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Development of Japanese version of the emotional expressivity scale 利用統計を見る

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Academic year: 2021

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氏 名 相井 さやか 博士の専攻分野の名称 博 士 ( 医科学 ) 学 位 記 番 号 医工博甲 第 368 号 学 位 授 与 年 月 日 平成28年3月23日 学 位 授 与 の 要 件 学位規則第4条第1項該当 専 攻 名 人間環境医工学専攻(生体環境学コース)

学 位 論 文 題 名 Development of Japanese Version of the Emotional Expressivity Scale

(日本語版Emotional Expressivity Scale の作成) 論 文 審 査 委 員 委員長 教 授 森石 恆司 委 員 准教授 前川 伸哉 委 員 客員教授 伊藤 弘人

学位論文内容の要旨

(研究の目的) 感情の表出とは、感情の種類や、顔表情・声・ジェスチャーなど感情の表出様式に関わらず、感情を 外へ向けて表現することである(Kring et al., 1994) 。感情表出には、私たちの適応性や機能性の手 助けをする重要な役割があり、感情を表現することの身体的利点は皮膚ガン(Temoshok et al., 1985) や乳ガン (Giese-Davis et al., 2002) の臨床ケースに加え、一般サンプルでも報告されている (Sloan & Marx, 2004) 。また、感情表現と精神疾患にも関連性があると考えられている。統合失 調症(Kring &Earnst, 1999) や抑うつ症状 (Sloan et al., 2001) の患者には感情表現に顕著な制限が 見られる。また、PTSD 患者にも感情の表現を抑制する傾向があることが報告されている (Roemer et al., 2001) 。この様に、私たちの身体的また精神的健康のあり方を考える際、個人の感 情表現について正確に理解することが非常に重要になる。にも関わらず、現時点では日本語での信頼 性の高い感情表出尺度が存在しない。本研究の目的は、海外で最も頻繁に使われている感情表出性質 問紙の一つであるEmotional Expressivity Scale (EES: Kring et al., 1994) の日本語版を作成し、 その信頼性と妥当性を検討することである。

(方法)

EES 原版の著者から許可を得た後、バックトランスレーションの手続きを経て日本語版 EES を完成 した。インターネット調査会社に学生として登録している504 名(男性 252 名・女性 252 名、平均年 齢20.5 歳)を対象に、オンライン上で日本語版 EES を回答してもらった。加えて、日本語版 Social Skills Inventory より情緒的表現性尺度(EE)、感情のコントロール能力を測定する Courtauld Emotional Control Scale (CECS)日本語版、5 因子人格検査 NEO-FFI、セルフ・モニタリング尺 度(SMS)、抑うつ傾向を測定する CES-D、Rosenberg の自尊感情尺度(SES)を用いてオンラインの調

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査を実施した。約1 ヶ月後に、241 名が二度目の日本語版 EES を回答した。 (結果) 日本語版EES 全体の Cronbach の α 係数は.84、1 ヶ月後の再検査信頼性の相関係数は.61、と高い 内的整合性および再検査信頼性が得られた。また原版のEES と同様、日本語版も情緒的表現性を示 すEE とは高い正の相関があり(r= .71, p< .01)、感情のコントロールを示す CECS、神経症傾向を 示すNEO-FFI の N 得点、CES-D 得点と有意な負の相関があった(r= -.49~ -.12, ps< .01)。さらに NEO-FFI の E 得点・A 得点、SMS 得点、SES 得点との有意な相関も認められた(r= .11~.47, all ps < .01) 。NEO-FFI の O 得点・C 得点との相関はなかった(r= .02~.06, ns) 。 (考察) 日本語版EES は、高い内的総合性及び再検査信頼性が示された。また、十分な収束的妥当性と弁別 的妥当性も得られた。原版のEES とは異なり、自尊感情尺度 (r=.26, p< .01) と 5 因子人格検査 NEO-FFI の A 得点 (r =.10, p< .05) との有意な正の相関があった。また抑うつ傾向を測定する CES-D との有意な負の相関 (r = -.27, ps< .01) も認められた。この結果は、これまでいくつかの文 化比較研究が指摘しているように、感情表現における文化差が影響している可能性がある

(Matsumoto, 1993; Matsumoto & Ekman, 1989) 。また、本研究では Beck Depression Inventory の代わりにCES-D を使ったことにより、CES-D が本研究の非臨床サンプルである学生参加者の抑 うつ傾向により敏感に反応した可能性も考えられる。今後は、学生以外のサンプルやオンライン以外 の手法を用いた測定も組み合わせることによって、感情表出性尺度の有用性をより明確にしていく必 要がある。 (まとめ) 本研究で翻訳された日本語版EES は、信頼性と妥当性の高い安定した尺度であることが検証された。 今後は、日本語版EES を活用し、非臨床と臨床のケースを対象とした日本人特有の感情表出の特徴 を研究題材にしたいと考えている。

論文審査結果の要旨

1. 学位論文の研究テーマの学術的意義

相井氏はEmotional Expressivity Scale(EES)の日本語版を作成し、その妥当性および信頼性を 検証した。精神的または身体的健康状態を評価するために海外で一般的に使われているEES は、 感情表出を評価する方法の一つである。例えば、がん患者や精神疾患などの治療効果を検討する際、 EES は利用されている。しかしながら、我が国に日本人を対象とした信頼性の高い感情表出を評 価する方法はなかった。相井氏はEES 原版の著者から承諾を得て、日本語訳を行い、バックトラ ンスレーションを経て、日本語版EES を作成した。情緒的表現性尺度、感情のコントロール能力、 セルフモニタリング尺度、五因子人格検査、抑うつ傾向、自尊感情尺度について、オンライン調査 を実施した。その結果、作成したEES は高い信頼性をもち、収束的妥当性や弁別的妥当性も充分

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であった。また、原版の結果と比較したとき、一部に感情表現の文化的差と思われる相違点が認め られた。本研究は実用化を目指した研究で、学術的意義は高いと考えられる。 2. 学位論文及び研究の問題点、争点、新しい視点など 海外で用いられているEES を単に日本語訳するだけではなく、オンラインによって 504 名の回答 を得て、約一ヶ月の間隔をおいてその約半数を対象に再度回答を得て解析しており、その信頼性と 妥当性を検証している。今後、年齢層を広げるなど検証方法を検討し、改良を加えると更に確度が 高くなると思われる。 3. 実験及びデータの信憑性 研究方法、データの信憑性に問題は見られなかった。 4. 学位論文の改善点 論文内容について訂正を指導し、再提出された論文に問題なかった。本論文は、当該領域において 高い意義をもつ内容であり、これからの研究の進展が期待される。 委員との討議の結果、相井さやか氏の博士論文は学位に値するという結論に達した。

参照

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