担当:鹿野(大阪府立大学経済学部)
2013 年度後期
はじめに
前回の復習
古典的仮定⇒OLS推定量βˆは正規分布。
回帰係数の仮説検定 :有意性検定(H0: β = 0)が重要。
今回学ぶこと
統計ソフトgretlを用いて回帰分析を実行するには ?
テキスト該当箇所 :特になし。
1 Gretl について
1.1 gretl とは?
代表的な統計ソフト
⊲ 有料:TSP、SPSS、SAS、STATA、Eviews、GAUSS、S plus、etc。
⊲ フリーウェア:R、Ox、gretl、etc。
⊲ GAUSS、S plus、R、Oxは統計言語とも呼ばれる。 プログラムを書いて実行。
今回紹介する統計ソフト :gretl = Gnu Regression, Econometrics and Time-series Library.
⊲ フリーの統計・計量分析用ソフトウェア。 さまざまなファイル形式(Excelファイル を含む)のデータを読み込んで分析できる。
⊲ 公式サイト:http://gretl.sourceforge.net/index.html
⊲ 開発・管理者:Allin Cottrell(Wake Forest University)& Riccardo Lucchetti(Universita Politecnica delle Marche)。
なぜgretl?:簡単な回帰分析はExcelでもできるが、gretlは
1. Excelでは出来ない、 高度な分析方法が実行可能。
2. 回帰分析の繰り返しが容易。
3. 練習用データや確率計算機能など、 学習をサポートする機能が備わっている。
∴Excel形式でデータを用意し、 分析はgretlで実行すると良い。
1
1.2 インストール、日本語化
経済学部端末PCには、gretlがインストール済み。
ダウンロード・インストールと日本語化:詳しくは担当教員のwebページの解説を参照。
⊲ https://sites.google.com/site/kanolabweb/home
2 Gretl で回帰分析
2.1 婚姻率 X
iと出生率 Y
iの関係
講義ノート#09の回帰分析を再現。 次の回帰モデルの回帰係数α, βをOLS推定する。
Yi= α + βXi+ ui. (1)
⊲ 説明変数Xi =婚姻率(人口1000人当たり婚姻届)。
⊲ 被説明変数Yi=出生率(人口1000人当たり出生届)。
2.2 データの読み込み方と記述統計
データ:『人口動態調査』より。ファイル名“fertility.xls”。担当教員のwebサイトからDL 可能。
⊲ 注意:データのExcelファイルは、必ずExcel97-03形式(拡張子が.xls)で保存。Excel07 以降の形式(拡張子が.xlsx) は読み込めない可能性。
⊲ 注意:データファイルの名前やデータ中の変数名は英語orローマ字表記で。(日本 語入力モードで名前を付けないこと。)
ファイル“fertility.xls”をExcelで開くと図1の通り。
⊲ code:市区町村コード(ここでは無意味)。
⊲ fertility:出生率(被説明変数Yi)。
⊲ marriage:婚姻率(説明変数Xi)。
図1: Excelファイル“fertility.xls”の中身
データ“fertility.xls”をgretlで開く(図2)。
⊲ 方法1:“fertility.xls”をgretlのショートカットアイコンにドラッグ&ドロップ
→gretlが起動。
⊲ 方法2:あらかじめgretlを起動し、GUI上に“fertility.xls”をドラッグ&ドロップ。
図2: gretlのショートカットアイコンとデータ“fertility.xls”
シートとデータタイプの選択 (図3)
⊲ 図3左:選択したExcelファイル中の、データの入ったシート (Sheet 1)を選択。
⊲ 図3右:データタイプの確認。 このデータはクロスセクションなので、“いいえ”を クリック。(時系列データ・パネルデータでなければ常に“いいえ”で良い。)
図3:シートの選択(左)とデータタイプの選択 (右)
変数が全て読み込まれたことを確認 (図4)。
⊲ 全変数を選んで右クリック→「記述統計」を選択すると、別ウィンドウに記述統計
(平均Meanや標準偏差Std. Dev.など)が出力される。(スクリーンショット省略)
⊲ その他、右クリックメニューで、ヒストグラムや散布図を描いたりもできる。
図4:変数の確認と記述統計の計算
2.3 最小 2 乗法(OLS)による推定の実行
ツールバーの「モデル」→「最小2乗法(OLS)」を選択。
説明・被説明変数を設定してOLSを実行(図5)
⊲ Dependent variable(Y)の設定(被説明変数):fertilityを選択し、 矢印マークをク リック。
⊲ Independent variables(X)の設定(説明変数):marriageを選択し、矢印マークをク リック。
⊲ 最後にボックス右下の 「OK」を押しOLS実行。
図5:説明変数Xi・被説明変数Yiの設定とOLSの実行
推定結果ウィンドウ(図6)。
⊲ (1)の箇所:「OLS推定、サンプル1∼196」
⊲ (2)の箇所
∗ 左端の文字列は変数名。(“const”は定数項のこと。)
∗ “coefficient”=各説明変数の係数 (coefficient) のOLS推定値(βˆのこと)。
∗ “std. error”=標準誤差(standard error)。
∗ “t-ratio”=帰無仮説「H0:係数= 0」のt値。
⊲ (3)の箇所:“R-squared”=決定係数R2。注意:重回帰の場合は修正済み決定係 数
(Adjusted R-squared)を見る。
⊲ 「ファイル」→「印刷」でプリントアウトできる。
図6:推定結果ウィンドウ
注意:分析を終え、Gretlを閉じようとすると「使用したコマンドの記録を保存しますか?」 というメッセージが出るが、「いいえ」を選べばよい。
推定結果をまとめると (カッコ内は有意性検定のt値) ˆ
Yi= 0.686
(0.603)+ 1.456(6.828)
Xi, n= 43, R2= 0.532. (2)
まとめと復習問題
今回のまとめ
統計ソフトgretlで回帰分析。