物価変動会計 に関する国際会計基準
国際 会計基準第.15号 および第29号 の検 討
壹岐
芳弘
International
Accounting
Standards
,
Concerning
Accounting
for Changing
Prices
An Examination
of International
Accounting Standard
15 and 29
Yoshihiro Iki
The International Accounting Standards Commiftee(IASC) has published two International Accounting Standards(IAS) concerning accounting for changing prices : IAS15, Information Reflecting the Effects of Changing Prices(1981), and IAS 29, Financial Reporting in Hyperinflationary Economies(1989). IAS 15 deals with information reflecting the effects of changing prices on the measurements used in the determination of an enterprise's results of operation and financial position. This information is supposed to be supplementary to the primary financial statements. This standard applies to enterprises whose levels of revenues, profit, assets or employment are significant in the economic environment in which they operate . IAS 29 applies to the primary financial statements, including the consolidated financial statements , of any enterprise that reports in the currency of a hyperinflationary economy. IAS 15 proposes two basic approaches to preparation of the information reflecting the effects of changing prices : the general purchasing power approach based on the maintenance of real capital, and the current cost approach based on the maintenance of physical capital(operating capacity of the enterprise). In this paperj will introduce IAS 15 and IAS 29, and examine the proposed several methods of accounting for changing prices, concentrating on the current cost approach of IAS 15.
1.は じ め に ア メ リ カ の 誰 券 取 引 委 員 会 や わ が 国 の 大 蔵 省 な どが 加 盟 す る 証 券 監 督 者 国 際 機 構.(Intemati6nal Org血zahonofSec面UesCo㎜i曲ns;10SCO)が 、1995年 に、 国際 会 計 基 準 委 員 会 が 国 際 的 な資 金 調 達 を行 う企 業 の財 務 諸 表 に 関 す る包 括 的 な会 計 基 準(コ ア ・ス タ ン ダ ー ズ)を 完 成 させ れ ば、 国 際 会 計 基 準 を承 認 す る と表 明 して 以 来 、 各 国 の 会 計 制 度 が 国 際 会 計 基 準 を 中心 に動 き出 して い る。 会 計 ビ ッ グ ・バ ン と呼 ば れ る近 年 の わ が 国 に お け る会 計 制 度 の 急 激 な 変 革 は 、 こ め流 れ の 一. 環 に ほ か な ら な い 。.. 本 論 文 は 、.筆者 が これ ま で研 究 して き た 物 価 変 動 会 計 の 分 野 にお け る2つ の 国際 会 計 基 準 、 す
な わ ち 国 際 会 計 基 準 剿5号 ∬物 価 変 動 の 影響 脅屎 映 す る情 韓 ぎ1准!以 下 ・、IAS第15号)と 国 際 会 計 基 準 第29号r超 イ ン フ レ経 灣 卞タ)財携 韓 告 〔2)』(以下 ・ 叭S第 、29号)..を取 η 上 げ 検 討 す る もの で あ る 。IAS第29号 は 、 超 イ ン フーレ経 済 と い う特 殊 な状 況 を 前 提 と した もの で あ る の で 、 本 論 文 は 、 IAS第15号 を主 た る検 討 対 象 とす る 。 近 年 の イ ン フ レの 沈 静 化 の も とで 、 古 くか ら論 議 さ れ て きた 物 価 変 動 の 会 計 問 題 は 現 在 低 迷 の 時 期 にあ る とい え る。 しか し、 物 価 変 動 を会 計 的 にい か に扱 う か と い う問 題 は 、 資 本 維 持 や そ れ に基 づ く利 益 計 算 とい う会 計 の 基 本 に か か わ る 問題 で あ る こ と に変 わ りは な い 。 国 際 会 計 奉 準 に こ の分 野 の基 準 が 設1オられ で い る!りも、 同 じ趣 旨 で あ る に 導 い なv}。 本 論 文 で は、 国 際 会 計 基 準 にお い て い か な る物 価 変 動 会 計 が 碧 定 され て 吟 る か を、 イ ギ リス や ア メ ゾ カ の 公 的提 案 との 比 較 を交 え なが ら改 め て検 討 して み た い と思 う。ーな お 、 以 下 の本 支 中 に示 ず 項 数 ほ 、 そ れ ぞ れ の 基 準 書 にお け る該 当 パ ラ グ ラ フ を指 す も の で あ る 。 ∬.IAS第15号 『物 価 変 動 の影 響 を反 映 す る情 報 』 の概 要 (1),IAS第15号 の趣 旨 IAS第15号 は 、 物 価 変 動 の 影 響 に 関 す る会 計 情 報 を取 り扱 う基 準 ど して1981年11月 に公 表 さ れ 、 1983年1月1日 に始 ま る年 度 か ら効 力 を発 して い る。 た だ し、 本 基 書 に お い て 、 物 価 変 動 会 計 情 報 は 、 基 本 財 務 諸 表 り 一 部 と して で は な、く、、そ の 補 助 情 報 と して 位 置 づ け られ て い る 。 した が っ て 、 基 本 財 務 諸 表 が 物 価 変 動 会 計 の 基 準 に基 づ い て 作 成 され て い る場 合 を 除 い て 、 本 基 準 が 基 本 財 務 諸 表 の 作 成 上 ρ 会 計 お よび報 告 方 針 と し て適 用 され る こ とは想 定 さ μ て い ない(第1項)。 IAS第15号 は ・、IAS第6号 『物 価 変 動 に対 す る会 計 上 の 対 応(3)』 に代 わ る もの と して 設 定 さ μ て い る(第2項)。 IAS第15号 が 適 用 され る企 業 は ・ 必 ず し も客 観 的 に 決 め られ て い な い が 、 企 業 を取 り巻 く環 境 ρ 中 で 、 収 益 、 利 益 、 賢 産 ま た は 雇 用 の水 準 炉 高 い企 業 と され て い る 。 ま た 、 個 別 財 務 諸 表 と 連 結 財 務 諸 表 が と もに作 成 され る:場合 に は 、 本 基 準 が 要 求 す る 情 報 は 、 連 結 情 報 ベ ー 坏 で 作 成 す る だ けで よい と され る ,(第3項)。 親 会 社 が 本 基 準 に基 づ い た 連 結 情 報 を作 成 し て い る 場 合 に は 、 親 会 社 の 所 在 国 と同 じ国 に あ る 子 会 社 は 、 本 基 準 が 求 め る情 報 を 開示 す る 必 要 は な い 。 ま た 、 他 の 国 に あ る子 会 社 は 、 そ の 国 に お い て脚 価 変 動 会 計 清 報 を 開示 す る慣 行 が あ る;場合 に の み 、 本 基 準 に よる 情 報 開 示 が 求 め られ る (第4項)。 (2)物 価 変 動 会 計 情 報 の 作 成 方 法 IAS第15号 は 、 物 価 変 動 会 計 情 報 の作 成 方 法 と して 、 ① 一 般購 買 力 に よる財 務 清報 を示 す もの 、 ② 個 別 価 格 の 変 動 を認 識 レて 現 在 原 価 を示 す も の 、③ 両 方 法 の特 徴 を結 合 す る もの 、 の3つ を挙 げ る(第8項)。 ま た 、 以 上 の 方 法 の 根 底 に は、 利 益 計 算 に 関 す る2つ の基 本 菌 な ア プ ロ ー チ が あ る と考 え 、次 の よ う に述 べ る。 「1.つは、企業 の株 主持分 の一般購買 力 が維持 された後 の利益 を認識す る もの で あ る 。 も う1つ は 、企 業 の 営 業 能 力(operatingcapacity)が 維 持 さ れ た後 の利 益 を 認 識 す る もの で あ る ・(第9項)。 」 前 者 の ア プ ロ ー チ が ① に、 そ して後 者 の ア プ ロ 「 チ が② に そ れ ぞ れ対 応 して い
る の は い う ま で も な い 。 また 、 後 者 の ア プ ロ}チ に 関 し て は 、 「一 般 物 価 水 準 修 正 を行 う場 合 もあ れ ば、 そ れ を行 わ な い 場 合 もあ る(同 項)」 とい う説 明 が 付 加 され て お り、 後 にみ る よ ケ に 、② の 具 体 的 方 法 が 多 様 化 す る 原 因 の1つ が こ こ に み られ る 。 な お て③ に 関 して は 具 体 的 な 説 明 が全 くな い の で 、 こ れ に つ い て は 後 に改 め て考 察 す る こ と に し、 まず 、 ① と② の奉 本 的 な 内容 につ い て確 認 しよ う。 (3)一 般 購 買 力 ア プ ロ 」 チ IAS第15号 で は 、 一 般 購 買 力 に よ る 財 務 情 報 を作 成 す る 方 法 は 、 一 般 購 買 力 ア プ ロ ー チ (generalpurchasingpowerappr6abh)と 呼 ば れ て い る 。 こ の ア プ ロ ー チ に 関 す る説 明 は、 以 下 の よ う に簡 潔 で あ る 。 厂一 般 購 買 力 ア プ ロ ー チ で は、 財 務 諸 表 上 の 一 部 また は 全 部 の 項 目を 一 般 物 価 水 準 の 変 動 に対 応 して 修 正 す る 。 こ の 課 題 の も と に な さ れ る諸 提 案 が 強 調 す る と こ ろ は 、 一 般 購 買 力 に よ る 修 正 は 、 測 定 単 位 を 変 更 す る もの で あ っ て、 根 底 に あ る測 定 基 準 を変 更 す る もの で は な い とい う こ と で あ る。 こ の ア プ ロ ー チ の も と で は 、 通 常 、 適 切 な指 数 を用 い て 、 減 価 償 却 費 、 売 上 原 価 お よ び 正 味 貨 幣 項 目 に対 す る 一 般 物 価 水 準 の 変 動 の 影 響 が 利 益 に 反 映 され 、 企 業 の株 主 持 分 の 一 般 購 買 力 が 維 持 され た後 の 利 益 が 報 告 さ れ る(第10項)。 」・' こ こで 考 え られ て い る会 計 形 態 は1・い う ま で もな く、 原 価 主 義 会 計 に基 づ く財 務 諸 表 数 値 を一 般 物 価 水 準 の 変 動 に 関 連 し て修 正 す る会 計 、 す な わ ち、 修 正 原 価 会 計 に ほ か な らな い 。 この 会 計 形 態 は ・利 益 計 算 の基 礎 と して の 資 本 維 持 の視 点 か らみ れ ば 、購 買 力 資 本 維 持 会 計(正 確 に は購 買 力 自 己資 本 維 持 会 計)も し くは 実 質 資 本 維 持 会 計(正 確 に は 実 質 自己 資 本 維 持 会 計)に 属 す こ と に な る。 た だ し、本 基 準 で は 丶 修 正 に 際 して使 用 す る物 価 指 数 が 具 体 的 に い か な る も の か 、す な わ ち 、 消 費 者 物 価 指 数 、GNPデ フ レー タ あ る い は 卸 売 物 価 指 数 な ど の うち の いず れ が 考 え られ て い る の か 、 明 らか で は な い 。 (4)現 在 原 価 ア プ ロ ー チ 現 在 原 価 に基 づ く財 務 情 報 を作 成 す る方 法 は 、 現 在 原 価 ア プ ロ ー チ(thecurrentcostapproach> と 呼 ば れ る 。 こ の ア プ ロ ー チ の も とで の具 体 的 方 法 に は 種 々 の も の が あ る が 、 共 通 す る特 徴 は 、 資 産 お よ び 費 用 の 基 本 的 測 定 基 準 と して取 替 原 価(replacementcost)を 用 い る と こ ろ に あ る 。尸す な わ ち 、 現 在 原 価 とは 、 基 本 的 に取 替 原 価 を意 味 す る。 「しか しな が ら、 取 替 原 価 が 正 味 実 現 可 能 価 額(n6trealisablevalue)と 現 在 価 値'(presentvalue)の い ず れ よ り も高 い 場 合 に は、 正 味 実 現 可 能 価 額 と現 在 価 値 の う ち の い ず れ か 高 い 方 が 、 通 常 、 測 定 基 準 と して用 い られ る'(第11項)。 」 こ の ア プ ロ ー チ で は 、 結 局 、 正 味 実 現 可 能 価 額 と現 在 価 値 との い ず れ か 高 い 方 の 価 額 と 、 取 替 原 価 とを 比 較 して 、 そ の い ず れ か低 い 方 の価 額 に よ っ て資 産 お よ び 費 用 が 測 定 され る こ と に な り、 通 常 は取 替 原 価 に よ る測 定 が 予 定 さ れ て い る 。 こ れ は 、 英 国 の1975年 に お け る サ ン デ ィ ラ ン ズ ・ リ ポ ー ト(4)に よっ て提 案 され 、 そ の後 多 くの 国 で 採 用 さ れ て きた 「企 業 に と っ て の 価 値(value tothebusiness)」 の 考 え 方 に ほ か な ら ない 。 なお 、 現 在 原 価 を直 接 得 る こ とが で き な い な どの 場 合 に は 、 現 在 凍 価 の 決 定 手 段 ど して 、 しば しば個 別 価 格 指 数 が用 い られ る と して い る(第13項)。 現 在 原 価 ア プ ロ ー チ に お い て 、 利 益 計 算 上 、 減 価 償 却 費 や 売 上 原 価 を現 在 原 価 の 変 動 を 反 映 し
て再 測 定 す る こ とが 要 求 され る こ と は い う ま で もな い が 、ISA第15号 は 、 そ れ だ け で な く、 さ ら に貨 幣 項 目や 資 本 構 成 に対 す る物 価 変 動 の 影 響 を認 識 す る こ とが 必 要 との 見 解 に立 ち(第14項)、 そ の た め の 会 計 処 理 法 を5つ 取 り上 げ て い る 。 そ の 内容 の 紹 介 お よび 検 討 は 、後 に改 め て 行 う。 現 在 原 価 ア プ ロ ー チ の基 本 的 な 考 え 方 が 、 企 業 の 営 業 能 力 を維 持 した 後 の利 益 を計 算 す る と こ ろ に あ る こ ど は既 に述 べ た 。 営 業 能 力 とは 、 物 的 な 営 業 規 模 に よ っ て表 さ れ る と解 釈 す る の が 一 般 的 で あ る 。 減 価 償 却 費 や 売 上 原 価 を現 在 原 価 を基 準 と して 測 定 す る の は、 そ れ に よ っ て 固 定 資 産 や 棚 卸 資 産 の物 的 維 持 に 必 要 な資 金 を利 益 計 算 過 程 で 確 保 し、 以 て企 業 の物 的 な営 業 規 模 す な わ ち営 業 能 力 を維 持 す る た め な の で あ る 。 現 在 原 価 ア プ ロ ー チ が 前 提 とす る資 本 概 念 は、 物 的 な 資 本 概 念 で あ り、 この ア プ ロ ー チ に基 づ く会 計 形 態 は 、 資 本 維 持 の 視 点 か ら物 的 資 本 維 持 会 計 ま た は 実 体 資 本 維 持 会 計 と して 性 格 づ け る こ とが で き る。 資 産 お よび 費 用 を現 在 原価 で 測 定 す る 会 計 は、 一 般 に現 在 原 価 会 計(currentcostaccounting)と 呼 ば れ る 。 しか し、 この 名 の も と に構 想 さ れ る会 計 形 態 は 、 資 本 維 持 の 態 様 に応 じて2つ に大 別 さ れ る。1つ は 、 原 価 主 義 会 計 と同 様 に名 目資 本 維 持 を 前 提 とす る もの で あ り、 こ こで は 、 現 在 原 価 が 上 昇 して い る場 合 に は、 そ の 上 昇 額 は 保 有 利 得 とい う利 益 要 素 と して扱 わ れ る 。 そ して 、 実 現 保 有 利 得 部 分 が 損 益 計 算 書 た お い て 操 業 利 益 と分 別 処 理 さ れ 、 未 実 現 保 有 利 得 部 分 が 損 益 計 算 書 か ら除 外 され て貸 借 対 照 表 に計 上 され る 。 も う1つ は、 実 体 資 本 維 持 を前 提 とす る もの で あ り、 そ こで は 現 在 原 価 の 上 昇 額 は 利 益 要 素 と して で は な く、 維 持 す べ き資 本 要 素 と して 取 り扱 わ れ 、 貸 借 対 照 表 に計 上 さ れ る 。 こ れ ら2つ の 現 在 原 価 会 計 の う ち 、IAS第15号 が 想 定 して い る の は 、 後 者 で あ る こ と に留 意 す べ きで あ る。 (5)開 示 事 項 以 上 の よ う な2つ の 基 本 的 ア プ ロ ー チ の い ず れ か を前 提 と して 、IAS第15号 は、 以 下 の 項 目の 開 示 を最 低 限 要 求 して い る(第24項)。 (a)有 形 固定 資 産 の 減 価 償 却 費 の 修 正 額 また は修 正 後 の金 額 (b)売 上 原 価 の修 正 額 また は修 正 後 の 金 額 (c)貨 幣 項 目や 資 本 構 成 に か か わ る修 正 が な され た 場 合 の そ の修 正 額 (d)(a)(b)(c)で 述 べ られ た 修 正 の利 益 に対 す る 全 体 的 影響 、 お よ び 、採 用 した 会 計 方 法 の も と で 報 告 され る物 価 変 動 の 影 響 を 反 映 す る そ の 他 の 項 目 なお 、現 在 原 価 法 が 採 用 され た場 合 に は 、 有 形 固 定 資 産 と棚 卸 資 産 の 現 在 原 価 の 開示 が 要 求 さ れ る(第25項)。 さ ら に、 使 用 した 物 価 指 数 の性 質 も含 め 、 第24項 お よ び第25項 で要 求 さ れ て い る情 報 を作 成 す る た め に採 用 した 方 法 に つ い て 、 説 明 す る こ とが 求 め ら れ る(第26項)。 皿、IAS第29号 『超 イ ン フ レ経 済 下 の財 務 報 告』 の概 要 (1)IAS第29号 の趣 旨 IAS第29号 は 、 超 イ ン フ レ経 済 下 に あ る べ き財 務 報 告 を取 り扱 う基 準 と して1989年7月 に公 表 さ れ、1990年1月1日 に 始 ま る年 度 か ら効 力 を発 して い る 。 本 基 準 は 、 超 イ ン フ レ経 済 国 の 通 貨 で 報 告 す る企 業 の 連 結 財 務 諸 表 を含 む 基 本 財 務 諸 表 に適 用 す る よ う,に定め られてい る(第1項)。
そ の趣 旨 は 、 以 下 の とお りで あ る 。 厂超 イ ン、フ レ経 済 に あ っ て.は、 修 正 表 示 をす る こ と な くそ の 国 の 通 貨 で 経 営 成 績 お よび 財 政 状 態 を報 告 す る こ と は、 有 用 で は な い 。 諸 取 引 そ の 他 の 事 象 に 由 来 す る金 額 を 比 較 す る こ とが 、 た とえ 同 一 の会 計 期 間 内 で あ っ て も、判 断 を 誤 らせ る ほ ど に、 貨 幣 は 購 買 力 を 喪 失 す る か らで あ る (第2項)。 」 「超 イ ン フ レ経 済 に あ っ で は 、財 務 諸 表 は 、 そ れ が 歴 史 的 原 価 ア プ ロ ー チ に基 づ い て い る か 、 現 在 原 価 ア プ ロ ー チ に 基 づ い て い る か にか か わ らず 、貸借対 照 表 日現 在 の測 定単位 によ っ て表 示 さ れ た 場 合 に の み 有 用 で あ る 。 そ の 結 果 、 本 基 準 書 は 、 超 イ ンツ レ経 済 国 の 通 貨 で報 告 す る企 業 の基 本 財 務 諸 表 に適 用 され る(第7項)。 」 (2)超 イ ン フ レ経 済 の 判 断基 準 IAS第29号 は 、 超 イ ン フ レ とみ なす 絶 対 的 な イ ン フ レ率 を定 め て は い な い が 、 一 応 の 判 断 基 準 と して 、 以 下 の5つ を設 け て い る(第3項)。 (a)一 般 市 民 は 、 財 産 を非 貨 幣 資 産 ま た は 比 較 的 安 定 した 外 国 通 貨 で 保 有 す る こ と を 選 好 す る。 保 持 した 自国 通 貨 の大 部 分 が 、 購 買 力 の 維 持 の た め に直 ち に投 資 さ れ る 。 (b)一 般 市 民 は 、 自 国 通 貨 で は な く比 較 的 安 定 した 外 国 通 貨 で 貨 幣 額 を 考 え る 。 物 価 が 当 該 通 貨 で示 され る こ とが あ る 。 (c)信 用 売 買 は 、 た と え 短 期 間 で あ っ て も、 与 信 期 間 中 に 予 想 さ れ る購 買 力 損 失 を 補 償 す る価 格 で行 わ れ る 。 (d)利 子 率 、 賃 金 、 諸 物 価 が 、 物 価 指 数 に連 動 す る。 (e)3年 間 の 累 積 イ ン フ レ率 が 、100%に 近 い か 、100%を 超 え る 。 (3)歴 史 的 原 価 財 務 諸 表 の 一 般 物 価 修 正 多 くの 国 で 、 基 本 財 務 諸 表 は 、 原 価 主 義 会 計 の も と に作 成 され て きた 。 こ の財 務 諸 表 を、IAS第 29号 は 、 歴 史 的 原 価 財 務 諸 表(histohcalcostfinancialstatements)と 呼 ん で い る 。 超 イ ン フ レ経 済 とみ な さ れ る 場 合 に は、 歴 史 的 原 価 財 務 諸 表 の 諸 数 値 の う ち貸 借 対 照 表 日す な わ ち期 末 の 貨 幣(測 定 単 位)に よ っ て 測 定 され て い な い もの は 、 す べ て一 般 物 価 指 数 を 用 い て期 末 の 貨 幣 額 に 修 正 表示 さ れ る(第9項 お よ び第24項)。 併 せ て 、 正 味 貨 幣 項 目 に 関 す る 購 買 力 利 得 また は損 失 が 認 識 され る(第25項)。 個 々 ρ 項 目の 修 正 手 続 き に つ い て は 、 説 明 を割 愛 す る 。 要 す る に 、 い わ ゆ る修 正 原 価 会 計(一 般 物 価 変 動 会 計)に 基 づ い て財 務 諸 表 を作 成 す る こ とが 要 求 され る の で あ る 。 な お 、 一 般 物 価 指 数 に関 して は 、 「同 一 の 経 済 の 通 貨 に よ っ て 報 告 す るす べ て の 企 業 は 、 同一 の 指 数 を使 用 す る こ と が 望 ま しい(第35項)」 と述 べ ら れ て い る だ け で 、 そ の 指 数 の 具 体 的種 類 は、IAS第15号 の 場 合 と 同様 に明 確 で は な い 。 (4)現 在 原価 財 務 諸 表 の一 般 物 価 修 正 IAS第29号 が 公 表 され た 当 時 も し くは 直 前 ま で 、 国 に よ っ て は 、基 本 財 務 諸 表 が 現 在 原 価 会 計 (IAS第15号 で い う現 在 原 価 ア プ ロ ー チ の も とで の 会 計)に よ っ て作 成 され る場 合 が あ っ た 。 例 え ば 、 イ ギ リス の 会 計 実 務 基 準 書 第16号(SSAP16)(5)で は、 基 本 財 務 諸 表 を 現 在 原 価 会 計 に よ っ て作 成 す る こ と を 認 め て い た 。 こ の よ うな 実 務 を考 慮 して 、IAS第29号 は 、 そ の よ う な財 務 諸 表 を現 在 原 価 財 務 諸 表(c㎜rentcostfinancialstatements)と 呼 び 、超 イ ン フ レ経 済 下 にお け る そ の 修 正 に つ い て も述 べ て い る。
こ の場 合 の 修 正 も歴 史 的 原 価 財 務 諸 表 の場 合 の 修 正 と基 本 的 に同 様 で 、 現 在 原 価 財 務 諸 表 の 諸 数 値 の う ち期 末 の 貨 幣 に よ っ て測 定 され て い な い もの は、 す べ て 一 般 物価 指 数 を用 い て 期 末 の貨 幣 額 に修 正 表 示 され る 。 当 然 の こ とで あ るが 、 貸 借 対 照 表 に お い て現 在 原価 に よ っ て評 価 さ れ て い る項 目 は、 既 に期 末貨 幣 に よ っ て測 定 され て い る の で 、 修 正 の対 象 に は な ら ない 。 ま た 、 損 益 計 算 書 に お い て売 上 原 価 お よび 減 価 償 却 費 は消 費 時 点 の現 在 原 価 を表 し、従 う て 消 費 時 点 の貨 幣 に よっ て 測 定 さ れ て い る の で 、 そ れ ら は一 般 物 価 指 数 を用 い て 期 末 貨 幣 額 に修 正 さ れ る(第27項 お よび 第28 項)。 そ して 併 せ て、 正 味 貨 幣 項 目 に関 す る購 買 力 利 得 ま た は損 失 が 認 識 され る(第29項)。 歴 史 的 原 価 財 務 諸 表 の 一 般 物 価 修 正 は 、 そ れ 自体 理 論 上 の 問題 は な い 。 しか し、 現 在 原 価 財 務 諸 表 の 一 般 物 価 修 正 は 、 修 正 の 基 礎 と な る財 務 諸 表 が 企 業 の 営 業 能 力 維 持 す な わ ち 実 体 資 本 維 持 と い う物 的 な 利 益 計 算 体 系 を前 提 とす る もの で あ り、 そ れ に一 般 物 価 修 正 とい う購 買 力 資 本 維 持 を志 向 す る手 続 きを 適 用 す る 点 に理 論 上 の 問題 が 残 る 。 現 在 原 価 財 務 諸 表 に 一 般 物 価 修 正 を加 え る こ と に よ って 、 当然 の こ と なが ら、 計 算 され る利 益 が 変 化 す る 。 そ の利 益 の 分 配 を仮 定 した場 合 、 実 体 資 本 維 持 は保 証 さ れ な くな る。 ま た 、購 買 力 資 本 維 持 も成 立 し な い 。 利 益 分 配 後 に残 存 ' す る資 本 の性 質 は、・意 味不 明 な もの と な る(6)。 資 産 お よ び費 用 を現 在 原 価 に よ っ て測 定 す る財 務 諸 表 で も、 そ れ が 、 名 目資 本 維 持 を前 提 と し、 現 在 原 価 と取 得 原 価 との 差 額 を保 有 利 得 とい う利 益 要 素 と し て分 別 処 理 す る現 在 原 価 会 計 を基 礎 とす る も の で あ れ ば 、 そ の よ う な財 務 諸 表 の 一 般 物 価 修 正 に は そ れ な りの 意 味 が 認 め ら れ る。 こ の よ う な 会 計 形 態 は 、 一 般 に修 正 現 在 原 価 会 計 も し くは結 合 会 計 と呼 ば れ 、 購 買 力 資 本 維 持 を前 提 とす る もの で あ る 。 しか し、IAS第29号 が 一 般 物 価 修 正 の対 象 に して い る の は 、IAS第15号 との 関 連 で 実 体 資 本 維 持 を前 提 とす る現 在 原 価 会 計 で あ る 。 そ の 財 務 諸 表 に 一 般 物 価 修 正 を適 用 す る 場 合 に は 、利 益 計 算 の理 論 体 系 が 成 立 し な い 。 (5)'開 示 事 項 以 上 の よ う な一 般 物 価 修 正 を 施 した 基 本 財 務 諸 表 以 外 で 、IAS第29号 が 開示 を 求 め る の は 、 以 下 の事 項 で あ る(第41項)。 (a)当 期 の 財 務 諸 表 の 数 値 お よ び そ れ に 対 応 す る前 期 の 数 値 が 、 報 告 通 貨 の 一 般 購 買 力 の 変 動 に 応 じて 修 正 表 示 さ れ て い て 、 そ の 結 果 、 貸 借 対 照 表 日 現 在 の 測 定 単 位 に よ っ て 表 示 さ れ て い る 旨 (b)財 務 諸 表 が 、歴 史 的 原 価 ア プ ロ ー チ と現 在 原 価 ア プ ロ ー チ の い ず れ に基 づ い て い る か (c)物 価 指 数 の 種 類 お よ び 貸 借 対 照 表 日 時 点 に お け る 物 価 指 数 の 水 準 、 並 び に 当 期 と前 期 との 間 の 当該 指 数 の 変 動 な お 、(a)の 「前 期 の 数 値 」 に関 して は 、IAS第5号 『財 務 諸 表 に 開 示 す べ き情 報(7)』 に よ っ て そ の 開 示 が 定 め られ て い た が 、 こ れ に つ い て も、 比 較 可 能 性 の た め 、 当 期 末 現 在 の 測 定 単 位 に よ る修 正 表 示 が 求 め られ る(第32項)。 】〉'.現在 原 価 ア プ ロ ーチ と貨 幣 項 目 ・資本 構 成 に関 す る物価 変 動 修 正 (1)貨 幣 項 目 に 関 す る物 価 変 動 修 正 IAS第15号 ・第29号 の 概 要 は以 上 の とお りで あ る が 、 第15号 の 現 在 原 価 ア プ ロ ー チ に お け る貨
幣 項 目お よ び資 本 構 成 に 関 す る物 価 変 動 修 正 に つ い て は 説 明 を留 保 して い る の で 、 ここで その問 題 を取 り上 げ る 。 まず 、 貨 幣 項 目に 対 す る物 価 変 動 の 影 響 の 認 識 方 法 に 関 して 、IAS第15号 は、2つ の方 法 を挙 げ て い る 。 第1法 は、、厂長 期 負 債 を含 め た す べ て の 貨 幣項 目 の正 味 額 に対 す る物 価 変 動 の 影 響 を反 映 す る た め の修 正 を行 い 、 物 価 が 上 昇 す る時 に正 味 貨 幣 資 産 を保 有 す る こ とか ら生 ず る損 失 、 または、正 味 貨 幣負 債 を負 う こ とか ら生 ず る 利 得(物 価 が 下 落 す る と きに は こ れ と反 対 の 結 果)を 明 ら か に す る こ と を要 求 す る(第15項)」 もの で あ る 。 この 場 合 の 物 価 変 動 と は一 般 物価 変 動 を意 味 す る も の と推 察 さ れ る(8)。し た が っ て 、 こ こで い う貨 幣 項 目 に 関 す る物 価変 動 修 正 と は、 一般購買 力 ア プ ロ ー チ にお い て正 味 貨 幣 項 目に 関 して 行 わ れ る 一 般 購 買 力 損 益 の 認 識 と 同様 の もの で あ る 。 多 くの 企 業 で は正 味 貨 幣 負 債 の 状 態 が 普 通 で あ る 。 した が っ て、 この 方 法 の も とで は 、物価 上 昇時 に は 、 減 価 償 却 費 や売 上 原 価 な どの現 在 原 価 情 報 と と も に正 味 貨 幣 負 債 に関 す る一 般 購 買 力 利 得 が 開示 さ れ る こ とに な る。、この よ う な 開示 方 法 は、 ア メ リカ の財 務 会 計 基 準 書 第33号(9)で も採 用 さ れ た もの で あ るが 、 物 的 な 営 業 能力 の 維 持 を 前 提 とす る現 在 原 価 ア プ ロ ー チ の 体 系 に 一 般 購 買 力 ア プ ロ ー チ の 処 理 法 を単 純 に組 み 入 れ て い る 点 に、 理 論 上 の 問 題 が残 る 。 第2法 は 、 「こ の修 正 を、 企 業 の 運 転 資 本 に含 ま れ る貨 幣 資 産 お よび 貨 幣 負 債 に限 定 す る(第15 項)」 もの で あ る 。 こ れ は 、 イ ギ リ ス のSSAP16に お い て 定 め られ た 貨 幣 運 転 資 本 修 正(monetary workingcapitala(加stment)を 念 頭 に 置 い た もの で あ る と推 察 さ れ る 。 す な わ ち 、SSAP16で は、 IAS第15号 で い う現 在 原 価 ア プ ロ ー チ が 採 用 さ れ 、 減 価 償 却 修 正 .・売上 原価修 正 とともに貨 幣運 転 資 本 修 正 が 適 用 され た 。 貨 幣 運 転 資 本 修 正 と は 、 売 掛 金 等 の営 業 債 権 の 期 中 増 加 額 の う ち 個 別 価 格 の 上 昇 に よ る部 分 を 費 用 要 素 と して 認 識 し、 買 掛 金 等 の 営 業 債 務 の 期 中上 昇 額 の う ち個 別 価 格 の 上 昇 に よ る部 分 を利 益 要 素(費 用 の マ イ ナ ス 要 素)と して認 識 す る手 続 で あ る(10)。こ の よ う な 第2法 は 、 物 価 変 動 に起 因 す る損 益 を認 識 す る貨 幣 資 産 ・貨 幣 負 債 の 範 囲 が 貨 幣 運 転 資 本 を構 成 す る 一 部 分 に 限 定 して い る 点 、 お よ び、 個 別 価 格 の 変 動 の 影 響 に着 目 して い る 点 にお い て 、 第 1法 とは 異 な る 。 IAS第15号 は 、 これ らの2つ の 方 法 の 基 本 的 な考 え方 に つ い て 、次 の ように述べ てい る。 「両 タ イ プ の修 正 と も 、 非 貨 幣 資 産 だ け で な く貨 幣 項 目 も企 業 の営 業 能 力 の 重 要 な 要 素 で あ る と認 め て い る。 上 述 の 現 在 原 価 法 の 一 般 的 な特 徴 は、 企 業 の 営 業 能 力 が維 持 され た後 の 利 益 を認 識 す る と い う も の な の で あ る(第15項)。 」 営 業 能 力 維 持 と い う物 的 な 思 考 か らす れ ば、 貨 幣 項 目 に対 す る 影 響 と して 考 え るべ き は 、 第2法 の 場 合 の よ う に 、 当 該 企 業 に 固 有 の物 価 変 動 の 影 響 で あ る はず で あ る 。 先 程 も述 べ た が 、 第1法 は この 点 で理 論 的 に 問題 で あ る。 (2)資 本 構 成 に 関 す る物 価 変 動 修 正 IAS第15号 は 、 資 本 構 成 にか か わ る物 価 変 動 修 正 に関 して は 、3つ の方 法 を挙 げ て い る 。 まず 、 第1の 方 法 に 関 す る叙 述 は、 次 の とお りで あ る。 丶 「資 産 ゐ 取 替 原 価 に基 づ く費 用 追 加 額 の う ち 、借 入 れ に よっ て 賄 わ れ て い る範 囲 まで は 、 こ れ を 損 益 計 算 書 上 費 用 と し て認 識 す る必 要 は な い とい う別 の 考 え 方 が あ る。 この 考 え 方 に基 づ く方 法 で は 、 企 業 の営 業 能 力 の う ち株 主 に よ っ て賄 わ れ て い る部 分 を維 持 した 後 の 利 益 が 報 告 さ れ る。 こ れ は、 例 え ば 、 減 価 償 却 費 、 売 上 原 価 お よ び(必 要 な場 合 に は)貨 幣 運 転 資 本 に 関 す る修 正 の 総 額 を、(正 味 一 壹 岐)負 債 と株 主 資 本 の合 計 額 に対 す るF(正 味 一 壹 岐)負 債 額 の 割 合 分 だ け
減 額 す る こ と に よ っ て 達 成 され る(第16項)。 」 こ れ は 、SSAP16な ど にお い て採 用 され た ギ ア リ ン グ修 正(geadnga(加stment)の 手 続 に ほ か な ら な い(11)。SSAP16に お け る ギ ア リ ン グ修 正 は 、 減 価 償 却 修 正 ・売 上 原 価 修 正 ・貨 幣 運 転 資 本 修 正 の 合 計 額 の う ち、 正 味負 債(netborrowing)に よ っ て賄 わ れ て い る資 産 割 合 に 関 す る部 分 を取 り 消 して 、 そ れ を利 益 に 戻 し入 れ る手 続 を意 味 す る 。 自 己 資 本(株 主 資 本)の 営 業 能 力 維 持 に基 づ く利 益 を計 算 す る た め に 、 この よ う な手 続 が 考 え られ て い る の で あ る。 資 本 構 成 にか か わ る物 価 変 動 修 正 の第2の 方 法 に 関 す る叙 述 は 、 次 の とお りで あ る 。 「あ る現 在 原 価 法 で は 、株 主 持 分 の 額 に一 般 物 価 指 数 を 適 用 す る。 こ れ は 、 当該 期 間 中 に生 じた 資 産 の取 替 原 価 の 上 昇 が 、 同期 間 に おけ る株 主 持 分 の 二 般 購 買 力 の低 下 よ りも小 さい 場 合 に 、 当 該 企 業 の 株 主 持 分 が 、 一 般 購 買 力 の 見 地 か ら み て どの 程 度 維 持 さ れ て い る か を示 す もの で あ る 。 時 に、 こ の計 算 は、 一 般 購 買 力 の 見 地 か らみ た 純 資 産 額 ど現 在 原 価 の 見 地 か ら み た 純 資 産 額 との 比 較 を可 能 にす る た め に 、 単 に注 記 さ れ る の み で あ る(第17項)。 」 現 在 原 価 法 にお い て 、資 産 の 取 替 原 価 の 上 昇 額 は 資 本 修 正 項 目 と して扱 わ れ 、 維 持 す べ き資 本 に 加 え られ る 。 と こ ろ が 、 取 替 原 価 の上 昇 割 合 よ り も一 般 物 価 の 上 昇 割 合 が 高 い 場 合 に は 、 一 般 購 買 力 維 持 の立 場 か らは 維 持 す べ き資 本 の 金 額 が 不 足 す る こ とに な る 。 そ の よ う な事 態 に な っ て い な い か ど う か を確 認 す る た め に、 名 目額 に よ る維 持 す べ き資 本 額 に一 般 物 価 指 数 の 変 動 割 合 を 乗 じ て一 般 購 買 力 と して の 維 持 す べ き資 本 の金 額 を 算 定 し、 そ れ を補 足 情 報 と して 開 示 し、 現 在 原 価 法 にお け る維 持 す べ き資 本 の 金 額 との比 較 が で きる よ う に し よ う とい う考 え方 で あ る 。 現 在 原価 法 の も とで 、 一 般 購 買 力 の 見 地 か ら み た 維 持 す べ き資 本 の 額 を補 足 的 に開 示 す る とい うや り方 は、 イ ギ リス の イ ン フ レー シ ョ ン会 計 実 行 委 員 会(モ ー ペ ス 委 員 会)が1976年 に発 表 し 、 た 公 開 草 案 第18号(ED18)(12)に お け る 「貨 幣 価 値 変 動 を考 慮 した株 主 持 分 増 減 表 (statementofchangeinshareholders'netequityinterestafterallowingforthechangeinthevalueof money)」 の提 案 にみ る こ とが で きる 。ED18が 制 度 化 に向 け て提 案 した 内容 は、 現 在 原 価 会 計 と名 付 け られ て い る とお り、 資 産 お よ び 費 用 の 現 在 原 価 測 定 を基 本 とす る も の で あ る 。 た だ し、 そ こ で は資 本 概 念 が 明確 で な く、 期 中 に生 じ た非 貨 幣 資 産 の保 有 損 益(現 在 原 価 と帳 簿 価 額 の 差 額) が 利 益 処 分 計 算 書 に計 上 され 、 そ の うち 取 締 役 会 が 必 要 と認 め た 金 額 を評 価 替 積 立 金(revaluation reserve)と し て留 保 す る とい う取 り扱 い が 指 示 さ れ て い る。 そ の よ う な体 系 と は 別 に、 貨 幣 項 目 に 生 じた購 買 力 損 益 に 関 す る情 報 と と も に 「貨 幣 価 値 変 動 を考 慮 した株 主 持 分 増 減 表 」 を財 務 諸 表 に注 記 す る こ とが 提 案 され て い る 。 「貨 幣 価 値 変 動 を考 慮 した株 主 持 分 増 減 表 」 で は 、 期 首 の株 主 持 分(期 申 に 増 減 資 が あ れ ば そ れ を:加減 す る)を 消 費 者 物 価 指 数 の 変 動 牽考 慮 して 期 末 の 貨 幣 価 値 に換 算 し、 そ れ を基 準 に して 貨 幣価 値 変 動 を 考 慮 した 株 主 持 分 の 増 減 額(配 当 前 お よ び配 当 後 の)を 算 定 す る と い う 内 容 の情 報 が 開 示 さ れ る 。・IAS第15号 が 挙 げ て い る 資 本 構 成 に か か わ る 物 価 変 動 修 正 の 第2法 は、 この よ う な開 示 の 仕 方 を考 え て い る もの と思 わ れ る。 さ て 、 最 後 に 、 資 本 構 成 に か か わ る 物 価 変 動 修 正 の 第3の 方 法 は 、 い か な る も の で あ ろ う か 。 IAS第15号 に よ れ ば 、 そ れ は 、 「企 業 の 株 主 持 分 の 一 般 購 買 力 が維 持 され た 後 の 利 益 を認 識 す る も の で あ り、 純 資 産 の2つ の 数 値 の 違 い は 、 株 主 に と っ て 利 得 ま た は損 失 が 発 生 して い る もの と し て取 り扱 わ れ る(第17項)。 」 説 明 は こ れ だ け に す ぎず 、 そ こで 考 え ら れ て い る計 算 が い か な る構 造 の もの か 明 確 で は な い が 、 お そ ら く、 貸 借 対 照 表 上 、 現 在 原 価 に基 づ く期 末 株 主 持 分 か ら、 期 首 の株 主 持 分(期 中 に増 減 資 等 が あ れ ば そ れ を加 減 す る)を 一 般 物 価 指 数 の 変 動 を考 慮 して 期 末 の貨 幣 価 値 に換 算 し た金 額 を控 除 して 計 算 され る剰 余 額 を、 利 益 しか も株 主 持 分 の 一 般 購 買 力 を
維 持 した 後 の 利 益 とす る 、 そ の よ う な構 造 の 利 益 計 算 が 想 定 され て い る もの と解 釈 さ れ る 。 そ し て 、 現 在 原 価 法 に こ の よ うな 計 算 を組 み 込 む た め に は、 損 益 計 算 書 上 は、 当 初 の 計 算 段 階 で 利 益 計 算 か ら除 外 され た 費 用 ・資 産 の現 在 原 価 と帳 簿 価 額 との 差 額(い わ ゆ る 実 現 保 有 利 得 お よ び未 実 現 保 有 利 得)を 、 再 び利 益 要 素 と して戻 し入 れ 、 しか る の ち株 主 持 分 の一 般 物 価 修 正 額 を控 除 す る とい う計 算 が な さ れ る は ず で あ る 。 この よ う な利 益 計 算 は 、 イ ギ リス に お い て 、ASCが1986年 に公 表 し た 『価 格 変 動 の 影 響 に 対 応 ,す る 会 計:ハ ン ドブ ッ ク(13)』、 お よ び 、会 計 基 準 審 議 会(ASB)が1993年 に公 表 し たSP草 案 第5章 『財 務 諸 表 にお け る測 定(14)』 に お い て 実 際 に提 案 され て い る。 また 、 基 本 的 に 同 じ系 統 の 計 算 は 、 1980年 にス イ ス の ヨル デ ィ が 考 案 した 実 質 資 本 変 動 計 算(Realkapitalveranderungsrechnung)(15)に お い て も示 さ れ て い る 。 そ れ ら に お い て は 、 実 体 資 本 維 持(正 確 に は 実 体 総 資 本 維 持)に 基 づ く 利 益 計 算 か ら 出 発 す る が 、 最 終 的 に は 購 買 力 資 本 維 持(正 確 に は購 買 力 自己 資 本 維 持)に 基 づ く 利 益 の 計 算 に 帰 着 す る、 段 階 的 な 利 益 計 算 が 構 想 さ れ て い る。IAS第15号 にお い て もそ の よ う な 方 式 で の 利 益 の 計 算 が 考 え られ て い る とす れ ば 、 そ れ は は た して現 在 原 価 ア プ ロー チ の も とで の 計 算 とい い う る の で あ ろ うか 。 この 点 に疑 問 が残 る。 V.一 般購 買力 ア プ ロ ー チ と現 在 原価 ア プ ロー チ の結 合 既 述 の よ う に 、IAS第15号 で は 、 現 在 原 価 ア プ ロ ー チ と一 般 購 買 力 ア プ ロ ー チ と は別 に 第3の 方 法 と して 、 両 ア プ ロ ー チ の そ れ ぞ れ の 特 徴 を結 合 す る 方 法 が 挙 げ ら れ て い る が 、 そ れ に つ い て の 具 体 的 な 説 明 は な い 。 そ こで は 、 い か な る 方 法 が考 え ら れ て い る の で あ ろ うか 。 ま ず 考 え う る 方 法 は 、 現 在 原 価 ア プ ロ ー チ に基 づ い て作 成 され る財 務 諸 表 の 諸 数値 を 、 一 般 物 価 指 数 の 変 動 に基 づ い て 再 修 正 す る とい う方 法 で あ る 。 こ れ は 、 基 本 財 務 諸 表 が す で に現 在 原 価 基 準 に よ っ て 作 成 さ れ て い る場 合 に、 そ れ を一 般 物 価 修 正 す る と い う、IAS第29号 に お い て 示 さ れ た方 法 に ほ か な ら な い 。 こ れ は 、 既 述 の よ うに 、 現 在 原 価 ア プ ロ ー チ と一 般 購 買 力 ア プ ロ ー チ と を単 純 に結 合 す る もの で あ り、 資 本 維 持 の 視 点 か ら意 味 不 明 の 利 益 が 計 算 さ れ る とい う理 論 上 の 問 題 が 指 摘 さ れ る 。 IAS第15号 が 考 え て い る の は 、2つ の ア プ ロ ー チ の そ れ ぞ れ の 特 徴 を結 合 す る もの で あ る か ら、 上 記 の よ う な文 字 通 りの 結 合 法 とは 別 の も の で あ ろ う 。 こ こ で 想 起 さ れ る の が 、IAS第15号 が 資 本 構 成 にか か わ る 物 価 変 動 修 正 と して挙 げ て い る 第3の 方 法 で あ る 。 そ れ は 、 既 述 の よ う に、 貸 借 対 照 表 上 、 現 在 原 価 に基 づ く期 末 株 主 持 分 か ら、 期 首 の 株 主 持 分 を一 般 物 価 修 正 した 金 額 を控 除 して 計 算 さ れ る剰 余 額 を以 て 、 株 主 持 分 の 一 般 購 買 力 を 維 持 した 後 の利 益 とす る も の で あ る 。 この 場 合 、 損 益 計 算 書 に お い て 同 額 の利 益 を計 算 す る た め に は 、 現 在 原 価 法 の 利 益 計 算 に お い て 除外 さ れ た い わ ゆ る保 有 利 得 部 分(実 現 お よ び未 実 現)を 、 再 び 利 益 要 素 と して戻 し入 れ 、 そ し て株 主 持 分 の 一 般 物 価 修 正 額 を控 除 す る とい う計 算 が な され る は ず で あ る 。 こ の よ う な 利 蠡 計 算 が1990年 代 に イ ギ リス の 公 的 提 案 の 中 で 主 張 さ れ た こ と も、 既 述 の とお り で あ る 。 要 す る に 、 そ れ は 、 損 益 計 算 書 とい う1つ の 計 算 書(た だ し、ASBのSP草 案 第5章 の 場 合 は 損 益 計 算 書 と総 認 識 利 得 お よび 損 失 計 算 書(statementoftotalrecognisedgainsandlosses)と の1 組 の 計 算 書)の 中 で 、 第1段 階 と して 、 実 体 資 本 維 持 に基 づ く利 益 を計 算 し、 そ れ につ づ く第2 段 階 と して 、 購 買 力 資 本 維 持 に基 づ く利 益 を計 算 す る とい う もの で あ る。 そ し て、 この よ う な利
益 計算 の 特 徴 は 、 「資 本 維 持 概 念 の結 合 」 に あ る とい わ れ る(16)。』この よ う・なIAS第15号 以 後 に打 ち 出 され た イ ギ リス の 公 的 提 案 の 中 に、IAS第15号 が 想 定 して い た で あ ろ う第3の 物 価 変 動 会 計 方 法 の具 体 像 を読 み ど る こ とは で きな い だ ろ うか 。 そ こで は 、 損 益 計 算 書 にお い て まず 実 体 資 本 維 持 に基 づ く利 益 が 計 算 さ れ る。 こ こ まで が現 在 原 価 ア プ ロ ー チ に よ る計 算 で あ る 。 そ して 、 引 き続 い て そ の 利 益 に修 正 が 加 え られ 、 最 終 的 に購 買 力 資 本 維 持 に基 づ く利 益 が 計 算 され る 。 従 っ て 、 最 終 的 に は 、 一 般 購 買 力 アプ ロ ー チ に よ る 計 算 に帰 着 す る とい え そ うで あ る 。 た だ し、 そ の 場 合 に最 終 的 に 計 算 ・され る 利 益 は 、IAS第15号 が 一 般 購 買 力 ア プ ロ ー チ に お い て 当初 に想 定 して い た利 益 と は金 額 お よ び 性 格 が 異 な る こ と に留 意 す べ きで ある ・ 既 述 の よ う に、 一 般 購 買 力 ア プ ロ ー チ とは 、 測 定 単 位 を 変 更 す る・の み で 、基本財 務 諸 表(取 得 原 価 主 義 の)の 基 礎 を な す 測 定 基 準 を根 本 的 に変 更 す る もの で は な か っ た。 した が っ て 、 そ の よ う な ア プ ロ ー チ の も とで は 、 実 現 利 益 と して の購 買 力 資 本 維 持 利 益 が 求 め られ る は ず で あ る 。 しか し、 上 記 の ぶ う な結 合 法 の も とで は 、確 か に購 買 力 資 本 維 持 を基 礎 とす る利 益 が 計 算 さ れ る け れ ど も、 そ の 中 に は未 実 現 利 益 が 混 入 す る こ と に な る 。 す な わ ち∼ 棚 卸 資 産 や 有 形 固 定 資 産 ρ 期 末 現 在 原 価 評 価 に伴 う未 実 現 保 有 利 得 の う ち の 一 般 物 価 修 正 部 分 を 除 い た 額 実 質 未 実 現 保 有 利 得 一 が 、 最 終 利 益 に含 め られ る こ と に な る(17)。 VI.結 び ・以 上 、IAS第15号 を 中 心 に物 価 変 動 会 計 に 関 す る2つ の 国 際 会 計 基 準 を検 討 して き た。 IAS第15号 で は 、 物 価 変 動 会 計 の基 本 的 な ア プ ロ ー チ と して 、 購 買 力 資 本 維 持 に基 づ く一 般 購 買 力 ア プ ロ ー チ と実 体 資 本 維 持(営 業 能 力 維 持)に 基 づ く現 在 原 価 ア プ ロー チ との2つ が 代 替 的 に 提 示 され て い た 。 これ ら2つ の ア プ ロ ー チ の 特 徴 を結 合 す る第3の ア プ ロ ー チ が あ る と の 考 え 方 も示 され て い た が 、既 述 の よ う に そ の 内 容 は 明 示 され て い な い の で 、 同基 準 書 が 提 案 して い る 基 本 的 ア プ ロ ー チ は 上 記 の2つ で あ る と い え る。 しか も、IAS第15号 で は、 企 業 に そ の い ず れ か 1つ を任 意 に 選 択 して適 用 す る こ とが 推 奨 さ れ て い た 。 ま た、 現 在 原 価 ア プ ロ ー チ に お い て も、 貨 幣 項 目や 資 本 構成 に 関 す る物 価 修 正 法 と して 、 い くつ か の方 法 が 代 替 的 に 提 示 され て い た。 こ れ に は 、特 に イ ギ リス の 意 向が 強 く影 響 して い る こ とが確 認 さ れ た と こ ろ で あ る。 物 価 変 動 会 計 情 報 の作 成 方 法 と して 複 数 の代 替 的 な 方 法 を提 示 した こ と に 関 し て、IAS第15号 は 、 次 の よ う に述 べ て い る 。 「物 価 変 動 を反 映 す る た め の 上 述 の 各 種 の 方 法 を用 い て、 財 務 情 報 が 基 本 財 務 諸 表 の 上 で また は補 助 財 務 諸 表 と レて提 供 され る こ とが あ るが 、 こ の 間 鐘 に 関 す る 国 際 的 な合 意 は ま だ得 ら れ て い な い 。 した が っ て 、 国 際 会 計 基 準 委 員 会 は 、 基 本 財 務 諸 表 の 作 成 上、 物 価 変 動 を反 映 させ る た め の包 括 的 か つ 統 一 的 な方 式 の採 用 を企 業 に要 求 す る こ と を考 え る前 に、 さ らな る 実 証 的 な研 究 が 必 要 で あ る と確 信 し て い る(第18項)。 」 こ の よ う に、IAS第15号 で は 、 物 価 変 動 会 計 の 統 一 的 な 方 式 を提 示 す る に は 至 っ て い な い。 こ の こ とは 、 国 際 会 計 基 準 委 員 会 が1989年7月 に 公 表 し た 『財 務 諸 表 の 作 成 表 示 に 関 す る フ レ ー ム ワ ー ク(18)』に お け る、 資 本 概 念 の 選 択 に 関 す る次 の よ うな考 え方 と符 号 して い る 。 、「企 業 に よ る適 切 な 資 本 概 念 の 選 択 は 、 財 務 諸 表 の利 用 者 の ニ ー ズ に基 づ か な け れ ば な らな い 。 した が っ て 、 財 務 諸 表 の 利 用 者 が 主 に名 目投 下 資 本 の 維 持 ま た は投 下 資 本 の 購 買 力 の維 持 に 関 心 を有 す る 場 合 に は 、 貨 幣 資 本 概 念(a恥ancialconceptofcapital)を 採 用 す べ きで あ る。 しか し、 利
用 者 の 主 要 な 関 心 事 が 企 業 の営 業 能 力 に あ る場 合 には 、実 体 資 本 概 念(aphysicalconceptofcapital) を用 い るべ きで あ る(第103項)。 」 資 本 概 念 も し ぐは資 本 維 持 概 念 に 関 す る考 え 方 の 対 立 は 、 第1次 大 戦 後 に ドイ ッ で資 本 維 持 論 が 展 開 さ れ て 以 来 今 日に 至 る まで 、 平 行 線 の よ うに 続 い て い る が 、 そ れ は そ の ま ま 国 際 会 計 基 準 に も 反 映 され て い る の で あ るb国 際 会 計 基 準 で は 、 資 本 概 念 も し くは 資 本 維 持 概 念 に 関 す る合 意 が 得 られ て い な い こ と に鑑 み 、 そ の 選 択 を財 務 諸 表 利 用 者 の ニ ー ズ に委 ね て い る の で あ る。 国 際 会 計 基 準 で.は、IAS第15号 と第29号 以 降 、 物 価 変 動 会 計 に関 す る新 しい 基 準 は設 け られ て い な い 。 世 界 的 に 物 価 が 安 定 して い る現 在 、 物 価 変 動 会 計 は 、 公 表 財 務 諸 表 制 度 にお け る 今 日的 な 問 題 と して 位 置 づ け られ て は い な い 。 し か し、 資 本 維 持 や そ れ に基 づ く期 間 利 益 の 計 算 とい う 問 題 が 、 企 業 会 計 にお け る 本 質 的 な課 題 で あ る こ とに 変 わ りは な く、 そ の 意 味 で物 価 変 動 会 計 論 が 存 在 意 義 を喪 失 した わ け で は 決 して な い 。 た だ 、 こ れ か らの物 価 変 動 会 計 論 に 求 め ら れ る の な 、 従 来 か らあ る購 買 力 資 本 維 持 論 と実 体 資 本 維 持 論 、IAS第15号 にお け る 表 現 で い え ば 、 一 般 購 買 力 ア プ ロ ー チ と 現 在 原 価 ア プ ロ ー チ との 択 一 論 議 で は な く、 両 者 を統 合 す る 方 向 で の 理 論 体 系 の 再 構 築 で あ ろ う。,この よ うな 問 題 意 識 は 筆 者 が こ こ 数 年 に わ た っ て抱 き続 け て き た が 、 本 論 文 に お け る検 討 を通 して、 そ の 思 い を再 認 識 した 次 第 で あ る 。 (注) (1)Int・m・ti・n・IAcc・untingSt・nd・ ・d・C・mmittee(IASC),Int・m・ti・n・IAcc。untingStand。,a15, In飴 ㎜ationRenectingtheEf飴ctsofChangingPrices,1981年11月 。 こ の 基 準 書 に つ い て は 、 日 本 公 認 会 計 士 協 会 か ら の 翻 訳(対 訳)が 出 さ れ て お り 、 本 論 文 で は そ れ を参 考 に し て い る 。 ま た 、 わ が 国 で こ の 基 準 書 を 解 説 し た 文 献 と し て1次 の も の が あ り 、 併 せ て 参 考 に し て い る 。 田 中 茂 次 『物 価 変 動 会 計 の 基 礎 理 論 』 同 文 舘,平 成 元 年 ,299-300頁6木 下 裕 一 「国 際 会 計 基 準 」 森 川 八 洲 男 編 著 『比 較 会 計 制 度 論'物 価 変 動 会 計 の 制 度 化 を 中 心 と し て 』 同 文 舘,昭 和60年,第12章 。 鈴 木 昭 一 「イ ン フ レ ー シ ョ ン 会 計 」 氏 原 茂 樹 ・佐 藤 信 彦 ・松 井 泰 則 編 著 『国 際 会 計 基 準 精 説 』 白 桃 書 房,1994年?第 盟 部 ・第12章 。 大 木 一 也 「国 際 会 計 基 準 第15号 ・物 価 変 動 の 影 響 を 反 映 す る 情 報/第29号 ・超 イ ン フ レ 経 済 下 の 財 務 報 告 」 『JIACPAジ ャ ー ナ ル 』 第6巻 第9号,1994年9月 号 。 (2)IASC,IntemationalAccountingStandard29,FinancialReportingHyperinflationalyEconomies, 1989年7月 。 こ の 基 準 書 に つ い て は 、 日 本 公 認 会 計 士 協 会 か ら 翻 訳(対 訳)が 出 さ れ て お り、 本 論 文 で は そ れ を 参 考 に し て い る 。 ま た 、 わ が 国 で こ の 基 準 書 を 解 説 し た も の と し そ は 、 大 木,前 掲 論 文,が あ り 、 併 せ て 参 考 に し て い る 。 (3)IASC,Intema廿onalAcco㎜tingStandard6,AccounthlgResponsestoCh{mgingPdces,1977年6月 。 こ の 基 準 に つ い て は 、 次 を 参 照 さ れ た い 。 木 下 ,前 掲 論 文,238-239頁 。 野 村 健 太 郎 「EC 会 計 基 準 ・国 際 会 計 基 準 」 森 田 哲 彌 責 任 編 集 『体 系 近 代 会 計 学 皿 ・イ ン フ レ ー シ ョ ン 会 計 』 中 央 経 済 社,昭 和57年,第9章,326-334頁 。 (4)h制onAccountingCo㎜i伽e,InnationAcco皿 廿ng,Repo丘of㎞nationAcco㎜t血gCo㎜i枕ee (SandilandsReport),1975年 。
(5)AccountingStandardsCommittee(ASC),StatementofStandardAccountingPractice No。16(SSAP16),1980年 。 (6)森 田 哲 彌 他 「イ ン フ レ ー シ ョ シ 会 計 の 研 究 《5》 」 『企 業 会 計 』 第29巻 第2号,1977年2月 号, 303-306頁 参 照 。 (7)IASC,㎞temationalAccountingS㎞(肱rd5,Info㎜ationtob6DisclosedihF㎞ancialStatementes, 1976年10月 。 (8)既 述 の よ う に 、IAS第29号 は 、 現 在 原 価 財 務 諸 表 の 修 正 に 際 し て 正 味 貨 幣 項 目 に 関 す る 一 般 購 買 力 損 益 の 計 上 を 要 求 し て い る が 、 こ れ に 関 し て 、 同 基 準 で は 、 現 在 原 価 財 務 諸 表 に は 、 IAS第}5号 の 第15項 に 従 っ て 、 貨 幣 項 目 に 対 す る 物 価 変 動 の 影 響 を 反 映 す る 修 正 が す で に 含 ま れ て い る 場 合 が あ る と 述 べ ら れ て い る か ら で あ る(第29項)。 (9)FinancialAccountingStandardsBoard,FinancialReportingandChan∫gingPrices,Statementof FinancialAccoun士ingStandardsNo.33,1979年 。 (10)SSAPI6の 貨 幣 運 転 資 本 修 正 に つ い て は 、 次 を 参 照 さ れ た い 。 壹 岐 芳 弘,「 『会 計 実 務 基 準 書 第16号 』 の 再 検 討 一 そ の 利 益 計 算 構 造 を 中 心 と し て 」 『会 計 』 第141巻 第5号,1992年 5月 号,34-37頁 。 (11)ギ ア リ ン グ 修 正 に 関 し て は 、 次 を 参 照 さ れ た い 。 壹 岐 厂実 体 自 己 資 本 維 持 論 に お け る ギ ア リ ン グ 修 正 の 基 本 的 類 型 」 『情 報 研 究 』(文 教 大 学),第13号,1992年 。 (12)㎞HationAcco㎜tingSteeringGroup,CurrentとbstAccouthlg,ExposureDr諭(ED18),1976年 。 (13)ASC,Accountingfbrtheef飴ctsofchangingprices:ahandbook,1986年 。 (14)Acco膩ingStandardsBoard(ASB),StatementofPrinciplesChapter5:1Measurementinfinancial statementes,DiscussionDr誼,1993年 。 な お 、 こ のSP草 案 お よ び 前 注 の ハ ン ド ブ ッ ク に 関 し て は 、 次 を参 照 さ れ た い 。 壹 岐 「英 国 に お け る 結 合 資 本 維 持 会 計 の 提 案 」 『産 業 経 理 』 第55巻 第2号, 1995年7月 。 壹 岐 「資 本 維 持 論 の 動 向 と 課 題(2)」 『会 計 』 第150巻 第3号,1996年9月 号 。 (15)HansRJordi,InnationAccountingVor忌chlagzurBerUcksichtigungderFinanzierungbei tageswe「tige「Rec㎞ungslegun9:DieRealkaPitalver洫derungsrec㎞ung,BemundSulttg頒,1980年 。 な お 、 こ の 著 書 の 内 容 に 関 し て は 、 次 を 参 照 さ れ た い 。 壹 岐 「ヨ ル デ ィ の 二 元 的 資 本 維 持 論 一 近 年 の 英 国 に お け る 公 的 提 案 と の 比 較 一 」 『情 …報 研 究 』(文 教 大 学) ,第17号,1996年 。 (16)ASB,DiscussionDr誼,第55-58項 の タ イ トル 。 (17)壹 岐 「英 国 に お け る 結 合 資 本 維 持 会 計 の 提 案 」U8頁 、.お.よび 、 壹 岐 「ヨ ル デ ィ の 二 元 的 資 本 維 持 論 」10頁 参 照 。 (18)IASC,FrameworkfbrthePreparationandPresentationofFinancialStatements,1989年7月 。 (著者 い き よ し ひ ろ 文教 大 学 情 報 学 部 平 成12年9月27日 受 付)