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教育講演1~9

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Academic year: 2021

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(1)

抄  録

教 育 講 演 1

5 月27日  10:10 Web 第 1 会場

 司 会  東北大学病院高度救命救急センター



久志本成樹 先生

教 育 講 演 2

5 月27日  13:10 Web 第 2 会場

 司 会  堺市立総合医療センター



横田順一朗 先生

教 育 講 演 3

5 月27日  14:30 Web 第 1 会場

 司 会  大阪市立大学医学部附属病院救命救急センター



溝端 康光 先生

教 育 講 演 4

5 月27日  14:20 Web 第 2 会場

 司 会  順天堂大学医学部附属浦安病院救急診療科



田中  裕 先生

教 育 講 演 5

5 月27日  15:30 Web 第 2 会場

 司 会  日本体育大学保健医療学研究科



横田 裕行 先生

教 育 講 演 6

5 月27日  19:30 Web 第 1 会場

 司 会  長崎大学病院救命救急センター



田崎  修 先生

教 育 講 演 7

5 月27日  16:30 Web 第 2 会場

 司 会  東京都済生会中央病院救急診療科



関根 和彦 先生

教 育 講 演 8

5 月27日  13:10 Web 第 3 会場

 司 会  帝京大学医学部附属病院高度救命救急センター



三宅 康史 先生

教 育 講 演 9

5 月27日  14:10 Web 第 3 会場

 司 会  佐賀大学医学部附属病院高度救命救急センター

(2)

外傷に伴い生理的止血・創傷治癒を目的とした炎症凝固線溶反応が起こる.本反応は自然免疫反応である が,重症外傷では病的炎症凝固線溶反応である DIC が発症する.1960年代から外傷性凝固障害の本態は DIC と認識されているが,2008年に活性化プロテイン C 仮説を根拠として欧米外傷外科医は DIC なる病 態は存在しないとの新説を主張し始めた.爾来欧米外傷外科医と十数年に渡る論争を繰り返して来たが, 活性化プロテイン C 仮説(活性化プロテイン C がトロンビン産生を抑制し,PAI-1を減少させて外傷初 期出血を起こす)は否定された.これに伴い2019年国際血栓止血学会で欧米外傷外科医と DIC は存在し ないとの主張も誤りであるとの合意に至った.何故活性化プロテイン C仮説が登場したのか ? 成分輸血 の登場に伴い「外傷自体」が凝固障害を起こす事が忘れ去られ,欧米外傷外科医が不十分な FFP 輸血に 伴い発症する希釈性凝固障害,低体温,アシドーシスを外傷性凝固障害の本態と誤解した事,血管内凝固 が本態である DIC が何故出血を起こすのか理解できなかった事が主因である.2000年代初頭に希釈性凝 固障害神話が否定され「外傷自体」が凝固障害を起こすと気付いたが,その病態生理を構築出来ず2008年 に公表された活性化プロテイン C 仮説にとびついたのが真相である.既述した様に DIC の本態は病的炎 症凝固線溶反応であり,その引き金は「傷害により変容した自己 ,alteredself」,即ち DAMPs であり, その中心となるのがヒストンである.DAMPs は,血小板・好中球,単球,第 XII 因子,補体経路を活性 化して凝固亢進,凝固制御機能不全,血管内皮細胞傷害を引き起こすが,その主体となるのが NETs で ある.NETs は本来傷害を局所に止め生体損傷を最小限にして修復を図る局所自然免疫炎症凝固線溶反応 であり,これが全身に播種した状態を DIC と呼称する.外傷初期には病的全身性線溶亢進が起こり,外 傷と言う一つの病態がDIC と病的全身性線溶亢進を同時に引き起こすが,これが線溶亢進型 DIC の本態 である.本講演では,十数年の論争を楽しく学んで頂いた後,外傷性 DIC の最新の病態生理を科学的に 概説する. 略歴 丸藤  哲(がんどう さとし) 1978年 北海道大学医学部医学科卒業 1978年 北海道大学医学部麻酔学講座入局 1981年 大阪府立病院救急医療専門診療科 1983年 市立札幌病院救急医療部 1997年 北海道大学医学部附属病院集中治療室 副部長・講師 1999年 北海道大学大学院医学研究科 侵襲制御医学講座 救急医学分野 教授 2018年 札幌東徳洲会病院 顧問兼救急集中治療センター長 〜 現在 教育講演1 札幌東徳州会病院救急集中治療センター

丸藤  哲

EL︲1 DIC と外傷性凝固障害

(3)

学会活動 国内 日本救急医学会 日本集中治療医学会 日本臨床救急医学会 日本血栓止血学会 日本薬理学会 国外 SocietyofCriticalCareMedicine (FCCM) EuropeanSocietyofIntensiveCareMedicine InternationalSocietyonThrombosisandHaemostasis

(4)

2002年に初版が発行された「外傷初期診療ガイドライン(JATEC)」は定期的に改訂が行われており, 2021年 2 月には最新の第 6 版が公表された.今回の改訂では,外傷初期診療に関する最新の知見を取り入 れたほか,テキストと JATEC コースの一体感を持たすべくコース教材の一部を QR コード化し,テキス トで事前学習・事後学習を行う際の便宜を図っている.いっぽう,JATEC コースは,コロナ禍の影響を 受け 1 年間以上開催ができなかったものの,この期間を利用して,医学教育の IT 化や,withコロナの時 代の教育コースのあり方も考慮したガイドライン第 6 版準拠のコースの開発を進めてきた.抄録作成の段 階ではまだコース内容は確定していないが,学術集会では,コース改訂の経緯と最新のコース内容,さら には今後の改訂予定を提示する予定である. 冨岡 譲二 (とみおか じょうじ) 社会医療法人緑泉会 米盛病院 副院長 昭和36年  :宮崎県えびの市生まれ 昭和61年 3 月:佐賀医科大学医学部医学科 卒業 昭和61年 6 月:日本医科大学救急医学教室 入局 平成 2 年10月:日本医科大学多摩永山病院救命救急センター 医員助手 平成 9 年10月:日本医科大学より学位記授与 平成12年 4 月:国立国際医療センター救急部 技官 平成17年 4 月:福岡和白病院救急センター 部長 平成18年 4 月:福岡和白病院救急センター センター長 平成19年10月:医療法人財団 池友会 救急搬送システム部長(兼任) 平成22年 1 月:医療法人財団池友会 福岡和白病院 副院長 平成25年 4 月:社会医療法人緑泉会(りょくせんかい)米盛病院 副院長 所属学会・資格 日本外傷学会(専門医,評議員),日本外傷診療研究機構(理事) 日本救急医学会 (専門医 指導医 評議員) 日本臨床救急医学会(理事 評議員) 日本中毒学会(理事,評議員),日本中毒学会九州地方会(代表幹事) 日本災害医学会(評議員),日本航空医療学会

日本 DMAT 隊員 (統括 DMAT 資格有),日本 DMAT インストラクター 日本災害医学会認定災害医療上級ロジスティクス専門家 JATEC インストラクター,JETEC インストラクター MCLS インストラクター・管理世話人,MCLS-CBRNE インストラクター 教育講演2 社会医療法人緑泉会米盛病院

冨岡 譲二

EL︲2 新しい時代の JATEC

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日本中毒学会認定クリニカル・トキシコロジスト(臨床中毒専門家) エマルゴシニアインストラクター,MIMMS プロバイダー 佐賀大学医学部非常勤講師(救急医学) 下関看護リハビリテーション学院非常勤講師(国際看護・災害看護) 国際協力機構 国際緊急援助隊医療チーム総合調整部会長 鹿児島県災害医療コーディネーター

(6)

DefinitiveSurgicalTraumaCare(DSTC) コ ー ス は,InternationalSurgicalSociety/TheSociété InternationaldeChirugie(ISS/SIC; 万 国 外 科 学 会 ) の 下 部 組 織,TheInternationalAssociationfor TraumaSurgeryandIntensiveCare(IATSIC)が監修する国際標準の外傷外科トレーニングコースであ る.メスを持たない医師向けの DefinitiveAnaestheticTraumaCare(DATC)コース,看護師のための DefinitivePerioperativeNursesTraumaCare(DPNTC)も設立され,シームレスなチームワークがコー ス上で実現している. 実際のケースシナリオを用いた臨床決断のグループディスカッションでは,外傷診療上の臨床決断は「確 信によってではなく予測に基づいて意思決定される」ため,限られた情報や検査結果からより良い決断に 至る過程を,厳選されたケースシナリオを用いて学ぶ機会が設けられている.動物を用いた実技実習では, 経験豊富な外傷外科医,麻酔科医,集中治療医,看護師の指導の下,生理学的病態変化に即応しつつ,基 本的な外傷外科手技と「蘇生のための臨床決断」を学ぶ. AmericanCollegeofSurgeons の監修するコースとして AdvancedSurgicalSkillsforExposurein Trauma(ASSET)と AdvancedTraumaOperativeManagement(ATOM)がある. こうしたコース参加により,かならずや我が国の外傷診療のレベルアップにつながるものと確信してい る. 藤田  尚(フジタ タカシ) 1962年 岩手県宮古市生まれ 経歴 自1984年 4 月 1 日至1990年 3 月31日 群馬大学医学部学士 自1990年 4 月 1 日至1995年 3 月31日 聖路加国際病院外科レジデント 自1995年 4 月 1 日至1998年12月31日 帝京大学救命救急センター助手(特別任用教育職員) 自1999年 1 月 1 日至2002年 3 月31日 板橋中央総合病院外科医員(派遣医) 自2002年 4 月 1 日至2004年 3 月31日 帝京大学救命救急センター助手(特別任用教育職員) 自2004年 4 月 1 日至2004年 8 月31日 南カルフォルニア大学外傷外科 VisitingFellow 自2004年 9 月 1 日至2005年 3 月31日 帝京大学救命救急センター助手(特別任用教育職員) 自2005年 4 月 1 日至2009年 3 月31日 板橋中央総合病院外科医員(派遣医) 自2009年 4 月 1 日至2014年 5 月31日 帝京大学救命救急センター・救急医学講座講師 2011年 9 月30日 医学博士(帝京大学) 自2014年 6 月 1 日至2020年 3 月31日 帝京大学救命救急センター(現高度救命救急センター) 救急医学講座准教授 2021年 4 月 1 日より 帝京平成大学医療メディカル学部教授 教育講演3 IATSICCouncillor 帝京平成大学健康メディカル学部

藤田  尚

EL︲3 DSTC を中心にした外傷外科教育

(7)

現在 日本外科学会,専門医,指導医 日本救急学会,専門医,指導医 日本消化器病学会,専門医,指導医 日本消化器外科学会,専門医,指導医 日本外傷学会,専門医,指導医 AmericanCollegeofSurgeons,Fellow AmericanAssociationfortheSurgeryofTrauma,ActiveMember InternationalAssociationofTraumaSurgeryandIntensiveCare,Councillor

(8)

 外傷患者における出血のコントロールとして,外科的止血術と画像下治療(InterventionalRadiology; IVR)とは互いの利点を生かして相補的に行われるべきものであり,比較されるものではない.両者に共 通するのは,全身状態を考えて治療方針を検討する,なかでも時間を加味する,ことである.  全身状態には,循環状態や凝固状態が含まれる.多部位からの出血により循環状態から外科的止血術と IVR との戦略を検討し,そのほかに凝固障害などを考慮して,その戦略の中で戦術も変える必要がある. 戦術を検討する中で,時間的猶予がない,凝固障害がある場合はダメージコントロール手術を選択する必 要がある.ダメージコントロール手術では,第 1 段階として Abbreviatedsurgery が選択され,60分程度 で止血・感染制御を主体とした治療が行われる.ダメージコントロール IVR(DamageControlIVR; DCIR)は,この Abbreviatedsurgery に相当するものである.IVR による感染制御は困難であり,止血 において通常の外傷 IVR と異なった考え方で行う.  DCIR の詳細な手技に関する定義はないが,時間を節約し,止血を優先するために様々な工夫が必要で ある.代表的なものとして,①塞栓エリアの優先順位,②塞栓範囲の決断,③塞栓物質の選択があげられ る.①塞栓エリアの優先順位には,時間当たりの出血量が関与する.CT を施行していればこれが参考に なる.②塞栓範囲の決断には,塞栓範囲によるその臓器の血流障害の影響を考える必要がある.③塞栓物 質の選択には,止血開始から完了までの時間を考慮する.いずれにしても,外科手術を一人で行わないの と同じで,IVR も一人で行わず,上記①〜③を主体とした DCIR の基本事項を考えながら,最善の道を 選択し,外科的止血術とを組み合わせながら治療にあたる必要がある.実際に IVR の手技を行わない医 師にとっても重要な考え方であり,外傷診療チームとして共有しなければならない. 略 歴 書 (2021年 4 月 1 日現在) 【氏  名】船曵 知弘(ふなびき ともひろ) 【現  職】藤田医科大学病院救急科病院教授 【最終学歴】慶應義塾大学医学部(1997年 3 月卒) 【職  歴】  1997年 5 月  慶應義塾大学病院研修医(放射線科研修) 1999年 5 月  慶應義塾大学医学部救急部専修医 2001年12月  国立病院機構災害医療センター放射線科医員 2004年 5 月  慶應義塾大学医学部救急医学助教 2007年 4 月  済生会横浜市東部病院救急科医長 2008年 4 月  慶應義塾大学医学部講師(非常勤・救急医学) (〜2020年 3 月) 2015年 4 月  済生会横浜市東部病院救急科副部長 2017年 4 月  済生会横浜市東部病院救急科部長(〜2020年12月) 教育講演4 藤田医科大学病院救急科1) 済生会横浜市東部病院救命救急センター2)

船曵 知弘

1)2)

,豊田幸樹年

2)

,妹尾 聡美

2)

,

松本 松圭

2)

,清水 正幸

2)

EL︲4 重症外傷におけるダメージコントロール IVR とは

(9)

2017年11月  島根大学嘱託講師(医学部 AcuteCareSurgery 講座) (兼任) 2020年 4 月  慶應義塾大学医学部客員講師(救急医学)(兼任) 2020年 8 月  済生会横浜市東部病院 救命救急センターセンター長 横浜市重症外傷センターセンター長 2021年 4 月  藤田医科大学病院救急科病院教授 【資  格】  医師免許取得(医籍登録1997年 4 月30日) 博士(医学)取得(2009年 3 月 9 日) 《専門医・指導医等》 日本救急医学会救急科指導医 / 救急科専門医 日本医学放射線学会放射線診断科専門医 日本外傷学会外傷専門医 日本 IVR 学会専門医 日本腹部救急医学会腹部救急認定医 日本腹部救急医学会暫定教育医 日本 DMAT 隊員(統括資格) 《インストラクター》 日本救急医学会認定 ICLS インストラクター・ディレクター・地区委員 日本救急医学会認定 ICLS 指導者養成 WS 開催ディレクター 日本内科学会認定 JMECC インストラクター 日本災害医学会認定 MCLS インストラクター・世話人 日本外傷診療研究機構 JATEC ゴールドインストラクター 日本外傷診療研究機構 JETEC インストラクター 一般社団法人 JPTEC 協議会JPTEC インストラクター・関東地区世話人 【役 職 等】  日本救急医学会評議員 日本外傷学会理事 / 評議員 日本腹部救急医学会評議員 日本救急放射線研究会理事 日本 IVR 学会代議員 日本外傷診療機構(JTCR)理事 DIRECT 研究会代表幹事 【著  書】 《書籍;単著のみ》 1.救急 IVR 止血術完全マスターガイド(金芳堂) 2.救急画像診断「超」入門-危険な所見を見抜くために-(メディカル・サイエンス・インターナショナル) 3.救急画像診断アトラス-内因性疾患編その 1 -(ベクトルコア) 4.救急画像診断アトラス-内因性疾患編その 2 -(ベクトルコア) 5.救急画像診断アトラス-外傷編-(ベクトルコア) 6.腹部単純 X 線アトラス(ベクトルコア)

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 爆発に由来する頭部外傷を頭部爆傷(blast-inducedTBI,bTBI)と言い,イラク,アフガニスタンに おける即製爆発装置を用いたテロの多発を発端に,世界規模で受傷者が急増している.その特徴は急性期 に軽症と診断されながら,高次脳機能障害や片頭痛・フォトフォビア,睡眠障害,視覚・聴覚障害等を高 率に来すことで,外傷後ストレス障害(PTSD)との関連も指摘されている.見えない外傷と呼ばれ,米 国を中心に社会問題化している.臨床神経病理像として,白質軸索損傷,グリア瘢痕,タウオパチーなど が報告されているが,その本態は明らかでなく,メカニズムも未解明である.このため,世界規模の精力 的な研究にもかかわらず信頼性の高い動物モデルは確立されておらず,医学対処法の研究は進んでいない.  爆発は衝撃波と爆風を発生させるが,衝撃波の作用を 1 次(primary)メカニズム,爆風による飛産物 の衝突作用を 2 次メカニズム,爆風による加速や転倒の影響を 3 次メカニズムと言う.一般に bTBI はこ れらの複合で生ずるが,上記高次脳機能障害等には 1 次メカニズムが深く関わっていると考えられている. 従って動物実験においては,これら各作用を分解して扱わなければならない.また実際は全身が衝撃波に 曝露されることが多いが,例えば頭部を防護しても,胸部・腹部の曝露が脳に影響を与えることがわかっ ており,曝露部位の影響も考慮しなければならない.これらを留意することなく動物実験が行われると, 得られた結果の解釈が困難である.  レーザー誘起衝撃波(laser-inducedshockwave,LISW)は爆風を伴わず( 1 次メカニズムのみ),ま た空間的に限局した衝撃波であることから,上記問題を回避した実験が可能である.ラット頭部に LISW を適用するモデルにおいて,大脳皮質における拡延性脱分極と持続性低酸素血症の発生,髄膜の脆弱性と それに関連したグリア瘢痕の形成,脳の老廃物排出系の異常などが明らかになってきた.これら最新の知 見について紹介したい. <略歴> 佐藤 俊一(さとう しゅんいち)  1959年仙台市生まれ.1981年慶應義塾大学工学部電気工学科卒,1986年同大学院工学研究科博士課程修 了(電気工学専攻),工学博士.同年,(財)工業開発研究所(その後,産業創造研究所に改称)レーザー 研究センター研究員.産業用高出力レーザーとその応用技術の開発研究に従事.1997年11月,防衛医科大 学校防衛医学研究センター情報システム研究部門助教授(その後准教授).2016年10月,同センター生体 情報・治療システム研究部門教授.2021年 1 月,同センター長(現在に至る).光・レーザーを用いた新 規診断・治療技術の研究に取り組んでおり,特に光音響イメージング法による熱傷診断,光線力学効果を 用いた創部感染制御,レーザー誘起衝撃波を用いた頭部爆傷のメカニズム解明とモデル化に力を入れてい る.1991年レーザー学会論文賞,1998年軽金属溶接構造協会論文賞受賞.日本レーザー医学会理事,同安 全教育委員会委員長,日本光線力学会幹事,電気学会「次世代バイオメディカル・レーザ応用技術調査専 門委員会」委員長(2004〜2006年度),「バイオメディカル・フォトニクス先端技術調査専門委員会」委員 長(2007〜2008年度)等. 教育講演5 防衛医科大学校防衛医学研究センター生体情報・治療システム研究部門

佐藤 俊一,川内 聡子

EL︲5 レーザー誘起衝撃波を用いた頭部爆傷研究最前線

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 交通事故などの外傷による出血性ショック患者に対する緊急時の輸血に際して,米国では最近,新鮮全 血輸血を行う試みがある.本来であれば,赤血球と血漿,そして血小板を 1 : 1 : 1 でバランスよく輸血 することが望ましいが,緊急時に血小板を大量に輸血することは至難である.そのため,止むを得ず,血 小板成分が入っている新鮮全血を輸血しているのが実情である.このように大量出血時の緊急蘇生輸血で は止血成分の迅速投与が極めて重要で,米国はじめ世界各国で血小板代替物の開発が急がれている.私た ちは人工赤血球と乾燥血漿,それに人工血小板から成る人工血液の研究開発を進めており,これらは室温 で 1 年以上の長期保存が可能である.とくに人工血小板は室温静置で震盪せずに保存でき,かつ血小板と 同等の止血効果があるといった極めて魅力的な特長を有している.本剤は血小板活性化因子である ADP (アデノシン二リン酸)を内包した径170nm のリポソームの表面に活性化血小板とのみ結合するフィブリ ノーゲンの活性部位を付けた構造をしている.活性化血小板は出血部位にしか存在しないため,本粒子は 出血部位に特異的に集積し,ここで ADP を放出して流血中の血小板を活性化し,血小板血栓の形成を促 進する.血小板減少により易出血性となった家兎に致死性の臓器出血を作製し,人工血小板を投与するこ とで血小板輸血と同等の止血効果が得られている.しかしながら,止血出来た家兎は致死性の貧血を呈し 赤血球輸血が必要な状態となる.これに対しリポソームにヘモグロビンを内包した人工赤血球を投与する ことで貧血が改善し,通常の血小板輸血,赤血球輸血と同等の救命効果が得られている.人工赤血球は血 液型に関係なく投与が可能である.現在,人工血小板,人工赤血球共に動物実験をほぼ終了し,臨床治験 を行う段階に来ている.私たちはこの人工血液を出血性ショック患者にプレホスピタルで迅速輸血して救 命することを目指しており,今回は,その一端を紹介したい. 木下  学  57歳 昭和38年,奈良県生まれ 昭和63年 3 月 防衛医科大学校 卒業 平成 3 年 8 月 防衛医科大学校病院にて専門研修医(外科) 平成 6 年10月 防衛医科大学校医学研究科入学(外科侵襲学専攻) 平成 8 年 8 月 米国スタンフォード大学 留学(侵襲免疫学) 平成10年 9 月 防衛医科大学校医学研究科 卒業 平成10年10月 自衛隊岐阜病院外科医長 平成13年 4 月 防衛医科大学校防衛医学研究センター外傷研究部門 平成15年 1 月    同   指定講師 平成19年10月 防衛医科大学校免疫微生物学講座 准教授 現在に至る 専門分野  免疫学(侵襲時の生体防御応答の制御),外科侵襲学, ナノ医学(人工赤血球,人工血小板,ナノシートの医療応用) 教育講演6 防衛医科大学校免疫微生物1),生理学2),外科3),産婦人科4), 防衛医学研究センター外傷研究部門5),奈良県立医科大学化学6),早稲田大学理工学術院₇)

木下  学

1)

,萩沢 康介

2)

,石田  治

3)

,石橋 弘樹

4)

,齋藤 大蔵

5)

酒井 宏水

6)

,武岡 真司

7)

EL︲6 人工血液 ~外傷治療における明日にかける橋~

(12)

主たる所属学会 米国ショック学会(EditorialBoardmember) 日本エンドトキシン自然免疫研究会(監事理事) 日本 Shock 学会(理事) 日本外科代謝栄養学会(評議員,編集委員,用語委員) 日本腹部救急医学会(評議員) 日本血液代替物学会(評議員),免疫学会,細菌学会

(13)

 尿道外傷(Pelvicfractureurethralinjury,PFUI)は不安定型骨盤骨折に合併する比較的まれな泌尿器 外傷で,圧倒的に男性に多くみられる.尿道外傷自体は決して致死的ではないが,長期的には悩ましい尿 道狭窄を続発して QOL を損なうリスクがある.患者の大半は若年者であるため,適切に対応できないと カテーテル管理から離脱できなくなり,社会復帰に支障をきたす.未曾有の超高齢化社会を迎える我が国 の貴重な生産年齢人口を守るという意味でも軽視できない外傷と言える.  尿道外傷の治療は受傷直後に行われる初期治療と続発する尿道狭窄に対する待機的治療に分かれる.初 期治療の目的は尿のドレナージルートを確保することであり,損傷した尿道には手を加えず膀胱瘻 (SupraPubicTube,SPT)を造設するか,内視鏡や透視下で損傷部を確認しながら尿道カテーテルを留 置して尿道の連続性を回復させる PrimaryRealignment(PR)の選択がある.PR は SPT に比べて尿道 狭窄の続発率が低く,仮に狭窄しても尿道の連続性が確保されていて待機的治療が容易になるという意見 がある一方,PR を選択すると治療が長期化して狭窄がかえって複雑になるという意見もあり,両者の是 非については現在もなお議論が続いている.  尿道狭窄に対する待機的治療は患者の社会復帰を実現するために極めて重要である.最も治癒率が高い 待機的治療は開放手術による尿道形成術である.尿道形成術は会陰部の狭い創のなかで正常な解剖学的構 造が失われた骨盤の奥深くを正確に操作する必要があることから,泌尿器科領域で最も challenging な手 術と考えられている.一方,内尿道切開,尿道ブジー,尿道ステントといった経尿道的治療は外来や短期 入院で簡便に行えるため広く普及しているが,治癒率が絶望的に低く尿道に無用なダメージを与えて狭窄 をより複雑にする可能性がある.したがって,経尿道的治療で狭窄を複雑化する前に尿道形成術の経験豊 富な泌尿器科医に症例を集約することが望ましい.  本講演では防ぎ得る後遺障害を最小限に食い止め,真の社会復帰を促すために必要な尿道外傷のマネジ メントについて解説する. 履歴書 堀口 明男(ほりぐち あきお) 昭和45年生まれ 最終学歴 平成 6 年 慶應義塾大学医学部卒業 職歴 平成 6 年 慶應義塾大学医学部 外科  平成 8 年 慶應義塾大学医学部 泌尿器科  平成15年 防衛医科大学校泌尿器科 助手  平成16年 米国コーネル大学泌尿器科リサーチフェロー  平成20年 防衛医科大学校泌尿器科 講師 教育講演7 防衛医科大学校泌尿器科学講座

堀口 明男

EL︲7 骨盤骨折にともなう尿道外傷のマネジメント

~適切な初期治療と待機的治療は何か?~

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 平成30年 防衛医科大学校泌尿器科 准教授 現在に至る 学会認定医,専門医など  日本泌尿器科学会専門医,指導医  日本泌尿器科学会 外傷・救急医療部会 副部会長  AudioVisualJournalofJUA モニター委員  日本再生医療学会 認定医  日本泌尿器内視鏡学会 泌尿器腹腔鏡技術認定医  日本内視鏡外科学会 技術認定医  日本がん治療認定医  日本医師会認定産業医  BoardofDirectorSocietyofGenitourinaryReconstructiveSurgeons 賞罰 2007年 防衛医科大学校学術集会賞 2011年 第49回日本癌治療学会 優秀演題賞 2015年 第29回日本外傷学会総会 会長賞  IJUrevieweroftheyear2015 2016年 BestDoctorsinJapan2016-2017 2018年 BestDoctorsinJapan2018-2019 2018年 第106回日本泌尿器科学会総会賞(ビデオ)

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 2003年より運用開始された日本外傷データバンク(以下,本レジストリシステム)は,防衛医科大学校 齋藤大蔵教授にご指導をいただき,半年間の開発期間をいただき,2019年 4 月に新レジストリとしてサイ トオープンいたしました.ご研究数も数多く排出されている本レジストリシステムの運用をするに至りま した.救急・災害向けのシステム開発,運用を行ってまいりました.本レジストリシステムの構築を行う にあたり検討してまいりました内容についてご紹介いたします.  本レジストリシステムは,ケーアイエス社と東京大学が開発されました MCDRS を用い構築いたしま した.MCDRS(https://mcdrs.jp/)は SS-MIX との連携実績がある他,分散データベースである HBase をシステム基盤に用いている実績のある,多目的臨床データ登録システムです.MCDRS について ご紹介をさせていただきます.  開発や利用のご経験のある方が多いと思いますが,データベースマネージメントシステムは,その種類 を誤ると,データ量の増加により,パフォーマンスの劣化するなど,運用上課題が生まれることがありま す.なぜ,毎日大量のデータがアップロードされる YouTube は検索が速いのか.なぜ,大量のコンテン ツを保持している Netflix は障害が発生しないのかなど,具体的なシステムを例に,日本外傷データバン クが採用されたシステムの妥当性について知っていただきたいと考えております.データ入力をされる皆 様向けに入力項目についての説明の他,運用における注意事項をご案内いたします. 高倉 経之(たかくら のりゆき) 2007年 岩手大学大学院農学研究科卒.株式会社システム計画研究所,富士フィルムメディカル IT ソ リューションズを経てバーズ・ビュー株式会社救急・災害医療 ICT 開発部にて主にシステムの開発と運 用を担当.大学で培った生物統計学と,前職で身に付けた情報科学をベースとし,保守管理だけでなく, 集計,統計の相談対応も行う. 教育講演8 バーズ・ビュー株式会社救急・災害医療 ICT 開発部

高倉 経之

EL︲₈ 日本外傷データバンクの新システム構築と

データ入力について

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2020年に日本外傷データバンクのシステムが更新されました.それに伴い使用する外傷コード が AbbreviatedInjuryScale(AIS)90update98(AIS98)から AIS2005update2008(AIS2008)に変更さ れました.AIS2008は AIS98と比較してコード数が約600多く,またコード化規則が追加・変更されたり, 重症度が変更されております.その結果 InjurySeverityScore(ISS)は AIS98を元にした場合に比べて, AIS2008を使用した方が統計学的に有意に小さいことが複数報告されています.故に外傷登録の際に正し い AIS コードを選択するには AIS98と AIS2008の違いを理解し,AIS2008のコード化ルールを正しく適用 することが必要です.本セミナーでは AIS98と AIS2008の違い・変更点を説明し,そのあと各身体部位ご とに加えられた変更点,注意すべきコード化規則を例を使って説明します.また,実習では簡単な傷病に ついて実際にコード化していただきます.(本セミナーを受講される方は AIS2005Update2008 日本語 対訳版を用意していただくようお願い申し上げます) HIDEOTOHIRA Curriculumvitae PERSONALINFORMATION Familyname:Tohira  GivenName:Hideo Currentworkaddress:CurtinUniversity,KentStreet,BentleyWA6102 Workemailaddress: hideo.tohira@curtin.edu.au EDUCATIONHISTORY DoctorateofPhilosophyinEmergencyMedicine(PhD),TheUniversityofWesternAustralia 2013 MasterofPublicHealth(MPH),TheUniversityofWesternAustralia 2008 BachelorofMedicine(MD),OsakaUniversity 1994 MasterofEngineering(MEng),KyotoUniversity 1990 BachelorofEngineering(BEng),KyotoUniversity 1998 CAREERHISTORY

CurtinUniversity,BentleyAustralia ResearchFellow 2013–present AlbanyHealthCampus,AlbanyAustralia RMO(0.6FTE) 2020 UWA,CrawleyAustralia ResearchAssistantProfessor 2012–2013 教育講演9(実習を含む) CurtinUniversity,Prehospital,Resuscitation,EmergencyCareResearchUnit(PRECRU)

東平日出夫

EL︲9 JTDB セミナー:AIS200₈コーディング

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FukushimaHospital,OsakaJapan Physician 2005–2007 SenshuCriticalCareMedicalCentre,OsakaJapan Consultant 2004–2005 SenshuCriticalCareMedicalCentre,OsakaJapan Registrar 1994–2004 SenshuCriticalCareMedicalCentre,OsakaJapan Resident 1998–1999 NationalToseiHospital,ShizuokaJapan Resident(Surgery) 1996–1998 SenshuCriticalCareMedicalCentre,OsakaJapan Resident 1995–1996 OsakaUniversityHospital,OsakaJapan Intern 1994–1995 REGISTRATIONS,QUALIFICATION SeniorFellow(FJAAM)JapaneseAssociationofAcuteMedicine(#464) 2004–present Medicalregistration(Australia)Limitedregistration 2020–2021 Medicalregistration(Japan)Generalregistration 1994–present AWARDSANDSCHOLARSHIPS TheSophusFalckAward,InternationalConferenceonEmergencyMedicine 2016 ScholarshipsforInternationalResearchFees,UniversityofWesternAustralia 2009–2012 APPOINTMENTINSOCIETIES MemberoftheAssociationoftheAdvancementofAutomotiveMedicine 2017–present MemberoftheScientificReviewCommittee,InternationalResearchCouncilofBiomechanicsofInjury  2015–present MemberofNationalTraumaRegistryCommittee,JapaneseAssociationfortheSurgeryofTrauma  2004–present

参照

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