YAMAGATA UNIVERSITY
2011年ノーベル物理学賞
加速膨張する宇宙
http://www.nobelprize.org/
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2011年ノーベル物理学賞
“Some say the world will end in fire;
Some say in ice…”,
(Robert Frost, Fire and Ice, 1920)What is the fate of the Universe? Probably it will end in ice if we are
to believe this year’s Nobel Laureates.
They have carefully studied several dozen exploding stars, called
supernovae, in faraway galaxies and have concluded that
the expansion of the Universe is speeding up .
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本題に入る前に・・・
皆さんの『体重』はどうして ?? kg なのでしょうか?
『物質』は『分子』から出来ている
水分子 H2O 1 mol の重さは 18g 水素分子 H2 1 mol の重さは 2g
『分子』は『原子』から出来ている 水素原子 1 mol の重さは 1g 炭素原子 1 mol の重さは 12g
人の体は70%が水で、あとは炭素、窒素、まあそんなもの。
『体重』は結局原子の『個数』(何 mol あるか?) で決まる。 H OH
H H
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本題に入る前に・・・ 原子の重さは
例えば炭素は
原子核+6個の電子
炭素の原子核は
陽子 6個 中性子 6個
陽子・中性子の中には クォーク 3個
原子核の重さは
電子の重さの何万倍
『体重』を決めるのは 原子核の個数
原子核の重さは
陽子・中性子の数で決まる
『体重』は結局、陽子・中性子の数
クォーク3個の質量は
陽子の 約100分の1 陽子の質量の99%はどこから?
= 『体重』の99%はどこから来るのだろうか?
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2011年ノーベル物理学賞受賞者
Saul Perlmutter
1959, Champaign-Urbana, IL, USA Lawrence Berkeley National Laboratory,
Berkeley, CA, USA, University of California,
Brian P. Schmidt
1967, Missoula, MT, USA Australian National University,
Weston Creek, Australia
Adam G. Riess
1969, Washington, DC, USA Johns Hopkins University,
Baltimore, MD, USA, Space Telescope Science Institute, Birth
Affiliation
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関連するノーベル物理学賞
1978年 アーノ・ペンジアス、ロバート・W・ウィルソン 宇宙マイクロ波背景放射の発見
2006年 ジョン・C・マザー、ジョージ・スムート
宇宙マイクロ波背景放射が黒体放射の形をとること およびその非等方性の発見
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宇宙の構造: 天動説 ~ 16世紀
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宇宙の構造: 地動説 16世紀
http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/5/57/Heliocentric.jpg
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宇宙の構造: 太陽系
http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/c/c3/Solar_sys8.jpg
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宇宙のはてを探る
そもそも『宇宙の果て』はあるのだろうか?
光の速度 300 000 000 m/s → 秒速 30万 km
※ 地球の円周は 4万 kmなので
『光は一秒で地球を7回転半回る』(30/4=7.5)と言われます。
地球と太陽との距離 1億5000万 km
→ 太陽で発した光は 15000/30 = 500秒後、 8分強後に地球に到着
→ 今見ている太陽は 『約8分前の太陽』
遠くの星を観測する = 過去の宇宙の様子を観測する事
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距離の単位 『光年』
太陽まで距離 1億5000万 km 冥王星までの距離 約60億 km
・・・・
宇宙の話では、距離の単位に『光年』を使う。
・ 光が一年かけて進む距離
・ 30万 km × 60 × 60 × 24 × 365 ~ 950 000 000 万 km 9兆5千億 km
・ 太陽系に最も近い恒星(プロキシマ・ケンタウリ) 4.22光年
・ 今回の話 超新星までの距離 数十億光年
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星までの距離を測る
通常、距離は『視差』を利用して測定される。
宇宙の大きさを測るには少し無理がある
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星までの距離を測る
この部分の光だけが、地球に到達する。
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星までの距離を測る
同じ明るさの星でも・・・・・
遠いと『暗く』
近いと『明るく』 見える
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星までの距離を測る
大事な事は
・ 同じ明るさの星
・ 本当の明るさが分かる星
を利用する事
『暗い』 ⇔ 『遠い』
『明るい』 ⇔ 『近い』
『標準灯』
が必要!!
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セファイド変光星
国立科学博物館 『宇宙の質問箱』より セファイド変光星 周期的に明るさが変化
変光周期と絶対等級(明るさ)に関係がある 周期が分かると、星の『真の明るさ』が分かる!
『見かけの明るさ』と比較すると、星までの距離が分かる!
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星は『近づいている?』それとも『遠ざかっている?』
星までの距離は 『標準灯』 があれば測定できそう!
星の速度を測るにはどうしたらいいのだろうか・・・
ヒント
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ちょっと実験
・ 440Hzの音をiPhoneから出す
・ iPhoneを紐付きの袋にいれて
・ 振り回す!!
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ドップラー効果
近づく 高く聞こえる
遠ざかる 低く聞こえる
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光のドップラー効果
近づく 青の方にずれる
遠ざかる 赤の方にずれる
『赤方偏移』
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宇宙の膨張速度測定
明るさから 距離をはかる
色から
膨張速度をはかる
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宇宙は『膨張』それとも『縮小』している?
Edwin Hubble, Astronomy 15 (1929) 168-173
650万光年 326万光年
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ビッグバン宇宙論
http://ja.wikipedia.org/wiki/ファイル:Universe_expansion.png
宇宙は『火の玉』から始まった
現在の宇宙: 膨張
膨張 収縮
停止
?
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本当に『ビッグバン』なんてあったのだろうか?
電子
原子核
電子は『原子』の中に束縛されている
低温
高温
電子
原子核
電子と原子核は自由に移動可能
『プラズマ状態』
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ビッグバンの証拠
低温
高温 光
直進出来る
直進出来ない
『晴れ上がり』
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宇宙の晴れ上がりと『宇宙背景放射』
『晴れ上がり』 宇宙が十分冷え、
宇宙が『晴れ上がり』、
宇宙を満たしていた光が、
自由に進む事が出来るようになる 宇宙が十分冷え、
宇宙が『晴れ上がり』、
宇宙を満たしていた光が、
自由に進む事が出来るようになる
晴れ上がりの時の『光』
宇宙背景放射を見つける事
⇔ ビッグバンの証拠
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宇宙背景放射の発見
1978年 アーノ・ペンジアス、ロバート・W・ウィルソン 宇宙マイクロ波背景放射の発見
宇宙が絶対温度3度の『光』で満たされている事を発見
2006年 ジョン・C・マザー、ジョージ・スムート
宇宙マイクロ波背景放射が黒体放射の形をとること およびその非等方性の発見
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宇宙背景放射: 現在の理解
W ilkinson
M icrowave
A nisotropy
P robe
: WMAP プロジェクト宇宙背景放射のゆらぎの程度
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背景放射とインフレーションモデル
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星の一生
原始星想像図http://www.naoj.org/
原始星
赤く見える星
クジラ座ミラ
牡牛座アルデバラン・・・
赤色巨星
シリウス伴星・・・
超新星爆発 軽い星
重い星
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Ia型超新星
白色矮星の生成
連星からガスを取り込む 質量増加
質量が太陽の1.44倍になると (チャンドラセカール限界)
超新星爆発
http://www.pha.jhu.edu/~bfalck/SeminarPres.html
明るさはいつも同じ
『標準灯』
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超新星の見つけ方
3週間後同じ場所を撮影 星が増えていたら、フォローアップ撮影
明るさの時間変化
Ia型超新星の 予想曲線
超新星の型を決定
.Ia、Ia、Ib、Ic,Ⅱ型超新星、 極超新星などがある
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Ia型超新星による宇宙膨張率の測定
見つかった超新星の色 赤方変位から位置を推定
Ia型超新星(明るさ一定) 『見かけの明るさ』を予想
『観測した明るさ』と比較
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Ia型超新星による宇宙膨張率の測定
Ia型超新星の等級
赤方偏位 = 超新星までの距離
赤方偏位から 予想される明るさ
明るい 暗い
予想よりも暗く見えている
予想よりも明るく より遠くに
加速膨張
より近くに 減速膨張
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加速膨張する宇宙
80億光年 80億光年
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宇宙は膨張し続けているのだろうか?
もっとも遠いIa型超新星 SN 1997ff による測定
ADAM G. RIESS 他
THE ASTROPHYSICAL JOURNAL, 560:49-71, 2001
予想と観測した等級の差
明るい 暗い
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背景放射とインフレーションモデル
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なぜ宇宙は加速膨張しているのだろうか?
物質間の重力 → 引力 減速
宇宙を大きく広げようとする 『斥力』 が働いているはず
実は未だに 『斥力』 の元は明らかでない
ダークエネルギー
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宇宙を構成するもの
物質
ダークマター
ダークエネルギー
「ふつ うの物質」 4.6 %
「ダークエネルギー」
「ダークマター」
「 暗黒物質」 23.3 %
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宇宙の進化: 現在の理解
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The findings of the 2011 Nobel Laureates in Physics
have helped to unveil
a Universe that is to 95% unknown to science .
And everything is possible again .
The findings of the 2011 Nobel Laureates in Physics
have helped to unveil
a Universe that is to 95% unknown to science .
And everything is possible again .
宇宙の95%が 『未知』 である事が明らかに!!
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参考書籍
『4%の宇宙』
宇宙の96%を支配する“見えない物質”と“見えないエネルギー”の正体に迫る リチャード・パネク (著), Richard Panek (著), 谷口 義明 (翻訳)
出版社: ソフトバンククリエイティブ (2011/8/10) ISBN-10: 4797365781
ISBN-13: 978-4797365788
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宇宙図
http://www.nao.ac.jp/study/uchuzu/