,不可能と思われた.との杭本数のコスト増がなければさらにコス トは削減されると思 われる.

5  融雪面での技術

この事例では,橋面とその前後区間の 240m, 1310rrí を融雪の対象とした.熱抵ー抗を小さくする ために,外径 2 1. 7mmの鋼管を放熱管として 15cm間隔で、舗装表面からかぶり 40mmで、設置する.舗装

47 一

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宮本重信-竹内正紀・長谷川義則・藤野間幸英

は,連続鉄筋コンクリート舗装を用いて,放熱管の鋼管を ほとんど曲げなしで、 35mで、U ターンする配管とする.コンク リート舗装では,生コンクリートが施工直後から 2 年ほど に乾燥してひび割れが生じる.そこで,コンクリート舗装 では,そのひび割れを 7m ごとに設置した目地に集中さ せ,コンクリートの破損などが生じないようにしている.

しかし,この目地を入れるとその目地ごとに,放熱管を U ターンさせなければならない.鋼管ではその曲げ加工がコ ストアップになる.ポリ管では,熱抵抗が大きくなる.そ こで,異形鉄筋を舗装に挿入するとその付着力で乾燥収縮 が細かく分散されて有害なひび割れには至らない連続鉄筋 コンクリート舗装に着目し これを用いる.異形鉄筋に沿 わせて鋼管放熱管を設置すれば,その設置作業も容易であ る.コンクリートは耐久性向上を目的に鋼繊維補強とし,

骨材は高熱伝導の珪石骨材として,その熱伝導率を 3.1W/ 写真・6 橋座での配管

mKにする.全てのコンクリート舗装をこのように鋼繊維補強するとコストアップとなるため,プ レーンコンクリートを連続鉄筋の表面まで打設した直後 lこかwet on wet" で,この表層部分のみを 鍋繊維補強・珪石骨材・黒着色のための酸化鉄封入コンクリートを打設する.表面は,乾燥時で

も日射吸収率は0.8 となり,後述の蓄熱を容易にする.

6 融雪シミュレーション

既に述べた融雪面での条件で, 1310rrf の融雪負荷を 36本の杭で負担するとして,この 10年で2番 目に降雪の多かった 1993年 12月~翌年2 月初めまでの降雪データで融雪のシミュレーションを行っ た.融雪部は,前掲の条件とする.

熱交換杭部の仮定は,初期温度は 15. 5"C,鉛直方向上面でも気象データから熱収支を行い,杭 底下 10m を断熱境界と仮定した.放熱管から融雪時には冷水が,蓄熱時は温水が細いポリ管を通っ て杭底に流れこみ,これが杭頭への地中熱を集熱しながら流れていく.この流れに沿って, 3 次元 の熱解析がされる.左岸橋台には 3~iJ 8行24本,右岸橋台には 2~iJ6行 12本の杭があり,これを利用

しての計算としなけらばならない.しかし,このような計算は困難なことから 24本で 1310rrf

24  本/36本=873rrf を負担するとした.杭の間隔は,列方向と行方向で,それぞれ2.5m, 2mであること

から,それぞれの杭の温度が相互に影響を及ぼすことをも考慮、して 3 次元での計算が行われてい る.

路面の温度は, 日射,降雨,降雪,気温,風速,水蒸気圧,雲量,雲種などの気象データを取 り込んで,路面下からの熱伝導とで熱収支計算を行い, 5分ごとに計算される.降雪時には,路面 が冷えて,雪が積もり始めると循環ポンプが稼働し融雪されるとした.放熱管に水が流れるとそ の流れに沿って, 3次元で伝熱計算される.路面上に雪がなくなると運転を止めるとした.また,

舗装表面が凍結しないように 0.5"C以下では凍結運転するとした

夏は7月 10 日から放熱管水温が杭内水温より 13"C以上高くなると循環ポンプを運転し, 6"C以下に なると停止するという蓄熱運転を数値シミュレーションした.なお,この温度での累計蓄熱運転 時間は 150時間で 10月になると運転は完全に停止という数値シミュレーション結果で、あった.

図 -2 は, 3列8行の杭の中央の杭と四隅の杭の内部の平均水温, 24本の杭内平均水温を示したも のである. 9月初めに 25"Cにまで蓄熱運転で上昇した水温は,次第に発散し 12月の降雪時は 20"Cに 低下している.また,周囲の暖かい杭に固まれた中央の杭は,四隅の杭より約 4"C高くなっている.

図 -3 に,積算降雪量と降雪密度は O. 1cm とした本システムでの平均残雪量, 2cm/h融雪で、の残雪量 を示した. 1 月 22 日前後の降雪で,本システムでは 18cm, 2cm/h融雪で、は 12cmの最大残雪となって

(6)

いる.最大積雪73cmの近年では かなりの降雪量での残雪量であ ることと前後は除雪区間となっ ていることを勘案して,この程 J 度の融雪でもよいとした.な

お,基礎杭上部の融雪装置の無 い地盤上の自然最大積雪深は 80 cm と計算され,圧密沈降が考慮 されてないが,実際の最大積雪 深73cm とほぼ一致した.

この融雪で,杭内平均水温約 18"Cは 1 月 25 日に 4.20C になって いる.その後 1 月 29 日には周囲 の地中熱で 1 1. 3"Cに回復し,次 の寒波に備えている.以後の融 雪では,ほぽ2cm/hの能力と同

じ残雪深さとなっている.

7  おわりに

本システムの建設コストは,

散水融雪程度の 2. 5 万円/rrí を目 指している.システムの維持管 理は,ノズル点検もなく,これ まで実績からほぼメンテンナン スが要らないことになろう.こ のように,建設費が安価で,省 エネで,地下水を使わなくて環 境負荷が小さくて,メンテナン

スが少ない,そして凍結と降 雪の両方に対処できるという

橋面での融雪 ・凍結抑制システムの開

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15 

10 

-2 杭内水温の変化(シミュレーション)

一一平均残雪深(cm)

2cm/h融雪残雪量 (cm) 一一積算降雪量(cm)

1993-94 年最大積雪深 73cm

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図 -3 残雪深と積算降雪量

250  200  150  100  50 

ことから,福井の代表的なシステムになることを期待されている.

謝辞 つばさ杭の検討では,日本鋼管(株)中川栄作氏,篠原敏雄氏,元土木研究所福井次郎室 長,東京コンサルタント(株)の協力助言を得た.現場の設定などでは,県道路建設課には多大な 協力を得た.さらに,福日機電(株)には現場施工で協力頂いた.なお,本研究は,今後 3 年間,

NEDO のエネノレギー有効利用基盤技術先導研究開発費と文部科学省の科学研究費で,現場での 施工と合わせて研究が進められる機会が得られた.記して謝辞とする.

文献:

1) 宮本重信・竹内正紀・対す照夫:基樹訴IJ用による地繋轍雪法の設計施工灘三と数イ配ュトション,土木学会論文集, No.6ω/

VI‑ 41, pp. 99--110, 1998. 12,

2)宮本重信・加賀久宣:橋梁の放熱管方式での融雪と凍結抑制に関する研究,第 14回寒地技術シンポジウム寒地 技術論文・報告, vol.14,pp. 187-190, 1998. 12 

3) 宮本重信,加賀久宣,竹内正紀:基礎杭利用による地中熱融雪システムー構成, 数値シミュレーショ ンと実施例,

地熱エネルギー, vol.No. 4,Ser. 96,2001. 10 

4) 竹内正紀,宮本重信,加賀久宣,西脇目哉:地中熱と太陽熱蓄熱を利用した融雪の数値シミュレーション第 18回日 本雪工学大会論文集(解析) pp. 41-42, (実測との比較) pp.43-44,2001. 11 

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