• 検索結果がありません。

土地・住宅問題への社会学的視点

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "土地・住宅問題への社会学的視点"

Copied!
21
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

土地 ・住宅 問題 への社 会学 的視点

Sociological

Perspectives

to Explore

Housing

and Land Problems

in the Metropolitan

Area of Tokyo

Hachiro

Nakamura

One of most impending issues of today in Japan is the skyrocketing rise of housing and land prices which have grown especially salient since around 1984 in the metro-politan area of Tokyo. In identifying factors which led to the rise what have been very often pointed out are unscrupulous purchase of land by land sharks, abundance of financial loans for them by financial agencies, purchase of land by realtors for speculative purpose, and the very loose zoning code in Japan which allows to con-struct profitable office buildings in residential districts.

Holding these above subsidiary factors, however, this article indicates a large in-crease of the demand for housing which has been taking place, though remained la-tent, since around 1965. Through cohort analysis of the population in the metropoli-tan area of Tokyo, the present writer found that what is calledU turn", by which it is meant that young population who had migrated into the metropolitan area from countryside native communities go back to their native communities a couple of years afterward, is not validated by empiricial facts. On the contrary, young population, once they moved in the metropolitan area have kept on staying therein though they tend to move outer zones from inner zones within the metropolitan area

Moreover, 1970 and 1975 population censuses revealed that the population pyra mids of these two census years in the metropolitan area of Tokyo indicated the largest proportion accounted for by the age groups of 20 through 24 and 25 through 29 due to their heavy influx from all parts of Japan, the population of the age who were likely to be contented with rather smaller living space now When they reach the life stage of married life with their children growing up, each requiring their own separate room, they have to acquire a larger living space for their families. Since they did not move out from the metropolitan area of Tokyo, one should have expected

(2)

a huge increase of the demand for housing for subsequent period.

It seems that public authorities did not become aware of this. Housing and land

policies by both national and local governments tended to discourage rather than

en-courage the supply of houses and housing lands. It is not until very recent days when

the consequent sharp rise of their prices are witnessed that public authorities

con-cerned have come to recognize the constant shortage of the supply for the increasing demand, hence working out measures to stimulate the supply.

There seem to be some among public authorities, however, who still stick to the

preference for the countrol of land use, i. e., what is called the downzoning, thereby paying no attention to the relation between demand and supply and its bearing on the rise and fall of prices. In addition, squeezing of financial loans for realtors and land developers is generally believed to be an only means to suppress the rise and thus lead to the fall of the price of lands and houses, with no distinction being made,

however, between cause and effect, on one hand, and condition under which a cause

kept latent grows manifest, on the other. Financial matter is nothing but a condition leading a cause of rise, i. e., the shortage of supply, to remain latent, but not elimi-mating it by meeting the demand.

Finally the article tries to foresee the near future and predicts the alleviation of

the housing demand through the analysis of the population pyramid and influx and

exodus of population in very recent days. What will become of land price, however, depends on the future demand of office space and housing size as well as housing

de-mand of foreign immigrant workers. Demographic analysis further disclosed a

coun-tertendency for the so-called one polar concentration, i. e.. excessive concentration of

population and firms in Tokyo metropolitan area, though no one doubts now it to be

the case. Thus the article points out that at the time when "U turn" was believed in generally it was against the fact, and that at the present time when one polar concen-tration is held to be the case a tendency has been already emerging which counter-acts it. は しが き 1.首 都 圏 人 口 の動 向Uタ ー ン説 か らの 離 反 2.人 ロ ピ ラ ミ ッ ド 住 宅 問 題 との 関連 3.住 宅 ・土 地 政 策 の 問題 点 4.社 会 的 認 知 と世 論 に お け る抑 制 因 5.現 在 の 状 況 6.新 た な動 向 と今 後 の展 望 む す び は しが き わ が 国 の大 都 市 地 域 の 地 価 が 急 激 な 上 昇 を 始 め,社 会 が そ れ に強 い 関 心 を抱 く よ う に な った の は,昭 和59年 の 頃 か らで あ っ た。 直接 的 に は都 心 部 で の オ フ ィ ス の 需 要 の 増 大 に応 じて オ フ ィス 一2一

(3)

地 区周 辺 の 住 宅 が 買 収 され,そ の 買 収 が 税 金 対 策 と 関連 して 近 郊 地 域 で の住 宅 の 活 発 な 買 い 替 え を呼 び お こす と い っ た こ とが 契 機 とな った の で あ るが,し か しこ う して 始 ま った 地 価 上 昇 は ドミ ノ式 に大 都 市 地 域 全 般 に拡 大 し,つ い に は地 方 都市 に も波 及 した の で あ った 。 こ の よ う に して地 価 が 急 上 昇 す る と と もに マ ス コ ミは 絶 え ず そ れ に伴 う社 会 的 イ ンパ ク トを伝 え る よ うに な り,ま た 地 価 問 題 に関 す る さ ま ざ ま な論 議 も活発 に な った の で あ った 。 と こ ろ で これ らの論 議 で は,転 売 に よ る利 益 の さや 稼 ぎを 狙 っ た企 業 に よ る土 地 の 買 い 漁 り, そ れ と結 び つ い た 地 上 げ屋 の横 行,こ れ ら を根 底 的 に支 え た 金 融 機 関 に よ る土 地 に対 す る 過 剰 融 資 の 批 判 と告発 が 極 め て 活発 に行 わ れ て い た 。 そ の 間 に土 地 税 制 に 関す る注 意 を喚 起 す る 指 摘 も 加 え られ る よ う に な っ た が,こ の点 に 関 す る 関心 は 急 速 に盛 り上 が っ て地 価 問題 の論 議 が そ れ に 集 中 す る よ うに な っ た。 この よ う な動 向 に対 応 して,国 の 政 策 と して も平 成 元 年 に は 国会 で 土 地 基 本 法 が 制 定 され,ま た多 くの 紆 余 曲折 を経 て骨 抜 き に な っ た 言 わ れ なが ら も新 た な地 価 税 が 平 成3年 に決 定 され た の で あ った 。 ま た管 轄 地 域 内 で 地価 上 昇 が 始 ま っ た場 合 は,殆 ど の地 方 自治 体 が 地 価 監 視 制 度 を設 け る に至 っ て い る 。 以 上 の よ うな 論 議 の展 開 と政 府 と地 方 自治 体 の政 策 に 筆 者 は常 に 注意 を払 っ て きた の で あ る が,し か し何 時 に な っ て も問 題 に さ れ る の は現 在 の単 な る 表 面 的 現 象 で あ り,ま た政 策 面 につ い て も一 時 的緊 急 措 置 に 終 始 して きた よ うに 思 わ れ る 。 実 は筆 者 は首 都 圏 に お け る 人 口動 向 に 関 す る デ ー タ に昭 和40年 代 か ら関 心 を寄 せ て い た の で あ る が,こ の デ ー タか らは然 るべ き措 置 を講 じ な い 限 り,後 に お け る地 価 上 昇 は必 死 で あ あ る こ と が 窺 わ れ た 。実 際 に は筆 者 に は 「然 るべ き」 と思 わ れ た措 置 は何 等 講 じ られ る兆 候 が み ら れ ず, そ の た め 筆 者 は 当 時 執 筆 依 頼 を 受 け た 原 稿(1)で 地 価 の 上 昇 の避 け られ な い こ と を 指 摘 し た こ と もあ る。 しか し現 在 地 価 に 関す る議 論 が,そ の 全 て に は到 底 目を 通 せ な い ほ ど盛 ん に行 わ れ て い る に もか か わ らず,こ れ が 地 価 上 昇 の最 も基 本 的要 因 と思 わ れ る 人 口動 向 に関 心 が 向 け ら れ る様 子 は全 く現 れ な い よ う な の で,本 稿 で は最 近 の 変 化 も含 め て こ の 人 口動 向 が 地 価 に た い して持 つ で あ ろ う と思 わ れ る関 連 性 につ い て 検 討 を試 み る こ と とす る。 な お,上 で 「然 るべ き」 措 置 が 講 じ られ な か っ た と述 べ たが,そ れ は 当 時 講 じさ せ な い よ う な社 会 的 認 知(socialperception)が 社 会 の 主 流 とな って お り,世 論 もそ の 上 に立 っ て形 成 され て い た 。 人 口 現 象 は社 会 学 とい う分 野 に は 当然 の 研 究 対 象 で あ り,さ ら に こ の よ う に社 会 的認 知 や 世 論 も考 慮 に加 えて 検 討 を試 み る の で あ る か ら,筆 者 の ア プ ロ ーチ は 社 会 学 の 側 か らの ア プ ロ ー チ とい う こ と に な る。 現 在 盛 ん に な っ て い る多 くの 論 議 は以 上 に述 べ た とこ ろ か ら既 に推 察 され て い る で あ ろ う よ うに,経 済 的, あ る い は 制 度 的 ア プ ロ ーチ の範 囲 に入 るで あ ろ うが,社 会 学 の側 か ら見 た 場 合 に地 価 問題 につ い て 得 られ る で あ ろ う新 た な理 解 を知 っ て も ら う こ とが,筆 者 の狙 い で あ る。 1.首 都 圏 人 口 の 動 き Uタ ー ン説 へ の離 反 Uタ ー ン説 が 当 時 人 口問 題 研 究 所 研 究 員 で あ った 黒 田俊 夫 氏 に よ って 唱 え られ た の は,昭 和40 年 代 の 初 頭 で あ った 。 後 に研 究 所 所 長 も勤 め られ た 氏 は一 貫 して こ の説 を唱 え られ て い た が,そ れ は 日本 の 社 会 で広 く承 認 さ れ,政 府 の 各 種 報 告 書 の な か で も,常 にUタ ー ンが 既 定 の事 実 で あ る か の よ う に言 及 され て い た。 これ と並 行 して40年 代 半 ば か ら50年 代 の 半 ば 過 ぎ まで,こ れ も当 然 で あ る か の よ うに 指 摘 さ れ て い た の は,三 大 都 市 圏 へ の 人 口集 中 の低 下傾 向 で あ り,そ れ と呼 応 して 厂地 方 の 時代 」 が 次 第 に謳 歌 され る よ う にな って い った 。 こ こで 表1(a)∼(d)を 見 て い た だ くこ と にす る 。 これ は東 京,神 奈 川,埼 玉,千 葉 の一 都 三 県 の そ れ ぞ れ に つ い て,昭 和40年,45年,50年 の 国 勢 調 査 に よ る5才 階 級 別 の 人[コ数 をそ の ま ま引 き

(4)

a.東 京都 表1.年 齢 上 昇 に伴 う各 年 齢 階 級 人 口 の 増 減 (△は減少)b.神 奈川県 昭和50年 昭和45年 年齢 人口 増加数 昭和40年 年齢 人口 増加数 ∼4 964,456 一 年齢 人口 ∼4 971,687 一 ∼9 856,9430114,744 0∼4 876,263∼9 791,874 △糾,389 ∼14 743,056 X48,824 5∼9 664,708一14 637,069 027,639∼19 824,026 186,957 1014 675,974∼19 963,755 287,781 24 1,311,354 347,599 15∼19 1,298,174一24 1,675,115 376,941 29 1,338,3070336,808 20∼24 1,579,890∼29 1,290,8780289,012∼34 1,067,3460223,532 2529 1,243,711∼34 1,031,700X212,011 ∼39 910,793 0120,907 3034 1,017,041∼39 910,696△106,345 ∼44 844,180 066,516 3539 805,517∼44 744,424 061,093∼49 705,845 038,579 4044 618,431 ' ∼49 584,319X34,112 一54 545,313 039,006 4549 497,946∼54 467,280 030,666 59 430,028 037,252 50∼54 455,787∼59 415,597 X40,190 64 383,027 X32,570 5559 370,464∼64 332,866 037,598 69 296,987 035,879 60-64 296,375∼69 257,119 039,256 74 215,274 041 ,845 6569 210,755 ∼74 172,110△33,磁5一一79 130,692 X41 ,418 7074 132,716∼79 96,219 036,497∼ 艇 61,036 035 ,183 7579 78,077∼84 46,374 031,70385∼ 27,820 一 80∼{甦 33,44185∼ 18,969 一 85∼ 13,974 c.埼 玉 県 (△ は減 少) 昭和50年 昭和45年 年齢 人口 増加数 昭和40年 年齢 人口 増加数 ∼4 532,546 一 年齢 人 口 ∼4 415,367 一 _g 457,576 42,209 0∼4 286,643一9 327,322 40,679一14 350,014 22,692 5∼9 240,539∼14 260,174 19,635∼19 306,437 46,263 1014 263,779∼19 321,156 57,377 24 384,660 63,504 1519 339,887∼24 414,863 74,976一一29 515,429 100,566 20-24 301,207∼29 406,684 105,477∼34 498,018 91,334 2529 290,905∼34 379,893 88,988∼39 423,094 43,201 3034 274,830∼39 319,533 44,703∼44 342,770 23,237 3539 224,280∼44 243,954 19,676∼49 261,842 17,888 4044 168,216∼49 iaz,s2s 14,612 54 193,496 10,668 4549 139,200∼54 150,332 11,132∼59 156,741 6,409 5054 130,205∼59 137,029 6,824一64 140,651 3,622 5559 108,004∼64 108,748 744 69 105,257 03 ,491 60∼64 89,603一69 84,565 05,038∼74 75,051 09,514 65∼69 66,962∼74 57,931 09,031∼79 45,1{熔 012,743 7474 44,833∼79 32,921 X11,912∼84 21,091 011,830 75-79 27,984∼{甦 16,496 X11,515 85∼ 7,638 一 8084 12,52785一 6,703 一 85一 5,379 (△は減少) 昭和50年 昭和45年 年齢 人口 増加数 昭和40年 年齢 人口 増加数 _g 639,180 一 年齢 人口 ∼4 543,479 一 _g 552,627 9,148 0∼4 402,712_g 427,357 24,〔辺5 ∼14 440,212 12,855 5∼9 312,869∼14 330,936 18;067∼19 413,796 82,860 1014 319,722∼19 457,462 137,740∼24 576,966 119,504 15-19 500,922∼24 666,307 165,385一29 708,691 42,364 2024 529,272∼29 606,868 79,596∼34 637,876 31,008 2529 480,014∼34 532,418 52;404∼39 545,917 13,499 3034 432,689∼39 461,948 29,259∼44 471,081 9,133 3539 353,769∼44 369,472 15,703 X49 382,403 12,931 40--44 257,349∼49 271,434 14,085∼54 278,727 7,293 4549 204,051∼54 215,080 11,029∼59 217,322 2,242 5054 183,887∼59 189,103 5,216∼64 189,013 090 5559 145,365∼64 144,464 0901 ∼69 138,062 06,402 6064 116,368∼69 109,694 06,674一一74 98,097 011,597 65-69 83,981一74 73,591 oia,3so∼79 59,410 X14,181 7074 54,889∼79 42,436 X12,453∼84 28,375 014 ,061 7579 33,姻 ∼84 21,197 X12,26785∼ 13,361 一 80∼{甦 14,76385∼ 9,001 一 85∼ 6,657 d.千 葉 県 (△ は 減 少) 昭和50年 昭和45年 年齢 人口 増加数 昭秘0年 年齢 人口 増加数 ∼4 452,792 一 年齢 人口 一4 329,808 一 ∼9 370,580 40,772 0-4 241,160_g 270,083 28,923∼14 303,218 33,135 5∼9 216,115∼14 236,,725 20,610∼19 265,645 28,920 1014 244,065∼19 269,600 25,535∼24 327,267 57,667 1519 279,493∼24 342,439 62,946一29 429,873 87,434 2024 246,511一29 330,9玉4 84,403∼34 404,783 73,869 25--29 241,887一34 314,118 72,231∼39 353,132 39,014 3034 240,649∼39 282,027 41,378∼44 305,367 23,蓼10 3539 207,526X44 225,472 17,946∼49 213,(且9 17,577 4044 157,603∼49 171,629 14,026∼54 179,746 8,117 45-49 132,039∼54 140,284 8,245∼59 144,965 4,〔遷1 50-54 125,000一59 127,867 2,867∼64 131,574 3,707 5559 106,412∼64 105,718 0694 ∼69 101,612 04 ,106 6064 91,588∼69 86,043 05,545∼74 76,509 09 ,534 6569 71,261∼74 62,379 △8,882 ∼79 48,810 013,569 7074 47,465∼79 35,442 012,023一84 22,973 012,469 75-79 31,626 X84 is,oaa 012,54685∼ 11,301 一 80-84 14,35185∼ 7,996 一 85一 7,019 写 した表 で あ るが,た だ45年 は40年 よ り一行 上 に,50年 は さ ら に また 一 行 上 に ず ら して 各 年 齢 階 級 の人 口 数 が 記 入 さ れ て い る。 一 般 に は この よ うに ず ら さ な い ま ま に異 な った 国 勢 調 査 年 度 の 同 一 年 齢 階 級 の 人 口 を 比 較 し, 特 に若 い 年 齢 につ い て この よ うな 比 較 を試 み て,増 大 して い る場 合 若 年 層 の集 中 が,減 少 の 場 合 一4一

(5)

は そ の 層 の流 出 が 起 き て い る と報 告 さ れ,時 に は 大 き く騒 ぎ立 て られ て い る 。 しか し例 え ば昭 和 40年 度 の15∼19才 人 口が 昭 和45年 度 の15∼19才 人 口 よ り増 加 して い る場 合,こ の 両 者 の 人 口 は 出 生 時 点 に5年 隔 た りが あ り,増 加 して い るの は 出 生 時 点 で 既 に 多 か っ た,つ ま り5年 の 間 に 出生 数 が 増 加 して い た こ とか ら,こ の よ うな 比 較 で は 後 者 が 前 者 よ り多 くな って い る結 果 を 招 い た こ と も考 え られ る。 したが っ て 後 者 の増 大 は 出生 時 の 人 数 の違 い と言 う要 因 も混 じっ て お り,純 粋 に転 入,転 出 の み に よ る 人 口 数 の 変 化 は 示 して い な い こ とに な る。 しか し表1(a)∼(d)の よ うに 一 行 つ つ ず ら して各 行 を真 横 に読 む こ とに す る と,例 え ば,昭 和40 年 度 の15∼19才 人 口 は45年 度 に は 当然20∼24才 人 口 に移 って お り,こ の 問 に 増 大 して お れ ば転 入 超 過,減 少 な ら転 出超 過 とい う こ とに な り,出 生 時 の人 数 の 違 い とい う要 因 を除 去 した 上 で の比 較 が 可 能 とな る。 た だ し この 一 行 つ つ ず ら した 比 較 に は,死 亡 が 含 まれ るは ず で あ る 。 表1で は 60才 を越 えた あ た りで減 少 が 顕 著 に な っ て い るの は こ の死 亡 の 比 率 が 高 くな っ て い る か ら と思 わ れ るが,本 稿 で 問題 とす る39才 ま で の 人 口 に 関 して は そ の 比 率 が か な り低 く,そ れ を無 視 して検 討 を進 め て 差 し支 え な い よ うで あ る。 表 の検 討 に移 る と,ど の 表 も60才 前 後 か ら は死 亡 が 次 第 に大 き く影 響 して す べ て 減 少 に な って お り,ま た 一 般 に 地 域 移 動 は年 齢 が 高 くな る につ れ て 減 少 す る傾 向 にあ るの で,転 入,転 出 を扱 お う とす る本 稿 で は 中 年 層 ま で を扱 い,他 は検 討 の対 象 か ら外 す こ と とす る。 対 象 とす る年 齢 に つ い て まず 東 京 をみ る と,こ こで は10∼14才 と15∼19才 が そ れ ぞ れ15∼19才,20∼24才 に移 る問 に大 幅 な増 加 を示 す が 他 はす べ て 減 少 とな っ て い る。 減 少 の程 度 の 差 異 につ い て は25才 か ら39才 の 問 で 減 少 数 が 多 くな っ て い る よ う で あ る。 他 方 周 辺3県 で は60才 以 上 を除 け ば,東 京 で 増 加 し て い る年 齢 層 で も同様 に増 大 して ば か りで な く,東 京 で は 一様 に減 少 す る他 の す べ て の年 齢 層 で 増 加 に な っ て い る。 各 年 齢 層 間 の増 加 数 の 差 異 に 注 目す る と,東 京 で 減 少 巾 の 大 きい25才 か ら39 才 の層 で は,逆 に著 しい増 加 に な っ て い る。 5才 階 級 別 の 一 つ 一 つ を比 較 しす る と こ の よ う な点 に気 が付 くの で あ る が,こ の 区切 りの 階 級 で は 区切 り巾 が や や過 小 で あ っ て煩 瑣 な検 討 を強 い ら れ る 。 そ れ で よ り大勢 的 傾 向見 る た め,増 加 と減 少 お よ び そ の 巾 に つ い て 同様 と思 わ れ る年 齢 層 を 幾 つ か に纒 め て 見 る こ と と し,そ の 上 で 一都 三 県 に つ い て一 つ の 比 較 を試 み た の が 表2a∼bで あ る。 表2∼aの 左 上 部 に は 国調 時 とあ りそ の右 が 上 下2行 の 昭和40年,45年 に分 か れ,さ らに そ の 右 で は 上 に0∼4才,下 に5∼9才 と記 入 され て い る が,こ れ は 国勢 調 査 年 度 の 昭 和40年 と45年 の 問 に0∼4才 の もの は5∼9才 に 当 然 年 齢 層 が 上 昇 して い た とい う意 味 で あ り,こ の年 齢 欄 の 下 の各 県 別 の 数 字 は,年 齢 が こ れ だ れ 上 昇 した 間 に個 々 の 県 で どの 程 度 そ の該 当 年 齢 層 で 人 口 の増 減 を生 じた か を示 して い る。 さ ら に下 の 行 で は 一 旦3県 の計 を 求 め た 上 で,最 後 は東 京 都 の 場 合 だ け の 数 字 を掲 げ,3県 計 と東 京 都 との 比 較 を試 み て い る 。以 上 表 の 上 か ら下 へ の 見 方 を述 べ た が,次 に こ の表 を横 に見 る と,先 ず 最 上 欄 で は,児 童 期,青 年 期,壮 年 期 と大 き く3区 分 さ れ て い る。 上 で 同様 の傾 向 の 年 齢 層 を 幾 つ か に纒 め て み た と述 べ た の は,こ の3つ の 区 分 に大 別 す る こ とで あ った。 この 区 分 の う ち まず 青 年 期 につ い て は計 の 下 の 方 の 欄 に見 られ る よ うに,3県 と東 京 都 の 双 方 で 大 量 の人 口 の増 加 が 生 じて い る。 この こ とか ら若 年 層 が全 国 か ら東 京 都 だ け で は な く3県 に も 一 斉 に流 入 して い る と理 解 で きる の で あ る が,し か し壮 年 期 に な る と東 京 都 で は一 挙 に減 少 に転 じ,一 方3県 で は 大 巾 に増 加 す る 。 特 に注 意 しな けれ ば な らな い の は,こ の 時 期 の計 の3県 の増 加 数 と東 京 の減 少 数 で は,そ の絶 対 値 が 前 者 が59万8千,後 者 が60万7千 で1万 も違 わ ず,ほ ぼ 同 数 に な っ て い る 点 で あ る。 恐 ら く若 い年 齢 で 単 身 者 と して 東 京 に流 入 した 人 口 は,そ の 後 の結

(6)

表2∼a昭 和40∼45年 の 年 齢 上 昇 に 伴 う人 口 増 減 (△ は減 少) 時間区分 児童期 青年期 壮年期 国調時年齢 昭和40年 0∼4歳 5∼9歳 計 10∼14歳 15∼19歳 計 20∼24歳 25∼29歳 30∼34歳 計 昭和45年 5∼9歳 10∼14歳 15∼19歳 20∼ 勿歳 25-29歳 30∼34歳 35∼39歳 3県別 神 奈 川 埼 玉 千 葉 24,645 40,679 28,923 18,067 19,635 20,610 42,712 60,314 49,533 137,740 57,377 25,535 165,385 74,976 62,946 303,125 132,353 .. 79,596 105,477 84,403 52,404 88,988 72,231 29,259 44,703 41,378 161,259 239,168 198,012 3県 計 東 京 都 94,247 △84,389 58,312 027,639 152,559 0112,028 220,652 287,781 303,307 376,941 523,959 664,722 269,476 0289 ,012 213,623 0212 ,011 115,340 0106,345 598,439 0607,368 表2∼b昭 和45∼50年 の 年 齢 上 昇 に伴 う 人 口 増 減 (△ は 減 少) 時間区分 児童期 青年期 壮年期 国調時年齢 昭和40年 0∼4歳 5-9歳 計 10∼14歳 15∼19歳 計 20∼24歳 2ト29歳 30∼34歳 計 昭和45年 5∼9歳 10∼14歳 15∼19歳 20∼ 勿歳 25∼29歳 30∼34歳 35∼39歳 3県 別 神 奈 川 埼 玉 千 葉 9,148 42,209 40,772 12,855 22,692 33,135 22,003 64,901 73,907 :.1 46,263 28,920 119,504 63,504 57,667 202,364 109,767 .. 42,364 100,566 87,434 31,008 91,334 73,869 13,499 43,201 39,014 .. 235,101 200,317 3県 計 東 京 都 92,129 0114,744 .. X48,824 160,811 0163,568 158,043 186,957 240,675 347,599 398,718 534,556 230,364 △336,808 196,211 ×223,532 95,714 ×120 ,907 522,289 0681 ,247 婚 と子 供 の 出 生 に と もな い よ り広 い住 宅 を求 め て 隣 県 に転 出 した の で あ ろ う。 こ こ で さ ら に児 童 期 をみ る と,そ の計 で は東 京 都 の 減 少 数 と3県 の増 加 数 が 壮 年 期 の 計 の場 合 よ りは は るか に少 な い に して も,絶 対 値 で は東 京 と三 県 が や は りか な り接 近 した 数 字 に な っ て い る。 こ れ は まだ 東 京 都 に在 住 して い た期 間 に 生 ま れ た子 供 を と もな って 転 出 した か ら と思 わ れ る 。 以 上 の 知 見 が わ れ わ れ に教 え て い る の は,全 国 か ら東 京 都 に押 し寄 せ た若 年 層 の 人 口 が,5年 とか15年 の 後 に は ま た 大 量 に東 京 都 を離 れ る の は確 か に 事 実 で あ る と して も,し か し彼 等 はU ター ン説 が 想 定 して い る よ う に,帰 って い く先 は 出 身 地 で は な い こ とで あ る 。 つ ま り出 て い く範 囲 は 隣 接 す る3県 に 限 定 され て い る の で あ り,こ れ に よ っ て理 解 で き る の は,Uタ ー ンが 広 く 日 本 の 社 会 で 信 じ られ て い る と は い え,し か し事 実 は 全 くそ れ に反 して い た こ とで あ る。 またu タ ー ンが 唱 え ら られ た の は昭 和40年 代 の初 期 で あ った が,表2∼aは 丁 度 そ の 時 期 の デ ー タで あ る こ と も強 調 して お きた い 。 次 の表2∼bは そ れ に続 く昭 和45∼50年 の 問 の デ ー タ で あ り,児 童 期,青 年期 につ い て は前 と同 様 の傾 向 を示 す が,壮 年 期 の計 で は 東 京 都 の減 少 数 が3県 で の 増 加 数 を や や 上 回 って い る。 そ れ で も比 率 は ほ ぼ4対3と な っ て お り,Uタ ー ン説 を妥 当視 す る こ と とを 許 す 比 率 に は な っ て い な い と考 え られ る。 2.人 ロ ピ ラ ミ ッ ドー 一 住 宅 間 題 と の 関 連 事 実 がUタ ー ン説 に反 して い る こ とを以 上 に指 摘 した 上 で 、 次 に 図1と2に 移 る こ と とす る。 両 方 の 図 は 一 都3県 の ほ か に 群 馬 県 と全 国 の 場 合 の人 ロ ピ ラ ミ ッ ドを示 す が,1は45年,2は50 年 の場 合 で あ る 。1と2は 全 く同 形 とは い えな い と して も,大 体 の傾 向 と して 一都3県 で は小 さ な兜 に大 きな 兜 を乗 せ た と もい え る格 好 を して お り,コ ー ホ ー トの 最 も張 り出 した 年 齢 階級 は20 才 台 に な っ て い る 。 これ に対 して 群 馬 県 の場 合 は とん が り帽 子 の よ うな 形 に な って い るが,実 は 一 都3県 の他 に,愛 知,大 阪,福 岡 の よ うな 大都 市 を擁 し た少 数 の府 県 を除 け ば全 て の県 が 群 馬 型 の形 に な って お り,そ れ を 反 映 して 全 国 も とん が り帽子 型 の ピ ラ ミ ッ ドに な って い る。 図1, 2に 群 馬 県 の 場 合 も示 した の は,他 の 多 くの 県 と対 比 して 認 め ら れ る 一都3県 の特 長 を 明確 に し た い た め で あ る。(図1,2の 下 に さ らに 図3が 掲 載 され て い る が,こ の 図 の 意 味 に つ い て は, 一6一

(7)

後 に触 れ る予 定 で あ る 。) と こ ろ で 小 さ な兜 に 大 きな 兜 を乗 せ た 形 の ピ ラ ミ ッ ドで,最 も張 り出 した 部 分 が20才 台 で あ る とい うこ と は,近 い 将 来 の 住 宅 問 題 に一 つ の 示 唆 を与 え て い た こ とに な る。 現 在 年 齢 階 級 別 に は 最 も高 い 比 率 の20才 台 はそ の 年 齢 時 の 生 活 構 造 か ら,多 くは か な り狭 小 な居 住 空 間 に 甘 ん じて い る と考 え ら れ る 。 また そ れ で 特 に 困 る とは ま だ 意 識 しな い で あ ろ う。 しか し問 もな く結 婚 生 活 に 入 り,そ の 後 子 供 の 出 生 を迎 え,つ い で そ の 子 供 が 次 第 に成 長 して い くと い う家 族 周 期 の段 階 を 経 て い くこ とが 当 然 予 想 さ れ る の で あ る が,そ うな る に つ れ て,居 住 空 間 の拡 大 に 迫 ら れ,そ の 拡 大 は 青 年 期 の 半 ば に まで 成 長 した 子 供 の 一 人 一 人 が そ れ ぞ れ に独 立 部 屋 を要 求 す る段 階 で 最 大 に達 す る こ とに な る。 そ うな った 時 点 で 当 然 予 想 され る の は,住 宅 と宅 地 に対 す る膨 大 な 需 要 の 発 生 で あ る 。 つ ま り昭 和45年,50年 の 一都3県 の 人 ロ ピ ラ ミ ッ ドで,20才 台 の コ ー ホ ー トが 特 に 張 り出 して い る こ とは,家 族 周 期 が い ず れ は必 ず 到 達 す る段 階 を考 慮 す れ ば,住 宅 と宅 地 に関 し て そ れ に応 じた 供 給 策 を講 じ な い か ぎ り,需 給 の不 均 衡 に 導 き,そ うな れ ば経 済 的 必 然 と して住 宅 と土 地 の 価 格 の高 騰 が不 可 避 とな る とい う示 唆 を与 え て い た こ とに な る。 近 い将 来 に予 想 され る この よ うな事 態 は,最 も高 い比 率 を 占 め る20才 台 の 人 口が 一 都3県 以 外 の 地 域 に 転 出 して い くとす れ ば,す な わ ちUタ ー ン説 の 唱 え る通 りの こ とが 起 こ る の で あ れ ば, そ れが 現 実 の 問題 と な る こ とを心 配 す る必 要 は な か っ た の で あ っ た 。 しか し表1∼a,bに よ っ て わ れ わ れ に理 解 で き た よ う に,昭 和40年 代 の初 頭 にUタ ー ン が言 わ れ は じめ た に もか か わ らず, 国勢 調 査 結 果 か らの 分 析 で は 昭和40年 か ら50年 の 問 に は 一 た び 一都3県 に全 国 か ら流 入 した 若 年 層 人 口 は,そ の 地 域 的範 囲 の 中 で は移 動 して い る と して も,そ の 範 囲 の 外 部 に は ほ と ん ど戻 って は い な い の で あ っ た。 3.住 宅 ・土 地 政 策 の 問 題 上 で 述 べ た よ うに 昭和40∼50年 の首 都 圏 人 口 の 動 向 か らは 土 地 ・住 宅 の 需 要 の 不 均 衡 が 遠 か ら ぬ 時 点 で 生 ず る こ とが 予 測 で きた の で あ るが,他 方 で 当 時 は土 地 ・住 宅 の 供 給 に 関 して どの よ う な 政 策 が と られ て い た か,そ の主 な 点 につ い て こ こで 振 り返 っ て み る こ と にす る。 第 一 に 挙 げ られ るの は,昭 和43年 の 都 市 計 画 法 に よ る 線 引 きで あ る。 こ の線 引 きに よ り,市 街 化 区域 と市 街 化 調 整 区域 が 分 け られ,後 の 地 域 で は農 業 従 事 者 以 外 の住 宅 建 設 は認 め られ な い こ とに な っ た 。 後 に何 度 か宅 地 の供 給 不 足 を 案 じて,特 例 と して市 街 化 調 整 区域 で も宅 地 開 発 を実 施 す る こ とが 唱 え られ た が,議 会 や マ ス コ ミで 直 ち に独 占資 本 を利 す る とい う批 判 が 起 き,結 局 は 開発 が 見 送 ら れ て きた 。独 占資 本 を 利 す る こ とは す べ て 悪 とす るゼ ロサ ム 的発 想 はか な り長 期 に わ た っ て 根 強 く続 き,そ れ が 宅 地 供 給 増 を抑 制 す る一 つ の要 因 と な っ て い た 。 これ と並 んで 住 宅供 給 の障 害 とな った 政 策 と して,美 濃 部 都 知 事 の 時代 に 決 定 され た マ ン シ ョ ン建 設 の 規 制 が 挙 げ られ る。 具 体 的 施 策 と して は東 京 区部 の 中で もか な り多 くの 地 域 を 第 一 種 専 用 住 宅 地 区 に指 定 し,そ こで は10メ ー トル以 上 の 建 物 の建 設 を禁 止 した の で あ っ た。 因 み に 当時 の 東 京 区 部 の 建 物 の 平 均 回 数 は1.8階 で あ っ た。 禁 止 に踏 み 切 っ た の は 日照 権 の 問 題 が 理 由 と な っ て い た か らで あ る が,し か し東 京 の 区 部 とい う一 国 の 中 の最 も都 市 的 中心 部 で 建 物 の 平 均 回 数 が1.8階 とい う の は先 進諸 国 で は例 を見 な い こ と と思 わ れ る 。 た しか にそ れ ま で は 日本 が 地 震 国 で あ る 関 係 上,建 築 物 の 高 層 化 は制 約 され て い た の で あ る が,し か し昭 和42年 の霞 が 関 ビル の 建 設 で 高 層 化 を可 能 とす る耐 震 技 術 が 実 証 さ れ た の で,東 京 で は そ れ い らい建 築 物 の 高 層 化 に 関 して はや っ と世 界 の 大都 市 の 水 準 に追 い 着 こ う とす る動 きが 生 じ,住 宅 に 関 して もマ ン シ ョンの

(8)

図15歳 階 級 人 ロ ピ ラ ミッ ド(昭和45年) 図25歳 階 級 人 ロ ピ ラ ミ ッ ド(昭和50年) 1 85才 以 :1 75-7 707 656 606 555 50--5 45--4 40-4 35-3 30∼3 25--2 202 15-1 10.1 5∼9 0-4 歳 図35歳 階 級 人 ロ ピ ラ ミッ ド(昭和60年) 85才 以 上 80∼84 75∼79 70.74 65--69 60--64 55∼59 50∼54 45∼49 40-44 35∼39 30∼34 25∼29 20-24 15--19 1014 5∼9 0∼4 歳 一g一

(9)

85才 以 上 80∼84 75--79 70∼74 65.69 60∼64 55∼59 50∼54 45--49 40--44 35∼39 30-一一34 25∼29 20-124 15--19 10--14 5-9 0∼4 歳 85才 以 上 80∼84 75-79 70--74 65--69 60--64 5559 50∼54 45-49 40--44 35--39 30-34 25--29 20--24 15∼19 1014 5-9 0-4 歳 85才 以 上 80∼84 75∼79 70∼74 65--69 60-64 55∼59 50_54 45∼49 40--44 35--39 30--34 25--29 20∼24 15∼19 10-14 5∼9 0∼4 歳 0 0 0

(10)

建 設 が ス タ ー トした の で あ った 。 時 に指 摘 され る よ うに,公 共 用 地 を 必 要 とす る 関係 上,例 え ば あ る範 囲 の 地域 の 建 物 の高 さ を2倍 に す れ ば,そ こで の居 住 者 数 も2倍 に な る わ け で は な い 。 し か しそ の様 な 限 界 を伴 う と して も高 層 化 が 一 定 地 域 で の居 住 者 の収 容 力 を増 大 させ る こ と否 定 で きず,し た が って マ ンシ ョ ン建 設 の進 行 に よ っ て住 宅 供 給 の増 大 に つ な が る はず で あ っ た 。 しか しマ ン シ ョ ン規 制 に よ り高 層 化 に よ る住 宅 供 給 増 は著 しい 制 約 を受 け た の で あ った 。 と こ ろで 東 京都 とそ の周 辺 県 で 住 宅 に対 す る大 量 の 需 要 が 予 想 され る と き,そ の 需 要 を 東 京 区 部 で収 容 しな い とな れ ば,満 た さ れ な か った 需 要 は周 辺 に広 が ら ざ る を得 な くな るが,そ れ に対 して は前 述 の よ う に まず 市 街 化 調 整 区域 で の 開 発 が承 認 さ れ て い な い 。 しか し市 街 化 区域 で の 開 発 が 十 分 に行 わ れ て い る の で あ れ ば,住 宅 と宅 地 の供 給 が 一 応 は確 保 され る は ず で あ る が,こ こ で も さ ら に 制約 が 加 え られ て い た。 そ の よ う な 制 約 と して まず 挙 げ られ るの は,市 街 化 区 域 内農 地 の 宅 地 並 み 課 税 の 免 除 で あ る。 この 問 題 に つ い て は,最 近 地 価 高 騰 後,か な り社 会 の 関 心 が 向 け られ る よ う に な り,批 判 の 対 象 と して 論 じ られ る こ と も多 くな っ て きた 。 ま た平 成3年 に制 定 され た 地 価 税 法 に よ る税 制 改 正 と 関 連 して 生 産 緑 地 法 も改 正 され た こ とか ら、 偽 装 農 地 に対 す る 課 税 策 も講 じ られ よ う と して い る の で あ るが,た だ しそ れ が ど の程 度 土 地 の 供 給 に つ なが る か は,ま だ 明確 な 予 想 は立 て 難 い よ う で あ る。 こ こで 指 摘 して お か ね ば な らな い の は,現 在 で こそ 批 判 され 是 正 策 も講 じ られ る よ う に な っ た と はい え,宅 地 並 み課 税 免 除 が 最 初 実 施 さ れ た 当 時 は,決 して 批 判 さ れ るべ きで な く,む しろ称 賛 され るべ き措 置 と見 られ て い た こ とで あ る 。1974年 以 降東 京 都 は土 地 自書 と も言 え る報 告 書 を 毎 年 発 行 して お り,報 告 書 の題 名 は年 度 に よ り 『東 京 の土 地』 ま た は 『土 地 関係 資 料 集 』 とな っ て い るが,『 東 京 の土 地1975』 に は次 の よ う に書 か れ て い る。 「市 街 化 区域 内 の農 地 に つ い て は,宅 地 並 み課 税 を適 用 さ れ な い 生 産 緑 地 制 度 … … が あ る ほ か, 区部 につ い て は都 が,多 摩 地 区 に つ い て い は各 市 が 独 自 に農 業 緑 地 等 の指 定 を行 い,宅 地 並 み 課 税 に よ る増 税 分 の50∼100%に あ た る 奨 励 金 を 交 付 す る制 度 が 実 施 され て い る。 … … こ れが,農 地 の 宅 地 並 み 課 税 の効 果 を減 殺 して い る の は た しか で あ ろ う。 しか し,そ れ は ま た,過 密 に悩 む大 都 市 の 自治 体 に と って は当 然 の こ とで もあ る 。 … … 農 作 物 生 産 上 の 意 義 や こ の 巨 大 都 市 に お け る 緑 地 と して の 農 地 が 有 す るす ぐれ た 都 市 環 境 の 維 持,生 態 学 的 効 果 を考 え れ ば,残 り 少 な い都 内 の農 地 を農 地 と して,ま た,緑 地 と して十 分 に生 か して い くこ とは,き わ め て メ リ ッ トが大 きい と考 え られ る。 現 行 の 生 産 緑 地 制 度 は,こ の よ う な観 点 か ら十 分 評価 しう る の で は な か ろ うか 。」 (同書41∼2頁) しか しそ れ か ら4年 後 の 同 じ報 告 書 に は,か な り評 価 の 異 な った 次 の記 述 が 見 ら れ る よ う に な る 。 「宅 地 難 か ら特 に市 街 化 区域 内 の 農 地 の 放 出 を求 め る声 も強 い 。 市 街 化 区 域 内 の 農 地 の あ り方 は 農 業 経 営 も含 め,今 後 の都 市 づ く りの う え で大 きな 課 題 で あ ろ う。」(『東 京 の 土 地(1979年 度) 51頁 』) 1979年 す な わ ち 昭 和54年 に は都 知 事 は既 に鈴 木 知 事 に変 わ って お り,報 告 書 の記 述 が か な り遠 慮 した 形 で は あ るが,緑 地 保 存 一 点 張 りか ら宅 地 の 供 給 不 足 へ の 認 識 を 示 唆 す る よ う に な っ た の は,そ の こ と と も関 連 が あ っ たで は な い か と も推 測 され る 。 しか し実 際 に は,選 挙 の 際 の 配 慮 も あ って か,鈴 木都 政 下 で も以 前 の ま まの 政 策 が 踏 襲 され た の で あ っ た 。 一10一

(11)

以 上 の 事 情 か ら,市 街 化 調 整 区 域 は い う まで もな く,市 街 化 区域 内 に あ っ て も農 地 で は宅 地 開 発 が 困 難 に な った とす る と,残 され る の は 非 農 地 部 分 とい う こ と に な る が,し か しこ こで もま た 別 の 制 約 が 加 え られ る こ とに な る。 そ れ は 多 くの周 辺 自治 体 の 取 っ た人 口抑 制 策 で あ る が,そ の た め の 具 体 的措 置 の 中心 と して 宅 地 開発 指 導 要 綱 が 制 定 さ れ,さ ら に土 地 利 用 につ い て も人 口抑 制 を 主 眼 と した規 制 が 加 え られ た 。 各 自治 体 が 人 口抑 制 策 を と った 点 につ い て は,自 治 体 側 の立 場 か ら は首 肯 で き る理 由 は確 か に 存 在 した 。 人 口増 加 に と もな い,各 種 都 市 的 施 設 と都 市 基 盤 の拡 充 が 不 可 欠 とな り,そ れ は都 市 財 政 に は多 くの負 担 を強 い る もの で あ っ た 。 宅 地 開発 指 導 要 項 は この よ う な負 担 軽 減 策 と して, 開発 され た 土 地 の 一 部 を無 償 で 自治 体 に贈 呈 す る とか,あ る い は建 設 さ れ た住 宅 に入 居 す る予 定 の世 帯 数 に応 じた金 額 を寄 付 す る こ と を 開発 業 者 に要 求 す る もの で あ っ たが,こ の 贈 呈 分 と寄 付 金 額 は 当 然 造 成 され た 宅 地 建 物 の購 入 者 の購 入 金 額 に 上 乗 せ され,そ れ だ け価 格 の 上 昇 を招 い た はず で あ る。 また この 無 償 贈 呈 と一 定 金 額 の 寄 付 を要 求 す る理 由 と して,関 係 自治 体 は 開発 され た住 宅 に 入 居 す る 人 達 に学 校,公 園 の よ うな 公 共 施 設 の 提 供 が 必 要 に な る こ と をあ げ て い た が, しか し結 局 は入 居 す る人 達 以 外 の た め の 施 設 設 置 に使 わ れ る こ と もあ り,し た が って 唱 え られ た 理 由 とは係 わ りの無 い,入 市 税 に も等 しい こ と と な り,封 建 時代 の 村 入 りの慣 行 が 復 活 した の で は な い か と思 わせ る も ので あ っ た 。 た だ し人 口増 加 に と もな う財 政負 担 を考 慮 す れ ば,や む を得 な い 措 置 と も考 え られ る の で あ る が,反 面全 て の 自治 体 が 人 口抑 制 策 を とれ ば,至 る と こ ろで 宅 地 開 発 指 導 要 綱 が 制 定 さ れ て お り, さ ら に土 地 の 用 途 規 制 の 制 約 もあ る と こ ろ か ら,結 局 は い ず こ にお い て も土 地 の不 足 が 生 じ る こ と に な る 。 か く して経 済 学 で い わ れ て い る合 成 の 誤 謬 に 陥 る こ と に な り,そ の結 果 地 価 の上 昇 を 招 く とす れ ば,自 治 体 自体 が 公 共 施 設 の 用 地 取 得 を し よ う と して も,高 騰 した 地価 の 関 係 上,用 地 の取 得 を 断 念 せ ざ る を え な い事 態 を招 きだ し,自 らの 政 策 で 自 らが 苦 しむ こ とに な る。 こ れ まで に見 た よ う に都 市 計 画 法 とい う国 の 政 策 の み な らず,地 方 自治 体 の諸 政 策 も住 宅 建 設 と宅 地 開発 に抑 制 を加 え て きた 。 これ ら の政 策 の ひ とつ ひ とつ を とれ ば,し か るべ き理 由 が 唱 え られ て は い た の で あ るが,し か しそ の い ず れ もが,本 稿 で す で に あ げ た 表2--a,bと 図1,2 か ら は 当然 予 測 で きた はず の住 宅 供 給 促 進 の 緊 急 性 は ま っ た ま く考 慮 に入 れ て い な か っ た の で あ る。 こ の よ う に供 給 増 加 の必 要 性 を無 視 した ま ま の政 策 の 続 い た こ とか ら,あ た か もそ れ に対 す る しっぺ い 返 しの よ う に昭 和59年 か ら地 価 上 昇 が 始 ま った の で あ った 。 た だ こ こ で,そ れ ほ ど需 給 の不 均 衡 が 生 じて い た の な ら,何 故 もっ と早 く地 価 上 昇 が 起 きな か っ た の か と疑 問 を向 け られ る こ と も考 え られ る。 こ の 疑 問 に対 して は原 因,結 果 の 関 係 とは 別 に,原 因 の 顕 在 化 す る条 件 とい った もの を考 え る必 要 が あ る。 とい うの は,一 つ の 原 因 が す で に 形 成 さ れ て い て も,あ る条 件 が 生 じな け れ ば,そ の原 因 は潜 在 化 され た ま ま に止 ま り,し た が っ て そ の場 合 は原 因 の存 在 さ え認 識 され な い ま ま に終 わ る が,し か しそ の 条 件 が 一旦 整 っ た時 は, た ち ま ち原 因 が顕 在 化 す る とい った よ うに,原 因結 果 の 関 係 の検 討 に は,さ らに 条件 と い う要 因 の 存 在 も考 慮 さ れ ね ば な らな い か らで あ る(2)。 この 考 慮 を わ が 国 の地 価 上 昇 に あ て は め る な ら, 需 給 の不 均 衡 等 とい う原 因 は 上 に 述 べ た よ う な政 策 の故 に早 くか ら存 在 して い た の で あ り,た と え 最 初 は都 心 の住 宅 の 地 上 げ が代 替 住 宅 の購 買 を招 い た こ とに あ った と して も,ま た さ らに金 融 緩 和 が 住 宅 の購 買 意 欲 を煽 っ た と して も,供 給 が 十 分 で あ れ ば価 格 の 高騰 は招 か な か っ た はず で あ る。 しか し不 均 衡 と い う原 因 が 既 に熟 して い た ので,代 替 住 宅 の購 入 とか 金 融 緩 和 とい う条 件 が 現 れ る や 否 や,た ち ま ち そ の 原 因 が 顕 在 化 し,急 速 な 住 宅 ・土 地 価 格 の 上 昇 とい う結 果 を招 い

(12)

た と解 す る こ とが で きる 。 4.社 会 的認 知 と世 論 にお け る抑 制 因 で は こ こ で何 故 国 お よ び地 方 自 治体 の 政 策 で,住 宅 ・宅 地 の 供 給 増 加 の必 要 性 に無 感 覚 で あ っ た か を改 め て 振 り返 って み る必 要 が あ るが,そ れ に はす で に 述 べ たUタ ー ン説 の 蔓 延 と地 方 の 時 代 謳 歌 の 風 潮 が 強 く関係 して い た と思 わ れ る 。 この風 潮 の も とで は 「3大 都 市 圏 人 口 の 集 中 的増 加 と い う傾 向 に歯 止 め が か か っ て きた(3)」 と し,そ れ は 最 近 は 阪神 大 都 市 圏 で 特 に 顕 著 に 現 れ て きた と い う指 摘 もな され て い た。 しか しこ れ は,奈 良県 と さ ら に滋 賀 県 も京 阪 神 の ベ ッ トタ ウ ン化 して い る はず で あ る の に,そ の2県 を阪 神 大 都 市 圏 か ら除外 した上 で の 人 口移 動 の 検 討 に基 い て お り,か な り軽 率 な指 摘 で あ っ た とみ な け れ ば な ら な い 。 しか し従 来 は そ れ に な ん ら疑 問 が 抱 か れ ず,唱 え られ る こ とが そ の ま ま信 じ ら れ て きた 。 無 感 覚 で あ っ た基 本 的背 景 と して,そ の よ うな風 潮 の 蔓 延 して い た こ とが あ げ られ る ので は な か ろ うか 。 こ こ で風 潮 と い う 日常 用 語 を 用 い た が,社 会 学 の 立 場 か らは 社 会 的 認 知(socialperception) とい う用 語 が この 場 合 は よ り適 切 か と思 わ れ る。 社 会 的 認 知 に は,事 実 を誤 って 認 識 して い る に もか か わ らず,社 会 一 般 が誤 って い る こ と に気 が つ か ず,そ の 認 識 を正 しい と見 な して い る とい う含 意 が と もな って お り,上 の 例 の よ うに 事 実 と して はUタ ー ンが 起 きて い な い に もか か わ らず, そ れ が 起 き て い る と社 会 が認 識 して い た とす れ ば 、 この 認 識 に は ま さ に社 会 的 認 知 とい う用 語 を 用 い る こ と が 適 切 と思 わ れ る。 さ らに事 実 誤 認 の社 会 的 認 知 を踏 ま え て形 成 され る場 合 も あ る こ と を認 め る な ら,世 論 と言 って もよ い で あ ろ う。 と こ ろで こ れ まで の 社 会 的認 知 ま た は 世 論 に は, Uタ ー ン を事 実 と誤 認 した と こ ろ か ら宅供 給 増 加 の必 要 性 に対 す る無 感 覚 を招 い た もの だ けで は な く,そ の 他 に も住 宅 供 給 に は抑 制 的 に作 用 す る結 果 に導 い た もの が あ っ た。 そ の よ う な 点 の 一 つ と して,鼠 の実 験 結 果 に関 す る指 摘 が あ る 。 これ は多 くの 鼠 を狭 い 檻 の 中 に 閉 じ込 め て お い た 場 合 に,鼠 の 行 動 に生 ず る変 化 の 実 験 で あ る が 、 そ れ に よれ ば,鼠 の 行 動 に 異 常 が 生 じ,つ い に は子 供 を生 ま な くな る とい う の で あ る。 こ れ を人 問 に もあ て は め,高 層 住 宅 の よ う に高 密 度 で 人 間 が 居 住 を続 け れ ば,い ず れ は この 鼠 と同 じ異 常 行 動 が居 住 者 の 問 に も生 ず る と断 定 し,し た が っ て住 宅 の 高 層 化 は避 け るべ きで あ る とい う結 論 が 下 され る。 世 論 は しば し ば この 実験 に 言 及 して 高 層 住 宅 に反 対 し,さ らに高 層 住 宅 に居 住 す る子 供 の成 育 に 問 題 が あ る と も説 い て き た 。 限 られ た土 地 で住 宅 供 給 の 増 大 を 図 る に は,住 宅 の 高 層 化 が避 け られ な い はず で あ る が,世 論 は この よ うに高 層 住 宅 に批 判 的 で あ り,そ の結 果住 宅 供 給 拡 大 に は抑 制 的 に作 用 し た の で あ っ た 。 しか しこ れ に対 し,W.Michelsonは 人 間 に は 鼠 に 欠 け た 適 応 力 が あ る に も か か わ ら ず,人 間 を 鼠 と 同 一 視 す る こ と に批 判 を加 えて い る(4)。 さ らにB.Berryは 居 住 密 度 と行 動 との 関 係 を 論 ず る場 合,そ の 密 度 を地 表 の 面 積 に よ る密 度 と して計 算 す る の で は な く,居 住 空 問 との 関 係 に よ る密 度 で捉 え る べ きで あ り,居 住 空 間 か ら は高 密 度 で な い場 合 に は,別 に そ こ に住 む 人 間 の 問 に 異 常 な行 動 が生 ず る こ と は な い と指 摘 す る(5)。 ま た こ の 二 人 の 反 論 を まつ ま で もな く,も し高 層 住 宅 居 住 が 人 間 を異 常 な行 動 に走 らせ る の で あ れ ば,住 民 の 多 くが 高 層 住 宅 に住 む パ リ,シ ン ガ ポ ー ル,香 港 な どで は今 頃 は異 常 な 人 間 で 満 ち溢 れ て い る は ず で あ る。 住 宅 高層 化 に対 す る批 判 的 世 論 と して は,上 で 述 べ た もの の他 に,あ る地 区 で 高 層 化 を認 め る と,そ の 地 区 の 地価 上 昇 を招 くとす る指 摘 も挙 げ られ る。 確 か に そ の 地 区 で は あ る程 度 の 上 昇 が 起 きる で あ ろ うが,し か しそ れ は他 の地 域 へ の 宅 地 需 要 を軽 減 しそ こで の地 価 上 昇 の 阻 止 要 因 と 一12一

(13)

な り,さ らに そ の 地 区 と他 の地 域 を合 わせ た 範 囲全 体 につ い て は,平 均 地 価 を抑 え る方 向 に作 用 す る は ず で あ る。 また 高 層 化 を認 め る のが 限 ら れ た狭 い 地 区 で あ れ ば,そ れ だ け そ の地 区 の 地 価 上 昇 は 激 しい と して も,広 い範 囲 の 地 域 に 高 層 化 を認 め るの で あ れ ば,そ の よ う な こ と は起 き得 な い と も考 え られ る 。 問題 とす る世 論 の 多 くが こ の よ う に高 層 住 宅 に 関係 して い る が,こ の他 に市 街 化 区域 内 の 農 地 保 存 が 説 か れ る こ と もあ る。 既 述 の よ うに 『東 京 の土 地1975』 も保 存 を主 張 して い たが,最 近 は 保 存 を 必 要 とす る理 由 と して,そ の 農 地 か ら東 京 都 民 の 必 要 とす る野 菜 の10%が 供 給 され て い る と指 摘 され て い る 。 しか し野 菜 の 供 給 地 は東 京 都 以 外 に い く らで も見 付 か る は ず で あ る 。 も し都 内 か らの 供 給 が 止 ま る とす れ ば,不 足 す る分 は隣 県 の 農 家 が 喜 ん で 補 っ て くれ るで あ ろ う。 5.現 在 の 状 況 こ こ で 前 に 戻 っ て 図3.を み て い た だ き た い 。 こ れ は 昭 和60年 国 勢 調 査 結 果 に よ る 一 都 三 県 の 人 ロ ピ ラ ミ ッ ド を 示 し て い る が,東 京 で は 余 り顕 著 で は な い と し て も,三 県 で は35∼39才 層 の コ ー ホ ー トが 最 も 長 く張 り だ して い る 。 昭 和45年 に も っ と も張 り 出 し て い た20才 代 が,Uタ ー ン を し て い な か っ た の で,昭 和60年 に は こ の よ う な 形 の 人 ロ ピ ラ ミ ッ ド と な っ た の で あ る 。 つ ま り 45,50年 の ピ ラ ミ ッ ドか ら予 想 さ れ た 通 り に な っ た こ と に な る 。 こ の よ う な 視 覚 的 に 理 解 さ れ る ピ ラ ミ ッ ドの 変 化 を 数 字 と し て 捉 え る た め,表3を 作 成 し て み る こ と と し た 。 こ れ は 昭 和45年 の 場 合 と 比 較 し て,昭 和60年 で は 各 年 齢 階 級 別 に 人 口 が ど の よ う に 増 減 し た か を み よ う と し た 表 で あ る 。 こ れ に よ る と例 え ば 神 奈 川 で は,総 人 口 の 伸 び が1.4倍 で あ る の に対 し,35∼39才 で は1.7 倍,40∼44才 で2.0倍,45∼49で も2.0倍 と 中 年 か ら 上 で の 伸 び が 総 人 口 の 場 合 よ り高 く な っ て い る 。 同 様 な こ と は 埼 玉,千 葉 に つ い て も 見 ら れ る ば か りで な く,東 京 で も事 態 に 変 わ りが な い の で あ る 。 周 辺 三 県 は 総 人 口 の 伸 び で も 絶 え ず 全 国 の ト ッ プ に 立 っ て い る の で あ る が,中 年 以 上 の 年 齢 層 は さ ら に そ れ よ り高 い 増 加 率 を 示 し て い る 。 表3一 都 三県 の年 令別 人 口増 減 率(昭 和60/45年) 年 東 京 都 神 奈 川 県 埼 玉 県 千 葉 県 令 昭和45年 人口数 昭和60年 人口数

6壌

昭和45年 人口数 昭和60年 人口数

昭和45年 人口数 昭和60年 人口数

6撫

昭和45年 人口数 昭和60年 人口数

6爆

0∼4 971,687 620,843 0.6 543,479 446,129 o.g 415,367 365,844 0.9 329,808 327,129 1.0 5∼9 791,874 666,781 o.s 427,357 514,952 1.2 327,322 448,822 1.4 270,083 390,468 1.5 10∼14 637,069 837,713 1:3 330,936 634,046 1.9 260,174 565,514 2.2 236,725 474,.218 2.0 15∼19 963;069 934;068 1.0 457,462 601;973 1.3 321,156 492,913 1.5 269,600 404,390 1.5 20`.;24 1,675,115 1,181,783 0.7 666,307 601,015 0.9 414,863 403,236 1.0 342,439 340,879 1.0 25-29 1,290,878 919,931 0.7 6G6β68 511,665 o.s 406,684 354,233 0.9 330,913 324,185 1.0 30∼34 1,031;700 '1'1: a.s 532,418 574,500 1.1 379,893 449,471 1.2 314,118 401,393 1.3 35∼39 910,:696 1,052,373 1:2 461,948 710,619 1.5 319,533 584,626 1.8 282,027 508,537 1.8 40∼44 744,424 920,175 1.2 369,412 633;268 1.7 243,954 530,782 2.2 225,472 449,356 2.0 45∼49 584,319 833,307 1.4 271,434 540,383 2.0 .. 437,445 2.4 171,629 373,318 2.2 50∼54 467,280 778,265 1.7 215,080 469,258 2.2 150,332 348,713 2.7 140,284 314,979 2.3 55...59 415,597 632,913 1.5 189,103 371,155 2.0 137,029 264,970 1.9 127,867 248,354 1.9 60∼64 332,.866 476,397 1.4 144,464 265,732 1.8 108,748 194,184 1.8 105,718 iIli 1.7 6569 257;11.9 362,572 1.4 109,694 199,167 1.8 84,565 150,317 1.8 86,043 141,050 1.6 70∼74 172,110 302,128 1.8 73,591 161,884 2.2 57,931 124.,488 2.8 62,379 118,219 1.9 75∼79 96,219 207,551 2.2 42,436 104,932 2.5 32,921 80,245 2.4 35,442 .. 2.2 80∼84 46,.374 ll9,756 2.6 21,197 58,484 2.8 16,469 43,561 2.7 '1:1 45,125 2.4 85 18,989 63,843 3.4 9,001 31,418 3.5 6,703 21,488 3.2 7,996 23,855 3.0 計 11,408,071 11,829,363 1.0 5,472,247 7,431,974 1.4 3,866,472 5,863,679 1.5 3,366,624 5,148,163 1.5

(14)

この 年 齢 層 は先 にふ れ た よ うに子 供 もか な り成 長 して そ ろ そ ろ独 立 部 屋 も必 要 と な っ て お り, した が って 居 住 空 間拡 大 の 必 要 に迫 られ て い る層 で あ る。 加 え て経 済 的 に も住 宅 購 入 が 次 第 に可 能 に な って い る はず で あ るが,こ の層 の 増 加 率 が この よ うに高 い こ と は,住 宅 需 要 もそ れ 程 増 大 して い た こ と に な る。 そ れ に もか か わ らず,以 前 は 記 述 の よ うな 政 策 が 実 施 さ れ て い た とす れ ば, 住 宅 ・土 地 の価 格 の 上 昇 は起 き るべ く して起 き た と も言 え る の で は な か ろ う か 。 6.新 た な動 向 と今 後 の展 望 こ れ まで に扱 った の は ほ とん どが 昭 和59年 か ら の 地価 の 急 激 な上 昇 の 起 き る 以 前 か,あ る は起 き た 直 後 まで の状 況 に関 す る もの で あ った が,こ こ で は そ れ 以 降 の ご く最 近 の事 態 につ い て ふ れ る こ と とす る 。 ま ず 土 地 の需 給 関 係 に 関 して は,こ の よ う な地 価 高騰 に直 面 して さす が に土 地 の 需 給 の不 均 衡 を指 摘 され る よ う に な っ て きた 。 そ の い くつ か の例 が 次 の 引 用 で あ る。 「地 価 は基 本 的 に は ,土 地 に対 す る 需 要 と供 給 で 決 ま っ て くる わ け で す ね。 特 に,今 回 の 地 価 上 昇 は … … 金 余 り状 況 の 下 で,住 宅 の買 換 え需 要 が増 大 して,ま た,そ う い う需 要 を見 込 ん で 更 に投 機 的 取 引 が発 生 した こ とが 原 因 と見 られ て い ます 。」(国 土 庁 土 地 局 長 藤 原 良 一)(6) 「土 地 の供 給 を促 進 して い く こ と も重 要 な方 策 で あ る。」(『土 地 関係 資料1986年 度 』 東 京都 7頁) 「都 内 の土 地 の 需 要 と供 給 の ア ンバ ラ ン ス を 助 長 し,地 価 を押 し上 げ る要 因 と な った 。 (『東 京 の土 地1988』 東 京 都20頁) 後 の 二 つ の 引 用 は 東 京 都 の 土 地 に 関す る報 告 書 に見 られ る ので あ るが,す で に 指 摘 した よ う に, こ の報 告 書 の1975年 度 版 が ヒス テ リ ック に市 街 化 区域 内 農 地 の保 存 を叫 んで い た の と対 比 す れ ば, 正 反 対 の転 換 の起 きた こ とが 理 解 で きる。 平 成2年6月 大 都 市 法 が 改 正 され,そ れ に よ って 大 都 市 地 域 で の 住 宅 供 給 計 画 が 策 定 され た の は,上 の よ うな 認 識 が や っ と現 れ た こ とが 背 景 に あ っ た か ら で あ ろ う。 と こ ろ で こ の よ うな 認 識 は,地 価 の 動 きは基 本 的 に は 需 要 と供 給 の 関 係 に よ って 規 定 され る と い う,自 由 市 場 の作 用 の 重 視 と考 え られ る 。筆 者 の専 攻 分 野 す な わ ち都 市 社 会 学 の 分 野 で も,自 由 市 場 の 法 則 を重 視 す べ き と早 くか ら説 い て い た研 究 者 と してJ.Kasarda(7)とB.Berry(8)が 挙 げ られ るが,彼 等 と同様 な主 張 が わ が 国 で もつ い に行 わ れ る よ う に な った こ とに な る。 と は い え,こ の主 張 は ま だ 完全 に は わが 国 で 支 配 的位 置 を 占 め る に は至 っ て い な い よ うで あ る。 例 え ば東 京 都 の土 地 に 関 す る報 告 書 は上 で 引 用 した よ う に最 近 に至 って 自 由市 場 の 認 識 に撤 した と思 わ れ る の で あ る が,そ れ で も1987年 に は突 然 次 の よ う な認 識 に変 わ っ た り もす る。 「『東 京 の 商 業 地 に み られ る よ う な現 在 の高 い 容 積 率 を再 検 討 し ,現 行 容 積 率 を地 域 の特 性 を勘 案 しつ つ 大 幅 に引 き下 げ る。』 こ れ は,10年 前 … … 『東 京 の 土 地1976』 にお い て,検 討 課 題 と して提 案 さ れ た もの で あ る。 現 在,容 積 率 につ い て は,オ フ ィス ・住 宅 の 供 給 とい う こ と だ け で な く地価 対 策 の 観 点 か ら も,「 緩 和 す る」 こ とが 当 然 の ご と く言 わ れ る傾 向 が 強 い 。 し か し,地 価 対 策 の観 点 か らは 「容 積 率 を引 き下 げ る」 とい っ た全 く反 対 の方 法 も考 え られ る こ と に注 目す る必 要 が あ る。 … … 容 積 率 の引 き下 げ は,ボ ス トン,サ ン フ ラ ンシ ス コ等 で 実 際 に 実 施 さ れ て い る。」(『土 地 関 係 資 料 集1987年 度 』 東 京 都27頁) 一14一

(15)

表4∼a昭 和50∼55年 の 年令上 昇 に と もな う年 令別 人口増 減 時期 区分 児 童 期 青 年 期 壮 年 期 国調時 年令 昭和50年 0∼4才 5-9才 計 10∼14才 15∼19才 計 20∼24才 25∼29才 30∼34才 計 昭和55年 5∼9才 10∼14才 15∼19才 20∼24才 25∼29才 30∼34才 35∼39才 3県 別 神 奈 川 埼 玉 千 葉 △6009 20545 33945 X15 12933 19793 06024 33478 53738 51779 30167 18217 87285 34897 31292 139064 65064 49509 △12311 33452 46369 01207 46651 57181 04877 23680 34039 018395 103783 137589 3県 計 .. 32711 81192 100163 153474 253637 67510 102625 52842 222971 東京都 099421 043521 0142942 113111 289264 402355 0300592 X210178 X11236 0522006 表4∼b昭 和55∼60年 の 年令上 昇 に と もな う年 令別 人口増 減 時期 区分 児 童 期 青 年 期 壮 年 期 国調時 年令 昭和55年 0∼4才 5∼9才 計 10.14才 15∼19才 計 20∼24才 25∼29才 30∼34才 計 昭和60年 5∼9才 10'.:14才 15∼19才 20-24才 25∼29才 30∼34才 35∼39才 3県 別 神 奈 川 埼 玉 千 葉 02326 14811 15665 875 12423 14481 01451 27234 30146 49359 22404 14017 109024 23055 19444 158383 45459 33461! 10584 .,. 27248 9845 31359 27757 3155 22548 21483 23584 66805 .. 3県 計 28150 27779 55929 85780 151523 237303 50730 68961 47186 166877 東京都 048449 027322 075771 120646 305622 426268 0193359 0101675 075756 0370790 こ の よ う に 同 じ東 京 都 の報 告 書 で あ りなが ら年 度 に よ っ て 相 矛 盾 す る記 述 が 見 られ る と す れ ば,東 京 都 の 中 に 自 由 市 場 重 視 派 と 自由 市 場 抑 制 派 の 二 派 が あ る の で は な い か と思 わ れ る 。 抑 制 派 は ア メ リ カで は 土 地 に余 裕 が あ り,加 え て最 近 は不 動 産 業 界 が 不 況(冨 供 給 過 剰)に あ る こ と も無 視 して ひ た す ら抑 制 を強 調 して い る が,し か し抑 制 派 の賛 成 者 は東 京 都 以 外 に も意 外 に広 く見 受 け ら れ る よ うで あ る。 毎 日新 聞 の1988年4月2日 朝 刊 に は あ る編 集 委 員 執 筆 の コ ラ ム で 「宅 地 供 給 一 本 ヤ リは誤 り」 と題 す る記 事 を掲 載 して お り,ま た 他 に も宅 地 を供 給 して も 地 価 は 上 昇 した と説 か れ る こ とが あ る。(多 少 の 供 給 で は到 底 追 いつ か な い ほ どの 需 要 が あ る, と は 考 え な い 。)ま た抑 制 は宅 地 だ け で な く事 務 所 に 対 して も加 え られ よ う と して い る よ う で あ り、例 え ば 経 済 企 画 庁 で も東 京 圏 か らの オ フ ィス の追 放 を提 言 し て い る(産 経 新 聞1991年 6A21日 朝 刊)と の こ とで あ る。 ま た 経 済 企 画 庁 だ けで な く建 設 省 の よ うな 関 係 官 庁 で も,最 近 は 同 様 な 狙 い の ダ ウ ン ・ゾ ー ニ ング,す な わ ち オ フ ィス ・ビ ル建 築 に対 す る容 積 率 引 き 下 げ が 検 討 さ れ,そ れ に 次 第 に 強 い 関心 が 寄 せ ら れ て い る様 子 で あ る 。 しか し も し抑 制 す れ ば,ア メ リカ の 諸 都 市 の 場 合 の よ う に オ フ ィス ・ビル の過 剰 に よ り不 動 産 業 界 が 深 刻 な不 況 に陥 って い る の で あ れ ば別 で あ る が,空 室 率 が 常 に低 水 準 に留 ま って い る都 心 地 区 で は当 然 オ フ ィ ス が さ らに 不 足 して テ ナ ン ト料 が 上 昇 す る は ず で あ り,そ うな っ た場 合 、 そ の よ う な料 金 に も耐 え ら れ る か,あ る い は そ の料 金 を消 費 者 に転 嫁 で きる 企 業 の み が 事 業 活 動 に 有 利 な都 心 を独 占 し て 寡 占 状 態 が 進 行 す る と同 時 に,そ の よ うな 地 区 に 貸 ビル を所 有 す る ビル 業 者 に一 方 的 利 益 を 与 え る よ う に な る こ とは考 え られ て い な い の で あ ろ う。 こ の よ う な抑 制 派 は常 に一 極 集 中 の 是 正 を説 くの で あ るが,し か しUタ ー ン と言 わ れ て い た 時 代 にUタ ー ンが 起 きて い な か った よ う に,一 極 集 中 と言 わ れ る現 在,そ の 集 中状 況 に変 化 が 生 じて い る よ うで あ る。 表4∼a,bは 表2∼a,bで 昭和45,50年 につ い て 試 み た と 同様 の 検 討 を,55,60年 につ い て も試 み た み もの で あ る 。 壮 年 期 の 欄 の 三 県 計 と東 京 都 の場 合 を 比 較 す る と,50年 まで は三 県 の 増 加 数 と東 京 都 で の減 少 数 が 絶 対 値 で は接 近 して い た の に対 し,55 年,60年 で は東 京 都 の減 少 数 が 三 県 で の 増 加 数 をか な り上 回 る よ う に な って い る。 つ ま り東 京 都 か らの 転 出者 は50年 まで は そ の 転 出先 が 隣 接 三 県 に 限 られ て い た の に対 し,最 近 で はそ れ を

(16)

図4転 出 ・転 入 率 の 推 移

(注)総 務庁統計局 『住民基本 台帳 人 口移動報 告年報 平成元年』(平成2年)17∼20

(17)

(%) 8 7 6 5 4 3 2 1 0 313233343536373839404142434445464748495051525354555657585960616263元 年 a 8 7 6 5 4 3 2 1 0 313233343536373839404142434445464748495051525354555657585960616263元 年

(18)

越 え た範 囲 に まで 転 出 す る よ うに な っ た こ とに な る。 こ こ で各 県 別 の転 出率 と転 入 率 の 変 化 を示 して い る 図4に よ る と,昭 和40年 代 後 半 か ら は北 関 東 三 県 で転 入 増 加 に転 じて い る 。 しか し新 潟 県 と東 北 の各 県 で は宮 城 県 を除 き依 然 と し て転 出 超 過 に な っ て い る ので,北 関 東 を 更 に 越 え る こ とは な い と して も,現 在 は 人 口集 中 は首 都 圏 に は 限 定 さ れず,関 東 一 円 に 及 ん で い る こ とが 理 解 で き る。 そ の 理 由 と して首 都 圏 で は家 を持 て な い か ら とか,新 幹 線 通 勤 が 増 え た か ら とい う こ と も考 え ら れ る が,し か しそ の 数 は現 在 は多 少 あ った と して も,ご く少 数 に 限 ら れ る で あ ろ う。 む しろ 工 業 生 産 活 動 が 図5か ら推 測 で き る よ う に 関 東 内 陸 と言 わ れ る範 囲,特 に北 関東 で 急 速 な発 達 を遂 げ て い るか らで は あ る まい か 。 この 図 に よれ ば 逆 に東 京 都 は相 当 な 減 少 傾 向 に あ る。 か って は都 市 化 は 工 業 化 と並 行 す る と考 え られ て い た の で あ るが,然 し現 在 で は大 都 市 に 関 す る限 り,工 業 化 即 ち 工 業 生 産 活 動 につ い て は,大 都 市 自体 一18一

(19)

は そ の 活 動 を他 地域 に委 ね,自 らは工 業 生 産 に不 可 欠 な付 帯 的 活 動,つ ま り国 際 的 な 商 品 の需 給 動 向 につ い て の情 報 収 集 とか 生 産 に必 要 な資 金 調 達 や 財 務 管 理,さ らに 海外 に まで 分 散 した 生 産 活 動 の 管 理 と調 整 とい っ た活 動 に特 化 す る よ う に な り,し た が って 都 市 化 と工 業 化 の分 離 の 方 向 に 向 か っ た と言 え る よ うで あ る 。 大 都 市 で の オ フ ィス 需 要 増 加 は都 市 の こ の よ う な活 動 へ の 特 化 に基 づ く もの と思 わ れ る。 以 上 の 変 化 は 自由 市 場 に よ る 自然 の動 き に よ る の で あ るが,こ の 自然 の動 きが 上 で 見 た よ う に,ご く最 近 で は首 都 圏 で の 人 口 を分 散 させ る傾 向 を と も な う よ う に な っ て い る 。 とす れ ば こ こで 特 に人 為 的 操 作(例 え ば 都 心 で の ビ ル建 設 を抑 制 しよ う とす る よ うな) に よ っ て 無 理 に人 口 の拡 散 を 図 る に は及 ば な い の で は な か ろ うか。 こ こ で さ ら に住 宅 に 関 して 今 後 に 予 想 さ れ る 自然 の動 き につ い て ふ れ て お きた い 。そ のため再 び 図3と 表3を 取 り上 げ て み る と,人 ロ ピ ラ ミ ッ ドで は35才 か ら上 の年 齢 層 の比 重 が 高 くな っ て い るが,反 対 に若 年 層 で は低 下 す る傾 向 にあ る 。 ま た表3に よ れ ば,一 都 三 県 の若 年 層 は昭 和45 年 と比 較 して 一 般 に そ の 増 加 率 は都 また は県 全 体 の 場 合 よ り低 くな っ て い る。 つ ま り現 在 は住 宅 購 入 を必 要 と し,ま た購 入 の 可 能 な層 の 比 率 が 高 い の で あ るが,現 在 の 若 年 層 が 中年 に 達 す る 頃 は,彼 等 の 人 口数 が 減 少 して い る の で,そ れ だ け 需 要 圧 力 が 減 殺 さ れ る こ とが 考 え られ る。 とは い え,現 在 も住 宅 難 に 陥 って い る人 が少 な くな い の で ,供 給 努力 は続 け られね ばな らないが,一 応 の 供 給 が 達 成 され れ ば,住 宅 難 解 消 の 可 能 性 も生 ず る の で は なか ろ う か 。 た だ しこ れ に は若 干 の 条件 も考 慮 しな け れ ば な ら ない が,そ れ は本 稿 の 最 後 で ふ れ る こ と と す る 。 むす び 本 文 で 扱 っ て きた こ とは次 の よ う に要 約 で き る。 1.以 前 だ け で な く現 在 も しば しば言 わ れ 一 般 的 な社 会 的 認 知 とな って い るUタ ー ン は実 際 に は 起 きて はい な か った 。 そ れ を 人 ロ ピ ラ ミ ッ ドと併 せ て 考 慮 す る と膨 大 な住 宅 需要 の 発 生 が 予 想 さ れ た。 2.し か し,国,地 方 自治 体 の 政 策 の み に と ど ま らず,一 般 世 論 や社 会 的 認 知 も需 要 増 大 に は無 感 覚 で,む しろ住 宅 供 給 抑 制 の 方 向 に傾 斜 した 。 3.必 然 的 結 果 と して 発 生 した 地価 ・住 宅 価 格 の 上 昇 後 は ,需 給 のバ ランス の重要性,つ ま り自 由 市 場 の作 用 に対 す る認 識 が 現 れ て きた 。 4.反 面,自 由市 場 抑 制 派 の主 張 も まだ 根 強 く,そ れは中央官庁で も唱 えられ ている。

参照

関連したドキュメント

This paper develops a recursion formula for the conditional moments of the area under the absolute value of Brownian bridge given the local time at 0.. The method of power series

Based on these results, we first prove superconvergence at the collocation points for an in- tegral equation based on a single layer formulation that solves the exterior Neumann

Since we are interested in bounds that incorporate only the phase individual properties and their volume fractions, there are mainly four different approaches: the variational method

Then it follows immediately from a suitable version of “Hensel’s Lemma” [cf., e.g., the argument of [4], Lemma 2.1] that S may be obtained, as the notation suggests, as the m A

In order to be able to apply the Cartan–K¨ ahler theorem to prove existence of solutions in the real-analytic category, one needs a stronger result than Proposition 2.3; one needs

A Darboux type problem for a model hyperbolic equation of the third order with multiple characteristics is considered in the case of two independent variables.. In the class

7.1. Deconvolution in sequence spaces. Subsequently, we present some numerical results on the reconstruction of a function from convolution data. The example is taken from [38],

While conducting an experiment regarding fetal move- ments as a result of Pulsed Wave Doppler (PWD) ultrasound, [8] we encountered the severe artifacts in the acquired image2.