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アジア経済研究所の研究会システム (巻頭エッセイ)

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Academic year: 2021

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アジア経済研究所の研究会システム (巻頭エッセイ

)

著者

平野 克己

権利

Copyrights 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア

経済研究所 / Institute of Developing

Economies, Japan External Trade Organization

(IDE-JETRO) http://www.ide.go.jp

雑誌名

アジ研ワールド・トレンド

260

ページ

1-1

発行年

2017-05

出版者

日本貿易振興機構アジア経済研究所

URL

http://hdl.handle.net/2344/00048941

(2)

アジア経済研究所の研究活動は伝統的に、研究 会システムを基軸にしてきた。当所の研究者が テーマとメンバー、成果の出し方や費用の概算を 練り上げて企画書をつくり、それを研究者同士で ピアレビューして、企画が通れば予算が配賦され る。役所はじめ所外からの要請を受けて建てられ る研究会もあるが、主体は各研究者がみずから発 意する自主企画のものである。このような研究会 が、今年度では78本動いている。このなかから10 本を選んで紹介しよう。アジア経済研究所の守備 範囲の広がり具合が分かっていただけたらと思う のと、世界の“今”に対するアジ研研究者たちの問 題意識が透かし見えるので、参考にしていただけ ればと思う。 アジア経済研究所はこの研究会システムを通じ て、学界と恒常的に繋がってきた。所内研究者に 匹敵する数の大学人や他機関の研究者が、研究会 の委員として組織され、議論に参加し、原稿を生 産してきたからである。今年度でいえば国内外 111名の外部委員がいる。国際機関や大学との連 携事業も毎年行っているが、研究所全体で年間数 百回開催する研究会合での密な接触が、幕張の研 究所を学界という大海に繋げているのである。 当所創設以来研究会システムが基軸であること に変わりはないが、時代の変遷はやはり反映する。 一つは、研究会の規模が小さくなる一方で、その 数が増えたことである。端的には、研究者一人で プロフィール ひらの かつみ/独立行政法人日本貿易振興機構理事 アジア経済研究所地域研究センター長等を経て現職。 主な著作に『経済大陸アフリカ』中公新書、2013年、『アフリカ問題:開発と援助の世界史』日本評論社、2009年など。 やる個人研究会が増えた。これは、開発途上国を めぐる状況が多様化し研究の幅が拡大したことを 反映しているし、さらには、単著執筆への指向が 強まっている証左でもある。私が研究所に入った 頃は、若手研究者はシニアが企画した研究会に動 員され、シニアが取り纏める編著への貢献が期待 されていて、退職間際の研究者にしか単著出版の 機会はほぼなかった。私自身、最初の単著は研究 所勤務の枠外で書いた。 いま一つは、文部科学省科学研究費案件が激増 したことである。10年ほど前に科研費助成事業へ の応募を開始し、現在では、代表者、分担者併せ 90本近い研究事業を管理している。当所の所管は 経済産業省であり、以前は同省の交付金でほぼす べての活動を賄っていた。しかし、日本全体の科 学学術政策のなかで存在感を確保し、認知をえて、 きちんと生き残りを果たすためには、科研費獲得 が重要なミッションになった。 本屋に行かずとも書籍が買えるように図書館に 行くことなく論文が読め、さまざまなデータがオ ンラインで手に入り、出張っていかずともスカイ プで会議ができる時代だ。それでも、実際に会っ て相手の表情を確認しながら議論することの ヒューマンな意義は決して変わらない。研究者同 士が物理的に接触する研究会は、したがって現在 もアジ研の研究活動の基軸なのである。 アジ研ワールド・トレンド 2017 6

エッセイ

巻頭

アジア経済研究所の

研究会システム

平野克己

1

アジ研ワールド・トレンド No.260(2017. 6)

参照

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