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国際金融
unit 5 為替レートをみる
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為替レートの見方
外国為替市場で決まっているのは、自国通貨と外国通貨の交 換レートである。
為替レートとは、通貨の交換比率を意味する。
1 ドル= 100 円と示されれば、1 ドルを 100 円と交換できると いう意味である。
この表示は、外国通貨に対して自国通貨がいくらかという表 示方法である。
これを自国通貨建てという。
逆に自国通貨1単位に対して外国通貨がいくらかという表示 方法は、外国通貨建てという。
1円=0.01 ドルと表示される。
「円高・ドル安」 「円安・ドル高」の意味
為替レートが1ドル=120円から1ドル=100円と、自国通 貨建てでみた場合に数字が小さくなるとき、円高・ドル安に なったという。
いままでは1 ドルを手にするために 120 円を支払わなければ ならなかったのが、100 円で 1 ドルと交換できるようなると いうこと。
円の価値が上がった。(円高) ドルの価値が下がった。(ドル安)
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「円高・ドル安」 「円安・ドル高」の意味
逆に、1ドル=120円から1ドル=130円になったときは、 円安・ドル高という。
1 ドルと交換するのに必要な円の価格が 120 円から 130 円に 上がった。
すなわち、円の価値が下がったために、1 ドルと交換するた めに支払わなければならない円の額が増えてしまったのであ る。(円安)
逆にいえば、ドルの価値が上がったこと。(ドル高)
「円高・ドル安」 「円安・ドル高」の意味
一般に、通貨価値が上がることを増価(「増加」ではな い!)、通貨価値が下がることを減価という。
円ドルの為替レートが1ドル=120円から1ドル=130円に なったときは、円が減価し、ドルが増価したことになる。
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クロス・レート
ある通貨からみて、他の2通貨の為替レートを用いて計算さ れる交換比率をクロス・レートと呼ぶ。
たとえば、円ドル為替レートとユーロ/ドル為替レートを用 いて、円ユーロ為替レートを計算することができる。 円ドル為替レートが1ドル=120円、ユーロ/ドル為替レー トが1ユーロ=1.2ドルとすると、1ユーロ=1.2ドル= 1.2×120円=144円となり、1ユーロ=144円のクロス・ レートを計算できる。
名目為替レートと実質為替レート
これまでみてきた為替レートは、異なる国の通貨の交換比率 であり、一般には名目為替レートと呼ばれるものである。 これに対して、実質為替レートという概念がある。 これは、2国間の物価水準の違いを考慮した為替レートで ある。
異なる国の生産物の交換比率と読み替えることもできる。 実質為替レートは次のように定義される。
実質為替レート=名目為替レート×
外国物価指数 自国物価指数
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名目為替レートと実効為替レート
実効為替レートは、複数通貨に対する為替レートを表したも のである。
これは、主要な貿易相手国通貨に対して、貿易額などを加重 平均して作成した為替レートの指数である。
実効為替レートは指数で表されるため、2000年=100などと 基準年が決まっている。
数値が大きいほど自国通貨が高く、数値が小さいほど自国通 貨が安いことを示している。
名目為替レートと実効為替レート
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実際の為替レート
1970年以降の円ドルの名目為替レートをみると、円はドルに 対して増価、減価を繰り返しながらも、一貫して増価して きた。
戦後、日本では1ドル=360円という固定相場制度が長く続 いた。
1971年12月のスミソニアン合意によって、1ドル=308円 に変更された。
その後1973年2月に変動相場制度に移行し、現在に至って いる。
1973年後半から始まった第1次石油ショックにより、原油を 輸入に頼っていた日本は円安となった。
その後1970年代後半は、再び円はドルに対して増価する。 しかし、1979年の第2次石油ショックで再び、円安方向に 戻った。
実際の為替レート
1980年代前半は、比較的円安基調が続いた。
1985年9月のプラザ合意によっってドル高の是正が表明され ると、円ドル・レートは急激に円安方向に進んだ。
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実際の為替レート
1990年代に入ると、日本はバブル経済崩壊の影響が長引き、 不況が続いた。
しかし、不況の影響で国内需要が落ち込み、輸入額が減る一 方で輸出は若干の増加を示したことから貿易収支の黒字が拡 大し、円は、増価傾向となった。
1994年後半からは1ドル=100円を突破する円高が続き、 1995年4月17日に史上最高値となる1ドル=79円75銭を 記録した。
実際の為替レート
急激な円高は世界経済の不安材料になるとして、先進国が円 高是正を確認し、その後は1ドル=100円に戻し、最近ま で、1ドル=110円から120円程度の間で推移してきた。 2007年のアメリカのサブプライムローン問題に端を発した 世界の金融危機の下で、再び1ドル=100円を突破し、直近 では、1ドル=94∼95円の間で推移している。
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さまざまな為替レート
インターバンクで取り引きされる為替レートは、銀行間相場
(インターバンク・レート)と呼ばれる。
インターバンク・レートは、外国通貨の需要と供給に応じ て、1日のなかでも絶えず変動している。
外国通貨に対する需要や、その供給は、実際にはどのような 経済取引で発生するのであろうか。
さまざまな為替レート
外国商品や外国サービスの購入、外国の生産要素に対する報 酬の支払い、外国の実物資産の購入、外国金融資産の購入 は、すべて、外貨に対する需要となる。
一方、外貨の供給は、自国商品やサービスを外国に販売した 場合、自国生産要素に対する報酬の受け取り、自国の実物資 産を外国に売却、自国の金融資産を外国に売却した場合、外 国為替市場では外国通貨が供給される。
さらに、通貨当局の外国為替市場での外貨売り介入も、外貨 供給源となる。
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さまざまな為替レート
インターバンク・レートには、為替の受渡日の違いから、2 つのレートがある。
直物レート(スポット・レート) 先物レート(フォワード・レート)
直物レート
為替取引が成立した2営業日後に、実際の通貨の受渡し、す なわち外貨とその対価の交換が行われる取引の為替レート を、直物レート(スポット・レート)という。
直物レートは、ビッド・レート(買いレート)とオファー・ レート(売りレート)の2つが提示される。
このように、売値と買値の両方が提示されることを両建てと いう。
たとえば、インターバンク市場においてA銀行が1ドル= 100.20円のオファー・レート、1ドル=100.15円のビッド・ レートを提示した場合、A銀行は1ドルを100円15銭なら 買う、100円20銭なら売る、ということを示す。
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先物レート
先物為替は、外貨とその対価の受渡しが将来の特定日に行わ れることを、現時点で約束する取引である。
つまり、現時点で将来のある時点にいくらで外貨を取引する のかを決めておく予約である。
一般には、取引相手と1対1の相対で行われる予約取引を
「先渡取引(さきわたしとりひき)」、取引所で差金決済され る予約取引を「先物取引」と呼ぶ。
外国為替市場では、直物レートに対して、先物レートと呼ば れるが、実際の取引は先渡取引を意味する。
先物レート
先物レート(フォワード・レート)は、先物レートの値が為 替市場で取引されているわけではない。
直物レートと先物レートの差、すなわち直先スプレッドが提 示され、取引されている。
先物レートは直物レートに直先スプレッドを加減して計算さ れる。
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先物レート
先物レートをf、直物レートをe、自国金利をi、外国金利を i∗とすると、自国通貨で運用しても、外国通貨で運用して も、収益が同じになる条件は(金利裁定という)、
f e =
1 +i 1 +i∗
となる。
これを整理、近似を行うと、 f − e
e =i − i
∗
と表される(詳しくはunit 10を参照)
先物レート
つまり、ドルの先物レート(f )の直物レート(e)からの乖離 率は、内外金利差に等しくなる。
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先物レート
金利裁定によって決まる直先スプレッドによって、 先物レート=直物レート±直先スプレッド の関係が成立する。
直先スプレッドは、円金利がドル金利よりも低い場合にディ スカウント(discount)と呼び、円金利がドル金利よりも高い ときにはプレミアム(premium) と呼ぶ。
先物レート
つまり、日本の金利がアメリカの金利よりも低い場合には、 先物レート=直物レート−直先スプレッド
となる。
逆に、日本の金利がアメリカの金利よりも高い場合には、 先物レート=直物レート+直先スプレッド となる。
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先物レート
直先スプレッドが、2国間の金利差によって決まる理由は、 どの国でお金を運用しても、最終的に手にする額が等しくな るように先物レートが調整されるからである。
このような市場の働きを裁定と呼ぶ。
先物レート
たとえば、日本の金利が5%、アメリカの金利が10%、直物 レートが1ドル=100円と仮定し、手数料はないと仮定する。 日本の銀行から100円を借りて1ドルと交換して、アメリカ の銀行に預金すると、1年後には(10%の利子がついて)1 ドル10セントになる。
このとき、先物レートが1ドル=100円であれば、この1ド ル10セントは、110円で交換できる。
先物レートなので、現在交換する約束ができることに注意す ること。
一方、銀行から借りた100円は、5%の利子をつけて1年後返 済する必要があるので、105円の返済することになる。 この取引によって110 − 105 = 5円の利益が残る。
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先物レート
この利益は、先物為替取引を通じて、現在確定する。 このように、利益が発生することがわかっていれば、多くの 人が同じような取引を行い、ドルでの資産運用を始めるであ ろう。
すると、先物でのドル売り・円買い予約が増える。
先物レート
その結果、先物のドル価格(先物レート)は下がっていき、 1ドル=95円45銭まで下がると、1ドル10セントは、円に 戻したときに105円(1.1ドル×95.45円/ドル=105円)と なる。
この先物レートのもとでは、利益は0円となり、ドル運用を 行う人はいなくなる。
同様に、日本の金利がアメリカの金利より高い場合には、、 先物のドル価格が高くなっていく。
このように、円で運用しても、ドルで運用しても、同じ収益 になるように先物レートが調整される。
国内外の金利差と直先スプレッドの関係が、上で説明したよ