大 震 災 の 経 験
は じ め に 1995年1月17日 の 大震 災 は淡 路・ 阪 神 地 区 に多 大 な 被害を もた らし た。 今後 の 参考 に な る かと 思 うの で 当院で の経 験を 報告 す る。 当 院は1948年 に神戸 市 中央 区 に設 立さ れ 、 1986年3月 に北 区 惣 山町 へ 新 築 移 転し た。 病 床 数402床 、年 間 退院 数約5300、1日 平均 外 来 患 者 数1100人 の総合 病 院で あ る。 建物 は地 上 7階、 地 下2階 で 図 書 室 は7階東 部 分 に位 置 し て い る。 地 震 直 後 当 院 は神 戸 市の 北、 六甲 山 系 の裏側 に 位 置 す るた め、 病 院全 体と して みれば 被害 は比較 的少 な か った。 当 初よ り電 気 、ガ ス、 水 道 の ラ イフ ラ イ ンは確 保で き た ため 、病 院業 務 へ の 支障 はあ ま り なか った。 病院 職員 の 人的 被 害 はな か ったが 、肉 親を 亡 く し た 者A名 、家 屋 が 倒 壊 し た者15名を は じ め 家 屋 の半 壊 や一 部 損 傷 は100名以 上 に 及 ん だ。 私 は神 戸市 中央 区 に 住んで い るた め、 地 震当 日 は 通勤 手段 が奪 わ れ、 電話 連 絡が と れ た の も10時近 く にな って か らであ っ た。 そ の 時 は書 架 など が 倒れ込 ん で いる ため か図 書 室 、 病歴 室 と も内 開き の ドア が開 かな い こと、 そ の ため 中 の 様子 がわ か らな いこ と、 他 の図 書室 職員 が 無事 であ る こと を 知 った。 翌 日に は 天井 の ダ クトを 通 って施 設 課職 員が 室 内 に は や し と もこ : 社 会 保 険 神 戸 中 央 病 院 図 書 室 病 院 図 書 室15(1)25−27.1995林
伴
子
入り 何 と かド アを 開 け ること がで き たが、 診 療 録や 書 籍、 雑誌 の 散 乱は すさ まじ く、 とり あえ ず フ ァ ク シミ リ、 パソ コ ンを 起こす のが や っ とで あ った。 本来 の 日常 的 な業 務を 行 う ことな どは 到底 無 理で 、 外来 窓 口業 務 の応 援、 後片 付け に時 間 が 過 ぎた。 図 書 室 の 被 害 図 書 室、 製 本雑 誌、 書庫 内 の物 的被害 は下 記 の 通り で あ る。 1.木 製 書架 両 面6段3連 3台中1台 片 面6段2連 6台 中3台 上 部 の継 ぎ目 の 破損 、 棚の 破損、 書籍 は ほ とんど 全 部飛 び出し てい て、 一部 は書 架 の下 敷 きに な って い た。 2.雑誌 架 6段 4台 、5段 1台 6段 の もの は2段 重 ねの もので あ った ため 折 れる よ うに 倒 れて いて 破損 が ひどか った。 5段 の もの は倒 れ は し た もの の 見た目 に は 破 損 は見 られ な か った。 3.製 本雑 誌 用 スチ ール棚 全 体が 北方 向 に将 棋 倒し になり ド アを 塞 ぐ 形 にな っ た。 棚 は ほとんど が 歪 み、 製 本 雑 誌 は落 下散 乱 して い た。 4.閲 覧 用机 ・ 椅子 多 少 キズ はあ る ものの使 用可 能。 5.0 A 機 器 パ ソコ ン2機(NECPC−9801 DX,Macin− tosh Centris 610) は床 に落 ちて いた が壊 れ なか った。 プ リ ンタ ーは破 損が ひど く使 25病 院図 書室 Vol.15 No.l,1995 用 不 可で あ っ た。 フ ァ クシ ミリ1台 は多 少 破損 し たが 、 使用 に は差し 支え ない。 ; :棚か ら 落下 、床に 散乱 する書 類 と カ ルテ 復 旧 作業 20日に な って 通勤 手 段が 確保で き、北 区以 外の 地域 の 職員 も出勤で きるよ うに な った。 そこで 本 格的 に 復旧 作業 を開 始 した が、 足の 踏 み場 もな いた め、 で きる だけ 廊下 に運 び出 す こ とか ら始 め た。 1.病 歴 室 ま ず は 診 療 録 を 整 理 し 、 利 用 で き る よ う に す る こ と が 当 面 の 課 題 と な っ た 。 図 書 室 職 員 3名 だ け で は 見 通 し も立 だ な か っ た が 、・業 務 が ス ト ップ し て い る 健 診 セ ン タ ーか ら の 応 援 を 得 て3月 第3週 に は 病 歴 室 内 に 保 管 し て い た 1991年 か ら93年 ま で の3年 分 、約 16,000件 を 整 理 し 直 し 、地 下 の 倉 庫 に 収 納 す る こ と が で き た。 ま た 、 散 乱 し た 個 人 別 カ ー ド も庶 務 課 か ら の 応 援 を 得 て 整 理 統 合 で き た 。 26 2.図書 室 2月 はじ め に 病 歴室 の 日 常 業 務が で きる よ うにな って か ら 、雑誌 の 整理を 行 った。 な る べく製 本 に出 して 身軽 に なる よ うに し たが 、 散 乱が ひど く 、揃 え るだ けで か なり 時間 が か か った。2月28日 に118冊を 製 本業 者 に渡 し た。 受 け入 れ雑 誌 の利 用 は展示 す る場 所 がな い た め 床 置 き の箱 に 入 れ たま ま で 、 雑 誌架 か3月 30日に 納入 さ れ、 やっ と通 常 の雑 誌 の利 用が で きるよ う に なっ た。 書 籍 類 は書 架 の 納 入が5月 連 休 明 け にな る 見通 しで 現 在ま だ ほとん ど手 つ かず の 状態 で あ る。 3.製 本雑 誌書 庫 他 部署 の 応援を 得 て、7人 で2日が かり で 全 部 の製 本 雑誌 を運 び だし た。 棚 は歪 み がひ ど く 使 用で き ない 状 態 であ った 。4月 に 入 って 補 修を 行 っ たが、 製 本雑誌 はま だ運 び込 む こ と がで きず 廊 下に 積ん だ まま の状 態で あ る。 4.日 常業 務 前 述 し たよ うに 、 雑誌 の受 け 入 れ は2月 に な って から 行 ったが 、 書籍 の受 け 入 れ はほと んど して い な い。 相 互貸 借 は1月 は震 災 後で O件で あ った 。2 月に 入 って か ら多 少 落 ち着 くと 依頼が 出始 め、 2月48件、3月73件と 震災 前 の件 数 に戻 って き た。 中 には当 院 所蔵 の 文献 も含 ま れて い るの だが 、取 り 出す こと がで きな い た め他 施設 へ 依頼 した。 また 、総 合目 録な ど どう して も必 要 な 資料 類が す ぐに は取 り出 せ ず、 半数 ちか くは業 者 への 依 頼と な ってい る 。 お わ り に 病 院 と し て は 軽微 。 し かし 図 書 室 は7階 に あ って 揺 れが ひど く スチ ール棚 、キ ャビ ネ ッ ト 、書架 の倒壊 や 破損 が 大き か った。 復 旧 作 業を 通 して 思 うの はい か に人手 が大 事か とい う ことで あ る。 もの一 つ運 び 出 すに も人手 が 多け れ ば多 い ほど よく 捗 る。 震 災後 、 早い 時 期に 病図 協 か らの被 災状 況
の問 い 合わ せ があ り、 慰問 や 見舞 金、 ボラ ン テ ィ アの申 し 出等 の 支援を い ただ い た。 まだ ボ ラ ンテ ィ アにつ いて は実 現 して い ない が 人 手 は まだ まだ 必 要で 、何 らか の 形で 手 伝っ て い た だけ れ ばと 考え てい る。 今回 の地 震 は未明 に 起こ った ため 職 員の 人 的 被 害 はな か った が、業 務中 で あ った な らば 我 々もど ん な こと にな って い たが わか ら ない。 棚 の 固定 等を 十 分 に行 って い なか っ た点 は反 省す べ きで あ るが 、実 際問 題 とし て かな り の 重 量 のあ る書架 、 キ ャビ ネ ットな ど が動 き 、 倒壊 す る とは 想 像 もつ かな か っ たこ とで あ る。 高さ の 低い 書架 で 統一 し、 逃 げ られ る スペ ー 病 院 図 書 室 Vol.15 No.l,1995 スを 確 保 し て 安 全 を 期 す る の が い ち ば ん 良 い の だ が 、 スペ ー ス に ゆ と り の な い 病 院 図 書 室 で は 到 底 無 理 で あ ろ う 。 と は 言 う も の の 、 職 員 の 安 全 、 利 用 者 の 安 全 は 第 一 に 考 え な け れ ば な ら な い こ と で あ る 。 今 後 は 防 災 訓 練 等 で と っ さ の 判 断 や 動 作 を 修 得 す べ き で あ ろ う 。 阪 神 大 震 災 を 経 験 し て 、 当 院 で の 状 況 を 報 告 し た が 、 災 害 は い つ 、 い か な る 時 に 、 ど こ で 起 き る か わ か ら な い 。 日 頃 防 災 を 心 が け る こ と が 大 事 で は あ る が 、 起 こ っ た 後 の こ と も 考 え て お く 必 要 が あ る と 思 う 。 一 施 設 だ け で は ど う に もな ら な い 場 合 も あ る の で 、 図 書 室 ネ ッ ト ワ ー クで の 支援 体 制 の 充 実 を 期 待 し た い。