事
りんご搾りかすや米糠を利用した土壌還元消毒による施設栽培トマトの萎凋病の被害軽 項 |
減対策
施 設 栽 培 ト マ ト の 萎 凋 病 に 対 し て 、 り ん ご 搾 り か す 又 は 米 糠 を 用 い た 土壌 還 元 消 毒 を 行
ね ら い|ったところ、被害軽減効果が認められたので参考に供する。
1 萎 凋 病 に 対 す る 土 壌 還 元 消 毒 の 効 果
(1)りんご搾りかす(搾汁直後のもの500k g/ a)又は米糠(l OOk g/ a)を用いて土壌還元 消 毒 を 行 う と 、 萎 凋 病 の 原 因 と な る フ ザ リ ウ ム 属 菌 の 菌 密 度 が 激 減 し 、 萎 凋 病 に よ る 被害が軽減される。
( 2)発酵途中のりんご搾りかす(500k g/ a)でも、ほぼ同等の効果がある。 ( 3)抵抗性台木を用いることにより さらに被害軽減効果は高まる。 手
旨 導
参
考
内
容
2 処 理 時 期
( 1) 日 平 均 気 温 ( ハ ウ ス 外 ) がl 6° C以 上 に な る 時 期 か ら 処 理 を 開 始 す れ ば 、 約20日間の 土 壌 還 元 消 毒 中 に 日 平 均 地 温30℃ 以 上 を 概 ね2週 間 確 保 で き 、 フ ザ リ ウ ム 属 菌 の 菌 密 度低減効果が十分に得られる。
( 2) (1)より処理が可能な時期は、概ね6月上旬∼中旬以降で、晩限は8月下旬である。 3 土 壌 還 元 消 毒 法 の 手IJ慎
( 1) り ん ご 搾 り か す 又 は 米 糠 を 、 土 壌 表 面 に 均 一 に 散 布 後 、 ハ ウ ス 全 面 を ロ ー タ リ 一 等 で20∼30c mの深さまでよく混和する。
( 2) 土 壌 表 面 を 均 平 に し 、 直 ち に か ん 水 チ ュ ー ブ 等 を 使 っ て 、 一 時 的 に 湛 水 状 態 に な る まで(ほ場容水量以上)むらなくかん水する。
(3)廃ビ、ニール等で土壌表面全体を被覆し、ハウスを約20日間密閉する(土壌の還元化 が進むと、処理5 日前後で土壌からドブ臭がしてくる)。
( 4)処理が終了したらハウスを開放し、土壌表面の廃ビニール等をはぐ。
( 5) ( 1) の 混 和 深 ま で ロ ー タ リ 一 等 で 丁 寧 に 耕 起 し 、 ド ブ 臭 が 弱 く な る ま で1 週間程度 ハウスを開放放置し、土壌を酸化状態に戻してから作付けする。
4 留 意 事 項
(1)ハウス密閉期間中は、地温の低下を防ぐため、追力日かん水は行わない。
( 2) 土 壌 還 元 消 毒 後 に 土 壌p Hを測定し、必要に応じて適正範囲内に矯正する。
( 3) 基 肥 の 窒 素 施 用 量 は 土 壌 還 元 消 毒 後 にE Cな ど を 測 定 し て 決 定 す る ( 投 入 し た 有 機 物からの窒素供給があるため、基肥を施用しなくてもよい場合もある)。
( 4)堆肥は施用しない。
( 5) 土 壌 還 元 消 毒 後 は 、 概 し て ト マ ト の 生 育 が 良 く な る の で 、 生 育 に 合 わ せ て か ん 水 や 追肥を加減する。
( 6) 土 壌 の 深 い 部 分 ま で は 消 毒 で き ず 、 効 果 が 不 安 定 と な る こ と が あ る の で 、 必 ず 抵 抗 性台木や抵抗性品種を用いる。
( 7)青枯病が発生する恐れのあるほ場では、土壌還元消毒は行わない。
農 薬 を 使 わ ず に 萎 凋 病 の 被 害 が 軽 減 さ れ る と と も に 、 バ イ オ マ ス 資 源 で あ る り ん ご 搾 り 期待される効果|かすを有効利用できる。
1 土 壌 還 元 消 毒 で は 、 か ん 水 が 不 十 分 で あ っ た り 、 土 壌 還 元 消 毒 部 分 の 日 平 均 地 温30℃ 以 上 (2週 間 程 度 は 必 要 ) を 確 保 で き な い と フ ザ リ ウ ム 属 菌 に 対 す る 菌 密 度 の 低 減 効 果 は低下するので注意する。
2 りんごの搾汁期間は、通常年には3月 末 で 終 了 す る の で 、 り ん ご 搾 り か す が 必 要 な 場 利用上の注意事項| 合は、早めに業者に連絡し、調整を図る。
3 業 者 か ら 無 償 で り ん ご 搾 り か す の 提 供 を 受 け る 場 合 は 、 利 用 者 自 身 が 運 搬 し な い と 産 業廃棄物扱いとなり土壌施用できなくなるので注意する。
4 り ん ご 搾 り か す は 、 に お い が 問 題 に な る 場 合 が あ る の で 、 住 宅 地 に 隣 接 す る ハ ウ ス で の施用は注意する。
担 当 | 青 森 県 農 林 総 合 研 究 セ ン タ ー 病 害 虫 防 除 室 ・ 水 田 利 用 部 |対象地域|県下全域 平成14年 度 青 森 県 農 業 試 験 場 試 験 成 績 概 要 集
発表文献等|平成15∼16年 度 青 森 県 農 林 総 合 研 究 セ ン タ ー 試 験 成 績 概 要 集
-【根拠となった主要な試験結果】
40
: 35 均 の 30
ヌL
温 25
生
20, 』11D.
。C 15
一一ひーりんご区 10c m深
--0 --ー 米 糠 区 10c m深
一一合 一 無 投 入 区 10c m深
一 ・0・ ・りんご区・ 20c m深 .•• IJ・・・米糠区 20c m深
プ・・d・・・無 投 入 区 20c m深
ト一一@ーハウス外気温
10
月/日
図 1 土 壌 還 元 消 毒 処 理 期 間 中 の ハ ウ ス 外 気 温 及 び ハ ウ ス 内 地 温 ( 平 成15年 青 森 農 林 総 研 ) (注) 1 処 理 期 間 : 平 成15年 6 月 7 日∼ 6 月 30 日(表 1 、 2 、3 も同じ)
2 投 入 量 : り ん ご 搾 り か す 区 搾汁直後のもの500kg/ a、米糠区 l OOkg/ a (表1、2、3 も同じ) 表1 土壌還元消毒処理中の酸主化還求元電位総 の 表2
時
計 時 司 査 君 臨 証 )区
|
酸 七 還z 霊
登
w
|
「
一
医
2
10c m深 10c m深
りんご区 112 - 322 - 355 - 166
。
米
鉦 糠 区 8 - 231 - 310 6 米鉦 糠 区 3, 933 242 236 943 入 区 52 43 - 33 38 入 区 13. 315 7, 034 10. 402 5. 376
( 20cm深) ( 20cm深)
りんご区 - 154 - 267 343 - 346 りんご区 8, 836 730 米缶王糠区メ
- 54 - 230 - 324 - 15
米缶王糠区〉《
5, 188 5, 836 0 482 44 41 5 54 13 653 6 791 7. 848 8. 108 (注)酸化還元電位.数値は3か所平均、−l OOmV以下が (注)菌密度数値は3か所平均
効果発現の目安
表3 土 壌 還 元 消 毒 処 理 後 の 萎 凋 病 の 発 生 状 況 平 成15年 青 森 農 林 総
区 名| 発病株率(% )
巨 太 郎 |桃太郎 /ヘルパーM りんご区| 14. 3
I
7. 1 米 糠 区 | 35. 7I
14. 3 無 投 入 区 | 78. 6 I 35 .7 (注) 1 定植:平成15年7月9日 調査: 10月1日2 供試株数:白根株、接ぎ木株ともに14株
3 発病株率 :トマト萎凋病菌レース2に対する 反応を示す
10c m深
りんご区| 199 I - 209 I - 431 I - 451 I - 313 I - 299 I - 381 I - 356 無 投 入 区 I - 10 I 29 -1 47 I 24 I 16 I 10 I - 3 I - 1 (注) 1 試験は、平成15年の試験跡地(無投入区)の土を用い、 1 / 5, 000 aワグネルポ ッ トで実施、
2 投入量:発酵途中(約3か月間、密閉袋に入れて野外放置)のりんご搾りかす500kg/ a 3 酸化還元電位:数値は1ポットの測定値、−l OOmV以下が効果発現の目安
4 菌密度:数値は3ポット平均のフザリウム属菌数 (参考価格)米糠: 400円/25k g、1, 600円/lOOk g / a
りんご搾りかす: 500円/650旬、 385円/500kg/ a
クロールピクリン: 1, 090円/上 2, 180∼3, 270円/2∼ 3 Q / a パスアミド微粒剤: 27, 210円/20kg、2, 720∼4, 810円 /2∼ 3 k g/ a
定
℃
A
V
Q
o
−
q
u
Q
品
、
Z
Q
J
?
1
4
−温
一