中国・内モンゴルにおける民族教育の現状と課題：―インタビュー調査の分析を中心にして―

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(1)中国・内モンゴルにおける民族教育の現状と課題. 一インタビュー調査の分析を中心にして一. 教科・領域教育学社会系コース. M09156D 吟斯巴特ホ 1、研究目的と方法現在、中国は漢民族を中心に経済や科学. 2、論文構成序章. 技術の発展が目覚しくし、国際影響力もますます高まっている。しかし、中国におけ. 内モンゴルのモンゴル民族教育. ん井土. 界一早. る55の少数民族地域の文化、科学技術の発展ははるかに遅れた状況に置かれ、沿海部. の発展と現状第一節. と内陸部、漢民族地区と少数民地域の間で. 近代内モンゴル教育の発展とその思想. は格差が拡大している。民族の言語・文化. 第二節. の使用範囲が縮小し、民族文化産業は破壊. 新中国成立後のモンゴル民族教育政策. されている。また、学校教育制度や教学内. 第三節. 容についてみると、いわば、民族語で民族. データから見るモンゴル族の学校教育. 大学を卒業した学生の就職問題、民族小・中学校の合併、民族特徴を失った教材内容. インタビュー事例調査を通じた. ん井一］士＝. 弔＿早. などさまざまな原因により、民族地域の入. モンゴル民族教育の分析. 口構造、社会環境、人々の意識が大きく変. 第一節. 調査の概要. 容し、教育と地域は悪循環のなかにある。. 第二節. 内モンゴル・モンゴル族大学生. 本研究では、中央政府の民族教育政策や. の大学生活と卒業後の進路. インタビューを通じてモンゴル族学校教育. ユ. 2. の現状を失明した。そして、民族教育に関連した地域社会の変遷及びその原因を明ら. BJの大学への思い出. BJの区外大学進学と言語のかかわり. かにした。その上で、日本の村づくりの経. 3. 区外大学を選んだ理由. 験を参考にして、中国・内モンゴルにおける. 4. 区外大学で勉強する経験. 学校教育の問題解決と民族地域社会発展の. 5. BJの日本への留学. あり方について考察した。. 6. 電話調査一農民の収入時期と学校始業時間との時間差について. 第三節. 海外留学を望む集団の形成. 第三章民族地域社会構造の変遷. 第一節モンゴル文化産業の再衰退. 一304⊥.

(2) 第二節民族地域における社会変化. 第三章では、少数民族地区にとって、教. 第三節教育と地域社会. 育制度そのものが、地域の社会構造、人口. 第四節モンゴル民族地域社会の課題. 年齢構造に大きな影響を与えていることを. と展望一日本の村づくり経. 論じた。モンゴル族の大学卒業生たちは就. 験から見えてくること一. 職で言語の制限を受けている。大学卒業後も引き続き都市部に残り続ける若者が多いだけでなく、寄宿学校制度や小・中学校の. 終章課題と展望. 統廃合によって学齢児童が農牧区の親元を 3、論文の概要. 離れて都市部に住むようになるなど、民族地域社会の変遷を明らかにした。さらに、. 第一章では、まず民国期から新中国成立. 日本の長野県栄村の村づくりの経験を分析. までの内モンゴル・モンゴル民族教育の発. しながら、内モンゴル民族地域と民族教育. 展について整理した。主にモンゴル族の進. の基礎建設に参考となる知見をまとめた. 歩的な思想をもった王公たちの教育活動に焦点をおいて概観した。続いて、新中国成. 4、研究成果と課題. 立後の民族教育・言語政策の特徴について、. 少数民族の言語・文字・文化を保護する一. 中国中央政府の、各少数民族に対する優. 方で、国民統合を目指した同化政策の側面. 遇教育政策などの下で、民族教育はかつて. が強いことも指摘した。また、「文化大革命」. ない発展を遂げた。しかしこれらの政策は. を含む様々な曲折を経て改革開放政策や市. 漢民族への統合的性格が強く、かえって民. 場経済が導入されると、モンゴル族は民族. 族教育は民族の特徴を失い、モンゴル民族. 言語の喪失の危機に面し、民族文化が破壊. の言語・文化がますます破壊されつつある。. されつつある現状を説明した。その背景と. 教育と民族地域の間には乖離があるため、. して、中央政府の民族に対する言語政策及. 民族地域では人口構成などで深刻な変化が. び学校教育のあり方との関連を指摘した。. 生じ、人々の民族意識までも変化しつつあ. 第二章では、内モンゴルのモンゴル族が、. る。いわば、民族教育が民族地域の発展や. 民族語で勉学することや区外大学において. 持続性に役立っていない。. 漢語で勉学することの意味を考察するため. 今後は、日本の村づくり経験やアジア杜. に、インタビュー調査を実施し、これら一. 農村地域の発展と内モンゴル民族地域の比. 次データを用いて民族教育の問題をモンゴ. 較を進め、モンゴル民族教育と民族地域の. ル族の生活実態に即して明らかにした。つ. 内在要因を考察しづつ、モンゴル民族教育、. まり、就職活動での漢語の優位性、漢族と. 文化、地域社会の持続的発展のあり方を考. のコミュニケーションにおける不利な立場、. えていきたい。. モンゴル民族の言語の継承や教育のあり方が民族アイデンティティのあり方に悪循環. 主任指導教員首藤明和. をもたらしていることなどを明らかにした。. 指導教員首藤明和. 一305■.

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