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小学校算数科における学習内容の統合的・発展的な扱い: 茨城大学機関リポジトリ

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Academic year: 2018

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お問合せ先

茨城大学学術企画部学術情報課(図書館)  情報支援係

http://www.lib.ibaraki.ac .jp/toiawas e/toiawas e.html

T itle

小学校算数科における学習内容の統合的・発展的な扱い

A uthor(s )

小口, 祐一; 梅津, 健一郎; 栗原, 博之; 松村, 初; 吉井, 豊

C itation

茨城大学教育学部紀要. 教育科学, 67: 73-86

Is s ue D ate

2018-01-30

UR L

http://hdl.handle.net/10109/13440

R ig hts

(2)

小学校算数科における学習内容の統合的・発展的な扱い

小口祐一*・梅津健一郎*・栗原博之*・松村初*・吉井豊*

(2017 年 8 月 31 日受理)

An Integrative and Expansive Treatment of the Learning Contents

in Elementary School Mathematics

Yuichi Oguchi* , Kenichiro umezu*, Hiroyuki Kurihara*, Hajime matsumura* and Yutaka YOshii* (Accepted August 31, 2017)

はじめに

 平成29年3月に新しい小学校学習指導要領が告示された(文部科学省,2017)。算数科に関す る学習指導要領改訂のポイントは次の2つである。一つは,数学的活動の充実であり,もう一つは 統計教育の充実である。学習指導要領の告示に先立ち,平成28年8月に,中央教育審議会初等中 等教育分科会教育課程部会算数・数学ワーキンググループ(以下,「算数・数学WG」という。)よ り,算数・数学の学習過程のイメージが示された(図1)。図1の左側にある時計回りの矢印は「日 常生活や社会の事象を数理的に捉え,数学的に処理し,問題を解決する過程」を示し,図の右側に ある反時計回りの矢印は「数学の事象について統合的・発展的に考え,問題を解決する過程」を示 している。これらの過程は学校種に関わらず共通のものであるという認識から,小学校算数科にお ける数学的活動は,これまでの算数的活動の記述から変更された。学年段階による発達の違いは考 慮されて記述されており,たとえば第6学年では次の3つの活動に整理された。

ア 日常の事象を数理的に捉え問題を見いだして解決し,解決過程を振り返り,結果や方法を改 善したり,日常生活等に生かしたりする活動

イ 算数の学習場面から算数の問題を見いだして解決し,解決過程を振り返り統合的・発展的に 考察する活動

ウ 問題解決の過程や結果を,目的に応じて図や式などを用いて数学的に表現し伝え合う活動  本研究では,数学的活動のイに焦点をあて,児童の統合的・発展的に考察する活動を促進するた めには,小学校算数科における学習内容をどのように扱うと教育効果があるかについて,代数学, 幾何学,解析学,応用数学のそれぞれの視点から検討する。

 本研究の目的は「小学校算数科における学習内容の統合的・発展的な扱いをどのようにしたらよ

       

(3)

いか」という問いに答えることである。

研究の方法

 新しい小学校学習指導要領において,小学校算数科の学習内容は,「A数と計算」,「B図形」,「C 測定」(第1学年から第3学年まで),「C変化と関係」(第4学年から第6学年まで),「Dデータの分 析」の4つの領域と数学的活動によって構成されることになった。これらの領域ごとに,小学校算 数科における学習内容の統合的・発展的な扱いの事例を通して考察する。

(1)代数学の視点から,数と計算領域における学習内容の統合的・発展的な扱いの事例を取り上 げ,その教育効果を示す。

(2)幾何学の視点から,図形領域における学習内容の統合的・発展的な扱いの事例を取り上げ, その教育効果を示す。

(3)解析学の視点から,変化と関係領域における学習内容の統合的・発展的な扱いの事例を取り 上げ,その教育効果を示す。

(4)応用数学の視点から,データの分析領域における学習内容の統合的・発展的な扱いの事例を 取り上げ,その教育効果を示す。

(4)

数と計算領域における扱い

 例として,次の問題を考える。

問題 1.一の位の数が5である2桁の自然数の2乗には,どんなきまりがあるか。

計算法.25×25を例に説明する。

①.まず,一の位同士をかけて,その結果を書く。 5×5 = 25

②.それぞれの十の位を考え,一方に1を加えてかける。 2×(2 + 1)= 6 ③.②で求めた数を①で求めた数の左側に書く。 625

計算の仕組み.例えば,図を使って考える方法がある。

 上の図1は25×25の例である。一辺が25cmの正方形の各辺を20cmと5cmに分け,図のような 等積変形を行えば,右の図形において,下の小さな正方形の面積は5×5 = 25(cm2),残った大きな 長方形の面積は20×30 = 600(cm2)となるから,

25×25 = 20×30 + 5×5 = 600 + 25 = 625

となることがわかる。  

 尚,問題1の上記の解法は,より一般に次の問題にも適用できる。

問題 2.十の位が同じで,一の位の数の和が10である2桁の自然数の積には,どんなきまりがあるか。

 この場合においても,上記のような図を用いた方法が有効である。

図1

5 5 5

5 5

20

20 20

(5)

例えば26×24の場合では,図2が示すように

26×24 = 20×30 + 6×4 = 600 + 24 = 624

となり,やはりこの場合でも問題1の計算法がそのまま適用できることがわかる。

代数学の観点から 小学校算数においては,文字式は扱わないものの,数の四則演算における加法

と乗法に関する交換法則,結合法則および分配法則については「計算のきまり」として学習するので, それらを利用して導く方法も考えられる。例えば,問題2について,十の位が2のときを考えると, ●+▲=10として,

(20 +●)×(20 +▲)=(20 +●)×■   (■= 20 +▲) = 20×■+●×■  (分配法則より)

= 20×■+●×(20 +▲)

= 20×■+●×20 +●×▲ (分配法則より)

= 20×■+ 20×●+●×▲ (乗法の交換法則より)

= 20×(■+●)+●×▲ (分配法則より)

= 20×(20 +▲+●)+●×▲ 

= 20×(20 + 10)+●×▲ (加法の結合法則,交換法則より)

= 20×30 +●×▲

となり,計算法則が導かれる。この方法は,やや複雑ではあるが,図を用いずに式のみで説明でき る上,交換法則,結合法則,分配法則といった「計算のきまり」が有用である。代数学の視点からは, 中学校で文字式を使った四則計算を習うまでの準備としてこのような方法を紹介することは一定の 教育効果があるように思われる。尚,中学校では展開公式(x + a)(x + b)= x2+a + bx + abを用いれば,

問題2の計算法則は, 一方の数の十の位をa,一の位をbとするとき,

図2

4 4 6

6 6

20

20 20

(6)

(10a + b){10a +(10-b)}=(10a)2+{b +(10 - b)}×10a + b(10 - b) = 100a2+ 100a + b10 - b

= 100a(a + 1)+ b(10 - b)

のように一般の場合に式変形のみで導くことができる。

図形領域における扱い

 1つの事例として,小学校5年生においての図形領域では,三角形,平行四辺形,台形,ひし形 の面積を学ぶ。面積の公式の指導において,次の順序で指導を行っていくことで統合的・発展的に 考察することができる。

授業の実践例

1.通常の授業

(1)三角形の面積=底辺×高さ÷2 (2)平行四辺形の面積=底辺×高さ (3)台形の面積=(上底+下底)×高さ÷2 (4)ひし形の面積=対角線×対角線÷2

 これらの学習では,次のような等積変形による指導が自然で簡単であるため,一般的であると考 えられる。

 (2)については,次の図のように等積変形させて「平行四辺形の面積=底辺×高さ」を導きだす。

 (3)については次のような合同な台形を2つならべてつくった平行四辺形の面積を求め,これを 半分にすれば求まる。

 つまり,「台形の面積=(上底+下底)×高さ÷ 2」を導きだす。

(7)

 (4)については次のような長方形の面積が2つの対角線をかけたものになり,ひし形の面積は これを半分にする。よって,「ひし形の面積=対角線×対角線÷ 2」で求めることができる。

2.振り返りによる統合的・発展的な学習

 (1)の三角形の面積を,次のように考える。底辺を下底,上底を1点と考え,1点の長さは0だ から,「三角形の面積=底辺×高さ÷ 2 =(底辺+ 0)×高さ÷ 2」と考えられ,(3)の台形の面積 の特別なものと考えることができる。

図2 台形の面積=(上底+下底)×高さ÷2

図3 ひし形の面積=対角線×対角線÷2

(8)

 また,(2)の平行四辺形の面積は底辺を下底,それと平行な辺を上底と考えることにより,「底 辺×高さ=(底辺(上底)+底辺(下底))×高さ÷ 2」と考えられ,これもまた(3)の特別なもの と考えられる。

 最後に(4)のひし形は平行四辺形の中ですべての辺の長さが等しい場合と考えると,やはり(3) の特別な場合と考えられ,すべて統合できる。これは包括的統合と呼ばれるものであり,(3)を十 分理解することによって,(1),(2),(4)は(3)の特別なものであると見られるようになる。  一方で,次のようにも考えられる。いま,述べたことは台形の上底と下底が平行であるというこ とが特徴である。この台形の本質ともいうべき事実に着目してみると,(1),(2),(4)のすべて の図形において,同じ考え方を用いて考えられる,ということを示している。このように,四角形 の隣り合わない2辺が平行という事実から様々な図形に発展させ統合して解釈し理解することがで きる。

変化と関係領域における扱い

 小学校5年生の単元「2つの量の変わり方」に現れる比例関係について現象解析の立場から一考 察を与える。比例関係を特徴付ける比例定数の局所的な拡張を考え,与えられた現象から比例関係 を見出すことの逆の見地から,比例定数が現象の復元,再構成において本質的な役割を果たすこと を見る。

 4つの頂点A,B,C,Dから成る,一辺の長さが 1 の正方形において,辺上を動く動点Pは時刻 t =0でAを出発して,一定の速さ,分速1でBに向かうとする。つまり,Bには1分後に到達する(図1)。 このとき,P,B,Cを3つの頂点とする直角三角形PBCの面積S(t)の時刻t (0≦t <1)における変化 の様子を観察しよう。

(9)

この観察において,時刻tから∆t分後のS (t )の変化量S (t+∆t )-S (t )は基本的である:

面積は減少するので∆Sはマイナスの値であることに注意する。経過時間∆tで割ると単位時間あた りの変化量,すなわち速さが求まる:

ここで,-1/2 という定数は面積の変化量(減少量)が経過時間∆tに比例することを意味する。つ まり面積は一定の割合(速さ)で減少する。∆S/∆tは平均変化率(あるいは変化の割合)と言わ れるが,∆tの取り方に制約はない。2つの量,今の場合,面積の変化量∆Sと経過時間∆tが比例の 関係にあるときは,tと∆tのどちらの取り方にも依らず平均変化率は一定である。この一定の値は 比例定数 と言われる。

 さて,世の中の現象では一般に変化の割合はtと∆tに依存する: 。一例を挙げよう。 同じ正方形において,辺上を動く2つの動点P,Qを考える。Pはt =0でAを出発して分速1でBに 向かう。Qはt =0でBとCの中点を出発して分速1/2でCに向かう。つまり,P,Qはそれぞれ1分 後にB,Cに到達する(図2)。時刻tにおける直角三角形PBQの面積S (t )に対して∆t分後の変化量 は次で与えられる:

このとき,平均変化率を求めると

となる。このように,平均変化率がtと∆tに依存する場合,時刻tにおけるS (t )の変化の様子を観 察するためには∆tの取り方に注意する必要がある。つまり,∆tを十分小さく取ることに意味があ ろう(微小経過時間)。

(10)

このとき,∆S/∆tを∆tの取り方から瞬間変化率と呼ぶ。実際,正の時刻tを固定すると,瞬間変化 率∆S/∆tは近似的に–t /2で与えられる:

この考察からS (t )について次の解釈が可能である。S (t )はS (0)=1/4で始まりtが小さいときには ゆっくりと減少し,そしてtの経過に従って徐々に減少の速さを増しながら,S(1) = 0 により t= 1 において 0 に消滅する。

最後に,次のような動点P,Qの例を考えよう。Pはt =0でAを出発して分速1でBに向かう。Qは

t =0でBを出発して,時刻tの位置がBからt2の距離にあるような運動でCに向かう(図3)。ここで,

Q は,初速度0を満たし,ある一定の力を進行方向に受けている運動の単純化モデルである。

時刻tにおける直角三角形PBQの面積S (t )について図3から一見してわかることは,t =0におけ る面積0からS (t )は増加を始めるが,t =1では再び面積は0に消滅する,ということである。こ のことから,ある時刻を境に増加の速さが衰えて,さらにある時刻を境に減少に転じることが想像 できる。S (t )の瞬間変化率からこのことを検証しよう。∆t分後のS (t )の変化量は次で与えられる:

図2

(11)

これより平均変化率は

となり,瞬間変化率を図2で示された例のように近似的(∆t =0)に求めると

を得る。得られた関数 から直角三角形PBQの面積の変化の様子を観察しよう。 のグラフ(図4)からS(t )はt =0から徐々に増加の速さを上げ,t =1/3(極大点)を超え るとそれが鈍る。そして,t =2/3(t軸との交点のt座標)を境にして S(t)は減少に転じ,減少の 速さを上げながらt =1において0に消滅する。

 本考察では,瞬間変化率が現象の直接的な表現ではなく,現象を再構成する手段として用いられ ることを見た。実際の現象では瞬間変化率は‘局所的な’比例定数に相当し,時刻tに依存する。 観測可能な値であろう比例定数の変化の様子が現象の構成具合,崩れ具合を表現している。このこ とは比例定数が‘現象の復元’の一次的な道具であることを示唆している。関連して,復元的概念 の発展が関数の原始関数として積分学の分野に現れることは広く知られている。

データの活用領域における扱い

1. 授業のねらい

 本章では,「各月の最高気温の変化は,どんな様子か」の解決過程を振り返り,「各月の最高気温 とアイスクリームの消費金額との間には,どのような関係があるか」について,統合的・発展的に 考察する。

(12)

2. 問題

 次の表1は,水戸市の各月の平均気温とアイスクリームの一世帯あたりの消費金額の全国平均で ある。この2つの数量にどのような関係があるかを見つけよう。

3.活動のポイント

・通常,図1のように散布図を用いて相関関係などを考察することが多いが,散布図は未修のた め,既習である棒グラフや折れ線グラフを用いて考える。

・2つの数量を同時に比べるにはどうすればよいかを検討する。その際に実例を示し,2つのグ ラフを重ねてかくことに気づかせる。

・2つのグラフを重ねてかくことの利点と注意点について確認する。

4.授業展開

(1)既習内容を振り返る

 平均気温とアイスクリームの消費金額のそれぞれについて,変化を知るためにどのようにすれ ばよかったかを復習する。棒グラフや折れ線グラフを用いていたことを示し,それらを作成する。 その上で,それぞれの変化の特徴を話し合う。(図2,3)

表1 水戸市の各月の平均気温と一世帯あたりのアイスクリームの消費金額の全国平均

図1 平均気温とアイスクリームの消費金額の関係を表した散布図

0 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600

0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0

(13)

(2)2つの数量の関係を調べるためにはどうすればよいか,検討する

 (1)で出た特徴(気温もアイスクリームの売り上げも,夏は高く,冬は低い)を同時に表すた めにはどうすればよいかについて検討する。「グラフを重ねてかく」という意見が出るが,軸の 目盛りをどうすればよいかまで考えさせる。

(3)実例を用いて,処理の方法について考える

 ヒントとして,以下の平均気温と降水量のグラフ(図4)を示し,軸がどうなっているか(左 右で違う軸を用いている)ことに気づかせる。また,平均気温と降水量について,2つのグラフ を重ねてかくことでわかることがないか,検討する。

(4)授業のまとめ

 本時の目標である平均気温とアイスクリームの消費金額の2つを重ねたグラフを作成し,変化 の特徴を確認するとともに,グラフを重ねてかくことの利点について話し合う。また,重ねてか く際の注意点,特に軸の扱いについても確認する。他にもグラフを重ねてかくことで比較できる

図2 平均気温の棒グラフ 図3 アイスクリームの消費金額の折れ線グラフ

図4 平均気温と降水量のグラフ

0.0 10.0 20.0 30.0

1

2

3

4

5

6

7

8

9

1

0

1

1

1

2

平均気温

(

)

0 500 1000 1500

1

2

3

4

5

6

7

8

9

1

0

1

1

1

2

アイスクリームの

消費金額

(

)

0.0 20.0 40.0 60.0 80.0 100.0 120.0 140.0 160.0 180.0 200.0 0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

平均気温と降水量

(14)

データがないかについても検討すれば,より面白い課題が見つかるかもしれない。

研究の結論と今後の課題

 本研究の目的は「小学校算数科における学習内容の統合的・発展的な扱いをどのようにしたらよ いか」という問いに答えることであった。

(1)代数学の視点から,数と計算領域における学習内容の統合的・発展的な扱いの事例として, 一の位の数が5である2桁の自然数の2乗について,面積図と式変形を関連付けて学習する 題材を取り上げた。その題材から,一の位の数の和が10である2桁の自然数の積について, 統合的・発展的に扱うことによる教育効果を示した。さらに,これらの計算のきまりについて, 記号を用いて数の四則演算における計算法則を適用した説明を指導すれば,中学校数学科で文 字式の変形を用いた証明を指導するための素地となる可能性を示した。

(2)幾何学の視点から,図形領域における学習内容の統合的・発展的な扱いの事例として,図形 の求積公式について,平行四辺形は等積変形を用いて導き,台形とひし形は倍積変形して導く 題材を取り上げた。その題材から,三角形と平行四辺形の求積公式について,等積変形を用い て導き,台形の求積公式に包括的統合することによる教育効果を示した。さらに,四角形の隣 り合わない2辺が平行であるという事実から,様々な図形を発展的・統合的に扱う可能性を示 した。

(3)解析学の視点から,変化と関係領域における学習内容の統合的・発展的な扱いの事例として, 2つの量の変わり方に現れる比例関係を特徴づける比例定数の局所的な拡張をする題材を取り 上げた。その題材から,瞬間変化率は局所的な比例定数に相当し,時刻に依存することを統合 的・発展的に扱うことによる教育効果を示した。そのことにより,現象から比例関係を見出す こととは逆の見地から考察し,比例定数が現象の復元,再構成において本質的な役割を果たす ことを示した。

図5 平均気温とアイスクリームの消費金額のグラフ 0 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600 0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月11月 12月

平均気温とアイスクリームの消費金額

平均気温(℃) アイスクリームの

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(4)応用数学の視点から,データの分析領域における学習内容の統合的・発展的な扱いの事例と して,平均気温と降水量のデータを,棒グラフと折れ線グラフで同一座標平面上に表現した学 習を振り返り,水戸市の各月における平均気温のデータとアイスクリームの消費金額のデータ を,同一座標平面上で表現して比較する題材を取り上げた。その題材から, 2つのデータの間 には相関関係がみられることを,高等学校数学科で散布図を用いた相関関係の指導をするため の素地として,小学校算数科で統合的・発展的に扱うことによる教育効果を示した。

 今後の課題は,新しい学習指導要領を詳細に分析し,そこに示された内容について,統合的・発 展的に扱う教材を開発することである。さらに,開発した教材を体系化し,学生や院生を対象にし た教員養成の指導に生かすことである。

謝辞

 本研究の一部は日本学術振興会学術研究助成基金助成金基盤研究(C)(課題番号26381174,研 究代表者:小口祐一)の助成を受けて行われた。

引用文献

文部科学省.2016.「算数・数学ワーキンググループにおける審議の取りまとめについて(報告)」『中央教育

審議会初等中等教育分科会算数・数学ワーキンググループ』http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/ chukyo3/073/index.htm(2017年8月1日閲覧).

参照

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