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音声言語教育に関する実証的研究

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Academic year: 2021

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音声言語教育に関する実証的研究

著者

早坂 晴子

学位授与機関

Tohoku University

学位授与番号

11301甲第18233号

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平成29年度 博士論文内容要約

音声言語教育に関する実証的研究

東北大学大学院教育情報学教育部

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目次 第1 章 序論 1.1 問題の所在 …1 1.1.1 本研究における音声言語教育の定義 …1 1.1.2 高等学校国語科音声言語教育の問題点 …2 1.1.3 本研究におけるコミュニケーションの定義 …3 1.2 本研究の目的と意義 …4 1.3 本研究の構成とデザイン …6 〈注〉 …10 〈引用文献〉 …10 第2 章 音声言語教育についての考察 2.1 問題の所在 …11 2.1.1 音声言語教育の歴史的考察 …12 2.1.2 学習指導要領における音声言語教育 …24 2.2 音声言語教育と語り …32 2.2.1 言語発達の側面からの考察 …32 2.2.2 言語文化の側面からの考察 …35 2.2.3 音声言語教育における語り …40 〈注〉 …43 〈引用文献〉 …43 第3 章 研究方法 3.1 質的研究法 …46 3.2 国語科の授業研究の方法論としての質的研究 …48 3.3 本研究の目的と研究の方法論 …50 3.3.1 研究対象者 …51 3.3.2 データ収集 …51 3・3・3 データ分析 …53 3.4 認識論的枠組み …56 〈注〉 …62 〈引用文献〉 …62 第4 章 生徒は音声言語教育から何を得たのか? -「語りで伝える古典」の質的データ分析― 4.1 問題の所在 …63 4.2 研究目的 …64 4.2.1 目的 …64 4.2.2 古典を語る理由 …65 4.2.3 古典を語る意義 …66 4.3.1 実践導入の実際 …68 4.3.2 実践の組み立て …69

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4.3.3 評価 …73 4.4 方法 …73 4.4.1 分析方法 …73 4.5 結果及び考察 …75 4.5.1 再構成の場の充実感 …76 4.5.2 発表の場における相互理解 …79 4.5.3 伝統的な言語文化への意識 …82 4.5.4 語りに必要な要素の気づき …84 4.5 まとめ―生徒は音声言語活動を通して何を得たか? …88 〈注〉 …90 〈引用文献〉 …91 参考資料:SCAT による分析例 …92 第5 章 授業者は音声言語教育に何を見いだすのか? ―「語りで伝える古典」大学生は高校での実践をどう捉えるの か―の質的データ分析 5.1 問題の所在 …94 5.2 実践の概要と分析の方法 …94 5.2.1 実践の目的 …96 5.2.2 実践前の大学生 …97 5.2.3 実践の概要 …99 5.3 結果及び考察 …102 5.3.1 講義の流れ …102 5.3.2 分析方法 …106 5.3.3 分析結果 …106 5.3.4 双方向的言語活動がもたらす学習効果 …109 5.3.5 伝統的な言語文化への理解 …111 5.3.6 音声で伝える本質的意味への接触 …114 5.4 まとめ―教師は音声言語教育に何を見いだすか …118 〈引用文献〉 …124 参考資料:SCAT による分析例 …125 第6章 音声言語の力を高めるために必要な教師の関わりは何か? ―語り上手な高校生へのインタビューの質的データ分析― 6.1 問題の所在 …127 6.2 実践の概要と分析の方法 …129 6.2.1 実践の目的 …129 6.2.2 実践の概要 …129 6.2.3 インタビューの方法 …133

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6.2.4 データ分析 …135 6.3 結果及び考察 …135 6.3.1 過程分析 …138 6.3.2 内容の検討 …142 6.3.3 人との関わり …151 6.3.4 考察 …177 6.4 まとめ―音声言語の力を高めるために必要な教師の関わりは何か- …180 〈引用文献〉 …184 参考資料:ライフストーリー・インタビューのデータ …185 第7章 総合考察 7 . 1 「 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 機 能 を 備 え た 音 声 言 語 教 育 」 の 生 成 過 程 217 7.2 「コミュニケーション機能を備えた音声言語教育」と語り …223 〈引用文献〉 …228 第8章 結語 8.1 「コミュニケーション機能を備えた音声言語教育」と本研究の意義 …229 8.2 本研究の応用 …232 〈引用文献〉 …236 ・引用・参考文献一覧 …237 ・本論文に関わる筆者の論文一覧 …243 ・和文抄録 …245 ・英文抄録 …250 謝辞 …251

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本論文は,国語教育において重要な意味を持つ「伝え合う力」としての音声言語に着 目し,音声言語の力を高める教育方法をコミュニケーションの視点により構築すること を企図したものである。そのために本研究では,音声言語教育の再定義と問題点を整理 した上で,「コミュニケーション機能を備えた音声言語活動」が成立する要因を明らか にし,学校教育現場での実践研究それぞれに理論的基盤を位置づけ,実践化する際の要 素として構築を試みた。 本論文は8章によって構成されている。第1章から第3章において国語教育における 音声言語教育を考察対象とした本研究の意義を確認し,先行研究の検討を通して国語教 育において音声言語教育を実践する際の歴史的背景,問題点,理論的枠組み確立の重要 性,及び方法論的な妥当性について考察を行った。第4章から第6章において,古典教 材を語る教育実践を取り上げ検討することで,コミュニケーションの観点から音声言語 教育におけるかかわりの構築について論じた。第7章及び第8章において本研究のまと めとして,国語教育における音声言語教育研究の課題について論じた。 第1章では,音声言語活動の問題点を指摘した上で,国語教育における音声言語教育 を,コミュニケーション機能に着目して考究する本研究の意義について論じた。音声言 語という用語が初めて学習指導要領に登場した1989年以降,国語科の授業において, 音声言語教育の必要性が再認識されるようになり,スピーチ,ディベート,音読などの音 声言語活動の実践報告が多くなされるようになった。1998年告示の学習指導要領国 語科の目標に示された「伝え合う力」は2009年告示の高等学校国語科の目標にも引 き継がれている。「伝え合う力」すなわち,コミュニケーションの力を高めるための音声 言語教育の重要性は高等学校国語科において認識はされているが,実現には至っていな い。国語科の授業においては,前述したように原稿やメモを読み上げ,話し手から聞き手 への一方向的な音声言語活動がなされる傾向がある。 第2章では,音声言語教育の概念の再定義を試み,論じた。学習指導要領,言語発達, 言語文化の先行研究の整理を行った上で,音声言語教育の歴史考察,研究の現状や課題 及び意義について論じた。音声言語教育の歴史的背景を考察の結果,音声言語教育がコ ミュニケーション機能を備えた形で行われなかった背景には,明治期の国語政策が関わ っていることが明らかになった。その上で国語教育においてコミュニケーション教育に 有効であるとされている語りの実践について考察した。語りがコミュニケーション機能 を備えた音声言語教育である可能性について,発達言語学,歴史学,哲学の論考を先行研 究として整理し,理論形成を試みた。 第3章では,本研究における認識論的枠組みとしての認知的徒弟制について検討を行 った。また,音声言語教育の研究における方法論としての質的研究法について論じた。 第4章では,高等学校における「語りで伝える古典」教育実践を取り上げ,高校生が実 践を通して得たものに焦点を当て,コミュニケーション機能を備えた音声言語教育を論

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じた。高等学校の国語科の授業において古典教材を現代語の語りで発表する実践後に, 受講者が記述した感想を分析対象とした。その結果を質的に分析した結果,受講者が音 声言語活動から得たものとして,「対話とかかわりによる価値の発見」「古典への本質的 理解」「好意的反応による支援の大切さ」の3つのカテゴリーが提示された。「対話とか かわりによる価値の発見」のカテゴリーは「再構成の場での充実感」「発表の場での相 互理解」の2つのサブカテゴリ―から構成されている。本カテゴリーは古典教材を現代 語の語りとするためにグループ活動を行ったことが古典への深い理解と興味をもたら したことを示唆するカテゴリーとして作成された。また,「古典への本質的理解」のカ テゴリーは「伝統的な言語文化への意識」から構成されている。本カテゴリーは語りを 発表する活動を通し,級友の個性の発見と相互理解の機会を得たことを示唆するカテゴ リーとして作成された。「好意的反応による支援の大切さ」のカテゴリーは「語りに必 要な要素の気付き」のサブカテゴリ―から構成されている。本カテゴリーは語りを体験 することによって,音声言語で伝えることは台本を間違いなく再生することではなく, 聞き手との相互関係により,常に変容する関係をはらむものであることを学び得ている ことを示すカテゴリーとして作成された。以上の「対話とかかわりによる価値の発見」 「古典への本質的理解」「好意的反応による支援の大切さ」を受講者が得たものとして 示した上で,コミュニケーション機能を備えた音声言語教育としての語りについて論じ た。 第5章では教員養成大学における「語りで伝える古典」の実践を取り上げ,教師の視 点から実践の意義を論じた。本章で取り上げた実践は,教員養成大学の国語科教育法に おいて受講者が高校生対象に行う実践を追体験し,国語科の教師目線で実践の意味や意 義を考えることを目的としたものである。実践後,受講者が記述した感想を分析対象と した。その結果を質的に分析した結果,受講者が実践に見いだしたものとして,「考えと 読みを他者と共有する言語活動」「古典学習を通した言語文化への学び」「音声で伝える 本質的意味への接触」の3つのカテゴリーが提示された。「考えと読みを他者と共有す る言語活動」のカテゴリーは「双方向的言語活動がもたらす学習効果」のサブカテゴリ ―から構成されている。本カテゴリーは受講者が実践を通して,語りを作り上げる一連 の言語活動,採話・再構成・再話が双方向性を持って伝えることを可能にし,結果として 級友とのコミュニケーションが生まれる効果があり,その上で語りの言語文化的背景を 含めた定義と意義を見出していることを示すカテゴリーとして作成された。また,「古 典学習を通した言語文化への学び」のカテゴリーは「伝統的な言語文化への関心」のサ ブカテゴリ―から構成されている。本カテゴリーは古典を語りの素材とし,語りを作り 上げる一連の言語活動を行うことで,伝統的な言語文化への意識を高めることができる ことを受講者が実践に見いだしていることを示すカテゴリーとして作成された。「音声 で伝える本質的意味への接触」のカテゴリーは「声で伝える意味への関心」のサブカテ ゴリ―から構成されている。本カテゴリーは音声言語のあり方を考察する有効な機会と

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なり得ること,音声言語のみならず,非言語コミュニケーションを意識する場ともなり 得ることを受講者が実践に見いだしていることを示すカテゴリーとして作成された。以 上の「考えと読みを他者と共有する言語活動」「古典学習を通した言語文化への学び」 「音声で伝える本質的意味への接触」を受講者が見出した語りの実践の意義として示し た上で, コミュニケーション機能を備えた音声言語教育としての語りの意義について 論じた。 第6章では,語り上手な高校生へのライフストーリーインタビューのデータを質的に 分析し,音声言語の力を高める教師の関わりについて考察した。録音した音声の全てを 対象に文字テキスト化した上で解釈を行い,語りに必要な教師の関わりについて概念化 を図った。分析の結果,教師が語る内容,語りの型の指導をすること,音声言語活動の機 会と場を与えること,語りの特質である変容を許容し,語りの特質である変容,共同化を 評価する姿勢を示すことが音声言語の力を高めることが示唆された。 第7章では,上記の生成仮説をもとに,本研究の研究課題(リサーチクエスチョン)「コ ミュニケーション機能を備えた音声言語教育とはどのようなものか」を説明している。 コミュニケーション機能を備えた音声言語教育とは,ひとまとまりの内容を素材とし (採話),伝えたいテーマのもとで脚本を作り(再構成),脚本を覚えた上で聞き手に伝 える(再話)という一連の言語活動,すなわち語りである。この一連の言語活動により, 双方向性をもって伝えることが可能となり,級友とのコミュニケーションが生まれる。 一連の言語活動を級友とともに行うことにより,級友の個性の発見と相互理解を得る機 会となり,採話した内容,音声言語の特質とへより深い理解が促進される。音声言語の力 を高めるためには,教師が型,内容の指導に関わること,機会と場とを提供すること,特 に変容を許容する姿勢,変容、及び共同化を評価する姿勢を示す関わりが有効であるこ とが示された。 第8章では,コミュニケーション機能を備えた音声言語教育についての総合考察と本 研究の意義を論じた。語りの実践を通してコミュニケーションが生まれる点,採話した 内容への深い理解がもたらされる点は先行研究において指摘されてきた。本研究では実 践の質的分析によって語りの意義を再提示し,古典を採話することで高校国語科の古典 教育,伝統的な言語文化への意識を高める取り組みとしての新たな意義を論じた。また, これまで語りの実践において明示されていなかった,教師の具体的な関わり,変容を許 容すること,変容及び,共同化を評価することが有効であると分析した。 こうした教師の関わりをも取り入れた実践は,国語科の教室内での活動にとどまらず, 学校教育における発表活動,生涯学習として談話や会議での発言にコミュニケーション 機能を持たせる取り組みにも寄与するものと期待される。「語りで伝える古典」に本研 究で分析された有効な教師の関わりを取り入れての実践,データ収集,分析,及び考察に ついては現在も継続中であり,残された課題である。

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