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四倍体ブドウの無核化に及ぼすストレプトマイシンとジベレリン処理の効果

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(1)

四倍体ブドウの無核化に及ぼす

ストレプトマイシンとジベレリン処理の効果

石川一憲*

ῌ高橋久光**ῌ加藤弘昭***ῌ池田富喜夫****

ῑ平成 +- 年 + 月 +, 日受付ῌ平成 +- 年 0 月 +. 日受理ῒ 要約 : 四倍体ブドウ῏藤稔ῐ῍ ῏巨峰ῐ を用いて῍ SM の処理時期と処理濃度の違いが無核果率῍ 果房形状῍ 果 実品質に及ぼす影響について検討したῌ +ῒ 満開 +2 日前から満開までの SM 処理時期の違いでは῍ 処理が早いほど無核果率が高かったῌ また῍ 両 品種とも満開 +2 日前の SM 処理と果房整形を行うことで幼蕾の脱粒῍ いわゆる花振いを防止することがで きたῌ ,ῒ SM 01῍ +**῍ ,** ppm の処理濃度の違いで第 + 果房では無核果率に相違がみられず῍ また῍ 第 , 果房 でも満開 +2 日前に SM 処理すれば῍ ほぼ完全な無核果率が達成できたῌ -ῒ 開花直前に花穂先端から -./ cm だけの花蕾に整形すると῍ SM ,** ppm 処理と満開時の GA ,/ ppm と満開 ++ 日後の GA ,/ ppm 処理により῍ 収穫果房や果実品質が著しく損なわれることはなく῍ 商品性のあ るテ῎ブルブドウの果房が得られたῌ῎ワ῎ド : 四倍体ブドウ῍ 無核化῍ ストレプトマイシン῍ ジベレリン῍ 適用時期 ῎῎῎῎῎῎῎῎῎῎῎῎῎῎῎῎῎῎῎῎῎῎῎

ブドウ果実のジベレリン ῑ以後 GA と記すῒ 処理による 無核化栽培は῍ 岸ῌ田崎.ῒ により二倍体品種の ῏デラウェ アῐ で開発されたῌ 以来῍ ブドウの無核化栽培は῍ 果実の 種なし性に加え῍ やや成熟促進でもたらされる収穫期の前 進による労力分散や῍ 販売上の有利性などの理由から急速 に増加したῌ 現在῍ ῏巨峰ῐ や ῏ピオ῎ネῐ などの四倍体品 種においても従来二倍体ブドウで開発された GA の利用 がなされ῍ 無核化した果実が生産されつつあるῌ しかし῍ 四倍体品種に GA を適用した場合῍ 無核果率が不安定であ り῍ 完全な種なし果実生産に至っていないのが実状であ るῌ その主な理由は῍ 二倍体と同時期の GA 処理に対する 四倍体品種の反応の違いであり῍ 主軸や支梗の伸長῍ 硬化῍ さらにはわん曲῍ また果実の肥大不良や脱粒など劣悪な形 質を誘発するところにある/, 2ῒ ῌ そのため῍ 無核化を目的と した四倍体品種の GA 処理では῍ 現在῍ GA 処理濃度ῌ時 期ῌ回数の検討や῍ 樹勢との関係が検討されつつあるῌ ま た῍ サイトカイニン様活性を有するフルメット液剤との混 用や῍ 界面活性剤の加用などが῍ 無核化ブドウの生産の安 定化のため検討されている+., +3ῒ ῌ 一方῍ 小笠原3ῒ は῍ 抗生物質のストレプトマイシン ῑ以後 SMと記すῒ を ῏巨峰ῐ の開花直前に処理し῍ 無核化の効果 を明らかにしたῌ また῍ FUKUNAGAῌKUROOKA+ῒ ῏巨峰ῐ の満開時の花穂に῍ SM ,** ppm と GA ,* ppm の混合液 を処理すると῍ 生育旺盛な新ῌに着生した果房は全て無核 になり῍ さらに満開 0 日後でも SM ,,*** ppm と GA ,* ppmの混合液処理により 31./῍ の高い無核果率を得てい るῌ しかし῍ WIDODO+2ῒは῏ピオ῎ネῐ では῍ 満開 - 日前 の花穂に SM ,** ppm を単用処理し῍ 果房の無核果率 0+.0῍ を得ているῌ 以上のように GA や SM の効果が現在 不安定であり῍ 四倍体のブドウ品種では実用化に至ってい ないῌ GA による二倍体ブドウの無核化が῍ 満開約 +. 日前 と῍ 満開約 +* 日後の , 回処理で実用化された背景には῍ 前 処理が種なしの誘発を῍ 後処理が種なし幼果の果実肥大を 促進するという῍ ブドウ果実の発育ステ῎ジ毎の GA に対 するブドウの反応の違いを利用したところにある,, ., /ῒ ῌ 従って῍ GA 感受性の高い四倍体ブドウでは῍ 果実の発育 ステ῎ジに配慮した GA や SM 処理が採られる必要があ るだろうそこで῍ 著者らは最近人気のある四倍体ブドウ ῏藤稔ῐ ῏巨峰ῐ 品種で完全無核化と商品性のある果房作りを達 成するために῍ SM と GA の処理時期や処理濃度の検討を 行った

材料および方法

+῏ 試験 +῍ SM 処理時期の違いが無核果率ῌ 果房の形 状および品質に及ぼす影響 * ** *** **** 東京農業大学短期大学部生物生産技術学科 東京農業大学国際食料情報学部国際農業開発学科 東京農業大学農学部 東京農業大学農学部農学科 東京農大農学集報῍ .0 ῑ,ῒ῍ 33ῌ+*. ῑ,**+ῒ

(2)

ῑ 供試品種 : 東京農業大学厚木農場のブドウ園に栽植 されている 2 年生の ῑ藤稔ῒ . 樹と ,, 年生の ῑ巨峰ῒ , 樹 を用いたῒ 供試薬剤 : SM はストレプトマイシン ,*῍ を含む アグレプト液剤ΐ明治製菓ΐ株῔製῔ を用い῍ 処理濃度は ,** ppm水溶液としたῌ また῍ GA は GA-を -.+῍ 含むジベレ リン協和粉末 ΐ協和῍酵工業ΐ株῔製῔ を用い῍ 処理濃度は ,/ppm水溶液としたΐ 試験区分 : +33. 年の SM 処理は῍ ῑ藤稔ῒ を用い小 笠原の方法3῔ に従い SM ,** ppm をῌ 満開 0 日前の処理 区῍ ῍ 満開時 SM と GA の混合処理区῍ さらにこれらの対 照として῍ ῎ 満開時 GA のみの SM 無処理の - 区を設け たῌ 全ての区は果実肥大を目的として῍ 満開 +* 日後の 0 月 +.日に GA ,/ppm の後処理を行ったῌ +33/ 年の SM 処理 はῌ 満開 +2 日前の / 月 +2 日処理の῕+2 日区῍ ῍ 満開 ++ 日前の / 月 ,/ 日処理の῕++ 日区῍ ῎ 満開 0 日前の / 月 -* 日処理の῕0 日区῍ ῏ 満開日の 0 月 / 日処理の * 日区を設 定したῌ また῍ ῐ 以上の対照として満開時に GA のみ処理 する慣行処理区 ΐGA ,/ ppm῔ を設けたῌ 以上の各区は全 て果実肥大を目的として満開時に GA ,/ ppm を῍ さらに 満開 ++ 日後の 0 月 +0 日に GA ,/ ppm の後処理を行っ ῔ 処理方法 : 供試した果房は母枝先端から発芽した新 ῌの最先端部芽の伸びた第 + 果房と次の , 段目に伸びた第 ,果房を用い῍ 各区の繰り返しは +* 果房としたῌ SM およ び GA 処理は果房毎にカップに浸漬して行ったῌ 花穂の整 形は樹全体の開花が + 割程度に達した / 月 ,1 日ῐ,3 日に かけて行い῍ 房先から約 -./ cm の果粒を残し῍ 他の果粒は 全て穂軸から剪除したῌ 摘粒は第 + 果房について行い῍ ῑ藤 稔ῒ は -/ῐ.* 粒῍ ῑ巨峰ῒ は .*ῐ./ 粒を目安に 0 月中旬に 行った῕ 調査方法 : 1 月中旬に第 , 果房を採取し῍ 無核果率 ΐ木村ら0῔ の方法に準じて῍ 幅 , mm 以上の種子を含まない 果粒の比率を求めた῔῍ 果房形状として着粒数῍ 主軸長 ΐ第 +車基部から房先の車基部までの長さ῔῍ 支梗長 ΐ第 + 車の 主軸に最も近い果梗基部までの長さ῔ および支梗数 ΐ車῔ を調べたῌ また῍ 収穫時の 2 月下旬から 3 月上旬に第 + 果 房を採取し῍ 無核果率と῍ 果房形状として最大軸径῍ 果房 重῍ 着粒数῍ 軸重῍ 主軸長を調べたῌ 果皮色は果房の上段῍ 中段および下段から各῎, 粒について῍ 色差計 ΐミノルタ 製 CR-,**b῔ を用いて῍ 果皮表面の明度 ΐL* 値῔ と赤色指 標ΐa* 値῔ を計測したῌ ついで῍ 果粒を , 重ガ῏ゼで包ん で搾汁して῍ 常法に従い果汁の糖度 ΐアタゴ式屈折糖度計 の示度で示す῔ と酸度 ΐ+ῌ+* N NaOH 液で滴定し῍ 酒石酸 含量換算値 ΐWῌW῍῔ で示す῔ を求めたῌ ,῎ 試験 ,῍ SM の処理濃度の違いが無核果率ῌ 果房形 状および品質に及ぼす影響 ῑ 供試品種は試験 + に同じῌ ῒ 供試薬剤 : SM はストレプトマイシン ,*῍ を含む アグレプト液剤ΐ明治製菓ΐ株῔製῔ を用い῍ ,** ppm῍ +** ppmおよび 01 ppm の処理濃度としたῌ また῍ GA は GA -を -.+῍ 含むジベレリン協和粉末 ΐ協和῍酵工業ΐ株῔製῔ の ,/ ppm 水溶液を用いたΐ 試験区分 : 試験 + の SM 処理日の違いに合わせて῍ SM ,** ppm῍ +** ppm および 01 ppm 溶液に第 + 果房῍ 第 ,果房を各穂毎に浸漬して行う濃度別処理区を設けたῌ 果 実肥大のための GA 処理は満開時および後処理 ΐ満開 ++ 日後῔ とも試験 + に同じとしたῌ ῔ 処理方法 : 供試果房は第 + 果房῍ 第 , 果房ともに + 区 0 果房を用いたῌ 摘粒は第 + 果房について行い῍ ῑ藤稔ῒ は -*ῐ-/ 粒῍ 巨峰は -/ῐ.* 粒を目安に 0 月下旬に行っ ῕ 調査方法 : 試験 + と同様の方法で調査したῌ

+῎ SM 処理の効果 +33.年度の SM 処理の結果を表 + に示したῌ 満開 0 日 前に SM を処理するか῍ 満開時に SM と GA を混合して処 理すると῍ 通常行われている満開時に GA のみを処理した 場合に比較して῍ 無核果率が高まったῌ しかし῍ SM 処理 だけでは῍ 果粒重や果房重や軸重が῍ GA ,/ ppm の後処理 を行っても῍ 軽量となることが明らかとなったῌ ,῎ SM の時期別処理の効果 +33/年度の SM の時期別処理の結果を表 ,῍ ならびに図 +に示したῌ 図 + のように῍ ῑ巨峰ῒ῍ ῑ藤稔ῒ 両品種とも῍ 満開前 +2 日から満開時までいずれの処理日でも完全な無 核果率が第 + 果房で得られたῌ しかし῍ 第 , 果房では完全 な無核果率は満開 +2 日前の SM 処理でみられたほかは得 られず῍ 特に ῑ藤稔ῒ では有核果の混粒が顕著であったῌ 対照に用いた満開時 GA ,/ ppm の慣行処理の場合に比較 して῍ SM の無核果の誘発効果は ῑ藤稔ῒ では明白であっ たがῑ巨峰ῒ では GA が SM と同等の無核果の誘発効果を 示したῌ 表 , に示したように῍ SM 処理は ῑ藤稔ῒ では果房 の形状にほとんど影響を与えなかったが῍ ῑ巨峰ῒ では主軸 表 + ブドウ ῑ藤稔ῒ の GA῍ SM 処理が無核果率῍ 果房形状および品質に及ぼす影響X

(3)

長や支梗数が GA 処理よりやや劣ったῌ -ῌ SM 濃度別処理の効果 図 , に SM 処理濃度毎の無核果の誘発効果を時期別に 示したῌ SM 濃度 ,**῍ +**῍ 01 ppm のいずれの処理におい ても῍ 第 + 果房については満開日処理をのぞいて両品種と もほぼ完全な無核果率が得られたῌ しかし῍ 第 , 果房につ いては有核果の混入率が高く῍ 完全な無核果率が得られた のはいずれの濃度でも満開 +2 日前の早期の SM 処理の場 合であったῑ例外として῍ ῏藤稔ῐ の SM +** ppm の場合は 有核果がみられたῒῌ しかしながら῍ 表 . に示したように῍ SM処理濃度の違いが果房形状に変化をもたらすことはな く῍ ῏藤稔ῐ῍ ῏巨峰ῐ とも支梗長にやや濃度効果が知られた ほかは῍ ほぼ同様であったῌ .ῌ SM 処理の収穫時の果房や果実品質への影響 表 - に SM の時期別処理の違いが収穫時の果房や果実 品質に及ぼす影響を示したῌ SM 処理の早ῌ晩によって果 粒の大きさに相違はなかったが῍ 果皮色や果汁の糖῍ 酸に は区間に有意差がみられたῌ しかしながら῍ SM 処理の 早ῌ晩の違いで一定の傾向はみられず῍ 果実品質の相違は 果房の着粒数や果房重などで影響をうけたῌ 表 / に SM の 濃度別処理の違いが収穫時の果房や果実品質に及ぼす影響 を示したῌ その結果῍ SM 処理濃度が高いほど῍ やや果房 が重くなる傾向がみられたῌ しかし῍ ῏藤稔ῐ では果色の赤 味がやや少なく῍ また ῏巨峰ῐ では果汁の酸味がやや少な くなるなどの他には῍ 特に果実品質に変化を与えるほどの 影響はなかった

近年῍ ブドウの品種は ῏巨峰ῐ や ῏ピオ῎ネῐ を中心と した大粒系に人気が高く῍ 品質の優れた種なし果実を望む 表 , SM 処理時期の違いが果房形状に及ぼす影響W 図 + ストレプトマイシン ,** ppm の処理時期の違いが無 核果率に及ぼす影響 図中の棒線は標準誤差ῑnΐ+*ῒ 図 , 時期別のストレプトマイシン処理濃度の違いが無核果 率に及ぼす影響 図中の棒線は標準誤差ῑnΐ0ῒ

(4)

傾向にあるῌ +32/ 年に品種登録された ῐ藤稔ῑ は ῐ巨峰ῑ に比べ結実性が良く῍ 大粒果 ῒ+/῏+2 gΐ,*ΐ で῍ 果実の着色 は昼夜の温度差が少ない育成地の神奈川県藤沢市でも紫黒 色に着色することから῍ 市の奨励品種に指定されているῌ この ῐ藤稔ῑ を ῐ巨峰ῑ の代替品種として普及拡大を図る には῍ 消費志向から無核化した大粒果の作出が不可欠と考 えられるῌ しかし῍ ῐ藤稔ῑ は満開時の GA 単用処理では῍ 2*῏3-῍ 程度の無核果率しか得られず῍ ῐ巨峰ῑ や ῐピオ῎ ネῑ より有核果の混入率が高いことが知られている+., +0, +1ΐ ῌ GA以外では抗生物質の SM およびカナマイシン+0ΐ が無核 果形成に有効であり῍ SM についてはすでに二倍体品種の ῐデラウェアῑ῍ ῐマスカットῌベ῎リ῎ Aῑ で実用化され ている+*ΐ ῌ この SM の効果は小笠原3ΐ によると῍ ῌ 単為結 果が誘起される品種の幅が広いῌ ῍ 単用では果粒の肥大効 果がないので῍ 開花期に GA 処理が必要ῌ ῎ 作用機作は胚 珠の発育阻害が考えられるとしている板倉ら,ΐ は῍ 無核果生産の実用化の目安として無核果率 を 3/῍ 以上としているが῍ この基準は二倍体品種で定義 されたものであるῌ 四倍体品種の種子は二倍体品種より大 きく῍ さらに ῐ藤稔ῑ は ῐ巨峰ῑ より有意に大きい-ΐ ことか ら῍ 四倍体の大粒種で消費者が種なしとして許容する範囲 はきわめてきびしいものと思われる表 - SM 処理時期の違いが収穫果房および果実品質に及ぼす影響W 表 . SM 処理時期別の濃度の違いが果房形状に及ぼす影響X 表 / SM 処理時期別の濃度の違いが収穫果房および果実品質に及ぼす影響X

(5)

本試験の SM 単用では῍ 満開 +2 日前の処理において῍ , 品種とも着房位置に関わらず +**῍ 無核化したῌ さらに῍ ῑ巨峰ῒ は満開時の SM 処理でも無核化することから῍ ῑ巨 峰ῒ は ῑ藤稔ῒ より SM に対する感受性の高い品種と考え られるῌ さらに῍ SM 処理後῍ 満開時に GA 処理を行なう と῍ 両品種とも満開 0 日前の SM 処理でも全果粒が +**῍ 無核化することから῍ 満開時の GA 処理は SM 単用よりも 果実肥大を促進し無核化をより安定させる処理方法になる ものと推察されるῌ SMの処理濃度については῍ 品種により違いがみられ῍ ῑ巨峰ῒ は満開 ++ 日前の 01 ppm 処理でも高い無核果率 ΐ約 32῍῔ が得られたが῍ ῑ藤稔ῒ では満開 ++ 日前の ,** ppm処理で同様な効果が得られたῌ 小笠原3῔ は無核果形成 における SM 濃度は῍ 品種や栽培環境により異なり῍ ῑ巨 峰ῒ は ,** ppm より低い濃度で対応できるのではないか としているῌ 本試験の結果も同様の傾向がみられ῍ ῑ巨峰ῒ の無核化は SM 01 ppm の早期処理により῍ 十分に対応で きると考えられた小笠原3῔ は῍ ῑ巨峰ῒ では῍ 満開 ,3 日前ないし ,- 日前に SM処理した花穂では花振い現象が多くなることから῍ 開 花直前頃が SM の処理適期としているῌ 本試験では῍ 処理 適期がこれより早く SM を満開 +2 日前に処理して῍ 開花 初期に花穂整形した果房は῍ 花振い現象が少なく῍ さらに῍ 適度に着粒ΐ.*ῐ/* 粒῔ することから摘粒作業の省力化も 可能であることを明らかにしたῌ ブドウの花穂が早期急速 に発達することは῍ 幼蕾の落下いわゆる花振いを促進す るῌ 花振いを防止するため῍ 従来῍ 岸ら/῔ ῍ 柴+.῔ が推奨した 花穂の整房法が行われてきたῌ すなわち῍ 花穂の先端部を 切りつめ῍ 花穂の中央部を残し῍ 基部の花蕾をすべて除去 する方法であるῌ 本試験では῍ 花穂の先端部 -./ cm に花蕾 を残し中央部῍ 基部の花蕾をすべて除去する方法をとっ たῌ したがって小笠原の SM の処理適期3῔ と本試験の処理 適期の相違は以上のような花穂の整房法の違いから生じた ものと考えられるので῍ 今後 SM 処理と花穂の成熟度の関 係を検討する必要がある本試験での果粒重は石川ῌ川上-῔ ῍ 李ら1῔ の値より小さ かったが῍ これは῍ 試験を実施した +33/ 年 1 月中旬のベ レ῏ゾン期 ΐῑ藤稔ῒ 1 月 +2 日῍ ῑ巨峰ῒ 1 月 +0 日῔ 以降の 降雨が少なく῍ 例年にない高温が続いたためと考えられ るῌ 果実品質では῍ ῑ藤稔ῒ は SM 処理が早いほど῍ 赤色指 標ΐa* 値῔ が低く῍ 紫黒色となり῍ 糖含有量は高い傾向に あったῌ PIRIEῌMULLINS+,῔はブドウ果実の着色と糖含量の 間に高い正の相関があることを報告しているῌ 果皮中の糖 蓄積が紫色をもたらすアントシアニン色素含量の増加に先 行することから῍ 糖蓄積は着色に影響する大きな要因の一 つであるとしている++, +-῔ ῌ 本試験では ῑ藤稔ῒ の開花期に近 い SM 処理ほど a* 値を高めていた以上のことから῍ 四倍体品種 ῑ藤稔ῒ῍ ῑ巨峰ῒ ではこれ までの無核化処理に比してきわめて早期の満開 +2 日前の SM ,** ppm処理により第 + 果房の全果粒を無核にするこ とが明らかになったῌ ただし῍ 本試験では結果母枝となる 新ῌを強勢枝のみに限って用いたことから῍ 樹冠で大勢を しめる生育の中庸あるいは弱い新ῌの果房についても῍ SM処理法についてさらに検討を加える必要があるだろ ῌ 引用文献

+῔ FUKUNAGA, S. and KUROOKA, H., +322. Studies on Seedless-ness ofῑKyoho’ Grapes Induced by Gibberellin in Com-bination with Streptomycin. Bull. Univ. Osaka Pref., Ser. B, .*, +῏+*. ,῔ 板倉 勉ῌ小崎 格ῌ町田 裕῍ +30/῎ ブドウ対するジベ レリンの作用とその利用法に関する試験῎ 園試報告 ΐA῔῍ .῍ 01῏3.῎ -῔ 石川一憲ῌ川上忠夫῍ +33*῎ ブドウ ῑ藤稔ῒ および ῑ巨峰ῒ の生育および品質の比較῍ 園学雑῍ /3 ΐ別 ,῔῍ +3,῏+3-῎ .῔ 岸 光夫ῌ田崎三男῍ +30*῎ ぶどうに対するジベレリン 利用試験 ΐῌ῔῍ 農及園῍ -/῍ -2+῏-2.῎ /῔ 岸 光夫ῌ田崎三男ῌ雨宮 毅῍ +30,῎ ぶどうに対するジ ベレリン利用試験 ΐ῍῔῍ 山梨農試研報῍ 1῍ +0῏+3῎ 0῔ 木村 パウロ 広ῌ岡本五郎ῌ平野 健῍ +33/῎ ブドウ ῑマス カットῌベ῏リ῏ A’ の無核化に対する SM の効果῍ 園学 雑῍ 0. ΐ別 +῔῍ +*.῏+*/῎ 1῔ 李 相根ῌ久保田尚浩ῌ安井公一῍ +33,῎ ブドウ ῑ藤稔ῒ の 新ῌならびに果実の生長に及ぼす各種台木の影響῍ 園学雑῍ 0+῍ /+-῏/,*῎

2῔ NAKAMURA, M., TAKAHASHI, E. and NODA, T., +31.. Rachis lignification and seedless berry production in seeded grape cultivarῑKyoho’ as influenced by gibberellin and quercetin῍ 千葉大園学報῍ ,,῍ 1῏+,῎ 3῔ 小笠原静彦῍ +32/῎ ストレプトマイシン利用によるブドウ の無核果生産技術の確立 ΐῌ῔῍ 広島果試研報῍ ++῍ -3῏.3῎ +*῔ 小笠原静彦ῌ平田克明῍ +32/῎ ストレプトマイシン利用に よるブドウの無核果生産技術の確立 ΐ῍῔῍ ΐ῎῔῍ 広島果試 研報῍ ++῍ /+῏0-῎ ++῔ 小野俊朗ῌ依田征四ῌ高木伸友῍ +321῎ ブドウ ῑピオ῏ネῒ の果実糖度の上昇速度と果皮色との関係῍ 園学要旨῍ 昭 0, ῍ +*2῏+*3῎

+,῔ PIRIE, A. and MULLINS, M.G., +311. Interrelationships of sugars, anthocyanins, total phenols and dryweight in the skin of grape berries during ripening. Amer. J. Enol. Viticult., ,2, ,*.῏,*3.

+-῔ PIRIE, A. and MULLINS, M.G., +32*. Concentration of phe-nolics in the skin of grapeberries during fruit develop-ment and ripening. Amer. J. Enol. Viticult., -+, -.῏-0. +.῔ 柴 寿῍ +32*῎ ブドウの大粒品種 ΐ巨峰ῌピオ῏ネ῔ に対 する無核化技術῍ 農及園῍ //῍ ,3.῏,32῎ +/῔ 清水良三῍ +321῎ 抗生物質がブドウの無核果に及ぼす影響῍ 農及園῍ 0,῍ 21/῏210῎ +0῔ 津川久孝ῌ῍ 正代῍ +331῎ 藤稔の特性と高品質生産技術῍ 農耕と園芸῍ /, ΐ+,῔῍ +.-῏+./῎ +1῔ 若林平慈῍ +33/῎ ブドウ ῑ藤稔ῒ の無核化に対するストレプ トマイシンの効果῍ 園学北陸支部要旨῍ .῍ 0**῎ +2῔ WIDODO, W.D.ῌ岡本五郎ῌ平野 健῍ +333῎ ピオ῏ネの種 子形成に対する . 種の抗生物質の阻害効果῍ J. ASEV Jpn, +* ΐ+῔῍ ,2῏-+῎ +3῔ 山梨果試研究成果情報῍ +332῎ 種なしピオ῏ネのジベレリ ン処理液へのフルメット液剤の加用効果῍ 山梨の園芸῍ .0 ΐ0῔῍ .*῏.+῎ ,*῔ 山根弘康῍ +330῎ 日本育成品種解説῍ 藤稔῍ 日本ブドウ学 ΐ中川昌一編著῔῍ 養賢堂῍ 東京῍ -2*῎

(6)

E#ects of streptomycin and gibberellins treatments

on induction of seedless berries in tetraploid grapes,

ῌFujiminori’ and ῌKyoho’

By

Kazunori I

SHIKAWA

*, Hisamitsu T

AKAHASHI

**, Hiroaki K

ATO

***

and Fukio I

KEDA

****

(Received January +,, ,**+/Accepted June +., ,**+)

An experiment was conducted to determine the e#ectiveness of streptomycin (SM) and gibberellins (GA) on induction of seedlessness, high quality of berries, and compactness of clusters.

+) Complete seedlessness was attained with the application of ,** ppm SM on the earlier date up

to +2 days prior to bloom. Also, heavy dropping of berries from cluster was improved with

SM-application +2 days prior to bloom and sizing of cluster.

,) SM-e#ect for complete seedless induction was not influenced among applied concentrations of

01, +**, and ,** ppm. Any of applied concentration had +**῍ seedless e#ect on both first and second

clusters.

-) Induced seedless berries with ,** ppm SM increased their size after sizing into -./ cm length of

cluster and application of ,/ ppm GA at full bloom, and with additional application ,/ ppm GA at ++ days after bloom. Harvested clusters had large size of berries and desirable compactness as

commer-cial table grape ofῌFujiminori’ and ῌKyoho’.

Key Words : tetraploid grapes, seedlessness, streptomycin, gibberellins, application times

* ** *** ****

Department of Bioproduction Technology, Junior College of Agriculture, Tokyo University of Agriculture

Department of International Agricultural Development, Fac. of International Food Science, Tokyo University of Agriculture

Faculty of Agriculture, Tokyo University of Agriculture

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