友 f奇 一 五 O
友
情
松
田
喜 一 吋孝
大正十二年の春は、輝かしくめ?って来た。青春の礎を後仁して故郷E
を去って、各雄は東京の文 科に、繁は工科に、哲三は北海の農大にはいった。各雄と繁は府下の−附に杭る二階家の素人下宿か ら、市内のH
高基に聾ゆる皐合仁通皐した。朝早く起きて揚子を使ひ武識野一帯にか、る朝霧を眺め るのは、何ともいひゃうのない爽かな心持がした。 土曜日の午後など二人はよく寮歌や讃美歌を合唱した。 ﹃ 哲 三 の 奴 、 今 頃 は 何 を し て ゐ る か な 、 ﹄ 二人はよく官三の噂をしては、故郷E
町の自然を追想したo
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町の海岸線に沿ふて遥か撞くまで、連 績して見渡される、たっぷりと雪のか k っ た ァ Y プスの山今、雄大な砂丘の群など、タ暁の・ 2 ア ゼ 背 景 にして眼の前に浮ぶのであった。繁は時折巣鴨の叔父を訪れた。各雄も一度彼三一緒仁、彼の叔父といふ人の家に遊びに行った事も ある。叔父はその日は留守であったりれども、叔母は家に居た。彼女は優しい上品な至って賑やかな 性質の持主にった。そうして繁と同様に、気持よくもてなしてくれたのが、生れつき殊更淋しい性の 各雄には何よ
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も嬉し︿思はれた。 こんな乙とで空虚は一日や々と埋められて行ぐやうに思はれた。各雄は岡満なものに憧れた口美し きそして叉冷やか・な大開石の世界に光を求めて、磨いた玉のやうな人聞になb
たい、地蔵様のやうな 満足な霧貌が、欲しいと思ふ事もあった。併し時とする之、慈悲の念が泊ん了と押し寄せて来て、醜い 白砂の性情を省みて、散々に苦しめられた。自舟といふものが飴b
に少さ︿見えてしゃうがなかった。 希望もなく、憧れもなくすっかb
凋んでしまふ事などもあった。そんな時は、彼は自然に考へさせら れ た @ ﹃俺は淋しい!l
俺の未来は晴 h 1 1 1 1 果τ
如れない平原に行き暮れた放人の持つ心のやうに、そこ仁 は地明はないl
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いや俺には未来も何もあb
はせ肉、もうとうに死んで腐ってゐるではないか!一 日でもよいから自分を骨暑い者に思ム日があってほしい﹄ と思ふ事ももたび/\でゐった。乙うした時、自分の此の淋しい t暗い気持を慰めて呉れ、励まして共 2乞 協 − 一 五2支 情 一 五 れるものは清い友情であった、唯一人の友繁の友情だった。 ﹃ ま た 対 、 考 へ て ゐ る の か 、 ぃ、加減に悲観はよさうぢゃないか、永遠に情︿まじめに生きて行か うわりゃないか、そうすれば僕等は何時までも純な友情を柴しむ事。か出来るん
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か ら ね 、 お互に余り 自分の運命から逃れゃうとして焦つては駄目だよ、焦れば焦る耗芥しむばかりだからね、興へられ た運命の下にあって暗携とした人の世の相を、すっと見つめようぢゃないか、悲しみの中に在って、 自己を深︿堀り下げて行かうぢゃないか、汁がそうして考へる時、俺も亦たまらなく考へさせられ るよ、しみA
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と考へさせられるよ、併し僕は悲哀の中に浸ってゐる時に、異質の自己を自畳する やうな気がするよ、浅はかな快活は止めて悲哀の奥仁こもる者きない喜びも、悲しみも、 る 互 に 品 川 ち 人 H っ て 慰 め 人 口 っ て 行 か う5
ゃ な い か ﹄ ﹃有難う!君の言葉には何時も僕は泣かされ戚謝をしてゐるよ、誰であったか名前は忘れたが﹁友 無ければ此世は荒野な b ﹂とか言ったあの言葉の意味がしみ A11 わ か る よ ﹄ と何時とは知れず戚傷的な彼の手と繁の手とが、堅く/\結び合きれてゐた。 資際繁の此の言葉はどんなにか各雄の心を慰め、どれだけ努力づけて呉れ又ゃ、もすると偏崩にな る心から撞ぎけて央れたかわからなかった。郊外の自然はやきしい春の雨仁恵まれて樹木はしっと
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と紘に潤ひ、水々しい若葉の色は冷静と情 熱の程よい調和を示してゐた。そんな雨の晩等二人はよく郊外にふさわしいやうな蛙の聾そ聞き乍ら 夜克げまで諾った。こふした折二人はどA
なに幸一臓であったかわからなかった。 ﹁俺は弧濁だ:::俺は淋しい:::俺は荒磯に一本流れ寄った流木ではない、併しぞの流木よb
も俺 は孤濁だ:::俺は一ひら風に散って行く枯葉ではない、併し俺はその枯葉よb
もうら淋しい、併し 淋 し い I 者 は 何 時 も 卒 緬 だ : : : ﹄ と h m f雄 は つ ︿ /V
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そう思ふのだった。 或土曜日の午后ll
夕方からしよぽf
、一音もなく細かな雨が降り出してゐた。各雄は乙んな細かな 絹糸のやうな雨が何よb
も好きであった。徐b
心 、 が す が / 1 1 し か っ た の で 、 そ L のかされるやうに二 人は傘もさ\ずに外に出先。何慮といって自営のない二人は足の向くま、に染井橋の方に歩いて行つ た。彼等は再びの心で一ばいになり、話に夢中になって歩いてゐた。染井橋を右に折れて何時の間に か二人は墓地の中を歩いてゐた。 ﹁そこは沈歎の世界だ:::寂翠ご無限の紳秘の世界だ:・:冷静と反省の世界だ:::﹄ 3乙冬雄は思った。そこに行︿何人にも無限の異開を表示してゐるかのやうな苔むせる墓棋の上にも、 :友 筒− 一 五 三P: 情 一 五 四 此の細な雨が絶えず降ってゐ花。各雄は時折歩を止めて考へた。寒士山鳥の如き生活にその日/\を過 す人聞は誰であろうと、いっとは知れず乙うした唯一仰の慕標となるのではないか、そうしてその冷い 士の下から初めて異の我に反って此の地上の人々に何ものかを呼びかけてゐるのではなレか、そうし てそれ等の人々の誰にも問える筈のない小さな勢で唄ム歌が、その暗い地の底にき、入る時、各雄の 耳に微かに聞えて来るやうな筑がし℃ならなかった。叉しょんぽ
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と濡れた赤い信女が怪しい居士の 膝に究れか、った偉、寝てゐる委も何となくおかしいやうに戚ぜられた。時折正の向ふを省電の走る 響が聞かれ、建き市内の紅い仁丹の燈がチラホラと雨の中にまた、︿のが眺められた h − し た 。 二 人 が 家に蹄ったのはもう夜であった、天井の煤けた中に電燈がたつた一つ雑然とした部屋の中を照らして ゐた。ぞれから叉遅くまで彼等は語った。 h 戸 、 v 雄にはその日一日は永い/\月日にも優って隼︿戚ぜら れ た 。 五月ムム日 過去は満きれない、現在は焦燥に許しめられる、俺は明るい世界に住み、暗黒と闘ひ、光を求めて 進む生甲斐のある生活を見出し得たい、羊かんを食ふ友達は俺は要らない、唯一緒に散歩する位の友 還 も ま た 、 お れ は 必 要 と し な い : : : ・ : 。五 月 ム ム 日 お互に信じ令って行きたい、友情によって俺はそ乙に此の世の何ものも融令しねなレ、無上の築関 を拓いて行きたい、魂と魂ごの抱擁:::胸と胸との共鳴:::互に光であ b 、 慰 め で あ り た い : ; : 。 乙
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−な事はその頃の各雄の日記の断片であっ台。夏休みを前に搾えてふとした事から繁は病気にな った。そうして故郷E
町に静養の魚崎った。彼が賜ってから各雄は暫く彼のその後の病肢を気遣ひな がら、相特捜らずより一一暦淋しい気持で皐合に通った。日夜繁の安否を気遣ってゐた彼は何度とな︿繁 の 夢 を 見 た 。 乙A
な の も ゐ っ た 。 康い校庭の隅から黒い着物を着た繁が出て来た彼は大きな聾で﹁繁万!繁君!﹄と二度程呼λ
、 花 。 繁は此方を振り反って﹃聾が大き過る:::・:﹄ご彼は閣の中に消へて行った。 各雄は此の夢が一番気になって仕方がなかった。韓が大当過ぎるご云った此の繁の言葉は、何だか不 古の暗示でもあるかのやうに思はれてならなかった。彼が踊ってからは一週間日の朝彼の妹から使が ゐ っ た 。 ﹃兄の事に就いてはいろ/\と御心配有難う御座います一昨々日までは健温も左程御座いませλ
で したのに今朝は大分熱もあるやうで御座います、りれど只今は飴程熟も退けたん吃御座いませうが 2乞 情 一 五 五吉え f青 一 五 六 時折枕迭に居