阪 神 水 道 企 業 団 水道用水供給ビジョン
∼安全な水の安定供給の持続∼
平成 20 年 12 月
阪神水道企業団
目 次
Ⅰ.水道用水供給ビジョンの策定にあたって . . . 1
Ⅱ.水道用水供給ビジョンの位置付け . . . 3
Ⅲ.阪神水道企業団の現状と課題 . . . 4
1.施設の概要 . . . . 4
2.水需要の推移 . . . . 6
3.安心できる水の供給 . . . . 8
(1)水源水質 . . . . 8
(2)浄水処理と浄水水質 . . . . 10
(3)水質管理 . . . . 11
(4)まとめ . . . . 13
4.安定的な水の供給 . . . . 14
(1)水源 . . . . 14
(2)施設 . . . . 15
(3)施設のバックアップ能力 . . . . 18
(4)安定供給体制 . . . . 22
(5)まとめ . . . . 24
5.効率的な経営 . . . . 25
(1)財政 . . . . 25
(2)組織・人事 . . . . 28
(3)情報発信 . . . . 30
(4)構成4市との連携 . . . . 30
(5)まとめ . . . . 31
6.環境への配慮 . . . . 32
(1)エネルギー利用 . . . . 32
(2)資源の有効利用 . . . . 33
(3)まとめ . . . . 35
7.国際. . . . 36
(1)技術情報の受・発信 . . . . 36
(2)途上国等の支援 . . . . 37
(3)まとめ . . . . 37
Ⅳ.阪神水道企業団の将来像及び目標 . . . 38
1.基本理念. . . . 38
2.将来目標. . . . 39
3.目標実現に向けての施策 . . . . 40
(1)安全で良質な水の供給 . . . . 40
(2)安定供給の確保 . . . . 42
(3)経営基盤の強化 . . . . 45
(4)環境・エネルギー対策 . . . . 48
(5)国際貢献 . . . . 48
<付属資料>
【付属資料①】水道事業ガイドラインに基づく業務指標(PI )の算定結果
【付属資料②】用語解説
Ⅰ.水道用水供給ビジョンの策定にあたって
阪神水道企業団は、大きな河川のない阪神地域に水道用水を供給するために、全国初 の水道用水供給事業体として、昭和 1 1 年7月に設立されました。
昭和 1 7 年4月の給水開始以来、戦中戦後の混乱期、高度経済成長期、そして阪神・ 淡路大震災など、様々な困苦の中で、構成4市(神戸市、尼崎市、西宮市及び芦屋市) への水道用水供給業務を継続しつつ、水需要の増加に対応するため、供給能力を段階的 に拡張してきました。
昭和 5 3 年度に着工した第5期拡張事業においては、水需要増加という「量」への対 応と異臭味除去等の「質」への対応とともに、供給安定性向上を目的とした事業を推進 してきており、平成 1 2 年度には施設能力の拡張及び全量高度浄水処理化を達成し、概 ね完成するに至っています。現在は、残事業である尼崎浄水場Ⅱ期施設の整備を進めて おり、第5期拡張事業は平成 2 1 年度末で終了する計画です。
今後は、これまで整備してきた施設を適切に管理し、有効に活用するなど、安全な水 の安定供給継続に軸足を移していく必要があり、企業団の事業は、正に「拡張中心の時 代」から「維持・更新中心の時代」への大きな転換期にあるといえます。
また、水道事業を取り巻く情勢・環境についても、少子高齢化の進行や産業構造の変 化及び節水意識の浸透等により、水需要の増加が見込めないこと、さらには、水道水の 安全性に対する利用者の関心の高まりや、公営企業における民間的経営手法の導入の流 れなど、変化しつつあります。
このような変化や動きに柔軟に対応し、適切でより良いサービスを提供し続けるため には、これらに見合った適切な事業運営が必須であり、持続力のある経営体質を作らな ければなりません。
そのためにも、現状を十分に見据え、課題を明確に整理し、長期的な視点で企業団と してあるべき姿や企業団に求められる役割・使命を再確認した上で、ビジョンを掲げ、 その実現に向けて事業運営していく必要があります。
今後の企業団の事業運営における重要な要素は、安全な水を安定供給するための施設 の管理・運営と、その裏付けとなる財政基盤の強化・確立、さらにはそれらを推進・実 現するための人材の育成・活用であると考えています。
企業団は、阪神間 4 市における水需要の約8割の水道用水供給を担っており、企業団 の事業運営は、各市の水道事業に大きな影響を与えるため、今後も密接な連携を図りな がら事業運営にあたる必要があると考えています。
本書は、企業団の今後の事業運営の方向性を示す道標とするために策定しました。 この内容については、固定的なものとするのではなく、経営環境の変化に応じて、見 直しを図りながら効率的かつ効果的に遂行していくよう努めていきます。
Ⅱ.水道用水供給ビジョンの位置付け
これまで企業団では、安全な水道用水の安定供給という使命の下、4年間程度の期間 における財政計画や施設整備計画を策定し、各年度の予算において具体策を実行すると いったサイクルの下で事業運営を続けてきました。
今回策定する水道用水供給ビジョンは、今後の事業運営の方向性を示すものであり、 今後は、このビジョンを軸に、事業運営に関する諸施策を推進していくこととします。
予算
決算
業務遂行・事業運営
反映 評価・分析
反映 評価・分析
水道用水供給ビジョ ン
財政計画 具体化
Ⅲ.阪神水道企業団の現状と課題
1.施設の概要
昭和1 1 年 7 月に設立された企業団は、人口増加や生活様式の変化による水需要 の増加に対して、5期にわたる施設拡張事業を実施し、現在は阪神間 2 5 0 万市民の 水需要の約8割にあたる日量 1 ,1 2 8 ,0 0 0 m
3
の供給能力を有しています。
企業団の施設は大別して、尼崎浄水場系統(1・2期施設)と猪名川浄水場系統(3・ 4期施設及び 5 期施設)の2系統からなり、2つの取水場、2つの浄水場、2つの中 継ポンプ場及び管路で構成されています。
尼崎浄水場は、企業団創設当初に通水を開始した歴史ある浄水場でしたが、平成7 年1月の阪神・淡路大震災で大きな被害を受けたことから旧甲山浄水場(平成 1 2年 度末運転停止、西宮市甲山町)と統合し、全面更新しました。平成 1 3 年度からは計 画施設能力の半量である日量 1 8 6 ,5 0 0 m
3
で稼働しており、平成 2 1 年度には日量 3 7 3 ,0 0 0 m
3
となる予定です。
猪名川浄水場は、企業団の浄水能力の約8割を占める日量 9 1 6 ,9 0 0 m
3
の能力を 有する浄水場で、3 ・4 期施設(日量 5 9 5 ,0 0 0 m
3
)と 5 期施設(日量 3 2 1 ,9 0 0 m
3
) の2系統に分かれています。
甲東ポンプ場は、尼崎浄水場と猪名川浄水場から送られてきた浄水を神戸市・芦屋 市・西宮市にポンプ圧送する施設であるとともに、導送配水に係る全てのポンプ設備 の遠隔操作や調整池、配水池等の管理、送配水拠点における水質監視等を行うなど、 水運用に係る監視並びに制御センターとしての役割を有しています。
阪神水道企業団
阪神水道企業団 施設概要図施設概要図
神戸市
芦屋市
西宮市
尼崎市
大阪湾
大阪市 淀
川
大道取水場
淀川取水場 猪名川浄水場
尼崎浄水場 甲東ポンプ場
西宮ポンプ場
5期施設 3・4期施設 1・2期施設
○ 尼崎浄水場
・位置 :尼崎市南塚口
・稼働 :平成 1 3 年4月
・敷地面積 :6 6 ,4 3 4 m
2
・浄水能力 :日量 3 7 3 ,0 0 0 m
3
(計画)
○ 猪名川浄水場
・位置 :尼崎市田能
・稼働 :昭和 3 8 年7月
・敷地面積 :1 6 1 ,0 9 6 m
2
・浄水能力 :日量 9 1 6 ,9 0 0 m
3
○ 甲東ポンプ場
・位置 :西宮市上大市
・稼働 :昭和 3 1年7月
・敷地面積 :2 9 ,8 0 0 m
2
○ 大道取水場
・位置 :大阪市東淀川区大道
・稼働 :昭和 3 8 年7月
・敷地面積 :2 5 ,2 0 8 m
2
・施設能力 :日量 9 1 6 ,9 0 0 m
3
○ 淀川取水場
・位置 :大阪市東淀川区柴島
・稼働 :昭和 1 7 年 4 月
・敷地面積 :1 1 ,2 6 3 m
2
・施設能力 :日量 3 7 3 ,0 0 0 m
3
○ 西宮ポンプ場
・位置 :西宮市室川町
・稼働 :昭和 1 7 年 4 月
・敷地面積 :9 ,0 4 1 m
2
2.水需要の推移
構成4市の総人口は、高度経済成長期までは急速に増加し、その後も緩やかな増加 傾向を示してきており、企業団から構成4市への給水量は、従来は人口推移と同様に 右肩上がりの増加傾向を示していました。
0 50 100 150 200 250 300
S 17 S 22 S 27 S 32 S 37 S 42 S 47 S 52 S 57 S 62 H4 H9 H14 H19 年 度
各市総人口(万人)
4市合計 神戸市 尼崎市 西宮市 芦屋市
構成4市の総人口推移
しかしながら、平成7年の阪神・淡路大震災の発生以降、給水量は減少し、現在も 未だ震災前の水準に回復していません。これは、近年における節水型水使用機器(水 洗トイレ、洗濯機、食器洗い器等)の普及や利用者の皆様の節水意識の向上等が原因 と考えられます。
企業団の給水量は、構成4市の水需要予測及び各市の施設整備計画等を踏まえた企 業団への長期的な要請水量により決まるため、将来の見通しは明確になっていません。 しかしながら、今後の人口推移や社会情勢を考慮すると、水需要は大きく増加するこ とはないものと推測できることから、当面は日量 1 ,1 2 8 ,0 0 0 m
3
の供給量があれば対 応できると考えています。
なお、企業団と構成4市との契約は、年間の分賦基本水量に基づいた「責任水量制
※
」を採用しています。
0 20 40 60 80 100 120
S 17 S 22 S 27 S 32 S 37 S 42 S 47 S 52 S 57 S 62 H4 H9 H14 H19 年 度
4市実績給水量(万㎥)
4市1日最大 4市1日平均
給水量実績の推移(1日最大給水量・1日平均給水量)
※ 責任水量制
構成4市の実受水量に関わらず、構成4市と企業団との間で定めた年間の分賦基本水量に応じて、定額の 経費(分賦金)を負担する仕組みです。
水道用水供給事業は、水源開発や施設建設など巨額の先行投資を有します。このため、資本費を確実に回 収する必要があり、当企業団では構成4市からの要請水量に基づく責任水量制を採用しています。
3.安心できる水の供給
(1)水源水質
企業団の水源である淀川水系は、上流に琵琶湖があり、豊富な水量を有する水源 です。淀川は、流域に1,400万人が生活する都市河川であり、上流から下流ま で取水と排水が繰り返され利用されています。上流域の都市から生活・産業排水が 流入するため、水質汚濁が問題視されてきました。
琵琶湖では、昭和 4 0 年代後半から富栄養化が顕著となり、かび臭などの水質障 害が例年生じていますが、近年は、長期的な水源水質保全施策により水質が改善さ れつつあります。その一方で、温暖化などの気候変動の影響とみられる琵琶湖の水 循環の変化や生態系の変化により、今後、水質が変化することも考えられるため、 長期的な水質変動に留意する必要があると考えています。
0 20 40 60 80 100 120 140
S 46 S 49 S 52 S 55 S 58 S 61 H1 H4 H7 H10 H13 H16 H19
カビ臭のべ発生日数
ジェオスミン 2- メチルイソボルネオール 不明
※ S 58∼H4は2- MIB発生と同時期にシ ゙ェオ ス ミン 検出
琵琶湖でのかび臭発生日数の経年変化
かび臭原因生物の顕微鏡写真(左から「オ シ ラ トリア 」「フ ォル ミテ ゙ィウ ム 」「ア ナ ヘ ゙ナ 」
淀川の水質は、測定地点の一部において水質環境基準を達成できていない項目が 残されているものの、水源水質保全関係の法整備や排水規制、下水道の整備等によ り、河川汚濁に関する代表的な指標であるBODやアンモニア態窒素でみると、従 来に比べ全体的な改善が見られます。しかしながらその一方で、近年、淀川河川水 から医薬品や有機フッ素化合物等の微量有機化学物質が検出されるなど、都市河川 特有の水質問題への懸念が広がっています。また、取水や浄水処理に影響を与える 可能性がある油流出などの水質事故が、年間 2 0 件以上発生しています。このうち 実際に企業団が影響を受けたのは数件ですが、水質事故に対する迅速かつ的確な対 応が求められています。
琵琶湖・淀川の水質汚濁防止に対して企業団は、「淀川水質協議会」、「淀川水質汚 濁防止連絡協議会」への参画を通じて、水源水質保全活動を実施し、排水水質の規 制強化、窒素・リンの削減対策、公共下水道や合併浄化槽の整備等の取り組みを促 し、一定の効果をあげています。
今後も、気候変動や水質変動に留意して、流域全体の視点に立った水源水質保全 施策を継続する必要があります。
0.00 0.50 1.00 1.50 2.00 2.50 3.00
S 40 S 46 S 52 S 58 H1 H7 H13 H19
年 度
アンモニア態窒素(mg/L)
0.0 5.0 10.0 15.0
BOD(mg/L)
アンモニア態窒素 B OD
水質環境基準(B 類型) B OD 3.0mg/ L
淀川(枚方大橋右岸)でのアンモニア態窒素・BOD の経年変化
0 10 20 30 40
S 34 S 38 S 42 S 46 S 50 S 54 S 58 S 62 H3 H7 H11 H15 H19 年 度
発生件数
油流出 魚浮上 その他
琵琶湖・淀川流域での水質事故発生件数の経年変化
(2)浄水処理と浄水水質
企業団では、かび臭などの異臭味対策やトリハロメタン等の消毒副生成物の低減 化を目的として、平成5年度からオゾン・活性炭処理による高度浄水処理システム を順次導入し、平成 1 3 年度の尼崎浄水場(更新後)の稼働時点で構成4市に供給 する全量を高度浄水処理水としました。これにより、従来の浄水処理方法(凝集沈 澱・ろ過)で十分対応できなかった異臭味物質の除去や消毒副生成物の抑制等に、 顕著な効果が現れています。
平成 1 6 年度の水道水質基準改定により、水質基準(項目、値)は、逐次改定さ れることになっています。今後も水源水質の動向や、近年、多様化している利用者 の皆様のニーズを的確に把握した上で、適正に対応していくことが必要であると考 えています。
従 来 の 浄 水 処 理 システム
(平 成 3年 度 )
0% 20% 40% 60% 80% 100% 微 生 物 学 的
安 定 性
色 度 成 分 除 去
有 機 化 学 物 質 除 去
消 毒 副 生 成 物 生 成 抑 制 異 臭 味 成 分
除 去 懸 濁 物 質
除 去
現 行 の 高 度 浄 水 処 理 システム
(平 成 18年 度 )
0% 20% 40% 60% 80% 100% 微 生 物 学 的
安 定 性
色 度 成 分 除 去
有 機 化 学 物 質 除 去
消 毒 副 生 成 物 生 成 抑 制 異 臭 味 成 分
除 去 懸 濁 物 質
除 去
浄水処理システムの評価
阪神水道企業団の浄水処理フロー
①着水井 ②凝集沈澱 ③オゾン処理 ④活性炭処理 ⑤ろ過池 ⑥浄水池
淀川から取水・導水 された原水を受入れ るところで、浄水処 理にむけてpH調整等 を行います。
凝集剤(硫酸アルミ ニウム)を注入し、 攪拌することで、原 水中の懸濁物質を大 きくして沈めます。
強い酸化力を持つオ ゾンにより、水中の 微生物の活動を抑制 し、かび臭物質等の 有機物を分解します。
オゾン処理で分解さ れた有機物を活性炭 の吸着力と活性炭表 面に付着した微生物 の働きにより除去し ます。
砂などのろ材を通過 させることで、水中 に残った細かい懸濁 物質を除去します。 浄水処理の最終工程 です。
浄水処理された水を 一旦貯留し、安定的 に送配水します。
原水
凝集剤
オゾン
塩素
活性炭
① ② ③ ④ ⑤ ⑥
ポンプ
①着水井 ②凝集沈澱 ③オゾン処理 ④活性炭処理 ⑤ろ過池 ⑥浄水池
淀川から取水・導水 された原水を受入れ るところで、浄水処 理にむけてpH調整等 を行います。
凝集剤(硫酸アルミ ニウム)を注入し、 攪拌することで、原 水中の懸濁物質を大 きくして沈めます。
強い酸化力を持つオ ゾンにより、水中の 微生物の活動を抑制 し、かび臭物質等の 有機物を分解します。
オゾン処理で分解さ れた有機物を活性炭 の吸着力と活性炭表 面に付着した微生物 の働きにより除去し ます。
砂などのろ材を通過 させることで、水中 に残った細かい懸濁 物質を除去します。 浄水処理の最終工程 です。
浄水処理された水を 一旦貯留し、安定的 に送配水します。
原水
凝集剤
オゾン
塩素
活性炭
① ② ③ ④ ⑤ ⑥
ポンプ
原水
凝集剤
オゾン
塩素
活性炭
① ② ③ ④ ⑤ ⑥
ポンプ
(3)水質管理
企業団では、取水から送配水過程にわたって、各種水質自動分析装置による監視 や水質試験所による精密な検査などを行い、安全で良質な水を供給しています。水 質検査は、水質基準項目に加えて、水質管理上必要な項目を考慮した「水質検査計 画」を策定し計画的に実施しています。また、水質検査計画や水質検査結果につい ては、ホームページ上で公表しています。
原水水質については、淀川水質協議会や淀川水質汚濁防止連絡協議会と連携して 琵琶湖・淀川で定期的に水質調査を実施し、水源水質の動向を把握しています。取 水場では、浄水処理に影響を及ぼす項目について監視するとともに、突発的な水質 事故等にも対応するために、バイオアッセイや原水水質連続監視装置により連続監 視を実施しています。
浄水場では、適切に浄水処理が行われていることを各浄水工程で確認するととも に、浄水について水道水質基準より厳しい水質管理目標値を設定し、管理を行って います。
管路では、いかなる場合にも水道水質基準を満足できるよう、水質自動分析装置 や塩素追加注入設備を設置して、常時監視しています。
神戸市
芦屋市
西宮市
尼崎市
大阪湾
大阪市 淀
川
大道取水場
淀川取水場 猪名川浄水場
尼崎浄水場 甲東ポンプ場
甲山調整池 芦部谷接合井 上ヶ原量水池
西宮ポンプ場 越木岩受水池
芦屋調整池 本山配水池
篠原量水池
水質検査地点
水質検査地点位置図
水質試験所では、水質検査結果の信頼性を確保するために、日本水道協会が認定 する「水道水質検査優良試験所規範(水道GLP)」に基づいた品質管理システムを 構築し、平成 1 8 年8月に同協会から G L P 認定水質検査機関として認定されてい ます。
企業団の給水エリアは広く、浄水処理から蛇口までの滞留時間が長い地域がある ことや、送配水管路の経年化等の影響によって、送配水過程における残留塩素低下 等の品質低下対策が課題となっています。
現状の水質管理は、水道用水供給を行っている企業団と末端給水を行っている構 成4市が個々に実施していますが、信頼性の向上を目的とした一元的な水質管理の 検討は、構成 4 市と行っています。今後、送配水過程における水質管理の取り組み や新たな水質問題への対応を考えると、水源から蛇口までをひとつの水道システム としてとらえた水質管理について研究・検討していく必要があると考えています。
ガスクロマトグラフ質量分析計
(有機化合物の検査に使用)
誘導結合プラズマ質量分析計
(金属類の検査に使用)
水道 GL P 認定マーク
水道 GL P 認定内容
認定番号 J WWA ‒ GL P012
事業者名 阪神水道企業団
水質検査機関 水質試験所
適用基準 水道水質検査優良試験所規範(水道 GL P)
認定範囲 水道水質基準 51 項目 水道水・浄水
認定機関 (社)日本水道協会 水道 GL P 認定委員会
(4)まとめ
以上より、企業団における「安心できる水の供給」面からみた課題を整理すると 次のようになります。
区 分 課 題
水源水質 ・将来の気候変動や水質変動に留意した水源水質保全施策の継続
浄水処理等
・水源水質の変動への対応
・水質事故への対応 水質管理
・送配水過程における品質低下への対応
・『ひとつの水道システム』としての水質管理の研究・検討
4.安定的な水の供給
(1)水源
水道は、市民生活や経済活動を支える重要なライフラインであるため、安定した 給水を確保する必要があります。
企業団では、これまで水需要に応じて水源確保に努めてきており、第5期拡張事 業において、琵琶湖開発事業、日吉ダム建設事業、丹生ダム建設事業、猪名川総合 開発事業に参画してきました。現在では、琵琶湖開発事業、日吉ダム建設事業の概 成により日量 1 ,1 9 3 ,8 0 0 m3の水源量を確保しています。なお、丹生ダム建設事 業、猪名川総合開発事業については、水需要を踏まえて見直しを行っています。
今後、地球温暖化等に起因する気候変動により、渇水リスクが高まることも予想 されるため、水源の安定性について留意していく必要があります。
阪神水道企業団が参画しているダム位置図
(見直し中)
(2)施設
阪神地域における水道施設の基幹であり、重要度の高い企業団の施設については、 安定供給を継続するために、施設の経年劣化への対応や耐震性能の低い施設の解消 を着実に実施していく必要があります。
これまでも、更新を適切に実施し、健全な機能の維持に努めてきましたが、阪神・ 淡路大震災時には、経年化施設が大きな被害を受けたことにより、十分な水量・水 圧を確保できませんでした。その反省を踏まえ、平成 7 年6月に策定された「阪神 水道企業団施設耐震化提言書」※において、企業団施設に対して構成 4 市の水源と して、施設の耐震化の観点を含めたより高い安定性の確保が求められました。
このため、平成 8 年3月に「阪神水道企業団施設耐震化基本計画」を策定し、こ れに基づき、施設の更新や耐震化を順次進めてきています。
なお、国(厚生労働省)は、「水道施設の技術的基準」を定める省令の一部改正等 において(平成 2 0 年3月 2 8 日公布)、より一層の耐震化の計画的実施を要請して います。
※ 阪神水道企業団施設耐震化提言書
阪神・淡路大震災後、「地震に強い安定した水道用水供給システム」の構築を目的として、学識経 験者や厚生省(当時)等関係行政機関、構成4市、水道事業体並びに関係団体から構成される阪神水 道企業団水道施設耐震化計画検討委員会から受けた施設耐震化に関する提言です。
施設の被害状況(猪名川浄水場 漏水) 管路の被害状況(φ 1500mm 送水管継手抜け出し)
①構造物
企業団の施設は、築造時期ごとに、下表のとおり3世代に大別されます。この うち 1 ・2 期の構造物は、現在更新中のものも含めると概ね更新が終了しますが、 施設能力の割合が大きい 3 ・4 期の構造物は、施設更新を考える時期に到達してい ます。
また、阪神・淡路大震災で被災した構造物の一部は応急復旧にとどまっている 上、劣化が進行している恐れもあることから、構造物の現状について、正しく把 握することが課題となっています。
重要度の高い浄水施設では、経年化とともに、震災において被害を受けた旧尼 崎 浄 水 場 と 旧 甲 山 浄 水 場 を 統 合 ・ 全 面 更 新 し て い ま す ( 計 画 能 力 日 量 3 7 3 ,0 0 0 m
3
の半量分)。基幹浄水場である猪名川浄水場の 3 ・4 期の構造物も震 災で被害を受けており、経年化も進んでいることから、耐震性向上を中心とした 安定供給のための健全度確保が課題であると考えています。
拡張事業別の主な施設 計画一日
最大給水量
(m
3
/ 日)
実施時期
主な施設
(平成 20 年4月現在)
1・2 期施設 373,000 S 12∼S 31
・淀川取水場(一部更新中)
・尼崎浄水場(新尼崎浄水場として半量分更新済)
・甲山浄水場(調整池として更新済)
・西宮ポンプ場(未更新)
3・4 期施設 595,000 S 33∼S 47
・大道取水場(未更新)
・猪名川浄水場(災害復旧)
・甲東ポンプ場(未更新)
5 期施設 321,900 S 55∼H21(予定)
・大道取水場
・猪名川浄水場
・甲東ポンプ場
②管路
管路については、震災以降、経年化とともに機能が低下した 1 ∼3 期を中心に、 年平均2%程度の延長割合で更新を行ってきましたが、今後、数年内に 4 期系統 も更新対象管路(布設から 4 0 年以上経過した経年化管路)に加わってくるため、 更新対象管路は全体の半分程度となります。
これら更新対象管路には、石綿セメント管(内面更生済み)やコンクリート管、 鋳鉄管等の耐久性の低い管種や耐震性の低い継手を有する管種が存在しているた め、一部で漏水事故が発生するなど問題が顕在化しています。
また、一般的に耐震性が高いとされるダクタイル鋳鉄管や鋼管のほか、山岳部
を通過するコンクリートトンネルにおいても、劣化事象などを分析の上、更新の 必要性について検討していく必要があると考えています。
③機械・電気設備
機械・電気設備も、水道水の安定供給継続に大きな役割を果たしています。 高度浄水処理システムの導入により設備機器は大幅に増加しましたが、これら の機器類は消耗品の集合体であり耐用年数が短いため、今後の整備費用増大が想 定されます。この対応として、経年化設備機器の延命化に努め、可能な限り更新 費用の平準化に努めています。
また、震災時には、情報通信設備が被害を受け、構成4市や他事業体、関係機 関との情報交換などに影響が生じました。このことから、「阪神水道企業団施設耐 震化基本計画」を踏まえ、これまで通信回線のループ化や二重化などを実施して きました。
更新対象管路(1∼4 期系統)の管種別割合 (平成 19 年度末現在)
管体の破裂状況 大規模漏水による浸水状況
コンクリートトンネル, 11%
ダクタイル管, 20%
鋼管, 4% 46%
鋳鉄管, 6% コンクリート管, 5% 石綿セメント管, 0.3%
更新対象
全管路延長:約186km
(3)施設のバックアップ能力
水道施設には、事故や地震等により一部が停止した場合、あるいは大規模工事等 により長期間停止する場合でも供給を継続するために、各施設においてバックアッ プ能力を確保しておくことが望まれます。
①浄水場能力
現在の企業団の浄水能力は、尼崎浄水場系統が日量 1 8 6 ,5 0 0 m
3
、猪名川浄水 場系統が日量 9 1 6 ,9 0 0 m3となっており、全浄水能力の約8割が猪名川浄水場系 統に偏っています。そのため、同系統の施設が停止すると水供給に大きな影響が 生じるため、3・4期施設の耐震化等を進める上での支障にもなっています。
現在、進行中の新尼崎浄水場Ⅱ期工事の完成により、尼崎浄水場の浄水能力が 日量 3 7 3 ,0 0 0 m
3
となることで、浄水場間の能力バランスが改善されることや、 猪名川浄水場の3・4期施設を長期間停止させることが可能となることから、新 尼崎浄水場Ⅱ期工事を計画通り進めています(平成 2 1 年度完成予定)。
系統ごとの施設能力
施設能力(日量)
系統別施設
現状 新尼崎浄水場Ⅱ期施設整備後
尼崎浄水場 1・2 期施設 186,500m
3
373,000m
3
3・4 期施設 595,000m
3 595,000m
3
(更新時に能力見直し)
猪名川浄水場
5 期施設 321,900m
3
321,900m
3 0%
20% 40% 60% 80% 100%
現状 新尼崎浄水場Ⅱ期施設整備後
尼崎浄水場 猪名川浄水場
浄水場間の能力バランスの改善
②浄水貯留容量
事故発生や水質異変などで浄水処理が停止した場合でも安定供給を継続するた めには、調整池や配水池等の浄水貯留容量を十分確保することが望まれます。
企業団では、先の震災時、貯留容量不足のため浄水の貯留・調整機能を十分に 発揮できなかった反省から、「阪神水道企業団施設耐震化基本計画」において貯留 能力の向上の必要性を示し、整備に努めてきました。
その結果、震災当時の浄水貯留容量は一日平均配水量に対して約 5 時間分でし たが、平成 1 8 年度の甲山調整池(容量 8 0 ,0 0 0 m3)完成時点で約 8 時間分確 保できるようになりました。
甲山調整池 : 80,000m
3
(西宮市甲山町)
甲東第 1 調整池 : 14,000m
3
(西宮市上大市 甲東ポンプ場内)
③管路形態
企業団の管路は、尼崎浄水場系統と猪名川浄水場系統との大きく2系統で構成 されていますが、その大部分は系統内で複数化され、危険分散が図られています。
しかし、一部の管路は複数化されず単一管路で断水が困難となっているため、 バックアップ管路の確保が課題となっています。また、尼崎浄水場系統と猪名川 浄水場系統を接続する連絡管は一部しか布設されておらず、安定供給上の課題と なっています。
なお、企業団設立当時に受水団体(当時、1 6 市町村)へ送水していた送水支 管が、現在は配水管として使用しているという背景もあり、時間配水調整が可能 な貯留施設が設けられていないエリアがあります。そのため、企業団が直接配水 している地域もあるため、ポンプ場等での配水圧調整や配水調整容量が必要にな っています。
一般的な用水供給形態 阪神水道企業団の用水供給形態(一部)
甲山調整池 芦部谷接合井
甲東ポンプ場 猪名川浄水場 大道取水場
越木岩調整池 西宮ポンプ場 尼崎浄水場 淀川取水場
企業団の施設配置形態
5 期
3・4 期
1・2 期
④停電時の対応
浄水処理や導送配水の動力源である電力供給のバックアップも、安定供給には 不可欠です。
企業団では、停電時の影響が最小限となるよう、取水場、浄水場、中継ポンプ 場で受電している回線の複数系統化を図っています。
また、万一の停電時のバックアップとして、淀川取水場、尼崎浄水場、西宮ポ ンプ場には、自家発電設備(ガスエンジン発電機等)やエンジンポンプ設備を保 有していますが、大道取水場、猪名川浄水場、甲東ポンプ場は、保安電力用の非 常用電源しか設置されていません。
阪神・淡路大震災では、1時間程度の停電が生じており、今後も総合的な水運 用を考慮しながら停電対策を強化していく必要があると考えています。
なお、ポンプには落雷による瞬時電圧低下(瞬低)の対応として、瞬低に強い ポンプ設備の採用や瞬低対策プログラムの導入などを行っています。
尼崎浄水場ガスエンジン発電機
(4)安定供給体制
安定供給を維持するためには、施設の健全化、バックアップ施設の確保などのハ ード面での整備に加えて、監視制御システム、運転管理技術並びに危機事象への対 応といったソフト面での体制整備も必要です。
①監視制御システム
事故発生時に、被害状況の把握や緊急措置等を迅速・的確に行うためには、連 続的に監視できる監視制御システムの構築が重要です。
企業団では、点在する6箇所の導送配水ポンプ設備を遠隔監視制御するための センター設備を整備し、甲東ポンプ場(送水センター)で総合的な運転管理を集 中的に行っています。
このシステムは、現在、更新工事を行っているところですが、これに伴い、瞬 低対策等の機能が加わり、危機管理対応能力の向上が図られることになります。
制御バス
制御用L A N(E thernet)
プラント監視制御(主・従)系 広域イーサーネット網 広域イーサネット(既設)
0 2 4 6 8 10 12 14
4時5時6時7時8時9時10時11時12時13時 系 列 1
系 列 2
系 列 3
大型スクリーン CRT CRT
運用支援 テ ゙ー タ ヘ ゙ー ス 装置
WE Bサ ー ハ ゙ 帳票PC
既設情報システムPC
G/ W
C O NT C O NT C O NT
P
送水ポンプ
受配電設備
P
配水ポンプ
I/ F 装置
淀 川
大 道
猪 名 川
尼 崎
西 宮 構成4市
送水センター 庁内LAN
圧力・流量
インターフェイス装置
センター設備の制御システム
②運転管理技術
安定した水道用水の供給を行うためには、施設の監視制御システムの導入など とともに、施設を運転管理する職員等の技術力確保が重要です。
企業団では、施設の維持管理や運転管理においても、効率化を目的とした技術 開発を行っており、費用の縮減と運転管理技術の向上に努めてきました。
また、技術研修等による企業団職員の技術力の確保に加え、浄水場などの運転 管理業務の委託業者に対しても、企業団内部の研修等への参加を呼びかけるなど、 技術力の維持・向上を求めています。
今後も、適切な運転管理を継続するため、運転管理技術の維持・向上が必要で あると考えています。
③危機事象への対応
不測の危機事象に対しては、施設の耐震化等のハード面を中心とした事前の対 策とともに、具体的な行動マニュアルの作成やマニュアルに基づいた実践的な訓 練等、ソフト面を中心とした事後対策の充実も重要です。
これまで、事前対策として、老朽化施設・管路の更新、浄水場等における警備 の強化や、集中豪雨対策として浄水場やポンプ場で浸水対策事業等を実施してき ました。
また、事後対策としては、職場内研修や訓練の実施などに加えて、職員参加型 のワークショップ形式により「危機管理対策基本計画」を作成することで、企業 団職員の危機意識の向上を図ってきました。さらに、危機発生時の行動マニュア ルとして、「危機管理対策マニュアル」や「クリプトスポリジウム等対策マニュア ル」などを策定して、構成4市と連携を図りつつ不測の危機に備えてきました。
近年は、施設事故のほか、地震、台風及び集中豪雨等の自然災害や人為災害等、 危機事象が多様化していることから、対応能力の向上を図る必要があると考えて います。
(5)まとめ
以上より、企業団における「安定的な水の供給」面の課題を整理すると次のよう になります。
区 分 課 題
水源 ・気候変動に伴う渇水リスクを考慮した水源の安定性確保 施設
・経年化施設の現状把握と耐震性の向上
・非耐震管や老朽管等の更新 バックアップ
能力
・浄水場系統間の連絡管路の整備
・停電への対応 安定供給体制
・職員の技術力の維持・向上
・多様化する危機事象への対応
5.効率的な経営
今後も効率的に事業経営を継続していくためには、明確なビジョンの下での適切な
「財政管理」、「組織・人事管理」が必須で、さらには外部への「情報発信」について も重要であると考えています。
(1)財政
①分賦金
企業団の経営は、構成4市に対する給水量を基準として決定する分賦金を主な 財源として成り立っています。
分賦金の基礎となる年間給水量は、構成4市からの要請水量を基に、責任水量
(分賦基本水量)として定めており、また、分賦金単価(分賦割合)については、 算定期間(概ね4年間ごとの財政計画期間)における所要資金を基礎とした『総 括原価方式(資金ベース)』により算定しています。
責任水量と分賦金のイメージ 対価負担のイメージ
これまで企業団は、第5期拡張事業や水源開発事業といった、大規模な投資に かかる資本費(減価償却費、支払利息等)の急激な変動による分賦金への影響を 考慮し、内部留保資金を活用することにより構成4市の当面の受水費高騰の抑制、 平準化を図ってきました。
今後も、可能な限り現行分賦金単価を維持することにより構成4市の受水費負 担の軽減に努めていく必要があると考えています。
①必要水量の要請
構成4市
阪神水道企業団
③分賦金
供給能力の確保 必要水量の算定
②必要水量の供給
水道水
阪神水道企業団
構成4市
分賦金
利用者の皆様
水道料金 水道水
サービス提供の流れ
対価負担の流れ
②財政状況
昭和 5 3 年度に着手した第5期拡張事業や水源開発事業などについては、厚生 労働省の水道施設整備に関する国庫補助金の確保に努めるとともに、構成4市か らの出資金や企業債の借り入れ等を主な財源としてきました。
平成 1 2 年度の第5期拡張事業の概成により、平成 1 3 年度に資本費が急増し て以来、純損失の発生が続いており、多額の累積欠損金を計上しています。この 状況は企業団財政における課題であると認識しています。
これについては、琵琶湖開発事業割賦負担の完了(平成 2 6 年度)などにより 将来的には改善する見通しもありますが、収支の改善を進めるためには、より計 画的かつ効率的な財政運営を図る必要があると考えています。
△ 14, 000, 000
△ 12, 000, 000
△ 10, 000, 000
△ 8, 000, 000
△ 6, 000, 000
△ 4, 000, 000
△ 2, 000, 000 0 2, 000, 000
H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 金額( 千円)
当 年 度 純 損 益 累 積 損 益
当年度純損益と累積損益の推移
△ 4, 000, 000
△ 2, 000, 000 0 2, 000, 000 4, 000, 000 6, 000, 000 8, 000, 000 10, 000, 000 12, 000, 000
H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19
当 年 度 資 金 過 不 足 額 当 年 度 末 資 金 残 額 金 額 ( 千 円 )
資金収支と資金残額の推移
給水原価の構成を見ると、減価償却費や支払利息といった固定的経費が大きな 割合を占めていることからも、原価の大幅な圧縮は難しい面もありますが、職員 数の削減や高金利企業債の繰上償還等による支払利息の軽減など支出の抑制に努 めており、単年度純損失については、徐々に減少傾向にあります。
給 水 原 価 の 推 移
0 10 20 30 40 50 60 70 80
H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 金 額 ( 円 )
職 員 給 与 費
浄 化 費
動 力 費
施 設 管 理 費
委 託 費
水 源 管 理 費
減 価 償 却 費
支 払 利 息
そ の 他 ( 物 件 費 ・ 諸 費 等 )
給水原価の内訳と推移
また、このような支出抑制の取り組みに加え、浄水場上部空間への商業施設誘 致など、資産の有効活用による付帯収入の確保にも努めています。
今後も、これらの取り組みを継続していく必要があると考えています。
尼崎浄水場浄水池上部空間への商業施設誘致
(2)組織・人事
①組織
時代や環境が変化すれば、企業団に求められる役割も呼応して変化するもので あり、組織体制については、その変化に対応し、常に見直しを行い最適化するこ とが必要であると考えています。
企業団では、これまで第5期拡張事業の概成やセンター設備の導入、運転管理 業務委託の導入、浄水場の統廃合等により、順次、組織再編を行ってきました。
現在は、維持管理部門の効率化を図るために、平成 1 8 年2月に策定・公表し た改革推進プラン
※
に基づき、従来の事業場単位での組織体制から製造工程と供 給工程に区分した機能別組織への再編を実施しているところです。
これにより、事業場の組織体制を下図のとおり集約する予定です。
事業場組織再編
浄水管理事務所
送水センター 水質試験所 大道事業所(取水場)
淀川事業所(取水場) 猪名川事業所(浄水場)
尼崎事業所(浄水場) 甲東事業所(ポンプ場)
水質試験所
平成17年度時点 平成22年度計画
また、平成 2 0 年4月には、今後の諸施策の遂行を視野に入れつつ3部制(総 務部・管理部・建設部)から2部制(総務部・技術部)へ再編しています。
今後も、社会情勢の変化等に柔軟に対応しつつ、効率的に事業運営を継続して いくためには、常に最適な組織体制への見直しを図る必要があると考えています。
※ 改革推進プラン
企業団内部に設置した改革推進委員会において平成 1 8 年2月に策定・公表
組織再編、業務委託化の拡大等による職員定数削減を主な内容とした計画(計画期間:平成 1 8 ∼2 7 年度)
②人事
第5期拡張事業が開始されたことにより、企業団の職員数は、昭和57年度に おいて 3 6 5 人に達しましたが、その後、順次削減を図ってきており、平成 2 0 年4月時点で 2 5 1 人になっています。
200 220 240 260 280 300 320 340 360 380
S57 H1 H2 H3 H4 H5 H6 H7 H8 H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20.4 年度 人
職員数の推移
経営効率化の観点から、新規採用の抑制を中心とした人員削減を進めています が、若年層が少ないといった年齢構成を考慮すると、適切に人材を確保していく 必要があると考えています。
また、技術の継承は水道事業体だけでなく、わが国の製造業全般における共通 課題となっています。企業団においても例外ではなく、これまで培ってきた技術 の継承や人材の育成が必要不可欠であると考えています。
今後も事業を継続していくためには、適切に人材を確保していくとともに、研 修制度を充実させるなど、職員の意識改革等による人材の育成に努めていく必要 があると考えています。
0 10 20 30 40 50 60
20 歳
未 満
20 歳
以 上
2 5歳
未 満
25 歳
以 上
3 0歳
未 満
30 歳
以 上
3 5歳
未 満
35 歳
以 上
4 0歳
未 満
40 歳
以 上
4 5歳
未 満
45 歳
以 上
5 0歳
未 満
50 歳
以 上
5 5歳
未 満
55 歳
以 上
6 0歳
未 満
60 歳
以 上 (人)
平成18年度 平成28年度
年齢構成の推移(新規採用者を除く)
(3)情報発信
企業団では、利用者の視点に立ち、積極的な情報発信・広報に努めていく必要が あると考えており、施設や業務内容を知っていただけるように、「浄水場の一般開放」 や構成4市と協力したイベントなどの活動を実施するほか、ホームページを中心に 水質検査結果をはじめ財務、契約情報等を、広くお知らせするよう努めています。
今後も、求められる情報を的確に把握した上で、構成 4 市との連携のもと、確実 な情報発信・広報に努めていく必要があると考えています。
尼崎浄水場一般開放イベント
(4)構成4市との連携
利用者の皆様に、より良い水道サービス(安全な水の安定供給)の提供を継続し ていくためには、企業団と構成4市の連携が不可欠です。
これまでも、企業団と構成4市との間では、担当者及び管理者間において定期的 な会議を設け連絡を密にするとともに、水質検査や危機事象への対応などについて 連携を図るよう努めてきました。
また、平成 1 6 年度には、「経営問題研究会」を発足させ、構成4市とともに、水 道事業経営の現状の問題点と将来像を議論し、広域的・一元的な視点での施設のあ り方を中心に研究を行ってきました。
今後も、社会・経済情勢の変化に適切に対応していくためには、一層の連携が不 可欠であると考えています。
構成4市とともに、これまでの議論や成果等を踏まえ、他地域の事業体で検討さ れている議論も参考にしながら、「広域的」、「一元的」な視点で事業効率化に向けた 検討を継続していくとともに、地域特性を踏まえつつ社会・経済情勢の変化に適切 に対応していくためには、常に新たな取り組みを模索していきたいと考えています。
(5)まとめ
以上より、企業団における「効率的な経営」面からみた課題を整理すると次のよ うになります。
区 分 課 題
財政
・ 計画的かつ効率的な財政運営
・ 支出の抑制、収入の確保
組織・人事
・ 状況に即した組織編成
・ 人材の確保、育成 情報発信 ・ 情報発信の充実
構成4市との連携 ・ 構成4市との連携強化
6.環境への配慮
(1)エネルギー利用
企業団においても、地球温暖化を抑制するため、二酸化炭素等の温室効果ガスの 排出量削減に努めています。
温室効果ガス排出量は、水運用変更によるポンプ運転方法により大きく左右され ますが、企業団では、供給距離が長いことや地形的な特徴から、取水から送配水ま での大部分をポンプ圧送しており、ポンプ運転による電力消費量の抑制は、エネル ギー消費に伴う環境対策として重要な要素となっています。
これまで、「阪神水道企業団地球温暖化対策実行計画」を策定し、省エネルギー型 ポンプの導入や電力消費を抑制する運転操作等による省エネルギー施策の実施や、 太陽光発電やコージェネレーションシステム等の新エネルギーの導入により、環境 負荷低減に努めています。このような取り組みにより、平成 1 9 年度の温室効果ガ ス排出量は、尼崎浄水場の稼働を開始した平成 1 3 年度と比較して6%の削減を達 成しています。
今後も省エネルギーを考慮した運転管理により、更なる省エネルギー化に努める 必要があると考えています。
尼崎浄水場ろ過池覆蓋での太陽光発電
※ 温室効果ガスの排出量の推移
平成1 3 年度以降、省エネルギー型ポンプの導入や電力消費量を抑制するポンプ運転操作により温室効 果ガス排出量は減少し、平成 1 7 年度には平成 1 3 年度比で約 7 %削減の削減効果が得られました。
平成 1 8 年度以降、管路更生工事に伴う断水対策として、水運用を変更していることにより、平成 1 7 年度に比べると温室効果ガス排出量が増加する結果となっています。
(2)資源の有効利用
河川から取水した原水中に含まれる砂等の濁り成分は、浄水処理の過程で取り除 かれ、浄水発生土として排出されます。環境影響を抑制することを考えると、それ を資源としてとらえ、有効利用することが求められています。
企業団で発生する浄水発生土は、平成 1 3 年度まで埋立処分していましたが、平 成 1 4 年度からはグラウンド用土や園芸用土原料として全量有効利用しています。 このうち、尼崎浄水場で発生する浄水発生土は、コージェネレーション設備(C G S ) の排熱を利用して造粒乾燥ケーキを製造し、園芸用土原料として売却しています。
また、毎年発生する使用済粒状活性炭についても、園芸用土原料として売却して います。
今後も継続して浄水発生土を 1 0 0 %有効利用していくための調査・検討を継続す るとともに、工事等から発生する残土などの建設副産物についても、再利用の促進 に一層努めていく必要があると考えています。
温室効果ガスの排出量の推移
※
40,000 45,000 50,000 55,000 60,000 65,000 70,000
H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19
CO2換算温室効果ガス排出量(t−CO2)
6 %削 減
0 5,000 10,000 15,000 20,000
H8 H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 年 度
浄水発生土量(t)
埋立処分 グラウ ンド用土 セ メント原料 園芸用土
浄水発生土の有効利用状況推移
CGS の廃熱を利用した浄水発生土の有効利用フロー
送配水ポンプ ガスエンジン
発電機
造粒乾燥機 水分60%
脱水機 加温槽
濃縮槽
電気電気 電気
電気効率の向上 電気効率の向上
天然ガス天然ガス 天然ガス
排水処理の能力アップ 排水処理の能力アップ
有効利用有効利用
蒸気ボイラ
電 気 電電 気気
水分35%
吸収式 冷凍機
排熱温水排熱温水 排熱温水 排ガス排ガス
排ガス
オゾン発生器 管理棟管理棟 薬品貯蔵庫薬品貯蔵庫
空 調 空 調