平成29年12月28日
吉田寮自治会 殿
学生担当理事・副学長 川 添 信 介
質問状への回答について
2017年 12 月 22 日付けで吉田寮自治会から提出された質問状への回答は下記のとおりである。
記
1. これまでの経緯を無視していることに関して
「基本方針」にはこれまで吉田寮自治会と大学当局が話し合いによって積み上げてきた議論・ 約束をないがしろにしている箇所が多く見受けられる。歴史的事実を歪曲・捨象しているのはな ぜか。
1.1. 「吉田寮生の安全確保についての基本方針」における歴史的経緯の記述について
「基本方針」の1段落目から4段落目に事実誤認がある点を認識しているか。たとえば、2段落目 には「平成元年までの間、寮生の安全確保を実現しようと吉田寮生との話し合いに努めたが、吉 田寮現棟の建物の本格的な改善整備は果たされないまま、老朽化が進んだ」とあり、自然現象の ように老朽化が進んだように書かれている。しかし、これは事実の正確な記述とはいえない。大 学当局と吉田寮自治会との間でこれまで行われてきた話し合いのなかで、大学当局が補修に難色 を示してきたという事実に触れていないのはなぜか。実際、補修案については、2005年に大規模 補修に向け、耐震調査及び設計を終えたにもかかわらず、翌2006年に当局の予算の都合で計画が 頓挫している。さらに、赤松副学長は2012年、吉田寮自治会との話し合いにおいて、現棟の補修 の有効性を認め、現棟の価値を損なわない形の補修の実現に向けて協議を進めていくことに合意 した。2014年には寮自治会が法的条件を満たす補修案を提示し、翌2015年、杉万副学長は補修案 に同意した。このように積み重ねてきた議論を、2015年に就任した川添副学長が反故にしている にもかかわらず、その事実を捨象しているのにはどのような理由があるのか。
(回答)
吉田寮の老朽化の経緯について様々な意見や事実認識があることは承知しているが、「基本方針」 前文には、京都大学として吉田寮の老朽化対策の主な経緯だけを述べたものである。
繰り返すが、この度の「基本方針」の決定は、京都大学が設置した施設の利用者の安全確保を 図るためにこれ以上現在の状態を続けることはできないとの、施設設置者たる京都大学のやむを 得ざる決定である。
なお、過去の学生担当理事・副学長と吉田寮自治会との間のいわゆる確約書のことは知ってい るが、これまでにも、川添は自動的に引き継ぎするものではないと言っているところである。
1.2. 入寮募集について
「基本方針」では、2018年1月以降は、誰も吉田寮に入寮することはできないとされており、こ れは2018年4月以降入学する学生が入寮できないということを意味する。また、「基本方針」では
「正規学生」には代替宿舎を用意するとしているが、新たに入学する学生はこうした保障から排 除されている。これは、様々な立場の人に入寮を認めてきた吉田寮の入寮選考権を侵害している のみならず、経済的に不安を抱える人に京大で学ぶことを断念させることにもつながりうる。ど のような理由から、このような決定を下したのか。
(回答)
今回の決定によって、低廉な寄宿料で提供できる学生寄宿舎が一定期間減少することは事実で あるが、それを承知の上でも吉田寮に居住する学生の生命の安全確保の方を優先するというのが 大学の判断である。この点については、一刻の猶予も許されない段階に至っているとの認識によ る大学としてのやむを得ざる決定である。他方において、学生寄宿舎の減少は一時的なものであ り、収容定員の増加を念頭に置いた老朽化対策を実施することによって、将来的な本学学生の福 利厚生は一層の充実を図ることができるとも考えている。
また、京都大学は、経済的困窮度が高い学生には、授業料免除などの学生支援策を講じており、 その周知を行っているところである。
1.3. 正規学生/非正規学生を区別していることについて
「基本方針」では京大に2018年4月の時点で「正規学生の学籍を有する吉田寮生」についてのみ、 代替宿舎を用意するとしている。このように、学籍の性質による区別を設けたのはどのような理 由からか。これまで、寮自治会との話し合いのなかで、このような区別を設けてこなかったにも かかわらず、そうした歴史を無視して新たな区別を設け「非正規学生」を住居保障の対象から排 除するのはなぜか。
(回答)
後述4.1の回答と同様である。
1.4. 吉田寮自治会が出した補修案について
上述したように、吉田寮自治会は大学当局に対してこれまで補修案を出してきたにもかかわら ず「基本方針」ではそれについての言及がない。これは大学当局はいったん合意した補修案を取 り下げるということを意味するのか。仮に取り下げるということであればそれはなぜか。
(回答)
吉田寮現棟の補修案を大学として機関決定したことはない。
吉田寮現棟の老朽化対策については、本学学生の福利厚生の一層の充実のために収容定員の増 加を念頭に置きつつ、検討を進めていく。
その検討のためにも、吉田寮自治会には少人数での話し合いを提案しているところである。
2. 通知の決定プロセスについて
「基本方針」は2017年12月19日開催の部局長会議において協議の上、同日開催の役員会におい て決定されたとのことであるが、決定に至るまでの経緯・過程をより詳細に開示せよ。当該文書 の原案の作成に関わったのは誰、どこの部署か。また、当該文書に書かれている方針の方向性を 大まかに決めたのは、いつ、どのような会議体においてか。その会議体の構成員も明らかにせよ。
(回答)
学生寄宿舎を担当する川添が総長、他の理事や副学長と協議をし、大まかな方向性を含めた原 案を作成した。その後、正式な会議である部局長会議、役員会に附議し、決定したものである。
3. 2018 年 9 月を期限とする退去の要求について
「基本方針」では2018年9月末日までに、現在吉田寮(現棟と新棟の両方)に居住している者は 退舎しなければならないとしている。さらに寮生に送られた通知では、「退舎期限」以降に吉田 寮に居続けることは不法占有となると述べられている。このような決定を下したのはなぜか。
3.1. 2018年9月(一部3月)を退舎期限としている理由について
「基本方針」では2018年9月末(2018年4月時点で「正規学生」の学籍を有しない学生は3月末) が「退舎期限」に定められているが、どういう理由から9月末(3月末)を期限に設定したのか。 10月以降に現在の建築物をどうするかは検討中とのことであるが、どのようなプロセスで、どの ような案の検討を進めているのか。
(回答)
吉田寮に居住する者の安全確保策は、一刻も早く講じなければならない段階に至っていると考 えており、退舎期限に関わらずできる限り早期の退舎が望ましい。
他方で、平成30年4月時点でも正規学生の者については、本学での学生生活を継続しながら代替 宿舎等へ転居するうえで通常一定の準備期間が必要と考えられたため、そうした要請も満たしう る期間として平成30年9月末の退舎期限を設定したものである。すなわち、平成30年1月中下旬か ら同年3月にかけて、代替宿舎への転居を希望するか否か、また、本部キャンパス、桂キャンパス や宇治キャンパスいずれの周辺の代替宿舎を希望するかなどの調査を行い、その後、平成30年4 月から同年9月末までの間に、代替宿舎への転居を希望する者については引っ越しすることになる が、これらを実施するために十分な期間であると考えたためである。
科目等履修生等の非正規生については、平成29年度の受け入れ期間が終了する平成30年3月末を
退舎期限としたものである。なお、非正規生であっても、平成29年12月提出分の吉田寮生の名簿 に記載されており、平成30年4月時点で正規学生の学籍を有する者であれば、代替宿舎への転居を 希望する場合は、上記の正規学生と同様とするよう配慮することとしている。
また、現棟の老朽化対策については、本学学生の福利厚生の一層の充実のために収容定員の増 加を念頭に置きつつ、検討を進めていく。
3.2. 「不法占有」とは
「退舎期限」以降、吉田寮に居続けると「不法占有」になるとされているが、これはどのよう な法的根拠があるのか。「不法」とは、どういった法律を根拠にしたもので、どういった事態を 指すのか。また、どのような状態が「占有」にあたるというのか。仮に「不法占有」をしている と大学当局がみなした場合、裁判に持ち込むことも考えているのか。
(回答)
学生寄宿舎を設置・所有している大学が、当該学生寄宿舎の建物及び付属する敷地について、 期限を定めて退舎を求め、一切の立ち入りを禁じた後は、同建物及び敷地を「占有」することは 民法上、不法占有にあたり許されない。「占有」にあたる個別の状態をすべて列挙することはで きないが、居住を継続することに限らず、一時的な滞留・寝泊りや、工作物の設置なども含むと 考える。なお、それ以上の具体的な事態における対応については、仮定の話でありお答えしかね る。
4.代替宿舎について
「基本方針」では2018年4月の時点で「正規学生」の学籍を有する寮生に限り代替宿舎を用意す るとしている。
4.1. 「非正規学生」ほかに代替宿舎を用意しない理由について
「基本方針」を読むかぎり、「非正規学生」及び標準修業年限を超過している学生については 代替宿舎などの住居保障は行われないこととなっている。これはどのような理由からか。
(回答)
本学が設置し、公費を財源とする本学運営費を充てて運営する学生寄宿舎に入舎できるのは、 原則、本学の学部・大学院に正規の期間在籍する学生(正規学生)であるというのが大学の考え である。当該施設に、本学の学生以外の者である非正規生や学籍がなくなった者、正当な理由無 く修業年限(大学院生については標準修業年限)を超過した者の居住は認められるものではない と考えている。なお、非正規生とは、科目等履修生、聴講生、研究生などの本学の学生以外の者 を指す。しかし、非正規生であっても、平成29年12月提出分の吉田寮生の名簿に記載されており、
①平成30年4月時点で正規学生の学籍を有する者であれば、代替宿舎への転居を希望する場合は、 正規学生と同様とする、②研究計画や修学計画の事情により平成31年4月に大学院に進学が見込ま れる場合など、個別の事情を勘案した配慮をすることとしている。
なお、基本方針に「代替宿舎での居住の終期は、原則として、当該寮生の正規生としての学籍 の修業年限(大学院生については標準修業年限)の終期とする」と記載のとおり、修業年限(大 学院生については標準修業年限)を超過した者は代替宿舎に居住できないが、例えば、1年間留学 していたために休学し修業年限を超えているなどの修学上の事情があるなど個々の学生の状況を 確認し、代替宿舎への居住を認める場合がある。
4.2. 代替宿舎の予算の裏付けについて
代替宿舎について予算の裏づけはあるのか。流動的な部分も含めてできるだけすみやかに報告 せよ。
(回答)
平成30年4月から、希望者への代替宿舎への転居を行うこととしており、現時点で平成30年度予 算は編成されていないが、代替宿舎に転居する学生のための必要経費は、大学が責任を持って確 保する考えである。
4.3. 代替宿舎の光熱水費について
「基本方針」によれば、代替宿舎での光熱水費は使用者の自己負担とされている。これまでの 寮自治会との話し合いを無視して、全額自己負担を求めるのはなぜか。
(回答)
代替宿舎は個室形式のアパートやワンルームマンションを予定している。大学は当該代替宿舎 の賃料について、寮生からは現状の寄宿料である400円のみ徴収し、残りは大学が負担することと しているが、その個室での個人の使用に係る光熱水費までを、公費を財源とする大学運営費で措 置することは、社会的に支持を得られるものではないと考えている。このことから、個人が使用 する居室内の光熱水費については使用した者が負担すべきと考える。
なお、上記代替宿舎における共用部分である廊下の電灯などの維持管理を目的として徴収され る、いわゆる「共益費」が発生する場合、それについては、大学負担とする予定である。