符号間干渉を考慮した通信方式
鈴木嘉彦
(昭和50年8月28日受理)
A Communication System considered under the Effect
of Intersymbol Interference
YoshihikoSUZUKI Abstract This paper relates to a new communication system considered under the effect of the intersymbol interference. We assume, at丘rst, that the characteristics of a communication channel can be expressed as follows. A transmitted block signal of which length is 2V is correspond to a (1×N) vector s. The intersymbol interference is considered a linear operator to a vector s, and it is expressed by a(N×N十L)matrix C, where L is the length of residual response. After the matrix C operating to the vector s, the channel noise n adds to sC. Therefore, the received signa1グisプ=sC十n. The communication system is constituted as follows. We operate a cyclic orthogona1(N×」V)matrix M to a block data which is shown in a vector dat the transmitting s云de an get a transmitted block signal s=d」砿. After the block signal transmitting with the communication channe1, the received block signal r is 7=sC十n=dルfC 十n.Operating(N十L×N)matrxル1*to夕, where M*is composed by the extended M,夕*= (dMc十%)M*=4C*十nル1*・Next, operating a(N×N)matrix(C*)−1 to夕*, and we get d*=d十nM*(C*)−1 We can estimate the transmitting block data d from the received blok deta d*. 1. ま え が き 従来データ伝送(PCM通信)における最大の問題点 として,伝送路の周波数特性による残留応答により送 信信号間で符号間干渉が起こり,受信信号が雑音によ る影響以上に悪影響を受けて,著しく誤り率を高めて しまう点が指摘されている。 このような符号間干渉の悪影響を改善するため,こ れまで波形等化という方法が考えられ,高速波形等化 による伝送速度の改善が研究されている1)。 上記のような従来の方式に対し,本文ではブロック データ伝送方式に,特殊な直交伝送を応用した新しい データ伝送方式を提案し,この方式によって符号間干 渉の影響をほとんどなくすことができることを示す。 本方式は,巡回行列でかつ直交行列である。新しい 行列2}を応用して直交伝送を行い,受信側ではその巡 回直交性を利用してあたかも符号間干渉の逆操作を行 うような行列演算を行うことによって干渉の影響を少 なくしている。そのため残留応答によって決定される 巡回行列の逆行列を求める必要が生じるが,その操作 について物理的に解析し,逆行列の計算が容易に行え る方法についても述べる。 また本方式によると,符号間干渉の影響が除去され て,受信信号は送信信号と伝送路中で発生する雑音の 定数倍の雑音の相加形式で与えられるので,符号間干 渉がある場合に複雑であった誤り率の計算や伝送速度 の計算が符号間干渉がない場合と同様に行えるという 利点がある。さらに実際の例を上げて,誤り率の計算 を行った結果も従来の結果に比較して充分良い結果と なっている。 なお,このブロック伝送方式に必要な巡回直交行列 を構成する関数のハード的構成は,シフトレジスタと 排他論理和回路で容易に行えるという長所がある。よ ってこの実現の可能性が期待される。雑音π 2. ブロック伝送の方式 ∫。m・(・)m」(t)d…δ1、 ただしδi」はクロネッカのデルタである。 さらにmi(りとmゴ (t)の相互相関関数90i」(τ)は …ゴ(・)一∫:τ゜m・(・)m、(t−・)d・ 一∫9τ゜m(t+i・・)m(t+∫・・一・)d・ 一{・」τ+i」1’%・.一’eNT・L O,その他 ただしleは整数。 本文で考察するブロックデータ伝送の方式は,先に 報告したM系列によって作られる正規直交関数系の内 2値の関数を利用する。直交関数系の詳細については 文献2)によるが,ここではその生成方法と性質につい て本文に必要な範囲で簡単に述べる。 mcd2における原始多項式をH(x)とし,その次数を nとすると,得られるM系列m(t)は周期P=(2n−1)τ。 の周期関数となる。正規直交関数系{mi(t)}の関数m, (t)は 〃Ziの=m(t+ゴτ。)/π (1) で定義される。ここでN= 2n−1として, i=1∼1V K=2n+1−v/2肩「である。またm(t)はmod2の整 数0と1を一1と1+1//矛弓にそれぞれ変換した値 を取っている。さらにτoはM系列を発生するのに必要 なシフトレジスタを動作させるクロックパルスの周期 である。 {mi(の}は正規直交関数系であるから
NrO
(2) (3) 1τ+‘一ノτ。一一k∧「T。1≦τ 次に本論の{mt}を利用したブロック伝送方式につ いて述べる。送信するデータブロックをベクトルDで 示す。 1)o=(d1, d2, … , d., O, 0… , 0) (4) ここでNは{m、}の次元に等しく2V=2”一 1であり, ベクトル1)oの後半についている0は,(L+1)個で, これは伝送路の残留応答を考慮して冗長性を持たせた ものである。さらに各データd々,(le=1∼N)はr値表 現され,集合1を 1= {0, a, 一・, (r−1)a} (5) とすると,d々∈1となっている。 以後説明を容易にするためベクトル1)。の最後の(L +1)個の0を省略した純データブロックDを用いて 説明を進める。 1)=(d1, d2, … , dハr) (6) 入力 理想伝送路 低域しゃ断 @回路 高域しゃ断 @回路 ++出力 図一1(a)通信チャンネルのモデル Fig.1 (a)Amodel of communication channel.襯[L
o魂筍時間 送信パルス 図一1 Fig.1(b) 振 1 幅 0.5 C−1 C] C2 CO O To 2re 3Vo 4To 受信信号 残留応答と識別時点 t (b) The residual response and the detecting instants in each time−slot. データブロックDから送信信号S(のを次式で構成す る。 s(の=Σd,・〃li(の t=1 信号S@)をベクトル表現すると sニ1).M ただしベクトルSは信号S(t)より S=(S(0),S(τ。),…, S(1V−1τ。)) で与えられ,行列Mは直交関数系{mi}によって (7) (8) (9) ⑩ で与えられる。関数mi(のの定義から明らかなように M『ヘ正規直交巡回対称行列となっている。 式(7)の送信信号を図一1のような周波数特性による 残留応答を持つ伝送路で送信すると,得られる受信信 号夕(りをベクトル表現して, y=s・c+n ⑪ で与えられる。ただしnは相加雑音n(のによって決定 されるベクトルで,雑音nの各タイムスロットでの値 を用いて, n=(n(0),n(τ。),…n(N+Lτ。) ⑫ で示される。 他方行列Cは残留応答による符号間干渉の影響を表す もので,図一1の残留応答の各タイムスロットでの値 cゴ(」=−1∼L)を使ってC=
C司Co C1−…一…CL O C−,CoC1…・…・CL 、s、 ㌧、、 0 ㌧ ’、 C., C, C、……−CL ”・−N十L十1−”一一 、 …N
… 》 ノ (i$で与えられる。式⑫,式⑬より明らかなように受 信ベクトルyは次数が(N+L+1)となるが,送 信信号Sは(L+1)タイムスロット分の冗長性 を持っているので,他ブPックの影響を受けない し,影響を与えない。 受信側においては式at)で与えられる受信ベクトルy から 次の操作により送信データブロックDを推定す bc辛ゴベクトルyに右から下式で示される行列M* を掛けるL q・va・・=(s・(ny+n)・M* =(D・M・c⊥n)M* =D。c×中rN.* たたしM器は《〃ee)にょり次式で与えられる。 M*= Ml(N−1 Te)pm(N−1 r。)・…MN(N−1 T。) Ml、(0) va(0)・……・・MN(0) Ml’iN−1To)物函1筍)・…mNて頑1筍) Ml(0) M2.(0)一…・…・MN(0) m1(L−1 r。)eq(L−1 T。)…・・鞠’iL−1 T。) ’右’・・一・・∫V・・・… ”“’ ⑭ N十L十1 ⇔ またn*==n・M*であり,行列C*はMおよびM*の性質 から,C*=M・C・M*で
C・C・…‥CL C−・
C.、C。…一・・…CL(c・)・− y4e
’q㌔.. α・『;
”令・…..一._・・N....・・…’” で与えられる。 (付録1) 次に式⑭の両辺に右から(c*)−1を乗ずると, 1)*=y・M*(C*)−1=1)+n*(C*)−1 ⑰ 式⑰のD*より各要素について,集合1の各要素からの 通常の意味での(ユークリッド空間)距離により最小 距離を満足する∬の要素を送信データと推定する。 以上のブロック伝送方式を図にまとめると,図一2の ごとくになる。なお,本方式において重要となる行列 M,M*などの操作は,文献2)でも明らかなように,シ フトレジスタとスイッチソグ素子で比較的容易に実現 可能であり,現在のIC技術の発展の下では,これら の要求に答えられるものと考えられる。また。従来の 波形等化などの方法に比較して欠点となるのは,行列 操作が含まれるので,メモリーを必要とする点であ る。これについても昨今のICメモリ等の発展は欠点 をおぎなうものと考えられる。判別器 (欝 変換M*
図一2 通信システムプロック図 Fig.2 The block diagram of communication system. 3. (C*)−1の求め方 前節において式⑭より式(iZを導くさいに問題となる (c*)−1の求め方について述べる。これと類似した問 題については文献1)に示されているが,ここではC* が,巡回行列であるという性質を利用して,次のよう にフーリエ変換を応用して(C*)−1を求める方法につ いて説明する。 式⑯で与えられるC*の第1行を行ベクトルC、*とし て取る。 C*1=(Co, Cl,……, CL,0,……,0, c_1) ⑱ このN次行ベクトルを,τ。毎にその値が変化する周期 Nτ。の周期関数Cl(のと考え c、(leτ。)=(Cl*)le, O≦τ<τ。 一 ⑲ le ・= 1∼Nとし,(C1)RはベクトルCl*の第ん番目の要 素とする。 (C、*)−1が求められるものとすると,これはC*が巡 回行列であることから,同じく巡回行列となる。よっ て逆行列をFとして一戸1㌶::::::自
fN fN−1_ゾ1ノ ⑳ で与えられるものとする。C*の場合とまったく同様 に考えて,Fの第1列ベクトルfiを jflT=(fi, f2,……, fN) (2D と取り,これからτ。毎にその値が変化する周期NT。の 時間関数f、(のを定義する。fi(feτ)は f、(leτ)== fk O≦τ<τ。 ⑫ le ==1∼Nで与えられる。 C、(のとfi(のはともに周期NT。の周期関数である から,その相互相関関数q,tfl(τ)は …、・1(・)一∫1㌔(t)f・・(・一・)d・ ㈱ で与えられ,C*とFは式⑳の関係が存在することから 式㈱は ・…f1(・)一m1器軋͡㌦
なる結果になる。式(24)が満足されれば,明らかにc*・F=E ㈱ ただしEは単位行列となる。 そこで式㈱の両辺をフーリエ変換して ψ(ω)…c、(ω)・Fi(ω) ㈱ を得て,F、(ω)を求めると F、(ω)=¢(ω)/c1(ω) 働 ここで,¢(ω)はψをフーリエ変換したものなので, 式幽より与えられ,c、(ω)はc1(のをフーリエ変換し たものなので,式⑲より与えられる。 ¢(ω)一∫㍗・、・1(・)e−」urd・ ⑳
c(ω)一∫:ぴの・二咄 eg)
式働で与えられるF(ω)を逆フーリエ変換することに よって周期関数 fi (t)が求められる。fi(t)一∫:..F(ω)紬
⑳ fi(t)が求まれぽ,ただちに逆行列Fが得られる。こ こで問題になるのは,F(ω)は式四で示されるとお り,Cl(ω)で郵余算する操作が入るので,あるω。で, ¢(ω。)キ0かつc1(ω。)=0である場合にはF(ωo)〉・。と なり,逆フーリエ変換が存在しないことになる。よっ て逆行列が存在しない7)。 実際に(c*)−1を求める場合には,残留応答が短かけ れば,計算機で逆行列を直接求めることもできる。 4. 誤り率と伝送速度 4. 1 誤り率の改善 本ブロック伝送方式により得られる伝送速度と誤り 率が従来の方式と比較して,どのように改善されるか 検討する。 初めにブロックデータ1)の各要素が7値で表現され ている場合の誤り率について考察する。式⑪および式 ⑰より明らかなように受信信号ベクトルyに適当な行 列操作を施すと,受信データベクトルD*は,送信デ ータベクトル1)に伝送路内で発生する雑音nの定数倍 (M*(C*)−1)した雑音が相加されたものとして得ら れる。 ここで雑音nの各要素n(iτo)は互いに独立とし,ガ ウス型雑音とする。n(iτ。)の確率密度関数P。(x)は i=0∼N+Lですべて等しくちω一
カ尻・p(X22σn2) 倒
で与えられるものとする。ただしa。2は雑音の分散で ある。 n(iτo)が独立したガウス性であるという仮定か ら,行列演算n×M*によって得られるベクトルn*の 各成分もM*とnが独立ならガウス型となり, 意の要素ni*の確率密度関数Pπ*(X)は, P・*(x)−t−t。.*ex・〈−2隠) その任 (3z で与えられる。ここで分散σ。*2はM*が(N+L+1) ×2V行列であり,その要素が式(1)で決定されることか ら,次の不等式関係を満足する。 a・2<an・・≦(1十L十1 K)an・ ⑬ さらにn*に(C*)−1を掛けて得られる雑音ncは nc=n*(C*)−1=π・〃*・(C*)−1 B4) で,ncの各成分は(C*)−1とn*が互いに独立である と仮定すると,その確率密度関数Pnc(X)は上記と同 様ガウス型となり, X2 倒姻一湯輪・・p(2σnc2)
で与えられる。ここで分散an,2は N σ。,2=σ。2*・Σノ↑ i=1 で与えられ,fiは式⑳より与えられる。 (36) このように式(iZの雑音項ncの確率密度関数が求まれ ば,送信データに対する受信データの誤り率は次のよ うに求められる。 送信信号S(t)は平均電力Eが抑えられているもの とし,図一1のような占有率1/2のパルスを使って送 信した場合,最小距離による送信データの推定方法で は,1データ当りの誤り率はr値表現の場合 P・ −2(≒1)∫・2P・・(・)d・ (・の で与えられる。ただしデータ庇∈1,(le ・・ 1∼N)の 集合1での生起確率は等確率1/rとし,di,馬@キの は互いに独立であると仮定する。 さらに実数aに関する制限は,送信信号S(りが式 ⑦で与えられ,{m、(の}が正規直交関数系であること から,平均電力Eに依存して≒・潟(〃・)・9E ㈱
で決定される。 次に上記の結果を実際の通信システムに適用した場 合,従来の方式による結果とどの程度差異があるか比 較検討する。 占有率1/2の方形パルスに対する低域・高域しゃ断 を含む伝送路の場合,図一1に対応する等価パルスの詳 細な数値については文献3)を引用して充分実用性に合 うものとした。上記数表では送信パルスS(t)が振幅 1,占有率1/2の方形波の場合を扱い,符号伝送系の 総合伝達関数▽(P)をw(P)ニv(P)・w*(P) 働 P:複素角周波数(=σ+∫ω) で表し,γ(P),W*(P)が低域・高域しゃ断特性を 決定するものとしている。代表的なしゃ断特性とし て, ここで v(P)一(P㍍)・ 1w*(P)= (1+
e)n
ωL:低域しゃ断角周波数 〃Z:低域しゃ断次数 ωH:高域しゃ断角周波数 n:高域しゃ断次数 表一2(a)誤り率表(通常三進符号) VVL m } ⑩ 誤 り 率 10−3Wo 3×10∼3 wo 10 −2 VVo 1 2 3 1 2 3 1 2 3 1.75×10−34.81×10−55.30×10−72.50×10−9 1.70 〃 4.61 ・ク 5.00 〃 2.00 〃 1.64 〃 4.40 〃 4.79 〃 1.82 〃 1.64 〃 4.40 〃 4.79 〃 1。82 〃 1.54 〃 4.07 ク 4.35 ク 1.80 〃 1.75 〃 5.00 〃 5.90 〃 2.60 〃 1.40 〃 3.90 〃 3.90 ク 1.50 〃 1.64 ク 4.50 〃 4.88 〃 2.01 〃 2.56 〃 9.20 〃 15.02 ク 10.70 〃籠間干⇒1・35〃3…〃・…〃・・98〃
である。この有理関数形等価によりて得られる波形を フラットアンプで増幅した場合,誤り率に影響する項 tine/σ。*=Mを雑音増幅因数と呼び,その値は表一1の 結果となる。 表中で使用される記号は次のような意味である。 ルγ。:パルスくり返し角周波数(=1. 544MHz) le:アンプの増幅率 M:雑音増幅因数(=σnc/an*÷σ。,/an) VVII=1.542Wo, n=15 表一1をもとに誤り率式⑰を各データごとに求めると 表一2となる。ただし正規分布表は文献4)による。こ れをたとえぽ文献5)の結果と比較する意味で図一3にま とめて対比させると,本方式による誤り率は著しく改 善されて,符号間干渉の影響がほとんどなくなり,式 ⑰から明らかなように,雑音nに対する雑音増幅因数 Mの影響が表れるだけである。 上記説明において残留応答の長さL+1はデータ長 Nに比較して充分小されものとし (L+1)/N÷O ω なる仮定を設けている。これは,伝送効率の意味から 15.56 18.06 20.00 21.58 SN比(dB) 表一2(b)誤り率表(通常四進符号) WL m 誤 り 率 10−3Wo 3×10−3 Wo 10−2Wo 1 2 3 1 2 3 1 2 3 2.63×10−37.22×10−s7.95×IO−7 3.75×10−9 2.55 〃 6.92 〃 7.50 〃 3.00 〃 2.46 〃 6.60 〃 7.20 〃 2.73 〃 2.46 〃 6.60 〃 7.20 〃 2.73 〃 2.31 〃 6.14 〃 6.50 〃 2.70 〃 2.64 〃 7.50 〃 8.85 〃 3.90 〃 2.10 〃 5.85 〃 5.85 〃 2.25 〃 2.50 〃 6.75 〃 7.25 〃 2.79 〃 3.84 〃 13.80 〃 22.50 〃 16.10 〃難肝渉1…3〃・・・・…35〃1・47・
19.08 21.60 23.50 25.11 表一1 雑音増幅因数表 SN比(dB) もデータの長さ」Vに対して,冗長な部分(L+1)を 相対的に少なくする必要があり,関数系{mi}の次数 2Vは充分大きくできることから導かれている。 VVL 沈 kM
10−3Wo 3>く10−3ヤレ「o 10−2 Wo 1 2 3 1 2 3 1 2 3 2.44 2.45 2.46 2.47 2.50 2.54 2.55 2.67 2.81 1.05104 1.04506 1.04044 1.04044 1.02831 1.05484 1.02483 1.04224 1.15494 4.2 伝送速度 本伝送方式を連続情報の伝送に利用した場合の伝送 速度について述べる。 連続的伝送路において,情報源のエソトロピーを最 大にするため,データd々(k=1∼1V)を確率密度関数 P(のがP(の一/2ご。、exp(一£1τ) 幽
の正規分布をなす情報源から構成されているものとし di, d」σキカは互いに独立とする。ここでad2はデー タの分散。この時データのエントロピーは最大となっ て6}10−1 10−3 斑10−・
R
;ζ 津10−7 10−9 m=3,n=15 W},=1.542Wo 10−ll 18 20 22 24 26 1,ジ}対熱雑音比(dB) 図一3(a)通常三進符号列の符号誤り率特性 Fig.3(a)Symbol error rate vs. signal to thermal noise:atio in ordinary ternary pulse train. eS.〆醐≒づ㌔¢!?・蛾
⑬ で与えられる。 − 1 一方受信データベクトルD*は式⑰より明らかなよ うに,データと雑音の相加形となり,ここで雑音n等 に前節4.1とまったく同様な仮定式⑳を用いると,Z) とn,に互いに独立であるから,D*の各要素の分散σd*2 (これは送信信号Sと雑音ncの平均電力の和に等しい) は次の関係を満足する。 ・・2+・・2<・・*・≦…+an・(1+L是1)M・⑭ ここ,N>(L+1)とすると,σd*2は a・・2=σd2+a。2M2 ・・ S+凡 ㈲ となる。ただしMは前節で求めた雑音増幅因数である #よって1データ当りの伝送速度Rは定義より R=H(d*)−H@ρ)一.一、t.tt−.一..一 ⑯ ここで, ⑭一マ2。(…+Nc)∫二・xp{一緯凡)} 1・・{シ,き㍍)} ・ ・・p{一、(歳)}} dx 働 であり,H(n,)も伺様である。ただし, Sは送信信号 S(t)の平均電力であり,Ncは雑音n,の平均電力で ある。㈲および働より, R−;1・9(1+☆)〔bi・/d…〕 ⑱ を得る。以上の結果より,1秒あたりの伝送速度R* は,パルスくり返し角周波数をW。として R*一誓1・g( s1十 2Vc)〔bi・/・ec]㈲ で与えられる。 N>(L+1)の仮定を用いないとすると,雑音12cの最 10−1 103 讐、。・ 蓑 這10’ 109 1°’P0 m=3,π=15 1・V,,=1.542Wo 22 24 26 28 {,ll}対熱雑音比(dB) 図一3(b)通常四進符号列の誤り率特性 Fig.3(b) Symbol error rate vs. signal to thermal noise ratio in ordinary 4−valued−pulse train. 大平均電力2V,は, Nc一㊨・(1+≒P1)M・−N(1+≒P1)M・剛 となり,データベクトルの冗長性も考慮して,伝送速 度R∫は, Rf≧諾1’票㎏( 1 S+万(1+L+1)M2) となる。5. あとがき
㈲ 以上の考察から次のような結論が得られる。 まず第1に,本方式のハード構成については2節か ら明らかなように,直交関数系{mi}がシフトレジス タと排他論理和回路の組み合わせで実現できるので, 送信側での直交変換は,r値のデータをたとえば2進 表現してダイオードマトリックスと重み回路を組み合 わせることにより比較的容易に実現できる。また受信 側においても同様なマトリックス操作が必要となる。 さらに長さN=2n−1のデータブロックを単位に伝送 するのでその長さに等しい数のメモリーが必要となる が,これはICメモリー等で実現できる。以上第1の 結論から本方式での回路実現は可能であるが,従来の 波形等化などの方法に比較して,それが多少複雑にな る。 しかしながら第2の結論として,4節から明らかな ように,本方式による誤り率・伝送速度は従来の方式 に比較してほとんど符号間干渉の影響をなくすことが できるという利点を持ち,特に将来多値のPCM通信 の実現という点では2値の場合に必要なハード構成と ほとんど同レベルの構成で多値へ拡張が可能であり,伝送速度の向上につながる長所がある。また誤り率等 の計算が残留応答の形が決まればただちに行えるの で,解析・設計の面で有効である。さらにハードの問 題とも関連があるが,1V>L+1のようにブロックの 長さを充分大きくとれば,冗長度を少なくでき,雑音 増幅因数・Mだけが符号間干渉をのぞくことによって表 れる悪影響となり,M÷1・1程度であることから符号 間干渉の影響はほとんど無視できることになる。 なお本方式と直接のつながりはないが,巡回行列の 逆行列の計算をフーリエ変換を利用して行えることを 本文中で導いた。 今後はより通信容量に近い伝送方式の実現を考察し あわせてハード構成を容易にする方法を検討したい。 参 考 文 献 6) 7)佐武:行列と行列式,p79,裳華房,(昭48) 付録I N×(2V+L+1)行列Ttを次式で定義する。 T・一‖Tl日回], i−。∼L+、 ヤ L・−N ” i 2V L十1−i ただし1は1V×」V単位行列とする。 式働の定義を利用すると行列Cは, 1)橘,佐田:ディジタル通信のための高速自動等化の一 方式,信学論㈲,55−A,10,(昭47−10) 2)鈴木:原始多項式により生成される直交関数系とその 応用,信学会全大p1104,昭50 3)吹抜,岩橋:有理関数系および余弦自乗形等化パルス の数表,研実報,別冊24,(昭和42−09) 4) 日本規格協会:統計数値表,JSA−1972, 5)岩橋ほか:通常多進符号の基底帯域伝送,信学論㈹, 52・−A,4(昭44−04) 田中:情報工学,p181,朝倉書店,(昭47) ㈲