那須野が原博物館紀要 第 16 号 2020 1. はじめに 毎年 7 月那須野が原博物館で開催される親子昆虫 教室のインストラクターとしてお手伝いして,もう 十年以上になる.初日は野外で捕虫網を使って虫を 採集して虫を傷めずに保存する方法を学び,2 日目 は前日採集し保存した虫を使って標本を作る作業を する.昆虫針を虫体に刺して展翅版で翅を広げて格 好良く固定したり,展足板に刺して脚を見栄えよく 固定したりする.親子で熱中して昆虫に触れる楽し い時間である.このような教室はこどもたちが自然 に接して興味を抱く貴重な機会であるが,その興味 を育む機会があると,そのこどもたちの夢が広がる であろう. 他方,現代の子どもたちは,発達した情報社会の 中でテレビやインターネット,科学図書で自然や生 き物の生態を視覚的に得るので知識は豊富だが,特 に都会地の子どもたちは実際に自然や生き物に触れ る機会がないのが実情である.そこで,子どもたち が身近な自然や生き物に触れて親しみを覚え興味を 育む機会を作るシステムができないものかと思い, 親しい自然愛好者に相談を持ち掛けてみた. 偶々,「那須野が原の自然調査会」の会長を当時 されていた井村治さんが私の発想に賛同して下さ り,会を組織・運営するために必要な基礎資料や情 報を収集して問題点を探り,彼を中心に賛同者が集 まって検討し,具体的な組織の活動方針や活動内容 を詰めていった. 2. 組織と活動内容 2013 年(平成 25 年),会の組織運営の大枠が定 まり,春から本格的に活動を開始した. 会の名称は,「ジュニア生き物クラブ」とした. 会の目的は,「自然に接する機会が乏しく,生き 物を肌で感じることが少なくなった子どもたちに, 身近な生き物に触れ親しみ,観察したり調べたりす る機会を与える.彼らが実体験を通して多様な生き 物がすむ自然の素晴らしさに触れ,またこれを感じ 取ることにより,自然の大切さや生命の尊さを学ぶ ことを目指す.」 会員は指導スタッフ会員(以下,スタッフという) と子ども会員からなる.スタッフは本会の趣旨に賛 同し,無償ボランティアとして本会の行事に参加し て活動し,子ども会員を得意分野で指導できる市内 及び近隣在住の自然愛好者である. 子ども会員は小学 4・5・6 年生を対象に,旧西那 須野地区の小学校へチラシ(図 1)を配布し,那須 野が原博物館を申込み窓口にして,毎年 15 名程度 を 4 月に募集している.募集人数は,スタッフが検 討した結果,子どもたちを適切に指導し目を配るこ とができる人数として,定着させた. 子ども会員は本会が開催する事業に1年間参加し て生き物の自然観察を学ぶことができる.子ども会 員からは会費年額 3,000 円を徴収し,保険料および
ジュニア生き物クラブ
会員募集(
2019年度)
1.何をするクラブなの? ○生き物にくわしいスタッフといっしょに、自然の中の生き物を観察 したり調べたりして、生き物に親しみます。 2.いつ、どこでやるの? ○毎月1回(主に第4日曜日)午前9時~11時30分 第1回は 5月 19日(日)です。 なすやえいじょう ○三島のボーイスカウト那須野営場でやります。 ※活動内容や天気によって変わるときもあります 3.だれが入れるの? ○小学校4年生・5年生・6年生です。 4.お金はかかるの? ○年会費は3,000円です。 5.どうすれば参加できるの? ○うらの申込書で申し込んでください。(受付は4月21日~4月28日) 調べてみよう 観察してみよう 生き物のこと 詳細は裏面をご覧くださいジュニア生き物クラブ
- 2013 ~ 2019 年(7年間)の軌跡-
松村 雄
〒 329-2745 那須塩原市三区町 658-72 図 1.2019 年度子ども会員募集チラシに表 1 に示す. 7 年間の実施テーマ 72 回の中,悪天のため野外 活動が実施できず室内行事に変更したのは,2014 年 6 月 22 日および 2019 年 7 月 28 日の 2 回だけで あり,総括的に見て,好天に恵まれて順調に活動が できたといえる. 次にその内容をテーマ毎に分けて概説する. (1) 開校式および自然探検 (毎年 5 ~ 6 月) 初年度の 2013 年は準備作業の遅れのため,開校 式を 6 月に実施したが,それ以降は概ね 5 月に開校 した. 開校式は保護者も出席して野営場のホールで行っ ている.内容は,代表あいさつ,年間活動スケジュー ルの説明,スタッフと子ども会員の自己紹介,危険 な生き物についての注意などである. 終了後,保護者は,通常連絡をメールで行うので, その連絡方法について説明を受ける. 子ども会員はスタッフに引率されて自然探検に出 掛ける.最初の 2 年間は野営場構内林を歩いたが, 3 年目以降は場所を野営場から 500 m程離れた烏ヶ 森公園に移した.遊歩道を歩きながら見付けた動植 物の名前や生態を学び,高台で那須の山々を眺めた り,烏が森神社の軒下に巣を造るアリジゴクを探っ たりする.雨を避けた表土にすり鉢型の穴巣を掘り, 土に潜んで落ち込む虫に食らい付くウスバカゲロウ の幼虫は,毎年子どもたちの人気の的である.1時 間余の自然探検から野営場へ戻って,まとめを書き 上げたら,解散となる. (2) 水辺の生き物しらべ (2013 ~ 2018 年) 2013 ~ 2017 年は,野営場カブ広場横のため池の 水生動物を調べた.その年次経過を表 2 に示す.残 念なことに,このため池は年々水質の悪化が進んで 使用不可能になったので,2018 年は西公民館のた め池を使用させてもらった. しかし,2019 年は水生生物を担当できるスタッ フがいなくなり,残念ながらこのテーマを継続する ことができなかった. 前日池に掛けたウケ (罠) を引き上げて掛った生 き物を確認してから,子どもたちにタモ網で池水 を掬わせて捕らえた獲物を大水槽に集めてから,種 毎に小水槽に小分けして種類と生態について解説し た. 活動諸経費に当てる.当初,中学生も募集対象とし たが,中学生の応募はほとんどなく実際中学生にな ると,部活が忙しくて時間が取れないのが実情のよ うだ. 事業時期として,初年度の 2013 年は 6 月から翌 3 月の 10 回,主に第 4 日曜日の午前 9 時~ 11 時 30 分まで,毎回テーマを決めて身近な動植物の観察な どを行った.2014 年は 5 月~翌 3 月の 11 回行ったが, 2015 年以降は 5 月~翌 2 月の年 10 回とし,3・4 月 は準備期とした. 主な活動場所として,ボーイスカウト那須野営 場 (以下,野営場という) 場長の浅野庫司会員のご 厚意により,普通は同所を利用させていただき,必 要に応じて近郊の山野に出掛けて活動することとし た.活動テーマは当該分野の知識と経験のあるス タッフが 2 名ずつ責任者 (船頭および副船頭) とし て交互に指導に当たり,当日参加できる他のスタッ フが支援する.これまでのところ,一回当りのスタッ フ参加数は,船頭を含めて 4 ~ 8 名程度である. 船頭になると,参考文献に当たって下調べして資 料を作ったり,話の種を仕入れて説明したりせねば ならないので,平素老いた脳の活性化に役立つ.ま た,他の船頭の支援をしながら聞く専門外の新しい 知識は程よい知的刺激となる.ほとんどのスタッフ は,小学生を指導するのが初経験のため,初年度は 説明が難し過ぎたり,多くの要素を取り込んで欲張 りすぎたりして,一部の児童は飽きて遊んだりする ので,反省することの多い 1 年であったが,次年度 の活動を進める上でいろいろ参考になることが多 かった. 3 月には,スタッフが参集して総会を開催し,年 間活動報告・会計報告をして反省点や問題点を抽出 する.さらに翌年度の年間活動計画・予算を検討し て各テーマの船頭・副船頭を決める.総会終了後, スタッフの活動を慰労し今後の発展を祈念して慰労 会を開き,相互の親睦を深める. 3. テーマ別活動内容 毎回テーマを決めて活動している.生物や季節に 合わせて恒例化した行事に加えて,可能な限り多様 な生物群に触れて子どもたちが自然の豊かさを理解 できるよう努めているが,スタッフの馴染みのない 生物群については外部講師を呼んで新たなテーマを 設定することもある. 当会において 7 年間に実施したテーマを,実施順
定法を教わってから自分たちで同定した。その結果 を表 4 に示す。 (5) 野鳥の観察 (2013・2014 年 1 月、2015 年以降 11 ~ 12 月) 2013・2014 年は 1 月に那須野が原公園で冬鳥の 観察を行ったが、2015 ~ 2018 年は 11・12 月に鳥 野目河川公園で野鳥の観察を行った。令和元年は久 しぶりに那須野が原公園で 11 月に行ったが、公園 利用者が多いせいか野鳥は種数・個体数とも少な かった。 まず双眼鏡を各自に配布して、双眼鏡の使い方・ 注意を指導する。それから、公園内の林や畑を歩き ながら見かけた鳥を観察する。鳥野目河川公園の大 池の岸に立つと、多数の水鳥が群れており、素晴ら しい観察場所だ。野外観察が終わったら室内に移り、 リストで鳥合わせをして、観察した鳥の種類を確認 する。表 5 にその一例を示す。 (6) 冬の森探検 (2013・2014 年 2 月、2015 年以降 1 月) 塩原温泉ビジターセンターで借用したスノー シューを履いて、塩原の山野で雪上を散策しながら 冬の動植物を観察するのだが、子どもたちに最も人 気のある行事である。 2013 年は、スタッフの自家用車に子どもたちを 分乗させて塩原まで往復したが、大雪のため大沼へ の道路が不通になり、箱の森プレイパークで代行し た。2015 年は、塩原温泉ビジターセンターに集合 して、スタッフと保護者の自家用車に分乗して大沼 園地まで往復した。しかし、自家用車利用は事故発 生上の問題がある。それ以外の年は、交付金助成に よって貸切バス利用が可能となり、この問題は解決 した。 さらに、プランクトンネットで水を掬い取って集 めたプランクトンを拡大検鏡して、無数の微細な生 物が水中で繁殖して多数の水生生物の餌として食物 連鎖を支えていることを説明した。 (3) セミのぬけがらさがし(2013 ~ 2018 年 8 月) 8 月になると立木の幹や枝葉にセミの脱け殻が目 立つ。子どもたちを烏ヶ森公園へ連れて行き、セミ の脱け殻を集めて持ち帰り、セミの脱け殻の見分け 方を教えてから子どもたち自身が同定に挑戦し、種 別の数を集計した。その年次経過を表 3 に示す。 (4) 赤とんぼをさがそう(2013 ~ 2019 年 9 月) 赤とんぼとは、アカネ属のトンボの俗名で多くの 種が含まれる。9 月中半になると、夏の間山地で過 ごしたアキアカネがお里帰りするが、沢山の赤とん ぼが飛翔環境によって種類が異なることがある。 野営場のカブ広場と三島神社の 2 カ所で、子ども たちが捕虫ネットでトンボを採集して持ち帰り、同 表 野営場の池の生き物リスト さらに,プランクトンネットで水を掬い取って集め たプランクトンを拡大検鏡して,無数の微細な生物 が水中で繁殖して多数の水生生物の餌として食物連 鎖を支えていることを説明した. セミのぬけがらさがし~ 年 月 月になると立木の幹や枝葉にセミの脱け殻が目 立つ.子どもたちを烏ヶ森公園へ連れて行き,セミ の脱け殻を集めて持ち帰り,セミの脱け殻の見分け 方を教えてから子どもたち自身が同定に挑戦し,種 別の数を集計した.その年次経過を表 に示す. 赤とんぼをさがそう~ 年 月 赤とんぼとは,アカネ属のトンボの俗名で多くの 種が含まれる. 月中半になると,夏の間山地で過 ごしたアキアカネがお里帰りするので,沢山の赤と 表 .セミの脱け殻しらべの年別結果 種名 アブラゼミ ― ヒグラシ ― ツクツクボウシ ― ニイニイゼミ ― その他 ― 合 計 ― * 年 月はキャンプのため本テーマは行わなかった. んぼが飛翔環境によって種類が異なることがある. 野営場のカブ広場と三島神社の カ所で,子ども たちが捕虫ネットでトンボを採集して持ち帰り,同 定法を教わってから自分たちで同定した.その結果 を表 に示す. 野鳥の観察 ・ 年 月, 年以降 ~ 月 ・ 年は 月に那須野が原公園で冬鳥の観 察を行ったが,~ 年は ・ 月に鳥野目 河川公園で野鳥の観察を行った.令和元年は久しぶ りに那須野が原公園で 月に行ったが,公園利用者 が多いせいか野鳥は種数・個体数とも少なかった. まず双眼鏡を各自に配布して,双眼鏡の使い方・ 注意を指導する.それから,公園内の林や畑を歩き ながら見かけた鳥を観察する.鳥野目河川公園の大 池の岸に立つと,多数の水鳥が群れており,素晴ら しい観察場所だ.野外観察が終わったら室内に移り, リストで鳥合わせをして,観察した鳥の種類を確認 する.表 にその一例を示す. 冬の森探検 ・ 年 月, 年以降 月 塩原温泉ビジターセンターで借用したスノーシュ ーを履いて,塩原の山野で雪上を散策しながら冬の 動植物を観察するのだが,子どもたちに最も人気の ある行事である. 年は,スタッフの自家用車に子どもたちを分 乗させて塩原まで往復したが,大雪のため大沼への 道路が不通になり,箱の森プレイパークで代行した. 年は,塩原温泉ビジターセンターに集合して, スタッフと保護者の自家用車に分乗して大沼園地ま で往復した.しかし,自家用車利用は事故発上の問 題がある.それ以外の年は,交付金助成によって貸 切バス利用が可能となり,この問題は解決した. 生物群 種名 調査年月日 魚類 モツゴ ○ ドジョウ ○ カラドジョウ ギバチ トウヨシノボリ ○ ヌマチチブ ○ メダカ類 フナ フクドジョウ ホトケドジョウ カダヤシ 不明魚類稚魚 甲殻類 スジエビ ○ エビ類 昆虫類 ミズカマキリ ○ マツモムシ ○ アメンボ類 ○ クロゲンゴロウ ヒメゲンゴロウ アカネ類ヤゴ 両生類 トウキョウ ダルマガエル ニホンアマガエル 合計種数 年は計数せず 表 野営場の池の生き物リスト さらに,プランクトンネットで水を掬い取って集め たプランクトンを拡大検鏡して,無数の微細な生物 が水中で繁殖して多数の水生生物の餌として食物連 鎖を支えていることを説明した. セミのぬけがらさがし~ 年 月 月になると立木の幹や枝葉にセミの脱け殻が目 立つ.子どもたちを烏ヶ森公園へ連れて行き,セミ の脱け殻を集めて持ち帰り,セミの脱け殻の見分け 方を教えてから子どもたち自身が同定に挑戦し,種 別の数を集計した.その年次経過を表 に示す. 赤とんぼをさがそう~ 年 月 赤とんぼとは,アカネ属のトンボの俗名で多くの 種が含まれる. 月中半になると,夏の間山地で過 ごしたアキアカネがお里帰りするので,沢山の赤と 表 .セミの脱け殻しらべの年別結果 種名 アブラゼミ ― ヒグラシ ― ツクツクボウシ ― ニイニイゼミ ― その他 ― 合 計 ― * 年 月はキャンプのため本テーマは行わなかった. んぼが飛翔環境によって種類が異なることがある. 野営場のカブ広場と三島神社の カ所で,子ども たちが捕虫ネットでトンボを採集して持ち帰り,同 定法を教わってから自分たちで同定した.その結果 を表 に示す. 野鳥の観察 ・ 年 月, 年以降 ~ 月 ・ 年は 月に那須野が原公園で冬鳥の観 察を行ったが,~ 年は ・ 月に鳥野目 河川公園で野鳥の観察を行った.令和元年は久しぶ りに那須野が原公園で 月に行ったが,公園利用者 が多いせいか野鳥は種数・個体数とも少なかった. まず双眼鏡を各自に配布して,双眼鏡の使い方・ 注意を指導する.それから,公園内の林や畑を歩き ながら見かけた鳥を観察する.鳥野目河川公園の大 池の岸に立つと,多数の水鳥が群れており,素晴ら しい観察場所だ.野外観察が終わったら室内に移り, リストで鳥合わせをして,観察した鳥の種類を確認 する.表 にその一例を示す. 冬の森探検 ・ 年 月, 年以降 月 塩原温泉ビジターセンターで借用したスノーシュ ーを履いて,塩原の山野で雪上を散策しながら冬の 動植物を観察するのだが,子どもたちに最も人気の ある行事である. 年は,スタッフの自家用車に子どもたちを分 乗させて塩原まで往復したが,大雪のため大沼への 道路が不通になり,箱の森プレイパークで代行した. 年は,塩原温泉ビジターセンターに集合して, スタッフと保護者の自家用車に分乗して大沼園地ま で往復した.しかし,自家用車利用は事故発上の問 題がある.それ以外の年は,交付金助成によって貸 切バス利用が可能となり,この問題は解決した. 生物群 種名 調査年月日 魚類 モツゴ ○ ドジョウ ○ カラドジョウ ギバチ トウヨシノボリ ○ ヌマチチブ ○ メダカ類 フナ フクドジョウ ホトケドジョウ カダヤシ 不明魚類稚魚 甲殻類 スジエビ ○ エビ類 昆虫類 ミズカマキリ ○ マツモムシ ○ アメンボ類 ○ クロゲンゴロウ ヒメゲンゴロウ アカネ類ヤゴ 両生類 トウキョウ ダルマガエル ニホンアマガエル 合計種数 年は計数せず 表 2. 野営場の池の生き物リスト 表 3.セミの脱け殻しらべの年別結果
2016 年は那須平成の森基金の交付を受けて,那 須平成の森でスノーシュー探検を行った.それ以外 はすべて大沼園地で雪上探検を実施している.雪上 に残る動物の足跡や植物の冬芽を観察し,雪上で活 動するユキムシを発見する.そして,平地では体験 できない雪遊びでこどもたちは雪にまみれながら, 興奮し満足している様子だ. (7) 野山の動植物の観察 ①山の動植物の観察 2017 年 6 月小型バスで大沼園地へ出掛けた.保 護者の参加もあり,総勢 26 名になった.ヨシ沼か ら大沼までの林内歩道を経て大沼一周の遊歩道で自 然観察し,山林内でクロサンショウウオ成体を発見 し,木の梢でモリアオガエルの産卵中など珍しい山 の生き物の生活に接することができたので,子ども たちは感激した様子だった. 2018 年 7 月は小型バスで沼原湿原へ出掛けた. 保護者 4 名に会員 OG の高校生の参加もあり,総 勢 28 名であった.当日は記録的高温日であったが, 高所にある沼原湿原の涼しさを体感しながら,湿原 表 .「赤とんぼをさがそう」の調査記録 調査日: 年 月 日 調査場所:ボーイスカウト那須野営場/三島神社 種名 野営場 三島神社 年 過去の記録 オス メス オス メス 合計 アキアカネ ナツアカネ マユタテアカネ ノシメトンボ コノシメトンボ リスアカネ ミヤマアカネ タカネトンボ ウスバキトンボ オオアオイトトンボ ホソミオツネントンボ オニヤンマ 合計種数 合計個体数 FI:上記 種が赤とんぼアカネ属 表 .「野鳥の観察」鳥合わせリストの一例 調査月日:2017 年 12 月 17 日 調査場所:鳥野目河川公園 確認種数:25 種 冬鳥 留鳥 水辺の鳥 ヒドリガモ マガモ コガモ オナガガモ ヨシガモ カルガモ ダイサギ アオサギ オオバン イカルチドリ ハクセキレイ セグロセキレイ カワウ カワセミ 山野の鳥 カシラダカ シメ トビ キジバト ハシブトガラス ハシボソガラス ヒヨドリ スズメ シジュウカラ ムクドリ カワラヒワ 年は那須平成の森基金の交付を受けて,那須平 成の森でスノーシュー探検を行った.それ以外はす べて大沼園地で雪上探検を実施している.雪上に残 る動物の足跡や植物の冬芽を観察し,雪上で活動す るユキムシを発見する.そして,平地では体験でき ない雪遊びでこどもたちは雪にまみれながら,興奮 し満足している様子だ. 野山の動植物の観察 ①山の動植物の観察 年 月小型バスで大沼園地へ出掛けた.保護 者の参加もあり,総勢 名になった.ヨシ沼から大 沼までの林内歩道を経て大沼一周の遊歩道で自然観 察し,山林内でクロサンショウウオ成体を発見し, 木の梢でモリアオガエルの産卵中など珍しい山の生 き物の生活に接することができたので,子どもたち は感激した様子だった. 年 月は小型バスで沼原湿原へ出掛けた.保 護者 名に会員 2* の高校生の参加もあり,総勢 名であった.当日は記録的高温日であったが,高所 にある沼原湿原の涼しさを体感しながら,湿原の 植 表 4.「赤とんぼをさがそう」の調査記録 表 5.「野鳥の観察」鳥合わせリストの一例 調査月日:2017 年 12 月 17 日 調査場所:鳥野目河川公園 確認種数:25 種
クモは身近によく見掛ける生き物だが,知らない ことが多い,クモ研究の専門家馬場友希博士を招い て,クモ類の特徴,採集法,分類,形態,生態,観 察法など興味深いクモの知識を学んでから,身近に いるクモを採集して種類を調べた.クモを怖がって いた女の子が学習後はクモが好きになったという例 がある. (10) 土の中の動物さがし (2018 年 11 月,2019 年 6 月) 人は足元に広がる土に普段は関心を示さないが, 土壌は地球環境の生命を育む温床であり,土壌中に は地上では見られない多種多様な生き物がいる.古 野勝久氏 ( 元栃木県立博物館学芸員 ) を招いて, 土壌動物の種類・生態・役割を学び,実際に野外採 集と観察を体験した.その後,古野氏は本会の趣旨 に賛同して入会し,翌年はスタッフとして指導した. (11) 小鳥の巣箱,餌台作り工作 (2014 年 12 月,2015 年 10 月,2019 年 10 月) 浅野会員が市販の木材をカットして総て工作セッ トを準備し,工作の指導をした.子どもたちは,初 めは工具の使い方がうまくいかなかったが,次第に 慣れて時間内に工作を完成できるようになった.そ の後は巣箱を掛ける場所や注意点を教わった. (12) モグラのトンネル掘り (2013 年 12 月,2016 年 11 月,2018 年 10 月, 2019 年 12 月) 冬になると空き地や畑地の地面に盛り土してモグ ラ塚が随所に出現する.モグラ塚を手がかりにして スコップや移植ゴテで地面を掘り起こしてモグラの トンネルがどんな構造をしているか調べた.モグラ を捕らえることはできなかったが,子どもたちは予 想外に熱心に穴掘りを楽しんでいた. (13) 宿泊キャンプ 2015 年 8 月,野営場でカブスカウトのキャンプ に参加して宿泊する企画を立てたが,わずか 3 名の 参加に留まった.それなりに成果はあったが,この 年限りでこの活動は中止した. (14) 閉校式・ピザ作り (2013・2014 年 3 月,2015 年以降 2 月) 閉校式は,保護者も参加し,1 年間の活動をスラ の植物や昆虫の観察ができた.暑熱期に平地から山 地に移動して過ごすアキアカネの群飛を見ながら, 秋に平地へ戻って繁殖する生活史を学んだ.帰途に 乙女の滝へ立ち寄り,滝の冷気の下で川遊びに熱中 してから灼熱の出発点へ戻った. ②花と虫の助け合い 2014 年は雨天のため残念ながら野外活動ができ ず,室内で昆虫・植物のスライドを見て学んだ. 2016 年 7 月は千本松牧場内の歩道沿いに咲く植物 の花と訪花する昆虫を観察した.2019 年7月にも 同様プランを計画したが,また悪天のため野外活動 を中止し,那須野が原博物館で開催中の特別展「昆 虫創世記」観覧に切り替えた. ③植物と虫の冬越し 2015 年 12 月那須野が原公園で冬越しの観察をし た.樹木には,冬になると葉っぱを落とす落葉樹, いつも緑色をしている常緑樹がある.近付いてみる と冬芽や葉痕が見られた.昆虫の越冬場所として, 落ち葉の下,葉の裏,木の皮の隙間,腐った切り株, 看板の隙間などがあり,成虫越冬,幼虫越冬,卵で 越冬するものがあることを学んだ. (8) 植物の観察 ①木の実探検隊 (2013 年 10 月,2014 年 10 月,2017 年 11 月) 野営場のシラカシの木の下で枠を設けてドングリ を拾い,数を数えた.室内でドングリの種類につい て学んでから,ドングリを使ってヤジロべイやコマ 作りをして遊び楽しんだ. ②この葉・なんの葉・気になる葉(2013 年 11 月) 野営場の中の植物の葉っぱの形を探してビンゴ ゲームを楽しみながら葉の形やつくりを学び,広葉 樹と針葉樹,落葉樹と常緑樹の違いを学んだ. ③葉っぱのかたち(2015 年 6 月) 植物の種やグループにより,葉の形,葉の縁の形, 葉の裂け方や葉の付き方が違うので,種類毎の特徴 を学んだ. ④千本松の植物観察(2019 年 8 月) 千本松牧場内の自然公園を歩いて路傍で見られる 植物種の特徴や生態,名前の由来などを学びながら 観察した.危険な動植物があれば,その特徴や被害 なども学んだ. (9) クモってどんな生き物? (2016 年 10 月,2017 年 10 月)
(3) 平成 29 年〜令和元年度 (2017 〜 2019) 那 須塩原市市民提案型協働まちづくり支援事業 補助金 ( 那須塩原市 ) 3 年を限度に交付され,1 年目は事業費の 90%, 2 年目は 70%,3 年目は 50%を限度として交付され る.応募すると,1 月書類審査の後,2 月本審査が あり,公開プレゼンテーションで発表する.現在 3 年目であるが,全体として,交付金額が比較的大き く,スポーツ安全保険掛金,貸切バス代,講師謝礼, 実験機材費,消耗品費などに充当し,活動を盛り上 げることができた.令和元年度で終了するので,次 年度以降の財源を考慮せねばならない. 5. 子ども会員の動向 2013 年~ 2019 年の 7 年間にわたるジュニア生き 物クラブこども会員の年別構成人数の動向を表 6 に 示す. 初年度 2013 年は準備・宣伝不足のせいもあり, 男子 9 名だけの淋しい参加数であったが,その後 4 年間は 14 名で推移し,女子の比率が増えて 2016・ 17 年は男女同数になったが,その後は女子の比率 が低下した.学年構成には特に年別傾向が認められ なかった.この 7 年間に子ども会員として活動した 延べ人数は合計 96 名であるが,2 年間 ないし 3 年 間参加した子どももいるので,実人数は計 67 名で ある.そのうち,2 年参加は 25 名(37%)であり, 3 年通しての参加は 4 名(6%)であり,合わせて 複数年参加者は 29 名(43%)であった.募集時 15 名の募集定員で締め切ってから,保護者の転勤等に より参加取消といった例もあった. 当初,中学生も募集対象としたが,中学生の応募 はなく,小学校卒業後中学から参加を希望する子が いたが,初期数回参加しただけで部活が忙しくなり イドで振り返り,子ども会員各自に今年の感想を述 べてもらい,最後に修了証を授与する.また,出席 の保護者にはアンケートで感想を書いてもらった. ピザ作りは浅野スタッフの指導に従い,親子・家 族共々に実践する.閉校式に先立ち,ピザ生地を作っ て 1 時間ほど寝かせる.式後はピザ作りに戻って生 地を円盤状に延ばしてトッピングし,野外にある焼 き釜で焼き上げ,みんなで食べて一年間の活動の最 後として解散する. (15) 活動記録 CD の制作・贈呈 毎年,1 年間の活動映像記録を編集して CD にま とめたものを,思い出の証として最後に子ども会員 に配布する.幼時体験の記憶を思い起す助けになれ ばいいと思ってのことである. (16) 本会ホームページの開設 井村治名誉会員の尽力で,2016 年にインターネッ トにホームページを開設して,ジュニア生き物クラ ブの活動を紹介している.機械的トラブルのため, 現在は休止中である.文末にアドレスを示したので, 確認していただきたい. 4. 助成金と表彰 2013 年度および 2015 年度は,子ども会員の会費 が唯一の活動資金源のため,活動範囲は限られた. それ故,会の活動活性化のため,次のような助成金 制度に応募して助成金が交付され,活動資金として 活用した. (1) 平成 26 年度 (2014) 環境活動促進事業助成金 (交付団体:栃木県環境技術協会) 単年度の交付であったが,スポーツ安全保険掛金, 貸切バス代(大沼園地往復),プランクトンネット や長竿捕虫網などの購入,消耗品費として活用し, 活動の大きな助けとなった. この助成金に関連して,本会がその 2 年後に「平 成 28 年度とちの環県民会議表彰」を授賞した. (2) 平成 28 年度 (2016) 那須平成の森基金助成金 (那須平成の森基金委員会) 2017 年 1 月に実施した「平成の森スノーシュー 冬の自然探検」に対して交付され,貸切バス代およ びスノーシューレンタル料に充てられた. 閉校式は,保護者も参加し, 年間の活動をスラ イドで振り返り,子ども会員各自に今年の感想を述 べてもらい,最後に修了証を授与する.また,出席 の保護者にはアンケートで感想を書いてもらった. ピザ作りは浅野スタッフの指導に従い,親子・家 族共々に実践する.閉校式に先立ち,ピザ生地を作 って 時間ほど寝かせる.式後はピザ作りに戻って 生地を円盤状に延ばしてトッピングし,野外にある 焼き釜で焼き上げ,みんなで食べて一年間の活動の 最後として解散する. 活動記録 &' の制作・贈呈 毎年, 年間の活動映像記録を編集して &' にまと めたものを,思い出の証として最後に子ども会員に 配布する.幼時体験の記憶を思い起す助けになれば いいと思ってのことである. 本会ホームページの開設 井村治名誉会員の尽力で, 年にインターネッ トにホームページを開設して,ジュニア生き物クラ ブの活動を紹介している.機械的トラブルのため, 現在は休止中である. 助成金と表彰 年度および 年度は,子ども会員の会費 が唯一の活動資金源のため,活動範囲は限られた. それ故,会の活動活性化のため,次のような助成金 制度に応募して助成金が交付され,活動資金として 活用した. 平成 年度環境活動促進事業助成金 交付団体:栃木県環境技術協会 単年度の交付であったが,スポーツ安全保険掛金, 貸切バス代大沼園地往復,プランクトンネッ トや長竿捕虫網などの購入,消耗品費として活用し, 活動の大きな助けとなった. この助成金に関連して,本会がその 年後に「平 成 年度とちの環県民会議表彰」を授賞した. 平成 年度那須平成の森基金助成金 那須平成の森基金委員会 年 月に実施した「平成の森スノーシュー冬 の自然探検」に対して交付され,貸切バス代および スノーシューレンタル料に充てられた. 平成 年~令和元年度~那須塩 原市市民提案型協働まちづくり支援事業補助 金那須塩原市 年を限度に交付され, 年目は事業費の %, 年目は %, 年目は %を限度として交付される. 応募すると, 月書類審査の後, 月本審査があり, 公開プレゼンテーションで発表する.現在 年目で あるが,全体として,交付金額が比較的大きく,ス ポーツ安全保険掛金,貸切バス代,講師謝礼,実験 機材費,消耗品費などに充当し,活動を盛り上げる ことができた.令和元年度で終了するので,次年度 以降の財源を考慮せねばならない. 子ども会員の動向 年~ 年の 年間にわたるジュニア生き物 クラブこども会員の年別構成人数の動向を表 に示 す. 表.こども会員の男女別・継続年数別の人数動向 年度 計 年生 年生 年生 中 ♂♀ 合計 年目 年目 年目 初年度 年は準備・宣伝不足のせいもあり,男 子 名だけの淋しい参加数であったが,その後 年 間は 名で推移し,女子の比率が増えて平成 ・ 年は男女同数になったが,何故かその後は女子の 比率が低下した.学年構成には特に年別傾向が認め られなかった.この 年間に子ども会員として活動 した延べ人数は合計 名であるが, 年間ないし 年間参加した子どももいるので,実人数は計 名で ある.そのうち, 年参加は 名%であり, 年通しての参加は 名%であり,合わせて複 数年参加者は 名%であった.募集時 名 の募集定員で締め切ってから,保護者の転勤等によ り参加取消といった例もあった. 当初,中学生も募集対象としたが,中学生の応募 はなく,小学校卒業後中学から参加を希望する子が 表 6.こども会員の男女別・継続年数別の人数動向
No.0 井村治さんは,前述のように会の創始に尽 力して 1 年間副代表を務めてから,京都市へ移転し たが,その後も会のホームページ作成に携わり,年 に一回は行事に参加しているので,名誉会員として 留めている.後任副代表の髙野名保子さんは,女性 のセンスで子どもたちの行動や会の運営に注意を 払っている.那須野が原博物館の多和田潤治さんと 近藤 慧さんは,連絡窓口として,創立以来尽力し ている. その他のスタッフ諸氏にも無償のボランティア活 動を強いているが,子どもたちの将来の夢を育てる ために大いなる社会的教育支援を担っているという 自負を抱いて,今後の支援を期待するところである. 参加不可能で来なくなった. 今年度は,中学進学後の参加希望が 1 名あったの で,OB 会員としてスタッフに準じて活動補助をし てもらっているが,休まずに参加している. 子ども会員の募集にあたって,市内旧西那須野地 区の小学校へチラシを配布して,応募人数がちょう ど定員の 15 名程度で収まっている現状である.情 報を掴んで地区外から応募してくる子もあるが,分 け隔てなく受け入れている. 学校別の人数動向を表7に示す. 那須塩原市西那須野地区の大山小,三島小,東小 の生徒が多く,次いで西小,南小,槻沢小,地域外 の大原間小,関谷小と大田原市立金丸小の生徒もお り,総計 9 校に達した.保護者からは,違う学校の 生徒が一緒に学ぶ機会を歓迎する声が聞かれる. 6. 指導スタッフ会員 ボランティアとして活動し子どもたちを指導する 指導スタッフ会員の存在なくては,本会の活動は成 り立たない. 表 8 に,スタッフとその得意分野の一覧を示す. 植物,昆虫,哺乳類,野鳥,土壌動物,水生動物な どの多様な生物群に加えて,青少年指導,キャンプ 関連など広い分野に及んでいるので,多様なテーマ を本会の活動に取入れることができるのが特色であ る.月毎に船頭と副船頭が得意分野のテーマに沿っ て指導するが,子どもたちの行動にはなかなか目が 届かない,スタッフはそれぞれに仕事や都合がある ので,毎回参加とは行かない.当日都合が付くスタッ フが数名参加し,子どもたちに目を配りながら船頭 たちを補佐して事故がないよう注意しながら,馴染 みのない分野の情報を得ることができる. 表 7.子ども会員の学校別人数動向 表 8.ジュニア生き物クラブ指導スタッフ会員名簿
評価をいただいており,次年度も継続して参加した いという声もある.スタッフとしてはやり甲斐を感 じるところである. 8. まとめ これまで,ジュニア生き物クラブの 7 年間にわた る活動の軌跡を辿ってきた. はじめに述べたように,現代の子どもたちは,知 識は豊富だが,自然の中で直接生き物に触れる機会 に乏しい.学校も家庭も自然から遊離して,人工的 な生活を強いられている側面がある. 筆者が小学生の頃,登校・下校の途中に道草を食っ て時間を潰した.道草はこどもにとっては冒険であ り,未知の体験を得る絶好の機会になり,自然や社 会の学習の場となった.今は集団登下校により家庭 と学校が直結していて,道草は許されない.児童が 狙われるいかがわしい犯罪が横行するご時世で,現 代のこどもに道草を食う自由がないのは不幸な現実 だ. 地球上に人類が出現して以来,人類の文明は進歩 してきたが,ヒトは個体発生を繰り返してきた.文 明は蓄積され進化してきたが,ヒトは赤ん坊から成 長に伴い学習して豊かな知恵を授けられても,死と 共に脳に蓄積された知恵は消滅し,受け継がれるこ とはない.現代人は科学文明の利器に助けられて便 利な生活を得る代りに,本能的機能が失われて動物 としては退化の道を辿っているように思われる.子 どもたちができるだけ機械に頼るのでなく,自らの 感性で自然を捉えるよう心掛ける習慣を身につける ことを期待する. 我々スタッフもはじめの頃は張り切り過ぎて欲 張った内容を盛り込みすぎたり,教え方が難しかっ たりしたが,試行錯誤の中で次第に要領を覚え,ほ どよいペースを掴んできた. 子どもたちも十人十色で,それぞれのペースがあ る.興味あるものには一生懸命取り組むが,興味の ないものにはそっぽを向いてしまう子がいて,個性 的だ.班を組ませると,男女間でずいぶん行動が異 なる.女子は他の子と協調的に分担して作業を進め るが,男子は他とあまり強調せずにそれぞれ勝手に 作業を進める傾向がある. 子ども会員には小型ノートを与え,野外観察する 際に見聞きしたことをできるだけメモするようにさ せている.人は次々に入る情報を処理しきれないが, メモは関連情報を呼び起こす作用があり,フィール 7. 活動の評価 我々スタッフがやってきた指導活動を,子ども会 員や保護者がどのように受け入れ,評価しているの か知りたいところである. 毎年,閉校式の席上で子ども会員に感想を述べて もらっている.2019 年 2 月の閉校式での彼らの発 表結果 (当日欠席の子は後日電話で聴取した) をま とめてみた. A. 一番楽しかった行事は, (冬の森探検 7 名; モグラの穴掘り,セミの脱け殻さがし,夏の山の観 察 各2名;水辺の生き物しらべ,野鳥の観察,土 の中の動物さがし 各 1 名) となり,スノーシュー による冬の森探検が最も魅力ある行事だったよう だ. B. これからやってみたいことは, (昆虫採集や虫 の観察など 8 名,モグラのこと 2 名,爬虫類, メダカ,池の生き物,解剖,動物の爪痕など 各 1 名) で,昆虫に対する関心が最も高かった. 2019 年 2 月の閉校式に参加した保護者を対象に 行ったアンケートをまとめた回答の要約を示す. A. 子どもの様子の変化は,①水辺の生き物に対 する興味を強くし,生き物の種類を詳しく説明する ようになった,②その日見た虫を図鑑で調べるよう になった,③生き物関係の仕事をしたいという将来 の夢ができた,③生き物に関する本を読むように なった,④活動で見た生き物を図鑑で調べ,ノート に書いて家族に教えるようになり,昆虫など好きに なったようだ. B. 本会の活動については,①学校・クラスが違う 仲間と一緒に,専門分野の人の指導を受けるのは貴 重な機会であり,今後も継続を望む,②内気な子が 一人で活動できるか心配したが,毎回楽しんで参加 し,遠出の時に自分で準備できるようになり,成長 を感じた.今後も活動を続けてほしい.③中学生も 参加できるとよい.本人の好きなことができて感謝, ④子に興味があっても親に知識がなく,このような 機会はありがたい.転勤してきたので,塩原などの 場所を知り,子どもも毎回楽しみにしており,感謝, ⑤様々な場所,様々な生き物に触れることができ, 他の学校の友だちと交流できて,よい経験になった と思う,⑥来年度も参加させたいのでよろしく,⑦ 高学年になると週末予定ができて休むことが多くな るが,その時はよろしく. 本会の活動に対する印象は,総じて好意的でよい
謝辞 最初に,ジュニア生き物クラブの創始に当たり, その土台構築のためにご尽力いただいた井村治名誉 会員に謝意を表したい.次に,ジュニア生き物クラ ブの主要活動場所としての利用と様々な便宜を図っ ていただいているボーイスカウト那須野営場並びに 同場長の浅野庫司会員に厚くお礼を申し上げたい. 那須野が原博物館には,募集連絡窓口として便宜を 図っていただいており,感謝したい.冬の森探検の 際に,毎回塩原温泉ビジターセンターからスノー シュー貸与の便宜を図っていただいているので,お 礼申し上げたい. 栃木県環境技術協会から 2014 年度環境活動促進 事業助成金の交付を受けて,スポーツ安全保険・貸 切バス使用料・調査機材などの購入に活用し,会 の活動の活性化のため力を得たので,謝意を表す. 2016 年は那須平成の森より第 5 回平成の森基金 助成の交付を受けて,貸切バスで平成の森スノー シュー冬の自然探検を実施することができたので, お礼を申し上げたい. 2017 年から 3 年間,那須塩原市市民提案型協働 まちづくり支援事業補助金の交付を受け,本会の活 動を活発に展開できたので,那須塩原市に謝意を表 する. 最後に,当会の趣旨に賛同して,子ども会員の生 き物に対する興味と夢を育てるため,無償の指導活 動を継続して下さる指導スタッフ会員諸氏のボラン ティア精神に敬意を表し,深甚なる謝意を表する. ドノート (野帳) にメモする習慣は子どもたちの 生活にきっと役に立つだろう. 身近な自然の中には多様な生き物が様々な生活を 営んでおり,共存していることを知ってほしい.そ の中から好きな生き物を見付け出し,Life friend (筆 者の造語) として一生付き合っていけたら,きっと 人生が楽しく豊かになるだろう. 本会における活動が子どもたちの幼時体験として 記憶に残り,彼らが成長して大人になった時.自然 観・人生観形成の核となって,自然を慈しみ生命の 尊さを知る術を学び,自然環境保全や郷土愛の精神 が育まれるならば素晴らしい. ノーベル賞受賞科学者には,幼少期に昆虫少年と して育った人が多いと聞く.子どもたちの実体験が 成長の糧になり,できれば生物分野へ進むきっかけ になれば,うれしいことである. 文中,水辺の生き物,セミの脱け殻,赤とんぼ, 野鳥の観察での記録データを示したが,これは子ど もたちが短時間の活動の中でまとめたものなので, 確度の低いデータであり,参考として流し読みして 引用しないでいただきたい. 不測の事故に備えて,子ども会員は毎年必ずス ポーツ安全保険に加入するが,幸い今までほとんど 事故なく活動してきた.今後も気の緩みなく注意し てゆくことが必要であろう. 昆虫は最も身近に見られ,子どもたちに人気があ り関心の高い生物群である.「これからやってみた いこと」でも,昆虫が最も希望の多い対象となって いる.筆者自身昆虫研究を生業としてきたのでうれ しいことだが,現状でテーマに昆虫採集と標本作り を取入れるのは難しい.それ故,希望者に別メニュー で指導するコースを設けることを考慮する必要があ ると思われる. 筆者は,会の創始以来,代表として調整役をさせ ていただいたが,気がつけば 80 代に突入して頭が スムーズに働かなくなり,ミスを犯す危険性がある ので,ボツボツ交替の時期が到来したようだ.若い 頭脳に一新して,テーマを見直して新たな活動を繰 り広げることが必要だ. ホームページアドレス http://ikimonoclub.sunnyday.jp/junia_shengki_wukurabu/youkoso.html
写真 1. 野営場ホールでの開校式(5 月) 写真 2. 烏が森神社の軒下でアリジゴクを探す(5 月) 写真 3. タモ網で池の中の生き物を掬う(6 月) 写真 4. 採集した池の生き物の種類を調べる(6 月) 写真 5. 大沼でモリアオガエルの産卵を観察(6 月) 写真 6. 沼原湿原で湿地の生き物を観察する(7 月) 写真 7. 烏ヶ森公園でセミの脱け殻さがし(8 月) 写真 8. 集めたセミの脱け殻を調べる(8 月)
写真 9. さあ,アカトンボを捕まえよう!(9 月) 写真 10. 泥にまみれて皆でモグラのトンネルを辿る(10 月) 写真 11. クモ学者馬場博士が面白いクモの話を披露(10 月) 写真 12. 夢中になって土の中の動物さがし(11 月) 写真 13. 鳥野目河川公園で野鳥の観察(12 月) 写真 14. 大沼で冬の森探検,寒かったけど面白かった(1 月) 写真 15. 閉校式で,皆の前で一年間の感想などを発表(2 月) 写真 16. ピザ生地つくり,窯で焼いて皆で食べて解散(2 月)