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経済学C 練習問題4pdf 最近の更新履歴 Katsuyuki Naito

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(1)

経済学 C

練習問題 4 ( 解答付 )

記号の要約

• xt,hv :t ≥ −1 世代の消費者 h の第 v 期消費量 (v = t, t + 1; h = 1, 2) xt,h= (xt,h

t , x t,h

t+1):t ≥ 0 世代の消費者 h の消費ベクトル (h = 1, 2) x1,h = (x1,h

0 ):−1 世代の消費者 h の消費ベクトル (h = 1, 2) xt= (xt,1, xt,2):t ≥ −1 世代の消費ベクトルの組

x= {xt}

t=−1:配分

• st,ht :t ≥ 0 世代の消費者 h の貯蓄 (h = 1, 2) st= (s1

t, s2t):t ≥ 0 世代の貯蓄の組 s= {st}

t=0:全ての世代の貯蓄の組

• et,hv :t ≥ −1 世代の消費者 h の第 v 期初期保有量 (v = t, t + 1; h = 1, 2) et,h= (et,h

t , e t,h

t+1):t ≥ 0 世代の消費者 h の初期保有ベクトル (h = 1, 2) e1,h= (e

1,h

0 ):−1 世代の消費者 h の初期保有ベクトル (h = 1, 2)

• rt+1:t 期から t + 1 期にかけての実質利子率 (債権収益率) r= {rt+1}

t=0:実質利子率の組

問題

問題 1. 各世代に 2 人の消費者が存在する世代重複モデルを考える. 経済は 0 期から始まり, t ≥ 0 期に生まれる世代を t 世代と呼ぶ. t ≥ 0 世代は t 期 (若 年期) と t + 1 期 (老年期) の 2 期間を生きる. また, 0 期に老年期を迎える世 代を −1 世代と呼ぶ. −1 世代は 0 期のみを生きる. モデルの基本設定は以下 のとおりである.

• 経済に生産活動は存在せず, 消費者には財の初期保有が与えられている (純粋交換経済). また, t 期の財を t + 1 期に持ち越すことはできない (財 はその期のうちに腐ってしまう).

• t ≥ 0世代の消費者 1 の初期保有ベクトルは et,1= (et,1t , et,1t+1) = (80, 20) であり, 消費者 2 の初期保有ベクトルは et,2= (et,2t , et,2t+1) = (20, 80)で ある. −1 世代の消費者 1 の初期保有ベクトルは e1,1= (e01,1) = (20) であり, 消費者 2 の初期保有ベクトルは e1,2= (e01,2) = (80)である.

• 瞬時的効用関数は全ての世代の全ての消費者に共通で, U(x) = log x で 表される. また, 割引因子も全ての世代の消費者に共通で β = 1 である.

(2)

このとき, t ≥ 0 世代の消費者 h の効用関数は ut,h(xt,h) = log xt,ht + log xt,ht+1で表され, −1 世代の消費者 h の効用関数は u1,h(x1,h) = log x01,hで表される.

• 逐次的市場経済を想定する. 毎期資産市場が開かれ, 債権が取引される. 問 1 配分の実現可能性条件を表せ.

問 2 t ≥ 0 世代の消費者 h の若年期と老年期の予算制約をそれぞれ表せ. 問 3 t ≥ 0 世代の消費者 h の生涯予算制約をそれぞれ表せ.

問 4 −1 世代の消費者 h の老年期の予算制約を表せ. 問 5 t ≥ 0 世代の消費者 h の Euler 方程式を表せ.

問 6 t ≥ 0 世代の消費者 h の若年期と老年期の消費関数及び貯蓄関数を全て 求めよ.

問 7 逐次的均衡における実質利子率, 全ての世代の全ての消費者の消費ベク トル及び貯蓄を求めよ.

(3)

問題 2. 世代重複モデルを考える. 経済は 0 期から始まり, t ≥ 0 期に生まれ る世代を t 世代と呼ぶ. t ≥ 0 世代は t 期 (若年期) と t + 1 期 (老年期) の 2 期間を生きる. また, 0 期に老年期を迎える世代を −1 世代と呼ぶ. −1 世代は 0期のみを生きる. モデルの基本設定は以下のとおりである.

• 経済に生産活動は存在せず, 消費者には財の初期保有が与えられている (純粋交換経済). また, t 期の財を t + 1 期に持ち越すことはできない.

• 消費者は世代内で同質的であり, 人口は毎期一定率 n > −1 で成長する. Nt+1= (1 + n)Nt ∀t ≥ −1

ただし, Ntは t 世代の人口である.

• 定常な初期保有構造を想定する. t ≥ 0 世代の初期保有ベクトルは et= (et

t, ett+1) = (ey, eo)であり, −1 世代の初期保有ベクトルは e1= (e01) = (eo)である. ただし, ey> 0, eoは正の定数である.

• 瞬時的効用関数は全ての世代の消費者で共通であり, U(x) = log x で表 される. また, 割引因子 β も全ての世代の消費者で共通である. このと き, t ≥ 0 世代の効用関数は ut(xt) = log xtt+ β log xtt+1で表され, −1 世代の効用関数は u1(x1) = log x01で表される.

• 逐次的市場経済を想定する. 毎期資産市場が開かれ, 債権が取引される. 問 1 配分の実現可能性条件を表せ.

問 2 逐次的均衡における実質利子率, と全ての世代の消費ベクトルを求めよ. 問 3 β, n, ey, eoがどのような条件を満たしているときに逐次的均衡での配

分が Pareto 効率的でなくなるか.

問 4 政府が賦課方式による年金制度を導入する状況を考える. 若年世代から 徴収する (1 人当たり) 年金保険料を τ, 老年世代に給付する (1 人当た り) 年金を θ で表す.

(a) 政府の予算制約を表せ.

(b) 年金制度の下での逐次的均衡における全ての世代の消費ベクトルを 求めよ.

(c) β = 1, n = 0, ey = 3, eo= 1とする. また, 年金保険料は τ = 1 と する. このとき, 年金制度が導入されることで全ての世代の効用が 上昇することを示せ. ただし, log 1 = 0, log 2 ≒ 0.7, log 3 ≒ 1.1 で ある.

(d) β = 1, n = 0, ey = 2, eo= 3とする. また, 年金保険料は τ = 1 と する. このとき, 年金制度が導入されると, −1 世代の効用は上昇す るが, t ≥ 0 世代の効用は低下することを示せ.

(4)

解答

解答 1.

問 1 任意の t ≥ 0 期において, et−1,1t + et−1,2t

| {z }

t−1世代の初期保有量

+ et,1t + et,2t

| {z }

t世代の初期保有量

| {z }

t期の総初期保有量

= 200

であることに注意すると, 実現可能性条件は次のように表される. xt−1,1t + xt−1,2t

| {z }

t−1世代の消費量

+ xt,1t + xt,2t

| {z }

t世代の消費量

| {z }

t期の総消費量

= 200 ∀t ≥ 0

問 2 t ≥ 0 世代の消費者 h の若年期と老年期の予算制約はそれぞれ次のよう に表される.

xt,ht + st,ht = et,ht (若年期の予算制約) xt,ht+1= (1 + rt+1)st,ht + et,ht+1 (老年期の予算制約) 具体的には,

• t ≥ 0世代の消費者 1 の若年期と老年期の予算制約はそれぞれ次の とおりである.

xt,1t + st,1t = 80

xt,1t+1= (1 + rt+1)st,1t + 20

• t ≥ 0世代の消費者 2 の若年期と老年期の予算制約はそれぞれ次の とおりである.

xt,2t + st,2t = 20

xt,2t+1= (1 + rt+1)st,2t + 80

問 3 t ≥ 0 世代の消費者 h の生涯予算制約は次のように表される.

xt,ht + x

t,h t+1

1 + rt+1

= et,ht + e

t,h t+1

1 + rt+1

具体的には,

• t ≥ 0世代の消費者 1 の生涯予算制約は次のとおりである.

xt,1t + x

t,1 t+1

1 + rt+1

= 80 + 20 1 + rt+1

(5)

• t ≥ 0世代の消費者 2 の生涯予算制約は次のとおりである. xt,2t + x

t,2 t+1

1 + rt+1 = 20 +

80 1 + rt+1

問 4 −1 世代の消費者 h の老年期の予算制約は次のように表される. x01,h= e01,h

具体的には,

• −1世代の消費者 1 の老年期の予算制約は次のとおりである. x01,1 = 20

• −1世代の消費者 2 の老年期の予算制約は次のとおりである. x01,2 = 80

問 5 t ≥ 0 世代の消費者 h の限界代替率は

M RSt,h(xt,h) =

∂ut,h

∂xt,ht (x t,h)

∂ut,h

∂xt,ht+1(x t,h) =

1/xt,ht 1/xt,ht+1 =

xt,ht+1 xt,ht

となるから, t ≥ 0 世代の消費者 h の Euler 方程式は次のように表される. xt,ht+1

xt,ht

| {z }

M RSt,h(xt,h)

= 1 + rt+1

問 6 t ≥ 0 世代の消費者 h の Euler 方程式 xt,ht+1

xt,ht = 1 + rt+1 x

t,h

t+1= (1 + rt+1)x t,h t

を生涯予算制約に代入し, その式を xt,ht について解くことで, t ≥ 0 世代 の消費者 h の若年期の消費関数が次のように求められる.

xt,ht +(1 + rt+1)x

t,h t

1 + rt+1

= et,ht + e

t,h t+1

1 + rt+1

⇔ xt,ht =1 2

(

et,ht + e

ht+1

1 + rt+1

)

また, xt,ht =12 (

et,ht + e

t,h t+1

1+rt+1

)

を t ≥ 0 世代の消費者 h の Euler 方程式 に代入することで, t ≥ 0 世代の消費者 h の老年期の消費関数が次のよ うに求められる.

xt,ht+1= 1 + rt+1 2

(

et,ht + e

t,h t+1

1 + rt+1

)

= 1

2[(1 + rt+1)e

t,h t + e

t,h t+1]

(6)

さらに, xt,ht =12 (

et,ht + e

t,h t+1

1+rt+1

)

を t ≥ 0 世代の消費者 h の若年期にお ける予算制約に代入することで, t ≥ 0 世代の消費者 h の貯蓄関数が次 のように求められる.

st,ht = et,ht1 2

(

et,ht + e

t,h t+1

1 + rt+1

)

=1 2

(

et,hte

t,h t+1

1 + rt+1

)

具体的には,

• t ≥ 0世代の消費者 1 の若年期と老年期の消費関数及び貯蓄関数は 次のとおりである.

xt,1t =1 2

(

80 + 20 1 + rt+1

)

= 40 + 10 1 + rt+1

xt,1t+1= 1

2[80(1 + rt+1) + 20] = 40(1 + rt+1) + 10 st,1t = 1

2 (

80 − 20 1 + rt+1

)

= 40 − 10 1 + rt+1

• t ≥ 0世代の消費者 2 の若年期と老年期の消費関数及び貯蓄関数は 次のとおりである.

xt,2t =1 2

(

20 + 80 1 + r1+t

)

= 10 + 40 1 + rt+1

xt,2t+1= 1

2[20(1 + rt+1) + 80] = 10(1 + rt+1) + 40 st,2t = 1

2 (

20 − 80 1 + rt+1

)

= 10 − 40 1 + rt+1

問 7 均衡実質利子率を rt+1 で表す. t 期の資産市場の清算条件を rt+1につい て解くことで, t 期から t + 1 期にかけての均衡実質利子率が次のように 求められる.

40 − 10 1 + rt+1

| {z }

st,1t

+ 10 − 40 1 + rt+1

| {z }

st,2t

= 0 (資産市場の清算条件)

⇔ rt+1 = 0

rt+1 = 0を t ≥ 0 世代の消費者の消費関数及び貯蓄関数に代入すると,

• 逐次的均衡での t ≥ 0 世代の消費者 1 の若年期消費, 老年期消費, 貯蓄はそれぞれ次のとおりである.

xt,1∗t = 40 + 10 1 + 0 = 50 xt,1∗t+1 = 40(1 + 0) + 10 = 50 st,1∗t = 40 − 10

1 + 0 = 30

(7)

• 逐次的均衡での t ≥ 0 世代の消費者 2 の若年期消費, 老年期消費, 貯蓄はそれぞれ次のとおりである.

xt,2∗t = 10 + 40 1 + 0 = 50 xt,2∗t+1 = 10(1 + 0) + 40 = 50 st,2∗t = 10 − 40

1 + 0 = −30 以上をまとめると, 逐次的均衡では,

• 任意の t ≥ 0 期において, 均衡実質利子率は rt+1 = 0である.

• −1世代の消費者 1 と消費者 2 の消費ベクトルはそれぞれ x1,1∗= (x1,1∗

0 ) = (20)

x1,2∗= (x

1,2∗

0 ) = (80)

• t ≥ 0世代の消費者 1 と消費者 2 の消費ベクトルはそれぞれ xt,1∗= (xt,1∗

t , x t,1∗

t+1) = (50, 50) xt,2∗= (xt,2∗

t , x t,2∗

t+1) = (50, 50)

• t ≥ 0世代の消費者 1 と消費者 2 の貯蓄はそれぞれ st,1∗t = 30

st,2∗t = −30 コメント

この問題における逐次的均衡では,

• t ≥ 0世代の消費者 1 が t ≥ 0 世代の消費者 2 に財を 30 単位貸し付け る (世代内では取引が行われる).

• 世代間では一切取引が行われない.

• −1世代の消費者は自らの初期保有をそのまま消費する.

(8)

解答 2.

問 1 配分の実現可能性条件は次のように表される. Nt−1xt−1t

| {z }

t−1世代の消費量

+ Ntxtt

| {z }

t世代の消費量

| {z }

t期の総消費量

= Nt−1eo

| {z }

t−1世代の初期保有量

+ Ntey

| {z }

t世代の初期保有量

| {z }

t期の総初期保有量

∀t ≥ 0

⇔ xt−1t + Nt Nt−1

| {z }

1+n

xtt= eo+ Nt Nt−1

| {z }

1+n

ey ∀t ≥ 0

⇔ xt−1t + (1 + n)xtt= eo+ (1 + n)ey ∀t ≥ 0

問 2 t ≥ 0 世代の若年期と老年期の予算制約はそれぞれ次のように表される. xtt+ stt= ey (若年期の予算制約)

xtt+1= (1 + rt+1)stt+ eo (老年期の予算制約) また, −1 世代の老年期の予算制約は次のように表される.

x01= eo

t ≥ 0世代の均衡貯蓄を st∗t で表す. 資産市場の清算条件は次のとおりで ある.

st∗t = 0 ∀t ≥ 0

st∗t = 0を t ≥ 0 世代の若年期と老年期の予算制約にそれぞれ代入すると, xt∗t = ey, xt∗t+1= eo

また, t ≥ 0 世代の限界代替率は

M RSt(xt) =

∂ut

∂xtt(x t)

∂ut

∂xtt+1(xt)

= 1/x

tt

β/xtt+1 = xtt+1

βxtt

であることに注意すると, t ≥ 0 世代の Euler 方程式は次のように表さ れる.

xtt+1 βxtt

| {z }

M RSt(xt)

= 1 + rt+1

xtt= ey, xtt+1= eoを t ≥ 0 世代の Euler 方程式に代入することで, 均衡 実質利子率が次のように求められる.

1 + rt+1= e

o

βey r

t+1=

eo− βey βey ≡ r

∀t ≥ 0 以上より, 逐次的均衡では,

(9)

• 任意の t ≥ 0 期において, 実質利子率は rt+1 = r=eoβeβeyy である.

• t ≥ 0世代の消費ベクトルは xt∗= (xt∗t , xt∗t+1) = (ey, eo)である.

• −1世代の消費ベクトルは x1∗= (x01∗) = (eo)である. コメント

世代内で消費者が全て同質的である場合には, 世代間のみならず世代内 でも実質的に取引が行われない. その結果, 逐次的均衡では全ての世代 の消費者が自らの財の初期保有をそのまま消費する (自給自足経済). 問 3 Samuelson 条件

r< n ⇔ 1 + r< 1 + n

が満たされるとき, 均衡配分は Pareto 効率的でない. 今考えている状況 では, β, n, ey, eo

eo βey

|{z}

1+r

< 1 + n

を満たすときに均衡配分が Pareto 効率的でなくなる. 問 4 (a) t ≥ 0 期においては,

• Nt人の t 世代 (若年世代) から 1 人当たり τ の年金保険料を徴 収するから, 総年金保険料は Ntτである.

• Nt−1人の t − 1 世代 (老年世代) に対して 1 人当たり θ の年金 給付を行うから, 総年金給付は Nt−1θである.

したがって, t ≥ 0 期における政府の予算制約は次のように表される. Ntτ = Nt−1θ ⇔ θ = Nt

Nt−1

| {z }

1+n

τ ⇔ θ = (1 + n)τ

(b) t ≥ 0世代の若年期と老年期の予算制約はそれぞれ次のように表さ れる.

xtt+ stt= ey− τ (若年期の予算制約) xtt+1= (1 + rt+1)stt+ eo+ (1 + n)τ

| {z }

θ

(老年期の予算制約)

−1世代の老年期の予算制約は次のように表される. x01= eo+ (1 + n)τ

| {z }

θ

t ≥ 0世代の均衡貯蓄を st∗t とすると, 資産市場の清算条件は次のよ うに表される.

st∗t = 0 ∀t ≥ 0

(10)

st∗t = 0を t ≥ 0 世代の若年期と老年期における予算制約に代入す ると,

xt∗t = ey− τ, xt∗t+1= eo+ (1 + n)τ 以上より, 年金制度の下での逐次的均衡では,

• t ≥ 0世代の消費ベクトルは xt∗= (xt∗

t , xt∗t+1) = (ey− τ, eo+ (1 + n)τ )

• −1世代の消費ベクトルは x1∗= (x1∗

0 ) = (eo+ (1 + n)τ ) (c) 年金制度が存在する状況における逐次的市場均衡を考える.

• t ≥ 0世代の消費ベクトルは xt∗= (xt∗

t , xt∗t+1) = (ey− τ, eo+ (1 + n)τ ) = (2, 2) であり, t ≥ 0 世代の消費者の効用水準は

ut(xt∗) = log 2 + log 2 ≒ 1.4 となる.

• −1世代の消費ベクトルは x1∗= (x1∗

0 ) = (eo+ (1 + n)τ ) = (2) であり, −1 世代の消費者の効用水準は

u1(x1∗) = log 2 ≒ 0.7 となる.

年金制度が存在しない状況における逐次的均衡を考える.

• t ≥ 0世代の消費者の消費ベクトルは xt∗= (xt∗

t , xt∗t+1) = (ey, eo) = (3, 1)

であり, t ≥ 0 世代の消費者の効用水準は ut(xt∗) = log 3 + log 1 ≒ 1.1 となる.

• −1世代の消費者の消費ベクトルは x1∗= (x1∗

0 ) = (eo) = (1)

であり, −1 世代の消費者の効用水準は u1(x1∗) = log 1 = 0 となる.

(11)

年金制度が導入されると, t ≥ 0 世代の効用水準は 1.1 から 1.4 に上 昇し, −1 世代の効用水準も 0 から 0.7 に上昇する. 以上より, 年金 制度が導入されると, 全ての t ≥ −1 世代の効用水準が上昇する. コメント

β = 1, n = 0, ey = 3, eoのときには, 1 + r= e

o

βey = 1

3, 1 + n = 1

となるから, r < nが成り立つ (経済は Samuelson ケースになる). このような状況では, 賦課方式による年金制度を導入することで全 ての世代の効用水準を上昇させることが可能となる.

(d) 年金制度が存在する状況における逐次的市場均衡を考える.

• t ≥ 0世代の消費ベクトルは xt∗= (xt∗

t , xt∗t+1) = (ey− τ, eo+ (1 + n)τ ) = (1, 4) であり, t ≥ 0 世代の効用水準は

ut(xt∗) = log 1 + log 4 = 2 log 2 ≒ 1.4 となる.

• −1世代の消費ベクトルは x1∗= (x1∗

0 ) = (eo+ (1 + n)τ ) = (4) であり, −1 世代の効用水準は

u1(x1∗) = log 4 = 2 log 2 ≒ 1.4 となる.

年金制度が存在しない状況における逐次的均衡を考える.

• t ≥ 0世代の消費ベクトルは xt∗= (xt∗

t , xt∗t+1) = (ey, eo) = (2, 3)

であり, t ≥ 0 世代の効用水準は

ut(xt∗) = log 2 + log 3 ≒ 1.8 となる.

• −1世代の消費ベクトルは x1∗= (x1∗

0 ) = (eo) = (3)

であり, −1 世代の効用水準は

u1(x1∗) = log 3 ≒ 1.1 となる.

(12)

以上より, 年金制度が導入されると, −1 世代の効用水準は 1.1 から 1.4に上昇するが, t ≥ 0 世代の効用水準は 1.8 から 1.4 に低下する. コメント

β = 1, n = 0, ey = 2, eo= 3のときには, 1 + r= e

o

βey = 3

2, 1 + n = 1

となるから, r > nが成り立つ (経済は新古典派ケースになる). こ のような状況では, 賦課方式による年金制度が導入されると, −1 世 代の効用水準は上昇するが, −1 世代以外の効用水準は低下してし まう.

参照

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