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平成23年度 原子核物理学

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Academic year: 2018

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(1)

原子力と核融合

https://sites.google.com/site/genshikakubutsurigaku/

(2)

核分裂反応・核融合反応

核分裂により

より小さな A の原子核に 核融合により

より大きな A の原子核に

裳華房「原子核物理入門」より

(3)

 核分裂

核が2個かそれ以上の分裂片に分かれる現象 何個かの中性子やガンマ線の放出を伴う

1938年 ハーン、シュトラスマンにより発見

ウランに遅い中性子をぶつけ、バリウムの放射性が生成

自発分裂

核そのものが不安定

外部からの影響なしにおきる分裂

陽子数の増大によるクーロン斥力の増大が原因

誘起分裂

外部からのエネルギーの注入による起きる分裂 ex) 中性子の吸収による、原子核の励起

(4)

自発分裂

核そのものが不安定

外部からの影響なしにおきる分裂

陽子数の増大によるクーロン斥力の増大が原因 自発分裂の確率 << アルファ崩壊の確率

自発分裂による寿命 238U 8×1015

256Fm 2.63時間

自発分裂への分岐比は質量数とともに増加

→ 260以上の原子核では自発分裂が支配的

238U

アルファ崩壊 4.5×109

(5)

235

Uの中性子による核分裂

235

U n 

236

U  核分裂

分裂片の質量

熱中性子(~ 0.025 eV) ~90, ~140 非対称分裂 分裂片となる核は魔法数に近い核子数を持つ方が安定 A~120 あたりに魔法数に近い核子数の組がない

高エネルギー中性子 ~ 120 対称分裂に近づく 中性子のエネルギーを核変形に配分可能

真二つに分裂させる事も可能

裳華房「原子核物理入門」より

(6)

なぜ

131

I,

137

Cs、

90

Sr が放出されているのか?

131I

134Cs 137Cs 90Sr

(7)

92

236

U

3894

Sr

54140

Xe 2n

16 s

55

140

Cs

66 s

56140

Ba

12.8 d

57140

La

40.2 h

58140

Ce

2 m

39

94

Y

16.5 m

4094

Zr

236

Uの典型的な非対称分裂

一次過程: 10-16 s 以下で起きる

余分な中性子が放出 即発中性子 安定な電荷分布へ遷移 即発ガンマ線

4He等の極く軽い核を放出

二次過程:

分裂片がβ崩壊により、安定核領域へ遷移 ガンマ崩壊や中性子放出を伴う場合もある

(遅延中性子)

ベータ不安定核の寿命  0.1 s ~ 17年

(8)

核分裂によるエネルギー

236Uと分裂片核の核子一つあたりの結合エネルギーの差 ~ 0.9 MeV

→ 核分裂により 236 × 0.9 MeV ~ 212 MeV のエネルギーを放出

分裂片の運動エネルギー ~ 165 MeV

即発ガンマ線 ~ 7

即発中性子の運動エネルギー ~ 5

ベータ崩壊からのベータ線の運動エネルギー ~ 7 ベータ崩壊からのニュートリノの運動エネルギー ~ 10

二次ガンマ線 ~ 6

遅延中性子の運動エネルギー ~ 10

合計 ~ 210 MeV

ニュートリノの運動エネルギーは再利用が難しい

236U一個の核分裂から 200 MeVが解放 ウラニウム核 1g あたりの放出エネルギーは

1

235×6×10

23×200 MeV~0.5×1030 eV≃8×1010J

1 eV =1.6×10

−19

J

通常の化学反応によるエネルギー (3 ~ 4)×104 J/g

(9)

核分裂の機構

裳華房テキストシリーズ「原子核物理」より

(10)

原子核の変形

原子核の四重極モーメント

Q = 3 z

2

−r

2

r d r

b

a

Q=2

5 Z e

a

2−b2

=4

5 Z e〈 R〉

2

δ=Δ R

〈R 〉=

a−b

(

ab2

)

1/ 3

変型パラメータ

裳華房テキストシリーズ-物理学 「原子核物理学」より抜粋

Q

Z R2= 4 5 eδ

原子核の変形を表す量

(11)

電荷の多重極能率

J≠0 の原子核を考える。量子化軸を z 軸にとる場合、 原子核を z 軸周りの回転楕円体と考える

z

x y

r

J

 r ,=

n=0

a

n

r

n1

P

n

cos 

ルジャンドル関数 P

n(cosθ)

=0 cos =1

P

n

1=1

の場合

r =z

 z , 0=1 z

n=0

a n

zn

(12)

d  r , r ' =r ' d r'

∣r−r '∣

核内の微少体積のもつ電荷により誘起される電位

=0 r =z

∣r−r'∣=

z

2−2 z r ' cos' r '2

1/ 2

=z

[

12 r '

z cos'

r '

z

2

]

1/2

x=2

r '

z

cos '−

r '

z

2

∣r−r '∣−1=1

z

1−x

−1 /2

1

z

1 1 2 x

3 8 x

2...

z ≫r '

∣r−r'∣−11

z

[

1 r '

z cos' − 1 2

r ' z

2

3 2

r ' z

2

cos2'...

]

r  z=

d  r  z≃1

z

[

1 r '

z cos '− 1 2

r ' z

2

3 2

r ' z

2

cos2' ...

]

r'  d r '

(13)

r  z=

d  r  z≃1

z

[

1 r '

z cos '− 1 2

r ' z

2

3 2

r ' z

2

cos2' ...

]

r'  d r '

 z , 0=1 z

n=0

a n

zn

a

0

= r'  d r '

a

1

=  r'  r' cos ' d r'=0

a

2

= r ' 3

2 r '

2

cos

2

' − 1

2 r '

2

d r ' =Q e

全電荷

電気四重極能率

双極 単極

(14)

a

2

= r ' 3

2 r '

2

cos

2

' − 1

2 r '

2

d r ' =Q e

四重極能率

 r' 

Q=0 Q0

Q0

みかん型

パンケーキ型 球形 フットボール型

葉巻型

(15)

核分裂の機構: 液滴模型による理解

裳華房テキストシリーズ「原子核物理」より

ES=

(

1+2 5 a2

2

)

aS A2/3

核の変形 A → B を考慮にいれる 原子核の四重極能率 a2=Qe

EC=

(

1−1 5 a2

2

)

aC Z2 A−1/ 3

表面エネルギー → a

2

クーロンエネルギー → a

2

変形した核のエネルギー

(16)

核分裂の機構:  変形によるエネルギー変化

δ E= 2

5

(

1− aC

2 aS Z2

A

)

aSa2

2A2/3=(1−x) 2

5 aSa2

2 A2/3

核種

82

208

Pb

92 236

U

98 252

Cf

0.64 0.72 0.76 δ E>0 x

δ E<0

x<1

x=

Z

2

A

/

Z2

A

cr

(

Z2

A

)

cr

2 aS

aC ∼48

x>1

(17)

核分裂の機構

ポテンシャル障壁を越えると、 C → D と変形がすすみ、

核分裂が起きる

裳華房テキストシリーズ「原子核物理」より

核種 ポテンシャル障壁

235U 5.8 MeV 238U 6.3 MeV 239Pu 4.8 MeV

B → C への変形 a4 の項が効く

ポテンシャル障壁を越えるために エネルギーを与える必要がある

(18)

中性子捕獲

中性子は電荷を持たないので、 容易に原子核近傍まで接近可

原子核に捕獲され、

質量数 A + 1 の原子核が形成 質量数 A の原子核に中性子を照射

1938年 エンリコ・フェルミ

中性子衝撃による新放射性元素の発見と熱中性子による原子核反応の発見 中性子を原子核に衝突させる事で、新しい原子核を生成

→ 40種類以上の人口放射性同位元素を生成

(19)

フェルミの業績

ベータ崩壊

ベータ線(電子)

ニュートリノ

『弱い力』により中性子が陽子に変化する際、 電子とニュートリノを放出する過程

“フェルミ相互作用”

“フェルミ相互作用”

同じ『スピン』の粒子は、同じ状態を 取れない

→ 『パウリの排他原理』

“フェルミ統計”

“フェルミ統計”

原子核中の陽子・中性子は

“フェルミ統計”に従う

“価”陽子は特定の運動をする

“フェルミ運動”

“フェルミ運動”

フェルミ統計に従う粒子で較正される気体

“フェルミ気体”

“フェルミ気体”

フェルミ統計に従う粒子

“フェルミ粒子・フェルミオン”

“フェルミ粒子・フェルミオン”

その他色々...

(20)

中性子捕獲と核分裂

核種 ポテンシャル障壁

235U 5.8 MeV 238U 6.3 MeV 239Pu 4.8 MeV

中性子捕獲によりポテンシャル障壁を越えるのに 十分なエネルギーを獲得 →  核分裂

(21)

中性子捕獲と核分裂

質量公式から

235U→236U (偶-偶核) 6.5 MeV

→ 遅い中性子(熱中性子)で核分裂が起きる

238U→239U (偶-奇核) 4.8 MeV

→ 1.5 MeV 以上の中性子で核分裂が起きる

※ 235Uと238Uの自然界での存在比はそれぞれ0.7%、99.3%

(22)

核分裂と連鎖反応

92

236 U 38 94 Sr + 54 140 Xe +2 n

235U→236U によって平均2.47個の中性子も同時に放出される。

n

235U

(23)

核分裂と連鎖反応

この中性子がまわりの235Uに捕獲

92

236 U 38 94 Sr 54 140 Xe 2n

235U→236U によって平均2.47個の中性子も同時に放出される。

(24)

核分裂と連鎖反応

この中性子がまわりの235Uに捕獲 → 核崩壊 → 中性子放出 → ....

92

236 U 38 94 Sr 54 140 Xe 2n

235U→236U によって平均2.47個の中性子も同時に放出される。

(25)

核分裂と連鎖反応

この中性子がまわりの235Uに捕獲 → 核崩壊 → 中性子放出 → ....

92

236 U 38 94 Sr 54 140 Xe 2n

235U→236U によって平均2.47個の中性子も同時に放出される。

連鎖反応

(26)

原子炉と原子爆弾の違い

92

236 U 38 94 Sr 54 140 Xe 2n

1回の核分裂あたりに生成された中性子のうち

平均1個が次の核分裂に使われる235Uが存在する限り反応が続く 原子炉

平均1個以上が使われる 原子爆弾

裳華房テキストシリーズ「原子核物理」より

指数的に発散 反応率一定

(27)

ウランによる中性子吸収確率

裳華房テキストシリーズ「原子核物理」より

235U 低エネルギー中性子を

吸収しやすい

238U 1 MeV以上で核分裂

238U 10 keV以上で吸収→γ崩壊 γ崩壊

核分裂

(28)

放出される中性子のエネルギー

裳華房「原子核物理学入門」より 裳華房テキストシリーズ「原子核物理」より

放出される中性子のエネルギー 平均 1 MeV

238U 1 MeV以上で核分裂 足りない

235U エネルギー(1 eV)で反応 大きすぎ

238U 10 keV以上で吸収→γ崩壊 235Uの連鎖を抑制

(29)

連鎖反応の制御

・ 核分裂で放出される中性子の平均エネルギー ~1 MeV

・ 238Uの核分裂閾値 ~1MeV

→ 連鎖反応は困難

・ 1 eV 以下の中性子に対して、235Uは反応しやすい

→ 中性子の減速が必要 1 MeV → 1 eV

・ 10 eV~1 MeVに大きな 238U(n,γ)反応

→ 235Uの連鎖反応の抑制に利用

(30)

原子炉の制御

ウラン棒 (235U)

10 MeV 10 MeV

10 MeV中性子は

235Uに吸収されにくい

(31)

原子炉の制御

1 eV

ウラン棒 (235U)

10 MeV中性子は

235Uに吸収されにくい

減速材

減速材により1 eVに 減速 → 連鎖反応

10 MeV 10 MeV

1 eV

(32)

原子炉の制御

ウラン棒 (235U)

10 MeV中性子は

235Uに吸収されにくい

減速材

減速材により1 eVに 減速 → 連鎖反応

1 eV 1 eV

制御棒

制御棒

熱中性子に対し(n,γ)反応断面積が大きい物質(カドミウム、ボロン等)

制御棒による熱中性子 吸収で、連鎖反応を管理 炉心の制御

二次過程中に生成される中性子が 主な役割を果たす

(33)

核融合反応

核融合により

より大きな A の原子核に

裳華房「原子核物理入門」より

A + B → C + Q

Q > 0

(34)

核融合反応

・ 軽い核の融合 → エネルギーを放出

A + B → C + Q Q > 0

・ クーロン障壁により、核反応が起きるのに十分な近距離に近づけない

核融合に適した反応 Q値が大きい

反応断面積が大きい

Zが小さい (クーロン障壁が小さい)

※ 星の内部

熱エネルギーが十分高く、クーロン障壁を越え、核融合反応が起きる

(35)

2核子系の核融合

p + p → d +e +e

核子による核融合

2核子系の原子核は『重陽子 2H』のみ

反応は弱い相互作用で起きる → 反応断面積 小

陽子よりも重い原子核 (d、t等)を利用 アルファ粒子生成 → 大きなQ値

(36)

核融合反応

d t 

24

He n 17.6 MeV

d d 

23

He n 3.27 MeV

d d  tp 4.03 MeV

断面積も大きいが、

三重水素の供給に問題

重陽子は海水中に豊富に含まれている

(37)

100 MW 核融合炉

d d 

23

He n 3.27 MeV

d d  tp 4.03 MeV

重陽子2個あたりで、

平均2 MeVのエネルギーを 発生すると仮定

100 MW ~ 10

21

MeV/s

※ 福島原発1号機の定格出力 460 MW

1秒あたり 1021個の重陽子を必要とする 海水には1 cm3 あたり 約1019 個の重陽子 毎秒 100 cm3 の海水

(38)

核融合反応

d +d →

23

He +n +3.27 MeV

d +d → t+p +4.03 MeV

クーロン障壁の高さ

1

4 π ε

0

e

2

r

α ℏ c

r

1

137

197MeV fm

2 fm ∼0.7 MeV

問 重陽子間の距離が2fmになると核融合 が起きると考える。この場合のクーロン障壁 の高さを求めよ。

トンネル効果も考慮にいれ

1個の重陽子が ~ 0.1 MeV のエネルギーを持つ 温度 T = 109 K

(39)

f (v)dv=4 π v

2

( m

2 π k T )

3/ 2

e

m v2 2 k T

dv

f ( E)dE =8π E

m (

m

2 π k T )

3/ 2

e

E

k T

d E

2 m E

E=1 2m v

2

dE=m v dv 1

2 m E dE=dv

f ( E)dE = 2

π

E

( k T )

3/2

e

E

k T

d E

系の温度が T の時の、エネルギー分布を求めよ。 速度分布は マクスウェル方程式

に従うものとする。

(40)

核融合反応の反応率

熱核反応の断面積

  E 

exp

−2 Z1Z2

v

E

n(E)dE ∝

E

(

kT

)

3/ 2 exp

(

E

k T

)

dE エネルギー分布

107 ~ 109 K

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